以下、図1〜図15を参照して、この出願の発明を実施するための幾つかの形態について、具体的に説明する。なお、以下に説明する各形態は、この出願の発明に係る粉体の振動流動層式分離装置を、一例として、例えば石炭火力発電所等のボイラ設備から出る使用済み石炭灰(以下、単に石炭灰という)中の未燃炭成分(以下、単に未燃炭という)の分離回収に適用した石炭灰未燃分分離装置の構成について示すものである。
<この出願の発明を実施するための第1の形態>
まず図1および図2は、この出願の発明を実施するための第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の装置本体部分の基本となる構成を示している。
(装置本体部分の構成)
すなわち、この振動流動層式分離装置の装置本体は、大別して、いったんボイラ設備で燃焼させたものではあるが、未だ所定量の未燃炭成分C2を含む使用済みの石炭灰Cが投入される被振動体(外部振動体)である所定の高さの大径筒状の分離容器1と、該分離容器1を振動可能な状態に支持する所定のバネ定数の防振部材D、D・・と、上記分離容器1の底部側外周に配設された複数台(8台)の第1の振動発生機2a~2hと、上記分離容器1内に上方側から下方に向けて挿入され、同分離容器1の中心軸O部分に位置して吊設された被振動体である所定の長さの小径筒状の内部振動体3と、該内部振動体3の上端部側外周に設けられた複数台(2台)の第2の振動発生機4a、4bとからなっている。
分離容器1内は、多数の散気孔を有する散気板5を介して上部側大容積の石炭灰収容空間1Aと底部側小容積の流動化空気導入空間1Bとの2つの空間部に仕切られており、上部側石炭灰収容空間1A内に未燃炭C2を含む使用済みの石炭灰Cが上端側開口部付近まで収容されるようになっている一方、底部側流動化空気導入空間1B内には、後述する流動化空気発生装置14から流動化空気供給ライン18を介して流動化空気が供給されるようになっている。流動化空気導入空間1B内に供給された流動化空気は、散気板5の多数の散気孔を通して、上記石炭灰C内に吹き込まれ、上記石炭灰C中を微細な気泡となって均一に上昇し、上記石炭灰Cの全体を適切に流動化させ、石炭灰Cの流動化層を形成する。符号1fは、流動化空気導入空間1Bへの流動化空気導入口(流動化空気供給ライン18の接続口)である。
散気板5は、たとえば上記石炭灰C中の最も粒径が小さな微粉体の粒径5〜10μmよりも小さな孔径の散気孔を多数有する所定の厚さの高分子プレートにより構成されており、上記流動化空気導入空間1B側から圧送される所定圧の流動化空気を、上記のように石炭灰収容空間1A内に均一に吹き込んで、当該石炭灰収容空間1A中の石炭灰C中の全体に亘って、均一に、下方から上方に向けて上昇する多数の微細な気泡を発生させ、同多数の微細な上昇気泡によって上記未燃炭C2を含む石炭灰C中に多数の微細な上昇空間を形成することによって、例えば粒子径が10μm以下と小さく、そのままだと相互に付着しやすい石炭灰粒子を効果的に分散させて、流動化させる作用を果たす。
第1の振動発生機2a~2hは、例えばインバータ制御方式の誘導モータ(三相または単相)のロータ軸先端に2枚の扇型偏心錘を設け、その偏心回転時に強力な遠心力振動を発生させる振動モータよりなっている。同振動モータの2枚の扇型偏心錘の一方は、ロータ軸に固定された固定ウエイト、他方は同固定ウエイトに対する相対的な取り付け角を調整することができる調整ウエイトとなっていて、それらの相対角を変えることにより、例えば0〜100%の範囲で発生する遠心力を調整することができるようになっている。この振動モータのロータ軸の図1および図2の矢印に示すような回転(偏心回転)により生じる遠心力振動は基本的に正弦波振動であり、この正弦波の遠心力振動(図1中の矢印参照)が、後述する所定の振動伝達部材7、7・・を介して被振動部である上記分離容器1に伝達されると、同分離容器1が同伝達された正弦波の遠心力振動に応じて水平面方向に正弦波振動(揺動)する。
すなわち、この第1の形態の構成の場合、上記第1の振動発生機2a~2hは、所定の振動伝達部材7、7・・を介して上記分離容器1の底部外周側取り付け部1a~1dに連結されており、上記第1の振動発生機2a~2hの正弦波の遠心力振動が振動伝達部材7および取り付け部1a〜1dを介して上記分離容器1の底部に伝達され、上記分離容器1が同正弦波の遠心力振動に応じて水平面方向に正弦波振動(揺動)する。
ところで、この実施の形態の場合、上記8台の第1の振動発生機2a~2hは、例えば図2(図1の装置本体を上方側から見た平面図)に示されるように、それぞれ2台のもの2aと2b、2cと2d、2eと2f、2gと2hがそれぞれ1組(1ユニット)となって相互に隣接する形で周方向に4組設けられており、それら隣接するもの同士が上記分離容器1の底部外周(流動化空気導入空間1B部分の外周)に周方向に90度の間隔を保って各々共通の取り付け部1a、1b、1c、1d、1eを利用して取り付けられている。
これら第1の振動発生機2a~2hそれぞれのインバータ運転周波数(振動数)は、例えば一例として、背面側2a=83Hz、2b=80Hz、右側面側2c=77Hz、2d=74Hz、正面側2e=95Hz、2f=92Hz、左側面側2g=89Hz、2h=86Hz等に設定され、上記直接隣り合う2aと2b、2cと2d、2eと2f、2gと2hの間のインバータ運転周波数の差(振動数の差)がそれぞれ3Hz、また周方向に各々90度の間隔を置いて隣り合う2bと2c、2dと2e、2fと2g、2hと2aとの間のインバータ運転周波数の差(振動数の差)がそれぞれ3Hz、21Hz、3Hz、3Hz、さらに上記分離容器1の中心軸Oを通して相互に対向する位置関係にある振動発生機2aと2e、2bと2f、2cと2g、2dと2h相互の間のインバータ運転周波数の差(振動数の差)がそれぞれ12Hz、12Hz、12Hz、12Hz,12Hzとなるように設定されている。
