JP2018069253A - アーク溶接方法及びアーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接方法及びアーク溶接装置 Download PDF

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Abstract

【課題】埋もれアーク溶接において、溶接電流を周期的に変動させることによって埋もれ空間を安定的に維持しつつ、溶接電流の変動による溶接状態の不安定化を抑制することができるアーク溶接方法及びアーク溶接装置を提供する。【解決手段】母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給すると共に、溶接電源から溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、溶接ワイヤの先端部及び被溶接部間にアークを発生させ、先端部及び被溶接部間に発生したアークによって母材に形成された凹状の溶融部分によって囲まれる空間に先端部を進入させて母材を溶接する際、溶接電流を変動させることによって、溶接ワイヤの先端部が空間に深く進入した第1状態と、空間に浅く進入した第2状態とを周期的に変動させ、溶接電流の変動に同期して溶接電源のインダクタンスを変動させる。【選択図】図4

Description

本発明は、消耗電極式のアーク溶接方法及びアーク溶接装置に関する。
溶接方法の一つに、消耗電極式のガスシールドアーク溶接法がある。ガスシールドアーク溶接法は、母材の被溶接部に送給された溶接ワイヤと、母材との間にアークを発生させ、アークの熱によって母材を溶接する手法であり、特に高温になった母材の酸化を防ぐために、不活性ガスを溶接部周辺に噴射しながら溶接を行うものである。5mm程度の薄板であれば、母材の突き合わせ継手を1パスで溶接することもできる。
また、一般的なガスシールドアーク溶接法に比して、高速で溶接ワイヤの送給を行い、大電流を供給することによって、9〜30mmの厚板の1パス溶接を実現する技術がある。具体的には、溶接ワイヤを約5〜100m/分で送給し、300A以上の大電流を供給することによって、厚板の1パス溶接を実現することができる。溶接ワイヤの高速送給及び大電流供給を行うと、アークの熱によって母材に凹状の溶融部分が形成され、溶接ワイヤの先端部が溶融部分によって囲まれた空間に進入する。溶接ワイヤの先端部が母材表面より深部に進入することによって、溶融部分が母材の厚み方向裏面側にまで貫通し、1パス溶接が可能になる。以下、凹状の溶融部分によって囲まれる空間を埋もれ空間と呼び、埋もれ空間に進入した溶接ワイヤの先端部と、母材又は溶融部分との間に発生するアークを、適宜、埋もれアークと呼ぶ。
更に、ガスシールドアーク溶接において、溶接電源のインダクタンス及び外部特性は、溶接状態の安定性を左右するものであり、溶接法等に応じて最適なインダクタンス及び外部特性を電子的な制御によって実現する技術がある(例えば、特許文献1)。
特許第5186227号公報
一方、本願発明者等は、埋もれアーク溶接において、溶接電流を周期的に変動させることにより、埋もれ空間を安定的に維持することができることを見出した。溶接電流は、例えば定電圧特性電源の設定電圧を周期的に変動させることによって変動させることができる。通常、アークの熱によって溶融した母材及び溶接ワイヤの溶融金属は、埋もれ空間が閉口し、溶接ワイヤの先端部が埋没される方向へ流れる。溶接ワイヤの先端部が閉口した溶融部分に接触して短絡すると、溶接が著しく不安定化する。しかし、溶接電流を周期的に変動させると、埋もれ空間に進入した溶接ワイヤの先端部の位置が電流変動1周期の中で上下移動する。ワイヤ先端位置が高い状態においては、アークが溶融部分の側部に照射され、当該アークの力によって溶融部分の閉口が抑制される。このように、溶接電流を周期的に変動させることにより、埋もれ空間を安定的に維持することができる。
しかしながら上記方法においては、埋もれ空間におけるワイヤ先端位置が低い状態と、高い状態との間で状態遷移が繰り返されるが、各状態又は状態遷移を安定化させるのに適したインダクタンスも変動するため、一定のインダクタンスを用いた溶接制御では、埋もれ空間を維持することができても、溶接状態が必ずしも安定しないおそれがあった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、埋もれアーク溶接において、溶接電流を周期的に変動させることによって埋もれ空間を安定的に維持しつつ、溶接電流の変動による溶接状態の不安定化を抑制することができるアーク溶接方法及びアーク溶接装置を提供することにある。
本発明に係るアーク溶接方法は、母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給すると共に、溶接電源から該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び被溶接部間にアークを発生させ、前記先端部及び被溶接部間に発生したアークによって前記母材に形成された凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接方法であって、前記溶接電流を変動させることによって、前記溶接ワイヤの前記先端部が前記空間に深く進入した第1状態と、前記空間に浅く進入した第2状態とを周期的に変動させ、前記溶接電流の変動に同期して前記溶接電源のインダクタンスを変動させる。
本発明にあっては、溶接ワイヤの先端部は、凹状の溶融部分で囲まれる埋もれ空間に進入し、埋もれアークが発生する。具体的には、溶接ワイヤの先端部は溶融部分に囲まれた状態となり、溶接電流を周期的に変動させることにより、埋もれ空間におけるワイヤ先端位置を上下させることができ、先端部と、溶融部分の底部及び側部との間にアークが発生する。
