JP2018059086A - 粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、上記先行技術の粒子はいずれも、上述したような用途に使用される場合、その粒子形状を維持する必要がある。実際、上記特許文献2および3は、抗体が粒子に共有結合している安定な構造を有する粒子を開示している。一方、本発明の粒子は、その粒子形状を維持する必要はなく、むしろ、粒子の崩壊により有効成分を放出するものである。
また、上記特許文献2および3は、抗体を粒子に共有結合させており、抗体が粒子から遊離しないように処理していることからも明らかなように、有効成分を粒子から放出させるという本発明の技術思想を開示していない。
さらに、特許文献2および3の粒子は、粒子の製造後に粒子が抗体で処理されていることからも明らかなように、粒子表面に抗体が付着しているのであって、粒子内部に抗体を含む本発明の粒子と異なり、粒子内部に抗体が含まれるものではないことが理解できる。特許文献2および3の粒子の用途である診断に着目してみても、抗体はイムノアッセイを達成できるように粒子表面に付着していることが明らかである。なぜならば、粒子内部に抗体が含まれる場合、抗体が目的物質と結合できず、診断のために抗体を用いたそもそもの目的であるイムノアッセイが達成できないことになるためである。
具体的には、特許文献1〜3の方法はいずれもヒト等の動物に毒性を示し得る銅を利用しており、製造された粒子は銅を含み得ることから、製造された粒子は安全性が高く高品質を要求される製品(例、医薬品、医薬部外品、化粧品)には不向きであると考えられる。一方、本発明の方法は銅を利用せず、製造された粒子は銅を含み得ないことから、かかる方法により得られる本発明の粒子は、安全性が高く高品質の要求を満たし易いという利点を有する。
また、特許文献1〜3の方法はいずれも、中和および再生の操作を必要とする。よって、特許文献1〜3の方法は、遠心分離およびデカンテーションを複数回繰り返す必要があり、操作が煩雑である。さらに、特許文献1〜3の方法はいずれも、粒子の形成のため、高圧ホモジナイザー処理という強力なエネルギーを要求する操作を必要とする。一方、本発明の方法によれば、中和および再生の操作、ならびに強力なエネルギーを要求する操作を必要とし得ないことから、粒子を簡便に製造できるという利点を有する。
また、特許文献4の方法では、粒子の調製において界面活性剤(ソルビタンモノオレート)を使用していること、および界面活性剤が粒子から除去されていないことを考慮すると、調製された粒子には界面活性剤が混入していると考えられる。しかし、界面活性剤の混入は、界面活性剤に起因する刺激性を伴い得るため、生体(例、皮膚)への適用上望ましいものではない。
さらに、特許文献4の方法では、粒子の調製においてヘキサンを使用しているため、最終製品に、残留有機溶媒としてヘキサンが混入し易いと考えられる。しかし、ヘキサンは発がん性が疑われていること、および各種規制(例、排水基準、労働安全衛生法による残留有機溶媒の基準)が存在することから、ヘキサンの使用を避けることが望まれる。
また、特許文献5の方法では、粒子の調製における中和に起因して粒子含有溶液中に塩が残存し易いことから、調製した粒子が塩によって静電反発力が弱くなって凝集し易くなり、また、この粒子を用いて乳化物を調製すると塩濃度の高さによって乳化破壊を引き起こしやすくなると考えられる。
さらに、特許文献5には、粒子が皮膚に適用されることが記載されているが、粒子が皮膚を透過することは記載されていない。
また、特許文献6には、油性相のカプセル化が記載されていることから、疎水性有効成分が粒子内部に含まれるかもしれないものの、水溶性有効成分が粒子内部に含まれることは記載されていない。
さらに、特許文献6には、ナノ粒子における日焼け防止剤の有無による効果の相違(保護指数)が記載されているにとどまり、ナノ粒子が皮膚透過作用を有することは示されてない。
また、特許文献8には、粒子が皮膚を透過することは記載されていない。
また、特許文献9において、「ポリマーなし」の条件下で表皮中の有効成分%が向上したことに照らすと、皮膚透過作用においてはポリマーの使用が所望されないことが記載されているといえる。
また、特許文献10では、粒子の外用用途(例、化粧料)は記載されていない。
さらに、特許文献10では、粒子の調製において水性界面活性剤を使用していること、および水性界面活性剤が粒子から除去されていないことを考慮すると、調製された粒子には水性界面活性剤が混入していると考えられる。しかし、水性界面活性剤の混入は、水性界面活性剤に起因する刺激性(例、肌荒れ)を伴い得るため、生体(例、皮膚)への適用上望ましいものではない。
〔1〕以下の特性を有する、粒子:
(a)セルロース誘導体および有効成分を含む;
(b)有効成分が粒子内部に含まれる;ならびに
(c)体積分布平均粒子径が1〜1000nmである。
