JP2018065732A - 光散乱性被膜を備えた複層ガラスからなる窓ガラス - Google Patents

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忍 荒田
敬介 村田
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Abstract

【課題】本発明は、複層ガラスのガラス板に光散乱性被膜を設けた場合において、光散乱性被膜に投影される映像への気温や外気圧による影響を少なくできる、構造を提供することを課題とする。【解決手段】 本発明の複層ガラスは、投影された映像を表示する光散乱性被膜、すなわち透明な分散媒体中に光散乱体を分散させた被膜を備え、前記複層ガラスは、所定距離を隔てて対向する第一のガラス板と、第二のガラス板と、前記第一のガラス板と前記第二のガラス板との間に密閉された中空層と、前記第一のガラス板上に形成された光散乱性被膜とを備え、前記第一のガラス板の厚み(T1)が、前記第二のガラス板の厚み(T2)よりも厚いことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、投影機から投射された映像光を、観察者に映像として視認可能に表示する光散乱性被膜が形成された複層ガラスに関する。
街の商業ビルのショーウィンドウや、案内板等に、光透過性を保持したまま広告等の情報を投影表示する透明スクリーンが、建築物分野において近年注目を集めている。また、建築物の分野だけでなく、自動車のフロントガラスに位置情報等を投影するディスプレイとしての透明スクリーンの利用も近年盛んに研究されており、自動車分野でも注目を集めている。
中でも、透明な分散媒体中に光散乱体を分散させた、光散乱性被膜と、ガラス基材等の基材とを含む物品が、スクリーンの透明性や、映像の鮮鋭性の観点から注目されている。そして、光散乱性被膜の検討例としては、特許文献1、2、3のような、ダイヤモンドやシリカ等の微粒子が分散した樹脂被膜が知られている。
これらとは別にスクリーン体の建築分野での活用例として、特許文献4は、複層ガラスの密閉空間内にスクリーン体が封入された構造を開示している。
特開2016−177245号公報 再公表WO2008−016088号公報 特開2011−113068号公報 特開2006−72123号公報
居室等の断熱性を高めるために、特に建築分野においては、窓やガラス壁面等に複層ガラスが広く使用されるようになってきている。複層ガラスは、複数のガラス板間に密閉された中空層を備えているので、気温や外気圧によっては、前記ガラス板に湾曲が生じる。前記光散乱性被膜を、複層ガラスの前記ガラス板に設けた場合、投影機から投射された映像がガラス板の湾曲の影響を受けて歪むことになる。
本発明は、複層ガラスのガラス板に光散乱性被膜を設けた場合において、光散乱性被膜に投影される映像への気温や外気圧による影響を少なくできる、構造を提供することを課題とする。
本発明の複層ガラスは、投影された映像を表示する光散乱性被膜、すなわち透明な分散媒体中に光散乱体を分散させた被膜を備え、
前記複層ガラスは、所定距離を隔てて対向する第一のガラス板と、第二のガラス板と、前記第一のガラス板と前記第二のガラス板との間に密閉された中空層と、前記第一のガラス板上に形成された光散乱性被膜とを備え、
前記第一のガラス板の厚み(T1)が、前記第二のガラス板の厚み(T2)よりも厚いことを特徴とするものである。
複層ガラスは、周縁部に封止構造を備えることで、前記第一のガラス板と前記第二のガラス板との間に密閉された中空層が形成される。該中空層は、外気圧と同じ気圧となろうとするので、気温や外気圧によってはガラス板の主面に対して圧力がかかり、前記ガラス板に湾曲が生じる。ガラス板の湾曲にあっては、複層ガラスが膨らんで、図3のようにガラス板が外気側に凸状に湾曲することもあれば、図2のように複層ガラスが凹んで、ガラス板が中空層側に凹状に湾曲することもある。
本発明では、光散乱性被膜が形成された第一のガラス板の厚み(T1)を、前記第二のガラス板の厚み(T2)よりも厚いものとすることで、第一のガラス板の剛性を、第2のガラス板の剛性よりも高いものとしている。そのため、気温や外気圧の影響でガラス板に湾曲が生じる場合であっても、第1のガラス板の方の湾曲を、第2のガラス板側の湾曲よりも小さくし、光散乱性被膜に投影される像への影響を少なくせしめている。
