JP2018062913A - 内燃機関のモデリング装置及び制御装置 - Google Patents

内燃機関のモデリング装置及び制御装置 Download PDF

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敦裕 関川
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一志 菊池
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拓巳 渡邊
一志 眞田
Kazushi Sanada
一志 眞田
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Abstract

【課題】排気パラメータの推定値の算出に用いたときに、高い算出精度及び汎用性を確保できるようなプラントモデルを作成することができる内燃機関のモデリング装置、及び制御精度を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】モデリング装置50は、マハラノビス距離DMAを用いて、参照モデルを作成する(ステップ1〜8)。制御装置1は、参照モデルを記憶したECU2を備える。ECU2は、参照モデル及びマハラノビス距離DMAを用いて、学習モデルを作成し(ステップ20〜26)、学習モデル及びカーネルリッジ回帰分析手法を用いて、排気温度の推定値Tex_estを算出し(ステップ30)、この推定値Tex_estを用いて、EGR制御を実行する(ステップ31〜37)。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の排気パラメータの推定値を算出するためのプラントモデルを作成するモデリング装置及び、そのプラントモデルを用いて内燃機関を制御する制御装置に関する。
従来、内燃機関の排気パラメータの推定値を算出する算出装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この内燃機関には、過給機が設けられている。この算出装置は、排気パラメータの推定値として、内燃機関の排気温度の推定値を算出するものであり、エンジン回転数、吸入空気量及び吸気圧を検出する各種のセンサを備えている。
この算出装置では、同文献の図6のフローチャートに示すように、ステップ11で、エンジン回転数などの各種のパラメータを取得した後、ステップ12で、エンジン回転数及び吸気圧に応じたマップ検索により、筒内空気流量を算出する。次に、ステップ13で、筒内空気流量及び吸入空気量に基づき、同文献の式(12)により、EGR流量を算出した後、ステップ14に進み、ノズルの式(10)を用いて、排気圧力を算出する。
次いで、ステップ15に進み、圧力比及び過給機のコンプレッサを流れる空気流量に応じて、同文献の図4(a)のマップを検索することにより、過給機のコンプレッサの回転数を算出した後、ステップ16で、過給機のタービンを流れる排気流量を算出する。そして、最終的に、同文献の式(18)により、排気温度の推定値が算出される。
特開2004−257315号公報
上記特許文献1の算出装置によれば、複数のマップを検索する手法を用いている関係上、内燃機関及びその周辺機器における個体間のばらつきなどに起因して、実際のパラメータ間の相関性がマップにおける相関性から乖離している場合、排気温度の推定値の算出精度が低下するおそれがある。その結果、そのような算出精度の低い排気温度の推定値を用いて、内燃機関を制御した場合、制御精度が低下してしまうことになる。
これに加えて、特許文献1の算出装置の場合、内燃機関が過給機を備えていることが前提条件となっている関係上、内燃機関が過給機を備えてない場合には、算出装置を適用することができず、汎用性が低いという問題もある。以上の問題を解消するには、排気パラメータの推定値を算出する場合において、複数のマップを用いたときよりも高い算出精度及び汎用性を確保できるような手法が必要となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、排気パラメータの推定値の算出に用いたときに、高い算出精度及び汎用性を確保できるようなプラントモデルを作成することができる内燃機関のモデリング装置、及び制御精度を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る内燃機関3のモデリング装置50は、内燃機関3の運転中、内燃機関3の運転状態を表す運転状態パラメータ(エンジン回転数NE、吸気圧Pin、燃料噴射量Q、EGR弁開度φegr)と内燃機関3の排気の物理量を表す排気パラメータ(排気温度Tex)とを、両者の相関性を保持した状態で取得するパラメータ取得手段(モデリング装置50、ステップ1)と、取得された運転状態パラメータ及び排気パラメータを用いて、運転状態パラメータと排気パラメータとの相関性を表すプラントモデルを作成するプラントモデル作成手段(モデリング装置50、ステップ5)と、を備え、プラントモデル作成手段は、取得された運転状態パラメータの数がK1(K1は正の整数)個に達する毎に、K1個の運転状態パラメータのデータにおける中心点と、中心点からの距離(マハラノビス距離DMA)とを算出する距離算出手段(モデリング装置50、ステップ5)と、距離が算出されたK1個のデータのうちの、中心点からの距離が大きい方のM1(M1はK1より小さい正の整数)個のデータをサンプリングするサンプリング手段(モデリング装置50、ステップ5)と、サンプリングされたM1個のデータと、M1個のデータに対応するM1個の排気パラメータを用いて、プラントモデルを作成するモデル作成手段(モデリング装置50、ステップ5)と、を有することを特徴とする。
