JP2018067122A - 太陽光発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】日射量が少ない時間帯においても、MPPT制御を効率的に行う。【解決手段】DC−DCコンバータ12の基準電圧処理部33は、現在の月日、動作開始電圧、日の出及び日の入り予測情報、予め設定されたピーク時刻、及び天気予測情報に基づいて、時刻毎の基準電圧V0を設定し、基準電圧テーブル43に格納する。基準電圧処理部33は、基準電圧テーブル43から現在時刻の基準電圧V0を読み出すことで、天気係数K0が勘案された基準電圧V0を決定する。操作電圧処理部31は、操作電圧VSに対してシフト電圧ΔVを加減算した電圧に対する電力P,P1,P2を測定し、操作電圧VSの操作方向cを決定し、操作方向cに操作電圧VSをシフトし、新たな操作電圧VSを決定する。加算部34は、基準電圧V0に操作電圧VSを加算し、制御電圧Vを求める。太陽電池パネル10の出力電力は、制御電圧Vにより制御される。【選択図】図3

Description

本発明は、太陽光発電のMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を行う太陽光発電装置に関する。
従来、太陽電池パネルから電力を効率良く取り出すために、太陽電池パネルの最大電力の動作点を追従して制御するMPPT制御が知られている。MPPT制御により、太陽電池パネルから電力を有効に取り出すことができるから、MPPT制御は、太陽光発電装置において大きな役割を果たしている。
MPPT制御は、太陽電池パネルの出力電力を制御するための制御電圧を決定する際に、前回の制御電圧における出力電力と今回の制御電圧における出力電力とを比較し、その比較結果に従って制御電圧のシフト方向を決定し、制御電圧を一定量シフトさせるものである。このMPPT制御については、既に多くの手法が知られており、例えば、MPPT制御を開始する制御電圧を定格電圧とする手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
図13は、太陽電池パネルの特性の例及び従来技術を説明する図である。ここで、制御電圧が最大出力制御電圧(定格電圧)のときに最大電力を出力する特性において、その日射量をLとする。日射量Lを上回る特性Aでは、発電電力(制御電圧を定格電圧としたときの出力電力、特性Aの動作点P0における出力電力)が太陽電池パネルの定格出力よりも高くなる特性を有する。また、特性Aでは、最大の出力電力及びそのときの制御電圧の動作点(最大動作点)P-2が、日射量Lのときの最大動作点よりも上昇する特性を有する。
一方、日射量Lを下回る特性Bでは、発電電力(制御電圧を定格電圧としたときの出力電力、特性Bの動作点P0における出力電力)が太陽電池パネルの定格出力よりも低くなり、最大動作点P4が、日射量Lのときの最大動作点よりも下降する特性を有する。
このように、日射量が多くなり、それに伴って最大の出力電力が高くなると、そのときの制御電圧も高くなる。一方、日射量が少なくなり、それに伴って最大の出力電力が低くなると、そのときの制御電圧も低くなる。
そこで、特許文献1の手法では、定格電圧を基準として制御電圧を設定し、そこからMPPT制御を開始することで、最大の出力電力の動作点までの到達時間を短くし、効率的な運転を実現している。
特開2015−87959号公報
前述した特許文献1のMPPT制御の手法は、太陽電池パネルがある程度の日射の下で動作する場合に有効である。しかしながら、実際の日射量は天候に大きく左右され、曇り空または日陰等の影響を大きく受けるから、太陽電池パネルの出力電力は、天候等に応じて大きく変動する。例えば、図13の特性Cに示すように、日の出前後または日の入り前後の日射量が少ない時間帯の特性では、MPPT制御の開始点(定格電圧のときの特性Cの動作点P0)と、最大の出力電力の動作点P’とが離れてしまう。
つまり、このような時間帯においては、MPPT制御の開始点(動作点P0)における定格電圧と、最大の出力電力の動作点P’における制御電圧との間の電圧差が大きい。この手法では、シフト電圧ΔV毎に新たな制御電圧を決定することで、開始点(動作点P0)から最大の出力電力の動作点P’へ制御電圧を順次シフトさせるから、開始点(動作点P0)から動作点P’へ到達するまでの間の時間がかかるという問題があった。これは、日の出前後または日の入り前後の日射量が少ない時間帯だけでなく、天気が曇りまたは雨等の場合も同様である。
したがって、従来のMPPT制御では、日の出前後の時間帯、日の入り前後の時間帯、天気が曇りまたは雨等の時間帯のような日射量が少ないときには、発電量が安定しないだけでなく、無駄な電力を消費してしまい、MPPT制御を効率的に行うことができない。このため、このような発電量が安定しない時間帯においても、MPPT制御を効率的に行うことが所望されていた。
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、日射量が少ない時間帯においても、MPPT制御を効率的に行うことが可能な太陽光発電装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1の太陽光発電装置は、太陽電池パネルの出力電力が最大となる動作点を、基準電圧に操作電圧を加算して得られる制御電圧に基づいて追従制御する太陽光発電装置において、前記操作電圧をシフトさせたときの前記出力電力を測定し、前記出力電力に基づいて前記操作電圧のシフト方向を決定し、前記追従制御のための操作電圧を決定する操作電圧処理部と、時刻毎の基準電圧が格納された基準電圧テーブルを有し、前記基準電圧テーブルから現在時刻の基準電圧を読み出し、前記追従制御のための基準電圧を決定する基準電圧処理部と、前記基準電圧処理部により決定された前記基準電圧に、前記操作電圧処理部により決定された前記操作電圧を加算し、前記制御電圧を求める加算部と、を備え、前記基準電圧処理部が、外部から日の出及び日の入り予測情報を取得し、前記日の出及び日の入り予測情報に含まれる日の出時刻及び日の入り時刻、並びに、前記太陽電池パネルが設置された位置に応じて1日の中で日射量が最も多い時刻として予め設定されたピーク時刻を含む前記時刻毎の基準電圧を、予め設定された基準電圧に基づいて設定し、前記基準電圧テーブルに格納する、ことを特徴とする。
