JP2018060758A - 蓄電装置用外装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】デガッシングヒートシール後の絶縁性を十分維持することができる蓄電装置用外装材を提供すること。【解決手段】少なくとも基材層、一方又は両方の面に腐食防止処理層が設けられた金属箔層、及びシーラント層をこの順で備える蓄電装置用外装材であって、シーラント層が、2.0×105〜1.0×106の重量平均分子量を有する超高分子量ポリオレフィンを含む、蓄電装置用外装材。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電装置用外装材に関する。
蓄電装置としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが知られている。携帯機器の小型化又は設置スペースの制限等により蓄電装置のさらなる小型化が求められており、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池に用いられる外装材としては、従来は金属製の缶が用いられていたが、軽量で、放熱性が高く、低コストで作製できる多層フィルム(例えば、基材層/金属箔層/シーラント層のような構成のフィルム)が用いられるようになっている。
上記多層フィルムを外装材に用いるリチウムイオン電池では、内部への水分の浸入を防止するため、金属箔層としてアルミニウム箔層を含む外装材により電池内容物を覆う構成が採用されている。このような構成を採用したリチウムイオン電池は、アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池と呼ばれている。リチウムイオン電池の電池内容物には、正極、負極及びセパレータとともに、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの浸透力を有する非プロトン性の溶媒に、電解質としてリチウム塩を溶解した電解液、もしくはその電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層が含まれる。
アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池は、例えば、外装材の一部に冷間成型によって凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収容し、外装材の残りの部分を折り返して縁部分をヒートシールで封止したエンボスタイプのリチウムイオン電池が知られている。このようなリチウムイオン電池を構成する外装材には、ヒートシールによって安定した密封性を示すとともに、電池内容物の電解液によりアルミニウム箔層とシーラント層間のラミネート強度の低下が生じにくいことが求められている。
また、蓄電装置の小型化に伴い、蓄電装置用外装材の基材層、金属箔層及びシーラント層の薄膜化が進んでいるところ、ここではシーラント層が薄膜化されることによる絶縁性の低下が問題となっている。
絶縁性の低下は種々の現象によって引き起こされ得る。例えば、ヒートシール等の熱の影響によるタブリードと金属箔層の接触、成型・折り曲げ等によるシーラント層へのクラックの発生、ヒートシール時に本来融着すべきではない部分が融着してしまうこと(以下「過着」と呼ぶ。)、デガッシングヒートシールによるシーラント層の破壊、が挙げられる。
そこで、例えば特許文献1には、接着性ポリメチルペンテン層を含むヒートシール層(シーラント層)を備えることにより、ヒートシールの熱と圧力によって外装体のバリア層とタブとがショートすることなく安定して密封可能な外装材が提案されている。
特開2002−245983号公報
上記特許文献1に記載されたような従来の外装材では、タブリードと金属箔層が接触することによる絶縁性の低下への対策がなされている。しかしながら、本発明者らのこれまでの検証により絶縁性の改善に対して最も対策が重要であると考える、過着やデガッシングヒートシールによるシーラント層の破壊に対する検討はなされていない。
過着による絶縁性の低下は、過着部が不均一な結晶状態となっているため応力が掛かったときにクラックが形成されることに起因していると本発明者らは推察している。また、デガッシングヒートシールでは、前述した電解液を噛み込みながらヒートシールするため、電解液が発泡し、シーラント層が破壊されることに起因していると推察される。これらにより発生したクラックや破壊されたシーラント層部分から、電解液が入り込み金属層に接触することで、絶縁性が低下すると考えられる。
さらに、前述したヒートシール時の過着によるクラックの形成及びデガッシングヒートシールによるシーラント層の破壊に起因して発生する絶縁性の低下は、シーラント層の薄膜化の影響を受けやすいため、絶縁性改善の中でも今後特に対策が必要となる。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、シーラント層が薄膜化した場合でも、ヒートシール、成型及びデガッシングヒートシール後の絶縁性を十分維持することができる蓄電装置用外装材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも基材層、一方又は両方の面に腐食防止処理層が設けられた金属箔層、及びシーラント層をこの順で備える蓄電装置用外装材であって、上記シーラント層が、2.0×10〜1.0×10の重量平均分子量を有する超高分子量ポリオレフィンを含む、蓄電装置用外装材を提供する。
上記構成を有する蓄電装置用外装材によれば、シーラント層が薄膜化した場合でも、デガッシングヒートシール後の絶縁性を十分維持することができる。また、上記蓄電装置用外装材によれば、シール時の熱や成型時の応力によりシーラント層が変形された場合であっても絶縁性を十分維持することができる。上記蓄電装置用外装材がこのような効果を奏する理由を本発明者らは以下のように推測している。蓄電装置用外装材のシーラント層は、ヒートシールやデガッシングヒートシール、成型などの蓄電装置作製工程において、電解液膨潤や結晶化、延伸など体積変化を伴う変形を何度も経ることにより、欠陥を生じやすい。特に、シーラント層の薄膜化により、電解液を噛み込んだ状態でヒートシールを行うデガッシングヒートシールにおいて、電解液の揮発(発泡)によると考えられるシーラント層の変形が大きくなり、絶縁性が低下しやすい。当該変形により絶縁性が低下する理由としては、例えば、発泡により金属箔層近傍が露出しやすく、露出した部分に電解液が接触することが考えられる。また、タブシーラント及び金属タブなど複数の材料を一度にヒートシールするトップシールでも、クラックに起因すると考えられる絶縁性の低下が生じやすい。トップシールでクラックが発生する原因としては、例えば、ヒートシールする際、シーラント層の流動性が高いと膜厚が不均一になりやすく、徐冷の際に結晶化が不均一になりやすい。その結果、密度が低下した部分に応力が集中しクラックが発生すると考えられる。また、ヒートシール時に発生する過着(過剰シール部分)に起因してシーラント層にクラックが形成され、当該クラックに電解液が浸透して絶縁性の低下を生じる場合もある。過着は、シーラント層の本来シールすべきでない箇所がヒートシール時の熱により融着してしまう現象である。シーラント層に過着が生じた場合、ヒートシール後の徐冷により結晶化度が変化して過着部分が低密度化し、この低密度部分に応力が加わることでクラックが形成され、絶縁性の低下を生じやすくなる。さらに、冷間成型時の応力などによって微細なクラックがシーラント層中に発生しやすくなり、電解液がクラックに浸透して、成型後に絶縁性の低下を生じやすくなる。これに対して、上記超高分子量ポリオレフィンは、2.0×10以上の高い重量平均分子量を有し、高い溶融張力、耐溶剤性及び絶縁破壊強さを有することから、シーラント層に上記超高分子量ポリオレフィンを含む上記蓄電装置用外装材によれば、電解液によるシーラント層の膨潤や、ヒートシール時の熱や応力によるシーラント層の流動に伴う欠陥(例えば、シール時の熱でシーラント樹脂が流動し、シール部分の膜厚分布が不均一となり、その結果シール後の徐冷時に結晶化状態が異なることで発生する欠陥)や、ヒートシール時の過着に伴う欠陥や、デガッシングヒートシール時の発泡によるシーラント層の変形を抑制することができ、絶縁性を十分維持することが可能となると考えられる。また、上記超高分子量ポリオレフィンは、1.0×10以下の重量平均分子量を有することから、樹脂の分散不良を抑制し、フィッシュアイの数を小さく抑えつつシーラント層を形成することができる。
上記蓄電装置用外装材において、上記シーラント層中の上記超高分子量ポリオレフィンの含有量が、上記シーラント層の総質量を基準として、5.0〜50.0質量%であることが好ましい。
上記超高分子量ポリオレフィンの含有量が5.0質量%以上であると、絶縁性の低下をさらに抑制することができる。また、上記超高分子量ポリオレフィンの含有量が50.0質量%以下であると、電解液特性や成型白化耐性、デガスシール強度などの必要特性を満たすための改質剤をさらに添加しやすくなるとともに、成膜性を維持しつつ高速加工を一層しやすくなる。
上記蓄電装置用外装材において、上記シーラント層が複数の層からなり、そのうちの少なくとも一層が上記超高分子量ポリオレフィンを含む層であることができる。
シーラント層が複数の層からなる場合、接着機能、変形抑制機能、熱封止機能、膨潤抑制機能のように、各層にいずれかの機能を付与することができるため、外装材としての必要特性を総合的に向上させやすい。また、シーラント層中の、超高分子量ポリオレフィンを含む層(以下、「超高分子量ポリオレフィン含有層」ともいう)の数及び位置により、シーラント層の変形度合の制御が容易となり、絶縁性低下をさらに抑制できる。具体的には、例えば、シーラント層が、超高分子量ポリオレフィンを含む層と、超高分子量ポリオレフィンを含まない層とから構成される場合、超高分子量ポリオレフィンを含まない層側が変形したとしても、超高分子量ポリオレフィンを含む層がその変形を抑制することができ、必要特性の維持と絶縁性向上を両立できると考えられる。また、超高分子量ポリオレフィン含有層同士が接触している場合、シーラント層全体で変形を抑制でき、絶縁性をより向上させることができると考えられる。したがって、これらの層構成を調整することにより、シーラント層の変形度合の制御が容易となり、絶縁性低下をさらに抑制できると考えられる。
上記蓄電装置用外装材において、上記シーラント層が複数の層からなり、そのうちの上記金属箔層に最も近い層(以下、「金属箔側層」ともいう)が上記超高分子量ポリオレフィンを含む層であることが好ましい。
シーラント層の金属箔側層が超高分子量ポリオレフィン含有層であると、必要特性を維持しつつ、絶縁性低下を抑制できるとともに、絶縁性をより長期にわたり良好に保つことができる。この理由は、シーラント層の金属箔側層以外で必要特性を満たしつつ、金属箔側層にて、電解液による膨潤及び発泡によるシーラント層の破壊が抑制されるとともに、金属箔層近傍が露出し電解液と接触することを長期にわたり抑制できるためと考えられる。
シーラント層の金属箔側層が超高分子量ポリオレフィン含有層である場合、当該金属箔側層は、酸変性ポリプロピレンと、アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体と、をさらに含む層であってもよい。これにより、電解液が関与する場合のラミネート強度の低下及び絶縁性の低下が抑制されやすくなる。
超高分子量ポリオレフィンは超高分子量ポリプロピレンを含有することが好ましく、当該超高分子量ポリプロピレンは超高分子量ランダムポリプロピレンを含有することがより好ましい。超高分子量ポリオレフィンを配合したシーラント層は、超高分子量ポリオレフィンの分子鎖の絡み合いの効果により、加熱時などのシーラント層が軟化した際にシーラント層自体の凝集力を上げることが可能のため、袋状の外装材が蓄電装置の発熱によって破袋することを防止しやすくすることが可能である。そして、超高分子量ポリオレフィンが、超高分子量ポリエチレンよりも融点が高く耐熱性が高い超高分子量ポリプロピレンであることで、シーラント層自体の耐熱性が向上し、袋状の外装材が蓄電装置の発熱によって破袋することをさらに防止しやすくなる。また、超高分子量ポリオレフィンが超高分子量ランダムポリプロピレンを含有することにより、外装材の破袋を防止しやすくなることに加えて、電池作製の効率を上げるために、低熱量シール(低温・短時間)することができる。シーラント層の主成分としてランダムポリプロピレンを用い、且つ、超高分子量ポリオレフィンとして超高分子量ランダムポリプロピレンを含有する場合、成型により外装材にクラックが発生することを抑制しやすくなり、外装材に耐白化性を付与しやすくなる。したがって、絶縁性と上記各種必要特性とを両立しやすくなる。
上記蓄電装置用外装材は、上記金属箔層と上記シーラント層との間に接着剤層をさらに備え、接着剤層が、酸変性ポリオレフィンと、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物及びカルボジイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硬化剤と、を含むものであってもよい。このような蓄電装置用外装材によれば、電解液が関与する場合のラミネート強度の低下及び絶縁性の低下がさらに抑制される。
上記蓄電装置用外装材において、上記腐食防止処理層が、酸化セリウムと、該酸化セリウム100質量部に対して1〜100質量部のリン酸又はリン酸塩と、カチオン性ポリマーと、を含むものであってもよい。また、上記蓄電装置用外装材において、上記腐食防止処理層が、上記金属箔層に化成処理を施して形成されたものであってもよく、上記金属箔層に化成処理を施して形成されており、且つ、カチオン性ポリマーを含むものであってもよい。このような蓄電装置用外装材によれば、電解液が関与する場合のラミネート強度の低下及び絶縁性の低下がさらに抑制される。
本発明によれば、シーラント層が薄膜化した場合でも、ヒートシール、成型及びデガッシングヒートシール後の絶縁性を十分維持することができる蓄電装置用外装材を提供することができる。本発明の蓄電装置用外装材は、薄膜構成、例えば、金属箔層よりも内層側の総厚が35μm以下の構成であっても、ヒートシール、成型及びデガッシングヒートシール後の絶縁性を十分維持することができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電装置用外装材の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る蓄電装置用外装材の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る蓄電装置用外装材の概略断面図である。 実施例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。 実施例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。 実施例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。 実施例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。 実施例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の蓄電装置用外装材は、少なくとも基材層、一方又は両方の面に腐食防止処理層が設けられた金属箔層、及びシーラント層をこの順に備え、シーラント層が、2.0×10〜1.0×10の重量平均分子量を有する超高分子量ポリオレフィンを含む。また、本実施形態の蓄電装置用外装材は、一方又は両方の面に腐食防止処理層が設けられた金属箔層とシーラント層との間に接着剤層を備えていてもよい。以下、本実施形態の蓄電装置用外装材についていくつかの態様を例示しつつ説明する。
[蓄電装置用外装材]
図1は、本実施形態の蓄電装置用外装材の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示すように、本実施形態の外装材(蓄電装置用外装材)10は、基材層11と、該基材層11の一方の面上に形成された接着剤層12(第一の接着剤層12ということがある)と、該第一の接着剤層12の基材層11とは反対の面上に形成された金属箔層13と、該金属箔層13の第一の接着剤層12とは反対の面上に形成された腐食防止処理層14と、該腐食防止処理層14の金属箔層13とは反対の面上に形成された接着剤層17(第二の接着剤層17ということがある)と、該第二の接着剤層17の腐食防止処理層14とは反対の面上に形成されたシーラント層16と、が順次積層された積層体である。外装材10において、基材層11が最外層、シーラント層16が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を蓄電装置の外部側、シーラント層16を蓄電装置の内部側に向けて使用される。以下、各層について説明する。
<基材層11>
基材層11は、蓄電装置製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通の際に起こりうるピンホール対策という目的で設けるものであり、絶縁性を有する樹脂層を用いるのが好ましい。そのような樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムを、単層又は2層以上積層した多層フィルムとして使用することができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとナイロン(Ny)フィルムとを接着性樹脂を用いて共押出後に、延伸処理を施した共押し出し多層延伸フィルムを用いることも可能である。