この内燃機関のモデリング装置によれば、内燃機関の運転中、内燃機関の運転状態を表す運転状態パラメータと内燃機関の排気の物理量を表す排気パラメータとが、両者の相関性を保持した状態で取得され、取得された運転状態パラメータ及び排気パラメータを用いて、運転状態パラメータと排気パラメータとの相関性を表すプラントモデルが作成される。その際、取得された運転状態パラメータの数がK1(K1は正の整数)個に達する毎に、K1個の運転状態パラメータのデータにおける中心点と、中心点からの距離とを算出し、距離が算出されたK1個のデータのうちの、中心点からの距離が大きい方のM1(M1はK1より小さい正の整数)個のデータをサンプリングし、サンプリングされたM1個のデータと、M1個のデータに対応するM1個の排気パラメータを用いて、プラントモデルが作成されるので、中心点からの距離が小さい方のデータも併せてサンプリングした場合、すなわちランダムサンプリング手法を用いた場合と比べて、サンプリングデータ数が少ない条件下で、プラントモデルのモデル化誤差を低減することができる。それにより、そのようなプラントモデルを用いて排気パラメータの推定値を算出した場合、算出精度を向上させることができる。また、内燃機関が過給機を備えていない場合でも、プラントモデルを適切に作成できることで、排気パラメータの推定値の算出精度及び汎用性を向上させることができる(なお、本明細書の場合、「運転状態パラメータの取得」及び「排気パラメータの取得」における「取得」は、センサなどによりこれらのパラメータを直接検出することに限らず、これらのパラメータを、他のパラメータを用いて算出/推定することを含む)。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3のモデリング装置50において、モデル作成手段は、サンプリング手段によるM1個のデータのサンプリング回数がK2(K2は正の整数)回に達したときに、サンプリングされたM1×K2個のデータと、M1×K2個のデータに対応するM1×K2個の排気パラメータとを用いて、プラントモデルを作成する(ステップ1〜7)ことを特徴とする。
この内燃機関のモデリング装置によれば、サンプリング手段によるM1個のデータのサンプリング回数がK2(K2は正の整数)回に達したときに、サンプリングされたM1×K2個のデータと、M1×K2個のデータに対応するM1×K2個の排気パラメータとを用いて、プラントモデルが作成されるので、請求項1に係る発明と比べて、プラントモデルのモデル化誤差を低減することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関3のモデリング装置50において、距離算出手段は、距離としてマハラノビス距離DMAを算出することを特徴とする。
この内燃機関のモデリング装置によれば、K1個のデータのうちのマハラノビス距離が大きい方のM1個のデータをサンプリングし、そのようなM1個のサンプリングデータと、それに対応するM1個の排気パラメータを用いて、プラントモデルが作成されるので、通常のランダムサンプリング手法を用いた場合と比べて、サンプリングデータ数が少ない条件下で、プラントモデルのモデル化誤差を低減することができる。それにより、そのようなプラントモデルを用いて排気パラメータの推定値を算出した場合、推定値の算出精度を向上させることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関3のモデリング装置50において、運転状態パラメータは、互いに異なる複数の運転状態パラメータ(エンジン回転数NE、吸気圧Pin、燃料噴射量Q、EGR弁開度φegr)で構成されていることを特徴とする。
この内燃機関のモデリング装置によれば、互いに異なる複数の運転状態パラメータを用いて、プラントモデルが作成されるので、1つの運転状態パラメータを用いた場合と比べて、プラントモデルのモデル化誤差をさらに低減することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関3のモデリング装置50において、排気パラメータは、排気温度Tex、排気圧力及び排気還流量の少なくとも1つであることを特徴とする。
この内燃機関のモデリング装置によれば、排気温度、排気圧力及び排気還流量の少なくとも1つを精度よく推定することができるようなプラントモデルを作成することができる。
請求項6に係る内燃機関3の制御装置1は、請求項1ないし5のいずれかに記載の内燃機関3のモデリング装置50によって作成されたプラントモデルを記憶する記憶手段(ECU2)と、内燃機関3の運転中に運転状態パラメータを取得する運転状態パラメータ取得手段(ECU2)と、取得された運転状態パラメータ、記憶されたプラントモデル及び所定の回帰分析手法を用いて、排気パラメータの推定値(排気温度の推定値Tex_est)を算出する推定値算出手段(ECU2、ステップ30)と、算出された排気パラメータの推定値(排気温度の推定値Tex_est)を用いて、内燃機関3を制御する制御手段(ECU2、ステップ31〜37)と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、取得された運転状態パラメータ、記憶されたプラントモデル及び所定の回帰分析手法を用いて、排気パラメータの推定値が算出されるので、内燃機関が過給機を備えていない場合でも、排気パラメータの推定値を精度よく算出することができ、プラントモデルの汎用性を向上させることができる。それにより、内燃機関の制御精度を向上させることができ、商品性を向上させることができる。
請求項7に係る内燃機関3の制御装置1は、請求項6に記載の内燃機関3の制御装置1において、回帰分析手法は、カーネル関数を用いたカーネルリッジ回帰手法であることを特徴とする。
この内燃機関のモデリング装置によれば、カーネル関数を用いたカーネルリッジ回帰手法を用いて、プラントモデルが作成されるので、非線形な特性を有するプラントに対しても、モデル化誤差を低減しながら、プラントモデルを精度よく作成することができる。
請求項8に係る内燃機関3の制御装置1は、内燃機関3の運転状態を表す運転状態パラメータ(エンジン回転数NE、吸気圧Pin、燃料噴射量Q、EGR弁開度φegr)と、内燃機関3の排気の物理量を表す排気パラメータ(排気温度Tex)との相関性を表す参照用のプラントモデルである参照モデルを記憶する参照モデル記憶手段(ECU2)と、内燃機関3の運転中に運転状態パラメータを取得する運転状態パラメータ取得手段(ECU2、ステップ20)と、取得された運転状態パラメータと参照モデルを用いて、運転状態パラメータと排気パラメータの推定値との関係を学習したプラントモデルである学習モデルを作成する学習モデル作成手段(ECU2、ステップ21〜26)と、作成された学習モデル、取得された運転状態パラメータ及び所定の回帰分析手法を用いて、排気パラメータの推定値(排気温度の推定値Tex_est)を算出する推定値算出手段(ECU2、ステップ30)と、算出された排気パラメータの推定値(排気温度の推定値Tex_est)を用いて、内燃機関3を制御する制御手段(ECU2、ステップ31〜37)と、を備え、学習モデル作成手段は、取得されたK3(K3は正の整数)個の運転状態パラメータのデータにおける中心点と、中心点からの距離(マハラノビス距離DMA)とを算出する距離算出手段(ECU2、ステップ24)と、距離が算出されたK3個のデータのうちの、中心点からの距離が大きい方のM2(M2はK3より小さい正の整数)個のデータをサンプリングするサンプリング手段(ECU2、ステップ24)と、サンプリングされたM2個のデータに応じて、参照モデルを参照することにより、M2個のデータとM2個のデータに対応するM2個の排気パラメータの推定値(排気温度の推定値Tex_est)とをサンプリングし、サンプリングしたデータを学習モデルのデータとして更新する更新手段(ECU2、ステップ26)と、を有することを特徴する。
