JP2018063198A - マイナーアクチノイドの分離方法及び分離装置 - Google Patents

マイナーアクチノイドの分離方法及び分離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイドを分離する際、マイナーアクチノイドの純度を高める分離方法を提供する。【解決手段】使用済燃料の溶液からウラン及びプルトニウムを分離した廃液である高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイドを分離する方法であって、高レベル放射性廃液と抽出液とを接触させることにより、マイナーアクチノイドを抽出液に移動させる第一の工程と、第一の工程により得られた、マイナーアクチノイドを含む抽出液と、硝酸を含む洗浄液と、を接触させることにより、核分裂生成物を洗浄液に移動させる第二の工程と、を含み、抽出液は、マイナーアクチノイドと錯体を形成する錯化剤を含み、錯体の配位数をnとすると、錯化剤の供給速度がマイナーアクチノイドの供給速度のn倍から2n倍までの範囲となるように調整をする。【選択図】図2

Description

本発明は、マイナーアクチノイドの分離方法及び分離装置に関する。
原子力発電所から排出される使用済燃料は、再処理によって核燃料物質が回収された後、ガラス固化体へ加工され、地層処分される計画となっている。現行のPUREX法で再処理する場合、ガラス固化体には、半減期が非常に長い放射性核種であるマイナーアクチノイド(以下「MA」という。)が含まれるため、ガラス固化体については、地層処分することにより数十万年の期間に及び、安定に閉じ込めておく必要があると言われている。ここで、アクチノイドとは、原子番号89から103までの元素のことをいい、核燃料として使用されるウラン(U)やプルトニウム(Pu)、MAと称される元素群が該当する。また、MAとは、アクチノイド元素のうち、超ウラン元素からPuを除いた元素のことをいい、ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなどが該当する。
現在、ガラス固化体の閉じ込め期間を短縮することを目的として、使用済燃料の再処理において発生する高レベル放射性廃液からMAを分離し、MAに中性子を照射して半減期の短い放射性核種へ変換するという技術が研究されている。ここで、高レベル放射性廃液とは、使用済燃料を硝酸に溶解した溶液からウラン(U)とPuを分離した後の廃液をいう。高レベル放射性廃液には、主に核分裂生成物とMAが溶解している。
整理すると、使用済燃料の再処理によりウランとプルトニウムを分離し、高レベル放射性廃液からのMA分離工程によりMAを分離することで、使用済燃料の成分をU及びPu、MA、核分裂生成物(FP)にそれぞれ分離するということになる。高レベル放射性廃液からのMAの分離方法については様々な方法が研究されている。例えば、高レベル放射性廃液から錯化剤を用いてMAを選択的に分離する方法などが研究されてきている。
高レベル放射性廃液から錯化剤を用いてMAを回収する方法の一例が特許文献1に示されている。
上記をまとめると、使用済燃料から核燃料物質を回収する方法の従来法は、以下のように説明される。
まず、使用済燃料が硝酸に溶解される。その溶解液より、ピューレックス法に代表される湿式再処理法によりUとPuがそれぞれ回収される。UとPuが除かれた残液(高レベル放射性廃液)からMAが溶媒抽出法により回収される。このような従来法では、U、Pu、MAをそれぞれ回収する特徴があるといえる。このため、核燃料物質を任意の割合で混合することによって、使用を想定する原子炉や加速器で求められる組成の燃料を作製することができる。すなわち、上記のような方法(以下「従来法」という。)には、任意の組成の燃料の作製可能というメリットがある。
また、従来、MAの回収に使用される錯化剤としては、例えば、特許文献2に記載されているように、窒素ドナー錯化剤である6,6’-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-1,2,4-benzotriazin-3-yl)-2,2’-bipyridine(以下「BTBP」という。)が知られている。
非特許文献1には、有機溶媒への溶解度を向上した錯化剤4-tert-butyl-6,6’-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-2,2’-bipyridine(以下「高溶解度型BTBP」という。)が開示されている。