いま、上記8台の第1の振動発生機2a〜2hの全てが駆動され、その運転条件が上記のような運転周波数関係(振動数関係)にあるとすると、それら各振動発生機2a〜2hで発生し、それら相互に運転周波数が僅かに異なる各振動発生機2a〜2hから、上記振動伝達部材7、7・・を介して、上記外側の振動体(外部振動体)である分離容器1に伝達される正弦波の遠心力振動は、当該分離容器1および石炭灰C部分で相互に干渉し、合成されて、同分離容器1および石炭灰C部分に、例えば図3の(a)に示すような振幅、図3の(b)に示すような加速度比で、振幅が周期的に変化する合成波よりなる唸り振動を生じさせることになる。そして、この所定の加速度比で、振幅が周期的に変化する唸り振動が、上記分離容器1を水平面方向において複雑に揺動させ、上記分離容器1内の石炭灰C部分に周期的な機械的衝撃力を発生させ、この機械的な衝撃力が焼成済みの石炭灰C1と未燃炭C2との付着力を破壊して効果的に分離するようになる。
この図3の(a)、(b)に示す唸り振動は、特に相互の間に12Hzのインバータ運転周波数の差(振動数の差)がある上記分離容器1の中心軸Oを通して相互に対向する位置関係にある振動発生機2aと2e、2bと2f、2cと2g、2dと2hの間で効果的に発生する。
また、この図3の(a)、(b)に示す唸り振動の波形は、それぞれ上記のような運転条件(インバータ運転周波数(振動数))の下で、上記図1および図2のような位置関係で設置された第1の振動発生機2a〜2h(8台)のすべての台数を運転したときのものであるが、この第1の振動発生機2a〜2hの運転台数および運転条件は種々の変更が可能であり、それによって発生する唸り振動の形態(振幅、加速度比など)を所望に調整することができる。
例えば運転する第1の振動発生機を上記正面側および左側面側2e〜2hの4台とし、それらについて上記図3の(a)、(b)の場合と同じ運転条件で運転すると、例えば図4の(a)、(b)のような振幅、加速度比の唸り振動となる。
また、例えば運転する第1の振動発生機を上記正面側2e、2fの2台のみとし、それらについて上記図3の(a)、(b)場合と同じ運転条件で運転すると、例えば図5の(a)、(b)のような小さな振幅、加速度比の唸り振動となる。
また、例えば運転する第1の振動発生機は、上記図3の(a)、(b)の場合と同じ2a〜2hの8台であるが、隣り合う第1の振動発生機2aと2b、2cと2d、2eと2f、2gと2hの間のインバータ運転周波数の差(振動数の差)を3Hzから2Hzに小さくすると、例えば図6の(a)、(b)のような振幅、加速度比の唸り振動となる。
また、例えば運転する第1の振動発生機を正面側および左側面側2e〜2hの4台とし、それらについて上記図6の(a)、(b)の場合と同じ運転条件(インバータ運転周波数の差(振動数の差)が2Hz)で運転すると、例えば図7の(a)、(b)のような振幅、加速度比の唸り振動となる。
また、例えば運転する第1の振動発生機を上記正面側2e、2fの2台のみとし、それらについて上記図6の(a)、(b)の場合と同じ運転条件(インバータ運転周波数の差(振動数の差)が2Hz)で運転すると、例えば図8の(a)、(b)のような小さな振幅、加速度比の唸り振動となる。
このように、上記第1の振動発生機2a〜2hは、その運転条件(インバータ運転周波数や同周波数の差)や運転台数などを変えることによって、具体的な制御条件に応じて適切に振動数、加速度比、振幅等の振動特性が可変され、分離効率の高い衝撃作用が実現されるようになる。
一方、内部振動体3は、上下方向に長い内部が空洞の小径の筒状体よりなり、上記分離容器1の石炭灰収容空間1A内の中心軸部O分に位置して上方側から下方側に向けて挿入され、上述した散気板5に当接しない状態で吊設されている。そして、この内部振動体3の上端部外周には、上記第1の振動発生機2a〜2hと同様の振動モータよりなる複数台(2台)の第2の振動発生機4a、4bが設けられている。これら2台の第2の振動発生機4a、4bは、例えば図2に示すように、相互に180度位置を異にして内部振動体3の両側に設けられ、それぞれ上記第1の振動発生機2c、2d間および2e,2f間に対向する状態で設けられ、上記第1の振動発生機2a〜2hの場合と同様に、それぞれ振動伝達部材7、7を介して内部振動体3側の取り付け部3a、3bに連結して取り付けられている。
そして、この場合にも、同第2の振動発生機4a、4bは、そのロータ軸の偏心回転により、設定された所定の振動周波数(インバータ運転周波数)の正弦波の遠心力振動を発生し、この正弦波の遠心力振動が内部振動体3に伝達されて内部振動体3を水平面方向に正弦波振動(揺動)させるが、この第2の振動発生機4a、4b相互の間にも所定のインバータ運転周波数(振動数)の差、また、この第2の振動発生機4a、4bに対して、上記分離容器1内の石炭灰Cを介して相互に対向する位置関係にある上記隣接する第1の振動発生機2g、2hと2c、2d相互の間にも所定のインバータ運転周波数(振動数)の差を設けている。
