JP2018062441A - 光学ガラス - Google Patents

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俣野 高宏
Takahiro Matano
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Abstract

【課題】環境上好ましくない成分を含有せず、低ガラス転移点を容易に達成することができ、耐侯性や化学耐久性にも優れ、かつ、可視域または近紫外域の透過率に優れた光学ガラスを提供する。【解決手段】モル%で、P2O520〜60%、SnO 1〜53%、R’2O(R’はLi、Na、K及びCsから選択される少なくとも1種) 0〜2%及びRO(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種) 0.1〜50%を含有し、かつ、鉛成分及びヒ素成分を実質的に含有しないことを特徴とする光学ガラス。【選択図】なし

Description

本発明は光学ガラスに関するものである。詳細には、各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズや、ビデオカメラ、一般のカメラの撮影用レンズ等に好適な光学ガラスに関する。
一般に、CD、MD、DVD、その他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズ、ビデオカメラ、一般のカメラの撮影用レンズは以下のようにして作製される。
まず、所望の組成となるように調整された原料粉末を溶融する。次に、溶融ガラスをノズルの先端から滴下して、液滴状ガラスを作製し(液滴成形)、必要に応じて、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを作製する。または、溶融ガラスを急冷鋳造して、一旦ガラスインゴットを作製し、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを作製する。続いて、プリフォームガラスを加熱して軟化し、精密加工を施した金型によって加圧成形し、金型の表面形状をガラスに転写してレンズを作製する。このような成形方法は、一般にモールドプレス成形法(または、精密プレス成形法)と呼ばれている。
モールドプレス成形法を採用する場合、金型の劣化を抑制しつつ、レンズを精密にモールドプレス成形するために、なるべく低い屈伏点あるいはガラス転移点を有するガラスが求められており、種々のガラスが提案されている。
一般に、屈伏点の低い光学ガラスを作製するためには、アルカリ成分等の、屈折率や、耐侯性または化学耐久性の低下の原因となる成分を多く含有させる必要がある。そこで、アルカリ成分等の含有量が少なくても、低ガラス転移点を達成することが可能なガラスとして、ビスマス系ガラスやリン酸塩系ガラスが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2007−106625号公報 特開平10−297936号公報
特許文献1には、400℃前後の低ガラス転移点を有するBi−B−SiO系ガラスが記載されているが、Biを多く含有するガラスは、黄色に着色しやすく高い透過率が得られにくい。また、特許文献2には、300℃以下の低ガラス転移点を有するガラスとして、SnO−PbO−P系ガラスが記載されているが、このガラスは鉛成分を必須成分として含有しているため、環境上好ましくない。
そこで、本発明は、環境上好ましくない成分を含有せず、低ガラス転移点を容易に達成することができ、耐侯性や化学耐久性にも優れ、かつ、可視域または近紫外域の透過率に優れた光学ガラスを提供することを課題とする。
本発明の光学ガラスは、モル%で、P 20〜60%、SnO 1〜53%、R’O(R’はLi、Na、K及びCsから選択される少なくとも1種) 0〜2%及びRO(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種) 0.1〜50%を含有し、かつ、鉛成分及びヒ素成分を実質的に含有しないことを特徴とする。
本発明の光学ガラスは、ガラス組成中にP、SnOを多量に含有しているため、低ガラス転移点を達成しやすく、かつ、耐侯性や化学耐久性にも優れている。さらに、モールドプレス成形時に、透明性を阻害する失透物が生じにくい。
また、本発明の光学ガラスは、P、SnOの他に、ROを必須成分として含有しているため、着色が生じにくく、可視域または近紫外域の透過率に優れている。さらに、本発明の光学ガラスは、有害成分である鉛成分及びヒ素成分を実質的に含有しないため、環境上好ましいガラスである。
さらに、本発明の光学ガラスは、R’Oの含有量が少ないため、耐候性、化学的耐久性に優れている。