基材層11の厚さは、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であることにより、蓄電装置用外装材10の耐ピンホール性及び絶縁性を向上できる傾向がある。一方、基材層11の厚さが40μm以下であることにより、蓄電装置用外装材10の深絞り成型性を十分に維持できる傾向がある。
基材層11は後述する金属箔層13上に直接塗布することにより設けられてもよい。この場合、後述する第一の接着剤層12は不要である。塗布による基材層の形成方法としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂塗液を塗布し、紫外線照射、高温加熱、エージング(養生)処理等により硬化する方法を採用できる。上記樹脂塗液がウレタン樹脂の場合、具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等を用いることができる。塗布方法は特に限定されず、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコート等、各種方法を採用できる。
<第一の接着剤層12>
第一の接着剤層12は、基材層11と金属箔層13とを接着する層である。第一の接着剤層12を構成する材料としては、具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。
上述した各種ポリオールは、外装材に求められる機能や性能に応じて、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
さらに、接着促進を目的として、上述したポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合してもよい。
また、接着剤に求められる性能に応じて、上述したポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
第一の接着剤層12の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
<金属箔層13>
金属箔層13は、水分が蓄電装置の内部に浸入することを防止する水蒸気バリア性を有する。また、金属箔層13は、深絞り成型をするために延展性を有する。金属箔層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の各種金属箔を使用することができ、質量(比重)、防湿性、加工性及びコストの面から、アルミニウム箔が好ましい。
アルミニウム箔としては、所望の成型時の延展性を付与できる点から、特に焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔を好ましく用いることができるが、さらなる耐ピンホール性、及び成型時の延展性を付与させる目的で、鉄を含むアルミニウム箔を用いるのがより好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量は、アルミニウム箔100質量%中、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた耐ピンホール性及び延展性を有する外装材10を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた外装材10を得ることができる。
金属箔層13の厚さは、特に限定されるものではないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9〜200μmとすることが好ましく、15〜100μmとすることがより好ましい。
金属箔層13にアルミニウム箔を用いる場合、アルミニウム箔としては、未処理のアルミニウム箔を用いてもよいが、耐電解液性を付与する点で脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。
なお、アルミニウム箔に脱脂処理する場合は、アルミニウム箔の片面のみに脱脂処理を施してもよく、両面に脱脂処理を施してもよい。
<腐食防止処理層14>
腐食防止処理層14は、電解液、又は、電解液と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層13の腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層14としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせにより形成される。
脱脂処理としては、酸脱脂あるいはアルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸の単独、又はこれらの混合液を使用する方法などが挙げられる。また、酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を上記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、特に金属箔層13にアルミニウム箔を用いた場合に、アルミニウムの脱脂効果が得られるだけでなく、不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成させることができ、耐フッ酸性という点で有効である。アルカリ脱脂としては、水酸化ナトリウムなどを使用する方法が挙げられる。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。
陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、浸漬型、塗布型が挙げられる。浸漬型の化成処理としては、例えばクロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理が挙げられる。一方、塗布型の化成処理としては、腐食防止性能を有するコーティング剤を金属箔層13上に塗布する方法が挙げられる。
これら腐食防止処理のうち、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理のいずれかで腐食防止処理層の少なくとも一部を形成する場合は、事前に上述した脱脂処理を行うことが好ましい。なお、金属箔層13として焼鈍工程を通した金属箔など脱脂処理済みの金属箔を用いる場合は、腐食防止処理層14の形成において改めて脱脂処理する必要なはい。
塗布型の化成処理に用いられるコーティング剤は、好ましくは3価クロムを含有する。また、コーティング剤には、後述するカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーが含まれていてもよい。
また、上記処理のうち、特に熱水変成処理、陽極酸化処理では、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させる。そのため、アルミニウム箔を用いた金属箔層13から腐食防止処理層14まで共連続構造を形成した形態になるので、上記処理は化成処理の定義に包含される。一方、後述するように化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14を形成することも可能である。この方法としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、且つ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。
上記希土類元素酸化物のゾルとしては、例えば、水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系などの各種溶媒を用いたゾルが挙げられる。なかでも、水系のゾルが好ましい。
上記希土類元素酸化物のゾルには、通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸又はその塩、酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸が分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸は、外装材10において、(1)ゾルの分散安定化、(2)リン酸のアルミキレート能力を利用した金属箔層13との密着性の向上、(3)フッ酸の影響で溶出したアルミニウムイオンを捕獲(不動態形成)することよる電解液耐性の付与、(4)低温でもリン酸の脱水縮合を起こしやすいことによる腐食防止処理層14(酸化物層)の凝集力の向上、などが期待される。
上記リン酸又はその塩としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、又はこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。なかでも、外装材10における機能発現には、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、又はこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が好ましい。また、上記希土類元素酸化物のゾルを用いて、各種コーティング法により希土類元素酸化物からなる腐食防止処理層14を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると、低温での脱水縮合性に優れる点から、ナトリウム塩がより好ましい。リン酸塩としては、水溶性の塩が好ましい。
希土類元素酸化物に対するリン酸(あるいはその塩)の配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。上記配合比が希土類元素酸化物100質量部に対して1質量部以上であれば、希土類元素酸化物ゾルがより安定になり、外装材10の機能がより良好になる。上記配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して5質量部以上がより好ましい。また、上記配合比が希土類元素酸化物100質量部に対して100質量部以下であれば、希土類元素酸化物ゾルの機能が高まり、電解液の浸食を防止する性能に優れる。上記配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
上記希土類元素酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層14は、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低くなるおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層14は、凝集力を補うために、下記アニオン性ポリマー、又はカチオン性ポリマーにより複合化されていることが好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、あるいはポリ(メタ)アクリル酸を主成分として共重合した共重合体が挙げられる。この共重合体の共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基など。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。
これらアニオン性ポリマーは、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層14(酸化物層)の安定性を向上させる役割を果たす。これは、硬くて脆い酸化物層をアクリル系樹脂成分で保護する効果、及び、希土類元素酸化物ゾルに含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミ(特にナトリウムイオン)を捕捉する(カチオンキャッチャー)効果によって達成される。つまり、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層14中に、特にナトリウムなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、このイオンを含む場所を起点にして腐食防止処理層14が劣化しやすくなる。そのため、アニオン性ポリマーによって希土類元素酸化物ゾルに含まれるナトリウムイオンなどを固定化することで、腐食防止処理層14の耐性が向上する。
アニオン性ポリマーと希土類元素酸化物ゾルを組み合わせた腐食防止処理層14は、アルミニウム箔にクロメート処理を施して形成した腐食防止処理層14と同等の腐食防止性能を有する。アニオン性ポリマーは、本質的に水溶性であるポリアニオン性ポリマーが架橋された構造であることが好ましい。この構造の形成に用いる架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシ基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類;あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類;あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化したブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸などのジカルボン酸と、エピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いてもよい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物、あるいはイソプロペニルオキサゾリンのような重合性モノマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどのアクリル系モノマーを共重合させたものが挙げられる。
また、アニオン性ポリマーとシランカップリング剤とを反応させ、より具体的には、アニオン性ポリマーのカルボキシ基とシランカップリング剤の官能基とを選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合としてもよい。この場合、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどが使用できる。なかでも、特にアニオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮すると、エポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好ましい。
アニオン性ポリマーに対するこれらの架橋剤の比率は、アニオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して1質量部以上であれば、架橋構造が十分に形成されやすい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して50質量部以下であれば、塗液のポットライフが向上する。
アニオン性ポリマーを架橋する方法は、上記架橋剤に限らず、チタニウム、ジルコニウム化合物を用いてイオン架橋を形成する方法などであってもよい。
カチオン性ポリマーとしては、アミンを有するポリマーが挙げられ、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノールなどのカチオン性のポリマーが挙げられる。ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体などが挙げられる。これらのアミンは、フリーのアミンであってもよく、酢酸あるいは塩酸による安定化物であってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化硫黄などを使用してもよい。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与したタイプも使用でき、また、アミノフェノールも使用できる。特に、アリルアミンあるいはその誘導体が好ましい。
カチオン性ポリマーは、カルボキシ基やグリシジル基などのアミン/イミンと反応が可能な官能基を有する架橋剤と併用することが好ましい。カチオン性ポリマーと併用する架橋剤としては、ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーも使用でき、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入した共重合体、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などのカルボキシ基を有する多糖類などが挙げられる。
本実施形態では、カチオン性ポリマーも腐食防止処理層14を構成する一構成要素として記載している。その理由は、蓄電装置用外装材で要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与するべく様々な化合物を用い鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体も、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることが判明したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基で補足する(アニオンキャッチャー)ことで、アルミニウム箔が損傷することを抑制しているためであると推測される。
