JP2018070504A - 抗菌剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚に対する保湿剤、防臭剤などの化粧品、医薬品および医薬部外品、食品保存剤、切り花用吸水材などの用途に使用することができ、ヒトの皮膚に対する刺激性が低く、人体に対する安全性が高く、抗菌(静菌)性に優れた抗菌剤および当該抗菌剤を含有する化粧料を提供する。【解決手段】有効成分として式(I):(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表わされるソルボシド化合物を含有することを特徴とする抗菌剤および当該抗菌剤を含有する化粧料。【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌剤に関する。本発明の抗菌剤は、顔ニキビ原因菌(アクネ菌など)、背中ニキビ・フケ原因菌(マラセチアなど)、腋臭・加齢臭原因菌(コリネバクテリウムなど)、口腔細菌などの菌に対して抗菌(静菌)作用を示すことから、例えば、皮膚に対する保湿剤、防臭剤などの化粧品、医薬品および医薬部外品、食品保存剤、切り花用吸水材などの用途に使用することが期待される。
化粧品、食品などの製品の保存時および使用時に細菌および真菌が生育することを抑制するために、当該製品には、一般にパラベン、サリチル酸およびその塩、トリクロサンなどの抗菌剤が製品に用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
パラベンは、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルパラベンなどのパラオキシン安息香酸エステルであり、化粧品の殺菌剤、防腐剤などとして用いられている。しかし、パラベンは、ヒトによっては皮膚炎、アレルギー性湿疹などを引き起こすおそれがあるとともに、近年、内分泌攪乱作用を有するおそれがあると考えられていることから、その使用を控えることが望ましい(例えば、非特許文献1〜3参照)。
サリチル酸およびその塩は、殺菌力が高く、抗炎症作用および角質を溶解させて軟化させる作用を有することから殺菌剤として有効である。しかし、サリチル酸およびその塩は、ヒトの肌に対する刺激が強いため、皮膚に対してヒリヒリとする刺激を付与することがあるとともに、皮膚に紅斑が生じるおそれがある。
トリクロサンは、一般細菌に対する殺菌力およびブドウ球菌などのグラム陽性菌に対する静菌力を有することから、抗菌性および抗真菌性に優れている。しかし、トリクロサンは、細菌に薬剤抵抗性を与えるおそれがあり、さらに内分泌攪乱物質である可能性があることから、パラベンと同様に、その使用を控えることが望ましい。
また、従来の抗菌剤の多くは、皮膚に対する刺激性を呈し、アレルギー性を示すおそれがあるものが存在することから、近年、刺激性が低く、人体に対する安全性が高く、抗菌(静菌)性に優れた抗菌剤の開発が望まれている。
特開2012−024520号公報 特開2015−218147号公報 特開2015−224244号公報
Darbre et al., J. Appl. Toxicol., 28, 561-578 城武 昇一ら、「フレグランスジャーナル」10, 26-35, 2013 東京衛研年報 Ann. Rep. Tokyo Metr. Res. Lab. P.H., 53, 265-267, 2002
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ヒトの皮膚に対する刺激性が低く、人体に対する安全性が高く、抗菌(静菌)性に優れた抗菌剤を提供することを課題とする。
第1発明の抗菌剤は、有効成分として式(I):
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされるソルボシド化合物を含有することを特徴とする。
第2発明の化粧料は、請求項1に記載の抗菌剤を含有することを特徴とする。
本発明の抗菌剤は、ヒトの皮膚に対する刺激性が低く、人体に対する安全性が高く、抗菌(静菌)性に優れるという優れた効果を奏する。
なお、本明細書において、「抗菌(静菌)性」は、抗菌性および/または静菌性を意味する。
実験例2の評価結果を示す図面代用写真である。
本発明の抗菌剤は、前記したように、有効成分として式(I):
