JP7096099B2 - アーク溶接方法及びアーク溶接装置 - Google Patents

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Description

本発明はアーク溶接方法及びアーク溶接装置に関する。
近年、溶接能率の向上のため、高溶着量又は大脚長を目的とした高能率GMA(Gas Metal Arc)溶接技術が開発されてきている。
GMA溶接には、シールドガスとしてアルゴン又はヘリウム等の不活性ガスのみを用いるMIG溶接と、二酸化炭素等の活性ガス、あるいは活性ガスとアルゴン等の不活性ガスの混合ガスを用いるMAG溶接がある。MAG溶接の中でも特に二酸化炭素のみを用いる場合を炭酸ガスアーク溶接と呼ぶ場合もある。炭酸ガスアーク溶接と比較して、ガス組成にアルゴンを含むGMA溶接では、溶接が安定しやすく、良好な溶接結果、即ち良好な機械的特性、ビード外観等が得られることが一般的に知られている。
特許文献1及び特許文献2には、シールドガスとしてアルゴン及び二酸化炭素を含むGMA溶接において、当該シールドガスにヘリウムを添加することにより溶接能率を向上させる技術が開示されている。
特許第5319595号公報 特開2013-046932号公報
しかしながら、特許文献1、2に係る技術においては、溶接電流は500A以下に制限される。溶接能率を更に向上させるために、500A超でのGMA溶接技術が期待される。
シールドガスにアルゴンを含むGMA溶接としては、80%アルゴン-20%二酸化炭素を用いるMAG溶接、又は100%アルゴンを用いるMIG溶接が代表的である。特に鉄鋼材料の溶接においては前者が一般的である。しかし、80%アルゴン-20%二酸化炭素を用いるMAG溶接では、溶接電流が650A以上になるとスパッタ発生量が増加し、更に700A以上になると溶接が著しく不安定化する。不安定化の具体的な原因は以下の通りである。
例えば、突き出し長さ35mm、V受け下向き隅肉溶接の場合、650A未満の電流域においては、溶滴移行形態は、電流によって、ドロップ移行、振り子移行、及びローテーティング移行のいずれかとなる、あるいはそれらの内、複数の移行形態が混在しうるが、そのいずれの移行形態においても溶接は安定し、問題はない。
振り子移行は、溶接ワイヤの先端部に形成された液柱及びアークが、同一平面上を振り子状に揺動しつつ、溶接ワイヤの突き出し方向を中心軸として当該平面が全体として少しずつ回転していく特徴的な溶滴移行形態である。
650A以上700A未満の電流域においては、ドロップ移行、振り子移行、及びローテーティング移行が混在する。この電流域では、高電流のため溶接ワイヤの先端部に形成される溶融金属液柱の長さが長くなるが、振り子移行を呈する際、この長い液柱が大きく振れて往復し、ワイヤ先端の液柱が溶融池外部へ吹き飛ばされる。その結果、溶接安定性は極端に悪化することはないものの、スパッタ発生量が著しく増加する。
700A以上800A未満の電流域においては、ローテーティング移行が主となるが、振り子移行、ドロップ移行を呈する場合もある。この電流域では、ドロップ移行あるいは振り子移行を呈すると、高電流で非常に強いアーク力が特定方向に集中してしまい、その結果溶融金属が搖動し溶接が不安定化する。ドロップ移行では下向きにアークが集中し、振り子移行では往復面方向にアークが集中する。なお、ローテーティング移行を呈する場合は、アーク力が回転方向に分散され、かつ一定周期で回転移動するため、溶融金属に加わる力が分散されて不安定化を抑えることができる。
800A以上の電流域では、電流が過大となっていわゆるピンチ不安定状態となり、溶滴移行形態が不定となる。その結果アーク現象は短時間に極端に変化し、溶接は不安定化する。
なお、上記では、主に80%アルゴン-20%二酸化炭素を用いるMAG溶接における不安定性を説明したが、100%アルゴンを用いるMIG溶接においても、溶接電流が650A以上になると、溶接が不安定化し、同様の問題が発生する。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、GMA溶接において溶接電流が650A以上800A以下の電流域にあっても、スパッタ発生量を抑制し、かつ溶接を安定化させることができるアーク溶接方法及びアーク溶接装置を提供することにある。