この内燃機関の制御装置によれば、内燃機関の運転中に運転状態パラメータが取得され、取得された運転状態パラメータと参照モデルを用いて、運転状態パラメータと排気パラメータの推定値との関係を学習したプラントモデルである学習モデルが作成される。この場合、参照モデルは、内燃機関の運転状態を表す運転状態パラメータと、内燃機関の排気の物理量を表す排気パラメータとの相関性を表す参照用のプラントモデルが記憶されたものであり、そのような参照モデルと運転状態パラメータを用いて、学習モデルが作成されるので、内燃機関が実際に使用される運転域に対して相関性を高めると同時にモデル化誤差を低減しながら、学習モデルを作成することができる。
そして、そのよう作成された学習モデル、取得された運転状態パラメータ及び所定の回帰分析手法を用いて、排気パラメータの推定値が算出されるので、排気パラメータの推定値の算出精度を向上させることができる。さらに、そのような排気パラメータの推定値を用いて、内燃機関が制御されるので、その制御精度を向上させることができる。これに加えて、制御装置を過給機を備えていない内燃機関にも適用できることで、汎用性を向上させることができる。
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の内燃機関3の制御装置1において、回帰分析手法は、カーネル関数を用いたカーネルリッジ回帰手法であることを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、カーネル関数を用いたカーネルリッジ回帰手法を用いて、排気パラメータの推定値が算出され、そのような排気パラメータの推定値を用いて、内燃機関が制御されるので、非線形な特性を有する内燃機関を制御する場合でも、高い制御精度を確保することができる。
請求項10に係る発明は、請求項8又は9に記載の内燃機関3の制御装置1において、距離算出手段は、距離としてマハラノビス距離DMAを算出することを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、K3個のデータのうちの、マハラノビス距離が大きい方のM2個のデータをサンプリングし、そのようなM2個のサンプリングデータに応じて、参照モデルを参照することにより、M2個のデータとM2個のデータに対応するM2個の排気パラメータの推定値とをサンプリングし、サンプリングしたデータが学習モデルのデータとして更新されるので、通常のランダムサンプリング手法を用いた場合と比べて、サンプリングデータ数が少ない条件下で、学習モデルのモデル化誤差を低減することができる。さらに、そのような学習モデルを用いて算出された排気パラメータの推定値を用いて、内燃機関が制御されるので、その制御精度を向上させることができる。
請求項11に係る発明は、請求項8ないし10のいずれかに記載の内燃機関3の制御装置1において、運転状態パラメータは、互いに異なる複数の運転状態パラメータ(エンジン回転数NE、吸気圧Pin、燃料噴射量Q、EGR弁開度φegr)で構成されていることを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、互いに異なる複数の運転状態パラメータを用いて、学習モデルが作成されるので、1つの運転状態パラメータを用いた場合と比べて、学習モデルのモデル化誤差をさらに低減することができる。それにより、そのような学習モデルを用いて算出された排気パラメータの推定値を用いて、内燃機関が制御されるので、その制御精度をさらに向上させることができる。
請求項12に係る発明は、請求項8ないし11のいずれかに記載の内燃機関3の制御装置1において、排気パラメータは、排気温度Tex、排気圧力及び排気還流量の少なくとも1つであることを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、排気温度、排気圧力及び排気還流量の少なくとも1つを精度よく推定することができ、それにより、内燃機関の制御精度をより一層向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るモデリング装置及び制御装置と、これらを適用した内燃機関の構成を模式的に示す図である。 モデリング装置による参照モデル作成処理を示すフローチャートである。 マハラノビス距離の説明図である。 マハラノビス距離を用いたサンプリング手法及びランダムサンプリング手法における誤差を比較した図である。 学習モデル作成処理を示すフローチャートである。 EGR制御処理を示すフローチャートである。 車両走行中における排気温度の推定値と測定結果を示すタイミングチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る内燃機関のモデリング装置及び制御装置について説明する。図1に示すように、本実施形態の制御装置1は、ECU2を備えており、このECU2によって、後述するように、各種の制御処理が実行される。また、同図に示すように、車両の製作工場内などにおいて、車両の工場出荷前に参照用のプラントモデルである参照モデルを作成する場合には、モデリング装置50がECU2に電気的に接続される。
本実施形態の内燃機関(以下「エンジン」という)3は、ガソリンを燃料とする多気筒内燃機関であり、図示しない車両に動力源として搭載されている。エンジン3は、気筒ごとに設けられた燃料噴射弁4及び点火プラグ5(いずれも1つのみ図示)と、スロットル弁機構8と、EGR装置9などを有している。
これらの燃料噴射弁4及び点火プラグ5はいずれもECU2に電気的に接続されており、ECU2により、エンジン3の運転状態に応じて、燃料噴射弁4による燃料の噴射量及び噴射時期と、点火プラグ5による混合気の点火時期とが制御される。