また、請求項2の太陽光発電装置は、請求項1に記載の太陽光発電装置において、前記基準電圧処理部が、前記ピーク時刻の基準電圧が、前記日の出時刻の基準電圧及び前記日の入り時刻の基準電圧よりも高くなるように、前記時刻毎の基準電圧を設定する、ことを特徴とする。
また、請求項3の太陽光発電装置は、請求項1または2に記載の太陽光発電装置において、前記基準電圧処理部が、さらに、外部から天気予測情報を取得し、前記天気予測情報に含まれる時間帯毎の天気に応じて、前記基準電圧が晴れ、曇り及び雨の順に低くなるように、前記基準電圧テーブルに格納された前記時刻毎の基準電圧を修正する、ことを特徴とする。
また、請求項4の太陽光発電装置は、請求項1または2に記載の太陽光発電装置において、前記基準電圧処理部が、さらに、時刻毎の天気係数が格納される天気予測情報テーブルを有し、外部から天気予測情報を取得し、前記天気予測情報に基づいて時刻毎の天気係数を算出し、前記時刻毎の天気係数を前記天気予測情報テーブルに格納し、前記時刻毎の天気係数に基づいて、前記基準電圧テーブルに格納された前記時刻毎の基準電圧を補正する、ことを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、日射量が少ない時間帯においても、MPPT制御を効率的に行うことが可能となる。
本発明の実施形態によるDC−DCコンバータ(太陽光発電装置)を含む太陽光発電システムの全体構成例を示す概略図である。 本発明の実施形態によるDC−DCコンバータ(太陽光発電装置)の構成例を示すブロック図である。 MPPT制御部の構成例を示すブロック図である。 MPPT制御部の処理例を示すフローチャートである。 基準電圧初期化処理(ステップS402)の例を示すフローチャートである。 操作方向決定処理(ステップS405)の例を示すフローチャートである。 操作電圧決定処理(ステップS406)の例を示すフローチャートである。 基準電圧決定処理(ステップS407)の例を示すフローチャートである。 基準電圧テーブル及び天気予測情報テーブルの構成例を示す図である。 時刻毎の基準電圧V0を設定する処理(ステップS505)の例を説明する図である。 天気予測情報及び基準電圧V0の例を説明する図である。 時刻毎の太陽電池パネルの特性及び基準電圧V0の例を説明する図である。 太陽電池パネルの特性の例及び従来技術を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔太陽光発電システム〕
まず、太陽光発電システムの全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態によるDC−DCコンバータ(太陽光発電装置)を含む太陽光発電システムの全体構成例を示す概略図である。この太陽光発電システム1は、太陽電池パネル10、接続箱11、DC−DCコンバータ(太陽光発電装置)12、パワーコンディショナ(DC/ACコンディショナ)13、DC−DCコンバータ14及びバッテリー15を備えている。
太陽光発電システム1は、太陽電池パネル10に蓄積された電力を商用電源(系統電源、非常用電源α,β)へ系統連系させる。接続箱11は、太陽電池パネル10の電力をDC−DCコンバータ12へ出力するためのダイオードを備えている。
DC−DCコンバータ12は、太陽電池パネル10の発電を効率的に行うために、太陽電池パネル10の出力電圧を制御して最適な電力制御を実現するMPPT制御を行う。そして、DC−DCコンバータ12は、太陽電池パネル10からのDC(直流)の出力電圧を、系統連系する商用電源に見合ったDC電圧に昇圧変換する。
パワーコンディショナ13は、DC−DCコンバータ12及びDC−DCコンバータ14からのDCの出力電圧を、系統連系する商用電源に見合ったAC電圧に変換して出力する。
DC−DCコンバータ14は、DC−DCコンバータ12からの出力電圧をバッテリー15の電圧に変換し、変換後の電圧をバッテリー15へ供給する。これにより、バッテリー15は蓄電される。また、DC−DCコンバータ14は、バッテリー15からの出力電圧を、系統連系する商用電源に見合ったDC電圧に昇圧変換し、変換後の電圧をパワーコンディショナ13に出力する。
〔DC−DCコンバータ(太陽光発電装置)12〕
次に、図1に示した本発明の実施形態によるDC−DCコンバータ(太陽光発電装置)12について説明する。図2は、DC−DCコンバータ12の構成例を示すブロック図である。このDC−DCコンバータ12は、MPPT制御部20、減算部21,24、電圧制御器22、電流検出器23,28、電流制御器25、PWM制御器26、パワー変換器27及び電圧検出器29を備えている。
MPPT制御部20は、電流検出器28から電流FB(太陽電池パネル10の出力電流)を入力すると共に、電圧検出器29から電圧FB(太陽電池パネル10の出力電圧)を入力する。また、MPPT制御部20は、予め設定された動作開始電圧を外部から入力し、インターネット等のネットワークを介して、日の出及び日の入り予測情報、並びに天気予測情報を受信する。
MPPT制御部20は、動作開始電圧、日の出及び日の入り予測情報、並びに天気予測情報に基づいて、時刻毎の基準電圧V0を決定し、そして、時々刻々変化する天気予測情報に基づいて、時刻毎の基準電圧V0を補正する。基準電圧V0は、太陽電池パネル10の最大電力の動作点を追従して制御するMPPT制御の基準となる電圧であり、日射量の異なる時刻毎に決定される。また、基準電圧V0は、動作開始電圧を下回らないものとする。
MPPT制御部20は、MPPT制御である最大電力点追従制御を行うために、電流FB及び電圧FBから電力(太陽電池パネル10の出力電力)を算出する。そして、MPPT制御部20は、算出した太陽電池パネル10の出力電力に基づいて、操作電圧VSをシフトさせる操作方向cを決定し、シフト後の操作電圧VSを決定する。
MPPT制御部20は、現在時刻の基準電圧V0に、シフト後の操作電圧VSを加算し、加算結果を制御電圧Vとして減算部21に出力する。これにより、太陽電池パネル10の出力電圧は、制御電圧Vと一致するように制御される。
減算部21は、MPPT制御部20から制御電圧Vを入力すると共に、電圧検出器29から電圧FBを入力し、制御電圧Vから電圧FBを減算して電圧偏差を求める。そして、減算部21は、電圧偏差を電圧制御器22に出力する。