カチオン性ポリマーは、接着性の向上という点でより好ましい材料である。また、カチオン性ポリマーも、上記アニオン性ポリマーと同様に、水溶性であることから、架橋構造を形成させて耐水性を付与することがより好ましい。カチオン性ポリマーに架橋構造を形成する際の架橋剤は、アニオン性ポリマーの項で説明した架橋剤を使用できる。腐食防止処理層14として希土類元素酸化物ゾルを用いた場合、その保護層として上記アニオン性ポリマーを用いる代わりに、カチオン性ポリマーを用いてもよい。
クロメート処理に代表される化成処理による腐食防止処理層は、アルミニウム箔との傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いてアルミニウム箔に処理を施し、次いでクロムやノンクロム系の化合物を作用させて化成処理層をアルミニウム箔に形成させるものである。しかしながら、上記化成処理は、化成処理剤に酸を用いていることから、作業環境の悪化やコーティング装置の腐食を伴う。一方、前述したコーティングタイプの腐食防止処理層14は、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、アルミニウム箔を用いた金属箔層13に対して傾斜構造を形成させる必要がない。そのため、コーティング剤の性状は、酸性、アルカリ性、中性などの制約を受けることがなく、良好な作業環境を実現できる。加えて、クロム化合物を用いるクロメート処理は、環境衛生上、代替案が求められている点からも、コーティングタイプの腐食防止処理層14が好ましい。
以上の内容から、上述したコーティングタイプの腐食防止処理の組み合わせの事例として、(1)希土類元素酸化物ゾルのみ、(2)アニオン性ポリマーのみ、(3)カチオン性ポリマーのみ、(4)希土類元素酸化物ゾル+アニオン性ポリマー(積層複合化)、(5)希土類元素酸化物ゾル+カチオン性ポリマー(積層複合化)、(6)(希土類元素酸化物ゾル+アニオン性ポリマー:積層複合化)/カチオン性ポリマー(多層化)、(7)(希土類元素酸化物ゾル+カチオン性ポリマー:積層複合化)/アニオン性ポリマー(多層化)、等が挙げられる。中でも(1)及び(4)〜(7)が好ましく、(4)〜(7)が特に好ましい。ただし、本実施形態は、上記組み合わせに限られるわけではない。例えば腐食防止処理の選択の事例として、カチオン性ポリマーは、後述する第二の接着剤層又はシーラント層の説明で挙げる変性ポリオレフィン樹脂との接着性が良好であるという点でも非常に好ましい材料であることから、第二の接着剤層又はシーラント層が変性ポリオレフィン樹脂で構成される場合においては、第二の接着剤層又はシーラント層に接する面にカチオン性ポリマーを設ける(例えば、構成(5)及び(6)などの構成)といった設計が可能である。
また、腐食防止処理層14は、前述した層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノールなど)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いて形成してもよい。この処理剤を用いれば、腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。また、塗液の安定性を考慮する必要があるものの、希土類元素酸化物ゾルとポリカチオン性ポリマーあるいはポリアニオン性ポリマーとを事前に一液化したコーティング剤を使用して腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。
腐食防止処理層14の単位面積当たりの質量は、多層構造、単層構造いずれであっても、0.005〜0.200g/mが好ましく、0.010〜0.100g/mがより好ましい。上記単位面積当たりの質量が0.005g/m以上であれば、金属箔層13に腐食防止機能を付与しやすい。また、上記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能はあまり変らない。一方、希土類元素酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不十分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、腐食防止処理層14の厚みについては、その比重から換算できる。
腐食防止処理層14は、電解液ラミネート強度の低下、ヒートシール後、成型後及びデガッシングヒートシール後の絶縁性の低下がさらに抑制される観点から、例えば、酸化セリウムと、該酸化セリウム100質量部に対して1〜100質量部のリン酸又はリン酸塩と、カチオン性ポリマーと、を含む態様であってもよく、金属箔層13に化成処理を施して形成されている態様であってもよく、金属箔層13に化成処理を施して形成されており、且つ、カチオン性ポリマーを含む態様であってもよい。
<第二の接着剤層17>
第二の接着剤層17は、腐食防止処理層14が形成された金属箔層13とシーラント層16とを接着する層である。第二の接着剤層17には、金属箔層とシーラント層とを接着するための一般的な接着剤を用いることができる。
腐食防止処理層14が上述したカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む層を有する場合、第二の接着剤層17は、腐食防止処理層14に含まれる上記ポリマーと反応性を有する化合物(以下、「反応性化合物」とも言う)を含む層であることが好ましい。
例えば、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層17はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。腐食防止処理層14がアニオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層17はアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。また、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層17はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物とを含む。ただし、第二の接着剤層17は必ずしも上記2種類の化合物を含む必要はなく、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの両方と反応性を有する化合物を含んでいてもよい。ここで、「反応性を有する」とは、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーと共有結合を形成することである。また、第二の接着剤層17は、酸変性ポリオレフィン樹脂をさらに含んでいてもよい。
カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
これら多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示した多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、カチオン性ポリマーとの反応性が高く、架橋構造を形成しやすい点で、多官能イソシアネート化合物が好ましい。
アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。これらグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示したグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性ポリマーとの反応性が高い点で、グリシジル化合物が好ましい。
第二の接着剤層17が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合、反応性化合物は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基とも反応性を有する(すなわち、酸性基と共有結合を形成する)ことが好ましい。これにより、腐食防止処理層14との接着性がより高まる。加えて、酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋構造となり、外装材20の耐溶剤性がより向上する。
反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基に対し、等量から10倍等量であることが好ましい。等量以上であれば、反応性化合物が酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基と十分に反応する。一方、10倍等量を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂との架橋反応としては十分飽和に達しているため、未反応物が存在し、各種性能の低下が懸念される。したがって、例えば、反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して5〜20質量部(固形分比)であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられ、カルボキシ基が特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、第一のシーラント層16aに用いる変性ポリオレフィン樹脂(a)として後述するものと同様のものを用いることができる。
第二の接着剤層17には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
第二の接着剤層17は、電解液が関与する場合のラミネート強度の低下を抑制する観点及び絶縁性の低下をさらに抑制する観点から、例えば、酸変性ポリオレフィンと、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びカルボジイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硬化剤と、を含むものであってもよい。なお、カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどが挙げられる。
また、第二の接着剤層17を形成する接着剤として、例えば、水添ダイマー脂肪酸及びジオールからなるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとを配合したポリウレタン系接着剤を用いることもできる。
第二の接着剤層17の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、及び加工性等を得る観点から、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
<シーラント層16>
シーラント層16は、外装材10にヒートシールによる封止性を付与する層である。シーラント層16は超高分子量ポリオレフィンを含んで構成されるものが挙げられる。
図1のようにシーラント層が単層である場合、シーラント層は、超高分子量ポリオレフィンが含まれる超高分子量ポリオレフィン含有層である。
超高分子量ポリオレフィンの重量平均分子量は、2.0×10〜1.0×10であり、3.0×10〜1.0×10であることが好ましい。超高分子量ポリオレフィンが2.0×10以上の重量平均分子量を有することにより、電解液によるシーラント層の膨潤や、ヒートシール時の熱や応力によるシーラント層の流動に伴う欠陥(例えば、シール時の熱でシーラント樹脂が流動し、シール部分の膜厚分布が不均一となり、その結果シール後の徐冷時に結晶化状態が異なることで発生する欠陥)や、デガッシングヒートシール時の発泡によるシーラント層の変形を抑制することができ、絶縁性を十分維持することが可能となる。また、超高分子量ポリオレフィンは1.0×10以下の重量平均分子量を有することにより、樹脂の分散不良を抑制し、フィッシュアイの数を小さく抑えつつシーラント層を形成することができる。超高分子量ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)及び後述の分子量分布(Mw/Mn)は、高温ゲールパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)装置を用いて、例えばo−ジクロロベンゼンやトリクロロベンゼンと混合した超高分子量ポリオレフィンを温度135〜170℃としたカラム内に通すことにより測定することができ、標準ポリスチレンや標準ポリエチレンを用いた検量線により換算することで求めることができる。
超高分子量ポリオレフィンの分子量分布(Mw/Mn)は、6〜10であることが好ましく、8〜10であることがより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が6以上であることにより、超高分子量ポリオレフィンとそれ以外の成分との相溶性が向上する傾向がある。分子量分布(Mw/Mn)が10以下であることにより、絶縁性をさらに維持しやすくなる。
超高分子量ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの超高分子量線状ポリオレフィン、及び、ポリノルボルネンなどの超高分子環状ポリオレフィンが挙げられる。超高分子量ポリオレフィンは超高分子量線状ポリオレフィンであることが好ましい。超高分子量線状ポリオレフィンは直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、超高分子量ポリオレフィンは、単独重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
超高分子量ポリオレフィンは超高分子量ポリプロピレンを含有することが好ましい。超高分子量ポリオレフィンが超高分子量ポリプロピレンを含有することにより、袋状の外装材が蓄電装置の発熱によって破袋することを防止しやすくなる。
超高分子量ポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、エチレン−プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、エチレン−プロピレンランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、並びに、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体(プロピレン系共重合体)が挙げられる。
上記プロピレン系共重合体を構成する単量体としてのα−オレフィンの具体例は、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等を含む。
超高分子量ポリオレフィンは超高分子量ランダムポリプロピレンを含有することがより好ましい。超高分子量ポリオレフィンが超高分子量ランダムポリプロピレンを含有することにより、熱による外装材の破袋を防止しやすくなることに加えて、電池作製の効率を上げるために、低熱量シール(低温・短時間)することができる。シーラント層の主成分としてランダムポリプロピレンを用い、且つ、超高分子量ポリオレフィンとして超高分子量ランダムポリプロピレンを含有する場合、成型により外装材にクラックが発生することを抑制しやすくなり、外装材に耐白化性を付与しやすくなる。したがって、絶縁性と上記各種必要特性とを両立しやすくなる。
シーラント層16としての超高分子量ポリオレフィン含有層は、上記超高分子量ポリオレフィン以外の成分を含んでいてもよい。シーラント層16としての超高分子量ポリオレフィン含有層は、例えば、ベースとなる樹脂組成物(以下、「ベース樹脂組成物」ともいう)と、超高分子量ポリオレフィンとから構成されていてもよい。ここで、上記ベース樹脂組成物は、シーラント層16の全構成成分から超高分子量ポリオレフィンを除いた成分をいう。このとき、上記超高分子量ポリオレフィンとベース樹脂組成物は、シーラント層の発泡を抑制する効果をより大きく発揮させるために、相溶するように組み合わせることが好ましい。例えば、超高分子量ポリオレフィンが超高分子量ポリプロピレンである場合、ベース樹脂成分はポリプロピレン系であることが好ましく、超高分子量ポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンである場合、ベース樹脂成分はポリエチレン系であることが好ましい。
シーラント層16が、「ベース樹脂組成物」を含有する場合、「ベース樹脂組成物」の含有量は、シーラント層16の全質量を基準として、例えば、40.0〜97.0質量%であってもよく、50.0〜95.0質量%であってもよく、70.0〜85.0質量%であってもよい。また、超高分子量ポリオレフィンの含有量は、シーラント層16の全質量を基準として、例えば、3.0〜60.0質量%であることが好ましく、5.0〜50.0質量%であることがより好ましく、10.0〜35.0質量%であることがさらに好ましい。
超高分子量ポリオレフィンの含有量が3.0質量%以上であると、絶縁性の低下をより抑制することができる。また、超高分子量ポリオレフィンの含有量が60.0質量%以下であると、必要特性を満たすための改質剤を添加しやすくなるとともに、成膜性を維持しつつ高速加工をしやすくなる。