なお、本発明において、「鉛成分及びヒ素成分を実質的に含有しない」とは、これらの成分を意図的にガラス中に含有させないという意味であり、不可避的不純物まで完全に排除することを意味するものではない。客観的には、不純物を含めたこれらの成分の含有量が、モル%で、各々0.1%未満であることを意味する。
+SiO+Alの含有量が0〜10モル%であることが好ましい。なお、「B+SiO+Al」は、B、SiO及びAlの含有量の合量を意味する。
当該構成によれば、耐候性や化学耐久性に優れ、かつ、可視域または近紫外域の透過率に優れたガラスが得られやすくなる。
ガラス転移点が500℃以下であることが好ましい。
当該構成によれば、低温でのプレス成型が可能となり、金型の酸化、ガラス成分の揮発による金型の汚染、さらには、ガラスと金型との融着などの問題を抑制することができる。
熱膨張係数が30〜300℃の範囲で80×10−7/℃以上であることが好ましい。
当該構成によれば、加熱プレスし、冷却する際のガラスの収縮が大きくなるため、プレス金型からガラスを離型しやすくなる。これにより、ガラスの破損を抑制することができる。
ヤング率が60GPa以下であることが好ましい。
当該構成によれば、プレス成型時に金型から離型しやすく、冷却時に破損しにくくなる。
屈折率(nd)が1.6以上、アッベ数(νd)が70以下であることが好ましい。
部分分散比(θg、F)が0.65以下であることが好ましい。
アッベ数(νd)及び部分分散比(θg、F)が、(θg、F)≦−0.0047×(νd)+0.76の関係を満たすことが好ましい。
光学デバイスにおいては、一般に、低分散かつ部分分散比が大きいガラスからなる光学レンズと、高分散かつ部分分散比の小さいガラスからなる光学レンズを組み合わせて使用することにより、色収差を補正している。本発明の光学ガラスは、アッベ数及び部分分散比が上記関係を満たすことにより、高分散かつ部分分散比の小さい光学特性を達成しやすくなり、色収差に優れた光学デバイスを容易に作製することができる。
着色度λ70が500nm未満であることが好ましい。
ガラス着色度λ70が上記範囲を満たすことにより、可視域または近紫外域における透過率に優れ、各種光学レンズ等の光学素子に好適なガラスを得ることが可能となる。なお、本発明において「着色度λ70」とは、透過率曲線において、透過率が70%になる波長をいう。
光学レンズ用であることが好ましい。
モールドプレス成形用であることが好ましい。
本発明の光学素子は、前記いずれかの光学ガラスを用いたことを特徴とする。
本発明によれば、環境上好ましくない成分を含有せず、低ガラス転移点を容易に達成することができ、耐侯性や化学耐久性にも優れ、かつ、可視域または近紫外域の透過率に優れた光学ガラスを提供することができる。
本発明の光学ガラスは、モル%で、P 20〜60%、SnO 1〜53%、R’O(R’はLi、Na、K及びCsから選択される少なくとも1種) 0〜2%及びRO(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種) 0.1〜50%を含有し、かつ、鉛成分及びヒ素成分を実質的に含有しないことを特徴とする。以下に、各成分の含有量を上記のように特定した理由を説明する。なお、特に断りがない場合、以下の各成分の含有量に関する説明において、「%」は「モル%」を意味する。
はガラス骨格の構成成分である。また、透過率を高める効果を有し、紫外域付近の透過率低下を抑制する効果が高い。特に、高屈折なガラスの場合は、透過率向上の効果が顕著である。さらに、ガラス転移点を低下させる効果、失透を抑制する効果も有する。Pの含有量は、20〜60%であり、好ましくは22〜57.5%、より好ましくは24〜55%、さらに好ましくは26〜52.5%、特に好ましくは28〜50%である。Pの含有量が少なすぎると、前記効果が得られにくくなる。一方、Pの含有量が多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなる。
SnOは高屈折率かつ高分散の光学特性を達成し、化学耐久性を向上させるための必須成分であり、部分分散比を低下させる効果もある。SnOの含有量は1〜53%であり、好ましくは2.5〜52%、より好ましくは5〜51%、さらに好ましくは7.5〜50%、特に好ましくは10〜49%である。SnOの含有量が少なすぎると、高屈折率特性を達成しにくくなり、また、耐侯性や化学耐久性が低下する傾向がある。一方、SnOの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなったり、耐失透性が低下したりする傾向がある。