電圧制御器22は、減算部21から電圧偏差を入力し、電圧偏差が0になるように電流指令を生成し、電流指令を減算部24に出力する。
電流検出器23は、パワー変換器27の出力電流(DC−DCコンバータ12の出力側の電流)を検出する。そして、電流検出器23は、出力電流を電流FB’として減算部24に出力する。
減算部24は、電圧制御器22から電流指令を入力すると共に、電流検出器23から電流FB’(DC−DCコンバータ12の出力側の電流)を入力し、電流指令から電流FB’を減算して電流偏差を求める。そして、減算部24は、電流偏差を電流制御器25に出力する。
電流制御器25は、減算部24から電流偏差を入力し、電流偏差が0になるように電圧指令を生成し、電圧指令をPWM制御器26に出力する。
このように、減算部21、電圧制御器22、減算部24及び電流制御器25により、太陽電池パネル10の出力電圧である電圧FBが、MPPT制御された制御電圧Vに一致するように制御され、電圧指令が生成される。
PWM制御器26は、電流制御器25から電圧指令を入力し、電圧指令と、図示しない発振器にて発生する信号、例えば三角波信号等とを図示しないコンパレータに入力し、PWM信号を生成する。そして、PWM制御器26は、PWM信号をパワー変換器27に出力する。パワー変換器27は、PWM制御器26からPWM信号を入力し、DC/DCの電力変換を行う。
電流検出器28は、太陽電池パネル10から接続箱11を介して入力した、太陽電池パネル10の出力電流を検出する。そして、電流検出器28は、検出した出力電流を電流FBとしてMPPT制御部20に出力する。
電圧検出器29は、太陽電池パネル10から接続箱11を介して入力した、太陽電池パネル10の出力電圧を検出する。そして、電圧検出器29は、検出した出力電圧を電圧FBとしてMPPT制御部20及び減算部21に出力する。
これにより、太陽電池パネル10の出力電圧とMPPT制御部20により出力された制御電圧Vとの間の電圧偏差が0になるように、制御が行われる。そして、太陽電池パネル10のDCの出力電力は、所定のDC電圧の電力に変換され、パワーコンディショナ13及びDC−DCコンバータ14へ供給される。
〔MPPT制御部20の構成〕
次に、図2に示したMPPT制御部20の構成について説明する。図3は、MPPT制御部20の構成例を示すブロック図である。前述のとおり、MPPT制御部20は、動作開始電圧、日の出及び日の入り予測情報、並びに天気予測情報に基づいて、時刻毎の基準電圧V0を決定し、その後の天気予測情報に基づいて、時刻毎の基準電圧V0を補正する。また、MPPT制御部20は、太陽電池パネル10の出力電力を算出することで、操作電圧VSをシフトさせる操作方向cを決定し、シフト後の操作電圧VSを決定し、現在時刻の基準電圧V0にシフト後の操作電圧VSを加算することで、制御電圧Vを求める。
MPPT制御部20は、電力算出部30、操作電圧処理部31、時計32、基準電圧処理部33及び加算部34を備えている。電力算出部30は、電流検出器28から太陽電池パネル10の出力電流である電流FBを入力すると共に、電圧検出器29から太陽電池パネル10の出力電圧である電圧FBを入力する。そして、電力算出部30は、電流FBに電圧FBを乗算し、太陽電池パネル10の出力電力である電力Pを求め、電力Pを操作電圧処理部31に出力する。
操作電圧処理部31は、方向決定手段40及び操作電圧決定手段41を備えている。方向決定手段40は、所定の操作電圧VSに対してシフト電圧ΔVを加減算した電圧に対する電力Pを電力算出部30からそれぞれ入力し、これらの電力Pに基づいて、操作電圧VSの操作方向cを決定する。そして、方向決定手段40は、操作方向cを操作電圧決定手段41に出力する。
操作電圧決定手段41は、方向決定手段40から操作方向cを入力し、操作方向cの示す方向に操作電圧VSをシフトし、MPPT制御のための新たな操作電圧VSを決定する。そして、操作電圧決定手段41は、新たな操作電圧VSを加算部34に出力する。
時計32には、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)から取得された時刻データに基づいて、現在時刻情報が設定される。時計32は、現在時刻情報を基準電圧処理部33に出力する。現在時刻情報には、現在の年月日時分秒の情報が含まれる。尚、DC−DCコンバータ12は、GPSにより時刻データを取得し、時刻データに基づいて、現在時刻情報を時計32に設定する。
基準電圧処理部33は、テーブル処理手段42、基準電圧テーブル43、天気予測情報テーブル44及び基準電圧決定手段45を備えている。テーブル処理手段42は、時計32から現在時刻情報を入力すると共に、予め設定された動作開始電圧を入力し、ネットワークを介して、日の出及び日の入り予測情報、並びに天気予測情報を受信する。
テーブル処理手段42は、現在時刻情報に含まれる月日情報、動作開始電圧、日の出及び日の入り予測情報、予め設定されたピーク時刻等に基づいて、時刻毎の基準電圧V0の初期値を設定し、基準電圧テーブル43に格納する。また、テーブル処理手段42は、天気予測情報に基づいて時刻毎の天気係数K0を算出し、時刻毎の天気係数K0を天気予測情報テーブル44に格納する。さらに、テーブル処理手段42は、天気予測情報テーブル44に格納された時刻毎の天気係数K0に基づいて、基準電圧テーブル43に格納された時刻毎の基準電圧V0を補正し、補正後の時刻毎の基準電圧V0を基準電圧テーブル43に格納する。
例えば、テーブル処理手段42は、これらの情報に基づいて、時刻毎の日射量を予測し、時刻毎の日射量から、太陽電池パネル10における時刻毎の特性(制御電圧V及び出力電力の関係)を予測する。そして、テーブル処理手段42は、予測した時刻毎の特性から、出力電力が最大となる動作点の制御電圧Vを特定し、これを時刻毎の基準電圧V0として設定する。
ピーク時刻は、1日の中で同じ天気が続いた場合に、日射量が最も多い時刻であり、太陽電池パネル10が設置された場所(緯度及び経度)に応じて、固定した時刻に予め設定される。尚、太陽光発電システム1が移動し、太陽電池パネル10の設置場所が変化する場合には、DC−DCコンバータ12は、GPSにより太陽電池パネル10の位置情報を取得し、位置情報が示す経度及び緯度に応じて、ピーク時刻を設定する。
これにより、基準電圧テーブル43には、日の出時刻、日の入り時刻、ピーク時刻等の時刻毎に、動作開始電圧が反映され、かつ当日の月日及び天気に応じて日射量が反映された基準電圧V0が、MPPT制御に先立って格納される。