特開平9−80194号公報 特開2010−133938号公報
C. Ekberg et al., J. Chem. Eng. Data 2010, 55, 5133-5137.
溶媒抽出法では、MAを溶解した水溶液に対して錯化剤を溶解した有機溶媒(抽出液)を接触させ、MAと錯化剤を錯形成させることで、有機相側にMAを移行させる。MAの回収に使用される錯化剤として従来のBTBPを用いた場合、MAと錯化剤との反応は、次の化学式(1)で表される。
MA3+ + 3NO3 + 2BTBP → MA(NO3)3(BTBP)2 …化学式(1)
溶媒抽出法では、MAと錯化剤の化合物が有機相に移行することで、MAを選択的に有機相に回収する。
上記のように、MAを有機相に回収する際、FPの一部も錯化剤と錯体を形成することで有機相に移行する現象がおこる。この有機相への移行量は、平衡論的には、上記化学式(1)に示されるように、有機相の錯化剤の濃度が高いほど増加する。このときの錯化剤の濃度は、MAとの錯形成に関与していない残された錯化剤の濃度で考える必要がある。
例えば、ピューレックス法を用いて軽水炉の使用済燃料からUを回収する場合、軽水炉の使用済燃料のウラン比率は約95%以上であり、かつ、ピューレックス法で用いる錯化剤のリン酸トリブチルはウランと比較的錯形成しやすいため、溶媒抽出時には有機相の錯化剤の大半がウランと錯形成する状況になる。この状況であると、FPとの錯形成に作用する錯化剤の濃度が総計の錯化剤濃度に比べて著しく減少する。それによりFPの有機相への移行量が少なくなり、有機相中に不純物の少ないウランを回収することができる。
一方、軽水炉の使用済燃料からMAを回収する場合、軽水炉の使用済燃料中のMAの濃度は0.1%程度であり、FPの濃度(5%程度)に比べて著しくMAの濃度が低い条件で溶媒抽出を行うこととなる。この場合、MAで錯化剤を飽和させることができず、FPが有機相に移行してしまい、純度の高いMAを得ることができない課題があった。
近年は、PuやMAを核変換する原子炉や加速器(以下「核変換炉」という。)の研究開発が盛んに行われてきている。PuやMAの核変換を目的とする核変換炉で使用する燃料は、ウラン比率が約95%以上である軽水炉燃料と比べてPuやMAの組成比が著しく高い特徴がある。この場合、FPの濃度はMAの濃度と同等かそれ以下になる。このような燃料から溶媒抽出法によりMAを回収する場合、取り扱うMAの量が多くなることから溶媒抽出時に水相中のMA濃度が数十mmol/L程度まで高くなる場合がある。従来使用されてきた窒素ドナー錯化剤は、有機相への溶解度が10mmol/L程度であったため、水相中のMA濃度が数十mmol/Lの場合、MAを全量回収するには水相に対して有機相の体積を増やすか、水相を希釈してMA濃度を下げて溶媒抽出を行う必要がある。そうすると、溶媒抽出時に取り扱う溶液の量が増加して好ましくない。
非特許文献1に記載されている、有機溶媒への溶解度を向上した錯化剤である高溶解度型BTBPの場合は、有機相のMA濃度を80mmol/L以上にできるため、水相のMAの回収に十分な錯化剤を有機相に存在させることができ、溶媒抽出時に取り扱う溶液の量を少なく抑えることができる。具体的には、錯化剤とMAの化合物の形成比が1:nの場合、錯化剤の量を回収したいMAのn倍以上に調整すれば、MAの全量を回収可能になる。しかしながら、錯化剤の濃度を高めすぎると、FPと錯形成できる錯化剤の量が増えるため、溶媒抽出時にFPが有機相に移行し、MAの純度が低下してしまう課題があった。
本発明の目的は、高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイド(MA)を分離する際、MAの純度を高めることにある。
本発明のマイナーアクチノイドの分離方法は、使用済燃料の溶液からウラン及びプルトニウムを分離した廃液である高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイドを分離する方法であって、高レベル放射性廃液と抽出液とを接触させることにより、マイナーアクチノイドを抽出液に移動させる第一の工程と、第一の工程により得られた、マイナーアクチノイドを含む抽出液と、硝酸を含む洗浄液と、を接触させることにより、核分裂生成物を洗浄液に移動させる第二の工程と、を含み、抽出液は、マイナーアクチノイドと錯体を形成する錯化剤を含み、錯体の配位数をnとすると、錯化剤の供給速度がマイナーアクチノイドの供給速度のn倍から2n倍までの範囲となるように調整をする。