また、前述したスロットル弁機構8は、スロットル弁8a及びこれを開閉駆動するTHアクチュエータ8bなどを備えている。スロットル弁8aは、吸気通路6の途中に回動自在に設けられており、当該回動に伴う開度の変化によりスロットル弁8aを通過する空気の流量を変化させる。THアクチュエータ8bは、ECU2に接続されたモータにギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2からの制御入力信号によって制御されることにより、スロットル弁8aの開度を変化させる。それにより、スロットル弁8aを通過する空気量が制御される。
さらに、前述したEGR装置9は、排気通路7の排気の一部を吸気通路6に還流させるものであり、EGR通路9a、EGR弁9b及びEGRクーラ9cなどで構成されている。EGR通路9aの一端部は、吸気通路6の所定部位に接続され、他端部は排気通路7の所定部位に接続されている。
また、EGR弁9bは、バタフライ弁タイプのものであり、DCモータなどで構成されたアクチュエータ(図示せず)に連結されている。このEGR弁9bの場合、ECU2からの制御入力信号がアクチュエータに供給されることによって、その開度が制御され、それにより、排気通路7から吸気通路6に還流される排ガス量、すなわちEGR量が制御される。
さらに、EGRクーラ9cは、EGR通路9aのEGR弁9bよりも排気通路7側に配置された水冷式のものであり、エンジン冷却水を利用して、EGR通路9aを流れる高温の還流ガスを冷却する。
一方、ECU2には、クランク角センサ20、水温センサ21、エアフローセンサ22、吸気圧センサ23、EGR温センサ24、EGR弁開度センサ25及びアクセル開度センサ26が電気的に接続されている。
このクランク角センサ20は、図示しないクランクシャフトの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号をECU2に出力する。このCRK信号は、所定クランク角(例えば30゜)ごとに1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
また、水温センサ21は、エンジン3のシリンダブロック(図示せず)内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。このエンジン水温TWは、絶対温度として検出される。
さらに、エアフローセンサ22は、スロットル弁8aを通過する空気量(以下「TH通過空気量」という)Gthを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。このTH通過空気量Gthは、質量流量として検出される。
一方、吸気圧センサ23は、吸気通路6のインテークマニホールド(図示せず)内の圧力(以下「吸気圧」という)Pinを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。この吸気圧Pinは、絶対圧として検出される。
また、EGR圧センサ24は、EGRクーラ9cからEGR弁9bに流れ込む還流ガスの圧力(以下「EGR圧」という)Pegrを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。このEGR圧Pegrは、絶対圧として検出される。
さらに、EGR弁開度センサ25は、EGR弁9bの開度(以下「EGR弁開度」という)φegrを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、アクセル開度センサ26は、車両の図示しないアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、ECU2は、CPU、RAM、E2PROM、ROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ20〜26の検出信号などに応じて、後述するEGR制御処理などの各種の制御処理を実行する。なお、本実施形態では、ECU2が、記憶手段、運転状態パラメータ取得手段、推定値算出手段、制御手段、参照モデル記憶手段、学習モデル作成手段、距離算出手段、サンプリング手段及び更新手段に相当する。
また、モデリング装置50は、CPU、ROM及びRAMなどを有するマイクロコンピュータと、各種の電気回路などで構成されている。なお、本実施形態では、モデリング装置50が、パラメータ取得手段、プラントモデル作成手段、距離算出手段、サンプリング手段及びモデル作成手段に相当する。このモデリング装置50の場合、参照モデルの作成時にのみ、工場内においてECU2及び排気温センサ51に電気的に接続される。
この排気温センサ51は、エンジン3の排気通路7のエキゾーストマニホールド(図示せず)内における排気の温度(以下「排気温度」という)Texを検出して、それを表す検出信号を出力するものであり、モデリング装置50による参照モデルの作成時などにおいて、エンジン3の排気通路7の排気マニホールドに取り付けられる。一方、これらのモデリング装置50及び排気温センサ51は、車両が工場から出荷されるときに、ECU2及びエンジン3からそれぞれ取り外される。
このモデリング装置50は、エンジン3がECU2によって様々な運転モードで制御されているときに、ECU2との間で各種の電気信号を授受しながら、図2に示すように、参照モデル作成処理を実行する。
この参照モデル作成処理は、いずれも運転状態パラメータである、エンジン回転数NE、吸気圧Pin、燃料噴射量Q及びEGR弁開度φegrを入力変数とし、排気温度Tex(排気パラメータ)を出力変数とする、参照用のプラントモデルである参照モデルを作成するものであり、所定の制御周期で実行される。なお、以下の説明おける「RAM」は、モデリング装置50のRAMを表している。
同図に示すように、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、5つのパラメータ(NE,Pin,Q,φegr,Tex)のデータをサンプリングし、これらのデータにおける4つの入力変数(NE,Pin,Q,φegr)と1つの出力変数(Tex)を、これらの相関性を保持した状態、すなわち5要素の1行行列データの状態でRAM内に記憶する。