第1状態においては、溶接ワイヤの先端部が埋もれ空間に深く進入し、溶融部分の底部に照射されるアークによって、深い溶け込みが得られる。
アークの熱によって溶融した母材及び溶接ワイヤの溶融金属は、埋もれ空間が閉口し、溶接ワイヤの先端部が埋没される方向へ流れようとするが、第2状態においては、溶接ワイヤの先端部が埋もれ空間に浅く進入し、溶融部分の側部に照射されるアークの力によって溶融部分が支えられるため、埋もれ空間は安定した状態で維持される。
また、溶接電流の変動に同期して溶接電源のインダクタンスを周期的に変動させる。一般的に、インダクタンスが小さい程、アーク長の自己制御作用が強く働き、外乱によるアーク長の変化に対する溶接電流の変動が大きくなる。逆に、インダクタンスが大きい程、外乱によるアーク長の変化に対する溶接電流の変動は小さくなり、アーク長の自己制御作用は小さくなる。
溶接電源のインダクタンスを、第1状態及び第2状態、又は各状態間の遷移状態に適した値とすることにより、溶接状態をより効果的に安定化させることができる。
本発明に係るアーク溶接方法は、前記溶接電流を増大させる場合、前記インダクタンスを増大させ、前記溶接電流を減少させる場合、前記インダクタンスを減少させる。
本発明にあっては、溶接電流が小さい第1状態においては、インダクタンスの値が小さく、アーク長の自己制御作用が強く働く。このため、溶接ワイヤの先端部の位置を精度良く制御することができる。従って、溶接ワイヤの先端部が溶融部分に接触する等して、溶接状態が不安定化することを回避することができる。
一方、溶接電流が大きい第2状態においては、インダクタンスの値が大きく、外乱による溶接電流の変動を抑えることができる。従って、外乱による溶接電流の乱れを抑えることによって、外乱による溶融池の波打ちを抑え、溶接状態が不安定化することを回避することができる。
このように溶接電流の変動による不安定化を効果的に抑えることができる。
本発明に係るアーク溶接方法は、前記溶接ワイヤを送給する速度は一定であり、前記溶接電源は定電圧特性を有し、前記溶接電源の設定電圧を周期的に変動させることによって、前記溶接電流を周期的に変動させ、前記溶接電源の設定電圧を第1電圧に設定する場合、前記インダクタンスを第1所定値に設定し、前記溶接電源の設定電圧を第1電圧よりも高い第2電圧に設定する場合、前記インダクタンスを第1所定値よりも大きい第2所定値に設定する。
本発明にあっては、溶接ワイヤを定速で送給し、定電圧特性を有する溶接電源の設定電圧を変動させることによって、溶接電流を変動させ、埋もれ空間におけるワイヤ先端位置を上下させることができる。
そして、溶接電源の設定電圧として低い第1電圧を設定する場合、インダクタンスの値を小さな第1所定値とし、溶接電源の設定電圧として高い第2電圧を設定する場合、インダクタンスの値を大きな第2所定値とする。このように溶接電源の設定電圧の切り替えと共にインダクタンスの値を切り替える簡単な制御で、第1状態におけるアーク長の自己制御作用を増大させ、第2状態における溶接電流の乱れを小さくすることができる。
本発明に係るアーク溶接方法は、前記溶接電源が供給する前記溶接電流を制御することによって、前記インダクタンスを電子的に変動させる。
本発明にあっては、溶接電流が大電流で、かつ高周波数で変動する場合であっても、溶接電流の変動に同期して、溶接電源のインダクタンスを電子的に変動させることができる。
本発明に係るアーク溶接方法は、前記溶接電流の周波数が10Hz以上1000Hz以下、平均電流が300A以上になるように、該溶接電流を変動させる。
本発明にあっては、平均電流300A以上の溶接電流が溶接ワイヤに供給され、埋もれアークが発生する。埋もれアークによって母材に形成された凹状の溶融金属は波打ち、溶接状態が不安定化するおそれがある。しかし、本発明では、溶接電流を10Hz以上1000Hz以下の周波数で変動させることにより、溶融金属の大きな波打ち周期よりも高周波数で溶融金属を微振動させ、当該波打ちを抑えることができる。従って、溶接状態をより効果的に安定化させることができる。
本発明に係るアーク溶接装置は、母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給するワイヤ送給部と、該溶接ワイヤに溶接電流を供給する電源部とを備え、前記溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び被溶接部間にアークを発生させ、前記先端部及び被溶接部間に発生したアークによって前記母材に形成された凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接装置であって、前記溶接電流を変動させることによって、前記溶接ワイヤの前記先端部が前記空間に深く進入した第1状態と、前記空間に浅く進入した第2状態とを周期的に変動させる状態変動部と、前記溶接電流の変動に同期して前記電源部のインダクタンスを変動させるインダクタンス変動部とを備える。
本発明にあっては、上記の通り、溶接電流を周期的に変動させることによって、埋もれ空間を安定した状態で維持しつつ、深い溶け込みが得られ、しかも溶接電流の変動による溶接状態の不安定化を抑制することができる。
本発明によれば、埋もれアーク溶接において、溶接電流を周期的に変動させることによって埋もれ空間を安定的に維持しつつ、溶接電流の変動による溶接状態の不安定化を抑制することができるアーク溶接方法及びアーク溶接装置を提供することにある。