本発明によれば、高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイドを分離する際、MAの純度を高めることができる。
実施例1のアクチノイドの分離方法を示すフローチャートである。 実施例1のアクチノイドの分離装置を示す概略構成図である。 窒素ドナー錯化剤の分配比の錯化剤濃度依存性の一例を示すグラフである。 窒素ドナー錯化剤の分配比の硝酸濃度依存性の一例を示すグラフである。 実施例2のアクチノイドの分離方法を示すフローチャートである。 実施例3のアクチノイドの分離方法を示すフローチャートである。
本発明は、使用済燃料の成分を、ウラン及びプルトニウム、マイナーアクチノイド、核分裂生成物に分別する方法、すなわち、マイナーアクチノイドを分離する方法に関する。
我々は、MA濃度が高い核変換炉の使用済燃料からのMA回収を行う場合に、溶媒抽出に用いる錯化剤のMAとの化合物(錯体)の形成比が1:nの場合であれば、錯化剤の量を、回収したいMAのn倍以上であって所定の倍率以下の範囲に調整することが有効であると考えた。これは、溶媒抽出時にMAと化合物を形成していない錯化剤の量が少なくなるため、FPの有機相への移行を抑制でき、その結果、純度の高いMAを得ることができると考えられるためである。また、高溶解度の錯化剤を用いることにより、MA回収で取り扱う溶液の体積を抑制することができ、溶媒抽出装置を小型化できる。
ここで、上記の倍率の上限値は、2n倍とすることが望ましい。上記の倍率をn倍にすると、MAの有機相への移行が飽和に近づくにつれてMAが有機相に移行しにくくなり、所望する量のMAを有機相に回収することができない。したがって、所望する量のMAを有機相に回収するには、上記の倍率をn倍以上にすることが必要であり、他のFPの有機相への移行も考慮すると、上記の倍率は、n倍から2n倍までの範囲にすることが望ましい。上限値を2n倍より大きく設定すると、抽出の際、MAと錯体を形成していない錯化剤の量(残存量)が多くなり、錯化剤がFPと結合し、FPが有機相に移行しやすくなるためである。
なお、本明細書においては、単核錯体及び多核錯体を想定している。よって、錯体が単核錯体の場合には、核となる金属イオン1個に対する錯化剤の個数はn個となる。錯体が多核錯体の場合には、核となる金属イオンの数をm個とすると、錯体を構成する錯化剤の個数はmn個となる。これらの場合において、単核錯体及び多核錯体のいずれの場合も、nを錯体の「配位数」と定義する。
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
図1は、使用済燃料からアクチノイドを分離する方法を示すフローチャートである。
本図に示すように、使用済燃料は、溶解工程S101及びU・Pu回収工程S102を経てMA溶液(高レベル放射性廃液)となる。そして、MA回収工程S103にて、抽出液を用いて回収MAが得られ、残りは廃液となる。
以下、更に詳細に説明する。
原子力発電所から排出された使用済燃料は、被覆管の中に収納されているため、せん断および脱被覆がなされる。こうして被覆材と分けられた使用済燃料を回収し、溶解工程S101において数mol/Lの濃度の硝酸に溶解させる。
次に、U・Pu回収工程S102では、この硝酸溶液からピューレックス法によりUとPuが回収される。すると、MAを溶解したMA溶液が残液として残る。