図9は、基準電圧テーブル43及び天気予測情報テーブル44の構成例を示す図である。基準電圧テーブル43は、日の出時刻、ピーク時刻、日の入り時刻等の各時刻または時間帯、及び、各時刻または時間帯に対応する基準電圧V0の各データにより構成される。ここで、日の出時刻の基準電圧V0には、動作開始電圧が格納される。図9の基準電圧テーブル43には、日の出時刻の基準電圧V0(動作開始電圧)としてV0-1、ピーク時刻の基準電圧V0としてV0-2、日の入り時刻の基準電圧V0としてV0-3が格納されている。一般に、ピーク時刻の基準電圧V0-2は、日の出時刻の基準電圧V0-1及び日の入り時刻の基準電圧V0-3よりも高い。また、基準電圧テーブル43は、基準電圧V0が補正される毎に追加生成される。1番目の基準電圧テーブル43には基準電圧V0の初期値が格納され、2番目以降の基準電圧テーブル43には、補正された基準電圧V0がそれぞれ格納される。
天気予測情報テーブル44は、基準電圧テーブル43と同じ日の出時刻、ピーク時刻、日の入り時刻等の各時刻または時間帯、及び、各時刻または時間帯に対応する天気係数K0の各データにより構成される。図9の天気予測情報テーブル44には、日の出時刻の天気係数K0としてK0-1、ピーク時刻の天気係数K0としてK0-2、日の入り時刻の天気係数K0としてK0-3が格納されている。天気係数K0-1,K0-2,K0-3は、天気予測情報から算出された当該時刻の天気係数K0である。天気予測情報テーブル44は、ネットワークを介して新たな天気予測情報が取得される毎に追加生成される。
図3に戻って、基準電圧決定手段45は、時計32から現在時刻情報を入力し、現在時刻情報に含まれる時分秒情報の時刻に対応する基準電圧V0を基準電圧テーブル43から読み出すことで、天気係数K0が勘案されたMPPT制御のために用いる基準電圧V0を決定する。そして、基準電圧決定手段45は、決定した基準電圧V0を加算部34に出力する。
加算部34は、操作電圧処理部31から操作電圧VSを入力すると共に、基準電圧処理部33から基準電圧V0を入力し、以下の数式(1)に示すように、基準電圧V0に操作電圧VSを加算して制御電圧Vを求める。そして、加算部34は、制御電圧Vを減算部21に出力する。
[数1]
制御電圧V=基準電圧V0+操作電圧VS ・・・(1)
〔MPPT制御部20の処理〕
次に、図3に示したMPPT制御部20の処理について説明する。図4は、MPPT制御部20の処理例を示すフローチャートである。
MPPT制御部20は、MPPT制御に入っているか否かを判定する(ステップS401)。例えば、オペレータにより手動のボタン操作が行われた場合、または所定の条件が満たされた場合に、MPPT制御が開始または終了する。
MPPT制御部20は、ステップS401において、MPPT制御に入っていると判定した場合(ステップS401:Y)、ステップS402へ移行し、MPPT制御に入っていないと判定した場合(ステップS401:N)、当該処理を終了する。
MPPT制御部20は、ステップS401から移行して、基準電圧初期化処理を行う(ステップS402)。詳細については後述する。
MPPT制御部20は、操作電圧VSに初期値0を設定することで、操作電圧VSを初期化する(ステップS403)。
MPPT制御部20は、基準電圧V0に操作電圧VSを加算して得られた制御電圧Vについて、太陽電池パネル10の電力Pを測定する。そして、MPPT制御部20は、MPPT制御条件を満たすか否か、具体的には電力Pが所定の電力値500W以上であるか否かを判定する(ステップS404)。所定の電力値500Wは、太陽光発電システム1として太陽電池パネル10による運転が可能な電力の下限値を示し、日の出のときの電力値に相当する。
MPPT制御部20は、ステップS404において、MPPT制御条件を満たすと判定した場合、すなわち電力Pが所定の電力値500W以上であると判定した場合(ステップS404:Y)、ステップS405へ移行する。
一方、MPPT制御部20は、ステップS404において、MPPT制御条件を満たしていないと判定した場合、すなわち電力Pが所定の電力値500W以上でないと判定した場合(ステップS404:N)、MPPT制御条件を満たすまで待つ。この場合、MPPT制御部20は、所定時間経過してもMPPT制御条件を満たさない場合、エラーを表示し、MPPT制御を終了する。
MPPT制御部20は、ステップS404から移行して、操作電圧VSのシフト方向である操作方向cを決定するための操作方向決定処理を行う(ステップS405)。詳細については後述する。
MPPT制御部20は、ステップS405にて決定した操作方向cに従い、新たな操作電圧VSを決定するための操作電圧決定処理を行う(ステップS406)。詳細については後述する。
MPPT制御部20は、時々刻々と変化する天気予測情報テーブル44に格納された天気係数K0に基づいて、基準電圧テーブル43に格納された時刻毎の基準電圧V0を補正する。また、MPPT制御部20は、基準電圧テーブル43から現在時刻の基準電圧V0を読み出すことで、基準電圧V0を決定するための基準電圧決定処理を行う(ステップS407)。詳細については後述する。
尚、図4では、説明の便宜上、ステップS405、ステップS406及びステップS407を順番に記載した。ステップS407の基準電圧決定処理は、ステップS405の操作方向決定処理及びステップS406の操作電圧決定処理と連動することなく、常時または所定時間毎に行われる。
MPPT制御部20は、ステップS407から移行して、保護処理を行う(ステップS408)。具体的には、MPPT制御部20は、ステップS404と同様のMPPT制御条件を満たすか否かを判定し、リンク電圧が所定の過電圧未満であるか否かを判定し、また、太陽電池パネル10の電力Pが定格電力以下であるか否かを判定する。リンク電圧は、DC−DCコンバータ12とパワーコンディショナ13との間の電圧である。
MPPT制御部20は、MPPT制御条件を満たし、リンク電圧が過電圧未満であり、かつ電力Pが定格電力以下であると判定した場合、ステップS409へ移行する。一方、MPPT制御部20は、MPPT制御条件を満たしていないと判定した場合、リンク電圧が過電圧以下でないと判定した場合、または、電力Pが定格電力以下でないと判定した場合、これらの判定条件を満たすまで待つ。この場合、MPPT制御部20は、所定時間経過してもこれらの判定条件を満たさない場合、エラーを表示し、MPPT制御を終了する。