〔2〕以下、(i)〜(iii)からなる群より選ばれる1以上の性質を有する、〔1〕の粒子:
(i)粒子膜上の水の接触角が、20〜70度である;
(ii)ポリスチレン基板上の水の接触角に対する、粒子膜上の水の接触角の比率が、0.2〜0.9の範囲内である;
(iii)電気泳動による移動度の絶対値が2μmcm/Vs以上である。
〔3〕粒子が2種以上のセルロース誘導体の混合物を含む、〔1〕または〔2〕の粒子。
〔4〕セルロース誘導体が、R−またはR−C(=O)−(式中、Rは、置換されていてもよい炭化水素基を示す。)の置換基を有するセルロース誘導体である、〔1〕〜〔3〕のいずれかの粒子。
〔5〕前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロースまたはそのエステル誘導体である、〔4〕の粒子。
〔6〕粒子がセルロース誘導体およびセルロース誘導体以外のポリマーの混合物を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかの粒子。
〔7〕セルロース誘導体以外のポリマーが、置換されていてもよい2価の炭化水素基をモノマー単位として含むポリマーである、〔6〕の粒子。
〔8〕置換されていてもよい2価の炭化水素基が、置換されていてもよいアルキレンである、〔7〕の粒子。
〔9〕置換されていてもよいアルキレンが、置換されていてもよいエチレンである、〔8〕の粒子。
〔10〕セルロース誘導体以外のポリマーが、メタクリル酸コポリマーである、〔6〕〜〔9〕のいずれかの粒子。
〔11〕前記混合物が、親水性ポリマーおよび疎水性ポリマーの混合物である、〔3〕〜〔10〕のいずれかの粒子。
〔12〕有効成分が低分子化合物である、〔1〕〜〔11〕のいずれかの粒子。
〔13〕粒子の重量に対する有効成分量が0.01〜80%(wt)である、〔1〕〜〔12〕のいずれかの粒子。
〔14〕粒子の重量に対する有効成分量が0.1〜15%(wt)である、〔1〕〜〔13〕のいずれかの粒子。
〔15〕〔1〕〜〔14〕のいずれかの粒子を含む、有効成分の生体組織透過剤。
〔16〕生体組織が皮膚である、〔15〕の剤。
〔17〕生体組織が角層である、〔15〕または〔16〕の剤。
〔18〕粒子の製造方法であって、
(i)セルロース誘導体を含む有機溶媒と(ii)水溶液とを、有機溶媒および水溶液の混合液としてW/O型分散液が形成されるように混合して、粒子を析出させることを含み、
有効成分が、有機溶媒または水溶液に含まれており、
粒子が、以下の特性を有する、方法:
(a)セルロース誘導体および有効成分を含む;
(b)有効成分が粒子内部に含まれる;ならびに
(c)体積分布平均粒子径が1〜1000nmである。
〔19〕水溶液が有効成分を含む、〔18〕の方法。
〔20〕(i’)第1ポリマーを含む有機溶媒と(ii’)有効成分および第2ポリマーの双方を含む水溶液とを、有機溶媒および水溶液の混合液としてW/O型分散液が形成されるように混合して、前記粒子を析出させることを含む、〔19〕の方法。
〔21〕混合が、前記混合液の状態がO/W型分散液からW/O型分散液に変化する条件下で行われる、〔18〕〜〔20〕のいずれかの方法。
(a)セルロース誘導体および有効成分を含む;
(b)有効成分が粒子内部に含まれる;ならびに
(c)体積分布平均粒子径が1〜1000nmである。
(i)ハロゲン原子、カルボキシ、スルホ、シアノ、ニトロ、メルカプト、オキソ、もしくはグアニジノ;
(ii)R1−、R1−O−、R1−C(=O)−、R1−O−C(=O)−、もしくはR1−C(=O)−O−;または
(iii)NR2R3−、NR2R3−C(=O)−、NR2R3−C(=O)−O−、R2−C(=O)−NR3−、R2−O−C(=O)−NR3−。
アルキルとしては、炭素原子数1〜12のアルキルが好ましく、炭素原子数1〜6のアルキルがより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキルがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。炭素原子数1〜12のアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシルが挙げられる。
アルケニルとしては、炭素原子数2〜12のアルケニルが好ましく、炭素原子数2〜6のアルケニルがより好ましく、炭素原子数2〜4のアルケニルがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。炭素原子数2〜12のアルケニルとしては、例えば、ビニル、プロペニル、n−ブテニルが挙げられる。
アルキニルとしては、炭素原子数2〜12のアルキニルが好ましく、炭素原子数2〜6のアルキニルがより好ましく、炭素原子数2〜4のアルキニルがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。炭素原子数2〜12のアルキニルとしては、例えば、エチニル、プロピニル、n−ブチニルが挙げられる。
