JP2018069410A - 学習制御機能を備えたロボット制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロボット制御装置10は、学習補正量を算出する学習制御を行う学習制御部20と、学習制御中に前記ロボット機構部の先端部の位置を記憶する位置記憶部21と、学習制御中に前記ロボット機構部の先端部の速度を記憶する速度記憶部22と、学習制御後にロボット機構部を前記位置指令より動作させている間、学習制御中に記憶されたロボット機構部の先端部の位置や速度に対する誤差から、該先端部の位置や速度が異常状態であるか、又は正常状態であるかを判定し、この判定結果に応じて、前記学習補正量を適用するか否かを切替えるように構成された学習補正量適用判定部25と、を備える。
【選択図】図1
Description
学習制御は、所定の周期で同一パターンの動作を繰返す指令に対し、位置指令値と位置フィードバック値との差である位置偏差をゼロ付近に収束させるための学習補正量を求めるプロセスである。
上述のような一連の処理を同一の移動指令によって所定の試行回数だけ繰返すことにより、上記の第二位置偏差がゼロ付近の所定閾値以下に収束するまで前述の学習補正量は更新され、学習補正量の最良値が求められる。学習補正量の最良値は制御装置内のメモリに保存される。以上の制御プロセスが学習制御と呼ばれるものである。
学習制御が終了した後には、加速度センサは被取付部材の先端点から取外される。学習制御後の通常の制御においては、学習制御の時と同じ移動指令による制御が行われるとともに、前述の学習補正量の最良値が上記の第一位置偏差に適用されることになる。
特許文献1においては、学習制御の際に、加速度センサを被取付部材の先端点に取付けずに、機械モデルを使用して、指令位置に対する被取付部材の先端点の位置誤差を予測することも開示されている。
つまり、学習制御は、所定の周期で同一パターンの移動指令を所定回数繰返してモータ制御回路に入力することを前提としたプロセスである。工作機械の場合、被加工物が取付けられた移動駆動体の軌跡や速度が学習制御時と実際の稼働時とで大きく変わらないので、学習制御を行う意義は大きい。一方、産業用ロボットにおいては、ロボットのツールの移動パターンはロボットの稼働中に生産ライン上の周辺機器と関連して変わることが多い。例えば、ロボットの稼働中に、外部信号の入力待ちの為にツールを待機位置に移動させる必要が生じたり、ロボットが別の動作を行うためにツールの移動パターンが切替わったりすることがある。また、ツールの移動パターンをロボットに教示又は修正するためにユーザが教示操作盤によりロボットを操作することもある。これらの要因により、学習制御後のロボットの実稼働においては、必ずしも学習制御時と全く同じ軌跡や速度でロボットのツールは移動していない。このように学習制御時と軌跡や速度が異なるロボット動作に対して、学習制御により取得された学習補正量を適用すると、ツールの振動が収束されないばかりか、かえって振動が発散してしまう可能性がある。このため、産業用ロボットに対して学習制御技術がほとんど使われていないのが、実状である。
前記ロボット機構部を位置指令により動作させたときの前記ロボット機構部の先端部の位置を補正する学習補正量を算出するための学習制御を行う学習制御部と、
前記学習制御の実施中に前記ロボット機構部の先端部の位置を所定の時間間隔で記憶する位置記憶部と、
前記学習制御の実施中に前記ロボット機構部の先端部の速度を前記所定の時間間隔で記憶する速度記憶部と、
前記学習制御の後に前記ロボット機構部を前記位置指令により動作させている間、前記所定の時間間隔で取得される前記先端部の実際の位置と、該実際の位置に対応する、前記位置記憶部に記憶されている前記先端部の位置との間の位置誤差を算出する位置誤差算出部と、
前記学習制御の後に前記ロボット機構部を前記位置指令により動作させている間、前記所定の時間間隔で取得される前記先端部の実際の速度と、該実際の速度に対応する、前記速度記憶部に記憶されている前記先端部の位置との間の速度誤差を算出する速度誤差算出部と、
