JP2018070092A - 鉄道車両構体 - Google Patents
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Abstract
Description
中空押出形材は、例えば、対向する2枚の面板とこれら面板を接続する接続板からなるアルミニウム合金製の部材である。
特許文献1には、上記のような中空押出形材を用いて構体を構成する例が開示されている。
高速鉄道車両の構体は、気密性が高い構体(以下、気密構体)のため、トンネル内走行時に車外圧力が変化すると、気密荷重が構体を構成する側構体や屋根構体等に作用して、これらは面外方向に変形する。
この気密荷重に起因する側構体の変形を抑制するために、中空押出形材を構成する面板および接続板(リブ)の板厚を大きくしたり、中空押出形材の高さ(厚さ)寸法を大きくしたり、または、窓開口部を小さくすることが有効である。
そこで、本発明の目的は、気密荷重に起因する側構体の変形を抑制しつつ、軽量で広い車内空間を備えることができる鉄道車両構体を提供することである。
まず、以下の説明に供する鉄道車両構体に関係する各方向を、鉄道車両構体1(以下、構体1と記す)の長手方向(レール方向)をX方向、構体1の幅方向(枕木方向)をY方向、これらX方向およびY方向に交差する構体1の高さ方向をZ方向と定義する。以下、単にX方向、Y方向、Z方向と記す。
構体1は、床面をなす台枠40と、台枠40のY方向の端部に立設される側構体30と、側構体30の上端部に載置される屋根構体20などを備える。
これら中空押出形材は、アルミニウム合金製であり、X方向に沿って押出成形されている。
屋根構体20のY方向の端部に備えられる中空押出形材250は、側構体30のZ方向の端部に備えられる中空押出形材310に溶融溶接(または、摩擦撹拌接合)Wで接合される。
これら中空押出形材の材質および押出方向は屋根構体20に供される中空押出形材のそれらと同様である。
側構体30のZ方向の下端部に備えられる中空押出形材360は、台枠40をなす側梁410に接合される。例えば積層ガラスで構成される窓板33(図2参照)が嵌め込まれる窓開口部31(図1の窓取付部90)は、中空押出形材330、340に跨って備えられる。
また、図4は、側構体の窓開口部に固定される窓の固定部のX方向に沿う断面図(図2におけるB−B断面図)であり、図5は、側構体の窓開口部に固定される窓の固定部のX方向に沿う断面図(図2におけるC−C断面図)である。
さらに、これら中空押出形材330または340のいずれかの一方は、これら中空押出形材(330、340)を接続する接合部Wの位置(Z方向の中央部)に縦リブ32d3を備える。
窓板33が取り付けられる窓取付部90は、機械加工によって車内側の面板32bと斜めリブ32cと、縦リブ32d3と、縦リブ32d2と、車外側の面板32bを取り除くことによって、側構体30に備えられる。
窓取付部90に含まれる車外側の面板32aは、車内側の面板32bより小さく取り除かれて、窓開口部31が形成される(図4、図5参照)。
窓保持部32eは、窓開口部31の4隅の車外側の面板32aに、比較的大きなR部92aまたはR部92bを備えるとともに窓開口部31の縁に沿う略矩形の環状の形状を有する。
また、R部92aとR部92bとは、窓開口部31のX方向に沿う水平縁とそのZ方向に沿う垂直縁とを接続する。
具体的には、図2に示すように、R部92aは、窓開口部31のZ方向に沿う直線縁の一方の端部のR止端部91aと、X方向に沿う直線縁の他方の端部のR止端部91cと、によって区画される部位である。同様に、R部92bは、R止端部91bとR止端部91dによって区画される部位である。
縦リブ32d2の一部を削り残すことによってR部92aまたは92bと一体に備えられる変形抑制リブ32fは、R止端部91a、91cのZ方向の中央部付近と、R止端部91b、91dのZ方向の中央部付近に位置する。
したがって、気密荷重が作用しても単一面板となるR部92aまたは92bが大きく変形しないように、縦リブ32d2の一部を削り残すことによって変形抑制リブ32fがR部92aまたは92bと一体となるように形成される。
また、変形抑制リブ32fは、単一面板である窓保持部32e(R部92a、92b)から面外(法線)方向に高さ寸法を有するため、単一面板となるR部92aまたは92bの断面二次モーメントを大きく向上させて、気密荷重に対する高い剛性を備えることができる。