本実施形態1に係るアーク溶接装置の一構成を示す模式図である。 本実施形態1に係るアーク溶接方法の手順を示すフローチャートである。 溶接対象の母材を示す側断面図である。 インダクタンス設定信号及び溶接電流の変動を示すグラフである。 本実施形態に係るアーク溶接方法を示す模式図である。 設定電圧及びインダクタンス設定値の変動を示すグラフである。 インダクタンス設定値の変動による溶接電流の増減態様を示すグラフである。 埋もれアークを実現する溶接電流及び電圧の条件を示すグラフである。 ワイヤ径及びワイヤ突出し長さと、埋もれアークを実現する溶接電流及び電圧の条件との関係を示す概念図である。 ワイヤ径1.6mm、溶接ワイヤの突出し長さ25mmの場合において埋もれアークを実現する溶接電流及び電圧の条件の一例を示すグラフである。 埋もれアーク溶接の実験結果を写真で示す図表である。 埋もれアーク溶接の実験結果を模式図で示す図表である。
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施形態に係るアーク溶接装置の一構成を示す模式図である。本実施形態に係るアーク溶接装置は、板厚が9〜30mmの母材4を1パスで突き合わせ溶接することが可能な消耗電極式のガスシールドアーク溶接機であり、溶接電源1、トーチ2及びワイヤ送給部3を備える。
トーチ2は、銅合金等の導電性材料からなり、母材4の被溶接部へ溶接ワイヤ5を案内すると共に、アーク7(図5参照)の発生に必要な溶接電流Iを供給する円筒形状のコンタクトチップを有する。コンタクトチップは、その内部を挿通する溶接ワイヤ5に接触し、溶接電流Iを溶接ワイヤ5に供給する。また、トーチ2は、コンタクトチップを囲繞する中空円筒形状をなし、被溶接部へシールドガスを噴射するノズルを有する。シールドガスは、アーク7によって溶融した母材4及び溶接ワイヤ5の酸化を防止するためのものである。シールドガスは、例えば炭酸ガス、炭酸ガス及びアルゴンガスの混合ガス、アルゴン等の不活性ガス等である。
溶接ワイヤ5は、例えばソリッドワイヤであり、その直径は0.9mm以上1.6mm以下であり、消耗電極として機能する。溶接ワイヤ5は、例えば、螺旋状に巻かれた状態でペールパックに収容されたパックワイヤ、あるいはワイヤリールに巻回されたリールワイヤである。
ワイヤ送給部3は、溶接ワイヤ5をトーチ2へ送給する送給ローラと、当該送給ローラを回転させるモータとを有する。ワイヤ送給部3は、送給ローラを回転させることによって、ペールパック又はワイヤリールから溶接ワイヤ5を引き出し、引き出された溶接ワイヤ5をトーチ2へ定速で供給する。溶接ワイヤ5の送給速度は、例えば、約5〜100m/分である。なお、かかる溶接ワイヤ5の送給方式は一例であり、特に限定されるものでは無い。
溶接電源1は、給電ケーブルを介して、トーチ2のコンタクトチップ及び母材4に接続され、溶接電流Iを供給する電源部11と、溶接ワイヤ5の送給速度を制御する送給速度制御部12とを備える。なお、電源部11及び送給速度制御部12を別体で構成しても良い。電源部11は、定電圧特性の電源であり、PWM制御された直流電流を出力する電源回路11a、電流設定変化量算出回路11b、電流設定積分回路11c、差分増幅回路11d、出力電圧設定回路11e、インダクタンス設定回路11f、外部特性設定回路11g、周波数設定回路11h、電流振幅設定回路11i、平均電流設定回路11j、電圧検出部11l及び電流検出部11kを備える。
電圧検出部11lは、溶接電圧Vを検出し、検出した電圧値を示す電圧値信号Vdを電流設定変化量算出回路11bへ出力する。
電流検出部11kは、例えば、溶接電源1からトーチ2を介して溶接ワイヤ5へ供給され、アーク7を流れる溶接電流Iを検出し、検出した電流値を示す電流値信号Idを電流設定変化量算出回路11b及び差分増幅回路11dへ出力する。
周波数設定回路11hは、母材4及び溶接ワイヤ5間の溶接電圧V及び溶接電流Iを周期的に変動させる周波数を設定するための周波数設定信号を出力電圧設定回路11eへ出力する。本実施形態に係るアーク溶接方法を実施する場合、周波数設定回路11hは、10Hz以上1000Hz以下の周波数、好ましくは50Hz以上300Hz以下の周波数、より好ましくは80Hz以上200Hz以下の周波数を示す周波数設定信号を出力する。
電流振幅設定回路11iは、周期的に変動する溶接電流Iの振幅を設定するための振幅設定信号を出力電圧設定回路11eへ出力する。本実施形態に係るアーク溶接方法を実施する場合、電流振幅設定回路11iは、50A以上の電流振幅、好ましくは、100A以上500A以下の電流振幅、より好ましくは200A以上400A以下の電流振幅を示す振幅設定信号を出力する。
平均電流設定回路11jは、周期的に変動する溶接電流Iの平均電流を設定するための平均電流設定信号を出力電圧設定回路11eへ出力する。本実施形態に係るアーク溶接方法を実施する場合、平均電流設定回路11jは、300A以上の平均電流、好ましくは平均電流を300A以上1000A以下の平均電流、より好ましくは500A以上800A以下の平均電流を示す平均電流設定信号を出力する。
出力電圧設定回路11eは、定電圧特性を有する溶接電源1の設定電圧を示した出力電圧設定信号Erを電流設定変化量算出回路11bへ出力する回路である。出力電圧設定回路11eは、各部から出力された周波数設定信号、振幅設定信号、平均電流設定信号に基づいて、目標とする周波数、電流振幅及び平均電流で溶接電流Iを周期的に変動させるための任意波形の出力電圧設定信号Erを生成し、生成した出力電圧設定信号Erを電流設定変化量算出回路11bへ出力する。出力電圧設定信号Erは、例えば矩形波状の信号である。
インダクタンス設定回路11fは、出力電圧設定信号Erの変動に同期して変動するインダクタンスを示したインダクタンス設定信号Lrを電流設定変化量算出回路11bへ出力する。インダクタンス設定信号Lrは、例えば、矩形波状の信号であり、出力電圧設定信号Erと同相の信号を出力する。つまり、出力電圧設定回路11eから出力される矩形波の出力電圧設定信号Erがローレベルであるとき、インダクタンス設定回路11fは、ローレベルのインダクタンス設定信号Lrを出力し、出力電圧設定信号Erがハイレベルであるとき、インダクタンス設定回路11fは、ハイレベルのインダクタンス設定信号Lrを出力する(図4参照)。