次いで、ステップ2に進み、第1サンプリング回数N1をその前回値N1zと値1の和に設定する。すなわち、第1サンプリング回数N1を値1インクリメントする。この第1サンプリング回数N1は、ステップ1におけるサンプリングの実行回数に相当する値であり、その関係上、前回値N1zの初期値は値0に設定される。
次に、ステップ3で、第1サンプリング回数N1が所定値K1(例えば、4桁の整数)以上になったか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ3の判別結果がYESで、ステップ1の実行回数が所定値K1に達したときには、ステップ4に進み、第1サンプリング回数N1をリセットする。
次いで、ステップ5に進み、モデルデータのサンプリングを実行する。具体的には、RAM内に記憶されているK1組のデータ(すなわちK1行5列の行列データ)における4つの入力変数(NE,Pin,Q,φegr)に対して、下式(1)〜(3)により、マハラノビス距離DMAを算出する。
Figure 2018062913
Figure 2018062913
Figure 2018062913
上式(1)のxは、式(2)に示すように定義される入力変数の行列であり、この行列xにおいて、4つの要素x1〜x4はそれぞれ、NE,Pin,Q,φegrに相当する。また、上式(1)のx_aveは、式(3)に示すように定義される入力変数の平均値の行列であり、この行列x_aveにおいて、4つの要素x1_ave〜x4_aveはそれぞれ、NE,Pin,Q,φegrのサンプリングデータの平均値に相当する。
次に、以上のようにマハラノビス距離DMAをK1個算出した後、これらK1個のマハラノビス距離DMAを算出したデータのうちの、マハラノビス距離DMAが大きい方のM1(例えば、2桁の整数)個の入力変数データ及びこれに対応する出力変数のデータを要素とする行列データをサンプリングした後、RAM内に記憶する。その結果、合計M1個の5要素の1行行列データ(すなわちM1行5列の行列データ)がRAM内に記憶される。このサンプリング処理は、図4に示すように、中心点のデータD1に対して、マハラノビス距離DMAが大きいデータD2〜D4をサンプリングすることに相当する。
この場合、マハラノビス距離DMAを用いてサンプリングを実行した理由は、以下による。すなわち、図5に示すように、マハラノビス距離DMAを用いた場合、通常のランダムサンプリング手法を用いた場合と比べて、サンプリングデータ数が少ない条件下で、誤差V_RMSEを小さくでき、サンプリング精度を向上させることができるためである。なお、この誤差V_RMSEは、交差検定における2乗平均平方根誤差である。
以上のように、ステップ5でモデルデータのサンプリングを実行した後、ステップ6に進み、第2サンプリング回数N2をその前回値N2zと値1の和に設定する。すなわち、第2サンプリング回数N2を値1インクリメントする。この第2サンプリング回数N2は、上記ステップ5におけるサンプリングの実行回数に相当する値であり、その関係上、前回値N2zの初期値は値0に設定される。
次に、ステップ7で、第2サンプリング回数N2が所定値K2(例えば、3桁の整数)以上になったか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ7の判別結果がYESで、ステップ5の実行回数が所定値K2に達し、5要素の1行行列データを合計K2×M1個、サンプリングしたとき、すなわち、K2×M1行5列の行列データをサンプリングしたときには、ステップ8に進み、2つのモデルパラメータλ,σを決定する。これらのモデルパラメータλ,σは、後述する排気温度の推定値Tex_est算出用の回帰モデル式(4),(5)におけるモデルパラメータに相当する値であり、以下に述べる手法によって決定される。
まず、以上のようにサンプリングされた4つの入力変数及び1つの出力変数を要素とする行列データにおける誤差V_RMSEを算出し、これを出力とし、パラメータλ,σを入力とする関数を定義する。そして、Nelder−Mead法(滑降シンプレックス法)を用いて、この関数の最小値を探索することによって、2つのモデルパラメータλ,σが決定される。
ステップ8で、2つのモデルパラメータλ,σを以上のように決定した後、本処理を終了する。
本実施形態の場合、以上のように、図2のステップ1〜8の処理を実行することにより、4つの入力変数(NE,Pin,Q,φegr)と1つの出力変数(Tex)との相関性を表すプラントモデルが完成するので、そのタイミングで、このプラントモデルが、参照モデルとして、ECU2内のROM内に書き込まれる。それにより、車両の工場出荷後、ECU2は、後述するように、ROM内の参照モデルのデータを利用しながら、学習モデル作成処理を実行する。
次に、図5を参照しながら、ECU2によって実行される学習モデル作成処理について説明する。この制御処理は、車両の工場出荷後、運転者による車両の運転中において、所定の制御周期(例えば数十msec)で実行される。
同図に示すように、まず、ステップ20で、今回の制御タイミングにおける、4つの入力変数(NE,Pin,Q,φegr)のデータをサンプリングし、RAM内に記憶する。
次いで、ステップ21に進み、第3サンプリング回数N3をその前回値N3zと値1の和に設定する。すなわち、第3サンプリング回数N3を値1インクリメントする。この第3サンプリング回数N3は、ステップ20におけるサンプリングの実行回数に相当する値であり、その関係上、前回値N3zの初期値は値0に設定される。
次に、ステップ22で、第3サンプリング回数N3が所定値K3(例えば、3桁の整数)以上になったか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ22の判別結果がYESで、ステップ20の実行回数が所定値K3に達したときには、ステップ23に進み、第3サンプリング回数N3をリセットする。
次いで、ステップ24に進み、学習データのサンプリングを実行する。具体的には、RAM内に記憶されている4つの入力変数(NE,Pin,Q,φegr)のK3組のサンプリングデータ(すなわちK3行4列の行列データ)に対して、前述した式(1)〜(3)により、マハラノビス距離DMAをK3個算出した後、これらK3個のマハラノビス距離DMAを算出したデータのうちの、マハラノビス距離DMAが大きい方のM2(例えば、2桁の整数)個の入力変数データを要素とするM2組の行列データ(すなわちM2行4列の行列データ)をサンプリングする。
