JP2018061476A - セサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法、および新規セサミノール配糖体 - Google Patents

セサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法、および新規セサミノール配糖体 Download PDF

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【課題】新規セサミノール配糖体特異的糖転移酵素を利用した、セサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。【解決手段】セサミノール1糖又は2糖配糖体及びUDP−糖に、式(1)で表されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有する特定のアミノ酸配列を持つタンパク質を作用させ、セサミノール1糖又は2糖配糖体の糖残基の所定の位置に糖を付与する、セサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、セサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O−[β−D−グルコシル(1→2)]−β−D−グルコシド、タンパク質、ポリヌクレオチド、発現ベクター、形質転換体及び植物体の選別方法に関する。
ゴマ属(Sesamum)のゴマの種子にはフェニルプロパノイド系の二次代謝物のリグナンが豊富に含まれる。その代表であるセサミン(sesamin)は極性が低く、様々な生物活性が報告されており、日本では健康食品として販売されている。セサミノール(sesaminol)はセサミンが酸化された水酸基を有しており、さらにこの水酸基にグルコースが付加され、そのグルコース残基の2位及び6位にそれぞれグルコースが付加されたセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O−[β−D−グルコシル(1→6)]−β−D−グルコシド(以下、SG3(2,6)と記載する)として蓄積している(非特許文献1)。これらはセサミンアグリコンと比べると水溶性が高く、物性の違いから異なる活性が期待されるとともに、その水溶性の高さから飲料などに添加することが可能である。
これまでセサミノールをグルコシル化し、セサミノール2’−O−β−D−グルコシド(以下、SG1と記載する)を生成する反応を触媒するタンパク質として、ゴマ由来UDP−糖特異的糖転移酵素(UDP−sugar dependent glycosyltransferase;UGT)のUGT71A9と、SG1のグルコースの6位をグルコシル化し、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→6)−β−D−グルコシド(以下、SG2(6)と記載する)を生成するUGT94D1が報告されていた(特許文献1、非特許文献1)。UGT94D1のようなセサミノール配糖体の糖に特異的にグルコースを転移するタンパク質は、配糖体特異的糖転移酵素(Glycoside−specific glycosyltransferase(以下、「GGT」とも記載する))と称されている。また、種々のGTTは、種を超えてよく保存されている共通のアミノ酸配列を有している。しかし、アミノ酸配列情報から糖受容体となる化合物や糖を付加する位置を推定することは困難であった。
また、実際に、SG1のグルコース残基の2位、又は、SG2(6)のセサミノールに結合している一つ目のグルコース残基の2位をグルコシル化し、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシド(以下、SG2(2)と記載する)、又は、SG3(2,6)を生成するタンパク質は見いだされていなかった。
特開2006−129728号公報
Noguchi, A., et al (2008) Sequential glucosylation of a furofuran lignan, (+)−sesaminol, by Sesamum indicum UGT71A9 and UGT94D1 glucosyltransferases. Plant J. 54, 415−427.
本発明の目的は、セサミノール1糖又は2糖配糖体の糖残基の所定の位置に糖を付与し、セサミノール2糖又は3糖配糖体を製造する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、SG1のグルコース残基の2位、SG2(6)の一つ目のグルコース残基の2位、及び、SG2(2)の2つ目のグルコース残基の2位をそれぞれグルコシル化して、SG2(2)、SG3(2,6)、及び、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O−[β−D−グルコシル(1→2)]−β−D−グルコシド(以下、SG3(2,2)と記載する)を生成するセサミノール配糖体特異的糖転移酵素(以下、「セサミノールGGT」とも記載する)を発見し、このタンパク質を用いることにより、セサミノール1糖又は2糖配糖体の糖残基の所定の位置に糖を付与し、セサミノール2糖又は3糖配糖体を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法は、セサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法であって、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体及びUDP−糖に、下記タンパク質(P1−1)〜(P1−4)からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質(P1)を作用させる工程(i)を含むことを特徴とする。
(P1−1)配列番号1又は2のアミノ酸配列からなるタンパク質
(P1−2)配列番号1又は2のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
(P1−3)配列番号1又は2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
(P1−4)配列番号3又は4のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
Figure 2018061476
[一般式(1)中、(S1)は、ヘキソース残基を表し、nは1又は2の数を表す。セサミノールと結合している1つ目のヘキソース残基(S1)は、1位の炭素を介してセサミノールと結合している。nが2の場合、2つのヘキソース残基(S1)は同一であってもよく、異なっていてもよく、これらはβ−1→2結合、又は、β−1→6結合している。]
なお、本明細書中、β−1→2結合、及び、β−1→6結合は、O−グリコシド結合である。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記UDP−糖が、UDP−ヘキソースであることが好ましく、UDP−グルコースであることがより好ましい。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記(S1)は、D−グルコース残基であることが好ましい。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性が、SG1のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(I)、SG2(6)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(II)、及び、SG2(2)の2つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(III)のいずれか1つ又は2以上であることが好ましい。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体は、下記式(2)に示されるSG1であり、上記UDP−糖は、UDP−グルコースであり、上記SG1のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移により下記式(3)に示されるSG2(2)を生成させることが好ましい。
Figure 2018061476
Figure 2018061476
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記式(3)に示されるSG2(2)及びUDP−グルコースに下記タンパク質(P2−11)〜(P2−18)からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質(P2)を作用させ、下記式(4)に示されるSG3(2,6)を生成させる工程(ii)を含むことが好ましい。
(P2−11)配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
(P2−12)配列番号5のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→12)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−13)配列番号5のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−14)配列番号6のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−15)配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
(P2−16)配列番号7のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−17)配列番号7のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−18)配列番号8のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
Figure 2018061476
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記式(3)に示されるSG2(2)及びUDP−グルコースに上記タンパク質(P1)を作用させ、下記式(5)に示されるSG3(2,2)を生成させる工程をさらに含むことが好ましい。
Figure 2018061476
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体は、下記式(6)に示されるSG2(6)であり、上記UDP−糖が、UDP−グルコースであり、上記SG2(6)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移により、上記式(4)に示されるSG3(2,6)を生成させることが好ましい。
Figure 2018061476
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体は、上記式(3)に示されるSG2(2)であり、上記UDP−糖が、UDP−グルコースであり、上記SG2(2)の2つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移により、上記式(5)に示されるSG3(2,2)を生成させることが好ましい。
上記式(5)に示されるSG3(2,2)も、本発明の1つである。
本発明のタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列からなることを特徴とする。
本発明のポリヌクレオチドは、配列番号4のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする。
本発明の発現ベクターは、上記本発明のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
本発明の形質転換体は、発現ベクターが導入された非ヒト宿主である形質転換体であって、上記発現ベクターは、下記ポリヌクレオチド(N1−1)〜(N1−4)及びポリヌクレオチド(N2−1)〜(N2−4)からなる群より選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(N1−1)配列番号3又は4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド
(N1−2)配列番号3又は4のヌクレオチド配列に1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N1−3)配列番号3又は4のヌクレオチド配列に対して、90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N1−4)配列番号3又は4のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N2−1)配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド
(N2−2)配列番号6のヌクレオチド配列に1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N2−3)配列番号6のヌクレオチド配列に対して、90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N2−4)配列番号6のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
本発明の形質転換体では、上記非ヒト宿主は、植物体又はその部分であることが好ましく、ゴマの植物体又はその部分であることがさらに好ましい。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法は、本発明の形質転換体を栽培又は培養する工程を含むことを特徴とする。
本発明の植物体の選別方法は、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列の少なくとも一部の配列を含むポリヌクレオチドを使用して、セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が異なる植物体を選別することを特徴とする。
本発明によれば、セサミノール配糖体のヘキソース残基に糖をβ−1→2転移するタンパク質(セサミノールGGT)を用いることにより、セサミノール1糖又は2糖配糖体の所定の位置に糖を転移させ、所定の構造のセサミノール2糖又は3糖配糖体を製造することができる。
また、本発明によれば、新規なセサミノール3糖配糖体を提供することができる。