外部特性設定回路11gは、外部特性の傾きを示す外部特性傾き設定信号Rrを電流設定変化量算出回路11bへ出力する。本実施形態では、外部特性傾き設定信号Rrは一定レベルの信号である。
電流設定変化量算出回路11b、電流設定積分回路11c及び差分増幅回路11dは、溶接電源1のインダクタンスを電子的に変動させるための回路である。
インダクタンスの電子制御について説明する。
溶接電源1の通電経路には、電気抵抗R及びリアクトルLが存在する。電気抵抗Rの抵抗値Rmは、溶接電源1の内部の配線及び外部の給電ケーブル等に起因する固定分の抵抗値を含めた電子的に形成される抵抗値である。リアクトルLのインダクタンス値Lmは、溶接電源1の内部に設けられたコイル及び給電ケーブルの引き回しに起因する固定分のインダクタンス値を含めた電子的に形成されるインダクタンス値である。通常、抵抗値Rmは0.01〜0.3Ω、インダクタンス値Lmは20〜500μHである。
図1に示す溶接電源1は、電源回路11aに電気抵抗R、リアクトルL、並びにトーチ2及び母材4が直列接続された回路と等価であり、トーチ2及び母材4における降下電圧を溶接電圧Vとすると、電源回路11aの出力電圧は、下記式を満たす。
E=Rm・i+Lm・di/dt+v・・・(1)
但し、
E:電源回路11aの出力電圧
Rm:電気抵抗Rの抵抗値
Lm:リアクトルLのインダクタンス値
i:溶接電流Iの値
v:溶接電圧Vの値
t:時間
上記式(1)を整理すると、下記式(2)となる。
di/dt=(E−v−Rm・i)/Lm・・・(2)
上記式(2)の両辺を積分すると、下記式(3)となる。
i=∫{(E−v−Rm・i)/Lm}・dt・・・(3)
ここで、上記式(3)の左辺の電流値iを、電源回路11aの出力を制御するための溶接電流制御設定値(Irc)に、出力電圧Eを、出力電圧設定値(Er)に、右辺の電流値iを、検出された溶接電流Iの電流値(Id)に、電圧値vを、検出された溶接電圧Vの電圧値(Vd)に、抵抗値(Rm)を外部特性傾き設定値(Rr)、インダクタンス値(Lm)を、インダクタンス設定値(Lr)にそれぞれ置換すると、上記式(3)は、下記式(4)で表される。
Irc=∫{(Er−Vd−Rr・Id)/Lr}・dt・・・(4)
但し、
Irc:溶接電流制御設定値
Er:出力電圧設定値
Rr:外部特性傾き設定値
Lr:インダクタンス設定値
Vd:溶接電圧Vの検出値
Id:溶接電流Iの検出値
電流設定変化量算出回路11bは、上記各回路から出力され、入力された電圧値信号Vd、電流値信号Id、出力電圧設定信号Er、外部特性傾き設定信号Rr及びインダクタンス設定信号Lrに基づいて、電流設定値の単位時間当たりの変化量(Er−Vd−Rr・Id)/Lrを算出し、当該変化量を示す電流設定変化量信号ΔIrを電流設定積分回路11cへ出力する。
電流設定積分回路11cは、電流設定変化量算出回路11bから出力され、入力された電流設定変化量信号ΔIrを積分し、積分して得た溶接電流制御設定信号Ircを差分増幅回路11dへ出力する。溶接電流制御設定信号Ircが示す溶接電流Iの設定値は、上記式(4)で表される。
以上の通り、電流設定変化量算出回路11b及び電流設定積分回路11cは、上記式(4)を演算する回路に相当する。
差分増幅回路11dは、電流検出部11kから出力された電流値信号Idと、電流設定積分回路11cから出力された溶接電流制御設定信号Ircとの差分を増幅し、当該差分を示す増幅された差分信号Eiを電源回路11aへ出力する。
電源回路11aは、商用交流を交直変換するAC−DCコンバータ、交直変換された直流をスイッチングにより所要の交流に変換するインバータ回路、変換された交流を整流する整流回路等を備える。電源回路11aは、差分増幅回路11dから出力された差分信号Eiに従って、差分信号Eiが小さくなるようにインバータをPWM制御し、電圧を溶接ワイヤ5へ出力する。その結果、母材4及び溶接ワイヤ5間に、周期的に変動する溶接電圧Vが印加され、溶接電流Iが通電する。電源回路11aは、差分信号Eiに従って、上記式(4)が満たされるように出力を制御するため、溶接電源1のインダクタンス設定値、外部特性傾き設定値を電子的に生成することができる。
なお、溶接電源1には、図示しない制御通信線を介して外部から出力指示信号が入力されるように構成されており、電源部11は、出力指示信号をトリガにして、電源回路11aに溶接電流Iの供給を開始させる。出力指示信号は、例えば、溶接ロボットから溶接電源1へ出力される。また、手動の溶接機の場合、出力指示信号は、トーチ2側に設けられた手元操作スイッチが操作された際にトーチ2側から溶接電源1へ出力される。
図2は、本実施形態に係るアーク溶接方法の手順を示すフローチャート、図3は、溶接対象の母材4を示す側断面図である。まず、溶接により接合されるべき一対の母材4をアーク溶接装置に配置し、溶接電源1の各種設定を行う(ステップS11)。具体的には、図3に示すように板状の第1母材41及び第2母材42を用意し、被溶接部である端面41a、42aを突き合わせて、所定の溶接作業位置に配する。なお、必要に応じて、第1母材41及び第2母材42にY形、レ形等の任意形状の開先を設けても良い。第1及び第2母材41、42は、例えば軟鋼、機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼等の鋼板であり、厚みは9mm以上30mm以下である。
そして、溶接電源1は、周波数10Hz以上1000Hz以下、平均電流300A以上、電流振幅50A以上の範囲内で溶接電流Iの溶接条件を設定する。
なお、溶接電流Iの条件設定は、全て溶接作業者が行っても良いし、溶接電源1が、本実施形態に係る溶接方法の実施を操作部にて受け付け、全ての条件設定を自動的に行うように構成しても良い。また、溶接電源1が、平均電流等、一部の溶接条件を操作部にて受け付け、受け付けた一部の溶接条件に適合する残りの溶接条件を決定し、条件設定を半自動的に行うように構成しても良い。