本発明に係るアーク溶接方法は、母材の被溶接部にシールドガスを供給しながら溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに650A以上800A以下の溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接方法であって、前記シールドガスは、容量比が10%以上17.5%未満の二酸化炭素、容量比が82.5%以上90%未満のアルゴン、残部がヘリウムからなる3種混合ガスである。
本発明に係るアーク溶接装置は、母材の被溶接部にシールドガスを供給しながら溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに650A以上800A以下の溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接装置であって、容量比が10%以上17.5%未満の二酸化炭素、容量比が82.5%以上90%未満のアルゴン、残部がヘリウムからなる3種混合のシールドガスを前記被溶接部に供給するシールドガス供給部を備える。
本態様によれば、溶接電流が650A以上800A以下の電流域で行うGMA溶接において、容量比が10%以上17.5%未満の二酸化炭素、容量比が82.5%以上90%未満のアルゴン、残部がヘリウムからなる3種混合のシールドガスを用いることにより、スパッタ発生量を抑制し、かつ溶接を安定化させることができる(図2~図4参照)。
溶接電流が変動する場合における上記電流域は、当該溶接電流の平均値が650A以上800A以下であることを意味する。
本発明に係るアーク溶接方法は、-20V/100A以上-2V/100A以下の定電圧特定を有する電源を用いて直流の溶接電流を前記溶接ワイヤに供給する。
本態様によれば、溶接電流の変動を抑えつつ、アーク長を一定に保つことができ、溶接を安定化させることができる。外部特性が-2V/100Aより定電圧特性側によると、アーク長を一定にするため溶接電流が激しく動いて溶接が不安定化する。また外部特性が-20A/100Vより定電流特性側に寄ると、アーク長を一定に保つのが困難となる。
本発明によれば、GMA溶接において溶接電流が650A以上800A以下の電流域にあっても、スパッタ発生量を抑制し、かつ溶接を安定化させることができる。
本実施形態に係るアーク溶接方法を実施するためのアーク溶接装置を示す模式図である。 溶接電流が650Aでの溶接安定性及びガス混合比の関係を示すガス成分の三元図である。 溶接電流が800Aでの溶接安定性及びガス混合比の関係を示すガス成分の三元図である。 溶接電流が650A以上800A以下の電流域でスパッタ発生量を抑制し、かつ溶接を安定化させることが可能な混合比を示すガス成分の三元図である。
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
<アーク溶接装置>
図1は、本実施形態に係るアーク溶接方法を実施するためのアーク溶接装置を示す模式図である。本実施形態に係るアーク溶接装置は、少なくとも650A以上800以下の大電流アーク溶接が可能な消耗電極式のガスシールドアーク溶接機であり、溶接トーチ11及びワイヤ送給部12が取り付けられた溶接ロボット1と、溶接電源2と、制御装置3と、シールドガス供給部4とを備える。図1中、太線は給電ケーブルL、細線は制御通信線、二重線はガス配管4aである。制御装置3は、動作制御信号を溶接ロボット1へ出力すると共に、所定のタイミングで溶接制御信号を溶接電源2へ出力することによって、溶接ロボット1及び溶接電源2の動作を制御する。
溶接ロボット1は、床面の適宜箇所に固定される基部13を備える。基部13には、複数のアーム14が軸部を介して回動可能に連結している。先端側に連結されたアーム14の先端部位には、溶接トーチ11が保持されている。アーム14の連結部分にはサーボモータが設けられており、サーボモータの回転駆動力によって軸部を中心に各アーム14が回動する。サーボモータの回転は制御装置3によって制御されている。制御装置3は、各アーム14を回動させることによって、母材5に対して溶接トーチ11を上下前後左右に移動させることができる。各アーム14の連結部分には、アーム14の回動位置を示す信号を制御装置3へ出力するエンコーダが設けられており、制御装置3は、エンコーダから出力された信号に基づいて、溶接トーチ11の位置を認識する。また、制御装置3は溶接電源2と通信を行い、溶接ワイヤWの送給及び溶接電流の供給を制御する。
