JP2018058983A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐熱性及び、機械的、電気的特性を維持しながら、長期熱エージング(例えば、150℃、500時間)後の表面平滑性、電気的特性が低下しにくいポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)ポリフェニレンエーテルを含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であって、大気雰囲気下、145℃の条件で静置するエージング処理をした後の、JIS K7160に準拠して測定される引張衝撃強さの半減期が500時間以上であり、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる縦12.6cm、横1.3cm、厚み1.6mmの成形品の、大気雰囲気下、150℃の条件で1000時間静置するエージング処理前後における、クロロホルム不溶分の変化率が、15質量%以下であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE」ともいう。)系樹脂をベースとする樹脂組成物は、耐熱性、電気特性、寸法安定性、耐衝撃性、低比重性等の特長を有し、各種の電気・電子部品、事務機器部品、自動車部品、建材、その他各種外装材や工業用品等の用途に広範に利用されている。
近年では、部品の小型化、高性能化により、短期特性に加え長期特性も要求されており、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、高温環境下に長時間置かれた際の機械的強度低下を抑制すること、具体的には140℃以上の高温エージングにおける物性の半減期を長くすること(例えば、500時間以上にのばすこと)が要求されている。長期の熱暴露において、影響を大きく受ける物性は、耐衝撃強度であり、機械物性の中で最も高温環境下における低下が早いことが分かっている。
これまでに開発されたポリフェニレンエーテルの熱安定性を高める方法として、ビニル化合物の添加によりポリフェニレンエーテル末端を安定化させる技術(特許文献1参照)、環化末端を形成し、熱安定性を高める技術(特許文献2参照)等が紹介されている。
特許第2925646号公報 特許第3052256号公報
しかしながら、上記のPPE系樹脂組成物は、低温長期、又は高温短期のエージング特性の改良は可能であるが、135℃以上等の高温の長期エージングにおいても、機械物性が一層変化しにくく、表面粗度の増加による外観不良を一層起こしにくく、電気的特性が一層低下しにくくするという、更なる改良が求められていた。
そこで、本発明は、耐熱性及び、機械的、電気的特性を維持しながら、長期熱エージング(例えば、150℃、500時間)後の表面平滑性、電気的特性が低下しにくいポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
(A)ポリフェニレンエーテルを含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であって、
大気雰囲気下、145℃の条件で静置するエージング処理をした後の、JIS K7160に準拠して測定される引張衝撃強さの半減期が500時間以上であり、
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる縦12.6cm、横1.3cm、厚み1.6mmの成形品の、大気雰囲気下、150℃の条件で1000時間静置するエージング処理前後における、クロロホルム不溶分の変化率が、15質量%以下である
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[2]
前記(A)ポリフェニレンエーテルが、温度280℃以上で熱溶融した後のポリフェニレンエーテルの転位率が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり0.2個以下である、[1]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[3]
前記(A)ポリフェニレンエーテルが、下記式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含む、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
Figure 2018058983
Figure 2018058983
(式(1)及び(2)のXは、
Figure 2018058983
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、炭素数1以上の置換基である。)
Figure 2018058983
(式(3)中のXは、
Figure 2018058983
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、及びアリールアミノ基からなる群から選ばれる基であり、R及びRは、それらに含まれる炭素原子が互いに結合して環状構造を形成してもよい。但し、式(3)は、芳香環の二重結合以外に炭素−炭素の二重結合を実質的に有さない。)
[4]
前記式(1)及び前記式(2)の前記Xが、
Figure 2018058983
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、炭素数1以上の置換基である、[3]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[5]
前記(A)ポリフェニレンエーテルが、前記(A)ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択されるいずれかの構造のユニットを、0.01〜10.0個有する、[3]又は[4]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[6]
前記式(2)で表される構造のユニットに対する、前記式(1)で表される構造のユニットのモル割合が、0〜30モル%である、[3]〜[5]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[7]
前記(A)ポリフェニレンエーテルが、前記式(1)及び/又は(2)で表される構造のユニットと、前記式(3)で表される構造のユニットとを含む、[3]〜[6]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[8]