MA回収工程S103では、このMA溶液から抽出液を用いて溶媒抽出法でMAを回収する。すなわち、MA回収工程S103においては、回収MAと廃液が発生する。ここで、抽出液は、有機溶媒に錯化剤を溶解させた溶液である。有機溶媒としては、オクタノール、シクロヘキサノン、リン酸トリブチル、およびこれらの混合溶液が使用できる。錯化剤としては、上述のBTBPや高溶解度型BTBP、2,9-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-1,10-phenanthroline(「BTPhen」という。)や、置換基を付与した4-tert-butyl-6,6’-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-2,2’-bipyridine、2,9-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-5-tert-butyl-1,10-phenanthrolineなどを使用できる。廃液には、FPが含まれるため、最終的には固化体にされて処分される。
以上をまとめると、使用済燃料に対して、溶解工程S101及びU・Pu回収工程S102を施すことにより、MA溶液が得られる。このMA溶液に対して、MA回収工程S103を施すことにより、回収MAが得られる。
次に、図2を用いて、MA溶液からMAを回収するための装置構成について説明する。
図2は、図1のMA回収工程S103を行うための装置を示したものである。
この装置は、多段向流抽出方式の抽出装置(以下「多段向流抽出装置」ともいう。)である。この抽出装置は、主に、MAの抽出を行う抽出段10と、有機相中のFPを逆抽出してMAの純度を高めるための洗浄段11と、で構成されている。
図2において、抽出段10の図中左側から抽出液を、抽出段10の図中右側からMA溶液を供給し、洗浄段11の図中右側から洗浄液を供給する。すなわち、有機相(抽出液)と水相(MA溶液及び洗浄液)とが逆方向に流通していく。なお、洗浄液は、硝酸を含む。
MA溶液に含まれるMAは、抽出段10において有機相に移行し、洗浄段11を通過して回収MAとして多段向流抽出装置から回収される。一方、FPについては、一部のFPが抽出段10で有機相に移行するものの、洗浄段11で水相に戻るため、結果的に廃液として回収される。
ここで、図2の抽出段10を第一の工程とみなし、洗浄段11を第二の工程とみなし、これらが分離方法のフローを表すものとした場合について説明する。
第一の工程においては、高レベル放射性廃液と抽出液とを接触させることにより、マイナーアクチノイドを抽出液に移動させる。
第二の工程においては、第一の工程により得られた、マイナーアクチノイドを含む抽出液と、洗浄液と、を接触させることにより、核分裂生成物を洗浄液に移動させる。
核変換炉である資源再利用型沸騰水型原子炉(RBWR)の場合、MA溶液のMA濃度は約40mMである。MA溶液のMA濃度については、分析により評価する、もしくは初期装荷燃料の組成と原子炉運転時の燃焼度からMA濃度を予測することにより定量評価できる。
MA溶液と洗浄液の体積を同じとすると、抽出段10でのMA濃度は20mMになる。窒素ドナー錯化剤の場合、MAとの化合物形成比は2:1である。このため、抽出液の体積をMA溶液と洗浄液の合計と同じとするならば、抽出液の錯化剤濃度は、40mMから48mMの間に設定する。このように、MA回収を行う前にMA溶液のMA濃度を評価し、それに応じて錯化剤の濃度を決定しておく必要がある。
図3は、窒素ドナー錯化剤の分配比の錯化剤濃度依存性の一例を示したものである。分配比は、溶媒抽出が平衡した時の有機相と水相との元素濃度の比で定義される。例えば、分配比が1の場合、対象の元素が有機相と水相に1:1で存在するということになる。
図3によれば、錯化剤濃度を40mMとした場合、MAの代表元素であるAmの分配比は約100以上であり、FPの代表元素であるEuの分配比は1程度である。すなわち、MAは有機溶媒に非常に移行しやすく、FPはMAに比べて有機相に非常に移行しにくいことが分かる。
この場合、有機相中の錯化剤は、MAと化合物を形成してしまうため、FPとの化合物形成に寄与する錯化剤の濃度は、非常に低くなる。例えば、FPとの化合物形成に寄与する錯化剤の濃度が低下して5mMになった場合、FPの分配比は0.02程度になり、FPはほとんど有機相に移行しなくなると考えられる。したがって、窒素ドナー錯化剤を用い、供給する抽出液中の錯化剤の量をMA溶液中のMAの量に対してn倍から2n倍にしておけば、高純度のMAを得ることができる。
図4は、分配比の硝酸濃度依存性を示したものである。