なお、耐失透性に優れたガラスや機械的特性の高いガラスを得るためには、P及びSnOの含有量は、合量で、好ましくは30〜90%、より好ましくは40〜85%、さらに好ましくは50〜80%、特に好ましくは60〜75%である。
R’O(R’はLi、Na、K及びCsから選択される少なくとも1種)はガラス転移点を低下させる成分である。R’Oの含有量(LiO、NaO、KO及びCsOの含有量の合量)は0〜2%であり、好ましくは0〜1.5%、より好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0〜0.8%、特に好ましくは0.1〜0.5%である。R’Oの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなったり、化学耐久性が低下しやすくなる。
なお、R’Oの各成分の含有量は以下の通りとすることが好ましい。
R’Oの中でもLiOを積極的に含有させることにより、ガラス転移点の低いガラスを安定に得ることができる。また、部分分散比を低下させる効果がある。さらに、B、SiOまたはAlと置換することにより、屈折率を向上させることができる。ただし、LiOは分相性が強いため、その含有量が多すぎると、液相温度が上昇してガラス中に失透物が析出しやすくなり、作業性が低下するおそれがある。また、LiOは、化学耐久性を低下させやすく、透過率も低下させやすい。以上に鑑み、LiOの含有量は好ましくは0〜1.5%、より好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0〜0.8%、特に好ましくは0.1〜0.5%である。
NaOはLiOと同様にガラス転移点を低下させる効果を有する。また、部分分散比を低下させる効果がある。さらに、B、SiOまたはAlと置換することにより、屈折率を向上させることができる。ただし、その含有量が多すぎると、屈折率が大幅に低下したり、脈理の生成を助長する傾向がある。また、液相温度が上昇して、ガラス中に失透物が析出しやすくなる。以上に鑑み、NaOの含有量は好ましくは0〜1.5%、より好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0〜0.8%、特に好ましくは0.1〜0.5%である。
OもLiOと同様にガラス転移点を低下させる効果を有する。また、部分分散比を低下させる効果がある。さらに、B、SiOまたはAlと置換することにより、屈折率を向上させることができる。ただし、その含有量が多すぎると、屈折率が大幅に低下したり、脈理の生成を助長する傾向がある。また、液相温度が上昇して、ガラス中に失透物が析出しやすくなる。以上に鑑み、KOの含有量は好ましくは0〜1.5%、より好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0〜0.8%、特に好ましくは0.1〜0.5%である。
CsOもLiOと同様にガラス転移点を低下させる効果を有する。ただし、その含有量が多すぎると、屈折率が大幅に低下したり、耐候性が低下する傾向がある。また、液相温度が上昇して、ガラス中に失透物が析出しやすくなる。以上に鑑み、CsOの含有量は好ましくは0〜1.5%、より好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0〜0.5%、特に好ましくは0%である。
RO(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種)は、透過率を高め、化学耐久性を向上させるための必須成分であり、失透を抑制する効果もある。ROの含有量(MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOの含有量の合量)は0.1〜50%であり、好ましくは1〜45%、より好ましくは2.5〜40%、さらに好ましくは5〜35%、特に好ましくは7.5〜30%である。ROの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくい。一方、ROの含有量が多すぎると、ガラス転移点が高くなる傾向がある。
なお、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOの含有量はそれぞれ、好ましくは1〜45%、より好ましくは2.5〜40%、さらに好ましくは5〜35%、特に好ましくは7.5〜30%である。
本発明の光学ガラスは、上記成分以外にも以下の成分を含有することができる。