更に、(B)縮合リン酸金属塩を含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[9]
更に、(C)酸化防止剤を含有し、
前記(C)成分の含有量が、前記(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1〜4.0質量部である、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
本発明によれば、耐熱性及び、機械的、電気的特性を維持しながら、長期熱エージング(例えば、150℃、500時間)後の表面平滑性、電気的特性の低下を抑制できるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンエーテルを含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であって、大気雰囲気下、145℃の条件で静置するエージング処理をした後の、JIS K7160に準拠して測定される引張衝撃強さの半減期が500時間以上であり、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる縦12.6cm、横1.3cm、厚み1.6mmの成形品の、大気雰囲気下、150℃の条件で1000時間静置するエージング処理前後における、クロロホルム不溶分の変化率が、15質量%以下である。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、実用上良好な耐熱性、機械物性、電気的特性を有し、長期間高温環境下に暴露された場合においても、機械物性が低下しにくい。さらに、長期間高温環境下に暴露された場合においても、表面平滑性、電気的特性の低下を抑制できる。
上記の物性は、例えば、長期間高温にさらされた場合であってもポリフェニレンエーテルの劣化を抑制すること等により達成できる。ポリフェニレンエーテルの劣化を抑制する手段としては、特に限定されないが、例えば、熱溶融時に転位反応したPPEを低減させるため、PPEの末端及び/又は側鎖等の被酸化部位を特定の反応性化合物で変性すること等の手段が挙げられる。
上記に加え、PPEの劣化を抑制できる特定の化合物を更に含有することが好ましい。
本実施形態のPPE系樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンエーテルに加え、更に、任意選択的に、(B)縮合リン酸金属塩、(C)酸化防止剤、(D)スチレン系樹脂、(E)エラストマー成分、その他の成分等を含んでいてもよい。
[(A)ポリフェニレンエーテル]
本実施形態のPPE系樹脂組成物に用いられる(A)ポリフェニレンエーテル(以下、単に「PPE」とも称す)は、下記式(4)及び/又は式(5)で表される繰り返し単位(構造のユニット)を有する単独重合体、共重合体、これらの変性物である。
Figure 2018058983
Figure 2018058983
(式(4)及び(5)中、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜9のアリール基、又はハロゲン原子を表す。但し、R、Rは同時に水素原子ではない。)
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル共重合体とは、上記式(4)及び/又は式(5)で表される繰り返し単位を主たる繰返し単位とする共重合体である。
その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等が挙げられる。
(A)ポリフェニレンエーテルの中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
(A)ポリフェニレンエーテル鎖中には、上記式(4)においてR、Rがそれぞれメチル基である構造(後述のように、当該構造から導かれる構造を含む)が少なくとも一部含まれていることが好ましい。
(A)ポリフェニレンエーテルでは、末端OH基濃度が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、0.6〜10.0個であることが好ましく、1.0〜1.8個であることが更に好ましい。
なお、PPEの末端OH基濃度は、NMR測定により算出することができる。
(A)ポリフェニレンエーテルの還元粘度(単位dL/g、クロロホルム溶液、30℃測定)は、好ましくは0.25〜0.6の範囲、より好ましくは0.35〜0.55の範囲である。
また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは10000以上、より好ましくは14000以上であり、また、好ましくは20000以下、より好ましくは19000以下である。この分子量範囲にあることで、難燃性、流動性、フィラーとの密着性等のバランスに優れる。
(A)ポリフェニレンエーテルは一般に粉体として入手でき、粒子サイズとしては、重量平均粒子径で、1〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは10〜700μmであり、特に好ましくは100〜500μmである。加工時の取り扱い性の観点から、1μm以上が好ましく、溶融混練り未溶融物の発生を抑制するためには1000μm以下が好ましい。
本明細書において、重量平均粒子径とは、ミクロ型電磁振動ふるい器(目の開き1700μm〜46μmの10段階のメッシュ)にて30分間篩い分けし、重量累積粒度分布の50%径を計算した値をいう。
(A)ポリフェニレンエーテルは、変性させたポリフェニレンエーテル(本明細書において、「変性PPE」と称する場合がある。)であることが好ましい。上記変性PPEとしては、熱溶融時のPPEの分子内転位を抑制する観点から、下記式(1)、
Figure 2018058983
下記式(2)、
Figure 2018058983
(式(1)及び(2)のXは、
Figure 2018058983
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、炭素数1以上の置換基である)、並びに下記式(3)
Figure 2018058983
(式(3)中のXは、
Figure 2018058983