このため、同内部振動体3自体に生じる正弦波振動も、上記分離容器1の場合と同様の唸り振動になるとともに、第2の振動発生機4a、4bと石炭灰Cを介して相互に対向する2組の第1の振動発生機2g、2hと2c、2d相互の間でも同様に唸り振動を発生し、石炭灰Cそのものが効果的に衝撃を伴った振動を受けるようになる。
これらの結果、上記分離容器1と内部振動体3が共に振幅が周期的に変化する図3〜図8のような唸り振動を起こすことになり、上記分離容器1内に収容された未燃炭C2を含む石炭灰Cは、上記半径方向外側の第1の振動発生機2a,2b、2c,2d、2e,2f、2g,2hからの唸り振動と半径方向内側の第2の振動発生機4a,4bからの唸り振動、さらには上記第2の振動発生機4a、4bと石炭灰Cを介して相互に対向する2組の第1の振動発生機2g、2hと2c、2d相互の間で生じる唸り振動による効果的な衝撃力を受けて、すでに述べたような付着性の高い5〜10μm以下の石炭灰C1と密度差(比重差)がある未燃炭C2分の付着力が効果的に断ち切られ、かつ上記散気板5を介して供給される微細な気泡によって効果的に分散され、流動化されて、密度の大きい石炭灰C1が下方に沈む一方、密度の小さい未燃炭C2が石炭灰収容空間1Aの上層部に集められるようになり、効果的な分離作用が実現される。
特に、以上の構成の場合、処理能力を大きくするために上記分離容器1内の石炭灰収容空間1Aの容積を大きくしたとしても、収容された石炭灰Cは、単に分離容器1側からだけでなく内部振動体3側からの唸り振動による衝撃、分離作用を受け、内外両方向からの効果的、かつ均一な分離作用が実現されるので、高い分離効率を維持させることができる。
このように分離容器1の外側および内側両方向から、分離すべき未燃炭C2を含む石炭灰Cに唸り振動を与えて未燃炭C2を分離する振動流動層式分離装置の場合、その分離効率を可及的に向上させるためには、上記内外の複数台の振動発生機2a〜2h、4a、4bそれぞれの振動周波数、それら振動発生機2a〜2h、4a、4b相互間の振動周波数の差、それら振動発生機2a〜2h、4a、4bの運転台数などを最適に調整することが必要であり、それによって始めて分離効率の高い振動形態、振動特性を得ることができる。
このために、この第1の形態の振動流動層式分離装置では、上記のような装置本体の基本構成に加え、さらに次に述べるような各種のセンサーや同センサーを用い所望の制御装置、付属装置を備えて構成されている。
(センサー、制御装置、付属装置部分の構成)
すなわち、この第1の形態の振動流動層式分離装置の場合、たとえば図9に示すように、上記図1および図2の構成の装置本体には、さらに上記石炭灰収容空間1A内の石炭灰Cの温度を検出する粉体温度検出センサー11、上記石炭灰収容空間1A内の石炭灰C流動層部分の回転トルクを検出する回転トルク計12、上記石炭灰収容空間1A内の石炭灰C流動層部分の流動層圧力を検出する圧力検出器13、上記分離容器1の流動化空気導入空間1Bに供給される流動化空気を発生させる流動化空気発生装置14、上記分離槽1の流動化空気導入空間1Bに供給される流動化空気を暖める電気ヒータ15、上記粉体温度検出センサー11の石炭灰温度検出値a、上記回転トルク検出器12の回転トルク検出値b、上記流動層圧力検出器13の石炭灰C流動層部分の流動層圧力検出値cを入力し、上記第1の振動発生機2a~2h、第2の振動発生機4a、4bの駆動状態、上記流動化空気発生装置14の供給空気量、電気ヒータ15の発熱温度を制御する制御装置17等がそれぞれ付設されている。
石炭灰収容空間1A内の石炭灰Cの温度を検出する粉体温度検出センサー11は、センサー本体部分から所定の長さ下方に伸びる挿入パイプ11aを有し、その先端にサーミスタ等の温度検知手段を設けて構成されている。そして、同温度検知手段部分からの電気信号を石炭灰の温度検出信号として出力する。また、石炭灰収容空間1A内の石炭灰C流動層部分の回転トルクを検出する回転トルク検出器12は、検出器本体部分から所定の長さ下方に伸びる回転軸を有し、その先端に石炭灰の流動に応じて回転する回転体12aを有し、該回転体12aの回転トルクに応じた電気信号を回転トルク検出値として出力する。また、上記石炭灰収容空間1A内の石炭灰C流動層部分の流動層圧力を検出する圧力検出器13は、検出器本体の圧力検出センサー部分を上記分離槽1の側壁部分に設けた圧力センサー取り付け口1g部分に連通させる形で取り付け、上記分離槽1内の石炭灰流動層の圧力に応じた電気信号を石炭灰流動層圧力検出信号として出力する。
また、上記流動化空気発生装置14は、例えばコンプレッサ、ブロワ等からなっており、外気を所定の圧力以上に上昇させたうえで、流動化空気供給ライン18を介して、上記分離容器1底部の上記流動化空気導入空間1Bに供給する。また、上記電気ヒータ15は、例えば電源電圧の調節が可能なAC電源16により駆動され、上記所定の値に調節された上記AC電源電圧に応じて発熱し、上記流動化空気発生装置14から上記分離容器1底部の流動化空気導入空間1Bに供給される流動化空気を所定の温度に加熱する。
さらに、制御装置17は、例えばマイクロコンピュータその他のコンピュータ制御ユニットおよび必要なディスプレイを備えて構成されており、例えば上記石炭灰温度検出センサー11による石炭灰温度検出値a、上記回転トルク検出器12による回転トルク検出値b、上記流動層圧力検出器13による石炭灰Cの流動層部分の流動層圧力検出値cを入力し、上記第1の振動発生機2a~2h、第2の振動発生機4a、4bの駆動台数、駆動周波数、駆動周波数差、上記流動化空気発生装置14から上記流動化空気導入空間1Bの供給空気量、同供給される空気を加熱する上記電気ヒータ15の発熱温度等を最適な分離効率を実現できる状態に制御する。