シールドガス供給部4は、溶接トーチ11へシールドガスを供給する。シールドガスは、アークによって溶融した母材5及び溶接ワイヤWの酸化を防止するためのものである。シールドガスは、例えばアルゴンAr、二酸化炭素CO2 及びヘリウムHeの3
種混合ガスである。なお、シールドガスの流量は、40L/分以上が望ましく、50L/分以上がより望ましい。また、シールドガスを構成する各種ガスは溶接トーチ11へ供給する直前で混合するようにしても良いし、予め各種ガスを混合させ、所定時間、例えば数日間おいたものを溶接トーチ11へ供給するようにしても良い。
溶接トーチ11は、銅合金等の導電性材料からなり、母材5の被溶接部51へ溶接ワイヤWを案内すると共に、アークの発生に必要な溶接電流を供給する円筒形状のコンタクトチップを有する。コンタクトチップは、その内部を挿通する溶接ワイヤWに接触し、溶接電流を溶接ワイヤWに供給する。また、溶接トーチ11は、コンタクトチップを囲繞する中空円筒形状をなし、シールドガス供給部4から供給されたシールドガスを被溶接部51へ噴射するノズルを有する。
溶接ワイヤWは、例えばソリッドワイヤ、メタルコアードワイヤ又はフラックスコアードワイヤであり、消耗電極として機能する。溶接ワイヤWの直径は0.8mm以上1.6mm以下である。溶接ワイヤWは、例えば、螺旋状に巻かれた状態でペールパックに収容されたパックワイヤ、あるいはワイヤリールに巻回されたリールワイヤである。
ワイヤ送給部12は、溶接ワイヤWを溶接トーチ11へ送給する送給ローラと、当該送給ローラを回転させるモータとを有する。ワイヤ送給部12は、送給ローラを回転させることによって、ペールパック又はワイヤリールから溶接ワイヤWを引き出し、引き出された溶接ワイヤWを溶接トーチ11へ定速で供給する。溶接ワイヤWの送給速度は、例えば、約5~100m/分である。なお、かかる溶接ワイヤWの送給方式は一例であり、特に限定されるものではない。
溶接電源2は、定電圧特性の電源であり、給電ケーブルLを介して、溶接トーチ11のコンタクトチップ及び母材5に接続された電源回路を備える。電源回路は、PWM制御された直流を出力する回路であり、溶接ワイヤW及び母材5間に溶接電圧を印加することにより、溶接電流を供給する。特に、本実施形態に係る溶接電源2は650A以上800A以下の溶接電流を供給する。溶接電流は直流又は直流パルスが望ましいが、特に限定されるものではなく、例えば交流ないし交流パルスであっても良い。溶接電流が変動する場合における650Aは、当該溶接電流の平均値を意味する。
このように構成されたアーク溶接装置によれば、母材5の被溶接部51にシールドガスを供給しながら溶接ワイヤWを送給すると共に、溶接ワイヤWに溶接電流を供給することによって、溶接ワイヤWの先端部及び被溶接部51間にアークを発生させて母材5を溶接することができる。
<アーク溶接方法>
本実施形態に係るアーク溶接方法は、溶接電流が650A以上800A以下の電流域において、ローテーティング移行を安定維持することにより、溶接を安定化するものである。具体的には、二酸化炭素、アルゴン及びヘリウムの3種混合ガスからなるシールガスであって、その組成比を二酸化炭素の容量比:10%以上17.5%未満、アルゴンの容量比:82.5%以上90%未満、ヘリウム:残部(%)とすることにより、同様にして溶接の安定化を実現する。
図2は、溶接電流が650Aでの溶接安定性及びガス混合比の関係を示すガス成分の三元図、図3は、溶接電流が800Aでの溶接安定性及びガス混合比の関係を示すガス成分の三元図である。図2及び図3は実験結果を示している。実験条件は次の通りである。溶接ワイヤWの突き出し長さ35mm、V受け下向き隅肉溶接、シールドガスは二酸化炭素、アルゴン及びヘリウムの3種混合ガス、シールドガスの流量は50L/分、溶接ワイヤWはワイヤ径1.4mmのソリッドワイヤ、ワイヤ送給速度は34m/分、外部特性は-10V/100Aの直流溶接電流である。
白丸印は、ローテーティング移行が安定的に維持され、溶接が安定する混合ガスの組成比を示している。黒丸印は、ローテーティング移行が安定的に維持されず、ドロップ移行、振り子移行となって、アークが乱れることのある混合ガスの組成比を示している。黒三角印は、ローテーティング移行、振り子移行、ドロップ移行が混在し、溶接結果は良好だが、スパッタ発生量が多くなる混合ガスの組成比を示している。X印は、溶滴移行形態が不定となり溶接が不安定化する混合ガスの組成比を示している。