1価の鎖状炭化水素基としては、アルキルが好ましい。
シクロアルキルとしては、炭素原子数3〜12のシクロアルキルが好ましく、炭素原子数3〜6のシクロアルキルがより好ましく、炭素原子数5〜6のシクロアルキルがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。炭素原子数3〜12のシクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
シクロアルケニルとしては、炭素原子数3〜12のシクロアルケニルが好ましく、炭素原子数3〜6のシクロアルケニルがより好ましく、炭素原子数5〜6のシクロアルケニルがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。炭素原子数3〜12のシクロアルケニルとしては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルが挙げられる。
シクロアルキニルとしては、炭素原子数3〜12のシクロアルキニルが好ましく、炭素原子数3〜6のシクロアルキニルがより好ましく、炭素原子数5〜6のシクロアルキニルがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。炭素原子数3〜12のシクロアルキニルとしては、例えば、シクロプロピニル、シクロブチニル、シクロペンチニル、シクロヘキシニルが挙げられる。
1価の脂環式炭化水素基としては、シクロアルキルが好ましい。
1価の芳香族炭化水素基としては、フェニルが好ましい。
アルキレンとしては、炭素原子数1〜12のアルキレンが好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレンがより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキレンが特に好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキレンは、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖のアルキレンが好ましい。このようなアルキレンとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレンが挙げられる。
アルケニレンとしては、炭素原子数2〜12のアルケニレンが好ましく、炭素原子数2〜6のアルケニレンがより好ましく、炭素原子数2〜4のアルケニレンが特に好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルケニレンは、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖のアルケニレンが好ましい。このようなアルケニレンとしては、例えば、エチレニレン、プロピニレン、ブテニレン、ペンテニレン、へキセニレンが挙げられる。
アルキニレンとしては、炭素原子数2〜12のアルキニレンが好ましく、炭素原子数2〜6のアルキニレンがより好ましく、炭素原子数2〜4のアルキニレンが特に好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキニレンは、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖のアルキニレンが好ましい。このようなアルキニレンとしては、例えば、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、へキシニレンが挙げられる。
アリーレンとしては、炭素原子数6〜18のアリーレンが好ましく、炭素原子数6〜14のアリーレンがより好ましく、炭素原子数6〜10のアリーレンがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アリーレンとしては、例えば、フェニレン、ナフチレンが挙げられる。
有効成分の重量の測定は、当該分野で公知の任意の方法により行うことができる。このような方法としては、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光光度計(例、UV−VIS分光光度計)を用いた方法が挙げられる。また、有効成分の濃度は、本発明の粒子の製造において用いられる、有効成分を含む水溶液、または有効成分および第2ポリマーの双方を含む水溶液中の有効成分の濃度から評価することもできる。
体積分布平均粒子径の測定は、レーザー回折法により粒度分布を計測することにより行うことができる。好ましくは、レーザー回折法による粒度分布の計測は、レーザー回折式粒度分布計(Malvern Instruments Ltd.製、ZetasizerNanoS)を用いて行うことができる。