以上のように、分離容器1に設けた外側第1の振動発生機2a〜2hと内部振動体3に設けた内側第2の振動発生機4a,4bとの内外両方向の複数数の加振源から、分離容器1内の石炭灰Cに対して振幅が周期的に変化する唸り振動を与えるようにすると、分離容器1内の石炭灰C部分に複数の唸り振動の干渉による機械的な衝撃力が発生し、石炭灰C中の粒径が小さく、付着力が大きい未燃炭C2および燃焼済み石炭灰C1等の分離すべき密度差の異なる微粉体相互間の付着力が低減され、それらの分散性が大きく向上する。
一方、上記分離容器1の底部側には、未燃炭C2を含む石炭灰C中の最も粒径が小さな粒子の粒径5μmよりも孔径が小さいか、または略同等な孔径の多数の散気孔を有する散気板5を介した流動化気体の供給区間1Bを設けて、当該分離容器1内の石炭灰C中の全体に多数の微細な流動化気泡を供給させるようにしている。
このようにすると、上記唸り振動による機械的な衝撃力により、分離すべき密度差の異なる微粉体相互間の付着力が低減されて、分散性が向上した粒径の小さな未燃炭C2および燃焼済み石炭灰C1の粒子が、石炭灰C中を全体に亘って均一に上昇する多数の微細な気泡(微細空間)によって大きく流動化され、分離すべき密度差の異なる微粉体相互間の分離効果が大きく向上して、効果的な密度差分離が可能となる。
そして、その場合において、上記唸り振動を発生させる上記第1の振動発生機2a〜2h、第2の振動発生機4a、4bは、それら各振動発生機2a〜2h、4a、4b各々の振動周波数、それら各振動発生機2a〜2h、4a、4b相互間の振動周波数の差、それら各振動発生機2a〜2h、4a、4bの駆動台数、また上記流動化空気発生装置14からの流動化空気の供給量等を制御する制御装置17を設け、上記唸り振動の発生レベル、振動特性、流動化気泡の発生量等の適切な調節制御がなされる。
上述のように、この第1の形態の振動流動層式分離装置の構成では、上記分離容器1に設けた内外両方の複数数の加振源から、分離容器1内の微粉体に対して振幅が周期的に変化する唸り振動を与えて粉体部分に振動と共に機械的な衝撃力を発生させる一方、分離容器1の底部側に流動化気体の供給源を設け、その供給量を適切に調節制御することによって、分離容器1内の粉体中に混合を招くことなく微細な流動化気泡を発生させるようにし、それら唸り振動による機械的な衝撃力と微細な流動化気泡による流動化、分散促進作用の相乗効果によって、分離すべき密度差の異なる微粉体相互間の付着力を低減して、分散効果を高め、効果的な密度差分離を可能としている。
そして、同唸り振動による機械的な衝撃力の発揮と微細な流動化気泡による流動化促進作用を、最も効果的に生ぜしめるためには、複数の加振源各々の振動周波数、複数の加振源相互間の振動周波数の差、複数の加振源の駆動台数、気体供給源からの流動化気体の供給量等を適切に制御する必要がある。
このため、この第1の形態の振動流動層式分離装置では、上記複数の加振源である第1の振動発生機2a〜2h、第2の振動発生機4a、4b各々の振動周波数、それら各振動発生機2a〜2h、4a、4b相互間の振動周波数の差、それら各振動発生機2a〜2h、4a、4bの駆動台数、また上記流動化空気発生装置14からの流動化空気の供給量等を最適な状態に制御する制御装置17を設け、上記唸り振動の発生レベル、振動特性、流動化気泡の発生量等を、上記唸り振動による機械的な衝撃力の発揮と微細な流動化気泡による流動化促進作用を最も効果的に生ぜしめ、可及的に分離効果を高めることができる適切な運転条件に調節できるようにしている。
もちろん、このような制御をより適切に行うために、さらに上述したように分離容器1内の石炭灰Cの温度、石炭灰C流動層部分の微粉体密度、粘性などをも検出し、それらを制御パラメータとして、より効果的な制御を行うようにすることが好ましい。
これらの結果、この第1の形態の粉体の振動流動層式分離装置によると、付着性の高い粒径5〜10μm以下の微粒子が多く含まれている石炭灰などの場合にも、有効に付着力を低減して、安定した状態で石炭灰を流動化、分散させることができ、精度よく未燃炭分を分離することができるようになる。したがって、必要以上に空塔速度を上げる必要もなく、また石炭灰中に大きな気泡が発生するようなこともないので、安定した運転が可能となる。
その結果、未燃炭の回収効率が向上し、エネルギー資源の可及的な有効利用が図られる。また、未燃炭C2を分離回収した燃焼済みの石炭灰C1をフライアッシュセメントの原料としたときにも従来のような問題を生じなくなる。
<この出願の発明を実施するための第2の形態>
次に図10は、上記この出願の発明を実施するための第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を前提とし、同装置において石炭灰中に供給される流動化空気に対して除電機能を付与した、この出願の発明を実施するための第2の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を示している。
上記石炭火力発電所等のボイラ設備から出た石炭灰Cは所定のレベルの静電気を帯びており、同静電気の影響で燃焼済みの石炭灰粒子C1と未燃炭粒子C2との間に吸着力が発生し、上述した分散、流動、分離作用が低下する問題がある。