図2に示すように、溶接電流が650Aの場合、二酸化炭素、ヘリウムの組成比が低くアルゴンの組成比が高い組成範囲Aの領域ではローテーティング移行を安定維持でき、溶接が安定するが、二酸化炭素又はHeの組成比が高い組成範囲Bの領域では、ローテーティング移行を安定維持できず、アークが不安定化したり、スパッタ発生量が増加したりする。
図3に示すように、溶接電流が800Aの場合、組成範囲Cでは溶滴移行が不定となり、ローテーティング移行を安定維持できず、溶接が不安定化する。組成範囲Dの領域ではローテーティング移行を安定維持できず、溶接が不安定となる。組成範囲Cと組成範囲Dとの間の領域、二酸化炭素又はヘリウムの組成比が十分に大きい組成範囲Eの領域では、ローテーティング移行を安定維持でき、溶接が安定する。
図4は、溶接電流が650A以上800A以下の電流域でスパッタ発生量を抑制し、かつ溶接を安定化させることが可能な混合比を示すガス成分の三元図である。図4は、図2に示した溶接が安定化する組成範囲Aと、図3に示した溶接が安定化する組成範囲Eとを重ね合わせた組成範囲(ハッチングを付した領域)を示している。図4においては、三元図の一部、組成比の適正範囲近傍を拡大して示している。
当該組成範囲は、溶接電流が650A及び800Aのいずれにおいても溶接を安定化させることができる領域である。溶接電流を650A~800Aの範囲で変化させた場合であっても、少なくとも当該領域においては溶接が安定化している。
また、より好ましくは、アルゴンの容量比が82.5%以上90%未満、かつ二酸化炭素の容量比が10%以上17.5未満の領域、つまりアルゴンの組成比を示す左側斜辺と、二本の二点鎖線で囲まれた領域で溶接を行うと良い。一方の二点鎖線はアルゴンの容量比が82.5%であることを示し、他方の二点鎖線は二酸化炭素の容量比が10%であることを示している。このように左側斜辺及び二点鎖線で囲まれた領域は、ハッチングが付された適正領域に内包されているため、当該範囲内において溶接は安定する。
<溶接条件の詳細>
以下、溶接条件の詳細ないし変形例について説明する。
溶接ワイヤWの適正な突き出し長さは、20mm~45mmである。突き出し長さは、溶接トーチ11のチップ先端と、母材5の表面との距離である。突き出し長さが20mm未満になると、チップ先端から溶融金属表面までの距離が短くなり、外乱等で溶融金属とコンタクトチップが接触したり、アーク発生点がチップ先端に近くなりすぎることにより、チップ溶着の頻度増加やチップ消耗速度の増加につながる。一方突き出しが45mmを超えると、溶接トーチ11のノズルが溶接ワイヤWの先端部から遠くなりすぎることにより、シールド不良が起こりやすくなったり、溶接ワイヤWの曲りぐせによる狙いズレが大きくなる。またV受け隅肉溶接においては、特に突き出し25mm~40mmの範囲において、より効果的に上記問題を防ぐことができる。
溶接トーチ11の姿勢は下向きが良い。横向きや縦向き、上向き溶接になると、溶融金属量が多いため溶融金属が垂れてしまう。ただし、30°までの一般的な前進角、後退角、狙い角度であれば施工に問題は生じない。狙い角度は、溶接線に沿って移動する溶接トーチ11の移動方向に対して略垂直な面内における溶接トーチ11の傾き角度である。
また、多量の溶融金属を受け止める観点から、継手はV受け下向きの隅肉溶接又は開先内突き合わせ下向き溶接が好ましい。
更に、一般的ないわゆるオープンアークでの溶接でローテーティング移行になると、溶接ワイヤWの先端部から離脱した溶融金属がスパッタとなって飛散し、大量のスパッタを生じることが知られている。しかし、ローテーティング移行において溶接ワイヤWの先端部の液柱の延長がビード幅以内に収まるように溶接すれば、スパッタを溶接ビードに吸収させることができ、多量のスパッタの発生を防止しつつ安定溶接を実現可能である。
更にまた、高電流MAG溶接では強いアークによって母材5側溶融金属に凹部分が形成されるが、溶接ワイヤWに形成される液柱の先端が溶融金属表面より深い位置で移行する準埋もれアーク(即ちアークの上側部分は溶融金属表面より上側に位置する)とすることにより、より効果的にスパッタの発生を抑制できる。
また、アークにより母材5に形成される凹状の溶融部分によって囲まれる空間に当該先端部を進入させて母材5を溶接する埋もれアーク、いわば完全な埋もれアークとすることでも、より効果的にスパッタの発生を抑制することができる。