「ベース樹脂組成物」(上記超高分子量ポリオレフィンを除く)としては、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが挙げられる。「ベース樹脂組成物」としては、例えば、(A)プロピレン−エチレンランダム共重合体を60〜95質量%と、(B)ブテン−1をコモノマーとする融点150℃以下のポリオレフィン系エラストマーを5〜40質量%と、を含有する樹脂組成物(以下、場合により「樹脂組成物α」という)が挙げられる。このような樹脂組成物は、特に超高分子量ポリオレフィンが超高分子量ポリプロピレンである場合に、当該超高分子量ポリプロピレンとの相溶性に優れることから、ラミネート強度、シール強度、成型白化耐性等の諸特性がさらに向上すると考えられる。すなわち、シーラント層16は、ベース樹脂組成物としての上記樹脂組成物αと、超高分子量ポリオレフィン(好ましくは、超高分子量ポリプロピレン)とから構成されていてもよい。この場合、樹脂組成物αの含有量は、シーラント層16の全質量を基準として、例えば、40.0〜97.0質量%であってもよく、50.0〜95.0質量%であってもよい。また、超高分子量ポリオレフィンの含有量は、シーラント層16の全質量を基準として、例えば、3.0〜60.0質量%であってもよく、5.0〜50.0質量%であってもよい。
[樹脂組成物α(上記超高分子量ポリオレフィンは除く)]
樹脂組成物αは、上述のとおり、(A)プロピレン−エチレンランダム共重合体を60〜95質量%と、(B)ブテン−1をコモノマーとする融点150℃以下のポリオレフィン系エラストマーを5〜40質量%と、を含有する。
((A)プロピレン−エチレンランダム共重合体)
(A)プロピレン−エチレンランダム共重合体は、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン単独重合体と比較して低温でのヒートシール性に優れており、電解液が関与するシール特性を向上させることができる。
(A)プロピレン−エチレンランダム共重合体において、エチレン含有量は0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜7質量%であることがより好ましく、2〜5質量%であることがさらに好ましい。エチレン含有量が0.1質量%以上であると、エチレンを共重合させることによる融点低下効果が十分に得られ、電解液が関与するシール特性をより一層向上できるとともに、耐衝撃性が得られ、シール強度や耐成型白化性を向上できる傾向がある。エチレン含有量が10質量%以下であると、融点が下がりすぎることを抑制でき、過剰シール部分の発生をより十分に抑制できる傾向がある。なお、エチレン含有量は、重合時のモノマーの混合比率から算出することができる。
(A)プロピレン−エチレンランダム共重合体の融点は、120〜145℃であることが好ましく、125〜140℃であることがより好ましい。融点が120℃以上であると、過剰シール部分の発生をより十分に抑制できる傾向がある。融点が145℃以下であると、電解液が関与するシール特性をより一層向上できる傾向がある。
(A)プロピレン−エチレンランダム共重合体の重量平均分子量は、融点が上記範囲内となるように適宜調整することが好ましいが、好ましくは10,000以上200,000未満であり、より好ましくは50,000以上150,000以下である。
(A)プロピレン−エチレンランダム共重合体は、酸変性されたものであってもよく、例えば、無水マレイン酸をグラフト変性させた酸変性プロピレン−エチレンランダム共重合体であってもよい。酸変性プロピレン−エチレンランダム共重合体を用いることにより、タブシーラントがなくてもタブリードとの密着性を保つことができる。
(A)プロピレン−エチレンランダム共重合体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物αにおいて、(A)成分の含有量は、樹脂組成物αの固形分全量を基準として60〜95質量%であり、60〜90質量%であることが好ましく、60〜85質量%であることがより好ましい。(A)成分の含有量が60質量%以上であることにより、(A)成分を用いること自体の効果により、シール特性を向上させることができる。また、(A)成分の含有量を60質量%以上とすることにより、(B)成分が過剰に存在することを防げるため、シーラント層16の耐熱性の低下を抑制でき、且つ、過剰シール部分の発生を抑制することができる。一方、(A)成分の含有量を95質量%以下とすることにより、(B)成分を5質量%以上含有させることができるため、(B)成分によるデガッシングヒートシール強度の改善効果を十分に得ることができる。
((B)ブテン−1をコモノマーとする融点150℃以下のポリオレフィン系エラストマー)
(B)ブテン−1をコモノマーとする融点150℃以下のポリオレフィン系エラストマーは、デガッシングヒートシール強度を含む電解液が関与するシール特性の向上に寄与するとともに、成型白化の発生の抑制に寄与する。
(B)ポリオレフィン系エラストマーは、(A)成分に対して相溶性を有するものであっても、相溶性を有さないものであってもよいが、相溶性を有する(B−1)相溶系ポリオレフィン系エラストマーと、相溶性を有さない(B−2)非相溶系ポリオレフィン系エラストマーの両方を含むことが好ましい。ここで、(A)成分を構成する樹脂が、プロピレン−エチレンランダム共重合体である場合、(A)成分に対して相溶性を有する(相溶系)とは、(A)成分を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂中に分散相サイズ1nm以上500nm未満で分散することを意味する。相溶性を有さない(非相溶系)とは、(A)成分を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂中に分散相サイズ500nm以上20μm未満で分散することを意味する。
(B−1)相溶系ポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体が挙げられる。
(B−2)非相溶系ポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体が挙げられる。
(B)ポリオレフィン系エラストマーの融点は、150℃以下であることが必要であるが、過剰シール部分の抑制、成型白化の抑制及び電解液が関与するシール特性の向上の観点から、60〜120℃であることが好ましく、65〜90℃であることがより好ましい。融点が150℃以下であることにより、電解液が関与するシール特性、特にデガッシングヒートシール強度を改善することができる。また、融点が60℃以上であると、過剰シール部分の発生を抑制する観点で有利である。(B)ポリオレフィン系エラストマーの重量平均分子量は、融点が上記範囲内となるように適宜調整することが好ましいが、好ましくは10,000以上200,000未満であり、より好ましくは50,000以上150,000以下である。
(B)ポリオレフィン系エラストマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物αにおいて、(B)成分の含有量は、樹脂組成物αの固形分全量を基準として5〜40質量%であり、10〜40質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。(B)成分の含有量が5質量%以上であることにより、電解液が関与するシール特性、特にデガッシングヒートシール強度の改善効果を十分に得ることができる。一方、(B)成分の含有量を40質量%以下とすることにより、シーラント層16の耐熱性の低下を抑制でき、且つ、過剰シール部分の発生を抑制することができる。
(B)成分が(B−1)相溶系ポリオレフィン系エラストマーと(B−2)非相溶系ポリオレフィン系エラストマーとを含む場合、両者の含有量比((B−1)相溶系ポリオレフィン系エラストマー/(B−2)非相溶系ポリオレフィン系エラストマー)は、質量比で0.5〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。含有量比を上記範囲とすることにより、耐成型白化性及び電解液が関与するシール特性をバランスよく向上させることができる。
(添加成分)
樹脂組成物αは、上述した(A)成分及び(B)成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。(A)成分及び(B)成分以外の他の成分としては、例えば引取性、加工性を向上させるためにLDPE(低密度ポリエチレン)などの他の樹脂を添加してもよい。添加する他の樹脂成分の含有量は、シーラント層16の全質量を100質量部とした場合、10質量部以下であることが好ましい。また、樹脂以外の成分として、例えば、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。これら樹脂以外の他の成分の含有量は、シーラント層16の全質量を100質量部とした場合、5質量部以下であることが好ましい。
シーラント層16において、ブテン−1の存在は、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)により帰属することで確認可能である。また、ブテン−1の含有量は、既知量のブテン−1を含むエラストマーを既知量配合した樹脂組成物αを用いて、(A)成分と(B)成分の特性吸収帯の透過度あるいは吸光度にて検量線を作成することで確認することが可能である。さらに、(B−1)相溶系ポリオレフィン系エラストマー、及び、(B−2)非相溶系ポリオレフィン系エラストマーのそれぞれのブテン−1含有量についても、同様にFT−IRの特性吸収帯にてイメージングを行い、顕微FT−IR(透過法)でブテン−1起因の吸収帯でマッピングすることにより確認可能である。なお、FT−IR以外にも、シーラント層16をNMRで測定することでブテン−1の存在及び含有量を確認することも可能である。
なお、ベース樹脂組成物は、超高分子量ポリオレフィンとの相溶性を考慮して、種々変更することも可能である。例えば、超高分子量ポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンである場合、ベース樹脂組成物は、上記樹脂組成物αにおける(A)成分に代えて、ポリエチレンを含んでいてもよい。この場合、ベース樹脂組成物はさらに、上記樹脂組成物αにける(B−1)成分に代えて、上記ポリエチレンと相溶性を有する相溶系ポリオレフィン系エラストマーを含んでいてもよく、(B−2)成分に代えて、上記ポリエチレンと相溶性を有さない非相溶系ポリオレフィン系エラストマーを含んでいてもよい。
シーラント層16の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5〜100μmの範囲であることが好ましく、20〜80μmの範囲であることがより好ましい。また、シーラント層16の厚さは、薄膜化の観点から、30μm以下であってもよい。本実施形態の蓄電装置用外装材は、このような薄膜構成であっても、ヒートシール、成型及びデガッシングヒートシール後の絶縁性の低下を抑制することができる。
以上、本実施形態の蓄電装置用外装材の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図1では、腐食防止処理層14が金属箔層13の第二の接着剤層17側の面に形成されている場合を示したが、腐食防止処理層14は金属箔層13の第一の接着剤層12側の面に形成されていてもよく、金属箔層13の両面に形成されていてもよい。金属箔層13の両面に腐食防止処理層14が形成されている場合、金属箔層13の第一の接着剤層12側に形成される腐食防止処理層14の構成と、金属箔層13の第二の接着剤層17側に形成される腐食防止処理層14の構成とは、同一であっても異なっていてもよい。
図1では、第二の接着剤層17を用いて金属箔層13とシーラント層16とが積層されている場合を示したが、図2に示す蓄電装置用外装材20及び図3に示す蓄電装置用外装材30のように第二の接着剤層17を介さずに、金属箔層13上にシーラント層16が直接形成されていてもよい。一方で、図2に示す蓄電装置用外装材20及び図3に示す蓄電装置用外装材30が、金属箔層13とシーラント層16との間に第二の接着剤層17を備えることもできる。
図1では、シーラント層16が単層から形成されている場合を示したが、シーラント層16は、図2に示す蓄電装置用外装材20及び図3に示す蓄電装置用外装材30のように2層以上の多層から形成されていてもよい。シーラント層16を形成する多層のそれぞれの層の構成は、同一であっても異なっていてもよい。なお、シーラント層16が多層である場合には、そのうちの少なくとも一層が、超高分子量ポリオレフィンが含まれる超高分子量ポリオレフィン含有層である。
図2に示す蓄電装置用外装材20においては、シーラント層16は、第一のシーラント層16a及び第二のシーラント層16bから構成されている。ここで、第一のシーラント層16aは、シーラント層の最外層であり、第二のシーラント層16bは、シーラント層の最内層である。第一のシーラント層16a及び第二のシーラント層16bからなる群より選ばれる少なくとも一層は、上記超高分子量ポリオレフィンが含まれる超高分子量ポリオレフィン含有層である。
第二のシーラント層16b(最内層)は、例えば、上述した外装材10におけるシーラント層16と同様の構成成分を用いて形成することができる。第二のシーラント層16bが超高分子量ポリオレフィン含有層である場合、電解液が関与する場合のラミネート強度を維持しつつ、絶縁性の低下が抑制されやすくなる。
また、第二のシーラント層16bは、上述した外装材10におけるシーラント層16を形成する材料から、超高分子量ポリオレフィンを除いた材料を用いて形成してもよい。
第二のシーラント層16bの厚さは、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、5〜100μmの範囲であることが好ましく、薄膜化の観点から10〜30μmの範囲であってもよい。
第一のシーラント層16a(最外層、金属箔側層)は、例えば、第二のシーラント層16bと同様の構成成分を用いて形成してもよいが、第一のシーラント層16aにおいては、例えば、ベース樹脂組成物としての樹脂組成物αに代えて、アルミ処理と接着性を考慮し主成分となる接着性樹脂組成物と必要に応じて添加剤成分とを含む樹脂組成物(以下、場合により「樹脂組成物β」という)を用いることが好ましい。すなわち、第一のシーラント層16aは、例えば、超高分子量ポリオレフィンと樹脂組成物βとから形成されていてもよく、樹脂組成物βのみから形成されていてもよい。第一のシーラント層16aが、接着性樹脂組成物を含有すると、接着剤層を介することなく、金属箔層にシーラント層を形成し得る。第一のシーラント層16aが超高分子量ポリオレフィンと樹脂組成物βとから形成される場合、電解液による膨潤及び発泡によるシーラント層の破壊が抑制されやすくなるとともに、金属箔層近傍が露出し電解液と接触することを長期にわたり抑制できることから、絶縁性の低下をより効率的に抑制することができる。
[樹脂組成物β(上記超高分子量ポリオレフィンは除く)]
樹脂組成物βにおける接着性樹脂組成物は、特に制限されないが、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分とマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分とを含有することが好ましい。また、添加剤成分は、アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(c)を含むことが好ましい。以下、各成分について説明する。
(変性ポリオレフィン樹脂(a))
変性ポリオレフィン樹脂(a)は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が、ポリオレフィン樹脂にグラフト変性された樹脂であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
これらのポリオレフィン樹脂をグラフト変性する際に用いる化合物としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が挙げられる。
具体的には、不飽和カルボン酸として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などが挙げられる。
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸の酸無水物などが挙げられる。
不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸のエステルなどが挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂(a)は、ベースとなるポリオレフィン樹脂100質量部に対し、上述した不飽和カルボン酸誘導体成分0.2〜100質量部をラジカル開始剤の存在下、グラフト重合(グラフト変性)することで製造することができる。グラフト変性の反応温度は、50〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましい。また、反応時間は、製造方法に応じて適宜設定されるが、例えば二軸押出機による溶融グラフト重合の場合、押出機の滞留時間内、具体的には2〜30分が好ましく、5〜10分がより好ましい。なお、グラフト変性は、常圧、加圧のいずれの条件下においても実施できる。
グラフト変性に用いられるラジカル開始剤としては、アルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。