各種設定が行われた後、溶接電源1は、溶接電流Iの出力開始条件を満たすか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、溶接電源1は、溶接の出力指示信号が入力されたか否かを判定する。出力指示信号が入力されておらず、溶接電流Iの出力開始条件を満たさないと判定した場合(ステップS12:NO)、溶接電源1は、出力指示信号の入力待ち状態で待機する。
溶接電流Iの出力開始条件を満たすと判定した場合(ステップS12:YES)、溶接電源1の送給速度制御部12は、ワイヤの送給を指示する送給指示信号を、ワイヤ送給部3へ出力し、所定速度で溶接ワイヤ5を送給させる(ステップS13)。溶接ワイヤ5の送給速度は、定速であり、例えば、約5〜100m/分の範囲内で設定される。平均電流設定回路11jから出力される平均電流設定信号に応じて、送給速度制御部12が送給速度を決定しても良いし、溶接作業者が、ワイヤの送給速度を直接設定するように構成しても良い。
次いで、溶接電源1の電源部11は、電圧検出部11l及び電流検出部11kにて溶接電圧V及び溶接電流Iを検出し(ステップS14)、検出された溶接電流Iの周波数、電流振幅及び平均電流並びに溶接電源1の外部特性及びインダクタンスが設定された溶接条件に一致するように、出力電圧設定信号Er及びインダクタンス設定信号Lrを周期的に変動させ、出力をPWM制御する(ステップS15)。つまり、溶接電源1は、定電圧特性において、溶接電流Iが周波数10Hz以上1000Hz未満、平均電流300A以上、電流振幅50A以上で周期的に変動するように、出力電圧設定信号Erを周期的に変動させて出力を制御する。また、出力電圧設定信号Erの周期的変動に同相で同期するように、インダクタンス設定信号Lrを周期的に変動させ、溶接電源1のリアクトルLのインダクタンスを電子的に変動させる。
次いで、溶接電源1の電源部11は、溶接電流Iの出力を停止するか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、溶接電源1は、出力指示信号の入力が継続しているか否かを判定する。出力指示信号の入力が継続しており、溶接電流Iの出力を停止しないと判定した場合(ステップS16:NO)、電源部11は、処理をステップS13へ戻し、溶接電流Iの出力を続ける。
溶接電流Iの出力を停止すると判定した場合(ステップS16:YES)、電源部11は、処理をステップS12へ戻す。
図4は、インダクタンス設定信号Lr及び溶接電流Iの変動を示すグラフである。図4に示す各グラフの横軸は時間を示し、図4A〜図4Dに示す各グラフの縦軸はそれぞれ、溶接電源1の出力電圧設定信号Er、インダクタンス設定信号Lr、母材4及び溶接ワイヤ5間の溶接電圧V、溶接電流Iである。
本実施形態に係るアーク溶接方法においては、定電圧特性の電源部11は、図4Aに示すように、出力電圧設定信号Erを周期的に変動させると共に、図4Bに示すようにインダクタンス設定信号Lrを同相で周期的に変動させる。このように出力電圧設定信号Erを周期的に変動させると、図4C及び図4Dに示すように、溶接電圧V及び溶接電流Iが周期的に変動する。
図5は、本実施形態に係るアーク溶接方法を示す模式図である。かかる溶接条件で溶接電流Iを周期的に変動させると、溶接ワイヤ5の先端部5a及び被溶接部間に発生したアーク7の熱によって溶融した母材4及び溶接ワイヤ5の溶融金属からなる凹状の溶融部分6が母材4に形成され、溶接ワイヤ5の先端部5aが埋もれ空間6aに進入する。そして、アーク7の様子を高速度カメラで撮影したところ、図5左図に示すように、溶接ワイヤ5が埋もれ空間6aに深く進入し、溶接ワイヤ5の先端部5a及び溶融部分6の底部61間にアーク7が発生する第1状態と、溶接ワイヤ5が埋もれ空間6aに浅く進入し、先端部5a及び溶融部分6の側部62間にアーク7が発生する第2状態とを周期的に変動することが確認された。
このように、溶接ワイヤ5の先端部5aは、埋もれ空間6aに進入して溶融部分6に囲まれた状態となり、溶接電流Iを周期的に変動させることにより、埋もれ空間6aにおける先端部5aの位置を上下させることができる。
第1状態においては、溶接ワイヤ5の先端部5aが埋もれ空間6aに深く進入し、溶融部分6の底部61に照射されるアーク7によって、深い溶け込みが得られる。
第2状態においては、溶接ワイヤ5の先端部5aが埋もれ空間6aに浅く進入し、溶融部分6の側部62に照射されるアーク7の力によって溶融部分6が支えられるため、埋もれ空間6aは安定した状態で維持される。
従って、溶接電流Iを周期的に変動させることによって埋もれ空間6aを安定的に維持することができる。
図6は、設定電圧及びインダクタンス設定値の変動を示すグラフである。図6中、横軸は溶接電流Iを示し、縦軸は溶接電圧Vを示す。図6Aは、溶接電源1の設定電圧として、低い第1電圧ErLに設定された状態を示している。このとき、図5に示す第1状態となる。
図6A中、実線の直線EC1は、設定電圧として第1電圧ErLが設定されたときの溶接電源1の外部特性、曲線L1はアーク特性を示しており、直線EC1及び曲線L1の交点Aが安定動作点である。
図6A中、点線の直線EC2は、設定電圧として第2電圧ErHが設定されたときの溶接電源1の外部特性を示している。第2電圧ErHは、第1電圧ErLよりも高い電圧である。設定電圧が第1電圧ErLから第2電圧ErHに変化した場合、直線EC2及び曲線L1の交点αが高電流側となり、溶接電流Iが増大する。溶接ワイヤ5の送給速度は一定であるため、溶接電流Iが大きくなると、溶接ワイヤ5の液滴移行が促進されてアーク長が長くなり、溶接ワイヤ5の先端部5aは、埋もれ空間6aの下部から上部へ移動する。つまり、図5左図の第1状態から、図5右図の第2状態へ遷移する。そして、溶接電流I及び溶接電圧Vは新たな安定動作点へ移行する。