図1は、SG3(2,6)、又は、SG3(2,2)を合成する経路を模式的に示す反応図である。 図2の(a)は、ゴマ種子cDNAを鋳型として、タンパク質SiGGT21842用フォワードプライマー及びタンパク質SiGGT21842用リバースプライマーを用いて得られたPCR産物のアガロースゲル電気泳動の写真であり、(b)は、ゴマ種子cDNAを鋳型として、タンパク質SiGGT21646用フォワードプライマー及びタンパク質SiGGT21646用リバースプライマーを用いて得られたPCR産物のアガロースゲル電気泳動の写真である。 図3の(a)は、SG1及び精製タンパク質SiGGT21842溶液を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図3の(b)は、SG2(2)の標準品の逆相LC−MS分析のチャートであり、図3の(c)は、SG1及びネガティブコントロール画分を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図4の(a)は、SG2(2)及び精製タンパク質SiGGT21842溶液を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図4の(b)は、SG2(2)及びネガティブコントロール画分を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図5の(a)は、SG2(6)及び精製タンパク質SiGGT21842溶液を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図5の(b)は、SG3(2,6)及びネガティブコントロール画分を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図5の(c)は、SG2(6)及びネガティブコントロール画分を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図6の(a)は、実施例4のネガティブコントロールの反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図6の(b)は、実施例4の第1反応の反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図6の(c)は、実施例4の第2反応の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図7は、試験例1の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図8は、試験例2の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図9は、試験例3の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図10は、試験例4の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図11は、試験例5の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図12は、試験例6の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。 図13は、試験例7の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
以下、本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法は、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体及びUDP−糖に、後述するタンパク質(P1)を作用させる工程(i)を含む。本明細書中、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体を、「セサミノール配糖体(1)」ともいう。本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法は、本発明の効果を損なわない限り、上記工程(i)以外の1又は2以上の工程を含んでいてもよい。例えば、工程(i)の基質であるセサミノール配糖体(1)を準備する工程、得られるセサミノール2糖又は3糖配糖体を精製する工程を含んでいてもよい。また、例えば、工程(i)で得られるセサミノール2又は3糖配糖体がセサミノール2糖配糖体の場合に、該配糖体及びUDP−糖に、さらにタンパク質(P1)又は後述するタンパク質(P2)を作用させる工程を含んでいてもよい。
Figure 2018061476
[一般式(1)中、(S1)は、ヘキソース残基を表し、nは1又は2の数を表す。セサミノールと結合している1つ目のヘキソース残基(S1)は、1位の炭素を介してセサミノールと結合している。nが2の場合、2つのヘキソース残基(S1)は同一であってもよく、異なっていてもよく、これらはβ−1→2結合、又は、β−1→6結合している。]
上記一般式(1)中の(S1)は、ヘキソース残基であり、ヘキソース残基としては、グルコース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース等の残基があげられ、これらはD型であってもよく、L型であってもよいが、好ましくはD型である。中でも、グルコース残基であることがより好ましく、D−グルコース残基であることがさらに好ましい。
nは、ヘキソース残基(S1)の数であり、1又は2である。
本明細書において、セサミノール配糖体(1)における「1つ目のヘキソース残基(S1)」とは、セサミノールの水酸基と結合しているヘキソース残基(S1)のことを意味する。また、「1つ目のヘキソース残基(S1)」に結合しているヘキソース残基(S1)のことを「2つ目のヘキソース残基(S1)」等と記載する。nが1の場合、セサミノール配糖体(1)が有するヘキソース残基は1つである。換言すると、nが1の場合には、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基は、該配糖体が有するヘキソース残基である。nが2の場合、つまりヘキソース残基(S1)が2つ結合している場合、1つ目の(S1)と2つ目の(S1)とは、β−1→2結合、又は、β−1→6結合している。
セサミノール配糖体(1)として、セサミノールにヘキソース残基(S1)が1つ結合している場合(nが1の場合)は、上記一般式(2)のSG1であることが好ましい。
工程(i)の基質である一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体は、1種又は2種以上用いることができる。
セサミノール配糖体(1)として、セサミノールにヘキソース残基(S1)が2つ結合している場合(nが2の場合)は、上記式(3)のSG2(2)、又は、上記式(6)のSG2(6)が好ましい。
セサミノール配糖体(1)として、SG1、SG2(2)及びSG2(6)からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
上記セサミノール配糖体(1)は、ゴマの種子に含まれており、公知の方法により精製して得ることができる(例えば、「J Agric Food Chem. 2006 Feb 8;54(3):633−8. HPLC analysis of sesaminol glucosides in sesame seeds. Moazzami AA1, Andersson RE, Kamal−Eldin A.」に記載された方法)。また、例えばSG1は、上記の特許文献1(特開2006−129728号公報)又は非特許文献1(Noguchi, A., et al (2008) Plant J. 54, 415−427.)に記載のUGT71A9を、セサミノール及びUDP−グルコースに作用させることにより得ることができる。SG2(2)は、非特許文献1に記載のUGT94D1をさらに作用させることにより得ることができる。また、セサミノール配糖体(1)は、化学合成することもできる。
また、このようなセサミノール1糖又は2糖配糖体としては、市販品を利用することもできる。このような市販品としては、例えば、製品番号:NS185201、製造元:長良サイエンス株式会社(SG2(2)の市販品)、製品番号:NS185301、製造元:長良サイエンス株式会社(SG2(6)の市販品)等があげられる。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法では、上記UDP(ウリジン二リン酸)−糖は特に限定されず、UDP−ペントース、UDP−ヘキソース、UDP−ヘプトース等があげられる。UDP−糖は、1種又は2種以上用いることができる。
UDP−ペントースとしては、UDP−アラビノース、UDP−キシロース等があげられる。
UDP−ヘキソースとしては、UDP−グルコース、UDP−アロース、UDP−アルトロース、UDP−マンノース、UDP−グロース、UDP−イドース、UDP−ガラクトース、UDP−タロース等があげられる。
UDP−ヘプトースとしてはUDP−セドヘプツロース等があげられる。
これらの中では、UDP−ヘキソースであることが好ましく、UDP−グルコースであることがさらに好ましい。
UDP−糖が、UDP−グルコースであると、本発明におけるタンパク質(P1)との基質特異性が高く、タンパク質(P1)によるセサミノール2糖又は3糖配糖体の合成速度が速くなり、効率的にセサミノール2糖又は3糖配糖体を製造することができる。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法において、タンパク質(P1)は、セサミノール配糖体(1)のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するセサミノールGGTである。この糖転移活性は、通常、UDP−糖特異的糖転移活性である。
具体的には、本発明におけるタンパク質(P1)は、以下のタンパク質(P1−1)〜(P1−4)からなる群より選択される少なくとも1種である。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(P1−1)配列番号1又は2のアミノ酸配列からなるタンパク質
(P1−2)配列番号1又は2のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
(P1−3)配列番号1又は2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
(P1−4)配列番号3又は4のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
また、本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法において、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性は、該ヘキソース残基の2位に糖残基をβ−1→2結合する糖転移活性である。より具体的には、基質であるセサミノール配糖体(1)が、(A)nが1の場合又はnが2であり2つのヘキソース残基(S1)がβ−1→6結合している場合は、1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性であり、(B)nが2であり、2つのヘキソース残基(S1)がβ−1→2結合している場合は、2つ目のヘキソース残基(S1)へのβ−1→2結合の糖転移活性である。この活性により、β−1→2結合を分子内(より具体的には、その糖部)に1又は2個含むセサミノール2糖又は3糖配糖体が生成する。
本発明において、セサミノール配糖体に転移される糖は、上述したUDP−糖における糖と同じであり、ペントース、ヘキソース、ヘプトースが挙げられ、好ましくはヘキソースであり、より好ましくはグルコースである。
一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性は、SG1のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(I)、SG2(6)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(II)、及び、SG2(2)の2つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(III)のいずれか1つ又は2以上の活性であることが好ましく、(I)〜(III)の全ての活性であることがより好ましい。
タンパク質(P1−2)及び後述するタンパク質(P2)において、アミノ酸配列に、1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたとは、同一配列中の任意かつ1個又は数個のアミノ酸配列中の位置において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加があることを意味し、欠失、置換及び付加のうち2種以上が同時に生じていてもよい。
このような欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸の数として、1又は数個は、1〜30個であることが好ましく、1〜20個であることがより好ましく、1〜10個であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
タンパク質(P1−3)の、配列番号1又は2のアミノ酸配列に対する同一性(配列同一性)は、セサミノール配糖体(1)のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有する範囲であればよく、例えば、92%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、さらに好ましくは、98%以上、特に好ましくは99%以上である。
なお、アミノ酸配列やヌクレオチド配列の同一性は、例えば、BLAST等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出することができる。
また、本発明においては、配列番号3又は4のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドとしては、配列番号3又は4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと90%以上の同一性(配列同一性)を有するものであることが好ましい。より好ましくは、配列番号3又は4のヌクレオチド配列と92%以上、95%以上、96%以上、97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有するものである。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、DNA又はRNAを意味する。
本明細書において「ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの一部又は全部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法又はサザンハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えば、“Sambrook & Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Vol. 3, Cold Spring Harbor, Laboratory Press 2001”及び“Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons 1987−1997”等に記載されている方法を利用することができる。
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。
「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃又は5×SSC、1% SDS、50mM Tris−HCl(pH7.5)、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃又は0.2×SSC、0.1% SDS、65℃の条件である。これらの条件において、温度を上げるほど高い同一性を有するポリヌクレオチドが効率的に得られることが期待できる。ただし、ストリンジェンシーに影響する要素としては、温度、塩濃度、プローブの濃度及び長さ、イオン強度、時間等の複数の要素が考えられ、当業者であれば、これらの要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したSambrook & Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Vol. 3, Cold Spring Harbor, Laboratory Press 2001等に記載の条件を採用することもできる。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法において、タンパク質(P1)は、タンパク質(P1−1)であることが好ましい。すなわち、タンパク質(P1)は、配列番号1又は2のアミノ酸配列からなるタンパク質であることが好ましい。配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質及び配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質は、上述したセサミノール配糖体(1)のヘキソース残基の2位に、糖残基をβ−1→2結合させる糖転移活性を有するセサミノールGGTである。