前記学習制御の後に前記ロボット機構部を前記位置指令より動作させている間、前記位置誤差及び前記速度誤差に基づき、前記先端部の位置及び速度が異常状態であるか、又は正常状態であるかを判定し、この判定結果に応じて、前記学習補正量を前記先端部の位置に対して適用するか否かを切替えるように構成された学習補正量適用判定部と、
を備えるロボット制御装置が提供される。
さらに、本発明の他の態様によれば、上記の態様のロボット制御装置であって、前記学習補正量適用判定部は、前記位置誤差が所定の第一閾値を超えたか、又は前記速度誤差が所定の第二閾値を超えた場合に、前記先端部の位置又は速度が異常状態であると判定し、前記学習補正量を適用しないように構成された、ロボット制御装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の態様のロボット制御装置であって、前記学習補正量適用判定部は、前記位置誤差が所定の第一閾値以下であり、且つ前記速度誤差が所定の第二閾値以下である場合に、前記先端部の位置及び速度が正常状態であると判定し、前記学習補正量を適用するように構成された、ロボット制御装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の態様のロボット制御装置であって、前記先端部の位置又は速度が前記異常状態であると前記学習補正量適用判定部により判定された場合に、前記先端部の速度を所定の安全速度以下に調節するように構成された速度指令調節部をさらに備える、ロボット制御装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の態様のロボット制御装置であって、前記学習制御部は、前記ロボット機構部に関する複数の異なる動作にそれぞれ対応する複数の前記学習補正量を記憶するように構成された、ロボット制御装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の態様のロボット制御装置であって、前記学習補正量適用判定部は、前記先端部の位置又は速度に対する判定結果を前記正常状態に切替えた時、前記学習制御部に記憶された複数の前記学習補正量のうち、前記正常状態になった前記ロボット機構部の動作に対応する前記学習補正量を適用するように構成された、ロボット制御装置が提供される。
なお、位置検出部13は、位置FBを順変換してロボット機構部の先端部の位置を計算する。また、速度検出部14は、位置検出部13により計算された先端部の位置を微分して速度を算出する。
動作指令部15は、予め作成されたロボット動作プログラムまたは、教示操作盤(図示せず)からの動作指示に従って、ロボットを動作させる指令(位置指令値)を位置制御部16に対して出力する。ロボット動作プログラムは、ロボット制御装置10内のROM等のメモリに記憶されている。
位置制御部16は、動作指令部15から与えられた位置指令値と、パルスコーダ12により検出された位置FBとの差である位置偏差量を処理し、速度制御部17に対して速度指令値を出力する。
速度制御部17は、位置制御部16から与えられた速度指令値と、パルスコーダ12により検出された速度FBとの差である速度偏差量を処理し、電流制御部18に対して電流指令値を出力する。
電流制御部18は、速度制御部17から与えられた電流指令値と、アンプ19からの電流FB(即ち、電流フィードバック値)との差である電流偏差量を処理し、アンプ19に対して電流指令値(トルク指令値)を出力する。
アンプ19は、電流制御部18からそれぞれ電流指令値を受信するとともに、受信した電流指令値に基づいて、サーボモータ11を駆動する駆動電流を生成し、サーボモータ11を回転駆動する。
動作指令部15からの位置指令値に従って、ロボット100の各関節軸に連結されたサーボモータ11を回転駆動させると、ロボット100におけるロボット機構部の先端部に取付けられた作業ツールは指令された位置に移動する。