この第2の形態は、そのような問題を解決するために構成されたもので、図示のように、所定量の空気を吹き出すパージエア発生装置23と、このパージエア発生装置23からのパージエアを上述した分離容器1底部の流動化空気供給空間1b内に供給するパージエア供給ライン19と、このパージエア供給ライン19の途中に設けられていて、当該パージエア供給ライン19内を流れるパージエアの構成分子に正の電荷をあたえる除電器20と、上記パージエア供給ライン19の先端側に設けられたパージエア供給ノズル22とからなる除電空気供給装置が設けられている。パージエア供給ノズル22は、所定の長さを有して構成されており、その先端側ノズル口(吹き出し口)を上記分離容器1底部の流動化空気供給空間1bの側壁部に設けたノズル挿入口21から内部に所定長さ挿入される形で設置されている。その他の部分の構成は、すべて上記第1の形態のものと同様であり、同様の作用効果を有する。
このような構成によると、上記パージエア発生装置23からのパージエアにより、上記分離容器1底部の流動化空気供給空間1b内に供給された流動化空気の分子が正または負いずれかの極性の電荷に帯電されることになり、同正または負に帯電した流動化空気の分子が上述した散気板5の散気孔を介して上記分離容器1の石炭灰収容空間1A内に供給されることになる。
その結果、同空気によって、上記未燃炭を含む石炭灰Cの各構成粒子間のイオンバランスが良好になって、静電気による付着力が低下し、分散性、流動性、分離性が向上する。
この場合のパージエア発生装置23からのパージエア発生量、除電器20における除電量も、上述のマイコンを備えたマイコン式制御装置17によって適正な条件に制御される。 <この出願の発明を実施するための第3の形態>
次に図11および図12は、上記この出願を実施するための第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を前提とし、同装置において、上記分離された分離容器上層部の未燃炭を排出するためのオーバーフロー型の未燃炭排出口1Cを設けるとともに、同オーバーフロー型の未燃炭排出口1Cからの排出効率を向上させた、この出願の発明を実施するための第3の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を示している。
上述のように、この出願の発明を実施するための第1の形態の粉体の振動流動層式分離装置によると、未分離の石炭灰Cを入れた筒状の分離容器1の上層部に燃焼済みの石炭灰C1から分離された未燃炭C2が次第に積層されてゆく。そこで、この未燃炭C2を順次排出、回収してゆかなければ、連続的な分離を行うことができなない。
そこで、この第3の形態の構成では、まず上記分離容器1上端側の側壁部の一部に未燃炭C2を排出するためのオーバーフロー型の未燃炭排出口1Cを形成し、該未燃炭排出口1Cの外方に下方側に向けた未燃炭排出路24aを有する未燃炭排出用のダクト24を設けて、上記分離作用の進行に伴って上層部に溜まってくる未燃炭C2を重力および振動を利用して排出するように構成する。
しかし、未燃炭C2の場合、ある程度の流動性があるとは言え、水などに比べれば粘性も高く、重力や振動だけでは、上記分離容器1内上層部から必ずしも効率良く流れ出るわけではない。
そこで、さらに図11に示すように、上記分離容器1内に、上記内部振動体3を回転中心として水平方向に回転する回転スクレバー25を設け、その直径方向に180度の間隔を置いて配設した掃き出し羽根25a、25aを回転させることによって、上記オーバーフロー型の未燃炭排出口1Cから上記未燃炭排出用ダクト24の未燃炭排出路24a側に未燃炭C2をスムーズに掃き出して、効率よく排出させるようにしている。
上記スクレバー25の掃き出し羽根25a、25aは、上記内部振動体3の外周に遊嵌されたスリーブ部材25bの外周に固定され、スリーブ部材25bの上端にはプーリー25cが設けられている。このプーリー25cは、所定のベルト部材27を介してスクレバー駆動モータ26の駆動プーリー26aに連係されている。そして。同スクレバー駆動モータ26の駆動によって、上記掃き出し羽根25a、25aを回転させて未燃炭C2を効率よく連続的に排出する。
上記掃き出し羽根25a、25aは、例えば図12に示すように、上記積層される未燃炭層の厚さに対応した上下幅を有する一方、回転方向前方側に凸となった平面視円弧形状をなして形成されていて、回転時に遠心方向への効果的な掃き出しが可能となっている。
<この出願の発明を実施するための第4の形態>
次に図13および図14は、上記この出願の発明を実施するための第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を前提とし、同装置において、上記分離された分離容器上層部の未燃炭を排出するためのオーバーフロー型の未燃炭排出口1Cを設けるとともに、さらに未燃炭を吹き出すオーバーフローノズルを設けて、上記オーバーフロー型の未燃炭排出口1Cからの未燃炭C2の排出効率を向上させた、この出願の発明を実施するための第4の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を示している。
上述のように、この出願の発明を実施するための上記第1の形態の粉体の振動流動層式分離装置によると、未分離の石炭灰Cを入れた筒状の分離容器1の上層部に燃焼済みの石炭灰C1から分離された未燃炭C2が次第に積層される。そこで、この未燃炭C2を順次排出、回収してゆかなければ、連続的な分離を行うことができなない。