粒子膜上の水の接触角の測定は、以下のとおり行うことができる。先ず、本発明の粒子の膜(粒子膜)を得る。例えば、本発明の粒子を含む溶液をポリスチレン基板上に滴下し、適温(例、室温(27℃等))にて自然乾燥させて、ポリスチレン基板を完全に覆う本発明の粒子の膜(粒子膜)を得る。次に、このようにして得られた粒子膜に20μLの水滴を滴下した後、側面から画像を撮影する。その画像から接触角の値を計測する。
粒子膜上の水の接触角の測定は、上記と同様にして行うことができる。
ポリスチレン基板上の水の接触角の測定は、以下のとおり行うことができる。ポリスチレン基板上に20μLの水滴を滴下した後、粒子膜上の水の接触角の測定と同じ上記方法により、接触角の値を計測する。
粒子膜上の水の接触角の値をポリスチレン基板上の水の接触角の値で除算することにより、ポリスチレン基板上の水の接触角に対する、粒子膜上の水の接触角の比率を算出することができる。
電気泳動による本発明の粒子の電気泳動による移動度の測定は、1mM NaCl水溶液中の本発明の粒子を、ZetasizerNanoS(Malvern Instruments Ltd.製)を用いて、その移動度を解析することにより行うことができる。
溶液としては、例えば、水溶液、および有機溶媒が挙げられる。
水溶液としては、例えば、水(例、蒸留水、滅菌蒸留水、精製水、生理食塩水)、および緩衝液が挙げられる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris‐塩酸緩衝液、TE(Tris−EDTA)緩衝液、炭酸‐重炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、塩酸‐塩化カリウム緩衝液、グリシン‐塩酸緩衝液、グリシン‐水酸化ナトリウム緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸‐リン酸緩衝液、酢酸緩衝液が挙げられる。
有機溶媒は、後述するものと同様であり、好ましい範囲も同様である。
好ましくは、溶液は水溶液であり、水がより好ましい。
先ず、下記3種の溶液を調製した。
(1)ポリマー液1
ポリマー液1は、エチルセルロース(ダウケミカル社製、STD7FP。重量平均分子量:55,025)0.4gをアセトン30mLに溶解させることにより調製した。
(2)ポリマー液2
ポリマー液2は、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製、SL。重量平均分子量:100,000)0.1gを水15mLに溶解させることにより調製した。
(3)有効成分含有液
有効成分含有液は、トラネキサム酸(丸善製薬(株)製)0.1gを水1.5mLに溶解させることにより調製した。
実施例1のトラネキサム酸量を2.0gに変えて、かつトラネキサム酸を有効成分含有液に溶解した溶液を調製せずに、トラネキサム酸をポリマー液2に直接溶解させ、ポリマー液1とポリマー液2を用いた以外は実施例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表1を参照)。
先ず、下記3種の溶液を調製した。
(1)ポリマー液1
ポリマー液1は、エチルセルロース(ダウケミカル社製、STD7FP。重量平均分子量:55,025)8gをアセトン600mLに溶解させることにより調製した。
(2)ポリマー液2
ポリマー液2は、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製、SL。重量平均分子量:100,000)2gを水300mLに溶解させることにより調製した。
(3)有効成分含有液
有効成分含有液は、トラネキサム酸(丸善製薬(株)製)2gを水30mLに溶解させることにより調製した。
実施例1のエチルセルロースをヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(信越化学工業(株)、AS−MG。重量平均分子量:18,000)に、ポリマー液1のアセトンをメタノールに変えた以外は実施例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表1を参照)。
実施例1のエチルセルロースをヒプロメロースフタル酸エステル(信越化学工業(株)、HP−55。重量平均分子量:84,000)に変えた以外は実施例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表1を参照)。なお、用いたヒプロメロースフタル酸エステル(HP−55)は、pH溶解性≧5.5、表示粘度40mPa・s〔20℃におけるメタノール/ジクロルメタン溶液(1:1)の10%溶液粘度(日本薬局方)〕の特性を有する。