図6Bは、溶接電源1の設定電圧として、高い第2電圧ErHに設定された状態を示している。このとき、図5に示す第2状態となる。
図6B中、曲線L2は第2状態におけるアーク特性を示しており、設定電圧として第2電圧ErHが設定されたときの溶接電源1の外部特性を示す直線EC2及び曲線L2の交点Bが安定動作点である。設定電圧が第2電圧ErHから第1電圧ErLに変化した場合、直線EC1及び曲線L2の交点βが低電流側となり、溶接電流Iが減少する。溶接ワイヤ5の送給速度は一定であるため、溶接電流Iが小さくなると、溶接ワイヤ5の液滴移行が抑制されてアーク長が短くなり、溶接ワイヤ5の先端部5aは、埋もれ空間6aの上部から下部へ移動する。つまり、図5右図の第2状態から、図5左図の第1状態へ遷移する。そして、溶接電流I及び溶接電圧Vは新たな安定動作点へ移行する。
一方、溶接電源1は、設定電圧として第1電圧ErLが設定された場合、インダクタンス設定値として、第1所定値LrLを設定し、第2電圧ErHが設定された場合、インダクタンス設定値として第2所定値LrHを設定する。第1所定値LrHは、第2所定値LrLよりも大きな値である。
図7は、インダクタンス設定値の変動による溶接電流Iの増減態様を示すグラフである。設定電圧が第1電圧ErLから第2電圧ErHに切り替えられた場合、インダクタンス設定値として大きな第2所定値LrHが設定されるため、図7に示すように、外乱による溶接電流Iの変動は抑えられる。
逆に、設定電圧が第2電圧ErHから第1電圧ErLに切り替えられた場合、インダクタンス設定値として小さな第1所定値LrLが設定されるため、図7に示すように、外乱による溶接電流Iの変動が大きくなるが、アーク長の自己制御作用が強く働くようになり、溶接ワイヤ5の先端部5aと、溶融部分6との位置関係は精度良く制御される。
このように、溶接電源1のインダクタンスを、出力電圧Eの設定電圧と同相で周期的に変動させることによって、アーク長の自己制御作用と、外乱による溶接電流Iの乱れを抑制する作用とを切り替えることができる。
従って、溶接電流Iが小さく、溶接ワイヤ5の先端部5aが埋もれ空間6aに深く進入している際は、溶接ワイヤ5の先端部5aの位置を精度良く制御し、短絡等によって溶接状態が不安定にならないようにすることができる。
一方、溶接電流Iが大きく、外乱による溶接電流Iの乱れが溶融池の波打ちを引き起こすおそれがある場合、外乱による溶接電流Iの乱れを抑え、溶接状態が不安定にならないようにすることができる。
<埋もれアークの溶接条件>
以下、埋もれアークを実現する溶接条件について補足する。
アーク溶接では一般的に、溶接ワイヤ5の先端部5aの位置は母材4より上側に位置し、その状態で溶接ワイヤ5の先端部5aと母材4の間にアーク7が発生する。かかる状態で発生したアーク7を、非埋もれアークと呼ぶ。非埋もれアークにおいては、溶接ワイヤ5の先端部5aと、母材4の表面に形成された溶融金属表面との間の距離をアーク長と呼ぶが、このアーク長は溶接電圧Vが低くなるに従って短くなることが知られている。通常のアーク溶接では、溶接電圧Vを下げてアーク長が短くなると、溶融金属と溶接ワイヤ5の先端部5aの位置の距離が近くなり、最終的にはアーク長が0となって溶接ワイヤ5と母材4とが短絡を起こし、アーク7の維持が困難となる。
しかし、高電流溶接においては、アーク圧力によって溶融金属が押しのけられるため、電圧を下げても短絡が起きにくくなる。その結果、母材4又は溶融金属表面よりも深い位置に溶接ワイヤ5の先端部5aが位置していても、アーク圧力によって溶融金属が押しのけられて形成された空間、即ち埋もれ空間6aの存在により短絡が起きず、アーク7を維持することができる。これが埋もれアーク現象である。
つまり、アーク圧力が強くなる高電流領域において、低い電圧条件でアーク7を発生させることにより、埋もれアーク7を実現することができる。具体的には、溶接電流Iは300A以上必要である(例えば、浅井知、「工場溶接の高効率化−重電機器溶接の事例−」、一般社団法人日本溶接協会 溶接情報センター、WE−COMマガジン第16号、2015年4月)。埋もれアークを実現することが可能な電圧値は、溶接電流I、ワイヤ径、溶接ワイヤ5の突出し長さによって変動するが、前述のように溶接ワイヤ5の先端部5aの位置を母材4又は溶融金属表面よりも低い位置まで下げられるだけの低い電圧とすることで、埋もれアークを実現することができる。
図8は、埋もれアークを実現する溶接電流I及び電圧の条件を示すグラフである。横軸は溶接電流Iを示し、縦軸は溶接電圧Vを示している。白抜き部分は、埋もれアークを実現することができる溶接電流I及び電圧を示している。図8に示すように、溶接電流Iに対して溶接電圧Vが高いと、通常のアーク溶接、即ち非埋もれアーク溶接となり、逆に溶接電圧Vが低すぎると出力が足りず、アーク7の維持が困難となる。その中間の領域に、埋もれ空間6aでアーク7が発生する埋もれアークとなる範囲が存在する。
また、埋もれアークを実現する溶接条件の範囲は、前述のようにワイヤ径と、溶接ワイヤ5の突出し長さの影響を受ける。
図9は、ワイヤ径及びワイヤ突出し長さと、埋もれアークを実現する溶接電流I及び電圧の条件との関係を示す概念図である。図9に示すように、ワイヤ径が大きくなるほど、又は溶接ワイヤ5の突出し長さが短くなるほど、埋もれアークを実現できる溶接電流I及び電圧の範囲は、符号Arc3、Arc2、Arc1に示すように、この順で同じ電流に対して低い電圧領域側へシフトする。