、SiO及びAlはガラス骨格の構成成分であり、耐候性、化学耐久性を向上させる効果がある。特に、ガラス中のPまたはアルカリ金属酸化物等の成分が水中に溶出することを抑制する効果が大きい。B、SiO及びAlの含有量は、合量で、好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜9%、さらに好ましくは0.2〜8%、特に好ましくは0.3〜7%である。これらの成分の含有量が少なすぎると、前記効果が得られにくくなり、一方、多すぎると、耐失透性が悪化する傾向がある。また、溶融温度やガラス転移点が上昇しやすく、さらに、高屈折、高分散なガラスが得られにくくなる。
なお、B、SiO及びAlの含有量はそれぞれ、好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜9%、さらに好ましくは0.2〜8%、特に好ましくは0.3〜7%である。
La及びGdは、透過率をほとんど低下させることなく、屈折率を向上させる成分である。ただし、その含有量が多すぎると耐失透性が低下すると同時に、高分散なガラスが得られにくくなる。したがって、これらの成分の含有量は、それぞれ好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7.5%、さらに好ましくは1〜5%である。
Ta、WO及びNbは、透過率をほとんど低下させることなく、屈折率及び分散を高める効果がある。ただし、その含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。したがって、これらの成分の含有量は、それぞれ好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7.5%、さらに好ましくは1〜5%である。
TiOは屈折率及び分散を高める効果がある成分である。また、Nb及びWOに比べて、耐失透性の向上に有効な成分である。ただし、その含有量が多すぎると、透過率が低下する傾向がある。特に、不純物としてFe成分がガラス中に多く含まれる場合(例えば100ppm以上)に透過率が顕著に低下する傾向がある。また、耐失透性が低下しやすくなる。したがって、TiOの含有量は好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7.5%、さらに好ましくは1〜5%である。
、Yb、GeOは、透過率をほとんど低下させることなく、屈折率及び分散を高める効果がある。ただし、その含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。したがって、これらの成分の含有量は、それぞれ好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7.5%、さらに好ましくは1〜5%である。
TeOは、透過率を低下しやすい成分であり、特に酸素濃度の低い溶融条件では、黒化し、透過率が大きく低下する。したがって、TeOの含有量は好ましくは0〜1%、より好ましくは0%である。
Biは、透過率を低下しやすい成分であり、特に酸素濃度の低い溶融条件では、黒化し、透過率が大きく低下する。したがって、Biの含有量は好ましくは0〜1%、より好ましくは0%である。
Fe、NiO及びCoOは、透過率を低下させる成分である。よって、これら成分の含有量は、それぞれ0.1%以下であることが好ましい。
また、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びEr等の希土類成分も透過率を低下させるおそれがあるため、これらの成分の含有量は、酸化物換算で、それぞれ0.1%以下であることが好ましい。
なお、環境上の理由から、本発明の光学ガラスは、鉛成分(例えばPbO)及びヒ素成分(例えばAs)を実質的に含有しない(具体的には、それぞれ0.1%未満)。
本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.65以上、さらに好ましくは1.7以上、特に好ましくは1.72以上である。なお、上限については特に限定されないが、屈折率が高すぎると、ガラスが不安定になる傾向があるため、好ましくは1.95以下、より好ましくは1.9以下である。
本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は好ましくは70以下、より好ましくは68以下、さらに好ましくは66以下、特に好ましくは64以下、最も好ましくは62以下である。なお、下限については特に限定されないが、アッベ数が低すぎると、ガラスが不安定になる傾向があるため、好ましくは15以上、より好ましくは16以上である。
これらの光学特性を満たすことにより色分散が少なくなるため、高機能で小型の光学デバイス用の光学レンズとして好適となる。
また、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg、F)は好ましくは0.65以下、より好ましくは0.64以下、さらに好ましくは0.63以下、特に好ましくは0.62以下、最も好ましくは0.61以下である。部分分散比が大きすぎると、色収差が生じやすくなる。