実施例1のエチルセルロースをメタクリル酸コポリマーS(エボニック社製、S−100。重量平均分子量:125,000)に変えた以外は実施例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表1を参照)。
実施例1の(3)有効成分含有液(トラネキサム酸0.1gを水1.5mLに溶解させたもの)を水1.5mLに変えた以外は実施例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表1を参照)。
実施例1〜6、および比較例1において測定された粒度分布の結果を表1に示す。
実施例1のトラネキサム酸0.1gを食用赤色3号(保土谷化学工業製)0.01gに変更した以外は実施例1と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された。
実施例3のトラネキサム酸を、L−アルギニン(味の素製)、L−ヒスチジン(味の素製)、グルタミルリジン(味の素製)、およびD−アラニン(東京化成工業製)からなる群より選ばれるいずれか一つの物質に変更した以外は実施例3と同様にして、実験を行った。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。
実施例3のトラネキサム酸を、L−バリン(味の素製)、L−グルタミン酸ナトリウム(味の素製)のいずれかの物質に、アセトンをメタノールに変更した以外は実施例3と同様にして、実験を行った。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。
実施例3のトラネキサム酸2gをピロリドンカルボン酸(PCA)ナトリウム塩50%(wt)水溶液(味の素製、NL−50)4gに変更した以外は実施例3と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された。
実施例7のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のグレードを下記表2に示すとおりに変更した以外は、実施例7と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された(表2)。
実施例7のエチルセルロース(EC)のグレードを下記表3に示すとおりに変更した以外は、実施例7と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された(表3)。
実施例4のヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(信越化学工業(株)、AS−MG)のグレードを下記表4に示すとおりに変更した以外は、実施例4と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された。
実施例6のメタクリル酸コポリマーS(エボニック社製、S−100)をメタクリル酸コポリマーL(エボニック社製、L100。重量平均分子量:125,000)に変更した以外は、実施例6と同様にして、実験を行った。その結果、メタクリル酸コポリマーL(L100)では平均粒子径747nmの粒子の形成が確認された。
(1)疎水性ポリマーを含まない有機溶媒の使用
実施例1のトラネキサム酸0.1gを食用赤色3号(保土谷化学工業製)0.01gにし、エチルセルロースを使用しなかった他は、実施例1と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成は確認されなかった。
以上より、疎水性ポリマーを含まない有機溶媒(ポリマー液1の代わりの非ポリマー液)、および親水性ポリマーを含む水溶液(ポリマー液2)を用いた場合には、粒子が形成されないことが確認された。
(2)親水性ポリマーを含まない水溶液の使用
実施例1のトラネキサム酸0.1gを食用赤色3号(保土谷化学工業製)0.01gにし、ヒドロキシプロピルセルロースを使用しなかった他は、実施例1同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された(動的光散乱測定結果:平均粒子径217nm)。
以上より、疎水性ポリマーを含む有機溶媒(ポリマー液1)、および親水性ポリマーを含まない水溶液(ポリマー液2の代わりの非ポリマー液)を用いた場合には、粒子が形成されることが確認された。
実施例1のトラネキサム酸0.1gを食用赤色3号(保土谷化学工業製)0.01gに、ポリマー液2および有効成分含有液の混合液をポリマー液1に滴下することに変更した以外は実施例1と同様にして、実験を行った。本実験条件では、多量の有機溶媒に少量の水溶液を添加しているので、実施例1で確認された、O/W型分散液からW/O型分散液への状態の変化を伴わない。その結果、上記状態の変化を伴わずとも、粒子の形成が確認された。