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされるソルボシド化合物〔以下、単にソルボシド化合物という〕を含有することを特徴とする。
本発明の抗菌剤の有効成分であるソルボシド化合物は、炭素数6のケトースであるL−ソルボースのアノマー位の水酸基と配糖体の水酸基との間で酸素を介して結合したものである。
糖には種々の種類があり、その代表的なものとして、例えば、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトースなどが挙げられる。これらの糖にアルコールを結合させたO−グリコシドが微生物の生育に与える影響を調べたところ、これらの糖では、有意な抗菌作用が示されなかったのに対し、L−ソルボースにアルコールを結合させたL−ソルボシドが抗菌的な作用を示すことが確認された。
ソルボシド化合物は、例えば、トロピカルフルーツから抽出することによって得ることができるほか、合成によって得ることができる。トロピカルフルーツに含まれているソルボシド化合物としては、例えば、メチル−L−ソルボシドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ソルボシド化合物を合成によって得る場合、原料として、例えば、L−ソルボース、D−ソルボースなどのソルボースを用いることができる。ソルボースは、商業的に容易に入手することができる化合物である。ソルボースのなかではL−ソルボースは、ヒトの皮膚に対する刺激性が低く、人体に対する安全性が高く、抗菌(静菌)性に優れる抗菌剤を得る観点から好ましい。
原料としてソルボースを用いる場合、当該ソルボースとアルコールとを反応させることにより、ソルボシド化合物を得ることができる。
前記アルコールは、式(I)に示される−OR1(アルコキシ基)を形成するものであり、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどの炭素数が1〜4の脂肪族1価アルコールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記アルコールには、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、水、酢酸エチルなどのアルコール以外の溶媒が含まれていてもよい。
ソルボースとアルコールとを反応させる際、ソルボースとアルコールとが化学量論的に等モル比で反応するが、ソルボースを効率よくグリコシド化させることによってソルボシド化合物を得る観点から、アルコールの量は、ソルボースに対して過剰量であることが好ましく、ソルボース100gあたりのアルコールの量は、300〜2000mL程度であることがより好ましい。
ソルボースとアルコールとの反応は、例えば、ソルボースとアルコールとを混合することによって容易に行なうことができる。ソルボースとアルコールとの反応温度は、特に限定されず、通常、好ましくは0〜120℃、より好ましくは10〜110℃、さらに好ましくは15〜100℃である。
なお、原料のソルボースは、アルコールに対して難溶性を呈するのに対し、生成するソルボシド化合物は、アルコールに対して可溶性を呈する。したがって、ソルボースの量が減少することは、ソルボースは、その量が減少した分だけアルコールと反応し、ソルボシド化合物が生成していることを示唆するものと考えられる。したがって、ソルボシド化合物の生成は、ソルボースの量の減少によって容易に把握することができる。ソルボースとアルコールとの反応の終点は、ソルボースの量がほとんど減少しなくなった時点とすることができる。なお、ソルボシド化合物が生成していることは、例えば、1H−NMR(核磁気共鳴)による分析、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)による分析などによって確認することができる。
ソルボースとアルコールとを反応させる際には、両者の反応を促進させるために、酸触媒を用いることが好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロスルホン酸などの有機酸、強酸性イオン交換樹脂、ゼオライトなどの固体酸触媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ソルボース100質量部あたりの酸触媒の量は、0.01〜20質量部程度であることが好ましい。酸触媒は、アルコールにあらかじめ添加しておいてもよく、ソルボースとアルコールの混合物に添加してもよい。