これらの有機過酸化物は、上述した反応温度や反応時間の条件によって適宜選択して用いることができる。例えば、二軸押出機による溶融グラフト重合の場合、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましく、具体的にはジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3、ジクミルペルオキシドなどが好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂(a)としては、無水マレイン酸により変性されたポリオレフィン樹脂が好ましく、例えば、三井化学社製の「アドマー」、三菱化学社製の「モディック」などが適している。このような変性ポリオレフィン樹脂(a)成分は、各種金属や各種官能基を有するポリマーとの反応性に優れるため、該反応性を利用して第一のシーラント層16aに密着性を付与することができ、耐電解液性を向上することができる。
なお、変性ポリオレフィン樹脂(a)の重量平均分子量は、密着性や耐電解液性の効果をより効率的に得る観点から、好ましくは10,000以上200,000未満であり、より好ましくは50,000以上150,000以下である。
(マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b))
マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)は、変性ポリオレフィン樹脂(a)に対し、分散相サイズが200nmを超え、50μm以下の範囲でマクロ相分離構造を形成するものである。
接着性樹脂組成物が、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分を含有することにより、第一のシーラント層16aを構成する主成分となり得る変性ポリオレフィン樹脂(a)成分等をラミネートする際に発生する残留応力を開放することができ、熱弾性的な接着性を第一のシーラント層16aに付与することができる。したがって、第一のシーラント層16aの密着性がより向上して、耐電解液性により優れた外装材20が得られる。
マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)は、変性ポリオレフィン樹脂(a)上で海島状に存在するが、分散相サイズが200nm以下であると、粘弾性的な接着性の改善を付与させることが困難になる。一方、分散相サイズが50μmを超えると、変性ポリオレフィン樹脂(a)とマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)とは本質的に非相溶性であるため、ラミネート適正(加工性)が著しく低下するとともに、第一のシーラント層16aの物理的強度が低下しやすくなる。以上より、分散相サイズは、500nm〜10μmであることが好ましい。
このようなマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)としては、例えば、エチレン及び/又はプロピレンに、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンから選ばれるα−オレフィンを共重合させたポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
また、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分としては、市販品を使用することができ、例えば、三井化学社製の「タフマー」、三菱化学社製の「ゼラス」、モンテル社製の「キャタロイ」などが適している。
上記樹脂組成物βにおいて変性ポリオレフィン樹脂(a)成分に対するマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分の含有量は、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分100質量部に対して、1〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。ここで、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分の含有量が1質量部未満であると、第一のシーラント層の密着性の向上が期待できない。一方、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分の含有量が40質量部を超えると、本来、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分とマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分とは相溶性が低いために加工性が著しく低下しやすくなる。また、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分は接着性を示す樹脂ではないため、第二のシーラント層16bや腐食防止処理層14などの他の層に対する第一のシーラント層16aの密着性が低下しやすくなる。
なお、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)の重量平均分子量は、密着性や耐電解液性の効果をより効率的に得る観点から、好ましくは10,000以上200,000未満であり、より好ましくは50,000以上150,000以下である。
(アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(c))
上記樹脂組成物βは、添加剤成分として、アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(以下、単に、「成分(c)」と称する)を含むことが好ましい。ここで、成分(c)は、完全非晶性の樹脂成分である。
以下、上記樹脂組成物βにおいて、主成分となる接着性樹脂組成物に添加剤成分(c)を添加する効果について説明する。
成分(c)は、溶融状態においては接着性樹脂組成物中の変性ポリオレフィン樹脂(a)成分と相溶するが、冷却に伴う結晶化の際に結晶外へ排出され、相分離する。これにより、成分(c)は、主成分である接着性樹脂組成物中の変性ポリオレフィン樹脂(a)成分の結晶化度を阻害しない。また、上記樹脂組成物β中に成分(c)を添加することで、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分の濃度が成分(c)によって希釈されて結晶成長が抑制されるため、ベース樹脂の接着成分(すなわち、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分)の結晶サイズ(球晶サイズ)を小さくすることが可能となる。また、結晶外に排出された成分(c)は、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分の微小球晶の周辺に、均一に分散する。
ところで、従来から、外装材を冷間成型する際に「白化現象」が発生することが知られている。ここで、白化現象の機構について、説明する。
(1)熱ラミネート時の熱処理により、樹脂組成物β中の変性ポリオレフィン樹脂(a)が結晶化する。
(2)変性ポリオレフィン樹脂(a)と、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)は非相溶性であるため、(1)の結晶化の挙動により、両者の界面で歪が生じる。
(3)成型時に応力が加わることで、両者の界面に亀裂が生じ、ボイド−クレイズが形成される。
(4)ボイド−クレイズにより光が散乱し、光学的な光の乱反射による白化現象が起こる。
すなわち、白化現象を抑制するためには、「熱ラミネート時の熱量で変性ポリオレフィン樹脂(a)の結晶化が進行しない(すなわち、結晶化しにくくさせる)こと」と、「変性ポリオレフィン樹脂(a)とマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)との密着性を改善すること」が、重要となることが知られている。
これに対して、第一のシーラント層16aの主成分となり得る接着性樹脂組成物に添加剤成分として成分(c)を添加することにより、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分の結晶サイズ(球晶サイズ)を小さくすることができるため、柔軟で且つ粘り強い膜特性を得られる。また、成分(c)が変性ポリオレフィン樹脂(a)の周辺に均一に分散することで、均一に応力緩和が可能となり、ボイドクレーズの発生が抑制できるため、成型時の応力に伴う外装材20の「白化現象」を緩和することが可能となると考えられる。
以上のように、第一のシーラント層16aの主成分となり得る接着性樹脂組成物に添加剤成分として成分(c)を添加することにより、第一のシーラント層16aの透明性を上げるとともに、成型時の応力に伴う白化現象を緩和することができる。これにより、成型白化も改善され、外装材20の屈曲応力に伴う絶縁性(耐屈曲性)の改善が可能となる。また、第一のシーラント層16a中の変性ポリオレフィン樹脂成分(a)の結晶化度が保持されつつ、柔軟性を付与できるため、外装材20の電解液膨潤時のラミネート強度低下を抑制することが可能となる。
(アイソタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(d))
樹脂組成物βは、添加剤成分として、上述した成分(c)に加えて、アイソタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(以下、単に「成分(d)」と称する)をさらに含んでいてもよい。
ここで、成分(d)は、樹脂組成物βの主成分である接着性樹脂成分において、変性ポリオレフィン樹脂(a)が特にポリプロピレン系の接着性樹脂の場合に相溶ゴム成分として作用し、当該変性ポリオレフィン樹脂(a)の結晶化を抑制する。
すなわち、樹脂組成物βの主成分である接着性樹脂成分に、添加剤成分としてさらに成分(d)を添加することにより、応力を緩和するための柔軟性が付与できるため、電解液ラミネート強度の低下を抑制しつつ、ヒートシール強度(特に耐電解液)の改善、ヒートシール、成型及びデガッシングヒートシール強度の改善が可能となる。また、添加剤成分として、成分(c)と成分(d)とを組み合わせることで、白化現象や耐屈曲絶縁性をより改善することができる。
樹脂組成物βにおいて、成分(a)及び成分(b)の合計質量は、第一のシーラント層16aの全質量を基準として、例えば、60質量%以上95質量%以下であってもよく、80質量%以上90質量%以下であってもよい。
樹脂組成物βにおいて、成分(c)及び成分(d)の合計質量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)及び成分(d)の合計質量を基準として、例えば、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。成分(c)及び成分(d)の合計質量が、成分(a)、成分(b)、成分(c)及び成分(d)の合計質量を基準として、5質量%未満であると、上述したような添加剤を添加することによる効果が十分に得られない傾向がある。一方、成分(c)及び成分(d)の合計質量が、成分(a)、成分(b)、成分(c)及び成分(d)の合計質量を基準として、40質量%を超えると、第二のシーラント層16bや腐食防止処理層14などの他の層に対する第一のシーラント層16aの密着性が低下しやすくなる傾向がある。これらの観点から、樹脂組成物βにおいて、成分(a)及び成分(b)の合計質量は、成分(a)、成分(b)、成分(c)及び成分(d)の合計質量を基準として、例えば、60〜95質量%であることが好ましい。
なお、樹脂組成物β中の、添加剤成分である成分(c)の分析方法としては、例えば、核磁気共鳴分光法(NMR)による立体規則性評価によって定量することが可能である。
一方、成分(d)の分析としては、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)を用いて、α−オレフィンの分岐に帰属される吸収体と、変性ポリオレフィン樹脂(a)の特性吸収体に帰属される吸収体とで検量線を作成することで、配合比を確認することができる。
樹脂組成物βは、接着性樹脂組成物(すなわち、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分並びにマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分)及び添加剤成分(すなわち、成分(c)並びに成分(d))の他に、必要に応じて各種添加剤、例えば難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などを含有してもよい。
第一のシーラント層16aの厚さは、特に限定されるものではないが、応力緩和や水分・電解液透過の観点から、第二のシーラント層16bと同じもしくはそれ以下であることが好ましい。
また、蓄電装置用外装材20においても、薄膜化の観点から、シーラント層16の厚さ(第一のシーラント層16aと第二のシーラント層16bとの合計の厚さ)は、30μm以下であってもよい。本実施形態の蓄電装置用外装材は、このような薄膜構成であっても、ヒートシール、成型及びデガッシングヒートシール後の絶縁性の低下を抑制することができる。
図2では、シーラント層16が2層から形成されている場合を示したが、シーラント層16は、図3に示す蓄電装置用外装材30のように3層から形成されていてもよい。図3に示す蓄電装置用外装材30において、シーラント層16は、第一のシーラント層16a、第二のシーラント層16b、及び第三のシーラント層16cから構成されている。ここで、第一のシーラント層16aはシーラント層の最外層(金属箔側層)であり、第三のシーラント層16cは、シーラント層の中間層であり、第二のシーラント層16bはシーラント層の最内層である。これらの三層からなる群より選ばれる少なくとも一層は、上記超高分子量ポリオレフィンが含まれる超高分子量ポリオレフィン含有層である。
蓄電装置用外装材30の第一のシーラント層16aを構成する材料についての例示及び好ましい形態は、蓄電装置用外装材20の第一のシーラント層16aと同様である。
蓄電装置用外装材30の第二のシーラント層16b及び第三のシーラント層16cを構成する材料についての例示及び好ましい形態は、蓄電装置用外装材20の第二のシーラント層16bと同様である。
蓄電装置用外装材30において、第一のシーラント層16aの厚さは、例えば、2〜30μmであってもよく、5〜20μmであってもよく、8〜10μmであってもよく、第二のシーラント層16bの厚さは、例えば、10〜80μmであってもよく、13〜40μmであってもよく、15〜20μmであってもよく、第三のシーラント層16cの厚さは、例えば、2〜30μmであってもよく、5〜20μmであってもよく、8〜10μmであってもよい。
蓄電装置用外装材30においても、薄膜化の観点から、シーラント層16の厚さ(第一のシーラント層16aと第二のシーラント層16bと第三のシーラント層16cとの合計の厚さ)は、30μm以下であってもよい。本実施形態の蓄電装置用外装材は、このような薄膜構成であっても、ヒートシール、成型及びデガッシングヒートシール後の絶縁性の低下を抑制することができる。
蓄電装置用外装材20,30のように、シーラント層が複数の層からなる場合、金属箔層13に最も近い第一のシーラント層16aが超高分子量ポリオレフィン含有層であることが好ましい。第一のシーラント層16aが超高分子量ポリオレフィン含有層であることにより、電解液による膨潤及び発泡によるシーラント層の破壊が抑制されやすくなるとともに、金属箔層13近傍が露出し電解液と接触することを長期にわたり抑制できることから、絶縁性の低下をより効率的に抑制することができる。第一のシーラント層16aが超高分子量ポリオレフィン含有層である場合、第一のシーラント層16a中の、樹脂組成物βの含有量は、第一のシーラント層16aの全質量を基準として、例えば、40.0〜97.0質量%であってもよく、50.0〜95.0質量%であってもよい。また、超高分子量ポリオレフィンの含有量は、第一のシーラント層16aの全質量を基準として、例えば、3.0〜60.0質量%であってもよく、5.0〜50.0質量%であってもよく、5.0〜30.0質量%であってもよい。
第一のシーラント層16aにおける超高分子量ポリオレフィンの含有量が3.0質量%以上であると、絶縁性の低下をより効率的に抑制することができる。また、超高分子量ポリオレフィンの含有量が60.0質量%以下であると、電解液が関与する場合のラミネート強度の低下を抑制しやすくなる。
また、第二のシーラント層16b又は第三のシーラント層16cが超高分子量ポリオレフィン含有層であってもよい。第二のシーラント層16b又は第三のシーラント層16cが超高分子量ポリオレフィン含有層であることにより、電解液が関与する場合のラミネート強度を維持しつつ、絶縁性の低下が抑制されやすくなる。第二のシーラント層16bが超高分子量ポリオレフィン含有層である場合、第二のシーラント層16b中の、超高分子量ポリオレフィンの含有量は、第二のシーラント層16bの全質量を基準として、例えば、5.0〜60.0質量%であってもよく、15.0〜50.0質量%であってもよく、30.0〜50.0質量%であってもよい。
第二のシーラント層16bにおける超高分子量ポリオレフィンの含有量が5.0質量%以上であると、絶縁性の低下をより効率的に抑制することができる。また、超高分子量ポリオレフィンの含有量が60.0質量%以下であると、必要特性を満たし、成膜性を維持しつつ高速加工を一層しやすくなる。