図10は、ワイヤ径1.6mm、溶接ワイヤ5の突出し長さ25mmの場合において埋もれアークを実現する溶接電流I及び電圧の条件の一例を示すグラフである。図10の横軸は溶接電流I、縦軸は溶接電圧Vを示している。黒丸プロットは、非埋もれアークと、埋もれアークとの境界を示している。図10中、上側の折れ線上にある黒丸プロットは、当該黒丸プロットが示す溶接電流Iにおいて、溶接電圧Vを上昇させると、非埋もれアークとなり、溶接電圧Vを減少させると、埋もれアークになる。また、下側の折れ線上にある黒丸プロットは、当該黒丸プロットが示す溶接電流Iにおいて、溶接電圧Vを上昇させると、埋もれアークとなり、溶接電圧Vを減少させると、非埋もれアークになる。要するに、溶接電流Iに対して溶接電圧Vが高いと、通常のアーク溶接、即ち非埋もれアーク溶接となり、逆に溶接電圧Vが低すぎると出力が足りず、アーク7の維持が困難となる。その中間の領域に、埋もれ空間6aでアーク7が発生する埋もれアークとなる範囲が存在する。
以上の通り、埋もれアークを実現する溶接電流Iは、300A以上であって、溶接ワイヤ5の先端部5aが溶融金属に接近した場合に、当該溶融金属を押しのけるアーク圧力を生じさせることが可能な電流値である。また、埋もれアークを実現する溶接電圧Vは、溶接ワイヤ5の先端部5aの位置を母材4又は溶融金属表面よりも低い位置まで下げることが可能な電圧値である。
具体的な溶接電流I及び電圧は、図10に示す溶接電流I及び電圧の範囲を基準としつつ、図8及び図9に示す傾向を考慮して溶接電流I及び電圧を適宜決定すれば良い。
以上の通り、本実施形態に係るアーク溶接方法及びアーク溶接装置によれば、埋もれアーク溶接において、溶接電流Iを周期的に変動させることによって埋もれ空間6aを安定的に維持しつつ、溶接電流Iの変動に合わせて溶接電源1のインダクタンスを変動させることにより、溶接電流Iの変動による溶接状態の不安定化を抑制することができる。
具体的には、溶接電源1のインダクタンスを、出力電圧Eの設定電圧と同相で周期的に変動させることによって、溶接電流Iが小さいときは、アーク長の自己制御作用を増大させ、溶接電流Iが大きいときは、外乱による溶接電流Iの乱れを小さくする。このようにインダクタンス及び溶接電流Iを制御することによって、溶接電流Iが増減するときの溶接状態の不安定化を効果的に抑制することができる。
更に、定電圧特性を有する溶接電源1の設定電圧の切り替えと共にインダクタンスの値を切り替える簡単な制御で、第1状態におけるアーク長の自己制御作用を増大させ、第2状態における溶接電流Iの乱れを小さくすることができる。
更に、溶接電源1のインダクタンスを電子的に変動させる構成であるため、溶接電流Iが大電流で、かつ高周波数で変動する場合であっても、溶接電流Iに同期させて溶接電源1のインダクタンスを電子的に変動させることができる。
更に、300A以上の大電流を用いてガスシールドアーク溶接を行う場合であっても、溶接電流Iを10Hz以上の高周波数で変動させることによって、溶融金属の波打ちを抑えることができ、ビードの乱れ及び垂れの発生を防止することができる。
また、溶融金属の波打ちをより効果的に抑えるためには、アーク長を一定に保つ必要がある。一般的な定電流パルス溶接の場合はアーク長の自己制御作用が得られないため、一定のアーク長を保証するための何らかの制御を行う必要がある。本実施形態に係るアーク溶接装置は定電圧特性であり、アーク長の自己制御作用が得られるため、アーク長が一定に保たれ、溶融金属の波打ちをより効果的に抑えることができる。
図11は、埋もれアーク溶接の実験結果を写真で示す図表、図12は、埋もれアーク溶接の実験結果を模式図で示す図表である。ワイヤ径が1.4mm、溶接ワイヤ5の突き出し長さが18mm、溶接ワイヤ5の送給速度が17.5m/分、平均溶接電流が530Aの溶接条件のもと、溶接電流Iの周波数及び振幅を変更させて、厚板の埋もれアーク溶接を行った。
図11及び図12の上図は、溶接電流Iの周波数が0Hz、振幅が0Aのときの実験結果、つまり溶接電流Iを振動させずに溶接を行ったときのビードの外観及び形状を示している。図11及び図12の中図は、溶接電流Iの周波数が10Hz、振幅が50Aの条件で溶接を行ったときのビード形状を示し、図11及び図12下図は、溶接電流Iの周波数が50Hz、振幅が100Aの条件で溶接を行ったときのビードの外観及び形状を示している。
図11及び図12に示す実験結果から分かるように、溶接電流Iを周波数10Hz以上及び電流振幅50A以上の溶接条件で振動させることによって、周波数0Hzの場合に比べて、良好なビード形状が得られることが分かる。このような良好なビード形状は、溶接電流Iを周波数10Hzで振動させることによって埋もれ空間6aが安定化し、短絡の発生が抑えられていることを示している。
また、溶融金属を高周波で振動させることによって、溶融金属の波打ちを抑える動作原理より、溶接電流Iの周波数が10Hz以上であっても、同様にして溶融金属の波打ちを抑え、埋もれ空間6aを安定化させることができると予想される。また、50Aの電流振幅で溶融金属の波打ちを十分に抑えることができることから、50A以上の電流振幅であっても、溶融金属の波打を抑えることができることが予想される。実際、溶融電流の周波数50Hz、溶接電流100A以上の溶接条件で溶接を行うと、図11及び図12に示すように、より良好なビード形状が得られた。なお、ワイヤ径、溶接ワイヤ5の突出し長さ、送給速度、平均電流は、以下に説明する埋もれアークを実現できる範囲であれば、特に限定されるものでは無く、溶接電流Iの周波数が10Hz以上及び電流振幅が50Aの条件であれば、同様にして良好なビード形状が得られる。特に、周波数50Hz及び電流振幅100A以上であれば、より良好なビード形状が得られる。
なお、実施形態で説明した上記の溶接条件は、一例であり、溶接ワイヤ5の材質、ワイヤ系、突出し長さ、溶接ワイヤ5の送給速度は、溶接電流Iの範囲は、上記の数値範囲に限定されるものでは無い。
また、溶接ワイヤ5の材質は、YGW12以外にも、YGW11、YGW15、YGW17、YGW18、YGW19等、ソリッドワイヤを用いることができる。ただし、フラックスコアードワイヤやメタルコアードワイヤ、その他の新規のワイヤを溶接ワイヤ5として適用しても良い。