より具体的には、学習制御部20は、動作指令部15から与えられた位置指令値と、ロボット100におけるロボット機構部の先端部に取り付けたセンサ30により検出された位置との差である位置偏差量をゼロ付近に収束させるための学習補正量を求めるように構成されている。ここで、センサ30は、ロボット100におけるロボット機構部の先端部の位置や変位を監視できる装置であれば何でもよい。そのような装置としては、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、慣性センサ、レーザトラッカ、カメラ、またはモーションキャプチャ装置などの、位置や変位を計測できる装置を適用しうる。なお、学習補正量を求めるときは、センサ30により検出されたロボット機構部の先端部の位置が使用されるが、学習制御の終了後にはセンサ30はロボット機構部の先端部から取外される。さらに、学習制御部20は、所定周期で所定回数繰返される同一の動作指令に対して、その都度学習補正量を更新しながら最良値を求めるように構成されている。学習制御部20の具体的な構成は、特許文献1(例えば図2、図4、図6参照)に記載されている学習制御器と同じであるので、その説明は省略する。
学習制御によるロボット動作を行うに際し、学習制御部20の出力が位置制御部16の入力となるようにスイッチ27が切替えられる。学習制御部20は学習補正量を記憶するメモリ20aを有し、同一の動作指令が繰返される度に、メモリ20a内に学習補正量が書込まれて更新されるようになっている。
一方、学習制御の終了後に、学習制御を実施したときの動作指令でロボット100を実際に動作させるときには、学習制御部20の出力が学習補正量適用判断部25の入力となるようにスイッチ27が切替えられる(図1に示されるスイッチ27の状態)。これにより、メモリ20a内の学習補正量が学習補正量適用判定部25を介して位置制御部16に出力されるようになっている。
速度記憶部22は、学習制御によるロボット動作中、速度検出部14により検出されたロボット機構部の先端部の速度を上記所定の時間間隔Tで記憶する。学習制御の終了後には、学習制御によるロボット動作を行ったときのロボット機構部の先端部の速度データが位置記憶部21内に記憶されていることになる。
さらに、位置誤差算出部23は、位置検出部13から上記所定の時間間隔Tで受信されるロボット機構部の先端部の実際の位置と、該実際の位置に対応する、位置記憶部21に記憶されているロボット機構部の先端部の位置との間の誤差を算出するようになっている。以降、この誤差を位置誤差と呼ぶ。
さらに、速度誤差算出部24は、速度検出部14から上記所定の時間間隔Tで受信されるロボット機構部の先端部の実際の速度と、該実際の速度に対応する、速度記憶部22内に記憶されているロボット機構部の先端部の速度との間の誤差を算出するようになっている。以降、この誤差を速度誤差と呼ぶ。
このため、位置検出部13の出力部には、学習制御時に位置検出部13の出力先を位置記憶部21に設定し、学習制御後のロボット100の実際の動作時には位置検出部13の出力先を位置誤差算出部23に設定するためのスイッチ28が設けられている。速度検出部14の出力部にも、学習制御時に速度検出部14の出力先を速度記憶部22に設定し、学習制御後のロボット100の実際の動作時には速度検出部14の出力先を速度誤差算出部24に設定するためのスイッチ29が設けられている。学習制御後のロボット100の実際の動作中、スイッチ28及びスイッチ29は、図1に示された状態になっている。
本明細書でいう「異常」とは、学習制御後のロボット100の実際の動作中におけるロボット機構部の先端部の位置や速度が、学習制御を実施したときのロボット機構部の位置や速度に対して所定の閾値範囲を超えて異なっていることを意味する。「正常」とは、「異常」でない状態のことである。
また、学習補正量適用判定部25は、ロボット機構部の先端部の位置及び速度のいずれも正常状態であると判定した場合には、学習制御部20のメモリ20aに記憶されている学習補正量を位置制御部16に対して出力するように構成されている。より具体的には、ロボット機構部の先端部に関する位置誤差及び速度誤差のいずれも予め定められた閾値以下である場合には、学習補正量適用判定部25は、異常は発生していないと判定し、学習補正量の適用を行うようにする。