なお、本明細書において、以下、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質を「タンパク質SiGGT21842」と、配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質を「タンパク質SiGGT21842R229Q」とも記載する。
タンパク質(P1)を用いる工程(i)を行うことにより、セサミノール配糖体(1)に結合しているヘキソース残基の2位に、ヘキソースをβ−1→2転移させ、所定の構造のセサミノール2糖又は3糖配糖体を製造することができる。より具体的には、セサミノール配糖体(1)が、セサミノール1配糖体(例えば、糖残基がグルコース残基の場合には、SG1)の場合は、1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移により、β−1→2結合を分子内に1個含むセサミノール2糖配糖体が生成する。セサミノール配糖体(1)が、nが2であり2つのヘキソース残基(S1)がβ−1→6結合しているセサミノール2糖配糖体(例えば、糖残基がグルコース残基の場合には、SG2(6)等)の場合には、1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移により、β−1→2結合を分子内に1個含むセサミノール3糖配糖体(トリグルコシド)が生成する。セサミノール配糖体(1)が、nが2であり2つのヘキソース残基(S1)がβ−1→2結合しているセサミノール2糖配糖体(例えば、糖残基がグルコース残基の場合には、SG2(2)等)の場合には、2つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移により、β−1→2結合を分子内に2個含むセサミノール3糖配糖体が生成する。このように、工程(i)を行うことにより、β−1→2結合を分子内に1又は2含むセサミノール2糖又は3糖配糖体を製造することができる。
本発明においては、所望により、セサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するセサミノールGGTを使用してもよい。このような酵素を、タンパク質(P2)ともいう。セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性は、該ヘキソース残基の6位に、糖をβ−1→6結合する糖転移活性である。糖の好ましい態様は上述した通りであり、グルコースが特に好ましい。この活性により、β−1→6結合を分子内(より具体的には、その糖部)に1個含むセサミノール2糖又は3糖配糖体が生成する。この糖転移活性は、通常、UDP−糖特異的糖転移活性である。
セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性は、SG1のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性(IV)、及び、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性(V)のいずれか1つ又は2つの活性であることが好ましく、(IV)及び(V)の両方の活性であることがより好ましい。
本発明におけるタンパク質(P2)として、以下のタンパク質(P2−1)〜(P2−8)からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質が好ましい。
(P2−1)配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
(P2−2)配列番号5のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基の6位に、糖をβ−1→6結合する糖転移活性を有するタンパク質
(P2−3)配列番号5のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基の6位に、糖をβ−1→6結合する糖転移活性を有するタンパク質
(P2−4)配列番号6のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基の6位に、糖をβ−1→6結合する糖転移活性を有するタンパク質
(P2−5)配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
(P2−6)配列番号7のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基の6位に、糖をβ−1→6結合する糖転移活性を有するタンパク質
(P2−7)配列番号7のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基の6位に、糖をβ−1→6結合する糖転移活性を有するタンパク質
(P2−8)配列番号8のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基の6位に、糖をβ−1→6結合する糖転移活性を有するタンパク質
上記(P2−2)及び(P2−6)における欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸の数として、1個又は数個は、1〜30個であることが好ましく、1〜20個であることがより好ましく、1〜10個であることがさらに好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。
上記(P2−3)及び(P2−7)における配列番号5又は7のアミノ酸配列に対する同一性は、92%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、さらに好ましくは、98%以上、特に好ましくは99%以上である。
上記(P2−4)及び(P2−8)のポリヌクレオチドとしては、配列番号6又は8のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと90%以上の同一性を有するものであることが好ましい。より好ましくは、配列番号6又は8のヌクレオチド配列と92%以上、95%以上、96%以上、97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有するものである。
中でもタンパク質(P2)は、タンパク質(P2−1)又は(P2−5)であることが好ましい。すなわち、タンパク質(P2)は、配列番号5又は7のアミノ酸配列からなるタンパク質であることが好ましい。配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質及び配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質はセサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基の6位に、糖残基をβ−1→6結合させる糖転移活性を有するセサミノールGGTである。これらのタンパク質は、SG1のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性(IV)、及び、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性(V)を有する。
なお、本明細書において、以下、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質を「タンパク質SiGGT21646」と、配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質を「UGT94D1」とも記載する。
セサミノール1糖又は2糖配糖体及びUDP−糖に、タンパク質(P2)を作用させる工程を行うことにより、β−1→6結合を分子内に1個含むセサミノール2糖又は3糖配糖体を得ることができる。UDP−糖及びその好ましい態様は、上述した通りである。
本発明の製造方法における工程(i)は、基質としてセサミノール配糖体(1)及びUDP−糖を使用し、これらの基質にタンパク質(P1)を作用させればよく、条件等は特に限定されない。
工程(i)は、例えば、タンパク質(P1)を、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体及びUDP−糖を含む反応系に添加して行うことができる。反応は、水溶液中で行うことが好ましい。工程(i)の反応条件としては、例えば、10〜50℃、pH5〜8であることが好ましい。反応温度は、30〜40℃とすることがより好ましい。基質とタンパク質(P1)の割合は適宜設定すればよい。
また、非ヒト宿主にタンパク質(P1)をコードするポリヌクレオチドを導入し、該非ヒト宿主(後述する本発明の形質転換体)において、タンパク質(P1)を発現させ、形質転換体を用いて工程(i)を行うこともできる。形質転換体は、後述する方法により作製することができる。
この場合、形質転換体の宿主としては、植物、好ましくはゴマ属植物(より好ましくはゴマ);大腸菌、酵母、麹菌等の微生物を用いることが好ましい。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法によりセサミノール2糖配糖体を製造する場合、該セサミノール2糖配糖体は、SG2(2)であることが好ましい。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法によりセサミノール3糖配糖体を製造する場合、該セサミノール3糖配糖体は、上記式(5)で示されるSG3(2,2)、又は、上記式(4)で示されるSG3(2,6)であることが好ましい。
本発明のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法は、これらのセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法として好適である。
次に、セサミノール2糖又は3糖配糖体として、SG2(2)を製造する方法の一例についてより詳しく説明する。
SG2(2)の製造方法は、SG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i)を含む。この工程を行う前にSG1を準備する工程を行ってもよい。
(SG1を準備する工程)
SG1を準備する方法としては、特に限定されない。例えば、上述したように、特許文献1又は非特許文献1に記載のUGT71A9を、セサミノール及びUDP−グルコースに作用させることにより得ることができる。
また、ゴマ種子等から抽出、精製を行いSG1を準備してもよい。
(SG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i))
SG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させることにより、SG1のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移によりSG2(2)を合成する。
上記では、タンパク質(P1)は、SG1のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(I)を有するセサミノールGGTとして機能する。
次に、セサミノール2糖又は3糖配糖体として、SG3(2,6)を製造する方法について2つの例をあげより詳しく説明する。
SG3(2,6)を製造する第1の方法は、SG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i)と、SG2(2)及びUDP−グルコースにタンパク質(P2)を作用させる工程(ii)とを含む。また、上記のSG1を準備する工程を含んでいてもよい。
タンパク質(P2)は、上述したように、セサミノール配糖体(1)のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するセサミノールGGTである。
上記第一の方法において、タンパク質(P2)は、上記糖転移活性として、SG1のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性(IV)を有することが好ましい。このようなタンパク質(P2)として、以下タンパク質(P2−11)〜(P2−18)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(P2−11)配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
(P2−12)配列番号5のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−13)配列番号5のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−14)配列番号6のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−15)配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
(P2−16)配列番号7のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−17)配列番号7のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
(P2−18)配列番号8のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
タンパク質(P2−11)及び(P2−15)は、タンパク質(P2−1)及び(P2−5)と同じである。タンパク質(P2−12)〜(P2−14)及び(P2−16)〜(P2−18)は、タンパク質(P2−2)〜(P2−4)及び(P2−6)〜(P2−8)の好ましい態様の一例であり、アミノ酸の同一性等の好ましい態様は、タンパク質(P2−2)〜(P2−4)及び(P2−6)〜(P2−8)と同じである。
この第1の方法において、SG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i)は、上記セサミノール2糖又は3糖配糖体として、SG2(2)を製造する方法における工程(i)と同じであるのでここでの説明は省略する。
(SG2(2)及びUDP−グルコースにタンパク質(P2)を作用させる工程(ii))
本工程では、タンパク質(P2)を用いることにより、SG2(2)と、UDP−グルコースとを反応させ、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移によりSG3(2,6)を合成する。反応は、水溶液中で行うことが好ましい。この工程における反応条件は、特に限定されないが、10〜50℃、pH5〜8であることが好ましい。反応温度は、30〜40℃とすることがより好ましい。基質とタンパク質(P2)の割合は適宜設定すればよい。
SG3(2,6)を製造する第2の方法は、SG2(6)及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i)を含む。また、SG2(6)を準備する工程を含んでいてもよい。SG2(6)は、例えば、SG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P2)を作用させることにより製造することができる。さらに、上記のSG1を準備する工程を含んでいてもよい。
この第2の方法においてSG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P2)を作用させる工程を行う場合、タンパク質(P2)は、SG1のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有することが好ましい。このようなタンパク質(P2)として、上記(P2−1)〜(P2−8)として、SG1のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性(IV)を有するタンパク質を用いればよく、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質及び/又は配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質を用いることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
反応条件は、特に限定されず、上記のタンパク質(P2)を用いる反応と同じとすればよい。