更に、溶接ワイヤ5の突出し長さは、10mm以上35mm以下が好ましい。突出し長さが長くなるほど溶込みは浅くなるため、長くても35mmに留めておくのが良い。一方、突出し長さが短くなるとチップ先端が溶融池に近づき、チップ消耗が激しくなる。大電流溶接のため、特にその傾向が顕著であり、10mmを下回ると頻繁なチップ交換が必要となる。更に、溶接ワイヤ5の突出し長さは移行形態の遷移電流に影響する。そのバランスの観点からも、突出し長さには適正範囲が存在し、10〜35mm程度が適正である。
ワイヤ径は、例えば0.9mm以上1.6mm以下が好ましい。ワイヤ径は、溶接条件を適切に変更することにより、基本的にはどのようなワイヤ径にも対応することができ、特に限定されるものでは無いが、一般流通性を考慮すると、0.9mm〜1.6mm程度が現実的である。また、ワイヤ径は溶滴移行形態の遷移電流に影響を及ぼす。この観点からも、極端に太い溶接ワイヤ5や細い溶接ワイヤ5を使用すると、溶滴移行形態の遷移領域が大きく広がり、任意の溶滴移行形態を利用することが困難となる。従って、0.9〜1.6mm程度が適正である。
溶接ワイヤ5の送給速度は、溶接電流Iと相関するため、溶接電流Iに応じて、埋もれ空間6aが形成されるように適宜決定すれば良い。
更にまた、出力電圧設定信号Er及びインダクタンス設定信号Lrとして、矩形波状の信号を例示したが、各設定信号の波形は特に限定されるものでは無く、三角波、その他の任意の波形でも良い。出力電圧設定信号Erが三角波である場合、出力電圧設定信号Erが上昇することき、インダクタンス設定信号Lrが増大し、出力電圧設定信号Erが減少するとき、インダクタンス設定信号Lrが減少するように、制御すれば良い。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 溶接電源
2 トーチ
3 ワイヤ送給部
4 母材
5 溶接ワイヤ
5a 先端部
6 溶融部分
6a 埋もれ空間
61 底部
62 側部
7 アーク
11 電源部
11a 電源回路
11b 電流設定変化量算出回路
11c 電流設定積分回路
11d 差分増幅回路
11e 出力電圧設定回路
11f インダクタンス設定回路
11g 外部特性設定回路
11h 周波数設定回路
11i 電流振幅設定回路
11j 平均電流設定回路
11k 電流検出部
11l 電圧検出部
12 送給速度制御部
41 第1母材
42 第2母材
R 電気抵抗
L リアクトル
V 溶接電圧
I 溶接電流
Er 出力電圧設定信号
Lr インダクタンス設定信号
Rr 外部特性傾き設定信号
Vd 電圧値信号
Id 電流値信号
ΔIr 電流設定変化量信号
Irc 溶接電流制御設定信号
Ei 差分増幅信号

Claims (6)

  1. 母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給すると共に、溶接電源から該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び被溶接部間にアークを発生させ、前記先端部及び被溶接部間に発生したアークによって前記母材に形成された凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接方法であって、
    前記溶接電流を変動させることによって、前記溶接ワイヤの前記先端部が前記空間に深く進入した第1状態と、前記空間に浅く進入した第2状態とを周期的に変動させ、
    前記溶接電流の変動に同期して前記溶接電源のインダクタンスを変動させる
    アーク溶接方法。
  2. 前記溶接電流を増大させる場合、前記インダクタンスを増大させ、前記溶接電流を減少させる場合、前記インダクタンスを減少させる
    請求項1に記載のアーク溶接方法。
  3. 前記溶接ワイヤを送給する速度は一定であり、
    前記溶接電源は定電圧特性を有し、前記溶接電源の設定電圧を周期的に変動させることによって、前記溶接電流を周期的に変動させ、
    前記溶接電源の設定電圧を第1電圧に設定する場合、前記インダクタンスを第1所定値に設定し、前記溶接電源の設定電圧を第1電圧よりも高い第2電圧に設定する場合、前記インダクタンスを第1所定値よりも大きい第2所定値に設定する
    請求項2に記載のアーク溶接方法。
  4. 前記溶接電源が供給する前記溶接電流を制御することによって、前記インダクタンスを電子的に変動させる
    請求項1〜請求項3までのいずれか一項に記載のアーク溶接方法。
  5. 前記溶接電流の周波数が10Hz以上1000Hz以下、平均電流が300A以上になるように、該溶接電流を変動させる
    請求項1〜請求項4までのいずれか一項に記載のアーク溶接方法。
  6. 母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給するワイヤ送給部と、該溶接ワイヤに溶接電流を供給する電源部とを備え、前記溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び被溶接部間にアークを発生させ、前記先端部及び被溶接部間に発生したアークによって前記母材に形成された凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接装置であって、
    前記溶接電流を変動させることによって、前記溶接ワイヤの前記先端部が前記空間に深く進入した第1状態と、前記空間に浅く進入した第2状態とを周期的に変動させる状態変動部と、
    前記溶接電流の変動に同期して前記電源部のインダクタンスを変動させるインダクタンス変動部と
    を備えるアーク溶接装置。
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