以上のようにして式(I)で表わされるソルボシド化合物を得ることができる。式(I)において、R1は、炭素数1〜4のアルキル基であるが、種々の菌に対する抗菌性に優れていることから、炭素数2〜4のアルキル基が好ましく、炭素数2または3のアルキル基がより好ましく、プロピル基がさらに好ましい。また、R1のなかでは、アクネ菌、コリネバクテリウム、トリコフィトンなどの菌に対して特異的に抗菌性に優れ、皮膚を保護する性質を有する常在菌に対して抗菌性をほとんど呈さず、常在菌による皮膚のバリア機能を高める観点から、メチル基が好ましい。
前記で得られたソルボシド化合物は、アルコールとの混合溶液であり、そのままの状態で用いることができるが、必要により、当該混合溶液からアルコールおよび酸触媒を常法で除去することにより、精製してもよい。
ソルボシド化合物のなかでは、種々の菌に対する抗菌性に優れていることから、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルソルボキシドが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル−L−ソルボキシドがより好ましく、炭素数2〜4のアルキル基を有するアルキル−L−ソルボキシドがより一層好ましく、炭素数2または3のアルキル基を有するアルキル−L−ソルボキシドがさらに好ましく、1−プロピル−L−ソルボキシドおよび2−プロピル−L−ソルボキシドがさらに一層好ましく、2−プロピル−L−ソルボキシドが特に好ましい。また、ソルボシド化合物のなかでは、アクネ菌、コリネバクテリウム、トリコフィトンなどの菌に対して特異的に抗菌性に優れ、皮膚を保護する性質を有する常在菌に対して抗菌性をほとんど呈さず、常在菌による皮膚のバリア機能を高める観点から、メチル−L−ソルボキシドが好ましい。
本発明で用いられるメチル−L−ソルボシドなどのソルボシド化合物は、食用天然物に含まれている成分であることから人体に対する安全性が高いのみならず、人体に対する安全性が高いソルボシドとアルコールとの縮合体であり、当該縮合体は、酸、酵素などによって容易に分解され、分解されると元の安全性の高いL-ソルボースに戻るという性質を有するとともに、刺激性が極めて低いという性質を有する。
本発明で用いられるソルボシド化合物は、安価で供給が安定しているL−ソルボースを原料として容易に合成することができるので、安定して供給することができる。前記ソルボシド化合物が呈する静菌効果は、病原性菌に対して強いが、常在菌などの病原性菌以外の菌に対して弱いので、前記ソルボシド化合物は、細菌叢を破壊しがたいと考えられることから、例えば、皮膚バリア機能を保持するが、善玉菌を除去しないという特異的な性質を有するものと考えられる。
本発明の抗菌剤は、ソルボシド化合物が有効成分として用いられているので、前記した種々の優れた性質を有し、ヒトの皮膚に対して低刺激性を有し、抗菌作用および人体に対する安全性に優れている。また、本発明の抗菌剤は、ソルボシド化合物が有効成分として用いられていることから、例えば、顔ニキビ原因菌(アクネ菌など)、背中ニキビ・フケ原因菌(マラセチアなど)、腋臭・加齢臭原因菌(コリネバクテリウムなど)、口腔細菌などの菌に対して抗菌(静菌)作用を示すことから、皮膚に対する保湿剤、防臭剤などの化粧品、医薬品および医薬部外品、食品保存剤、切り花用吸水材などの種々の用途に使用することが期待される。より具体的には、本発明の抗菌剤は、化粧品に関しては、例えば、ニキビ予防用ローション、防臭スプレー、保湿用パッド、保湿クリーム、フケ症改善用ヘアトニック、肌荒れ予防用お尻拭きシート、褥瘡の悪化防止介護用シートなどの用途に用いることが期待されるものである。
また、本発明の抗菌剤に用いられるソルボシド化合物は、水溶性を呈することから、例えば、イオン交換水などの精製水に溶解させ、得られたソルボシド化合物の水溶液を抗菌剤に用いることができる。
本発明の抗菌剤におけるソルボシド化合物の含有率は、当該抗菌剤の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、その用途などに応じて適宜決定することが好ましい。抗菌剤におけるソルボシド化合物の含有率は、通常、1〜100質量%であり、化粧品、医薬品、医薬部外品などの用途に用いる場合には、抗菌剤に含まれているソルボシド化合物の当該化粧品などにおける含有率が0.1〜0.5質量%程度であっても優れた抗菌性を当該化粧品などに付与することができる。