多段向流抽出の洗浄段11(図2)には、洗浄液を供給する。この洗浄液の硝酸濃度を0.4mol/Lに設定すると、図4に示すように、Amの分配比は2以上、Euの分配比は0.01程度となり、選択的にFPを水相に移行させ、純度の高いMAを回収できるようになる。
以上のように、溶媒抽出の基礎データに基づき多段向流抽出の抽出段と洗浄段の段数を設定し、かつ錯化剤濃度と洗浄液の硝酸濃度を最適な値に設定することによって、多段向流抽出設備の規模を必要最小限に抑えることが可能となる。
本実施例のように、使用済燃料からマイナーアクチノイドを回収する方法において、抽出液を多段向流抽出装置に供給する際の錯化剤の物質量の供給速度を、MAを含む溶液を多段向流抽出装置に供給する際のMAの物質量の供給速度に対してn倍から2n倍の範囲となるように、抽出液中の錯化剤濃度を設定すれば、溶媒抽出時にMAと化合物を形成していない錯化剤の量が少なくなるため、FPの有機相への移行を抑制でき、その結果純度の高いMAを得ることができる。また、高溶解度の錯化剤を用い、溶媒抽出の設備と処理条件を適切な値に設定することで、MA回収で取り扱う溶液の体積を抑制することができ、溶媒抽出装置を小型化できる。
図5は、実施例2のアクチノイドの分離方法を示すフローチャートである。
本実施例においては、実施例1と同じ工程である溶解工程S101及びU・Pu回収工程S102により得られたMA溶液について、MA濃度を測定する(MA濃度測定工程S120)。MA濃度の測定は、化学分析や放射能分析を適用できる。このようにして得たMA濃度の測定値と、抽出液に含まれる錯化剤の濃度とを用い、MA回収工程S103において供給する溶液中のMAの量に対して錯化剤量がn倍から2n倍になるようにMA濃度を調整する(MA濃度調整工程S121)。MA濃度の調整は、MA溶液にMA濃度調整液を加え、調整MA溶液を得ることで行う。このようにすることで、溶媒抽出時に錯化剤濃度に対して常に最適なMA濃度を保つことができる。
本実施例によれば、使用済燃料からマイナーアクチノイドを回収する方法において、溶媒抽出時に錯化剤濃度に対して常に最適なMA濃度を保ちながら溶媒抽出を行うことができる。これにより、安定して純度の高いMAを得ることができる。
図6は、実施例3のアクチノイドの分離方法を示すフローチャートである。
本実施例においては、実施例1と同じ工程である溶解工程S101及びU・Pu回収工程S102により得られたMA溶液について、実施例2に記載のMA濃度測定工程S120によりMA濃度を測定する。このようにして得たMA濃度の測定値と、抽出液に含まれる錯化剤の濃度とを用い、MA回収工程S103において供給する溶液中のMAの量に対して錯化剤量がn倍から2n倍になるように錯化剤濃度を調整する(錯化剤濃度調整工程S130)。錯化剤濃度の調整は、抽出液に錯化剤濃度調整液を加え、調整抽出液を得ることで行う。このようにすることで、溶媒抽出時にMA濃度に対して常に最適な錯化剤濃度を保つことができる。なお、MA濃度測定工程S120及び錯化剤濃度調整工程S130は、図2に示す破線に対応するものである。
本実施例によれば、使用済燃料からマイナーアクチノイドを回収する方法において、溶媒抽出時にMA濃度に対して常に最適な錯化剤濃度を保ちながら溶媒抽出を行うことができる。これにより、安定して純度の高いMAを得ることができる。
10:抽出段、11: 洗浄段、S101:溶解工程、S102:U・Pu回収工程、S103:MA回収工程、S120:MA濃度測定工程、S121:MA濃度調整工程、S130:錯化剤濃度調整工程。

Claims (10)

  1. 使用済燃料の溶液からウラン及びプルトニウムを分離した廃液である高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイドを分離する方法であって、
    前記高レベル放射性廃液と抽出液とを接触させることにより、マイナーアクチノイドを前記抽出液に移動させる第一の工程と、
    前記第一の工程により得られた、マイナーアクチノイドを含む抽出液と、硝酸を含む洗浄液と、を接触させることにより、核分裂生成物を前記洗浄液に移動させる第二の工程と、を含み、
    前記抽出液は、マイナーアクチノイドと錯体を形成する錯化剤を含み、