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、及びアリールアミノ基からなる群から選ばれる基であり、R及びRは、それらに含まれる炭素原子が互いに結合して環状構造を形成してもよい(但し、式(3)は、芳香環の二重結合以外に炭素−炭素の二重結合を実質的に有さない。))からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むことが好ましく、耐熱エージング特性と成形品表面の外観を両立する観点から、上記において、上記式(1)及び上記式(2)の上記Xが、
Figure 2018058983
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、炭素数1以上の置換基であることがより好ましい。
上記変性させたポリフェニレンエーテルとしては、上記式(1)及び/又は(2)で表される構造のユニットと、上記式(3)で表される構造のユニットとを含むポリフェニレンエーテルがさらに好ましい。
上記X中のR、Rの構造としては、反応性官能基を有さない置換基が好ましい。反応性置換基を有する場合、樹脂組成物が長時間高温にさらされたときに、これらの反応性置換基が架橋反応を起こし、エージング後の物性低下の原因となり得るからである。ここで反応性置換基とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、カルボニル基等である。また、R、Rの構造としては、RとRが連結した構造(例えば、RとRとに含まれる炭素原子が互いに結合した環状構造(但し、式(3)は、芳香環の二重結合以外に炭素−炭素の二重結合を実質的に有さない。))や、構造中に窒素原子、酸素原子を含んでもよい。
、Rとしては、例えば、炭素数1〜30の鎖状又は環状アルキル基、アリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記X中の、R、Rの構造としては芳香環を除く炭素−炭素の二重結合を有さないアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基が好ましく、二つの置換基が連結した構造や、構造中に窒素原子、酸素原子を含んでも良い。
上記R、Rにおけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
また、上記R、Rにおけるアリール基としては、例えば、炭素数6〜30のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ナフチル基、トリチル基等が挙げられる。
また、上記アルキルアミノ基におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、オクチルアミノ基、ジオクチルアミノ基等が挙げられる。
また、上記アリールアミノ基におけるアリール基としては、例えば、上述と同様の基が挙げられ、具体的には、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジメチルフェニルアミノ基、トリメチルフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、トリチルアミノ基等が挙げられる。
式(3)で表される構造のユニットを有する変性PPEは、式(3)で表される末端構造のユニットに、芳香環の不飽和二重結合以外に炭素−炭素の二重結合を実質的に有さないことが好ましい。中でも、ポリフェニレンエーテル鎖中に、芳香環の不飽和二重結合以外に炭素−炭素の二重結合を実質的に有さないことが好ましい。炭素−炭素の二重結合は、熱による反応性の高い構造であり、高温状態に長時間さらすと、該炭素−炭素の二重結合が分子間、又は分子内架橋反応を起こし、耐熱エージング特性が低下してしまうことがある。
芳香環以外の炭素−炭素の二重結合の数は、後述の実施例に記載の条件で測定したH−NMR法で、3.5〜5.5ppmにあらわれる、前駆体ポリフェニレンエーテルとは異なるダブレットピークから測定することができる。なお、(A)ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、芳香環以外の炭素−炭素の二重結合を0.01個以上有する場合、後述の実施例に記載の条件で測定したH−NMRにより検出できる。
ここで、「式(3)で表される末端構造のユニットに、芳香環の不飽和二重結合以外に炭素−炭素の二重結合を実質的に有さない」とは、(A)ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、0.01個未満であることをいい、0.005個以下であることが好ましく、後述の実施例に記載の測定条件のH−NMRの3.5〜5.5ppmに、前駆体ポリフェニレンエーテルとは異なるダブレットピークが検出されないことがより好ましい。
ここで、(A)ポリフェニレンエーテルの作用・効果について説明する。
従来のポリフェニレンエーテルでは、熱溶融時にPPE分子内での転位反応が起こり、活性メチレンが生じることが知られている。この活性メチレンは、熱により酸化されやすく、分子の熱安定性を低下させていた。ここで、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルを例に説明をする。通常は、280℃以上の温度でPPEを熱溶融させ、押出・成形加工すると、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり0.41個程度の下記式(6)に示すような転位構造が生じる。
Figure 2018058983
(A)ポリフェニレンエーテルでは、温度280℃以上(例えば、280〜450℃)で熱溶融した後の転位率(PPEを構成するモノマーユニット100個あたりの、転位反応によって生じる活性メチレンの個数)を、100ユニットあたり0.2個以下とすることにより、機械物性に影響を与えることなく、長期の耐熱エージング性を一層向上することができる。上記転位率は、好ましくは100ユニットあたり0.17個以下、より好ましくは0.15個以下である。
上記転位率の範囲に調整するには、後述する変性PPEを用いることや、押出条件(例えば、滞留時間やスクリュの混練ゾーンの合計L/D等)を変更させる手法が挙げられる。
(転位率の算出方法)
上記転位率は、H−NMRを利用して定量することにより、算出できる。
H−NMRを測定した際、芳香環の3、5位の2Hは6.2〜6.8ppmに、転位により生じる活性化メチレンは3.85ppmに、それぞれ吸収ピークが現れる。よって、下記数式(I)により、転位率を算出することができる。
転位率(個)={(3.85ppmピークの積分値)÷(6.2〜6.8ppmピークの積分値)}×100 ・・・(I)