次に、ステップ25で、学習モデルのデータを算出する。具体的には、ステップ24でサンプリングしたM2組の行列データの各組の行列に応じて、ROM内の参照用モデルを参照し、排気温度の学習値Tex_lrnを算出する。この場合、補間演算手法を用いて、排気温度の学習値Tex_lrnが算出される。以上の動作を合計M2回繰り返すことにより、M2組の、5つのパラメータ(NE,Pin,Q,φegr,Tex_lrn)を要素とする1行行列データを算出する。すなわち、学習モデルのデータとして、M2行5列の行列データが算出される。
次いで、ステップ26に進み、以上のように算出したM2組のデータを、学習モデルの一部のデータとして、E2PROM内に書き込んだ後、本処理を終了する。この場合、ステップ26で、M2組の学習モデルのデータを書き込む際には、M2組分の最も古い学習モデルのデータに上書きされる。すなわち、E2PROM内の学習モデルのデータ数は一定に保持される。
次に、図6を参照しながら、ECU2によって実行されるEGR制御処理について説明する。この制御処理は、以下に述べるように、目標EGR弁開度φegr_trgtを算出するものであり、所定の制御周期(例えば数十msec)で実行される。
同図に示すように、まず、ステップ30で、下式(4),(5)により、排気温度の推定値Tex_estを算出する。
Figure 2018062913
Figure 2018062913
上式(4)は、カーネル関数としてガウスカーネル関数を用いたカーネルリッジ回帰手法から導出した回帰モデル式であり、右辺のxは、今回の制御タイミングで実際にサンプリングした4つの入力変数(NE,Pin,Q,φegr)のデータを要素とする1行行列であり、右辺のx(j)は、前述した学習モデルにおける、今回の制御タイミングでサンプリングした値xに最も近い入力変数のデータを要素とする行列である。
さらに、上式(4)のαは、式(5)に示すように定義される係数ベクトルであり、残差平方和が最小になるように導出される。この式(5)のKは、Kij=k(x(j),x(i))を(i,j)成分とする行列であり、各サンプリングデータ間の類似性を表すものである。また、式(5)のInは、n次の単位行列であり、yは、x(j)に対応する排気温度の学習値Tex_lrnである。
次いで、ステップ31に進み、下式(6)により、EGR温度Tegrを算出する。このEGR温度Tegrは、EGRクーラ9cからEGR弁9bに流入する還流ガスの温度である。
Figure 2018062913
この式(6)のηegrは、EGRクーラ9cの冷却効率である。
次に、ステップ32で、下式(7)により、EGR量Gegrを算出する。このEGR量Gegrは、還流ガスの流量質量に相当する。
Figure 2018062913
この式(7)は、EGR弁9bをノズルと見なして、ノズルの式を適用することによって導出される。上式(7)のA(φegr)は、EGR弁9bの有効開口面積と流量係数の積に相当する関数値であり、この関数値A(φegr)は、具体的には、EGR弁開度φegrに応じて、図示しないマップを検索することにより算出される。また、式(7)のκは比熱比であり、Regrは還流ガスの気体定数である。
ステップ32に続くステップ33で、下式(8)により、EGR率γegrを算出する。
Figure 2018062913
次いで、ステップ34に進み、エンジン回転数NE及びアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標EGR率γegr_trgtを算出する。
次に、ステップ35で、目標EGR率γegr_trgtに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標EGR弁開度のフィードフォワード制御項φegr_ffを算出する。
ステップ35に続くステップ36で、EGR率γegrが目標EGR率γegr_trgtに収束するように、所定のフィードバック制御アルゴリズム(例えば、応答指定型制御アルゴリズムやPID制御アルゴリズムなど)を用いて、目標EGR弁開度のフィードバック制御項φegr_fbを算出する。
次いで、ステップ37に進み、下式(9)により、目標EGR弁開度φegr_trgtを算出した後、本処理を終了する。
Figure 2018062913
以上のように、目標EGR弁開度φegr_trgtが算出されると、これに対応する制御入力信号がECU2からEGR弁9bに供給される。それによって、EGR弁開度φegrが目標EGR弁開度φegr_trgtになるように制御される。
次に、図7を参照しながら、本実施形態の制御装置1による排気温度の推定値Tex_estの算出結果について説明する。同図において、破線で示すデータは、車両の走行中における排気温度の推定値Tex_estの算出結果を表しており、実線で示すデータは、車両の走行中における排気温度Texの実測結果を表している。
両データを比較すると明らかなように、排気温度の推定値Tex_estが、実測した排気温度Texに対して精度よく追従しており、高い推定精度が得られていることが判る。
以上のように、本実施形態のモデリング装置50によれば、車両の工場出荷前において、エンジン運転中、エンジン3の運転状態を表す4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)と、排気パラメータである排気温度Texとが両者の相関性を保持した状態で取得され、取得された運転状態パラメータ及び排気パラメータを用いて、参照用のプラントモデルである参照モデルが作成される。その際、運転状態パラメータの取得回数がK1(K1は正の整数)回に達する毎に、4つの運転状態パラメータの各々において、K1個の各運転状態パラメータのマハラノビス距離DMAを算出し、算出されたK1個のマハラノビス距離DMAのうちのマハラノビス距離DMAが大きい方のM1(M1はK1より小さい正の整数)個のデータをサンプリングされる。そして、以上のサンプリング動作を合計K2回、実施することによって、4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)と排気温度Texとの相関性を表す参照モデルが作成される。
以上の手法により、マハラノビス距離DMAを用いることなく、通常のランダムサンプリング手法を用いた場合と比べて、サンプリングデータ数が少ない条件下で、参照モデルのモデル化誤差を低減することができる。また、互いに異なる4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)を入力変数とし、排気温度Texを出力変数とする参照モデルが作成されるので、1つのパラメータを入力変数とする場合とくらべて、参照モデルのモデル化誤差をさらに低減することができる。