MPPT制御部20は、ステップS408から移行して、ステップS401と同様に、MPPT制御に入っているか否かを判定する(ステップS409)。MPPT制御部20は、ステップS409において、MPPT制御に入っていると判定した場合(ステップS409:Y)、ステップS404へ移行し、ステップS404〜ステップS408を繰り返す。一方、MPPT制御部20は、ステップS409において、MPPT制御に入っていないと判定した場合(ステップS409:N)、当該処理を終了する。
これにより、基準電圧テーブル43には、日の出時刻、日の入り時刻、ピーク時刻等の時刻毎に、動作開始電圧が反映され、かつ当日の月日及び天気に応じて日射量が反映された基準電圧V0が格納されるから、動作開始電圧及び日射量が反映された基準電圧V0に基づくMPPT制御が行われる。
〔基準電圧初期化処理(ステップS402)〕
次に、図4に示したステップS402の基準電圧初期化処理について説明する。図5は、ステップS402の基準電圧初期化処理の例を示すフローチャートである。この処理は、テーブル処理手段42及び基準電圧決定手段45により行われ、ステップS501〜ステップS506の処理は、夜間に行われる。
テーブル処理手段42は、ネットワークを介して、日の出及び日の入り予測情報を取得し(ステップS501)、天気予測情報を取得する(ステップS502)。日の出及び日の入り予測情報には、太陽電池パネル10が設置された場所を含む地域毎に、日の出時刻及び日の入り時刻が含まれている。また、天気予測情報には、太陽電池パネル10が設置された場所を含む地域毎に、時間帯毎の天気(晴れ、曇り、雨等)に関する情報が含まれている。
テーブル処理手段42は、天気予測情報に基づいて時刻毎の天気係数K0を算出し(ステップS503)、時刻毎の天気係数K0を天気予測情報テーブル44に格納する(ステップS504)。天気係数K0は、天気予測情報に応じた日射量に比例するパラメータであり、例えば晴れ、曇り、雨の順に値が小さくなる。例えば、天気予測情報が「曇り一時晴れ」の場合、天気係数K0は、天気「曇り」「晴れ」及び予報用語「一時」の各要素を数値化した所定式を用いて算出される。また、天気予測情報が「曇り時々雨」の場合、天気係数K0は、天気「曇り」「雨」及び予報用語「時々」の各要素を数値化した所定式を用いて算出される。
テーブル処理手段42は、太陽電池パネル10による運転に先立って、日の出時刻、予め設定されたピーク時刻、及び日の入り時刻を含む時刻毎に、基準電圧V0を設定する(ステップS505)。
図10は、時刻毎の基準電圧V0を設定する処理(ステップS505)の例を説明する図である。図10(1)に示すように、1年を通した月日毎に、例えば天気を晴れとした場合(晴れの天気係数K0を想定した場合)における日の出時刻の基準電圧V1S、午前12時(午後0時)の基準電圧V2S、及び日の入り時刻の基準電圧V3Sを含む基本パターンが予め設定されているものとする。また、基準電圧V1S,V2S,V3Sは、それぞれの時刻における太陽電池パネル10の特性(予測した特性)において、太陽電池パネル10の出力電力が最大となる動作点の制御電圧Vであり、過去の統計(例えば学習)により得られた値とする。尚、日の出時刻の基準電圧V1Sには、予め設定された動作開始電圧が設定されており、基準電圧V2S,V3Sは、動作開始電圧が反映されると共に、当該動作開始電圧を下回らないように設定されているものとする。
テーブル処理手段42は、図10(1)の予め設定された月日毎の基本パターンから、太陽電池パネル10による運転に先立つ月日の基本パターンを、時計32から入力した現在時刻情報に基づいて特定する。そして、テーブル処理手段42は、基本パターンに含まれる基準電圧V1S,V3Sを、日の出及び日の入り予測情報に含まれる日の出時刻及び日の入り時刻の基準電圧V1S,V3Sにそれぞれ設定する。また、テーブル処理手段42は、基本パターンに含まれる基準電圧V2Sを、予め設定されたピーク時刻の基準電圧V2Sに設定する。
テーブル処理手段42は、日の出時刻の基準電圧V1S、ピーク時刻の基準電圧V2S及び日の入り時刻の基準電圧V3Sを用いて、日の出時刻、ピーク時刻及び日の入り時刻以外の時刻毎の基準電圧V0を補間処理により算出する。これにより、図10(2)に示すように、日の出及び日の入り予測情報を反映し、補間を行った後のパターン(初期値)が得られる。
テーブル処理手段42は、天気予測情報テーブル44に格納された天気係数K0に基づいて、時刻毎の基準電圧V0の初期値を補正する。基準電圧V0の初期値は、例えば天気が晴れの場合を基準に設定されており、一般に、天気が曇りの場合は晴れの場合に比べ日射量が減り、雨の場合にはさらに日射量が減る。基準電圧V0は、太陽電池パネル10の出力電力が最大となる動作点の制御電圧Vであり、日射量が減ると、出力電力が最大となる動作点の制御電圧Vが低くなる(図13の特性A,B,Cを参照)。したがって、天気が晴れの場合は、曇り及び雨の場合に比べ、基準電圧V0が高い値となり、曇りの場合は、雨の場合に比べ基準電圧V0が高い値となる。
図11は、天気予測情報及び基準電圧V0の例を説明する図である。横軸は時刻を示し、縦軸は基準電圧V0を示す。図11に示すように、日中の各時刻の基準電圧V0は、天気が晴れ、曇り及び雨の順に低い値となる。また、日の出時刻の基準電圧V0は、天気に依存することなく近い値となり、日の入り時刻の基準電圧V0も同様である。さらに、基準電圧V0は、ピーク時刻に近いほど、高い値となる。日の出時刻の基準電圧V0が動作開始電圧であり、全時刻の基準電圧V0は動作開始電圧を下回ることがない。
図10に戻って、テーブル処理手段42は、例えば、天気予測情報が示す時間帯の天気が曇りの場合(天気予測情報テーブル44に格納された天気係数K0が曇りを示す値KAの場合)、当該時間帯の基準電圧V0に天気係数KAを乗算し、当該時間帯については、乗算結果の基準電圧V0×KAを新たな基準電圧V0に設定する。また、テーブル処理手段42は、例えば、天気予測情報が示す時間帯の天気が雨の場合(天気予測情報テーブル44に格納された天気係数K0が雨を示す値KBの場合)、当該時間帯の基準電圧V0に天気係数KBを乗算し、当該時間帯については、乗算結果の基準電圧V0×KBを新たな基準電圧V0に設定する。これにより、図10(3)に示すように、天気係数K0を反映した後のパターン(例えば、ピーク時刻の基準電圧V2SがV2S×KAに補正されたパターン)が得られる。
