JP2018069479A - 光学用積層ポリエステルフィルムおよびタッチパネル - Google Patents
光学用積層ポリエステルフィルムおよびタッチパネル Download PDFInfo
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Abstract
透明電極基材としてタッチパネルディスプレイに組み込んだ時に紫外線による構成部材、特に粘着材の劣化を十分に低減することができ、ブリードアウトの発生しない積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】
少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、表層の厚みをAμm、中間層に含まれている紫外線吸収剤のフィルム全体に対する含有率をB重量%としたとき、B/Aの比が0.20以上1.0以下であることを特徴とする光学用積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
前述のとおり、粒子は些少とはいえ透明性を減じる可能性があるため、全体の厚みに対する中間層の厚み比率が可能な限り大きい方がより好ましい。また、表層の厚みは縦延伸工程における傷入り緩和に十分な機能を発揮する限り薄ければ薄いほどより好ましい。
また、積層ポリエステルフィルム積層構成が4層以上有する場合、紫外線吸収剤を含有する層を中間層、当該中間層を除く層を表層とみなす。表層が複数層有する場合は、合計の厚みを表層の厚みとみなす。
紫外線吸収剤として用いるベンゾオキサジン系化合物の例としては、2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]が挙げられる。
JIS−K7136に準じ、日本電色工業製濁度計NDH−300Aによりフィルムの内部ヘーズを測定する。
試料フィルムをエポキシ樹脂にて包埋し、ウルトラミクロトームでセクショニングを行ない、得られた薄片を走査型電子顕微鏡にて断面観察を行なう。粒子が密集する領域を表層として厚みを測定し、全体の厚みから各表層の厚みを減じたものを中間層の厚みとする。
分光光度計(島津製作所社製、UV3100)により、スキャン速度を低速、サンプリングピッチを2nm、波長300〜700nm領域で連続的に光線透過率を測定し、波長が360nm,380nmの光線透過率を検出した。
紫外線ロングライフフェードメーター(スガ試験機社製、FAL−3型)を使用し、63±3℃で1000時間紫外線を照射した。試験には積層ポリエステルフィルムの片面に下記の通り調製した粘着剤溶液を塗布、乾燥した後、この面をガラス板に貼り合せたものを用意し、積層ポリエステルフィルム上部から照射した。試験後のフィルムの外観および、粘着層の外観を観察し、以下の基準で評価した。
<フィルム外観の評価基準>
○:劣化なし。
△:やや黄変する。
×:黄変劣化が目立つ。
<粘着層外観の評価基準>
○:劣化なし。
△:やや黄変する。
×:黄変劣化が目立ち、気泡が発生する。
ブチルアクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレートが重量比で100/6/0.1の共重合体からなる重量平均分子量が200万のアクリル系ポリマーの溶液(溶媒:トルエン、濃度:約30重量%)に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製コロネートL)、シランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、酢酸エチルを加え、固形分濃度が10%の粘着剤溶液を調製した。溶液中の固形分換算で、アクリル共重合ポリマー/コロネートL/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=100/3/0.6(重量比)とした。
実施例及び比較例で製造した積層ポリエステルフィルムと、基準試料として紫外線吸収剤を含有しないポリエステルフィルム(三菱樹脂社製、T100、厚み25μm)とをギアーオーブン(エスペック社、GHPS-222)で150℃60分間加熱後、顕微鏡(キーエンス社製、VH-Z250R)にて300倍で観察した。以下の基準で得られたポリエステルフィルムについて評価した。
<評価基準>
○:紫外線吸収剤を含有しないポリエステルフィルムと析出物に差異がない。
△:紫外線吸収剤を含有しないポリエステルフィルムと比較して析出物の量が多い。
×:紫外線吸収剤を含有しないポリエステルフィルムと比較して析出物の量が多く、また析出物が大きい。
・ポリエステルA
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・4水塩0.09重量部を用い、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了した。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間30分重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。重縮合反応開始後、4時間30分を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルAの固有粘度は0.65dL/g、エステル単位の99重量%がエチレンテレフタレート、残りはジエチレングリコールとテレフタル酸を縮合した単位であった。
ポリエステルAをあらかじめ160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、固有粘度が0.78dL/g、エステル単位の99重量%がエチレンテレフタレート、残りはジエチレングリコールとテレフタル酸を重合した単位であるポリエステルBを得た。