(SG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P2)を作用させる工程)
本工程では、タンパク質(P2)を用いることにより、SG1と、UDP−グルコースとを反応させ、SG2(6)を合成する。
なお、好ましい反応条件は、上記のタンパク質(P2)を使用する際と同様である。
SG3(2,6)を製造する第1の方法及び第2の方法において、タンパク質(P2)は、SG1のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性、及び、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有することが好ましく、例えば、配列番号5又は7のアミノ酸配列からなるタンパク質がより好ましい。
(SG2(6)及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i))
タンパク質(P1)用いることにより、SG2(6)と、UDP−グルコースとを反応させ、SG2(6)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移によりSG3(2,6)を合成する。
上記において、タンパク質(P1)は、SG2(6)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(II)を有するタンパク質として機能する。
次に、セサミノール2糖又は3糖配糖体として、SG3(2,2)を製造する方法についてより詳しく説明する。
SG3(2,2)を製造する方法は、SG2(2)及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i)を含む。SG2(2)は、上述したSG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i)を行って製造してもよい。この場合、製造方法は、SG1のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移によりSG2(2)を生成させる工程(i)、及び、該SG2(2)及びUDP−グルコースに上記タンパク質(P1)を作用させ、SG3(2,2)を生成させる工程を含む。また、上記のSG1を準備する工程を含んでいてもよい。
(SG1及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i))
本工程では、タンパク質(P1)を用いることにより、SG1とUDP−グルコースとを反応させ、SG1のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移によりSG2(2)を合成する。
(SG2(2)及びUDP−グルコースにタンパク質(P1)を作用させる工程(i))
タンパク質(P1)を用いることにより、SG2(2)と、UDP−グルコースとを反応させ、SG2(2)の2つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移によりSG3(2,2)を合成する。
上記において、タンパク質(P1)は、SG2(2)の2つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(III)を有するタンパク質として機能する。
このようにして得られたSG3(2,2)は本発明の新規化合物でもある。
なお、SG3(2,2)を製造する方法において、反応系に上記タンパク質(P2)が存在していると、最終生成物として、SG3(2,6)と共にSG3(2,2)が合成される。
そのため、SG3(2,2)を製造する方法の反応系には、タンパク質(P2)が存在していないことが好ましい。
図1は、SG3(2,6)、又は、SG3(2,2)を合成する経路を模式的に示す反応図である。
図1に示すように、タンパク質(P1)及び所望によりタンパク質(P2)を用い、セサミノール1糖又は2糖配糖体を原料としてセサミノール2糖又は3糖配糖体を製造することができる。
これらの各反応は、別々の反応系で行ってもよく、同一の反応系で行ってもよい。
上記では、セサミノール配糖体(1)として、一般式(1)における(S1)がグルコース残基の場合に、該グルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移によりセサミノール2糖又は3糖配糖体を製造する方法を例に挙げたが、これらは本発明の製造方法の一例であり、上記に限定されない。
本発明の製造方法により製造されるセサミノール2糖又は3糖配糖体は、通常、セサミンアグリコンと比較して水溶性が高い。すなわち、該セサミノール2糖又は3糖配糖体は、水系溶媒に容易に溶解する。そのため、該セサミノール2糖又は3糖配糖体を用いることにより、例えば、飲食品分野、医療分野において、該セサミノール2糖又は3糖配糖体が溶解した水溶液を容易に得ることができる。
次に、タンパク質(P1)、特に、タンパク質(P1−1)について詳述する。
タンパク質(P1−1)は、配列番号1又は2のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
現在まで、配列番号1及び2のアミノ酸配列からなるタンパク質の機能は知られていなかった。
上記の通り、配列番号1及び2のアミノ酸配列からなるタンパク質であるタンパク質SiGGT21842及びタンパク質SiGGT21842R229Qは、以下の(I)〜(III)の3つの活性を有する。
すなわち、これらタンパク質は、SG1のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(I)、SG2(6)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(II)、及び、SG2(2)の2つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(III)を有する。上述したようにタンパク質(P1)はUDP−糖特異的糖転移酵素である。
また、配列番号3のヌクレオチド配列は、配列番号1のアミノ酸配列をコードし、配列番号4のヌクレオチド配列は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする。
配列番号2のアミノ酸配列は新規なアミノ酸配列である。すなわち、タンパク質SiGGT21842R229Qは新規なタンパク質である。配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質も、本発明の1つである。
配列番号4のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドも、本発明の1つである。
次に、タンパク質(P1)の製造方法の一例について説明する。
これらタンパク質の製造方法としては、以下の方法があげられる。
例えば、配列番号3又は4のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドをベクターに組み込んで発現ベクターを作製する。上記発現ベクターを宿主に導入し、宿主の形質転換を行い形質転換体とする。形質転換体及びその製造方法は後述する。
そして、該形質転換体にタンパク質を発現させ、タンパク質を精製することにより上記タンパク質(P1)を得ることができる。
配列番号3又は4のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの準備方法としては特に限定されない。例えば、公知の遺伝子工学的手法又は合成手法によって取得することができる。配列番号3又は4のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、例えば、ゴマ属植物(好ましくはゴマ)から得ることができる。本発明のポリヌクレオチドは、植物体等から単離された天然由来のポリヌクレオチド、遺伝子工学の手法により製造された組換え型のポリヌクレオチド、化学合成されたポリヌクレオチドを含む。
ベクターとしては、特に限定されず、例えば、導入する宿主の種類に応じて、適宜選択すればよい。上記ベクターは、アグロバクテリウム法を用いて形質転換を行う場合、例えば、バイナリーベクターが好ましく、例えば、pBI121、pPZP202、pBINPLUS及びpBIN19等があげられる。大腸菌等の細菌に形質転換を行う場合、ベクターとして、例えば、pETベクター(Merck社)、pColdベクター(タカラバイオ株式会社)、PQEベクター(QIAGEN社)等があげられる。酵母等の真核生物に形質転換を行う場合、ベクターとして、例えば、pYE22m等があげられ、また、pYES(Invitrogen社)、pESC(Stratagene社)等の市販の酵母発現ベクターを用いることもできる。
発現ベクターは、例えば、ポリヌクレオチドの発現及びポリヌクレオチドがコードするタンパク質の発現を調節する、調節配列を有することが好ましい。調節配列としては、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル配列、複製起点配列(ori)等があげられる。例えば、細菌用発現ベクターのプロモーターとしては、慣用的なプロモーター(例えば、trcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター等)を使用することができ、酵母用プロモーターとしては、例えば、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、PH05プロモーター等があげられ、糸状菌用プロモーターとしては、例えば、アミラーゼ、trpC等があげられる。また、植物細胞内で目的遺伝子を発現させるためのプロモーターの例としては、カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAプロモーター、rd29A遺伝子プロモーター、rbcSプロモーター、上記カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAプロモーターのエンハンサー配列をアグロバクテリウム由来のマンノピン合成酵素プロモーター配列の5’側に付加したmac−1プロモーター等があげられる。動物細胞宿主用プロモーターとしては、ウイルス性プロモーター(例えば、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター等)があげられる。
発現ベクターにおいて、調節配列の配置は特に限定されない。上記調節配列は、例えば、ポリヌクレオチドの発現及びこれがコードするタンパク質の発現を、機能的に調節できるように配置されていればよく、公知の方法に基づいて配置できる。また、調節配列は、導入されるべき宿主の種類に応じて適宜選択すればよい。調節配列は、例えば、ベクターが予め備える配列を利用してもよいし、ベクターに、さらに、調節配列を挿入してもよいし、ベクターが備える調節配列を、他の調節配列に置き換えてもよい。
発現ベクターは、例えば、さらに、選択マーカーや精製タグのコード配列を1又は2以上の有してもよい。選択マーカーとしては、例えば、薬剤耐性マーカー、蛍光タンパク質マーカー、酵素マーカー、細胞表面レセプターマーカー等があげられる。精製タグとしては、例えば、Hisタグ、mycタグ、FLAGタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質等があげられる。
発現ベクターを宿主に導入する方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる。上記導入方法は、例えば、宿主の種類、発現ベクターの種類等に応じて、適宜決定できる。
発現ベクターを導入する宿主は、特に限定されないが、非ヒト宿主であることが好ましく、例えば、植物体又はその部分、微生物、動物細胞、昆虫細胞、これらの培養細胞等があげられる。中でも、植物体又はその部分、微生物を宿主とすることが好ましい。
宿主が植物体又はその部分である場合、宿主植物としては、例えば、ゴマ属植物(ゴマ等)、カラハナソウ属植物(例えば、ホップ(Humulus lupulus)等)、バラ科植物(例えば、イチゴ、ウメ、サクラ、バラ、ブルーベリー、ブラックベリー、ビルベリー、カシス、ラズベリー等)、ナデシコ科植物(カーネーション、カスミソウ等)、キク科植物(キク、ガーベラ、ヒマワリ、デイジー等)、ラン科植物(ラン等)、サクラソウ科植物(シクラメン等)、リンドウ科植物(トルコギキョウ、リンドウ等)、アヤメ科植物(フリージア、アヤメ、グラジオラス等)、ゴマノハグサ科植物(キンギョソウ、トレニア等)、ベンケイソウ(カランコエ)、ユリ科植物(ユリ、チューリップ等)、ヒルガオ科植物(アサガオ、モミジヒルガオ、ヨルガオ、サツマイモ、ルコウソウ、エボルブルス等)、アジサイ科植物(アジサイ、ウツギ等)、ウリ科植物(ユウガオ等)、フロウソウ科植物(ペラルゴニウム、ゼラニウム等)、モクセイ科植物(レンギョウ等)、ブドウ科植物(例えば、ブドウ等)、ツバキ科植物(チャ、ツバキ、チャノキ等)、イネ科植物(例えば、イネ、オオムギ、コムギ、エンバク、ライムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、コウリャン、サトウキビ、タケ、カラスムギ、シコクビエ、モロコシ、マコモ、ハトムギ、牧草等)、クワ科植物(クワ、ホップ、コウゾ、ゴムノキ、アサ等)、アカネ科植物(コーヒーノキ、クチナシ等)、ブナ科植物(ナラ、ブナ、カシワ等)、ミカン科植物(例えば、ダイダイ、ユズ、ウンシュウミカン、サンショウ)、アブラナ科植物(赤キャベツ、ハボタン、ダイコン、シロナズナ、アブラナ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー等)、シソ科(サルビア、シソ、ラベンダー、タツナミソウ等)、ナス科植物(例えば、ナス、トマト、トウガラシ、ジャガイモ、タバコ、チョウセンアサガオ、ホオズキ、ペチュニア、カリブラコア、ニーレンベルギア等)、マメ科植物(例えば、ダイズ、アズキ、ラッカセイ、インゲンマメ、ソラマメ、ミヤコグサ等)があげられる。
これらの中では、ゴマ属植物が好ましく、ゴマの植物体又はその部分であることが好ましい。
本明細書において、「植物体」は、植物全体を示す植物個体を意味し、「植物体の部分」は、上記植物個体の部分であり、例えば、器官、組織又は細胞等があげられ、いずれでもよい。上記器官として、例えば、花弁、花冠、花、毬花、腺毛、葉、種子、果実、茎、根、むかご等があげられる。茎として、例えば、球根等の鱗茎、塊茎、球茎、根茎、ライナー等があげられる。根として、例えば、塊根、横走根等があげられる。上記組織は、例えば、上記器官の部分(例えば、表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海面状組織等)である。植物体の部分は、例えば、一種類の器官、組織及び/又は細胞でもよいし、二種類以上の器官、組織及び/又は細胞でもよい。植物の細胞は、培養細胞であってもよく、種々の形態の細胞(例えば、懸濁培養細胞)、プロトプラスト、カルス等のいずれをも意味する。
発現ベクターを宿主に導入する方法は特に限定されず、公知の形質転換方法を使用することができる。導入方法としては、例えば、アグロバクテリウム法、パーティクルガン等の遺伝子銃による導入法、リン酸カルシウム法、ポリエチレングリコール法、リポソームを用いるリポフェクション法、エレクトロポレーション法、超音波核酸導入法、DEAE−デキストラン法、微小ガラス管等を用いた直接注入法、ハイドロダイナミック法、カチオニックリポソーム法、CRISPR−Cas法(例えば、Woo et al., Nature Biotechnology 33, 1162−1164 (2015))、導入補助剤を用いる方法等があげられる。リポソームとしては、例えば、リポフェクタミン及びカチオニックリポソーム等があげられる。導入補助剤としては、例えば、アテロコラーゲン、ナノ粒子及びポリマー等があげられる。導入方法は、宿主の種類等に応じて適宜選択すればよい。例えば、宿主が植物体又はその部分の場合には、アグロバクテリウム法が好ましい。
上記宿主が、植物体又はその部分の場合、発現ベクターの導入は、例えば、植物体及びその部分のいずれに行ってもよく、好ましくは、植物体の部分であり、より好ましくは、組織又は細胞であり、さらに好ましくは細胞である。上記組織は、例えば、植物体から切り出した切片等があげられ、具体的には、葉、茎、根等の切片である。細胞としては、例えば、植物体又はその組織から採取した細胞、該細胞の培養細胞、プロトプラスト、カルス等があげられる。