図5に戻って、テーブル処理手段42は、ステップS505から移行して、ステップS505にて設定した時刻毎の基準電圧V0を、基準電圧テーブル43に格納する(ステップS506)。つまり、テーブル処理手段42は、図10(2)に示したパターンを時刻毎の基準電圧V0の初期値として、基準電圧テーブル43に格納すると共に、図10(3)に示したパターンを時刻毎の基準電圧V0として、基準電圧テーブル43に格納する。
これにより、基準電圧テーブル43には、基準の天気(例えば晴れの天気係数K0)が反映された時刻毎の基準電圧V0の初期値、及び、天気予報情報から得られた天気係数K0が反映された時刻毎の基準電圧V0が格納される。ステップS501〜ステップS506の処理は夜間に行われ、基準電圧テーブル43は、運転に先立って夜間に生成される。
図12は、時刻毎の太陽電池パネル10の特性及び基準電圧V0の例を説明する図である。横軸は制御電圧V(基準電圧V0+操作電圧VS)を示し、縦軸は太陽電池パネル10の出力電力を示す。操作電圧VS=0とし、基準電圧テーブル43には、図9に示した基準電圧V0が格納されているものとする。日の出及び日の入り時刻の特性は、制御電圧V=基準電圧V0-1,V0-3のときに出力電力が最大となる特性であり、ピーク時刻の特性は、制御電圧V=基準電圧V0-2のときに出力電力が最大となる特性である。
図5のステップS506により基準電圧V0が格納され生成された基準電圧テーブル43(図9に示した基準電圧テーブル43)は、図12に示した太陽電池パネル10の特性を予定しているものといえる。
図5に戻って、基準電圧決定手段45は、ステップS506から移行して、時計32から現在時刻情報を取得する(ステップS507)。そして、基準電圧決定手段45は、現在時刻情報に含まれる時分秒情報の時刻を特定し、現在時刻に対応する基準電圧V0を基準電圧テーブル43から読み出す(ステップS508)。そして、基準電圧決定手段45は、基準電圧テーブル43から読み出した基準電圧V0、すなわち天気予測情報テーブル44に格納された天気係数K0が勘案された基準電圧V0を加算部34に出力する(ステップS509)。
このように、基準電圧V0は、日の出及び日の入り予測情報、ピーク時刻、並びに天気予測情報が反映されているから、実際の太陽電池パネル10の特性は、図12に示した特性に近くなる。そして、全ての時刻において、出力電力が最大となる制御電圧V=基準電圧V0を基準(開始点)にしてMPPT制御が行われるから、開始点から最大の出力電力の動作点(実際の動作点)へ短時間で到達することが可能となる。したがって、日の出及び日の入り、ピーク時刻、及び天気を考慮するようにしたから、日射量が少ない時間帯においても、MPPT制御を効率的に行うことが可能となる。
〔操作方向決定処理(ステップS405)〕
次に、図4に示したステップS405の操作方向決定処理について説明する。図6は、ステップS405の操作方向決定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、方向決定手段40により行われる。
方向決定手段40は、操作電圧決定手段41により決定された操作電圧VS(初期値は0)を入力する(ステップS601)。そして、方向決定手段40は、操作電圧VSに対してシフト電圧ΔVを加減算した操作電圧VS,VS−ΔV,VS+ΔVのときの太陽電池パネル10の電力P,P1,P2を測定する(ステップS602)。
具体的には、方向決定手段40は、操作電圧VSのときの電力Pを測定するために、操作電圧決定手段41が操作電圧VSを加算部34に出力する。加算部34により、基準電圧V0に操作電圧VSが加算され、制御電圧Vが求められる。そして、方向決定手段40は、この制御電圧Vにて制御された太陽電池パネル10の電力Pを電力算出部30から入力する。
また、方向決定手段40は、操作電圧VS−ΔVのときの電力P1を測定するために、操作電圧決定手段41が操作電圧VS−ΔVを加算部34に出力する。加算部34により、基準電圧V0に操作電圧VS−ΔVが加算され、制御電圧Vが求められる。そして、方向決定手段40は、この制御電圧Vにて制御された太陽電池パネル10の電力P1を電力算出部30から入力する。
同様に、方向決定手段40は、操作電圧VS+ΔVのときの電力P2を測定するために、操作電圧決定手段41が操作電圧VS+ΔVを加算部34に出力する。加算部34により、基準電圧V0に操作電圧VS+ΔVが加算され、制御電圧Vが求められる。そして、方向決定手段40は、この制御電圧Vにて制御された太陽電池パネル10の電力P2を電力算出部30から入力する。そして、操作電圧決定手段41は、元の操作電圧VSに戻し、操作電圧VSを加算部34に出力する。
方向決定手段40は、電力Pが電力P1以上(電力P≧電力P1)であり、かつ電力Pが電力P2以上(電力P≧電力P2)であるか否かを判定する(ステップS603)。方向決定手段40は、ステップS603において、電力P≧電力P1かつ電力P≧電力P2であると判定した場合(ステップS603:Y)、電力P,P1,P2の中で電力Pが最も高いとして、操作方向cに0を設定する(ステップS604)。
一方、方向決定手段40は、ステップS603において、電力P≧電力P1かつ電力P≧電力P2でないと判定した場合(ステップS603:N)、電力P1が電力P2以上(電力P1≧電力P2)であるか否かを判定する(ステップS605)。
方向決定手段40は、ステップS605において、電力P1≧電力P2であると判定した場合(ステップS605:Y)、電力P,P1,P2の中で電力P1が最も高いとして、操作方向cに−1を設定する(ステップS606)。
一方、方向決定手段40は、ステップS605において、電力P1≧電力P2でないと判定した場合(ステップS605:N)、電力P,P1,P2の中で電力P2が最も高いとして、操作方向cに+1を設定する(ステップS607)。
方向決定手段40は、ステップS604、ステップS606またはステップS607から移行して、操作方向cを操作電圧決定手段41に出力する(ステップS608)。操作方向c=0は、操作電圧VSをシフトさせないことを示し、操作方向c=−1は、操作電圧VSをマイナス方向へシフト電圧ΔVだけシフトさせることを示し、操作方向c=+1は、操作電圧VSをプラス方向へシフト電圧ΔVだけシフトさせることを示す。