要するに、ロボット100の実際の動作におけるロボット機構部の先端部の位置や速度が学習制御時の位置や速度と比べて異常状態であるか、又は正常状態であるかを判定し、異常状態の場合には学習補正量を前述の位置偏差量に適用する。正常状態の場合には学習補正量を前述の位置偏差量に適用する。
このような学習補正量適用判定部25は、前述したロボット機構部の先端部の位置及び速度のそれぞれに関する異常の有無を判定するための閾値を設定する設定部(図示せず)を備え、それらの閾値をロボット制御装置10外から書換えられることが好ましい。
より具体的には、学習補正量適用判定部25は、ロボット機構部の先端部の位置及び速度が異常状態であると判定した時、異常が発生した旨の信号(以下、異常検出信号と呼ぶ。)を速度指令調節部26に出力する。速度指令調節部26は、異常検出信号を受信している時のみ、位置制御部16からの速度指令値を所定の割合で減少させ、減少させた速度指令値を速度制御部17に対して出力する。これにより、ロボット機構部の先端部の速度(サーボモータ11の回転速度)が所定の安全速度以下に低下する。一方、異常検出信号が出力されていない間は、位置制御部16からの速度指令値を減少させる調節は行われない。
なお、このような速度指令調節部26は、本発明のロボット制御装置に対し、必ずしも備えられていなくてもよい。
図2は、本実施形態のロボット制御装置10の処理フローの主要部を説明するための図である。以下、図1及び図2を参照しながら、本実施形態のロボット制御装置10の動作を説明する。
学習制御中は、動作指令部15からの位置指令値とパルスコーダ12からの位置FBとの差である位置偏差量、及び位置検出部13による検出位置が学習制御部20に入力され、学習制御部20内で学習補正量が求められて位置制御部16に対して出力される。さらに、動作指令部15から同一の動作指令が繰返される度に、学習制御部20のメモリ20a内に学習補正量が書込まれて更新される。
位置誤差算出部23は、位置検出部13から上記所定の時間間隔Tで受信されるロボット機構部の先端部の実際の位置と、該実際の位置に対応する、位置記憶部21に記憶されているロボット機構部の先端部の位置との間の位置誤差を算出する(図2のステップS11)。
この判定処理の結果、学習補正量の適用が無効の状態でなければ、学習補正量適用判定部25は、位置制御部16に対する学習補正量の適用を無効の状態に切替える(図2のステップS14)。
このステップS14の後や、上記ステップS13において学習補正量の適用が無効の状態になっていると判定された後は、上記ステップS12から次の判定結果が出るまで、前述したステップS13及びステップS14の処理は行われない。
ステップS15においては、速度誤差算出部24は、速度検出部14から上記所定の時間間隔Tで受信されるロボット機構部の先端部の実際の速度と、該実際の速度に対応する、速度記憶部22内に記憶されているロボット機構部の先端部の速度との間の速度誤差を算出する。
速度誤差算出部24が速度検出部14からロボット機構部の先端部の速度を受信する時刻及びタイミングは、前述した位置誤差算出部23が位置検出部13からロボット機構部の先端部の位置を受信する時刻及びタイミングと同じである。
一方、上記のステップS16において、前述したロボット機構部の先端部に関する速度誤差が上記所定の第二閾値以下であると学習補正量適用判定部25により判定された場合には、図2のステップS17が行われる。
上記ステップS17においては、学習補正量適用判定部25は、速度が正常状態であると判定するとともに、位置制御部16に対する学習補正量の適用が有効の状態になっているか否かを判定する。この判定の結果、学習補正量の適用が有効の状態でなければ、学習補正量適用判定部25は、位置制御部16に対する学習補正量の適用を有効の状態に切替える(図2のステップS18)。
このステップS18の後や、上記ステップS17において学習補正量の適用が有効の状態になっていると判定された後は、上記ステップS16から次の判定結果が出るまで、前述したステップS17及びステップS18の処理は行われない。