実施例1のトラネキサム酸に代えて、4−ヒドロキシ安息香酸メチル(メチルパラベン、純正化学製)、ミノキシジル(東京化成製)、またはジヒドロキシカプシエイト(味の素製)のいずれかの有効成分を、有効成分含有液の調製をせずにポリマー液1に溶解した以外は、実施例1と同様にして、実験を行った。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。また、有効成分を水溶液ではなく有機溶媒(ポリマー液1)に溶解させることにより、有効成分を含有する粒子が得られることが確認された。
先ず、実施例3で調製した粒子液を遠心分離機(日立工機(株)製、CF−15RN)で15分間遠心加速度21500×gで遠心分離後、取り除いた上澄みと同量の水を加えて再分散させる洗浄操作を実施し、精製粒子液を得た。この精製粒子液の一部について、再度遠心分離にて洗浄液と粒子を分離し、粒子部分からメタノールを含む高速クロマトグラフの移動相等でトラネキサム酸を抽出した液を分析して、粒子中のトラネキサム酸量をあらかじめ求めた。その結果、粒子の重量に対するトラネキサム酸量は、6%(wt)であった。
試験例1の遠心精製に用いた粒子液を実施例4で調製した粒子液に変えた以外は試験例1と同様に表皮モデル透過性を評価した(下記の表5を参照)。
試験例1の精製粒子液を4mg/mLトラネキサム酸水溶液に変えた以外は試験例1と同様に表皮モデル透過性を評価した(下記の表5を参照)。
試験例1の遠心精製に用いた粒子液を比較例1で調製した粒子液に変え、トラネキサム酸量として0.2mgを後から添加した以外は試験例1と同様に表皮モデル透過性を評価した(下記の表5を参照)。
試験例1、2、および比較試験例1、2において24時間後の透過量の結果を表5に示す。
実施例3で得られた粒子液を自然乾燥させて走査型電子顕微鏡で観察した外観より、実施例3で得られた粒子の表面が硬質であり、また、当該粒子が真球状であることが確認された(図2)。
(1)非凍結条件下での保存性の評価
実施例1〜20で調製した粒子液は、冷蔵(4℃)にて1.5年保存後も凝集することなく粒子状態を維持していた。よって、本発明の粒子は、保存性に優れることが確認された。
(2)凍結乾燥後の粒子分散能の評価
実施例3で調製した粒子液を攪拌減圧吸引によって、水を10分の1に減らし、凍結乾燥して粉体を得た。この粉体を再度固形分濃度3%(wt)になるように水に分散させたところ元通りの粒子液になることを確認した。
(3)スプレードライ後の粒子分散能の評価
実施例3で調製した粒子液を攪拌減圧吸引によって、水を10分の1に減らし、スプレードライ(日本ビュッヒ製B−290)して粉体を得た。この粉体を再度固形分濃度3%(wt)になるように水に分散させたところ元通りの粒子液になることを確認した。
上述したように得られた粒子15、16、17について、試験例1、2、比較試験例1、2と同様の方法において、表皮モデル透過性の評価を行った。その結果、有効成分を含有するこれらの粒子は、表皮モデルにおいて、有効成分の単純溶液よりも透過性が高いことが確認された。
実施例7のポリマー液1のエチルセルロース0.4gをポリ乳酸グリコール酸ブロック共重合体(PLGA5015、和光純薬製)、セタノール(NAA−44、日油製)、白色ワセリン(小城製薬製)、カスターワックス(日油製)、ステアリルアルコール(NAA−45、日油製)、ステアリン酸(NAA−180P−1、日油製)、プロピレングリコールカプリル酸エステル(SEFSOL−218、日光ケミカルズ製)、プロピレングリコールジカプリル酸エステル(SEFSOL−228、日光ケミカルズ製)、親油型モノオレイン酸グリセリン(MGO、日光ケミカルズ製)、親油型モノステアリン酸グリセリン(MGS−AMV、日光ケミカルズ製)、親油型モノステアリン酸グリセリン(MGS−BMV、日光ケミカルズ製)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(CDS−6000P、日光ケミカルズ製)、ショ糖脂肪酸エステル(L−595、三菱化学フーズ製)、ショ糖脂肪酸エステル(S−570、三菱化学フーズ製)、ショ糖脂肪酸エステル(S−770、三菱化学フーズ製)、ステアリン酸ポリオキシル40(NIKKOL MYS−40MV、日光ケミカルズ製)、セトマクロゴール1000(NIKKOL BC−23、日光ケミカルズ製)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プロノン#188、日油製)、ポビドン(K−30、BASF製)、コポリビドン (VA64、BASF製)、飽和ポリグリコール化グリセリド(Gelucire50/13、Gattefosse製)、PEG20000(和光純薬工業製)、ポリビニルアルコール(JMP−10L、日本酢ビ・ポバール製)、ポリビニルアルコール(LL−810、日本酢ビ・ポバール製)、ポリビニルアルコール(LL−920、日本酢ビ・ポバール製)、ポリビニルアルコール(LL−940、日本酢ビ・ポバール製)0.1gに、アセトン30mLを15mLに、ポリマー液2のヒドロキシプロピルセルロース0.1gをポリビニルアルコール(EG−05、日本合成化学工業製)0.6gに、水15mLを30mLに変更し、ポリソルベート80を0.13g加えた以外は、実施例7と同様に、実験を行った(表6、7)。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。しかしながら、3次元培養表皮モデルを用いた透過性の評価にて、24時間以内に透過性を示さなかった。