第三のシーラント層16c中の、超高分子量ポリオレフィンの含有量は、第三のシーラント層16cの全質量を基準として、第二のシーラント層16bと同様の観点から、例えば、5.0〜60.0質量%であってもよく、15.0〜50.0質量%であってもよく、30.0〜50.0質量%であってもよい。
また、シーラント層が単層からなる場合、シーラント層が複数の層からなる場合のいずれにおいても、シーラント層中の上記超高分子量ポリオレフィンの含有量は、ヒートシール、成型及びデガッシングヒートシール後の絶縁性低下をさらに抑制する観点並びに電解液特性及び成型白化耐性を維持しつつ、デガッシングヒートシール強度をさらに向上する観点から、シーラント層の総質量を基準として、例えば、0.1〜80.0質量%であってもよく、5.0〜60.0質量%であってもよく、10.0〜35.0質量%であってもよい。
[外装材の製造方法]
次に、図1に示す外装材10の製造方法の一例について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材10の製造方法は、金属箔層13に腐食防止処理層14を積層する工程と、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程と、第二の接着剤層17を介してシーラント層16をさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体をエージング処理する工程とを含んで概略構成されている。
(金属箔層13への腐食防止処理層14の積層工程)
本工程は、金属箔層13に対して、腐食防止処理層14を形成する工程である。その方法としては、上述したように、金属箔層13に脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理を施したり、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗布したりする方法などが挙げられる。
また、腐食防止処理層14が多層の場合は、例えば、下層側(金属箔層13側)の腐食防止処理層を構成する塗布液(コーティング剤)を金属箔層13に塗布し、焼き付けて第一層を形成した後、上層側の腐食防止処理層を構成する塗布液(コーティング剤)を第一層に塗布し、焼き付けて第二層を形成すればよい。
脱脂処理についてはスプレー法又は浸漬法にて、熱水変成処理や陽極酸化処理については浸漬法にて、化成処理については化成処理のタイプに応じ、浸漬法、スプレー法、コート法などを適宜選択して行えばよい。
腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法については、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を用いることが可能である。
上述したように、各種処理は金属箔の両面又は片面のどちらでも構わないが、片面処理の場合、その処理面は第二の接着剤層17を積層する側に施すことが好ましい。なお、要求に応じて、基材層11の表面にも上記処理を施してもよい。
また、第一層及び第二層を形成するためのコーティング剤の塗布量はいずれも、0.005〜0.200g/mが好ましく、0.010〜0.100g/mがより好ましい。
また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層14の乾燥条件に応じて、母材温度として60〜300℃の範囲で行うことができる。
(基材層11と金属箔層13との貼り合わせ工程)
本工程は、腐食防止処理層14を設けた金属箔層13と、基材層11とを、第一の接着剤層12を介して貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法を用い、上述した第一の接着剤層12を構成する材料にて両者を貼り合わせる。第一の接着剤層12は、ドライ塗布量として1〜10g/mの範囲、より好ましくは3〜7g/mの範囲で設ける。
(第二の接着剤層17及びシーラント層16の積層工程)
本工程は、金属箔層13の腐食防止処理層14側に、第二の接着剤層17を介してシーラント層16を貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ウェットプロセス、ドライラミネーション等が挙げられる。
ウェットプロセスの場合は、第二の接着剤層17を構成する接着剤の溶液又は分散液を、腐食防止処理層14上に塗工し、所定の温度(接着剤が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合は、その融点以上の温度)で溶媒を飛ばし乾燥造膜、又は乾燥造膜後に必要に応じて焼き付け処理を行う。その後、シーラント層16を積層し、外装材10を製造する。塗工方法としては、先に例示した各種塗工方法が挙げられる。
(エージング処理工程)
本工程は、積層体をエージング(養生)処理する工程である。積層体をエージング処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/第二の接着剤層17/シーラント層16間の接着を促進させることができる。エージング処理は、室温〜100℃の範囲で行うことができる。エージング時間は、例えば、1〜10日である。また、第二の接着剤層17/シーラント層16間の接着をさせるため、第二の接着剤層17の融点以上の温度で熱処理を行うことが可能である。熱処理としてはオーブン加熱、加熱したロールで挟み込む(熱ラミネート)、加熱したロールに巻き付ける、などの手法が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
このようにして、図1に示すような、本実施形態の外装材10を製造することができる。
次に、図2に示す外装材20の製造方法の一例について説明する。なお、外装材20の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材20の製造方法は、金属箔層13に腐食防止処理層14を積層する工程と、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程と、第一のシーラント層16a及び第二のシーラント層16bをさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体を熱処理する工程とを含んで概略構成されている。なお、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程までは、上述した外装材10の製造方法と同様に行うことができる。
(第一のシーラント層16a及び第二のシーラント層16bの積層工程)
本工程は、先の工程により形成された腐食防止処理層14上に、第一のシーラント層16a及び第二のシーラント層16bを形成する工程である。その方法としては、押出ラミネート機を用いて第一のシーラント層16aを第二のシーラント層16bとともにサンドラミネーションする方法が挙げられる。さらには、第一のシーラント層16aと第二のシーラント層16bとを押出すタンデムラミネート法、共押出法でも積層可能である。第一のシーラント層16a形成用の樹脂組成物及び第二のシーラント層16b形成用の樹脂組成物は、例えば、上述した第一のシーラント層16a及び第二のシーラント層16bの構成を満たすように、各成分を配合することにより調製できる。
本工程により、図2に示すような、基材層11/第一の接着剤層12/金属箔層13/腐食防止処理層14/第一のシーラント層16a/第二のシーラント層16bの順で各層が積層された積層体が得られる。
なお、第一のシーラント層16aは、上述した材料配合組成になるように、ドライブレンドした材料を直接、押出ラミネート機により積層させてもよいし、あるいは事前に単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダーミキサーなどの溶融混練装置を用いてメルトブレンドを施した後の造粒した第一のシーラント層16aを押出ラミネート機を用いて積層させてもよい。
第二のシーラント層16bは、シーラント層形成用の樹脂組成物として上述した材料配合組成になるようにドライブレンドした材料を直接、押出ラミネート機により積層させてもよいし、あるいは事前に単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダーミキサーなどの溶融混練装置を用いてメルトブレンドを施した後の造粒物を、押出ラミネート機で第一のシーラント層16aと第二のシーラント層16bとを押出すタンデムラミネート法、共押出法で積層させてもよい。また、シーラント層形成用の樹脂組成物を用いて、事前にキャストフィルムとしてシーラント単膜を製膜し、このフィルムを接着性樹脂とともにサンドラミネーションする方法により積層させてもよいし、接着剤を用いてドライラミネート法により積層させてもよい。
(熱処理工程)
本工程は、積層体を熱処理する工程である。積層体を熱処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/第一のシーラント層16a/第二のシーラント層16b間での密着性を向上させ、より優れた耐電解液性や耐フッ酸性を付与することができ、また、第一のシーラント層16a及び第二のシーラント層16bの結晶化を制御し、成型後の絶縁性を向上する効果も得られる。したがって、本工程では、上述した各層間での密着性を向上させるとともに、第一のシーラント層16a及び第二のシーラント層16bの結晶化に適した熱処理を行うのが好ましい。方法としては上述した内容が挙げられるが、少なくとも第一のシーラント層16aの融点以上の温度で処理することが好ましい。
このようにして、図2に示すような、本実施形態の外装材20を製造することができる。
次に、図3に示す外装材30の製造方法の一例について説明する。なお、外装材30の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材30の製造方法は、金属箔層13に腐食防止処理層14を積層する工程と、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程と、第一のシーラント層16a、第三のシーラント層16c及び第二のシーラント層16bをさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体を熱処理する工程とを含んで概略構成されている。
(第一のシーラント層16a、第三のシーラント層16c及び第二のシーラント層16bの積層工程)
本工程は、腐食防止処理層14上に、第一のシーラント層16a、第三のシーラント層16c及び第二のシーラント層16bを形成する工程である。その方法としては、押出ラミネート機を用いて第一のシーラント層16aと第三のシーラント層16c及び第二のシーラント層16bとを押出すタンデムラミネート法、共押出法が挙げられる。この場合、シーラント層形成用の樹脂組成物として上述した材料配合組成になるようにドライブレンドした材料を直接、押出ラミネート機により積層させてもよいし、あるいは事前に単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダーミキサーなどの溶融混練装置を用いてメルトブレンドを施した後の造粒物を、押出ラミネート機で第一のシーラント層16aと第三のシーラント層16c及び第二のシーラント層16bとを押出すタンデムラミネート法、共押出法で積層させてもよい。
第三のシーラント層16c及び第二のシーラント層16bは、共押出しにより製膜し、これらのフィルムを第一のシーラント層16a形成用の樹脂組成物とともにサンドラミネーションする方法により積層させてもよい。
このようにして、図3に示すような、本実施形態の外装材30を製造することができる。
以上、本発明の蓄電装置用外装材の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、第一の接着剤層12を有しない蓄電装置用外装材を製造する場合は、上述のように、基材層11を形成し得る樹脂材料を金属箔層13上に塗布又は塗工することにより基材層11を形成すればよい。
本発明の蓄電装置用外装材は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタなどの蓄電装置用の外装材として好適に用いることができる。中でも、本発明の蓄電装置用外装材は、リチウムイオン電池用の外装材として好適である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例で使用した材料を以下に示す。
<基材層(厚さ15μm)>
ナイロンフィルム(Ny)(東洋紡社製)を用いた。
<第一の接着剤層(厚さ4μm)>
ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ社製)を用いた。
<第一の腐食防止処理層(基材層側)及び第二の腐食防止処理層(シーラント層側)>
(CL−1):溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」を用いた。なお、ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルは、酸化セリウム100質量部に対して、リン酸のNa塩を10質量部配合して得た。
(CL−2):溶媒として蒸留水を用い固形分濃度5質量%に調整した「ポリアリルアミン(日東紡社製)」90質量%と、「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製)」10質量%からなる組成物を用いた。
(CL−3):溶媒として1質量%濃度のリン酸水溶液を用い、固形分濃度1質量%に調整した水溶性フェノール樹脂(住友ベークライト社製)に対し、フッ化クロム(CrF)を最終乾燥皮膜中に存在するCr量として10mg/mとなるように濃度を調整した化成処理剤を用いた。
<金属箔層(厚さ35μm)>
焼鈍脱脂処理した軟質アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、「8079材」)を用いた。
<第二の接着剤層(厚さ3μm)>
第二の接着剤層形成用接着剤として、下記接着剤a及びbを準備した。
接着剤a:トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、イソシアヌレート構造のポリイソシアネート化合物を10質量部(固形分比)で配合した接着剤。
接着剤b:水添ダイマー脂肪酸及びジオールからなるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとをモル比(NCO/OH)が2になるように配合したポリウレタン系接着剤。
<シーラント層>
[ベース樹脂組成物]
シーラント層形成用ベース樹脂組成物として、下記樹脂A、B、C、D、Eを準備した。
(樹脂A):以下の材料を質量比で(AR−1):(AR−2)=75:25となるように混合した混合物。なお、この混合物は樹脂組成物βに相当する。
(AR−1):非相容系ゴムとしてエチレン−プロピレンゴムを配合した、ランダムポリプロピレン(PP)(Mw:130,000、Mw/Mn:5)ベースの酸変性ポリプロピレン樹脂組成物。
(AR−2):アタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体。
(樹脂B):以下の材料を質量比で(A):(B−1):(B−2)=70:20:10となるように混合した樹脂組成物。なお、この混合物は樹脂組成物αに相当する。
(A):プロピレン−エチレンランダム共重合体(ランダムPP)(Mw:150,000、Mw/Mn:6)。
(B−1):(A)成分に対して相溶性を有する融点85℃のプロピレン−ブテン−1ランダム共重合体エラストマー(プロピレン−ブテン−1)。
(B−2):(A)成分に対して相溶性を有さない融点75℃のエチレン−ブテン−1ランダム共重合体エラストマー(エチレン−ブテン−1)。
樹脂C:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)ベースの酸変性ポリエチレン樹脂組成物(Mw:120,000、Mw/Mn:5)。
樹脂D:以下の材料を質量比で(D−1):(D−2):(D−3)=70:20:10となるように混合した樹脂組成物。
(D−1):直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(Mw:100,000、Mw/Mn:5)。
(D−2):融点75℃のエチレン−ブテン−1ランダム共重合体エラストマー(エチレン−ブテン−1)(上記(B−2)成分と同じ)。
(D−3):融点85℃のプロピレン−ブテン−1ランダム共重合体エラストマー(プロピレン−ブテン−1)(上記(B−1)成分と同じ)。
樹脂E:非相容系ゴムとしてエチレン−プロピレンゴムを配合した、ランダムポリプロピレン(PP)ベースの酸変性ポリプロピレン樹脂組成物(上記(AR−1)成分と同じ)。なお、この樹脂組成物は樹脂組成物βに相当する。
[超高分子量ポリオレフィン]
F−1−1:プロピレン−エチレンランダム共重合体(ランダムPP)(Mw:500,000、Mw/Mn:9)。
F−1−2:ランダムPP(Mw:1,500,000、Mw/Mn:10)。
F−2:プロピレン−エチレンブロック共重合体(ブロックPP)(Mw:800,000、Mw/Mn:9)。
F−3:プロピレン単独重合体(ホモPP)(Mw:300,000、Mw/Mn:8)。
F−4:高密度ポリエチレン(HDPE)(Mw:900,000、Mw/Mn:8)。
[実施例1]