なお、本発明の抗菌剤には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、例えば、安定化剤、pH調整剤、保存剤、分散剤、界面活性剤、着色剤、香料などの添加剤が含まれていてもよい。
本発明の抗菌剤は、例えば、液体、クリーム、ゲル、固体などの剤型で用いることができるが、本発明は、当該剤型の種類によって限定されるものではない。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
実施例1〜5
L−ソルボース〔ナカライテスク(株)製〕5.0g、酸触媒として10%塩酸1滴(約0.3mL)および表2に示すアルコール50mLを500mL容のフラスコ内に入れ、15〜100℃の温度で10時間撹拌することにより、L−ソルボースとアルコールとを反応させ、式(I)において、R1が表2に示すアルキル基であるソルボシド化合物のアルコール溶液を得た。各実施例で得られた化合物が、式(I)のR1が表2に示すアルキル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
前記で得られたソルボシド化合物のアルコール溶液からアルコールおよび酸触媒(塩酸)を留去した後、イオン交換水に溶解させ、ソルボシド化合物の水溶液を調製した。前記で得られたソルボシド化合物の水溶液にさらに脱色および脱塩操作を行ない、得られたソルボシド化合物水溶液(ソルボシド化合物の含有率:0.5質量%)を抗菌剤として用いた。
前記で得られた抗菌剤を用い、各種微生物の生育に対する抗菌性を以下の抗菌性の評価方法に基づいて調べた。その結果を表2に示す。
〔抗菌性の評価方法〕
培地を分注した直径18mmの試験管内に、表1に示すいずれかの菌を接種することにより、培養を開始した。菌の生育の度合いは、可視分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、商品名:SPECTRONIC200)を用い、波長600nmにて測定するとともに目視にて確認した。
培地には、菌体が十分に生育することができるD−グルコースを含む培地を用いた。培養に供した菌体の種類によっては、好気性、嫌気性、最適培養温度、最適pH領域などが異なるが、当該培養では、各菌体に最も適した条件で当該菌体を培養した。なお、培養時には、培養温度を28〜36℃に設定し、好気性菌は振盪器で回転速度150rpmにて振盪し、嫌気性菌は樹脂製容器内に脱酸素剤〔三菱ガス化学(株)製、商品名:アネロパック〕を入れ、静置培養した。
次に、前記で得られた培養液を用い、以下の方法に基づいて菌の生育度および生育阻害効果を調べた。生育阻害効果を表2に示す。
〔菌の生育度〕
各条件での菌の生育度(菌の濃度)を濁度法によって求めた。すなわち、分光光度計〔サーモ・サイエンス(Thermo science) 社製、商品名:SPECTRONIC200〕を用い、試験管内で生育した菌の培養液の波長600nmにおける吸光度を測定し、当該吸光度の値を菌の生育度とした。
〔生育阻害効果〕
前記菌の生育度の測定方法に準じて波長600nmにおける吸光度を測定し、
式:[生育阻害率(%)]=100−{[L−ソルボシドを添加したときの吸光度]÷[L−ソルボシドが添加されていないときの吸光度]×100
に基づいて各菌株に対する生育阻害率を求めた。
次に、前記で求められた生育阻害率を用い、以下の評価基準に基づいて各菌株に対する生育阻害効果を評価した。その結果を表2に示す。
〔評価基準〕
◎:生育阻害率が70%以上
〇:生育阻害率が60%以上70%未満
△:生育阻害率が50%以上60%未満
×:生育阻害率が50%未満
表2に示された結果から、各実施例で得られた抗菌剤は、2−プロピル体、1−プロピル体、エチル体、1−ブチル体およびメチル体の順に微生物に対する優れた生育抑制効果を示すことがわかる。また、実施例1で得られたメチル−L−ソルボシドを含有する抗菌剤は、バシルス、プロピオニバクテリウム(ニキビ菌)、ストレプトコッカス、コリネバクテリウム(加齢臭原因菌)などの菌体に対して特異的に抗菌性に優れ、皮膚を保護する性質を有する常在菌に対し、抗菌性をほとんど呈さないことから、常在菌による皮膚のバリア機能を低下させがたいことがわかる。
実験例1