なお、本発明の光学ガラスは、アッベ数(νd)及び部分分散比(θg、F)が、(θg、F)≦−0.0047×νd+0.76の関係を満たすことが好ましい。アッベ数及び部分分散比が、当該関係を満たすことにより、高分散かつ低部分分散比の光学特性を達成しやすくなる。
本発明の光学ガラスは、着色度λ70が500nm未満であることが好ましく、470nm以下であることがより好ましく、460nm以下であることがさらに好ましい。着色度λ70が大きすぎると、可視域または近紫外域における透過率に劣り、各種光学レンズ等に使用することが困難となる傾向がある。
本発明の光学ガラスは、ガラス転移点が500℃以下であることが好ましく、450℃以下であることがより好ましく、425℃以下であることがさらに好ましく、420℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移点が高すぎると、低温でのモールドプレス成形が困難となり、金型の酸化、ガラス成分の揮発による金型の汚染、さらには、ガラスと金型との融着などの問題が発生しやすくなる。
本発明の光学ガラスは、熱膨張係数が30〜300℃の範囲で80×10−7/℃以上であることが好ましく、83×10−7/℃以上であることがより好ましく、86×10−7/℃以上であることがさらに好ましく、89×10−7/℃以上であることが特に好ましい。熱膨張係数が低すぎると、加熱プレスし、冷却する際のガラスの収縮が小さくなるため、プレス金型からガラスを離型しにくくなり、ガラスが破損しやすくなる。
本発明の光学ガラスは、ヤング率が60GPa以下であることが好ましく、58GPa以下であることがより好ましく、56GPaであることがさらに好ましく、54GPa以下であることが特に好ましい。ヤング率が高すぎると、プレス成型時に金型から離型しにくく、冷却時に破損しやすくなる。
次に、本発明の光学ガラス、及び本発明の光学ガラスを用いた光ピックアップレンズや撮影用レンズ等の光学素子を製造する方法を説明する。
まず、所望の組成になるように原料を調合した後、溶融炉中で溶融を行う。ここで、一次溶融によりカレットを作製後、当該カレットを用いて二次溶融を行なうことにより、屈折率の調整や組成の均質化を図ることができる。また、組成が均質化されることにより、透過率の高いガラスを得ることができる。なお、二次溶融の際、屈折率の高いカレットと屈折率の低いカレットを用いることにより、屈折率の精密制御が可能となる。特に溶融雰囲気は不活性雰囲気または還元性雰囲気とすることが好ましい。例えば、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中で溶融することで、均質なガラスが得られやすくなる。ガラス溶融用容器としては、白金や金等の金属、耐火物、石英ガラス、グラッシーカーボン等が使用できる。特に金製容器は、SnOとの合金反応が起こりにくいため好ましい。なお、金属製容器としては、ZrO等の酸化物を分散させた強化材を使用することが好ましい。
次に、溶融ガラスをノズルの先端から滴下し、成形しながら冷却する(液滴成形)ことにより、本発明の光学ガラスからなるプリフォームガラスを得る。または、溶融ガラスを急冷鋳造して、一旦ガラスブロックを作製し、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを得る。
液滴成形に用いるノズルの材質としては、ガラス溶融用容器と同様のものを用いることができる。なお、ノズルに対するガラスのぬれ性が高いと、成形脈理が発生しやすくなる。金製ノズルは、ガラスのぬれ性が低く、成形脈理の発生を抑制できるため好ましい。
続いて、精密加工を施した金型中にプリフォームガラスを投入し、軟化状態となるまで加熱しながら加圧成形し、金型の表面形状をプリフォームガラスに転写させる(モールドプレス成形)。加圧成形時の雰囲気は、金型の酸化を抑制するため、窒素雰囲気等の不活性雰囲気が好ましい。このようにして、光ピックアップレンズや撮影用レンズ等の光学素子を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1〜3は本発明の実施例(No.1〜16)及び比較例(No.17)を示している。
各試料は次のようにして調製した。
まず、表に示す各組成になるように原料を調合し、窒素雰囲気中にて金製容器を用いて700〜1000℃で1時間溶融した。予熱した金属板上に溶融ガラスを流し出し、アニール後、各測定に適した試料を作製した。