本発明の光散乱性被膜を備えた複層ガラスは、気温や外気圧といった周囲の環境によって、前記ガラス板に湾曲が生じても、光散乱性被膜が形成された側のガラス板の湾曲を小さくできる。そのため、光散乱性被膜に投影される映像への気温や外気圧による影響を少なくできる。特に店舗用の窓ガラスは、大面積のものが多いので、本発明の適用に好ましい用途となる。
本発明の光散乱性被膜を備えた複層ガラスの断面の要部を説明する図である。 本発明の光散乱性被膜を備えた複層ガラスにおいて、ガラス板にかかる圧力(外気側から中空層側へと圧力がかかる場合)と各ガラス板の湾曲度合いを説明する図である。 本発明の光散乱性被膜を備えた複層ガラスにおいて、ガラス板にかかる圧力(中空層側から外気側へと圧力がかかる場合)と各ガラス板の湾曲度合いを説明する図である。
本発明の光散乱性被膜を備えた複層ガラスを、図面を用いて説明する。図1は、本発明の光散乱性被膜を備えた複層ガラス1の断面の要部を説明する図である。複層ガラス1は、投影された映像を表示する光散乱性被膜2(透明な分散媒体中に光散乱体を分散させた被膜)を、第一のガラス板21の主面に備え、前記第一のガラス板21は、所定距離を隔てて、第二のガラス板22と対向する。各ガラス板の周縁部では、スペーサー5、封止剤61、封止剤62とで封止構造が形成され、前記第一のガラス板と前記第二のガラス板との間が、密閉された中空層4となる。また、スペーサー5内には、乾燥剤(図示省略)が埋設され、該乾燥剤の効果で、中空層4内の気体が乾燥気体となる。
<光散乱性被膜3について>
前記光散乱性被膜3は、透明な分散媒体中に光散乱体を分散させた被膜である。前記透明な分散媒体の例としては、有機高分子としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアセチルセルロース樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等があげられる。また、無機酸化物高分子としては、ケイ素や、チタン、ジルコニウム、鉄、亜鉛、錫、ハフニウム、タングステンなどの原子を中心として、酸素原子を介して、網目状に高分子化した無機酸化物高分子であり、例えば、シリカ等のケイ素酸化物や、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ハフニウム、酸化タングステンなどの原料又は出発材料を挙げることができ、またこれらを混合して用いることもできる。
前記光散乱体の例としては、中空シリカビーズ、中空樹脂ビーズなどの低屈折率粒子や、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化すず、チタン酸バリウム、ダイヤモンドなどの高屈折率粒子等があげられる。このなかでは、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子やダイヤモンド粒子が、屈折率が高く光散乱性が強いため、光散乱性被膜の光散乱体として使用する上で、透明性と映像の鮮鋭性を両立できる点で好ましい。
前記光散乱性被膜3の膜厚は、1〜100μmとすることが好ましい。前記光散乱性被膜の膜厚を、この範囲とすることで、投影された映像を該被膜に表示しやすくなる。これを考慮すると、前記光散乱性被膜3の膜厚は、2〜50μm、さらには、2〜30μmとしてもよい。また、複層ガラス1の周縁部は、サッシュ、グレージングチャンネル、ガラス壁面のガラス固定に用いられる枠体等の枠体に収納されるので、前記光散乱性被膜3は、枠体に収納される幅と同一程度の被膜の非形成部を設けてもよい。図1の例では、前記光散乱性被膜3は、前記第一のガラス板21の外気側主面に形成されているが、外気側主面ではなく中空層4側の主面に形成されていてもよい。
前記光散乱性被膜3は、塗布方法で得られたものとすることが好ましい。第1のガラス板21に対して、光散乱性被膜3を形成するための塗布液を、例えば、スピンコート法、バーコート法、リバースロールコート法、その他のロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ノズルコート法、ディスペンサーコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の公知の方法で、塗布することで、光散乱性被膜3を形成することができる。前記塗布液は、前記透明な媒体の原料と、前記光散乱体とを混合して調製することができる。