さらに、本実施形態の制御装置1によれば、運転者による車両の運転中に4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)が取得され、4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)と参照モデルを用いて、4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)と排気温度Texの推定値との関係を学習したプラントモデルである学習モデルが作成される。この場合、参照モデルは、前述したようにモデル化誤差が低減できるように作成され、そのような参照モデルと運転中に取得された4つの運転状態パラメータを用いて、学習モデルが作成されるので、エンジン3が実際に使用される運転域に対して相関性を高めると同時にモデル化誤差を低減しながら、学習モデルを作成することができる。
そして、そのよう作成された学習モデルにおける入力変数及び出力変数の値、取得された4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)を、回帰モデル式(4),(5)に代入することにより、排気温度の推定値Tex_estが算出されるので、その算出精度を向上させることができる。さらに、そのような排気温度の推定値Tex_estを用いて、EGR制御処理が実行されるので、その制御精度を向上させることができる。これに加えて、制御装置1を、過給機を備えてないエンジン3にも適用できることで、汎用性を向上させることができる。
また、排気温度の推定値Tex_estのモデル式(4),(5)がガウスカーネル関数を用いたカーネルリッジ回帰手法を用いて導出されるので、非線形な特性を有するエンジン3のEGR制御を実行する場合でも、高い制御精度を確保することができる。これに加えて、モデリング装置50において、排気温度の推定値Tex_estのモデル式(4),(5)におけるモデルパラメータλ,σが、参照モデルにおける4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)及び排気温度Texを要素とする行列データにおける誤差V_RMSEを算出し、これを出力とし、モデルパラメータλ,σを入力とする関数を定義するとともに、Nelder−Mead法(滑降シンプレックス法)を用いて、この関数の最小値を探索することによって決定されるので、これらのモデルパラメータλ,σを、実際のプラント特性に適合するように精度よくかつ適切に決定(同定)することができる。
さらに、4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)を、マハラノビス距離DMAを用いてサンプリングし、そのようにサンプリングされた運転状態パラメータを参照モデルに適用することにより、排気温度の推定値Tex_estをサンプリングし、この排気温度の推定値Tex_estと運転状態パラメータとが学習モデルのデータとして更新されるので、通常のランダムサンプリング手法を用いた場合と比べて、学習モデルのモデル化誤差をより低減することができる。これに加えて、互いに異なる4つの運転状態パラメータ(NE,Pin,Q,φegr)を用いて、学習モデルが作成されるので、1つの運転状態パラメータを用いた場合と比べて、学習モデルのモデル化誤差をさらに低減することができる。そして、以上のような学習モデルを用いて排気温度の推定値Tex_estが算出され、その算出値を用いて、EGR制御処理が実行されるので、その制御精度をさらに向上させることができる。
なお、実施形態は、排気パラメータとして、排気温度Texを用いた例であるが、本発明の排気パラメータはこれに限らず、内燃機関の排気の物理量を表すものであればよい。例えば、排気パラメータとして、排気温度Texに変えて、排気圧力又は排気還流量を用いてもよく、これらの3つのパラメータの少なくとも1つを用いてもよい。
また、実施形態は、運転状態パラメータとして、4つのパラメータ(NE,Pin,Q,φegr)を用いた例であるが、本発明の運転状態パラメータはこれらに限らず、内燃機関の運転状態を表すものであればよい。例えば、これらの4つのパラメータに加えて、点火時期IG、エンジン水温TW及びスロットル弁8aの開度などを用いてもよい。また、運転状態パラメータの数は、4個に限らず、1〜3個又は5個以上の運転状態パラメータを用いてもよい。
さらに、実施形態は、排気温度の推定値Tex_estを用いて、内燃機関3のEGR制御を実行した例であるが、本発明の内燃機関の制御はこれに限らず、排気パラメータの推定値を用いて、内燃機関を制御するものであればよい。例えば、排気温度の推定値Tex_estを用いて、内燃機関の燃料噴射制御処理を実行してもよい。
一方、実施形態は、参照モデル作成処理を図2に示すように実行した例であるが、この参照モデル作成処理において、ステップ3の所定値K1を実施形態に括弧書きで記載した値よりも大きな値に設定し、ステップ6,7を省略するように構成してもよい。
これに加えて、所定値K1〜K3,M1〜M2の値はいずれも、実施形態に括弧書きした値に限らず、要求される精度や演算負荷などに応じて、適宜、設定可能である。
また、実施形態は、中心点からの距離として、マハラノビス距離DMAを用いた例であるが、本発明の中心点からの距離はこれに限らず、ユークリッド距離などの中心点からの距離を表すものであればよい。
さらに、実施形態は、図のステップ5でモデルデータをサンプリングする際、マハラノビス距離DMAが大きい方のM1個のデータをサンプリングした例であるが、モデルデータのサンプリング手法はこれに限らず、マハラノビス距離が大きいものをサンプリングできる手法であればよい。例えば、多数のデータに対して、マハラノビス距離DMAが大きくなるほど確率がより大きくなるように、確率を付与し、その確率に従って、M1個のデータをサンプリングしてもよい。
一方、実施形態は、本発明の制御装置を車両用の内燃機関に適用した例であるが、本発明の制御装置は、これに限らず、船舶用の内燃機関や、他の産業機器用の内燃機関にも適用可能である。
1 制御装置