窓受け金34は、窓保持部34eに溶接部95で溶接される脚部34aと、脚部34aの上端部から水平方向に延伸するとともに窓押え金具36が載置される座部34bと、座部34bのX方向の端部からY方向に延伸する背部34cを有する。また、背部34cは、車内側の面板32bとの当接部に溶接部96で溶接される。
このため、窓取付部90を施工する際に開放されて強度が低下する傾向にある側構体30をなす中空押出形材の開口端部を補強するとともに気密荷重が作用する場合であっても十分な剛性(強度)を備えることができる。
また、変形抑制リブ32fの高さ寸法h2は窓板33の厚さ寸法(後述する窓押え金36の車外側の面と面板32aの車内側の面との距離)h3より小さく設定されている。
この構成によって、変形抑制リブ32fは、窓取付部90のR部92aまたは92bの近傍において、窓板33、窓受け金34、窓押え金36と干渉することなく設けることができる。
脚部34aおよび座部34bは、窓取付部90のZ方向の両端部と、R止端部91aとR止端部91bの間の2箇所の計4箇所に備えられる。
まず、窓板33の周縁部を窓保持部32eに、窓開口部31を塞ぐ態様で車内側から当接して位置決めする。次に、外形が矩形でありその中央部に、ほぼ窓開口部31の形状と相似の開口部を有する環状の窓押え金36を準備して、窓押え金36で窓板33の周縁を押えるとともに、窓押え金36のX方向の端部の縁を窓受け金34の座部34bに載置する。
最後に、窓板33の周縁部と窓保持部32eの周縁部との隙間に、シール材99を充填して窓板33を窓取付部90(側構体30)へ取り付ける作業が完了する。
また、側構体30が局所的に高い応力が生じることを抑制できるので、結果として、軽量で広い車内空間を備えることができる鉄道車両構体1を提供することができる。
20 屋根構体
30 側構体
31 窓
32a 車外側の面板
32b 車内側の面板
32c 斜めリブ
32d1、32d2、32d3 縦リブ
32e 窓保持部
32f 変形抑制リブ
33 窓板
34 窓受け金
34a 脚部
34b 座部
34c 背部
35 ねじ座
36 窓押え金
37 ボルト
38 座金
40 台枠
90 窓取付部
91a、91b、91c、91d R止端部
92 R部
99 シール
210、220、230、240、250 中空押出形材
310、320、330、340、350、360 中空押出形材
410 側梁
420 押出形材
430 横梁
Claims (6)
- 車外側の第1面板と、車内側の第2面板と、前記第1面板と前記第2面板とを接続する複数の斜めリブと、前記第1面板と前記第2面板とに交差する縦リブと、を備える中空押出形材からなる側構体を有する鉄道車両構体であって、
前記中空押出形材は、前記鉄道車両構体の長手方向に沿って押出成形されており、
前記側構体は、窓板が取り付けられる窓取付部を有しており、
前記窓取付部は、
前記第1面板に設けられる窓開口部の周縁部に備えられる窓保持部と、
前記窓保持部と一体に備えられる変形抑制リブと、
を有すること
を特徴とする鉄道車両構体。 - 請求項1に記載される鉄道車両構体において、
前記窓保持部は、
前記縦リブの一部をなす前記変形抑制リブと一体で形成されていること
を特徴とする鉄道車両構体。 - 請求項2に記載される鉄道車両構体において、
前記窓保持部は、
前記窓開口部の隅部に備えられるとともに、前記窓開口部の水平縁と前記窓開口部の垂直縁を接続するR部を有しており、
前記変形抑制リブは、前記R部における前記側構体の高さ方向中央部に備えられること
を特徴とする鉄道車両構体。 - 請求項3に記載される鉄道車両構体において、
前記窓保持部は、
前記窓保持部の垂直縁に沿って備えられるとともに窓板が固定される窓受け金を備えており、
前記窓受け金は、
前記第1面板と前記第2面板とを接続すること
を特徴とする鉄道車両構体。 - 請求項4に記載される鉄道車両構体において、
前記窓受け金は、
前記第1面板に接続する脚部と、
前記脚部の端部から前記鉄道車両構体の長手方向に延伸する座部と、
前記長手方向に延伸する前記座部の端部から前記鉄道車両構体の幅方向に延伸する背部と、
を有すること
を特徴とする鉄道車両構体。 - 請求項5に記載される鉄道車両構体において、
前記窓取付部に備えられる前記窓板は、
前記窓保持部に当接するとともに前記座部に固定される窓押え金によって拘束されること
を特徴とする鉄道車両構体。
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