前記塗布液は、好ましくは、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、エチルラクテート、ブチルラクトン、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、2−プロパノン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ノルマルブチル、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、モルフォリン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどの溶媒を含んでもよい。前記透明な媒体が、樹脂の場合、透明な媒体の原料は、樹脂を、1−メトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノン、酢酸ノルマルブチル、トルエン、キシレンなどの溶剤に溶かしたものを使用することができる。前記透明な媒体が、ケイ素酸化物の場合、アルコキシシランなどの酸化ケイ素の前駆体化合物を、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの溶媒中で、加水分解、及び縮合して形成したゾルを使用することができる。
前記塗布液中には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、公知の界面活性剤や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、分散剤、加水分解防止剤、防黴剤等の成分が含有されていてもよい。
前記塗布液を前記第1のガラス板21に塗布した後、熱あるいは活性エネルギー線にて硬化させ、前記基材表面に光散乱性被膜を形成することができる。硬化させるための加熱温度は、例えば、40〜300℃、好ましくは、50〜250℃であり、加熱温度は、例えば、1〜240分間、好ましくは、5〜120分間であることが好適である。加熱は、常圧下だけではなく、加圧下や、減圧下、不活性雰囲気下で行っても良い。
<第1のガラス板21、第2のガラス板22について>
第一のガラス板21、第二のガラス板22としては、建築用、産業用ガラス等に通常用いられているガラス板を使用できる。それら、ガラス板は、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等で製造されるものを使用できる。ガラス種の例としては、クリアをはじめグリーン、ブロンズ等の各種着色ガラスや赤外線カットガラス、電磁遮蔽ガラス、低放射膜付ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等の防火ガラスに供し得るガラス、強化ガラス、耐熱強化ガラス、合わせガラス等が挙げられる。
また、本発明の複層ガラスのすべてのガラス板表面において、金属および金属酸化物を積層させた熱線反射膜や、低反射膜、飛散防止膜、着色膜、遮音膜、遮熱膜、視野角度選択膜等の機能性薄膜を形成してもよい。耐久性の観点から、特に、ガラス板の中空層4側に成膜することが、機能性薄膜がきずつきにくく好ましい。本発明の複層ガラスでは、第一のガラス板上には光散乱性被膜が形成されていることから、前記機能性薄膜は、第一のガラスの光散乱性被膜が形成されていない面、光散乱性被膜と第一のガラス板の中間、光散乱性被膜の上、第二のガラス板のいずれかの主面、に形成される。特に反射率の高い機能性被膜を光散乱性被膜と第一のガラス板の中間、または光散乱性被膜の上に形成し、映像投射機側から「光散乱性被膜/反射率の高い機能性被膜」の順とすることで、映像投射機側から見た映像の鮮鋭性が増強する。
前記第一のガラス板の厚み(T1)は、前記第二のガラス板の厚み(T2)よりも厚いものが使用される。ガラス板の厚みとガラス板の剛性とは相関性があり、ガラス板は、厚い方が撓みにくくなる。複層ガラス1においては、中空層4は、複層ガラス1の周囲の外気と同じ圧力になろうとするので、外気圧によってはガラス板の主面に対して、図2、図3で示したような方向で圧力がかかり、前記ガラス板に湾曲が生じることになる。ガラス板の撓み量は、ガラス板の剛性の影響を受けることから、本発明の複層ガラス1では、第2のガラス板22が、同じ厚みの複層ガラスの場合と比べて大きく湾曲して応力を緩和し、その分第1のガラス板21の湾曲が小さくなる。かくして、第1のガラス板21上に設けられた光散乱性被膜3に投影される像が歪みにくい、気温や外気圧の変動の影響が少ない構造とできる。
このことを考慮すると、T1/T2を、1.2以上、さらには1.3以上、またさらに1.4以上とすることが好ましい。T1/T2の上限については、前記した剛性の観点からは制限されるものではないが、高すぎると複層ガラスの製造をしにくくなる虞があるので、5としてもよい。また、T1を、5〜15mm、さらには8〜15mm、またさらには、10〜15mm、T2が、2〜8mmさらには、2〜7mm、とすることが好ましい。各厚みを、この厚みにしておくと、既存の複層ガラスの製造設備でも、効率的に製造できるので好ましい。