まず、金属箔層に、第一及び第二の腐食防止処理層を以下の手順で設けた。すなわち、金属箔層の両方の面に(CL−1)を、ドライ塗布量として70mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施した。次いで、得られた層上に(CL−2)を、ドライ塗布量として20mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布することで、(CL−1)と(CL−2)からなる複合層を第一及び第二の腐食防止処理層として形成した。この複合層は、(CL−1)と(CL−2)の2種を複合化させることで腐食防止性能を発現させたものである。
次に、第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(第一の接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。これを押出ラミネート機の巻出部にセットし、第二の腐食防止処理層上に290℃、100m/minの加工条件で共押出しすることでシーラント層として金属箔側の層(以下、「AL側層」ともいう)(厚さ10μm)及び最内層(厚さ20μm)をこの順で積層した。なお、AL側層及び最内層は、事前に二軸押出機を用いて各種材料のコンパウンドを作製しておき、水冷・ペレタイズの工程を経て、上記押出ラミネートに使用した。AL側層の形成には、樹脂A(樹脂組成物βに相当)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物を用いた。なお、AL側層中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、AL側層(シーラント層16aに相当)の全質量を基準として、5質量%とした。最内層(シーラント層16bに相当)の形成には樹脂B(樹脂組成物αに相当)を用いた。
このようにして得られた積層体を、該積層体の最高到達温度が190℃になるように、熱処理を施して、実施例1の外装材(基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/AL側層(シーラント層16a)/最内層(シーラント層16b)の積層体)を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例2]
AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、15質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例3]
AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例4]
AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、50質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例5]
AL側層(シーラント層16a)の形成に用いた材料を樹脂A(樹脂組成物β)に変更したこと、及び、最内層(シーラント層16b)の形成に用いた材料を、樹脂B(樹脂組成物α)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の外装材を製造した。なお、最内層中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、5質量%とした。本実施例では、最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例6]
最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、15質量%としたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例6の外装材を製造した。本実施例では、最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例7]
最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、30質量%としたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例7の外装材を製造した。本実施例では、最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例8]
最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、50質量%としたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例8の外装材を製造した。本実施例では、最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例9]
最内層(シーラント層16b)の形成に用いた材料を、樹脂B(樹脂組成物α)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の外装材を製造した。なお、最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、5質量%とした。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)及び最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例10]
AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、15質量%としたこと、及び、最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、15質量%としたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例10の外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)及び最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例11]
AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%としたこと、及び、最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、30質量%としたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例11の外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)及び最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例12]
AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、50質量%としたこと、及び、最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、50質量%としたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例12の外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)及び最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例13]
AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、60質量%としたこと、及び、最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量を、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、60質量%としたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例13の外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)及び最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例14]
実施例1と同様にして、金属箔層に、第一及び第二の腐食防止処理層を設けた。第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(第一の接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。これを押出ラミネート機の巻出部にセットし、第二の腐食防止処理層上に290℃、100m/minの加工条件で共押出しすることでシーラント層としてAL側層(シーラント層16a)(厚さ10μm)、中間層(シーラント層16c)(厚さ10μm)及び最内層(シーラント層16b)(厚さ10μm)をこの順で積層した。なお、AL側層(シーラント層16a)、中間層(シーラント層16c)及び最内層(シーラント層16b)は、事前に二軸押出機を用いて各種材料のコンパウンドを作製しておき、水冷・ペレタイズの工程を経て、上記押出ラミネートに使用した。AL側層(シーラント層16a)の形成には樹脂A(樹脂組成物β)を用い、中間層(シーラント層16c)の形成には樹脂B(樹脂組成物α)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物を用い、最内層(シーラント層16b)の形成には樹脂B(樹脂組成物α)を用いた。なお、中間層(シーラント層16c)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、中間層(シーラント層16c)の全質量を基準として、30質量%とした。
このようにして得られた積層体を、該積層体の最高到達温度が190℃になるように、熱ラミネーションにより熱処理を施して、実施例14の外装材(基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/AL側層(シーラント層16a)/中間層(シーラント層16c)/最内層(シーラント層16b)の積層体)を製造した。本実施例では、中間層(シーラント層16c)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例15]
AL側層(シーラント層16a)の形成に用いた材料を、樹脂A(樹脂組成物β)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物に変更したこと以外は、実施例14と同様にして、実施例15の外装材を製造した。なお、AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%とした。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)及び中間層(シーラント層16c)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例16]
AL側層(シーラント層16a)の形成に用いた材料を、樹脂A(樹脂組成物β)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物に変更したこと、中間層(シーラント層16c)の形成に用いた材料を、樹脂B(樹脂組成物α)に変更したこと、最内層(シーラント層16b)の形成に用いた材料を、樹脂B(樹脂組成物α)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物に変更したこと以外は、実施例14と同様にして、実施例16の外装材を製造した。なお、AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%とし、最内層(シーラント層16b)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、最内層(シーラント層16b)の全質量を基準として、30質量%とした。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)及び最内層(シーラント層16b)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例17]
AL側層(シーラント層16a)の形成に用いた材料を、樹脂Cと超高分子量ポリオレフィンF−4との混合物に変更したこと、最内層(シーラント層16b)の形成に用いた材料を、樹脂Dに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例17の外装材を製造した。なお、AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−4の含有量は、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%とした。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例18]
AL側層(シーラント層16a)の形成に用いた樹脂を、樹脂A(樹脂組成物β)と超高分子量ポリオレフィンF−2との混合物に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例18の外装材を製造した。なお、AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−2の含有量は、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%とした。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例19]
AL側層(シーラント層16a)の形成に用いた樹脂を、樹脂A(樹脂組成物β)と超高分子量ポリオレフィンF−3との混合物に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例19の外装材を製造した。なお、AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−3の含有量は、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%とした。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例20]
AL側層(シーラント層16a)の形成に用いた樹脂を、樹脂E(樹脂組成物β)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例20の外装材を製造した。なお、AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%とした。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例21]
まず、金属箔層に、第一及び第二の腐食防止処理層を以下の手順で設けた。すなわち、金属箔層の両方の面に(CL−3)を、ドライ塗布量として30mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施した。次いで、得られた層上に(CL−2)を、ドライ塗布量として20mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布することで、(CL−3)と(CL−2)からなる複合層を第一及び第二の腐食防止処理層として形成した。この複合層は、(CL−3)と(CL−2)の2種を複合化させることで腐食防止性能を発現させたものである。このようにして第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層を用いた以外は実施例3と同様にして、実施例21の外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例22]
まず、金属箔層に、第一及び第二の腐食防止処理層を以下の手順で設けた。すなわち、金属箔層の両方の面に(CL−3)を、ドライ塗布量として30mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施すことで、第一及び第二の腐食防止処理層を形成した。このようにして第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層を用いたこと以外は実施例3と同様にして、外装材を製造した。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例23]
実施例1と同様にして、金属箔層に、第一及び第二の腐食防止処理層を設けた。第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(第一の接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。次いで、第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第二の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、接着剤a(第二の接着剤層)を用いてシーラント層16(最内層)(厚さ30μm)に貼り付けた。最内層(シーラント層16)の形成には樹脂B(ベース樹脂組成物、樹脂組成物α)と超高分子量ポリオレフィンF−1−1との混合物を用いた。なお、最内層(シーラント層16)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−1の含有量は、最内層(シーラント層16)の全質量を基準として、30質量%とした。