このように、方向決定手段40により、操作電圧VS,VS−ΔV,VS+ΔVのときの太陽電池パネル10の電力P,P1,P2が測定され、最も高い電力P,P1,P2の方向に操作電圧VSをシフトさせるための操作方向cが決定される。
〔操作電圧決定処理(ステップS406)〕
次に、図4に示したステップS406の操作電圧決定処理について説明する。図7は、ステップS406の操作電圧決定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、操作電圧決定手段41により行われる。
操作電圧決定手段41は、方向決定手段40から操作方向cを入力する(ステップS701)。操作電圧決定手段41は、操作方向cが0の場合(ステップS702:c=0)、元の操作電圧VSを維持する。
一方、操作電圧決定手段41は、操作方向cが−1の場合(ステップS702:c=−1)、元の操作電圧VSからシフト電圧ΔVを減算し、新たな操作電圧VSを求める(ステップS703)。また、操作電圧決定手段41は、操作方向cが+1の場合(ステップS702:c=+1)、元の操作電圧VSにシフト電圧ΔVを加算し、新たな操作電圧VSを求める(ステップS704)。
操作電圧決定手段41は、ステップS702、ステップS703またはステップS704から移行して、操作電圧VSを加算部34に出力する(ステップS705)。
このように、操作電圧VSは、太陽電池パネル10の電力Pが高くなる操作方向cへ、シフト電圧ΔV単位にシフトする。
〔基準電圧決定処理(ステップS407)〕
次に、図4に示したステップS407の基準電圧決定処理について説明する。図8は、ステップS407の基準電圧決定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、テーブル処理手段42及び基準電圧決定手段45により行われる。
テーブル処理手段42は、太陽電池パネル10の運転中に、ネットワークを介して、天気予測情報を取得し(ステップS801)、天気予測情報に基づいて、時刻毎の天気係数K0を算出する(ステップS802)。そして、テーブル処理手段42は、時刻毎の天気係数K0を天気予測情報テーブル44に格納する(ステップS803)。天気予測情報は、例えば、所定時刻毎または所定周期のタイミングで取得される。
テーブル処理手段42は、基準電圧テーブル43から時刻毎の基準電圧V0の初期値を読み出す。そして、テーブル処理手段42は、時刻毎の基準電圧V0の初期値に、対応する時刻毎の天気係数K0を乗算して最新の基準電圧V0を補正し、補正後の時刻毎の基準電圧V0を新たな基準電圧V0として基準電圧テーブル43に格納する(ステップS804)。
図10(3)及び図11にて説明したとおり、基準電圧V0は、天気に応じて異なる値となる。したがって、基準電圧V0が基準電圧テーブル43に格納されたときの過去の天気と、現在の天気予測情報が示す天気とが異なる場合、基準電圧V0は、予測した天気の変化に応じて補正されるべきである。
そこで、テーブル処理手段42により、ステップS804において、基準電圧テーブル43における所定時刻の基準電圧V0が格納されたときの当該所定時刻の天気と、現在の天気予測情報が示す当該所定時刻の天気とが異なる場合(天気係数K0が異なる場合)、当該所定時刻の基準電圧V0が補正される。
例えば、過去の天気予測情報が示す所定時刻の天気が曇りであり、現在の天気予測情報が示す当該所定時刻の天気が晴れである場合を想定する。天気が曇りの場合の天気係数K0をKA、天気が晴れの場合の天気係数K0をKSとする(KA<KS)。基準電圧テーブル43には、所定時刻の最新の基準電圧としてV0×KAが格納されている。テーブル処理手段42は、取得した現在の天気予測情報が示す所定時刻の天気が晴れであるから、基準電圧V0の初期値に天気係数KSを乗算し、乗算結果の基準電圧V0×KSを新たな基準電圧V0に設定し、補正後の基準電圧V0として基準電圧テーブル43に格納する。尚、天気が晴れを基準として基準電圧V0の初期値が設定されている場合、天気が晴れの場合の天気係数K0はKS=1である。また、テーブル処理手段42は、現在の天気予測情報が示す当該所定時刻の天気が雨である場合(天気係数K0をKBとする(KB<KA<KS))、当該所定時刻については、乗算結果の基準電圧V0×KBを新たな基準電圧V0に設定し、補正後の基準電圧V0として基準電圧テーブル43に格納する。
基準電圧決定手段45は、ステップS804から移行して、時計32から現在時刻情報を取得する(ステップS805)。そして、基準電圧決定手段45は、現在時刻情報に含まれる時分秒情報の時刻を特定し、現在時刻に対応する基準電圧V0を基準電圧テーブル43から読み出す(ステップS806)。そして、基準電圧決定手段45は、基準電圧テーブル43から読み出した基準電圧V0、すなわち天気予測情報テーブル44に格納された天気係数K0が勘案された基準電圧V0を加算部34に出力する(ステップS807)。
このように、基準電圧V0は、時々刻々と変化する天気予測情報が反映されているから、実際の太陽電池パネル10の特性は、図12に示したような予定した特性に一層近くなる。そして、全ての時刻において、出力電力が最大となる制御電圧V=基準電圧V0を基準(開始点)にしてMPPT制御が行われるから、開始点から最大の出力電力の動作点(実際の動作点)へ短時間で到達することが可能となる。したがって、日の出及び日の入り、ピーク時刻、及び天気を考慮するようにしたから、日射量が少ない時間帯においても、MPPT制御を一層効率的に行うことが可能となる。
以上のように、本発明の実施形態のDC−DCコンバータ(太陽光発電装置)12によれば、基準電圧処理部33のテーブル処理手段42は、太陽電池パネル10の運転に先立って、現在の月日、動作開始電圧、日の出及び日の入り予測情報、予め設定されたピーク時刻、及び天気予測情報に基づいて、日の出時刻、ピーク時刻及び日の入り時刻を含む時刻毎に、天気予測情報を反映した基準電圧V0を設定し、基準電圧テーブル43に格納する。また、テーブル処理手段42は、太陽電池パネル10の運転中に、最新の天気予測情報に基づいて天気係数K0を算出し、天気予測情報テーブル44に格納し、天気予測情報テーブル44に格納された天気係数K0に基づいて、基準電圧テーブル43に格納された基準電圧V0を補正する。