発現ベクターが宿主に導入されたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等によって行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRにより得られた増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等によって染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することによって、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素等によって標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等によって増幅産物を確認する方法も採用することができる。
このように発現ベクターが導入された宿主を培養し、タンパク質(P1−1)等のタンパク質(P1)を発現させる。
宿主の培養方法及びタンパク質の発現方法は、宿主の種類に応じた公知の方法を適用することができる。
タンパク質(P1)の精製方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
このような方法により、タンパク質(P1−1)を製造することができる。
なお、配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号4のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、及び、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、それぞれ、本発明のタンパク質、ポリヌクレオチド及び発現ベクターでもある。
また、上記タンパク質(P1)を製造する方法において、配列番号3又は4のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの代わりに、以下のポリヌクレオチド(N1−2)〜(N1−4)をベクターに組み込んで発現ベクターを作製することによっても、タンパク質(P1)を製造することができる。
(N1−2)配列番号3又は4のヌクレオチド配列に1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N1−3)配列番号3又は4のヌクレオチド配列に対して、90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N1−4)配列番号3又は4のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
上記(N1−2)において、「1又は数個」は、例えば、上記(N1−2)のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質が、セサミノール配糖体(1)のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有する範囲であればよい。上記(N1−2)における「1又は数個」は、好ましくは1〜50個、1〜30個、1〜20個、1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1又は2個である。付加は、例えば、配列内への挿入の意味も含む。ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列において、1もしくは数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたとは、同一配列中の任意かつ1もしくは複数のヌクレオチド配列中の位置において、1もしくは複数個のヌクレオチドの欠失、置換及び/又は付加があることを意味し、欠失、置換及び付加のうち2種以上が同時に生じていてもよい。
上記(N1−3)において、同一性(配列同一性)は、例えば、上記(N1−3)のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質が、セサミノール配糖体(1)のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有する範囲であればよい。同一性は、90%以上であり、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。
次に、タンパク質(P2)、特に、タンパク質(P2−1)及び(P2−5)について詳述する。
タンパク質(P2−1)は、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
タンパク質(P2−5)は、配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
現在まで、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質の機能は知られていなかった。
タンパク質(P2−1)(タンパク質SiGGT21646)、及び、タンパク質(P2−5)(タンパク質UGT94D1)は、以下の2つの活性を有する。
すなわち、これらタンパク質は、SG1のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性(IV)、及び、SG2(2)の1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性(V)を有する。上述したようにタンパク質(P2)はUDP−糖特異的糖転移酵素である。
また、配列番号6のヌクレオチド配列は、配列番号5のアミノ酸配列をコードし、また、配列番号8のヌクレオチド配列は、配列番号7のアミノ酸配列をコードする。
次に、タンパク質(P2−1)(タンパク質SiGGT21646)の製造方法について説明する。
上記タンパク質(P1)を製造する方法において、配列番号3又は4のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの代わりに、以下のポリヌクレオチド(N2−1)〜(N2−8)のいずれか又は2以上をベクターに組み込んで発現ベクターを作製することにより、タンパク質(P2−1)(タンパク質SiGGT21646)等のタンパク質(P2)を製造することができる。
(N2−1)配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド
(N2−2)配列番号6のヌクレオチド配列に1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N2−3)配列番号6のヌクレオチド配列に対して、90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N2−4)配列番号6のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N2−5)配列番号8のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド
(N2−6)配列番号8のヌクレオチド配列に1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N2−7)配列番号8のヌクレオチド配列に対して、90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(N2−8)配列番号8のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなり、かつ、上記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
上記(N2−2)及び(N2−6)において、「1又は数個」は、例えば、上記(N2−2)及び(N2−6)のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質が、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有する範囲であればよい。上記(N2−2)及び(N2−6)における「1又は数個」は、好ましくは1〜50個、1〜30個、1〜20個、1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1又は2個である。
上記(N2−3)及び(N2−7)において、同一性(配列同一性)は、例えば、上記(N2−3)及び(N2−7)のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質が、セサミノール配糖体(1)の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有する範囲であればよい。同一性は、90%以上であり、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。
また、上記ポリヌクレオチド(N1−1)〜(N1−4)及びポリヌクレオチド(N2−1)〜(N2−4)からなる群より選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む発現ベクターが導入された非ヒト宿主である形質転換体は、本発明の形質転換体でもある。このような発現ベクター及び形質転換体の製造方法は、上述したタンパク質(P−1)の製造における発現ベクター及び形質転換体の製造方法と同じである。
好ましくは、ポリヌクレオチド(N1−1)〜(N1−4)からなる群より選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む発現ベクターが導入された非ヒト宿主である形質転換体であり、この形質転換体に、さらに、ポリヌクレオチド(N2−1)〜(N2−4)からなる群より選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む発現ベクターが導入されていてもよい。
なお、形質転換体を栽培又は培養する方法は、形質転換体の種類に応じた公知の方法を適用することができる。形質転換体を栽培又は培養することにより、形質転換体において上記ポリヌクレオチドを発現させ、タンパク質(P1)及び/又はタンパク質(P2)を合成することができる。この際、形質転換体において合成されたタンパク質(P1)及び/又はタンパク質(P2)を単離して、上述したセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造に使用することができる。タンパク質(P1)及び(P2)は、精製タンパク質であってもよく、非精製タンパク質であってもよい。また、上記形質転換体において、上記タンパク質の合成と上記セサミノール2糖又は3糖配糖体の合成とを行ってもよい。このように、上記形質転換体を培養することにより、上記タンパク質(P1)及び/又は(P2)合成工程及びセサミノール2糖又は3糖配糖体合成工程を行うことができ、セサミノール2糖又は3糖配糖体を合成することができる。
これまで、ポリヌクレオチド(N1−1)〜(N1−4)及びポリヌクレオチド(N2−1)〜(N2−8)を用いて作製された形質転換体を用いてタンパク質(P1)及び(P2)を製造する方法等を説明してきた。
この他に、例えば、ゴマ種子からタンパク質(P1)及び(P2)を抽出、精製することにより、タンパク質(P1)及び(P2)を得てもよい。
次に、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列の少なくとも一部の配列を含むポリヌクレオチドを使用して、セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が異なる植物体を選別する本発明の植物体の選別方法について説明する。
セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が異なる植物体としては、例えば、既存品種と比較してセサミノール2糖又は3糖配当体合成能が高い、又は、低い植物体があげられる。
セサミノール2糖又は3糖配糖体としては、上述した製造方法により製造されるセサミノール2糖又は3糖配糖体が挙げられ、好ましくは、SG2(2)、SG3(2,6)、SG3(2,2)、及び、SG2(6)からなる群より選択される1種又は2種以上である。
本発明の植物体の選別方法は、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列の少なくとも一部の配列を含むポリヌクレオチドを使用した植物体の選別方法であれば、どのような方法であってもよい。本発明の植物体の選別方法について2つの例(第1例及び第2例)をあげて以下に説明する。
本発明の植物体の選別方法の第1例としては、(1)ポリヌクレオチド抽出工程と、(2)DNA増幅工程と、(3)遺伝的変異選別工程と、(4)比較工程とを含む方法があげられる。
各工程について以下に詳述する。
(1)ポリヌクレオチド抽出工程
まず、植物体又はその部分からDNA又はRNAであるポリヌクレオチドを抽出する。
抽出したポリヌクレオチドがRNAである場合、RNAを逆転写してcDNAを合成する。
ポリヌクレオチドの抽出、及び、cDNAの合成は公知の方法を用いることができる。
DNA又はRNAを抽出する被検植物の部位は特に限定されないが、例えば、ゴマの植物体を選別する場合には、ゴマの種子等が好ましい。
(2)DNA増幅工程
次に、DNA又はcDNAから配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列の少なくとも一部の配列を含むポリヌクレオチドを増幅し、増幅DNA断片を作製する。
ポリヌクレオチドを増幅する方法としては、特に限定されないが、例えばPCRを用いることができる。
DNAの増幅方法や、PCRで用いるプライマーの設計及び合成は、当該技術分野において周知であり、当業者であれば配列に基づき容易に実施可能である。
(3)遺伝的変異選別工程
次に、増幅DNA断片のヌクレオチド配列と配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列とを比較することにより、セサミノールGGTの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の遺伝的変異を特定し、遺伝的変異を含む遺伝子を有する変異植物体を選別する。
なお、本明細書において、「遺伝的変異」とは、突然変異及び/又は遺伝子多型のことを意味する。
(4)比較工程
次に、変異植物体における遺伝的変異を含む遺伝子の発現量、又は、遺伝的変異を含む遺伝子がコードするタンパク質のセサミノールGGTの活性と、既存品種の配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を含む遺伝子の発現量、又は、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を含む遺伝子がコードするタンパク質のセサミノールGGTの活性とを比較する。
変異植物体における遺伝的変異を含む遺伝子の発現量が、既存品種の配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を含む遺伝子の発現量よりも多い場合や、遺伝的変異を含む遺伝子がコードするタンパク質のセサミノールGGTの活性が、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を含む遺伝子がコードするタンパク質のセサミノールGGTの活性よりも高い場合、このような変異植物体は、既存品種と比較してセサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が高い植物体であると選別することができる。
また、変異植物体における遺伝的変異を含む遺伝子の発現量が、既存品種の配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を含む遺伝子の発現量よりも少ない場合や、遺伝的変異を含む遺伝子がコードするタンパク質のセサミノールGGTの活性が、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を含む遺伝子がコードするタンパク質のセサミノールGGTの活性よりも低い場合、このような変異植物体は、既存品種と比較してセサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が低い植物体であると選別することができる。