このようにして得られた積層体を、40℃で、4日間のエージング処理を施して、実施例23の外装材(基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/第二の接着剤層/最内層(シーラント層16)の積層体)を製造した。本実施例では、最内層(シーラント層16)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[実施例24]
第二の接着剤層の形成に用いた接着剤を接着剤bに変更したこと以外は、実施例23と同様にして、実施例24の外装材を製造した。本実施例では、最内層(シーラント層16)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
[比較例1]
超高分子量ポリオレフィンを用いなかったこと、すなわち、AL側層の形成に樹脂Aを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の外装材を製造した。
[比較例2]
AL側層(シーラント層16a)の形成に用いた樹脂を、樹脂A(樹脂組成物β)と超高分子量ポリオレフィンF−1−2との混合物に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、比較例2の外装材を製造した。なお、AL側層(シーラント層16a)中の超高分子量ポリオレフィンF−1−2の含有量は、AL側層(シーラント層16a)の全質量を基準として、30質量%とした。本実施例では、AL側層(シーラント層16a)が、超高分子量ポリオレフィン含有層である。
各実施例及び比較例の主な条件を表1に示す。
Figure 2018060758
<評価>
実施例及び比較例で得られた外装材に対し、以下の評価試験を行った。
(高速加工性)
外装材製造においてシーラント層を押出ラミネート機にて積層した際の高速加工性を以下の基準で評価した。なお、実施例23,24については、シーラント層を単独で成膜した際の高速加工性を評価した。
A:温度290℃、100m/minの速度で、厚さが30μmとなるように問題なく成膜できる。
D:温度290℃、100m/minの速度で、厚さが30μmとなるように問題なく成膜できない(厚さがばらつくなど)。
(フィッシュアイ)
外装材製造において形成したシーラント層に生じたフィッシュアイを以下の基準で評価した。
A:30μmの厚さに成膜したシーラント層に存在していた直径0.5μm以上のフィッシュアイの数が2個/m以下である。
D:30μmの厚さに成膜したシーラント層に存在していた直径0.5μm以上のフィッシュアイの数が3個/m以上である。
(電解液ラミネート強度)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPFを1Mになるように加えた電解液をテフロン(登録商標)容器に充填し、その中に外装材を15mm×100mmにカットしたサンプルを入れ、密栓後85℃、24時間で保管した。その後、共洗し、金属箔層/第二の接着剤層間又は金属箔層/シーラント層間のラミネート強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じて、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:ラミネート強度が7N/15mm超
B:ラミネート強度が6N/15mm以上、7N/15mm以下
C:ラミネート強度が5N/15mm以上、6N/15mm未満
D:ラミネート強度が5N/15mm未満
(電解液ヒートシール強度)
外装材を60mm×120mmにカットしたサンプルを2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで190℃、0.5MPa、3secで熱封緘した。その後、残りの2辺も熱封緘し袋状になった外装材に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPFを1Mになるように加えた電解液を2ml注入したパウチを60℃で24時間保管後、熱封緘1辺目を15mm幅にカットし(図4を参照)、シール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じて、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:シール強度が50N/15mm以上、バースト幅が5mm超
B:シール強度が50N/15mm以上、バースト幅が3〜5mm
C:シール強度が40N/15mm以上、50N/15mm未満
D:シール強度が40N/15mm未満
(高温ヒートシール強度)
外装材を60mm×120mmにカットしたサンプルを2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで190℃、0.5MPa、3secで熱封緘した。その後、熱封緘1辺目を15mm幅にカットし(図5を参照)、シール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて80℃1分保管後、測定した。試験は、JIS K6854に準じて、温度80℃、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:シール強度が45N/15mm以上、バースト幅が5mm超
B:シール強度が45N/15mm以上、バースト幅が3〜5mm
C:シール強度が40N/15mm以上、45N/15mm未満
D:シール強度が40N/15mm未満
(デガッシングヒートシール強度(デガスヒートシール強度))
外装材を75mm×150mmにカットしたサンプルを37.5mm×150mmに2つ折りにした後(図6(a)を参照)、150mm辺と37.5mm辺の一方をヒートシールし、製袋した。その後、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPFを1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、37.5mm辺の他方をヒートシールして、シール部S1により密封されたパウチを得た。次いで、このパウチを60℃で24時間保管した後、電解液を含んだ状態でパウチ中央部を190℃、0.3MPa、2secでヒートシールした(デガッシングヒートシール部S2、図6(b)を参照)。シール部を安定化させるため、常温で24時間保管後、デガッシングヒートシール部S2を含む領域を15mm幅にカットし(図6(c)を参照)、ヒートシール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じて、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:シール強度が50N/15mm以上
B:シール強度が35N/15mm以上、50N/15mm未満
C:シール強度が25N/15mm以上、35N/15mm未満
D:シール強度が25N/15mm未満
(成型後の白化)
外装材の常態のサンプル及び60℃で1週間保管したサンプルを、120mm×200mmにカットし、シーラント層が成型機の凸部に接するように冷間成型用金型にセットし、成型速度5mm/secで2.0mmの深絞りを行った。その後、最も延伸が厳しいフィルム押さえ部側の辺の白化を観察した。金型には、成型エリアが80mm×70mm(角筒型)、パンチコーナーラジアス(RCP)が1.0mmのものを用いた。その結果に基づき、以下の基準で評価した。なお、評価がC以上であれば実用上問題ないといえる。
A:常態のサンプル及び60℃1週間保管のサンプルともに白化なし
B:常態のサンプルで白化なし、60℃1週間保管のサンプルで薄く白化
C:常態のサンプルで薄く白化、60℃1週間保管のサンプルで白化
D:常態のサンプルで白化
(ヒートシール及び成型後の絶縁性(ヒートシール・成型絶縁))
外装材を120mm×200mmにカットしたサンプル40を、シーラント層が成型機の凸部に接するように冷間成型用金型にセットし、成型速度15mm/secで2.0mmの深絞りを行って深絞り部41を形成した後、120mm×100mmに2つ折りにした(図7(a)を参照)。次いで、タブ42とタブシーラント43とを間に挟んだ状態で100mmの上辺部44をヒートシールした後(図7(b)を参照)、120mmの側辺部45をヒートシールして製袋した(図7(c)を参照)。その後、電極を接触させるために、サンプル40の外層の一部を削って金属箔層の露出部46を形成した(図7(d)を参照)。次いで、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPFを1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、100mmの下辺部47をヒートシールにて封止した(図7(e)を参照)。次いで、60℃のオーブンに1週間保管した後、タブ42と金属箔層の露出部46に電極48a,48bをそれぞれ接続し、耐電圧・絶縁抵抗試験器(KIKUSUI製、「TOS9201」)を用いて25Vを印加し、そのときの抵抗値を測定した(図7(f)を参照)。金型には、成型エリアが80mm×70mm(角筒型)、パンチコーナーラジアス(RCP)が1.0mmのものを用いた。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:抵抗値が200MΩ超
B:抵抗値が100MΩ以上200MΩ以下
C:抵抗値が30MΩ以上100MΩ未満
D:抵抗値が30MΩ未満
(デガッシングヒートシール後の絶縁性(デガス絶縁))
外装材を75mm×150mmにカットしたサンプル50を37.5mm×150mmに2つ折りにした(図8(a)を参照)。次いで、タブ52とタブシーラント53とを間に挟んだ状態で37.5mmの上辺部54をヒートシールした後(図8(b)を参照)、150mmの側辺部55をヒートシールして製袋した(図8(c)を参照)。その後、電極を接触させるために、サンプル50の外層の一部を削って金属箔層の露出部56を形成した(図8(d)を参照)。次いで、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPFを1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、37.5mmの下辺部57をヒートシールにて封止した(図8(e)を参照)。その後、このパウチを平置きした状態で、60℃で24時間放置し、電解液を含んだ状態でパウチ中央部58を190℃、0.3MPa(面圧)、2secでデガッシングヒートシールした。次いで、タブ52と金属箔層の露出部56に電極59a,59bをそれぞれ接続し、耐電圧・絶縁抵抗試験器(KIKUSUI製、「TOS9201」)を用いて25Vを印加し、そのときの抵抗値を測定した(図8(f)を参照)。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:抵抗値が200MΩ超
B:抵抗値が100MΩ以上200MΩ以下
C:抵抗値が30MΩ以上100MΩ未満
D:抵抗値が30MΩ未満
(総合品質)
上記各評価の結果を表2に示す。下記表2において、各評価結果にD評価がないものは、総合的な品質が優れていると言える。
Figure 2018060758
表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜24の外装材は、ヒートシール、成型、及びデガッシングヒートシール後の絶縁性に優れることが確認された。さらに、実施例1〜24の外装材は、シーラント層中のフィッシュアイの数が少なく、高速加工性、電解液ラミネート強度、電解液ヒートシール強度、高温ヒートシール強度、デガッシングヒートシール強度、成型白化においても十分な性能を有していること、並びに、ヒートシール及び成型後の絶縁性にも優れることが確認された。
さらに、実施例1〜4及び比較例1を比較すると、シーラント層に超高分子量ポリオレフィンを加えることでデガッシングヒートシール後の絶縁性が向上し、添加量を増やすことによりさらに向上したことが確認できる。一方、AL側層への超高分子量ポリオレフィンの添加量を増やしすぎないことにより、電解液ラミネート強度の低下が抑制できたことが確認できる。
実施例5〜8及び比較例1を比較すると、超高分子量ポリオレフィンを最内層に加えることで、発泡起点は完全には押さえ込めないものの、添加量を増やすことにより、デガッシングヒートシール後の絶縁性が向上したことが確認できる。
実施例9〜13及び実施例1〜8を比較すると、超高分子量ポリオレフィンをAL側層と最内層の両方に加えることによってもデガッシングヒートシール後の絶縁性が向上したことが確認できる。
実施例14〜16を比較すると、シーラント層が3層以上からなる場合に、よりAL側に近い超高分子量ポリオレフィンを加えることにより、デガッシングヒートシール後の絶縁性が向上しやすかったことが確認できる。
実施例17〜19及び実施例3を比較すると、加える超高分子量ポリオレフィンの種類によって、デガッシングヒートシール後の絶縁性以外の評価において差が生まれたことが確認できる。
実施例20及び実施例3を比較すると、AL側層のベース樹脂組成物を変更することにより、デガッシングヒートシール後の絶縁性以外の評価において差が生まれたことが確認できる。
実施例21及び実施例3を比較すると、腐食防止処理層の組成の違いにより、絶縁性以外の評価において差が生まれたことが確認できる。実施例22及び実施例3を比較すると、高速加工性、フィッシュアイの数、高温シール強度以外の全ての評価において差が生まれたことが確認できる。
実施例23〜24の評価結果から、ドライラミネート手法によりシーラント層を設けた場合にも、同様に性能が向上し得ることが確認できる。接着剤の種類により評価に差が生まれたことが確認できる。
比較例2では、加える超高分子量ポリオレフィンの重量平均分子量が大きく、高速加工性が低下し、シーラント層中のフィッシュアイの数が増加したことが確認できる。その結果、電池製造工程における特性評価をすることができなかった。
10,20,30…蓄電装置用外装材、11…基材層、12…第一の接着剤層、13…金属箔層、14…腐食防止処理層、16…シーラント層、16a…第一のシーラント層、16b…第二のシーラント層、16c…第三のシーラント層、17…第二の接着剤層、40…サンプル、41…深絞り部、42…タブ、43…タブシーラント、44…上辺部、45…側辺部、46…金属箔層の露出部、47…下辺部、48a,48b…電極、50…サンプル、52…タブ、53…タブシーラント、54…上辺部、55…側辺部、56…金属箔層の露出部、57…下辺部、58…中央部、59a,59b…電極、S1…シール部、S2…デガッシングヒートシール部。

Claims (10)

  1. 少なくとも基材層、一方又は両方の面に腐食防止処理層が設けられた金属箔層、及びシーラント層をこの順で備える蓄電装置用外装材であって、
    前記シーラント層が、2.0×10〜1.0×10の重量平均分子量を有する超高分子量ポリオレフィンを含む、蓄電装置用外装材。
  2. 前記シーラント層中の前記超高分子量ポリオレフィンの含有量が、前記シーラント層の総質量を基準として、5.0〜50.0質量%である、請求項1に記載の蓄電装置用外装材。
  3. 前記シーラント層が複数の層からなり、そのうちの少なくとも一層が前記超高分子量ポリオレフィンを含む層である、請求項1又は2に記載の蓄電装置用外装材。
  4. 前記シーラント層が複数の層からなり、そのうちの前記金属箔層に最も近い層が前記超高分子量ポリオレフィンを含む層である、請求項1又は2に記載の蓄電装置用外装材。
  5. 前記金属箔層に最も近い層が、酸変性ポリプロピレンと、アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体と、をさらに含む層である、請求項4に記載の蓄電装置用外装材。
  6. 前記超高分子量ポリオレフィンが超高分子量ポリプロピレンを含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
  7. 前記超高分子量ポリプロピレンが超高分子量ランダムポリプロピレンを含有する、請求項6に記載の蓄電装置用外装材。
  8. 前記金属箔層と前記シーラント層との間に接着剤層をさらに備え、
    前記接着剤層が、酸変性ポリオレフィンと、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基−を有する化合物及びカルボジイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硬化剤と、を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
  9. 前記腐食防止処理層が、酸化セリウムと、該酸化セリウム100質量部に対して1〜100質量部のリン酸又はリン酸塩と、カチオン性ポリマーと、を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
  10. 前記腐食防止処理層が、前記金属箔層に化成処理を施して形成されている、又は、前記金属箔層に化成処理を施して形成されており、且つ、カチオン性ポリマーを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
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