そこで、この第4の形態の構成では、まず上記分離容器1上端側の側壁部の一部に未燃炭C2を排出するためのオーバーフロー型の未燃炭排出口1Cを形成し、該未燃炭排出口1Cの外方に下方側に向けた未燃炭排出路24aを有する未燃炭排出用のダクト24を設けて、上記分離作用の進行に伴って上層部に溜まってくる未燃炭C2を重力および振動を利用して排出するように構成する。
しかし、未燃炭C2の場合、先にも述べたように、ある程度の流動性があるとは言え、水などに比べれば粘性も高く、重力や振動だけでは、上記分離容器1内上層部から必ずしも効率よく流れ出るわけではない。
そこで、この第4の形態の構成では、さらに図13および図14に示すように、上記分離容器1内に、当該積層される未燃炭C2を分離容器1内の周方向から排出口1C方向に吹き出すオーバーフローノズル26を設け、同オーバーフローノズル26から吹き出される空気によって未燃炭C2を上記排出口1Cからスムーズに押し出す構成を採用している。
すなわち、この第5の形態の構成では、例えば図13、図14に示すように、上記分離容器1上端の内部振動体3の外周部(未燃炭C2の積層部上面)に位置して、水平方向から少し下方に向けて空気を吹き出す複数個(4個)のエアノズルを有する複数本(4本)のエアパイプ26a、26a、26a、26aを90度間隔で放射状に設け、同エアパイプ26a、26aに押し出しエア供給ライン28を介してブロワ等の押し出し空気発生装置27から所定の圧力の押し出しエアを供給し、上記エアパイプ26a、26a、26a、26aの軸方向複数のエアノズル部分から所定の流速で所定の量の空気を未燃炭排出口1C方向に吹き出すことによって、未燃炭C2をスムーズに、かつ効率よく排出させる。
<この出願の発明を実施するための第5の形態>
次に図15および図16は、上記この出願の発明を実施するための第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を前提とし、同装置において、上記分離された未燃炭を重力でオーバーフローさせるための未燃炭排出口および未燃炭排出ダクトを設けるとともに、同未燃炭排出口および未燃炭排出ダクトからの排出効率を向上させた、この出願の発明の第5の実施の形態に係る振動分離装置の構成を示している。
上述のように、上記第1の形態の構成の振動分離装置によると、未分離の石炭灰Cを入れた筒状の分離容器1の上層部には分離された未燃炭C2が次第に積層される。そこで、この未燃炭C2を順次排出、回収してゆかなければならない。
このため、この第5の形態の構成でも、上記第3、第4の形態の場合と同様に上記筒状の分離容器1上端の側壁部の一部に未燃炭排出用の開口部1Cを形成し、該開口部1Cに対して下方側に向けた未燃炭排出路29aを有する未燃炭排出ダクト29を設けて、上記分離作用の進行に伴って上層部に溜まってくる未燃炭C2を重力および振動による周方向への流動作用を利用して排出するように構成することが考えられるが、ただ単に開口部1Cおよび未燃炭排出ダクト29を設けただけでは分離容器1内上部の未燃炭C2が必ずしも効率良く排出されるわけではない。
そこで、この第5の形態では、例えば図15および図16に示すように、上記分離容器1の開口部部分から内方側内部振動体3付近にかけて、上記うなり振動による石炭灰Cの周方向への回転移動時に未燃炭C2を掬い取る断面U状の樋部材30を設け、この樋部材30で掬い取った未燃炭C2を上記未燃炭排出用のダクト29の未燃炭排出路29aに、その下降傾斜面30aを利用して重力により排出するように構成している。
このような構成によると、断面U状の樋部材30を設けるだけの簡単な構成で、うなり振動による石炭灰Cの周方向への回転移動(流動)および重力を利用した効果的な未燃炭C2の排出が可能となる。
<この出願の発明を実施するための第6の形態>
次に図17は、上記この出願の発明を実施するため第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を前提とし、同装置において、外部振動体である上記分離容器の側壁部側に未燃炭が未分離の石炭灰の投入口を設けた、この出願の発明を実施するための第6の形態に係る振動分離装置の構成を示している。
上記第1の形態の構成の振動分離装置の構成の場合、上記分離容器1の石炭灰収容空間1A内に未燃炭分離用の石炭灰Cを投入する方法としては、例えば筒状の分離容器1の上端側開口部を利用する方法、筒状の内部振動体3を投入ダクトとして利用し、その下部に供給口を設けて投入する方法、分離容器1の側壁部に導入用の開口および投入用のダクトを設ける方法などの種々の投入方法が考えられる。
しかし、分離容器1の上端側開口部部分には分離された未燃炭C2が積層されるので、同部分から新たな未分離の石炭灰Cを投入するのは困難である。
そこで、この第6の形態では、上記分離容器1の側壁部中間部分に未分離の石炭灰導入用の開口30aを設けるとともに、同石炭灰導入用の開口30aに対して未分離の石炭灰投入用のダクト30を設け、その上端部分をホッパー部30bとし、同ホッパー部30bに対して石炭灰搬入装置31を対応させて未分離の石炭灰Cを投入するようにしたものである。その他の構成は、すべて第1の形態のものと同様であり、同様に作用する。