なお、本発明における既存品種は、通常、被検植物の種に含まれる既存品種であり、分類学上同一の属の植物であることが好ましい。既存品種は、被検植物体が得られたときに存在するすべての品種をいい、野生型、交配、遺伝子操作等の人為的操作により作出された品種が含まれる。本発明でセサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が異なる植物体は、すべての既存品種に対して上記遺伝子の発現量又は上記遺伝子がコードするタンパク質のセサミノールGGTの活性が高い又は低い必要はない。特定の既存品種に対して上記遺伝子の発現量又は上記タンパク質のセサミノールGGTの活性が高ければ、セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が高い植物体として選別することができる。
次に、本発明の植物体の選別方法の別の一例(第2例)を説明する。
本発明の植物体の選別方法の第2例は、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列の少なくとも一部の配列を含むポリヌクレオチドの発現量を測定する工程を含み、該発現量を指標として、セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が異なる植物体を選別する。
ポリヌクレオチドは、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであり、より好ましくは配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドである。本発明においては、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列のポリヌクレオチドの発現量を指標とすることが好ましい。これらの2以上のヌクレオチド配列の発現を指標として用いてもよい。本発明のポリヌクレオチドの発現量の測定方法は特に限定されず、上述した方法により植物体又はその部分からRNAを抽出し、上記ポリヌクレオチドのmRNAを定量すればよい。
配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を有する遺伝子の発現量が多い植物体は、タンパク質SiGGT21842、タンパク質SiGGT21842R229Q、又は、タンパク質SiGGT21646の発現量が多いことになる。
そのため、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を有する遺伝子の発現量が多い植物体を、セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が高い植物体であると選別することができる。
また、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を有する遺伝子の発現量が少ない植物体は、タンパク質SiGGT21842、タンパク質SiGGT21842R229Q、又は、タンパク質SiGGT21646の発現量が少ないことになる。
そのため、配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列を有する遺伝子の発現量が少ない植物体を、セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が低い植物体であると選別することができる。
本発明の選別方法においては、上記ポリヌクレオチドの発現量を複数の植物体間で比較して、上記発現量が多い植物体をセサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が高い植物体として選別することができる。比較する複数の植物体は、分類学上同一の種又は属の植物体であることが好ましい。
セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が高い植物体は、好ましくは、その植物の種に含まれる既存品種に対してセサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が高い植物体である。例えば、ある植物体(被検植物体)と既存品種の植物体との間で上記ポリヌクレオチドの発現量を比較し、既存品種よりも該発現量が多い植物体を選別することにより、既存品種に対してセサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が高い植物体を選別することができる。
また、例えば、被検植物体と既存品種の植物体との間で上記ポリヌクレオチドの発現量を比較し、既存品種よりも該発現量が少ない植物体を選別することにより、既存品種に対してセサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が低い植物体を選別することができる。
本発明の植物体の選別方法は、ゴマ属植物の選別に用いることが好ましく、ゴマの選別に用いることがより好ましい。植物は、野生型植物体、変異した植物体、交配選抜で得られた植物体等のいずれであってもよい。
以下、本発明をより具体的に説明する実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例等で使用する化合物の略称を以下に説明する。
SG1 :セサミノール2’−O−β−D−グルコシド
Epi−SG1 :セサミノール2’−O−β−D−グルコシドのエピマー
SG2(2) :セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β
−D−グルコシド
SG2(6) :セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→6)−β
−D−グルコシド
Epi−SG2(6) :セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→6)−β
−D−グルコシドのエピマー
SG3(2,2) :セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O
−[β−D−グルコシル(1→2)]−β−D−グルコシド
SG3(2,6) :セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O
−[β−D−グルコシル(1→6)]−β−D−グルコシド
Epi−SG3(2,6):セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O
−[β−D−グルコシル(1→6)]−β−D−グルコシド
のエピマー
<セサミノール配糖体の特異的糖転移酵素の候補遺伝子の単離>
本明細書において用いる分子生物学的手法は、他で詳述しない限り、Molecular Cloning(Sambrookら, Cold Spring Harbour Laboratory Press, 2001)に記載の方法に従った。
ゴマ種子のExpressed Tag Seq(EST)の中から先行技術文献(非特許文献1)の配糖体化酵素遺伝子(UGT)とは異なるUGT様配列を相同性検索により探索を行った。その結果、配列番号7のアミノ酸配列からなるUGT94D1とDNAレベルで54%、アミノ酸レベルで42%の配列同一性を示す配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質SiGGT21842と、DNAレベルで56%、アミノ酸レベルで45%の配列同一性を示す配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質SiGGT21646を見出した。なお、これらタンパク質を「SiGGTタンパク質」とも記載し、これらのタンパク質をコードする遺伝子を以下「SiGGT遺伝子」とも記載する。
これらのSiGGT遺伝子は両者とも約1400bpのヌクレオチド長を有し、完全長オープンリーディングフレーム(ORF)を含むと考えられたため、下記のプライマーセット(配列番号9及び10、並びに、配列番号11及び12)でゴマ種子から調製したcDNAを鋳型にPCRによる増幅を行った。
なお、ゴマ種子cDNAについてはゴマ種子からRNeasy Plant Miniキット(QIAGEN)を用いて総RNAを抽出し、そのうち0.5μgをRandom Oligo−dTプライマーで逆転写(RT)反応することによって得た。
タンパク質SiGGT21842用フォワードプライマー(SiGGT−21842−pET−FW):
5’−TGCCGCGCGGCAGCCATATGGAGAAAAAAGAAGCTAAATTCAG−3’(配列番号9)
タンパク質SiGGT21842用リバースプライマー(SiGGT−21842−pET−RV):
5’−GTTAGCAGCCGGATCCTCACTTTTCACTGCCTAATCTG−3’(配列番号10)
タンパク質SiGGT21646用フォワードプライマー(SiGGT−21646−pET−FW):
5’−TGCCGCGCGGCAGCCATATGGGTTCAGACAAAGAGTGC−3’(配列番号11)
タンパク質SiGGT21646用リバースプライマー(BamHI−SiGGT−21646−pET−RV):
5’−GTTAGCAGCCGGATCCTTAATTCCCACAAATTTGTGCTAACTTG−3’(配列番号12)
PCR反応液(50μL)は、ゴマ種子由来cDNA 1μL、1×ExTaq buffer(TaKaRaBio)、0.2mM dNTPs、プライマー各0.4pmol/μL、ExTaq polymerase 2.5Uの組成とした。PCR反応は、94℃で3分間反応させた後、94℃で1分間、50℃で1分間、72℃で2分間の反応を計30サイクル行いDNAの増幅を行った。得られたPCR産物を、0.8%アガロースゲルを用いて電気泳動し、エチジウムブロマイド染色した。その結果、それぞれの鋳型DNAから推定された1400bpサイズ付近に増幅DNAのバンドが確認された。結果を図2(a)及び(b)に示す。
図2の(a)は、ゴマ種子cDNAを鋳型として、タンパク質SiGGT21842用フォワードプライマー及びタンパク質SiGGT21842用リバースプライマーを用いて得られたPCR産物のアガロースゲル電気泳動の写真であり、(b)は、ゴマ種子cDNAを鋳型として、タンパク質SiGGT21646用フォワードプライマー及びタンパク質SiGGT21646用リバースプライマーを用いて得られたPCR産物のアガロースゲル電気泳動の写真である。
図2の(a)中、Aのレーンは、タンパク質SiGGT21842用プライマーを用いたPCR産物であり、図2の(b)中、Bのレーンは、タンパク質SiGGT21646用プライマーを用いたPCR産物であり、図2(a)及び(b)中のMはマーカーである。
また、図2(a)及び(b)の1400bp付近のバンドを矢印で示す。
なお、図2中、Mは、サイズマーカーである。
<発現ベクターの構築>
次に、PCR産物をGeneArt Seamless Cloning and Assembly Enzyme Mix(Thermo Fisher Scientific)を用いて製造業者が推奨する方法で大腸菌発現ベクターpET15b(Novagene)にサブクローニングした。本ベクターのNdeIサイト上流にあるHisタグをコードするサイトとSiGGT遺伝子のORFが合っており、SiGGTタンパク質のN末端にHisタグが融合されたキメラタンパク質として発現するよう設計した。
次に、サブクローニングした発現ベクターのヌクレオチド配列をキャピラリーシークエンサー(Genetic Analyzer 3130xl, Applied Biosystems)で解析した。
その結果、タンパク質SiGGT21842用プライマーを用いたPCR産物をサブクローニングした発現ベクターには、配列番号3又は配列番号4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれていることが確認された。配列番号4のヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド配列の686番目のグアニン残基がアデニン残基になったヌクレオチド配列であり、配列番号4のヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド配列の対立遺伝子と考えられた。また、配列番号4によりコードされるタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列からなる。配列番号2のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列の229番目のアルギニン残基が、グルタミン残基になったアミノ酸配列である。
また、タンパク質SiGGT21646用プライマーを用いたPCR産物をサブクローニングした発現ベクターには、配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれていることが確認された。
配列番号3のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれている発現ベクターをSiGGT21842発現ベクターとし、配列番号4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれている発現ベクターをSiGGT21842R229Q発現ベクターとし、配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれている発現ベクターをSiGGT21646発現ベクターとした。
また、各発現ベクターの接続部分にエラーがないことも確認した。
<組み換えタンパク質の発現および精製>
SiGGT21842発現ベクター、SiGGT21646発現ベクター及びネガティブコントロールとして発現ベクターpET15b(空のpET15bベクター)を用い、定法に従って大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
得られた各形質転換体を、50μg/mLのアンピシリンを含むLB培地(10g/L typtone pepton, 5g/L yeast extract, 1g/L NaCl)4mLにて、37℃で一晩振盪培養した。静止期に達した培養液2mLを同組成の培地98mLに接種し、Overnight Express Autoinduction System 1(Novagen社)を用いて25℃で20時間振盪培養した。
以下のすべての操作は4℃で行った。
培養した形質転換体を遠心分離(5,000×g、10min)にて集菌し、Buffer S[20mM HEPESバッファー(pH7.5)、20mM imidazol、 14mM β−メルカプトエタノール]を1mL/g cellとなるように添加して懸濁した。
続いて、超音波破砕(15sec×8回)を行い、遠心分離(15,000×g、15min)を行った。得られた上清を粗酵素液として回収した。
粗酵素液をBuffer Sにて平衡化したHis SpinTrap(GE Healthcare社)に負荷し、遠心分離(70×g、30sec)した。
Buffer Sで洗浄後、100mM、及び、500mMのイミダゾールを含むBuffer S 各5mLにて、カラムに結合したタンパク質を段階的に溶出した。
各溶出画分をMicrocon YM−30(Amicon社)を用いて20mM HEPESバッファー(pH7.5)、14mM β−メルカプトエタノールにバッファー置換した。このバッファー置換した生成酵素溶液を以下の反応に用いた。
各溶出画分をSDS−PAGEにより分離し、分離後のポリアクリルアミドゲルをCBB染色した。
SiGGT21842発現ベクター及びSiGGT21646発現ベクターを用いて得られた粗酵素液から得られた500mM イミダゾール溶出画分において、HisTag融合SiGGTタンパク質の推定分子質量である分子質量50kDa付近の位置にタンパク質のバンドが観察された。
さらに、抗Hisタグ−抗体を用いたウェスタンブロッティング解析を行った。