図2のステップS12での判定結果が「YES」の場合、すなわち、位置誤差算出部23により算出された位置誤差が上記所定の第一閾値を超えた場合には、学習補正量適用判定部25は、位置が異常状態であると判定する(図3のステップS21)。さらに、前述したステップS16での判定結果が「YES」の場合、すなわち、速度誤差算出部24により算出された速度誤差が上記所定の第二閾値を超えた場合にも、学習補正量適用判定部25は、速度が異常状態であると判定する(図3のステップS21)。
学習補正量適用判定部25は、前述のように位置又は速度が異常状態であると判定すると、位置制御部16に対する学習補正量の適用を無効の状態に切替える(図3のステップS22)。これにより、学習補正量適用判定部25は、位置が異常状態であると判定している間は、学習制御部20のメモリ20aに記憶されている学習補正量を位置制御部16に対して出力しなくなる。例えば、学習補正量適用判定部25は、位置制御部16に出力する学習補正量をゼロに設定する(図3のステップS23)。
前述したステップS23及びステップS24の順番は逆でもよい。
図2のステップS12での判定結果が「NO」の場合、すなわち、位置誤差算出部23により算出された位置誤差が上記所定の第二閾値以下である場合、学習補正量適用判定部25は、位置が正常状態であると判定する(図4のステップS31)。さらに、前述したステップS17での判定結果が「NO」の場合、すなわち、速度誤差算出部24により算出された速度誤差が上記所定の第二閾値以下である場合、学習補正量適用判定部25は、速度が正常状態であると判定する(図4のステップS31)。
学習補正量適用判定部25は、前述のように位置と速度が正常状態であると判定すると、位置制御部16に対する学習補正量の適用を有効の状態に切替える(図4のステップS32)。これにより、学習補正量適用判定部25は、位置と速度が正常状態であると判定している間、学習制御部20のメモリ20aに記憶されている学習補正量を位置制御部16に対して出力する。つまり、学習補正量適用判定部25は、メモリ20a内の学習補正量を前述の位置偏差量に適用する(図4のステップS33)。
前述したステップS33及びステップS34の順番は逆でもよい。
例えば、学習制御において、図5に点線Xにより示されるように、ロボット機構部の先端部が位置P1から所定の距離だけ直線移動したら曲線移動し、さらに直線移動して位置P3へ到達するように、ロボット100の動作が実施されたとする。
上記の学習制御後に生産ラインにて実際にロボット100を動作させたとき、ロボット100の近くに設置されている周辺機器や別のロボットなどとの干渉を避けるためにインターロック機能が働くことがある。学習制御は、一般にロボット100の近くに設置された周辺機器などの動作を考慮しないで実施されるが、実際に生産ラインが稼働すると、ロボット100の近くの周辺機器や別のロボットがロボット100の動作に関連して動くからである。
インターロック機能が働いた場合、例えば、ロボット100におけるロボット機構部の先端部は、図5に示される位置P2(待機位置)に移動して待機し、インターロック解除信号の受信後に位置P3に向けて移動する。このため、ロボット機構部の先端部は、学習制御時とは異なる位置軌跡、図5に実線Yにより示されるように位置P1から位置P2を経て位置P3に移動するような軌跡を描くことになる。
ロボット機構部の先端部の位置軌跡が学習制御時と一致していないロボット100の実際の動作制御に、学習制御により取得された学習補正量を適用すると、ロボット機構部の先端部に振動や揺れが発生しまうことがある。
そのため、本実施形態のロボット制御装置10は、ロボット機構部の先端部の実際の位置軌跡が、学習制御を実施したときのロボット機構部の先端部の位置軌跡から大きく異なった場合には、異常が発生したと判定し、学習補正量の適用を行わないようにしている。また、ロボット機構部の先端部の実際の位置軌跡が、学習制御を実施したときのロボット機構部の先端部の位置軌跡と一致するように復帰すれば、学習補正量の適用を再開するようにしている。