各実施例で得られた抗菌剤を用い、前記と同様にしてプロピオニバクテリウム(ニキビ菌)、コリネバクテリウム(加齢臭原因菌)、トリコフィトン(水虫菌)、ミュータンス菌(虫歯菌)に対し、抗菌性の評価を調べた。その結果、各実施例で得られた抗菌剤は、いずれも、抗菌スペクトルが異なるが、プロピオニバクテリウム(ニキビ菌)、コリネバクテリウム(加齢臭原因菌)、トリコフィトン(水虫菌)、ミュータンス菌(虫歯菌)などの菌体に対し、強力な生育阻害作用を有するという、他の抗菌剤では見られない特異的効果が奏されることが確認された。この効果は、アルコールと反応されていないソルボースでは全く発現されないことから、当該ソルボースから全く予期することができない顕著に優れた効果であることから、本発明の抗菌剤によって奏される斬新な効果であることが確認された。
また、一般に、生育の阻害(抗菌)作用は、滅菌、殺菌、静菌などに分けられるが、本発明の抗菌剤を用いた場合には、多くの菌が培養の初期で抑制されるが、長時間の培養により、最終的に菌が生育していた。このことから、本発明の抗菌剤を用いることにより、菌の生育が遅延されることから、抗菌の種類は静菌に帰属するものであることが認められた。
実験例2
各実施例で得られた抗菌剤にD−グルコース0.5質量%およびペプトン1.0質量%を含有させた溶液またはコントロールとしてD−グルコース0.5質量%およびペプトン1.0質量%のみを含有する水溶液を用い、ニキビの原因菌とされているプロピオニバクテリウム・アクネス(ATCC6919)を用い、37℃の温度で55時間培養を行なった後、抗菌性の評価として菌の生育度および生育阻害率を前記と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
また、各実施例の評価を行なったときの試験管の外観の写真を図1に示す。図1において、写真に向かって左から順にコントロールで用いられた試験管〔図1中のBlack(Glc)〕、実施例1で用いられた試験管〔図1中のMS〕、実施例2で用いられた試験管〔図1中のES〕、実施例3で用いられた試験管〔図1中の1PS〕、実施例4で用いられた試験管〔図1中の2PS〕、および実施例5で用いられた試験管〔図1中の1BS〕を示す。
表3および図1に示された結果から、各実施例で得られた抗菌剤は、コントロールと対比して、生育阻害率が格段に高く、しかも図1に示されるように、菌の繁殖(コントロールにおける白濁)が認められないことから、菌の生育をほぼ完全に抑制するものであることがわかる。このことから、各実施例で得られた抗菌剤は、ニキビの原因菌の生育作用を抑制するので、ニキビを予防するための化粧品、医薬品、医薬部外品などに好適に使用することができるものと考えられる。
実験例3
各実施例で得られた抗菌剤にD−グルコース0.5質量%を含有させた溶液またはコントロールとしてD−グルコース0.5質量%のみを含有する水溶液を用い、体臭の原因菌とされるコリネバクテリウムを用いて37℃の温度で55時間培養を行なった後、前記と同様にして抗菌性の評価として生育阻害率を調べた。その結果、各実施例で得られた抗菌剤は、いずれも、コントロールと対比して、菌の生育を顕著に抑制することが認められた。このことから、各実施例で得られた抗菌剤は、いずれも、体臭の原因菌とされるコリネバクテリウムの生育を抑制することから、体臭を抑制するための化粧品、医薬品、医薬部外品などに好適に使用することができるものと考えられる。
本発明の抗菌剤は、ヒトの皮膚に対して低刺激性を有し、抗菌性および人体に対する安全性に優れており、例えば、顔ニキビ原因菌(プロピオニバクテリウム・アクネスなどのアクネ菌など)、背中ニキビ・フケ原因菌(マラセチアなど)、腋臭・加齢臭原因菌(コリネバクテリウムなど)、口腔細菌などの菌に対して抗菌(静菌)作用を示すことから、皮膚に対する保湿剤、防臭剤などの化粧品、医薬品、医薬品および医薬部外品、食品保存剤、切り花用吸水材などの用途に使用することが期待される。

Claims (2)

  1. 有効成分として式(I):
    (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
    で表わされるソルボシド化合物を含有する
    ことを特徴とする抗菌剤。
  2. 請求項1に記載の抗菌剤を含有する
    ことを特徴とする化粧料。
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