2 ECU(記憶手段、運転状態パラメータ取得手段、推定値算出手段、制御手段、 参照モデル記憶手段、学習モデル作成手段、距離算出手段、サンプリング手段、 更新手段)
3 内燃機関
50 モデリング装置(パラメータ取得手段、プラントモデル作成手段、距離算出手段 、サンプリング手段、モデル作成手段)
NE エンジン回転数(運転状態パラメータ)
Pin 吸気圧(運転状態パラメータ)
Q 燃料噴射量(運転状態パラメータ)
φegr EGR弁開度(運転状態パラメータ)
DMA マハラノビス距離
Tex 排気温度(排気パラメータ)
Tex_est 排気温度の推定値(排気パラメータの推定値)

Claims (12)

  1. 内燃機関の運転中、当該内燃機関の運転状態を表す運転状態パラメータと当該内燃機関の排気の物理量を表す排気パラメータとを、両者の相関性を保持した状態で取得するパラメータ取得手段と、
    当該取得された運転状態パラメータ及び排気パラメータを用いて、当該運転状態パラメータと当該排気パラメータとの相関性を表すプラントモデルを作成するプラントモデル作成手段と、
    を備え、
    当該プラントモデル作成手段は、
    前記取得された運転状態パラメータの数がK1(K1は正の整数)個に達する毎に、当該K1個の運転状態パラメータのデータにおける中心点と、当該中心点からの距離とを算出する距離算出手段と、
    当該距離が算出されたK1個のデータのうちの、中心点からの距離が大きい方のM1(M1はK1より小さい正の整数)個のデータをサンプリングするサンプリング手段と、
    当該サンプリングされたM1個のデータと、当該M1個のデータに対応するM1個の排気パラメータを用いて、前記プラントモデルを作成するモデル作成手段と、
    を有することを特徴とする内燃機関のモデリング装置。
  2. 前記モデル作成手段は、前記サンプリング手段によるM1個のデータのサンプリング回数がK2(K2は正の整数)回に達したときに、当該サンプリングされたM1×K2個のデータと、当該M1×K2個のデータに対応するM1×K2個の排気パラメータとを用いて、前記プラントモデルを作成することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のモデリング装置。
  3. 前記距離算出手段は、前記距離としてマハラノビス距離を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のモデリング装置。
  4. 前記運転状態パラメータは、互いに異なる複数の運転状態パラメータで構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関のモデリング装置。
  5. 前記排気パラメータは、排気温度、排気圧力及び排気還流量の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関のモデリング装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の内燃機関のモデリング装置によって作成されたプラントモデルを記憶する記憶手段と、
    前記内燃機関の運転中に前記運転状態パラメータを取得する運転状態パラメータ取得手段と、
    当該取得された運転状態パラメータ、前記記憶されたプラントモデル及び所定の回帰分析手法を用いて、前記排気パラメータの推定値を算出する推定値算出手段と、
    当該算出された排気パラメータの推定値を用いて、前記内燃機関を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 前記回帰分析手法は、カーネル関数を用いたカーネルリッジ回帰手法であることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 内燃機関の運転状態を表す運転状態パラメータと、当該内燃機関の排気の物理量を表す排気パラメータとの相関性を表す参照用のプラントモデルである参照モデルを記憶する参照モデル記憶手段と、
    前記内燃機関の運転中に前記運転状態パラメータを取得する運転状態パラメータ取得手段と、
    当該取得された運転状態パラメータと前記参照モデルを用いて、前記運転状態パラメータと前記排気パラメータの推定値との関係を学習したプラントモデルである学習モデルを作成する学習モデル作成手段と、
    当該作成された学習モデル、前記取得された運転状態パラメータ及び所定の回帰分析手法を用いて、前記排気パラメータの推定値を算出する推定値算出手段と、
    当該算出された排気パラメータの推定値を用いて、前記内燃機関を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記学習モデル作成手段は、
    前記取得されたK3(K3は正の整数)個の運転状態パラメータのデータにおける中心点と、当該中心点からの距離とを算出する距離算出手段と、
    当該距離が算出されたK3個のデータのうちの、中心点からの距離が大きい方のM2(M2はK3より小さい正の整数)個のデータをサンプリングするサンプリング手段と、
    当該サンプリングされたM2個のデータに応じて、前記参照モデルを参照することにより、当該M2個のデータと当該M2個のデータに対応するM2個の排気パラメータの推定値とをサンプリングし、当該サンプリングしたデータを前記学習モデルのデータとして更新する更新手段と、
    を有することを特徴する内燃機関の制御装置。
  9. 前記回帰分析手法は、カーネル関数を用いたカーネルリッジ回帰手法であることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記距離算出手段は、前記距離としてマハラノビス距離を算出することを特徴とする請求項8又は9に記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記運転状態パラメータは、互いに異なる複数の運転状態パラメータで構成されていることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  12. 前記排気パラメータは、排気温度、排気圧力及び排気還流量の少なくとも1つであることを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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