得られた試料について、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、部分分散比(θg、F)、ガラス転移点(Tg)、熱膨張係数、ヤング率、着色度λ70を測定した。また、耐水性、耐酸性及び耐候性について評価した。結果を表1〜3に示す。
屈折率は、ヘリウムランプのd線(587.6nm)に対する測定値で示した。
アッベ数は、上記d線の屈折率と、水素ランプのF線(486.1nm)及びC線(656.3nm)の屈折率の値を用い、アッベ数(νd)=(nd−1)/(nF−nC)の式から算出した。
部分分散比は、水素ランプのC線における屈折率nC、F線における屈折率nF及びg線(波長435.835nm)における屈折率ngを測定し、部分分散比(θg、F)=(ng−nF)/(nF−nC)の式により算出した。
ガラス転移点は、マクロ型示差熱分析計を用いて1000℃まで測定して得られたチャートにおいて第一の変曲点の値を採用した。
熱膨張係数は、DILATO METERを用いて、30〜300℃の範囲で測定を行った。
ヤング率は、共振法により測定した。
着色度λ70は、厚さ10mm±0.1mmの光学研磨された試料について、分光光度計を用いて、200〜800nmの波長域での透過率を0.5nm間隔で測定し、透過率70%を示す最短波長により評価した。
耐水性及び耐酸性は、JOGISに定める粉末法に基づき測定した。
耐候性は、高温高湿試験機を用い、各試料を温度85℃及び湿度85%の条件下に500時間晒した後、外観に変化がない場合を「○」、光沢にわずかに変化が見られた場合を「△」、光沢が顕著に失われたり、クラックが生じたりした場合を「×」として評価した。
実施例であるNo.1〜16の試料は、所望の光学特性、ガラス転移点、着色度λ70を有しつつ、耐水性、耐酸性及び耐候性にも優れていた。一方、比較例であるNo.17の試料は、ガラス転移点が640℃と高かった。
本発明の光学ガラスは、CD、MD、DVD、その他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズや、ビデオカメラ、一般のカメラの撮影用レンズ等に使用されるモールドプレス成形用硝材として好適である。また、モールドプレス成形以外の成形方法で製造される光通信用等の硝材にも使用することができる。

Claims (12)

  1. モル%で、P 20〜60%、SnO 1〜53%、R’O(R’はLi、Na、K及びCsから選択される少なくとも1種) 0〜2%及びRO(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種) 0.1〜50%を含有し、かつ、鉛成分及びヒ素成分を実質的に含有しないことを特徴とする光学ガラス。
  2. +SiO+Alの含有量が0〜10モル%であることを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス。
  3. ガラス転移点が500℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学ガラス。
  4. 熱膨張係数が30〜300℃の範囲で80×10−7/℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. ヤング率が60GPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. 屈折率(nd)が1.6以上、アッベ数(νd)が70以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラス。
  7. 部分分散比(θg、F)が0.65以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学ガラス。
  8. アッベ数(νd)及び部分分散比(θg、F)が、(θg、F)≦−0.0047×(νd)+0.76の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学ガラス。
  9. 着色度λ70が500nm未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学ガラス。
  10. 光学レンズ用であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学ガラス。
  11. モールドプレス成形用であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学ガラス。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の光学ガラスを用いたことを特徴とする光学素子。
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