SiGGT21842発現ベクター及びSiGGT21646発現ベクターを用いて得られた各粗酵素液から得られた500mM イミダゾール溶出画分において、分子質量約50kDa付近にタンパク質が検出された。一方、発現ベクターpET15bを用いて得られた粗酵素液から得られた溶出画分(以下、「ネガティブコントロール画分」とも記載する)には、上記分子質量約50kDaのタンパク質が検出されなかった。
従って、上記SDS−PAGEの結果及びウェスタンブロッティング解析の結果から、各形質転換体が、タンパク質SiGGT21842又はタンパク質SiGGT21646を発現していることが確認できた。
また、SiGGT21842発現ベクター及びSiGGT21646発現ベクターのかわりにSiGGT21842R229Q発現ベクターを用いた以外は、上記と同様の方法で形質転換体を作製し、タンパク質SiGGT21842R229Qを精製した。
(実施例1:タンパク質SiGGT21842の機能解析1)
以下のに示す方法で、タンパク質SiGGT21842とSG1との反応を解析した。
(LC条件)
装置名:LCMS−IT−TOF(製造元:島津製作所:Prominence LC20シリーズ)
カラム:Waters Sunfire C18 3.5um 2.0mm I.D.×20mm
移動相:A:10mM 酢酸アンモニウム水溶液 B: アセトニトリル
流速:0.4mL/min
カラムオーブン:40℃
グラジエント:B(v/v%):20%(0min)−80%(6min)−80%(8min)−20%(8.1min)−20%(12min)
本条件では、セサミノール2糖配糖体のSG2(2)のピークは保持時間3.91分、SG2(6)のピークは保持時間3.77分であり、これらは分離される。
(MS条件)
ESI (negative mode)
Selected ion monitoring:m/z 317,479,641,687,803及び849
実施例1に係る反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM SG1,100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),酵素溶液として精製タンパク質SiGGT21842溶液25μLを蒸留水で50μLに調製)を準備し、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。
また、ポジティブコントロールとして、SG2(2)の標準品を用い、上記の条件で逆相LC−MS分析を行った。
また、ネガティブコントロールとして、反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM SG1,100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),ネガティブコントロール画分25μLを蒸留水で50μLに調製)を準備し、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。
これらの逆相LC−MS分析の結果を図3に示す。
図3の(a)は、SG1及び精製タンパク質SiGGT21842溶液を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図3の(b)は、SG2(2)の標準品の逆相LC−MS分析のチャートであり、図3の(c)は、SG1及びネガティブコントロール画分を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
すなわち、図3の(a)は、実施例1の反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図3の(b)は、実施例1のポジティブコントロールとして標準品のSG2(2)を用いた逆相LC−MS分析のチャートであり、図3の(c)は、実施例1のネガティブコントロールの反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図3(a)に示すように、タンパク質SiGGT21842とSG1とを反応させたところ、SG1にグルコースが一つ付加されたと思われる分子量を有する新しいピークが検出された。これは図3(b)に示す、ポジティブコントロールの保持時間3.91分の標準品のSG2(2)のピークと合致した。一方、図3(c)に示すように、実施例1のネガティブコントロールでは、糖受容体基質のSG1、及び、そのエピマー体が残存しており、実施例1では、タンパク質SiGGT21842の特異的な反応によりSG2(2)が生成していることが確認された。
なお、図3(c)に示す保持時間4.39分のピークは、SG1であり、保持時間4.46分のピークは、Epi−SG1のピークであると考えられる。
(実施例2:タンパク質SiGGT21842の機能解析2)
以下に示す方法で、タンパク質SiGGT21842とSG2(2)との反応を解析した。
実施例2に係る反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM SG2(2),100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),酵素溶液として精製タンパク質SiGGT21842溶液25μLを蒸留水で50μLに調製)を準備し、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。
また、ネガティブコントロールとして、上記反応液において酵素溶液の替りにネガティブコントロール画分25μLを使用して反応液を準備し、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。
これらの逆相LC−MS分析の結果を図4に示す。
図4の(a)は、SG2(2)及び精製タンパク質SiGGT21842溶液を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図4の(b)は、SG2(2)及びネガティブコントロール画分を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
すなわち、図4の(a)は、実施例2の反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図4の(b)は、実施例2のネガティブコントロールの反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図4(a)に示すように、タンパク質SiGGT21842とSG2(2)とを反応させたところ、SG2(2)にグルコースが一つ付加された三糖配糖体と思われる新しいピークが保持時間3.32分に検出された。タンパク質SiGGT21842の位置特異性からこの生成物はSG2(2)の2つ目のグルコース残基の2位がさらにグルコシル化されたSG3(2,2)だと推察された。ゴマ種子にはこのような糖鎖結合したセサミノール配糖体の報告はない。
なお、図4(a)において保持時間3.90分のピークは、SG2(2)のピークである。
また、図4(b)に示す、保持時間3.89分のピークは、SG2(2)のピークである。
(実施例3:タンパク質SiGGT21842の機能解析3)
以下に示す方法で、タンパク質SiGGT21842とSG2(6)との反応を解析した。
実施例3に係る反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM SG2(6),100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),酵素溶液として精製タンパク質SiGGT21842溶液25μLを蒸留水で50μLに調製)を準備し、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。
また、ポジティブコントロールとして、反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM SG3(2,6),100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),ネガティブコントロール画分25μLを蒸留水で50μLに調製)を準備し、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。
また、ネガティブコントロールとして、反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM SG2(6),100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),ネガティブコントロール画分25μLを蒸留水で50μLに調製)を準備し、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。
これらの逆相LC−MS分析の結果を図5に示す。
図5の(a)は、SG2(6)及び精製タンパク質SiGGT21842溶液を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図5の(b)は、SG3(2,6)及びネガティブコントロール画分を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図5の(c)は、SG2(6)及びネガティブコントロール画分を用いた反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
すなわち、図5の(a)は、実施例3の反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図5の(b)は、実施例3のポジティブコントロールの反応液の逆相LC−MS分析のチャートであり、図5の(c)は、実施例3のネガティブコントロールの反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
なお、図5(b)において保持時間3.30分のピークは、SG3(2,6)のピークである。
図5(a)に示すように、タンパク質SiGGT21842とSG2(6)とを反応させたところ、SG2(6)の1つ目のグルコース残基の2位にグルコースが一つ付加された三糖配糖体と思われる分子量を有する新しいピークが保持時間3.31分に検出された。生成物の保持時間から生成された新たなピークはSG3(2,6)のピークであった。
なお、図5(c)において保持時間3.80分のピークは、SG2(6)のピークである。
(実施例4:タンパク質SiGGT21842の機能解析4)
以下に示す方法で、セサミノールを出発物質としてSG3(2,6)を製造する方法を検討した。
(ネガティブコントロール)
反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM セサミノール,100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),ネガティブコントロール画分25μLを蒸留水で50μLに調製)を、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。結果を図6(a)に示す。
図6の(a)は、実施例4のネガティブコントロールの反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
(第1反応)
反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM セサミノール,100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),UGT71A9,UGT94D1を蒸留水で50μLに調整)を、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。結果を図6(b)に示す。
図6の(b)は、実施例4の第1反応の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
なお、UGT71A9及びUGT94D1は、非特許文献1に記載の方法で準備した。
(第2反応)
反応液(2mM UDP−グルコース,糖受容体基質として0.1mM セサミノール,100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5),UGT71A9、UGT94D1,精製タンパク質SiGGT21842溶液25μLを蒸留水で50μLに調製し、30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。結果を図6(c)に示す。
図6の(c)は、実施例4の第2反応の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図6(a)では、保持時間6.06分、及び、保持時間6.28分の位置にピークが認められた。
図6(b)では、保持時間3.77分、及び、保持時間3.85分の位置にピークが認められた。
図6(c)では、保持時間3.30分、及び、保持時間3.40分の位置にピークが認められた。
図6(a)の保持時間6.06分のピークは、セサミノールのピークであり、保持時間6.28分のピークは、セサミノールのエピマーであるエピセサミノールのピークである。
図6(b)の保持時間3.77分のピークは、SG2(6)のピークであり、保持時間3.85分のピークは、Epi−SG2(6)のピークである。
この結果より、UGT71A9及びUGT94D1により、SG2(6)が生成することが確認された。またこれらの酵素は、エピマーを厳密に区別していないことが示唆された。
図6(c)の保持時間3.30分のピークは、SG3(2,6)のピークであり、保持時間3.40分のピークは、Epi−SG3(2,6)のピークである。
これらの結果から、酵素としてUGT71A9、UGT94D1及びタンパク質SiGGT21842をセサミノールにを反応させると、3箇所のグリコシル化が連続して起こり、SG3(2,6)が生成することが確認できた。
つまり、第1反応として、UGT71A9及びUGT94D1とセサミノールとが反応し、
SG2(6)が生成し、第2反応として、タンパク質SiGGT21842とSG2(6)とが反応しSG3(2,6)が生成することが確認できた。
また、タンパク質SiGGT21842は、エピマーを厳密に区別していないことが示唆された。
実施例1〜4におけるタンパク質SiGGT21842の機能解析の反応液等に使用した糖受容体、酵素溶液等の組み合わせを以下の表1にまとめて示す。
Figure 2018061476
(実施例5:タンパク質SiGGT21842R229Qの機能解析)
タンパク質SiGGT21842の代わりにタンパク質SiGGT21842R229Qを用いて上記(タンパク質SiGGT21842の機能解析1)〜(タンパク質SiGGT21842の機能解析4)と同様の試験を行ったところ、タンパク質SiGGT21842R229Qはタンパク質SiGGT21842と同じ機能を有していることが判明した。
以上より、タンパク質SiGGT21842及びタンパク質SiGGT21842R229Qはこれまで同定されていなかったUDP−糖特異的糖転移酵素であり、その機能はSG1のグルコース残基の2位、SG2(2)(の2つ目のグルコース残基の2位、及び、SG2(6)の1つ目のグルコース残基の2位をグルコシル化する機能であることが判明した。
(タンパク質SiGGT21646の機能解析)
以下の試験例1〜7に示す方法で、タンパク質SiGGT21646の機能を解析した。
(試験例1)〜(試験例7)
糖受容体基質及び酵素の組み合わせを表2に示すようにして試験例1〜7の反応液を準備した。
各反応液は、2mM UDP−グルコース,0.1mM 糖受容体基質、100mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5)、酵素溶液又はネガティブコントロール画分を25μL含み、蒸留水で50μLに調製された。
すなわち、試験例1の反応液は、糖受容体基質としてセサミノールを含み、酵素としてタンパク質SiGGT21646を含む。
試験例2の反応液は、糖受容体基質としてSG2(2)を含み、酵素としてタンパク質SiGGT21646を含む。
試験例3の反応液は、糖受容体基質としてセサミノールを含み、酵素としてUGT71A9及びタンパク質SiGGT21646を含む。
試験例4の反応液は、糖受容体基質としてSG2(2)を含み、酵素としてUGT94D1を含む。
試験例5の反応液は、糖受容体基質としてセサミノールを含み、酵素としてUGT71A9及びUGT94D1を含む。