エステル交換反応終了後に平均粒径1.5μmの無定形シリカをエチレングリコールスラリーとして添加した以外はポリエステルAと同様にして、固有粘度が0.65dL/g、エステル単位の99重量%がエチレンテレフタレート、残りはジエチレングリコールとテレフタル酸縮合エステル単位であるポリエステルCを得た。シリカの含有率は0.75重量部であった。
ポリエステルAをベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン](CYTEC社製 CYASORB UV−3638 分子量 369 ベンゾオキサジン系)を10重量%濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、紫外線吸収剤マスターバッチポリエステルEを作成した。得られたポリエステルDの固有粘度は0.59dL/gであった。
ポリエステルAとポリエステルDとを85:15の重量比でブレンドした混合原料を中間層の原料とし、ポリエステルBとポリエステルCとを90:10の重量比でブレンドした混合原料を表層の原料とした。それぞれ別の2軸押出機にて溶融し、吐出量比を2:19:2の割合でTダイより共押出した。溶融シートはキャストドラム上でガラス転移温度未満にまで急冷し、未延伸フィルムを得た。引き続きロール延伸機にて82℃で縦方向に3倍延伸を施した。その後、下記塗布液αを両面に塗布し、テンター延伸機にて100℃で横方向に4倍延伸を施し、さらに235℃で熱固定を行った後、ガラス転移温度未満にまで急冷し、厚み23μmのフィルムを得た。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を下記表1に示す。
以下のa、b、c、dの化合物をそれぞれ15:55:5:25の重量比となるように混合した。
・ポリエステル樹脂(a)
下記の組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
・縮合多環式芳香族を有するポリエステル樹脂(b)
下記の組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6−ナフタレンジカルボン酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=92/8//80/20(mol%)
・エポキシ化合物(c)
ポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、デナコールEX−521(ナガセケムテックス株式会社製)
・平均粒径15nmの酸化チタン粒子(d)
ポリエステルBとポリエステルCとを94:6の重量比でブレンドした混合原料を表層の原料として、表層と中間層の吐出量比を4:15:4の割合でTダイより共押出した以外は実施例1と同様にして、厚み23μmのフィルムを得た。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を表1に示す。
ポリエステルAとポリエステルDとを80:20の重量比でブレンドした混合原料を中間層の原料として用いた以外は実施例1と同様にして、厚み23μmのフィルムを得た。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を表1に示す。
ポリエステルAとポリエステルDとを80:20の重量比でブレンドした混合原料を中間層の原料として用いた以外は実施例2と同様にして、厚み23μmのフィルムを得た。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を表1に示す。
中間層の原料をポリエステルA100重量%とした以外は、実施例1と同様にして、厚み23μmのフィルムを得た。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を表1に示す。
ポリエステルAとポリエステルDとを90:10の重量比でブレンドした混合原料を中間層とした以外は実施例2と同様にして、厚み23μmのフィルムを得た。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を表1に示す。
ポリエステルAとポリエステルDとを70:30の重量比でブレンドした混合原料を中間層として用いた以外は実施例1と同様にして、厚み23μmのフィルムを得た。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を表1に示す。
Claims (6)
- 少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、
表層の厚みをAμm、中間層に含まれている紫外線吸収剤のフィルム全体に対する含有率をB重量%としたとき、B/Aの比が0.20以上1.0以下であることを特徴とする光学用積層ポリエステルフィルム。 - 前記表層の厚みが、1.5μm以上である請求項1に記載の光学用積層ポリエステルフィルム。
- 波長380nmにおける光線透過率が18.0%以下、波長360nmにおける光線透過率が5.0%以下である請求項1または2に記載の光学用積層ポリエステルフィルム。
- 全体の厚みが50μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用積層ポリエステルフィルム。
- 前記表層に粒子が含有されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学用積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学用積層ポリエステルフィルムを用いたタッチパネル。
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