比較例2のポリマー液1のアセトンに代えて、水を用いた以外は、比較例2と同様に、実験を行った(表8)。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。しかしながら、3次元培養表皮モデルを用いた透過性の評価にて、24時間以内に透過性を示さなかった。
比較例2のポリマー液2のポリビニルアルコールに代えて、ポビドン(K−90、BASF製)、PEG6000(和光純薬工業製)のいずれかの成分を用いた以外は、比較例2と同様に、実験を行った(表8)。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。しかしながら、3次元培養表皮モデルを用いた透過性の評価にて、24時間以内に透過性を示さなかった。
Claims (21)
- 以下の特性を有する、粒子:
(a)セルロース誘導体および有効成分を含む;
(b)有効成分が粒子内部に含まれる;ならびに
(c)体積分布平均粒子径が1〜1000nmである。 - 以下、(i)〜(iii)からなる群より選ばれる1以上の性質を有する、請求項1記載の粒子:
(i)粒子膜上の水の接触角が、20〜70度である;
(ii)ポリスチレン基板上の水の接触角に対する、粒子膜上の水の接触角の比率が、0.2〜0.9の範囲内である;
(iii)電気泳動による移動度の絶対値が2μmcm/Vs以上である。 - 粒子が2種以上のセルロース誘導体の混合物を含む、請求項1または2記載の粒子。
- セルロース誘導体が、R−またはR−C(=O)−(式中、Rは、置換されていてもよい炭化水素基を示す。)の置換基を有するセルロース誘導体である、請求項1〜3のいずれか一項記載の粒子。
- 前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロースまたはそのエステル誘導体である、請求項4記載の粒子。
- 粒子がセルロース誘導体およびセルロース誘導体以外のポリマーの混合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の粒子。
- セルロース誘導体以外のポリマーが、置換されていてもよい2価の炭化水素基をモノマー単位として含むポリマーである、請求項6記載の粒子。
- 置換されていてもよい2価の炭化水素基が、置換されていてもよいアルキレンである、請求項7記載の粒子。
- 置換されていてもよいアルキレンが、置換されていてもよいエチレンである、請求項8記載の粒子。
- セルロース誘導体以外のポリマーが、メタクリル酸コポリマーである、請求項6〜9のいずれか一項記載の粒子。
- 前記混合物が、親水性ポリマーおよび疎水性ポリマーの混合物である、請求項3〜10のいずれか一項記載の粒子。
- 有効成分が低分子化合物である、請求項1〜11のいずれか一項記載の粒子。
- 粒子の重量に対する有効成分量が0.01〜80%(wt)である、請求項1〜12のいずれか一項記載の粒子。
- 粒子の重量に対する有効成分量が0.1〜15%(wt)である、請求項1〜13のいずれか一項記載の粒子。
- 請求項1〜14のいずれか一項記載の粒子を含む、有効成分の生体組織透過剤。
- 生体組織が皮膚である、請求項15記載の剤。
- 生体組織が角層である、請求項15または16記載の剤。
- 粒子の製造方法であって、
(i)セルロース誘導体を含む有機溶媒と(ii)水溶液とを、有機溶媒および水溶液の混合液としてW/O型分散液が形成されるように混合して、粒子を析出させることを含み、
有効成分が、有機溶媒または水溶液に含まれており、
粒子が、以下の特性を有する、方法:
(a)セルロース誘導体および有効成分を含む;
(b)有効成分が粒子内部に含まれる;ならびに
(c)体積分布平均粒子径が1〜1000nmである。 - 水溶液が有効成分を含む、請求項18記載の方法。
- (i’)第1ポリマーを含む有機溶媒と(ii’)有効成分および第2ポリマーの双方を含む水溶液とを、有機溶媒および水溶液の混合液としてW/O型分散液が形成されるように混合して、前記粒子を析出させることを含む、請求項19記載の方法。
- 混合が、前記混合液の状態がO/W型分散液からW/O型分散液に変化する条件下で行われる、請求項18〜20のいずれか一項記載の方法。
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