これにより、基準電圧テーブル43には、天気が晴れの時刻について、曇り及び雨の場合よりも高い値の基準電圧V0が格納され、天気が曇りの時刻について、雨の場合よりも高い値の基準電圧V0が格納される。
そして、基準電圧処理部33の基準電圧決定手段45は、基準電圧テーブル43から現在時刻の基準電圧V0を読み出すことで、天気係数K0が勘案された基準電圧V0を決定する。また、操作電圧処理部31の方向決定手段40は、操作電圧VSに対してシフト電圧ΔVを加減算した電圧に対する電力P,P1,P2を測定し、これらの電力P,P1,P2に基づいて、操作電圧VSの操作方向cを決定する。操作電圧決定手段41は、操作方向cの示す方向に操作電圧VSをシフトし、新たな操作電圧VSを決定する。加算部34は、基準電圧決定手段45により決定された基準電圧V0に、操作電圧決定手段41により決定された操作電圧VSを加算し、制御電圧Vを求める。
このようにして求めた制御電圧Vにより、太陽電池パネル10の出力電力が制御される。これにより、基準電圧テーブル43の基準電圧V0は、時々刻々と変化する天気予測情報が反映される。そして、出力電力が最大となる制御電圧V=基準電圧V0を用いてMPPT制御が行われるから、開始点から最大の出力電力の動作点(実際の動作点)へ短時間で到達することが可能となる。つまり、日の出及び日の入り、ピーク時刻、及び天気を考慮するようにしたから、日射量が少ない時間帯においても、MPPT制御を効率的に行うことが可能となる。
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施形態では、DC−DCコンバータ12のMPPT制御部20は、ネットワークを介して、天気予測情報を取得し、天気予測情報に基づいて、基準電圧V0を設定し補正するようにした。これに対し、MPPT制御部20は、ネットワークを介して、天気予測情報の代わりに、日射量予測情報を取得するようにしてもよい。日射量予測情報には、太陽電池パネル10が設置された場所を含む地域毎に、時刻毎または時間帯毎の日射量が含まれる。MPPT制御部20は、日射量予測情報に基づいて、基準電圧V0を設定し補正する。具体的には、MPPT制御部20は、日射量が増加した時間帯について、元の基準電圧V0に対しその増加分に比例した所定値を加算して新たな基準電圧V0を設定する。また、MPPT制御部20は、日射量が減少した時間帯について、基準電圧V0に対しその減少分に比例した所定値を減算して新たな基準電圧V0を設定する。
尚、本発明の実施形態によるDC−DCコンバータ12のハードウェア構成としては、マイクロプロセッサMPU等により実現することができる。DC−DCコンバータ12は、MPU、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。DC−DCコンバータ12に備えた電力算出部30、操作電圧処理部31、基準電圧処理部33及び加算部34の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
1 太陽光発電システム
10 太陽電池パネル
11 接続箱
12 DC−DCコンバータ(太陽光発電装置)
13 パワーコンディショナ
14 DC−DCコンバータ
15 バッテリー
20 MPPT制御部
21,24 減算部
22 電圧制御器
23,28 電流検出器
25 電流制御器
26 PWM制御器
27 パワー変換器
29 電圧検出器
30 電力算出部
31 操作電圧処理部
32 時計
33 基準電圧処理部
34 加算部
40 方向決定手段
41 操作電圧決定手段
42 テーブル処理手段
43 基準電圧テーブル
44 天気予測情報テーブル
45 基準電圧決定手段

Claims (4)

  1. 太陽電池パネルの出力電力が最大となる動作点を、基準電圧に操作電圧を加算して得られる制御電圧に基づいて追従制御する太陽光発電装置において、
    前記操作電圧をシフトさせたときの前記出力電力を測定し、前記出力電力に基づいて前記操作電圧のシフト方向を決定し、前記追従制御のための操作電圧を決定する操作電圧処理部と、
    時刻毎の基準電圧が格納された基準電圧テーブルを有し、前記基準電圧テーブルから現在時刻の基準電圧を読み出し、前記追従制御のための基準電圧を決定する基準電圧処理部と、
    前記基準電圧処理部により決定された前記基準電圧に、前記操作電圧処理部により決定された前記操作電圧を加算し、前記制御電圧を求める加算部と、を備え、
    前記基準電圧処理部は、
    外部から動作開始電圧、並びに日の出及び日の入り予測情報を取得し、
    前記日の出及び日の入り予測情報に含まれる日の出時刻の基準電圧に前記動作開始電圧を設定すると共に、前記日の出及び日の入り予測情報に含まれる日の入り時刻、及び、前記太陽電池パネルが設置された位置に応じて1日の中で日射量が最も多い時刻として予め設定されたピーク時刻を含む前記時刻毎の基準電圧を、予め設定された基準電圧に基づいて設定し、前記基準電圧テーブルに格納する、ことを特徴とする太陽光発電装置。
  2. 請求項1に記載の太陽光発電装置において、
    前記基準電圧処理部は、
    前記ピーク時刻の基準電圧が、前記日の出時刻の基準電圧及び前記日の入り時刻の基準電圧よりも高くなるように、前記時刻毎の基準電圧を設定する、ことを特徴とする太陽光発電装置。
  3. 請求項1または2に記載の太陽光発電装置において、
    前記基準電圧処理部は、
    さらに、外部から天気予測情報を取得し、前記天気予測情報に含まれる時間帯毎の天気に応じて、前記基準電圧が晴れ、曇り及び雨の順に低くなるように、前記基準電圧テーブルに格納された前記時刻毎の基準電圧を補正する、ことを特徴とする太陽光発電装置。
  4. 請求項1または2に記載の太陽光発電装置において、
    前記基準電圧処理部は、
    さらに、時刻毎の天気係数が格納される天気予測情報テーブルを有し、外部から天気予測情報を取得し、前記天気予測情報に基づいて時刻毎の天気係数を算出し、前記時刻毎の天気係数を前記天気予測情報テーブルに格納し、前記時刻毎の天気係数に基づいて、前記基準電圧テーブルに格納された前記時刻毎の基準電圧を補正する、ことを特徴とする太陽光発電装置。
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