第一のガラス板21および第二のガラス板22の大きさ(面積)は、例えば、0.1〜20mとすることができる。光散乱性被膜3に投影される映像の大きさを確保することの観点から、その大きさは1m以上とすることが好ましい。また、複層ガラス1が店舗用途に使用される場合は、その大きさは1m以上とすることが好ましい。さらには、第一のガラス板21および第二のガラス板22の大きさ(面積)は、同じであることが好ましく、その形状は、矩形状のもの、円形状のもの、多角形状のもの等、複層ガラス1の用途に応じて設定することができる。
<その他の構成について>
スペーサー5は、アルミニウム製またはステンレス鋼製等の筒状に形成されたものであり、ガラス板21、22の周縁部に配置される。複層ガラス1が矩形状の場合、スペーサー5は、複層ガラス1の周縁部の上辺部、下辺部、左辺部、右辺部に配置される4本の筒状の直線状部材と、その4本を連結するコーナーキー(図示省略)とを備える。スペーサー5の内部には、ゼオライトまたはシリカゲル等の乾燥剤(図示省略)が充填されている。そして、該スペーサー5の筒状部の中空層4側には、複数の通気孔が設けられ、上記乾燥剤が中空層4の湿気を吸湿可能となっている。
当該スペーサー5を介して上記の第一のガラス板21及び第二のガラス板2が配置される。この時、中空層4の厚みが4〜24mmとなるようにスペーサー5が選択される。内部空間4に水分が浸入しないようにするために、スペーサー5の両側にブチルゴム等の封止剤61が貼着されて、第一のガラス板21と、第二のガラス板22と、スペーサー5とが接着一体化される。また、第一のガラス板21と第二のガラス板22とスペーサー5に囲まれた部分には、シリコーンシーラントまたはポリサルファイドシーラント等の封止剤62が充填されることが好ましい。内部空間4のガスとしては、空気、アルゴン、クリプトン、キセノン、ヘリウム、ネオン、又はそれらの混合ガス等が使用される。
複層ガラス1は、ドアおよび窓のサッシに直付けまたは嵌め込み用に予め製作および調整されたサッシ枠に、直にまたはグレージングチャンネル等の取り付け部材である枠を介して取り付けられ、固定窓、可動窓等の窓、開閉ドア等のドアへの取り付けに際して1個の構成材として扱われることができる。
実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。本実施例および比較例で得られた複層ガラスは、以下に示す方法により品質評価を行った。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.第一のガラス板21、第二のガラス板22の準備
各実施例、各比較例のガラス板を準備した。各実施例、各比較例の板厚は、表1に示すとおりである。サイズは、矩形状の610mmX610mmのフロートガラス板(ソーダライムガラス)からなるものである。表1中、FLは「フロートガラス板」、FLの後の数値は、ガラス板の厚みを表している。各ガラス板の表面を酸化セリウムで研磨した後、イオン交換水で洗浄後、乾燥させた。得られたもののうち、後述する光散乱性被膜の形成を行うものを、第一のガラス板とし、光散乱性被膜1の形成を行わずそのまま使用するものを第二のガラス板22とした。
2.光散乱性被膜3形成用塗布液の調製
以下の2通りの方法で、光散乱性被膜3形成用塗布液を調製した。
(実施例1〜17、比較例1〜4における光散乱性被膜3形成用塗布液の調製)
ガラス容器に、平均粒子径200nmの酸化ジルコニウム粒子(0.20g)、水(9.80g)を添加し、超音波洗浄槽にて25℃で10分間超音波分散し、1晩攪拌して、酸化ジルコニウム粒子の分散液A(酸化ジルコニウム濃度:2質量%)を準備した。
次に、ガラス容器に、エタノール(68.77g)、イオン交換水(13.33g)、テトラエトキシシラン(TEOS、8.51g)、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS、3.62g)、1規定硝酸(0.77g)を添加し、更に、上記酸化ジルコニウム粒子分散液A(5.00g)を添加して、室温(20℃)で2時間攪拌して、光散乱性被膜形成用塗布液Y(全固形分濃度5.0質量%、全固形分中の酸化ジルコニウム粒子濃度2.0質量%)を得た。
なお、ここで、全固形分は、(1)酸化ジルコニウム粒子+(2)TEOSのうちSiO2換算分+(3)GPTMSのうちR−SiO3/2換算分(Rは、3−グリシジルオキシプロピル基)として計算した。