このような構成の場合、石炭灰導入用の開口30aおよび石炭灰投入用のダクト30が、外部振動体である分離槽1と一体になっているために、ホッパー部30bから投入された石炭灰は、ダクト部30を通る段階で早々に振動を受け、分散、分離作用を生じながら分離槽1内に供給されるようになる。そのため、分散、分離効率が高くなる。
<この出願の発明を実施するための第7の形態>
次に図18は、上記この出願の発明を実施するための第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を前提とし、同装置において、それ自身がうなり振動する筒状の内部振動体を利用して未燃炭が未分離の状態の石炭灰を投入するようにした、この出願の発明を実施するための第7の形態に係る粉体の振動流動層式振動分離装置の構成を示している。
すなわち、この第7の形態の構成では、たとえば図18に示すように、上記分離容器1の石炭灰収容空間1Aの中央部に位置し、それ自身がうなり振動する筒状の内部振動体3の上端部3c側に未燃炭C2が未分離の状態の石炭灰Cを投入するためのホッパー部が形成され、また同内部振動体3の下端部3dの外周に上記ホッパー部から投入された未燃炭C2が未分離の状態の石炭灰Cを半径方向外方に向けて導入する石炭灰導入口3e、3e・・が設けられている。また、上記内部振動体3の上端部3c側ホッパー部には、上記第6の形態と同様の石炭灰搬入装置31が対応せしめられている。
内部振動体3の下端部3d側の石炭灰導入口3e、3e・・部分には、さらに底部材として、当該内部振動体3の筒体部内側に位置して同軸状態で上方側に凸となった円錐カバー3fが設けられており、同円錐カバー3fのテーパ面部分に位置して周方向に所定の流動化空気の吹き出し口3g、3g・・が設けられており、これら流動化空気吹き出し口3g、3g・・から斜め上方に向けて流動化空気が吹き出されるようになっている(矢印参照)。
このため、この第7の形態の構成によると、石炭灰投入ダクトである筒状の内部振動体3自体が有効に振動することと相俟って、同部分に下方側から効果的に流動化空気が供給され、分離容器1内に供給される未分離の石炭灰Cが内部振動体3内で効果的に分散、流動化されながら、分離容器1内に供給されるようになり、上記第6の形態の構成以上に灰詰まりが生じにくくなるとともに、焼成済み石炭灰C1と未燃炭C2の分散、分離効率が高くなる。
<この出願の発明を実施するための第8の形態>
次に図19は、上記この出願の発明を実施するための第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を前提とし、同装置において、エアリフト方式で未燃炭分離後の燃焼済み石炭灰を排出するようにした、この出願の発明を実施するための第8の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を示している。
上述のようにして未燃炭C2を分離した燃焼済み石炭灰C1は、分離容器1の石炭灰収容空間1Aの底部に排出口と排出弁を設ければ、重量により比較的簡単に流出させることができる。しかし、装置運転状態で排出させると、燃焼済み石炭灰C1が流動化状態にあるため、流速が速く、排出弁の弁体の摩耗が早いという問題がある。
そこで、この第8の形態では、例えば図19に示すように、分離容器1の側壁部下部に設けた燃焼済み石炭灰排出口1hの外部に、所定の長さでT型の散気ノズル挿入ダクト40を連結して、十分な長さの散気ノズル37を挿入設置し、同散気ノズル37に流動化空気供給ライン18bを介して第2の流動化空気発生装置14Bからの流動化空気を供給し得るように構成している。
この場合、流動化空気供給ライン18bの途中には、フィルタレギュレータ35と空気流量調整弁36が設けられており、すでに述べたものと同様のマイコン式の制御装置17によって、供給される空気流量が適切に調整されるようになっている。
ところで、上記散気ノズル挿入ダクト40は、上述のように、全体としてT型の構造をなし、軸方向の一端側開口部を上記分離容器1下部の燃焼済み石炭灰C1の排出口1hに対して連結している一方、他端側の開口部に散気ノズル37を取り付けている。また、その上端側交差方向の開口部40b部分を、図示のごとく、コイル骨入りのフレキシブルホース41を介して全体としてY型の構造をなす燃焼済み石炭灰排出ダクト42の同軸状態にある空気吸引側ダクト42aの下端側開口部に接続している。
他方、同燃焼済み石炭灰排出ダクト42の空気吸引側ダクト42aの上端側開口部は、連結部材42c、エアパイプ43を介してブロワ構造の空気吸引機44に接続されている一方、その側部の開口には、下方に向けて分岐された燃焼済み石炭灰流下ダクト42bの上端側開口部が連結されており、上記空気吸引側ダクト42aの上端側開口部と同燃焼済み石炭灰流下ダクト42bの上端側開口部との相互に分岐される連通空間により、上方側に空気が吸引され、下方側に燃焼済み石炭灰C1が流下される分離空間が形成されている。
このような構成の場合、未燃炭C2と分離され、上記分離容器1の下部側から上記散気ノズル挿入ダクト40の散気空間40a内に排出された燃焼済みの石炭灰C1は、上記流動化空気発生装置14Bから供給される適切な量の流動化空気によって効率よく流動化され、同流動化空気発生装置14Bから供給される流動化空気の量と上記分離容器1内の石炭灰Cの量(ヘッド)に応じた流出圧とによって容易にフレキシブルホース41内を図示のように吹き上げられて上昇し、安定したエアリフティング状態となって、上記散気ノズル挿入ダクト40内に供給される上記散気ノズル37からの流動化空気を吸引する空気吸引側ダクト42aおよび燃焼済み石炭灰C1を外部に流下させる燃焼済み石炭灰流下ダクト42b相互の上記分離空間部分まで連続的に供給されるようになる。