    前記錯体の配位数をnとすると、前記錯化剤の供給速度が前記マイナーアクチノイドの供給速度のn倍から2n倍までの範囲となるように調整をする、マイナーアクチノイドの分離方法。
  2. 前記調整は、前記抽出液に含まれる前記錯化剤の濃度について行う、請求項1記載のマイナーアクチノイドの分離方法。
  3. 前記調整は、前記高レベル放射性廃液に含まれるマイナーアクチノイドの濃度について行う、請求項1記載のマイナーアクチノイドの分離方法。
  4. 前記調整は、前記高レベル放射性廃液に含まれるマイナーアクチノイドの濃度の測定値を用いて行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイナーアクチノイドの分離方法。
  5. 前記錯化剤は、6,6’-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-1,2,4-benzotriazin-3-yl)-2,2’-bipyridine、2,9-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-1,10-phenanthroline、4-tert-butyl-6,6’-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-2,2’-bipyridine又は2,9-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-5-tert-butyl-1,10-phenanthrolineである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイナーアクチノイドの分離方法。
  6. 使用済燃料の溶液からウラン及びプルトニウムを分離した廃液である高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイドを分離する装置であって、
    前記高レベル放射性廃液と抽出液とを接触させることにより、マイナーアクチノイドを前記抽出液に移動させる抽出段と、
    前記抽出段にて得られた、マイナーアクチノイドを含む抽出液と、硝酸を含む洗浄液と、を接触させることにより、核分裂生成物を前記洗浄液に移動させる洗浄段と、を含み、
    前記抽出液は、マイナーアクチノイドと錯体を形成する錯化剤を含み、
    前記錯体の配位数をnとすると、前記錯化剤の供給速度が前記マイナーアクチノイドの供給速度のn倍から2n倍までの範囲となるように調整をする、マイナーアクチノイドの分離装置。
  7. 前記調整は、前記抽出液に含まれる前記錯化剤の濃度について行う、請求項6記載のマイナーアクチノイドの分離装置。
  8. 前記調整は、前記高レベル放射性廃液に含まれるマイナーアクチノイドの濃度について行う、請求項6記載のマイナーアクチノイドの分離装置。
  9. 前記調整は、前記高レベル放射性廃液に含まれるマイナーアクチノイドの濃度の測定値を用いて行う、請求項6〜8のいずれか一項に記載のマイナーアクチノイドの分離装置。
  10. 前記錯化剤は、6,6’-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-1,2,4-benzotriazin-3-yl)-2,2’-bipyridine、2,9-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-1,10-phenanthroline、4-tert-butyl-6,6’-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-2,2’-bipyridine又は2,9-bis(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-benzo-1,2,4-triazin-3-yl)-5-tert-butyl-1,10-phenanthrolineである、請求項6〜9のいずれか一項に記載のマイナーアクチノイドの分離装置。
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