更にまた、溶接ワイヤWの種類は問わないが、ソリッドワイヤ又はメタルコアードワイヤは、フラックスコアードワイヤと比較してローテーティング移行を安定維持させやすいため好ましい。メタルコアードワイヤは、組成によってはローテーティング移行を妨げる場合があるため、ソリッドワイヤがより好ましい。
更にまた、溶接ワイヤWの径は、0.8mm~1.6mmが良い。ただし細径ワイヤでは溶滴移行が不定化しやすいため、1.2mm~1.6mmがより好ましく、1.4mm~1.6mmが更に好ましい。また、太径ワイヤではローテーティング移行が起こりにくいため、1.4mmが特に望ましい。
更にまた、溶接法は一般的な定電圧特性制御の直流溶接、又は直流パルス溶接が望ましいが、交流溶接、交流パルス溶接等でも良い。パルス溶接ではピーク電流時に溶滴移行形態が不定化しやすいため、定電圧特性制御の直流溶接がより望ましい。またその場合、外部特性は-20V/100A以上-2V/100A以下が望ましい。外部特性が-2V/100Aより定電圧特性側によると、アーク長を一定にするため溶接電流が激しく動いて溶接が不安定化する。また外部特性が-20A/100Vより定電流特性側に寄ると、アーク長を一定に保つのが困難となる。
<実施例>
以下の溶接条件でGMA溶接を行うと、溶滴移行形態が準埋もれ状態でローテーティング移行を安定維持でき、安定溶接が可能となることが確認された。シールドガスの組成比は15%二酸化炭素-83%アルゴン-2%ヘリウム、総ガス流量50L/分、溶接電流800A、溶接電圧58V、突き出し長さ35mm、V受け下向き溶接、母材5の板厚25mm、ワイヤ径1.4mmのソリッドワイヤ、ワイヤ送給速度34m/分の条件で、外部特性-10V/100Aの定電圧外部特性制御の直流溶接を行うと、安定的な溶接が可能となる。
以上の通り、本実施形態に係るアーク溶接方法及びアーク溶接装置によれば、GMA溶接において溶接電流が650A以上800A以下の電流域にあっても、スパッタ発生量を抑制し、かつ溶接を安定化させることができる。
また、溶接電源2の外部特性を-20V/100A以上-2V/100A以下とすることにより、溶接電流の変動を抑えつつアーク長を一定に保ち、溶接を安定化させることができる。
更に、溶接ワイヤWとして、コアードワイヤを用いることにより、ローテーティング移行を安定維持させやすくすることができ、溶接をより安定化させることができる。
なお、上記実施形態においては、アルゴン、二酸化炭素及びヘリウムを含むシールドガスを説明したが、各ガスの容量比を維持しつつ酸素等の他のガスを補助的に添加しても良い。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 溶接ロボット
2 溶接電源
3 制御装置
4 シールドガス供給部
4a ガス配管
5 母材
51 被溶接部
11 溶接トーチ
12 ワイヤ送給部
13 基部
14 アーム
W 溶接ワイヤ
L 給電ケーブル

Claims (3)

  1. 母材の被溶接部にシールドガスを供給しながら溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに650A以上800A以下の溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接方法であって、
    前記シールドガスは、容量比が10%以上17.5%未満の二酸化炭素、容量比が82.5%以上90%未満のアルゴン、残部がヘリウムからなる3種混合ガスである
    アーク溶接方法。
  2. -20V/100A以上-2V/100A以下の定電圧特性を有する電源を用いて直流の溶接電流を前記溶接ワイヤに供給する
    請求項1に記載のアーク溶接方法。
  3. 母材の被溶接部にシールドガスを供給しながら溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに650A以上800A以下の溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接装置であって、
    容量比が10%以上17.5%未満の二酸化炭素、容量比が82.5%以上90%未満のアルゴン、残部がヘリウムからなる3種混合のシールドガスを前記被溶接部に供給するシールドガス供給部を備える
    アーク溶接装置。
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