そして、同供給された分離空間部分において、上記空気吸引機44により上記上方側連結部材42c側に上昇してくる流動化空気分が吸引されてスムーズに排出される一方、その重力により側方の燃焼済み石炭灰流下ダクト42b側には燃焼済みの石炭灰C1がスムーズに流下せしめられる。
しかも、この実施の形態の構成では、上記のようにして生じるスムーズなエアリフティング作用自体が実質的に弁体機能を発揮することになり、従来のような摩耗する弁体は不要となり、前述した弁体の摩耗の問題や灰漏れなどの問題は確実に解消され、きわめて耐久性の高いものとなる。
また、同時に上記燃焼済み石炭灰C1の排出量は、基本的に上記散気ノズル37に供給される流動化空気量の調整によって容易に調整できるので、排出量の調節も容易である。
なお、上記燃焼済み石炭灰C1の排出時以外には、上記散気ノズル37に流動化空気を供給する流動化空気発生装置14Bを停止し、それによって上記燃焼済み石炭灰流下ダクト42bをマテリアルシールすればよい。
また、図19では、分離容器1底部の流動化空気供給空間1Bに流動化空気を供給する流動化空気発生装置を符号14A、同装置からの流動化空気供給ラインの符号を18aで示したが、これは前述の図9の構成の符号14、18に対応するものである。
<この出願の発明を実施するための第9の形態>
次に図20は、上記この出願の発明を実施するための第1の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を前提とし、同構成の振動流動層式分離装置を複数台使用することによって、未燃炭C2、燃焼済み石炭灰C1共に、より分離精度の高い粉体の振動流動層式分離システムを構成した、この出願の発明を実施するための第9の形態に係る粉体の振動流動層式分離装置の構成を示している。
上述の第1の形態に係る振動流動層式分離装置は、1台でも十分に実用に耐える分離性能を有している。しかし、そうは言っても用途によっては可及的に高い分離精度が要求されるケースも考えられる。また、大量の処理を想定した場合、1台で長時間運転するより効率よく分離も、複数台の分離装置を複数の段階に組み合わせ、複数の段階で順次分離していった方ができ、処理能力を向上させることができる。
この第9の形態は、このような観点から構成されたものであり、例えば図20に示すように、上述した第1の形態の構成の振動流動層式分離装置(ただし、石炭灰Cの投入方式としては、上記第8の形態に係る投入方式を採用)を第1〜第3の3台採用し、同第1〜第3の振動分離装置A1〜A3を、例えば図20に示すように、第1の振動流動層式分離装置A1で燃焼済み石炭灰C1から分離された未燃炭C2を再び第2の振動流動層式分離装置A2に供給して燃焼済み石炭灰C1と未燃炭C2に分離する第1のシステム、上記第1の振動流動層式分離装置A1で未燃炭C2と分離された燃焼済み石炭灰C1を再び第3の振動流動層式分離装置A3に供給して未燃炭C2と燃焼済み石炭灰C1とに分離する第2のシステムとの2段階のシステムを構成し、未燃炭C2および燃焼済み石炭灰C1各々の分離精度を向上させるとともに、分離効率、分離能力をアップしたことを特徴としている。
すなわち、同システムでは、まず石炭火力発電所等のボイラ設備60Aで発生し、貯留槽61に貯留されている未燃炭C2を含む石炭灰Cを、第1段目の第1の振動流動層式分離装置A1の内部振動体3から投入して、第1次的に未燃炭C2と燃焼済み石炭灰C1とに分離する。次に、同第1段目の第1の振動流動層式分離装置A1で分離した未燃炭C2を第2段目の第2の振動流動層式分離装置A2の内部振動体3から投入して、再び燃焼済み石炭灰C1と未燃炭C2に分離する。これにより、上記1次的に分離回収された未だ一定量の燃焼済み石炭灰C1を含んでいる未燃炭C2中から、さらに高精度に同石炭灰C1が除去され、より純度の高い未燃炭C2が回収される。この高純度の未燃炭C2は、未燃炭貯留槽62に供給されて貯留され、必要に応じて未燃炭供給用のブロワ48を設けた燃料供給ライン中に燃料導入部49を介して導入され、ボイラ設備60Bに供給される。
また、同第2段目の第2の振動流動層式分離装置A2で分離された高純度の燃焼済み石炭灰C1は、例えばフライアッシュセメントなどの原料として、所定の貯留槽63に貯留され、やがてトラック等の運送手段50の収容部50aに積み込まれて搬送される。
他方、上記第1段目の第1の振動流動層式分離装置A1で分離された燃焼済み石炭灰C1は、第2段目の第3の振動流動層式分離装置A3の内部振動体3から投入されて、より高精度に未燃炭C2が分離される。そして、同分離された高純度の未燃炭C2は、上述の未燃炭貯留槽62に供給されて貯留され、その後、上記同様に燃料導入部49を介してボイラ設備60Bに供給される。また、そのようにして高精度に未燃炭C2が分離除去された第2段目の第3の振動流動層式分離装置A3からの高純度の燃焼済み石炭灰C1は、上記第2の振動流動層式分離装置A2からの燃焼済み石炭灰C1と同様に上記フライアッシュセメントなどの原料として、所定の搬送用貯留槽63に貯留される。
このような構成によると、上述のような可及的に高い分離精度が要求されるケースや、また、大量の処理が必要な場合に対応して、効率のよい分離性能を実現し、有効に処理能力を向上させることができる。