試験例6の反応液は、糖受容体基質としてSG2(6)を含み、酵素としてタンパク質SiGGT21646を含む。
試験例7の反応液は、糖受容体基質としてSG2(6)を含み、酵素としてUGT94D1を含む。
Figure 2018061476
次に、各反応液を30℃、1時間反応させた。反応後の反応液5μLについて上記条件で逆相LC−MS分析を行った。結果を図7〜13に示す。
図7は、試験例1の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図8は、試験例2の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図9は、試験例3の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図10は、試験例4の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図11は、試験例5の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図12は、試験例6の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図13は、試験例7の反応液の逆相LC−MS分析のチャートである。
図7に示すように、タンパク質SiGGT21646をセサミノールと反応させたところ生成物は認められなかった。
一方、図8に示すようにタンパク質SiGGT21646をSG2(2)と反応させたところグルコースが1分子付加されたピークが認められ、これは保持時間からセサミノSG3(2,6)と同定された。
また、図9に示すように、UGT71A9及びタンパク質SiGGT21646をセサミノールと反応させたところ、グルコースが2分子付加されたピークが認められ、これは保持時間からセサミノールSG2(6)と同定された。
図10及び図11に示すようにこれらの反応はUGT94D1でも同様にみられることと、及び、図12及び図13に示すようにこれらタンパク質はSG2(6)をグルコシル化する活性がほとんどないことから、タンパク質SiGGT21646はUGT94D1と同じように、SG1のグルコース残基の6位、及び、SG2(2)の一つ目のグルコース残基の6位をグルコシル化する糖特異的糖転移酵素であることが示された。
本発明によれば、上記タンパク質(P1)を利用して、SG1のグルコース残基の2位、及び、SG2(6)の1つ目のグルコース残基の2位をグルコシル化することができ、SG2(2)、及び、SG3(2,6)を製造することができる。
さらにタンパク質(P1)を利用して、SG2(2)の2つ目のグルコース残基の2位をグルコシル化することができ、SG3(2,2)を製造することができる。
今回、タンパク質(P1)に含まれるタンパク質SiGGT21842及びタンパク質SiGGT21842R229Qの機能を解析することにより、セサミノールからSG3(2,6)までの生合成経路の全容が明らかになった。そのため、植物のみならず微生物において水溶性リグナン配糖体であるセサミノール3糖配糖体、その他類縁化合物を生産させるための育種マーカーおよび分子ツールを与えうる。

Claims (19)

  1. セサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法であって、
    下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体及びUDP−糖に、下記タンパク質(P1−1)〜(P1−4)からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質(P1)を作用させる工程(i)を含むことを特徴とするセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
    (P1−1)配列番号1又は2のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (P1−2)配列番号1又は2のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
    (P1−3)配列番号1又は2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
    (P1−4)配列番号3又は4のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質
    Figure 2018061476
    [一般式(1)中、(S1)は、ヘキソース残基を表し、nは1又は2の数を表す。セサミノールと結合している1つ目のヘキソース残基(S1)は、1位の炭素を介してセサミノールと結合している。nが2の場合、2つのヘキソース残基(S1)は同一であってもよく、異なっていてもよく、これらはβ−1→2結合、又は、β−1→6結合している。]
  2. 前記UDP−糖が、UDP−ヘキソースである請求項1に記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
  3. 前記UDP−糖が、UDP−グルコースである請求項1又は2に記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
  4. 前記(S1)は、D−グルコース残基である請求項1〜3のいずれかに記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
  5. 前記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性が、
    セサミノール2’−O−β−D−グルコシドのグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(I)、
    セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→6)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(II)、及び、
    セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドの2つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移活性(III)のいずれか1つ又は2以上である請求項1〜4のいずれかに記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
  6. 前記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体は、下記式(2)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシドであり、
    前記UDP−糖は、UDP−グルコースであり、
    前記セサミノール2’−O−β−D−グルコシドのグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移により下記式(3)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドを生成させる請求項1〜5のいずれかに記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
    Figure 2018061476
    Figure 2018061476
  7. 前記式(3)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシド及びUDP−グルコースに下記タンパク質(P2−11)〜(P2−18)からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質(P2)を作用させ、下記式(4)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O−[β−D−グルコシル(1→6)]−β−D−グルコシドを生成させる工程(ii)を含む請求項6に記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
    (P2−11)配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (P2−12)配列番号5のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
    (P2−13)配列番号5のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
    (P2−14)配列番号6のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
    (P2−15)配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (P2−16)配列番号7のアミノ酸配列に1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
    (P2−17)配列番号7のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
    (P2−18)配列番号8のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→6結合のグルコース転移活性を有するタンパク質
    Figure 2018061476
  8. 前記式(3)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシド及びUDP−グルコースに前記タンパク質(P1)を作用させ、下記式(5)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O−[β−D−グルコシル(1→2)]−β−D−グルコシドを生成させる工程をさらに含む請求項6に記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
    Figure 2018061476
  9. 前記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体は、下記式(6)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→6)−β−D−グルコシドであり、
    前記UDP−糖が、UDP−グルコースであり、
    前記セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→6)−β−D−グルコシドの1つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移により、下記式(4)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O−[β−D−グルコシル(1→6)]−β−D−グルコシドを生成させる請求項1〜5のいずれかに記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
    Figure 2018061476
    Figure 2018061476
  10. 前記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体は、下記式(3)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドであり、
    前記UDP−糖が、UDP−グルコースであり、
    前記セサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−β−D−グルコシドの2つ目のグルコース残基へのβ−1→2結合のグルコース転移により、下記式(5)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O−[β−D−グルコシル(1→2)]−β−D−グルコシドを生成させる請求項1〜5のいずれかに記載のセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
    Figure 2018061476
    Figure 2018061476
  11. 下記式(5)に示されるセサミノール2’−O−β−D−グルコシル(1→2)−O−[β−D−グルコシル(1→2)]−β−D−グルコシド。
    Figure 2018061476
  12. 配列番号2のアミノ酸配列からなることを特徴とするタンパク質。
  13. 配列番号4のヌクレオチド配列を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
  14. 請求項13に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする発現ベクター。
  15. 発現ベクターが導入された非ヒト宿主である形質転換体であって、
    前記発現ベクターは、下記ポリヌクレオチド(N1−1)〜(N1−4)及びポリヌクレオチド(N2−1)〜(N2−4)からなる群より選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むことを特徴とする形質転換体。
    (N1−1)配列番号3又は4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド
    (N1−2)配列番号3又は4のヌクレオチド配列に1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    (N1−3)配列番号3又は4のヌクレオチド配列に対して、90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    (N1−4)配列番号3又は4のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→2結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    (N2−1)配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド
    (N2−2)配列番号6のヌクレオチド配列に1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    (N2−3)配列番号6のヌクレオチド配列に対して、90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    (N2−4)配列番号6のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなり、かつ、下記一般式(1)で示されるセサミノール1糖又は2糖配糖体の1つ目のヘキソース残基へのβ−1→6結合の糖転移活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    Figure 2018061476
    [一般式(1)中、(S1)は、ヘキソース残基を表し、nは1又は2の数を表す。セサミノールと結合している1つ目のヘキソース残基(S1)は、1位の炭素を介してセサミノールと結合している。nが2の場合、2つのヘキソース残基(S1)は同一であってもよく、異なっていてもよく、これらはβ−1→2結合、又は、β−1→6結合している。]
  16. 前記非ヒト宿主が、植物体又はその部分である、請求項15に記載の形質転換体。
  17. 前記非ヒト宿主が、ゴマの植物体又はその部分である、請求項15又は16に記載の形質転換体。
  18. 請求項15〜17のいずれかに記載の形質転換体を栽培又は培養する工程を含むことを特徴とするセサミノール2糖又は3糖配糖体の製造方法。
  19. 配列番号3、4又は6のヌクレオチド配列の少なくとも一部の配列を含むポリヌクレオチドを使用して、セサミノール2糖又は3糖配糖体合成能が異なる植物体を選別することを特徴とする植物体の選別方法。
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