例えば、作業者が、ロボット制御装置10に予め記憶されたロボット機構部の先端部の位置及び軌跡の一部を、実際の生産現場の状況に応じて教示操作盤により修正することがある。この場合、生産ラインにて実際にロボット100を動作させたときのロボット機構部の先端部の軌跡は、事前に学習制御を実施したときのロボット機構部の先端部の軌跡から変わってしまう。
その他に、次のような要因もある。例えば、車体を製造するためのスポット溶接作業をロボット100により行う場合、生産ラインに設置されたロボット100に送られてくる車体の種類が変わると溶接位置も変わる。このため、ロボット100に取付けられた溶接ガンの移動パターン(軌跡)を変える必要が生じる。この場合、これまでの移動パターンが別の移動パターンに切替わるためのロボット動作が必要となる。このような動作の分岐点においては、学習制御時と同じ移動パターン(軌跡)でロボット100を動作させられなくなることがある。
本実施形態のロボット制御装置10は、このような要因により実際の移動パターンが学習制御時の移動パターンから外れてしまう状況に対して適用しうるものである。
前述したような車体のスポット溶接作業をロボット100により行う場合、一般に、複数の車種に応じて、ロボット100の溶接ガンの複数の移動パターンがロボット100の動作プログラムに記述されている。このような複数の移動パターンの動作をロボット制御装置10によりロボット100に実行させる場合について以下に説明する。
このような複数の移動パターンの各々についても事前に学習制御を実施することより、移動パターン毎の学習補正量を取得して学習制御部20のメモリ20aに記憶しておくことが好ましい。
例えば、図6は、前述した複数の移動パターンの各々に関する学習制御を実施するプログラム部分を含むロボット動作プログラムの一例を示した図である。図6に示されるように、複数のロボット動作(LP[1] FINE SPOT、LP[2] CNT100など)がロボット動作プログラム内に記述されている。それらロボット動作のうち、学習制御の対象とするロボット動作が、学習開始命令(LVC START[1])と学習終了命令(LVC END[1])とにより囲まれている。
以上の事により、各々のロボット動作のインデックス番号と、各々のロボット動作の学習制御において取得された学習補正量と、各々のロボット動作の学習制御において取得されたロボット機構部の先端部の位置データ(軌跡データ)とが互いに紐付けられるようになる。
このため、現在行われているロボット動作のインデックス番号や、現在のロボット動作におけるロボット機構部の先端部の位置が分かれば、そのロボット動作におけるロボット機構部の先端部の位置に対応する学習補正量を特定することができる。
ロボット100による実際の生産作業において、図6に示されたインデックス番号(1)のロボット動作からインデックス番号(2)のロボット動作に切替わるとする。
ロボット制御装置10はロボット動作プログラムにおけるインデックス番号(2)のロボット動作を実行したことを認識しているので、位置記憶部21に記憶されている、インデックス番号(2)に対応する学習制御時の位置データ(軌跡データ)を使用する。
インデックス番号(2)のロボット動作はインデックス番号(1)のロボット動作とは異なる。このため、インデックス番号(2)のロボット動作に切替わる過程において、ロボット機構部の先端部の位置に異常が発生したと学習補正量適用判定部25により判定される。この場合、図2や図3を参照して既に説明したように、学習補正量の適用が無効の状態となる(図2のステップS14及び図3のステップS22を参照)。
このとき、ロボット制御装置10はインデックス番号(2)のロボット動作を実行したことを認識しているので、現在行われているロボット動作のインデックス番号(2)を取得できる。一方、正常状態となったロボット動作におけるロボット機構部の先端部の位置は、位置検出部13から取得されうる。
さらに、図7のステップS44において、ロボット制御装置10の学習補正量適用判定部25は、正常状態となったロボット動作におけるロボット機構部の先端部の位置に対し、特定した学習補正量を適用する。
