JP7096099B2 - アーク溶接方法及びアーク溶接装置 - Google Patents
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Description
振り子移行は、溶接ワイヤの先端部に形成された液柱及びアークが、同一平面上を振り子状に揺動しつつ、溶接ワイヤの突き出し方向を中心軸として当該平面が全体として少しずつ回転していく特徴的な溶滴移行形態である。
溶接電流が変動する場合における上記電流域は、当該溶接電流の平均値が650A以上800A以下であることを意味する。
<アーク溶接装置>
図1は、本実施形態に係るアーク溶接方法を実施するためのアーク溶接装置を示す模式図である。本実施形態に係るアーク溶接装置は、少なくとも650A以上800以下の大電流アーク溶接が可能な消耗電極式のガスシールドアーク溶接機であり、溶接トーチ11及びワイヤ送給部12が取り付けられた溶接ロボット1と、溶接電源2と、制御装置3と、シールドガス供給部4とを備える。図1中、太線は給電ケーブルL、細線は制御通信線、二重線はガス配管4aである。制御装置3は、動作制御信号を溶接ロボット1へ出力すると共に、所定のタイミングで溶接制御信号を溶接電源2へ出力することによって、溶接ロボット1及び溶接電源2の動作を制御する。
種混合ガスである。なお、シールドガスの流量は、40L/分以上が望ましく、50L/分以上がより望ましい。また、シールドガスを構成する各種ガスは溶接トーチ11へ供給する直前で混合するようにしても良いし、予め各種ガスを混合させ、所定時間、例えば数日間おいたものを溶接トーチ11へ供給するようにしても良い。
本実施形態に係るアーク溶接方法は、溶接電流が650A以上800A以下の電流域において、ローテーティング移行を安定維持することにより、溶接を安定化するものである。具体的には、二酸化炭素、アルゴン及びヘリウムの3種混合ガスからなるシールガスであって、その組成比を二酸化炭素の容量比:10%以上17.5%未満、アルゴンの容量比:82.5%以上90%未満、ヘリウム:残部(%)とすることにより、同様にして溶接の安定化を実現する。
当該組成範囲は、溶接電流が650A及び800Aのいずれにおいても溶接を安定化させることができる領域である。溶接電流を650A~800Aの範囲で変化させた場合であっても、少なくとも当該領域においては溶接が安定化している。
また、より好ましくは、アルゴンの容量比が82.5%以上90%未満、かつ二酸化炭素の容量比が10%以上17.5未満の領域、つまりアルゴンの組成比を示す左側斜辺と、二本の二点鎖線で囲まれた領域で溶接を行うと良い。一方の二点鎖線はアルゴンの容量比が82.5%であることを示し、他方の二点鎖線は二酸化炭素の容量比が10%であることを示している。このように左側斜辺及び二点鎖線で囲まれた領域は、ハッチングが付された適正領域に内包されているため、当該範囲内において溶接は安定する。
以下、溶接条件の詳細ないし変形例について説明する。
溶接ワイヤWの適正な突き出し長さは、20mm~45mmである。突き出し長さは、溶接トーチ11のチップ先端と、母材5の表面との距離である。突き出し長さが20mm未満になると、チップ先端から溶融金属表面までの距離が短くなり、外乱等で溶融金属とコンタクトチップが接触したり、アーク発生点がチップ先端に近くなりすぎることにより、チップ溶着の頻度増加やチップ消耗速度の増加につながる。一方突き出しが45mmを超えると、溶接トーチ11のノズルが溶接ワイヤWの先端部から遠くなりすぎることにより、シールド不良が起こりやすくなったり、溶接ワイヤWの曲りぐせによる狙いズレが大きくなる。またV受け隅肉溶接においては、特に突き出し25mm~40mmの範囲において、より効果的に上記問題を防ぐことができる。
また、多量の溶融金属を受け止める観点から、継手はV受け下向きの隅肉溶接又は開先内突き合わせ下向き溶接が好ましい。
更にまた、高電流MAG溶接では強いアークによって母材5側溶融金属に凹部分が形成されるが、溶接ワイヤWに形成される液柱の先端が溶融金属表面より深い位置で移行する準埋もれアーク(即ちアークの上側部分は溶融金属表面より上側に位置する)とすることにより、より効果的にスパッタの発生を抑制できる。
また、アークにより母材5に形成される凹状の溶融部分によって囲まれる空間に当該先端部を進入させて母材5を溶接する埋もれアーク、いわば完全な埋もれアークとすることでも、より効果的にスパッタの発生を抑制することができる。
以下の溶接条件でGMA溶接を行うと、溶滴移行形態が準埋もれ状態でローテーティング移行を安定維持でき、安定溶接が可能となることが確認された。シールドガスの組成比は15%二酸化炭素-83%アルゴン-2%ヘリウム、総ガス流量50L/分、溶接電流800A、溶接電圧58V、突き出し長さ35mm、V受け下向き溶接、母材5の板厚25mm、ワイヤ径1.4mmのソリッドワイヤ、ワイヤ送給速度34m/分の条件で、外部特性-10V/100Aの定電圧外部特性制御の直流溶接を行うと、安定的な溶接が可能となる。
2 溶接電源
3 制御装置
4 シールドガス供給部
4a ガス配管
5 母材
51 被溶接部
11 溶接トーチ
12 ワイヤ送給部
13 基部
14 アーム
W 溶接ワイヤ
L 給電ケーブル
Claims (3)
- 母材の被溶接部にシールドガスを供給しながら溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに650A以上800A以下の溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接方法であって、
前記シールドガスは、容量比が10%以上17.5%未満の二酸化炭素、容量比が82.5%以上90%未満のアルゴン、残部がヘリウムからなる3種混合ガスである
アーク溶接方法。 - -20V/100A以上-2V/100A以下の定電圧特性を有する電源を用いて直流の溶接電流を前記溶接ワイヤに供給する
請求項1に記載のアーク溶接方法。 - 母材の被溶接部にシールドガスを供給しながら溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに650A以上800A以下の溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接装置であって、
容量比が10%以上17.5%未満の二酸化炭素、容量比が82.5%以上90%未満のアルゴン、残部がヘリウムからなる3種混合のシールドガスを前記被溶接部に供給するシールドガス供給部を備える
アーク溶接装置。
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