(実施例18における光散乱性被膜3形成用塗布液の調製)
ダイヤモンド粒子(ビジョン開発製、平均粒子径250nm、粒径分布150〜550nm)5gとメタノール95gを、超音波ホモジナイザーを用いて20℃で1時間分散し、5質量%のダイヤモンド粒子分散液(a)を用意した。さらにポリビニルピロリドン(PVP、キシダ化学製、重量平均分子量36万)をメタノールに溶解し、20質量%のPVP溶液(b)を用意した。
次に、ダイヤモンド粒子分散液(a)20g、PVP溶液(b)22.5g、メタノール7.5gを、超音波ホモジナイザーを用いて20℃で20分間分散し、PVPによってダイヤモンド粒子の表面を修飾した被修飾粒子の分散液B(ダイヤモンド濃度:2質量%)を得た。さらに、前記分散液B35.0gに、メタノール31.6g、オルトケイ酸テトラエチル16.4g、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン6.5g、イオン交換水9.4g、1規定硝酸1.1gを添加して、室温(20℃)で2時間攪拌して、光散乱性被膜形成用塗布液Z(全固形分濃度12.5質量%、全固形分中のダイヤモンド粒子濃度5.4質量%)を得た。
なお、ここで、全固形分は、(1)ダイヤモンド粒子+(2)TEOSのうちSiO2
換算分+(3)GPTMSのうちR−SiO3/2換算分(Rは、3−グリシジルオキシプロピル基)として計算した。
3.光散乱性被膜3の形成
前記1項にて準備されたガラス板に、前記塗布液YまたはZをスピンコート法にて500rpmの回転速度で成膜した後、260℃の電気炉内で10分間焼成し、光散乱性被膜が形成された第一のガラス板を得た。
4.複層ガラスの準備
前記で得られた、光散乱性被膜が形成された第一のガラス板、および第二のガラス板を用い、中空層4の層厚を6.0mm(A6)、又は12.0mm(A12)とし空気を封入した「第一のガラス板」+「A6」+「第二のガラス板」の構成の複層ガラスを用意した。光散乱性被膜は中空層4向きとした。第一のガラス板と第二のガラス板の間に、乾燥剤としてゼオライトを充填した中空部を有するアルミニウム製のスペーサー5を挟み込み、スペーサー5の両側にブチルゴムを貼着し、第一のガラス板と第二のガラス板を、スペーサー5を介してブチルゴムで接着一体化して隔置した。第一のガラス板と第二のガラス板とスペーサー5に囲まれた凹部には、ポリサルファイドシーラントを充填した。空気は大気圧にて中空層4に封入した。得られた複層ガラスは透明であり、市販のプロジェクタを用いて投射したところ、映像が視認できることを確認した。
5.映像の評価
得られた複層ガラスを環境試験機に投入し、機内温度を0℃/23℃/40℃に保ちながらプロジェクタを用いて格子柄を表示させ、表示された格子柄を目視にて評価した。いずれの条件でも格子の歪みが気にならなかったものを「○」、格子の歪みがわずかに目立ったものを「△」、大きく格子が歪んだものを「×」と評価した。
1 スクリーン被膜を備えた複層ガラス
21 第一のガラス板
22 第二のガラス板
3 スクリーン被膜
4 密閉された中空層
5 スペーサー
61 封止剤
62 封止剤

Claims (4)

  1. 投影された映像を表示する光散乱性被膜を備える複層ガラスからなる窓ガラスであって、
    該複層ガラスは、所定距離を隔てて対向する第一のガラス板と、第二のガラス板と、前記第一のガラス板と前記第二のガラス板との間に密閉された中空層と、前記第一のガラス板上に形成された光散乱性被膜とを備え、
    前記第一のガラス板の厚み(T1)が、前記第二のガラス板の厚み(T2)よりも厚いことを特徴とする、窓ガラス。
  2. T1/T2が、1.2以上であることを特徴とする、請求項1に記載の窓ガラス。
  3. T1が、5〜15mm、T2が、2〜8mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の窓ガラス。
  4. 投影された映像を表示する光散乱性被膜を備える複層ガラスからなる店舗用窓ガラスであって、
    該複層ガラスは、所定距離を隔てて対向する第一のガラス板と、第二のガラス板と、前記第一のガラス板と前記第二のガラス板との間に密閉された中空層と、前記第一のガラス板上に形成された光散乱性被膜とを備え、
    前記第一のガラス板の厚み(T1)が、前記第二のガラス板の厚み(T2)よりも厚いことを特徴とする、店舗用窓ガラス。
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