上述の処理フローによれば、学習制御後に実際に動作させたロボット機構部の先端部の位置が異常状態から正常状態に復帰すると、正常状態となったロボット動作におけるロボット機構部の先端部の位置に対し、そのロボット動作に対応する学習補正量が適用される。これにより、前述のようにインデックス番号(2)のロボット動作に切替わったとき、該ロボット動作に合った学習補正量を迅速に適用することができる。
11 モータ
12 パルスコーダ
13 位置検出部
14 速度検出部
15 動作指令部
16 位置制御部
17 速度制御部
18 電流制御部
19 アンプ
20 学習制御部
20a メモリ
21 位置記憶部
22 速度記憶部
23 位置誤差算出部
24 速度誤差算出部
25 学習補正量適用判定部
26 速度指令調節部
27〜29 スイッチ
30 センサ
100 ロボット
Claims (6)
- サーボモータ(11)により駆動されるロボット機構部の動作を制御するロボット制御装置(10)であって、
前記ロボット機構部を位置指令により動作させたときの前記ロボット機構部の先端部の位置を補正する学習補正量を算出するための学習制御を行う学習制御部(20)と、
前記学習制御の実施中に前記ロボット機構部の先端部の位置を所定の時間間隔で記憶する位置記憶部(21)と、
前記学習制御の実施中に前記ロボット機構部の先端部の速度を前記所定の時間間隔で記憶する速度記憶部(22)と、
前記学習制御の後に前記ロボット機構部を前記位置指令により動作させている間、前記所定の時間間隔で取得される前記先端部の実際の位置と、該実際の位置に対応する、前記位置記憶部(21)に記憶されている前記先端部の位置との間の位置誤差を算出する位置誤差算出部(23)と、
前記学習制御の後に前記ロボット機構部を前記位置指令により動作させている間、前記所定の時間間隔で取得される前記先端部の実際の速度と、該実際の速度に対応する、前記速度記憶部(22)に記憶されている前記先端部の位置との間の速度誤差を算出する速度誤差算出部(24)と、
前記学習制御の後に前記ロボット機構部を前記位置指令より動作させている間、前記位置誤差及び前記速度誤差に基づき、前記先端部の位置及び速度が異常状態であるか、又は正常状態であるかを判定し、この判定結果に応じて、前記学習補正量を前記先端部の位置に対して適用するか否かを切替えるように構成された学習補正量適用判定部(25)と、
を備えるロボット制御装置(10)。 - 前記学習補正量適用判定部(25)は、前記位置誤差が所定の第一閾値を超えたか、又は前記速度誤差が所定の第二閾値を超えた場合に、前記先端部の位置又は速度が異常状態であると判定し、前記学習補正量を適用しないように構成された、請求項1に記載のロボット制御装置(10)。
- 前記学習補正量適用判定部(25)は、前記位置誤差が所定の第一閾値以下であり、且つ前記速度誤差が所定の第二閾値以下である場合に、前記先端部の位置及び速度が正常状態であると判定し、前記学習補正量を適用するように構成された、請求項2に記載のロボット制御装置(10)。
- 前記先端部の位置又は速度が前記異常状態であると前記学習補正量適用判定部(25)により判定された場合に、前記先端部の速度を所定の安全速度以下に調節するように構成された速度指令調節部(26)をさらに備える、請求項1または2に記載のロボット制御装置(10)。
- 前記学習制御部(20)は、前記ロボット機構部に関する複数の異なる動作にそれぞれ対応する複数の前記学習補正量を記憶するように構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載のロボット制御装置(10)。
- 前記学習補正量適用判定部(25)は、前記先端部の位置又は速度に対する判定結果を前記正常状態に切替えた時、前記学習制御部(20)に記憶された複数の前記学習補正量のうち、前記正常状態になった前記ロボット機構部の動作に対応する前記学習補正量を適用するように構成された、請求項5に記載のロボット制御装置(10)。
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