なお、芳香環の3、5位が水素原子以外の場合は、2位、6位のメチル基の6H(1.60〜2.40ppm)のピークを基準として求めることもできる。
また、上記転位率の範囲に調整する手段として変性ポリフェニレンエーテルを用いる場合の作用・効果について説明する。未変性のポリフェニレンエーテルでは、長時間高温にさらされた場合に、末端ユニットにあるメチル基(以下、「末端メチル基」とも称する。)、中間ユニットにあるメチル基(以下、「側鎖メチル基」とも称する。)、末端ユニットにある水酸基(以下、「末端水酸基」とも称する。)が酸化架橋反応を起こすことがあり、当該酸化架橋反応がポリフェニレンエーテル及びその樹脂組成物の耐熱エージング特性の低下、樹脂の脆化に著しく影響を及ぼすこともあった。より具体的には、末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基では、比較的ラジカルが発生しやすい傾向があり、発生したラジカルが酸化架橋を起こす要因となることがある。変性ポリフェニレンエーテルでは、被酸化部位である末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基を、所定の分子で置換された状態にして封止しているため、転位反応を抑制するとともに、末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基の架橋反応を抑制し、ポリフェニレンエーテルの耐熱エージング特性が著しく向上する。また、変性PPEを用いることで、PPE系樹脂組成物の押出機、成形機中における分子鎖中の末端(末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基)の構造変化を一層抑制することもでき、成形品の着色を防止し及び外観を一層改良することができる。ここで、被酸化部位のラジカル発生能は、側鎖メチル基に比べ、末端メチル基、末端水酸基の方が大きいため、所定の分子による封止は、末端により多く行うことが好ましい。
(A)ポリフェニレンエーテルとしては、一層優れた耐熱エージング性が得られる観点から、150℃で1000時間熱エージングした後のクロロホルム不溶分の変化率が15質量%以下であるPPEが好ましく、150℃で1000時間熱エージングした後のクロロホルム不溶分の変化率が15質量%以下である変性PPEがより好ましい。
上記変性PPEにおいて、高温環境下(例えば、150℃)でも表面平滑性、電気的特性が一層変化しにくく、耐熱エージング性が一層向上する観点から、(A)ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、式(1)、(2)、及び(3)からなる群から選択されるいずれかの構造のユニットを0.01〜10.0個の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.03〜5.0個、さらに好ましくは0.03〜3.0個である。
上記変性PPEにおいて、式(2)で表される構造のユニットに対する式(1)で表される構造のユニットのモル割合((式(1)で表される構造のユニットのモル/式(2)で表される構造のユニットのモル)×100)が、0〜30モル%であることが好ましく、より好ましくは0〜25モル%、さらに好ましくは0〜20モル%である。
上記変性PPEは、式(1)及び/又は(2)で表される構造のユニットを、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、0.1〜10.0個、及び/又は式(3)で表される構造のユニットを0.01〜5.0個含有することが好ましい。上記範囲にすることにより、機械物性を悪化させることなく、耐熱エージング性を向上することができる。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの、式(1)及び/又は(2)で表される構造のユニット数は、より好ましくは0.1〜3.0個の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜1.0個の範囲である。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの、式(3)で表される構造のユニット数は、より好ましくは0.01〜3.0個の範囲であり、さらに好ましくは0.01〜1.0個の範囲である。
(変性ポリフェニレンエーテルの合成方法)
変性PPEは、例えば、前駆体ポリフェニレンエーテル(本明細書において、「前駆体PPE」と称する場合がある)と、反応性化合物とを、熱により反応させて得ることが好ましい。
上記前駆体PPEとしては、上記式(4)及び/又は上記式(5)で表される繰り返し単位構造のユニット(モノマーユニット)を有する単独重合体又は共重合体が挙げられる。
前駆体PPEの単独重合体の例としては、上述のポリフェニレンエーテルと同様のものが挙げられる。前駆体PPEの共重合体と例としては、上述のポリフェニレンエーテルと同様のものが挙げられる。中でも、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体が好ましい。
式(3)の構造は、ポリフェニレンエーテルの末端OH基に反応性化合物を反応させて得ることが好ましい。
上記前駆体PPEとしては、ポリフェニレンエーテル鎖中に、下記式(7)、(8)で表される、末端基及び/又は側鎖基を有する前駆体ポリフェニレンエーテルが好ましい。
前駆体PPEが下記式(7)及び/又は下記式(8)の構造のユニットを有することにより、十分に効率よく、変性ポリフェニレンエーテルを得ることができる(具体的には、変性PPEを製造するにあたって、前駆体PPEを経由することにより、式(7)及び式(8)の構造中のCH−Y部分が選択的に開裂して後述の反応性化合物との置換反応が生じるので、変性PPEを十分に効率よく得ることができる)。また、非置換PPEから前駆体PPEを容易に合成することができるので、前駆体PPEを経由した変性PPE合成が効率的であるからである。
更に、当該前駆体PPEが、ポリフェニレンエーテル鎖中において、当該構造のユニットの合計を、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり0.1〜10個含有することが好ましい。
Figure 2018058983
Figure 2018058983
(式(7)、式(8)中、YはN原子又はO原子を表し、Ziは、炭素数が1〜20個の環状若しくは鎖状(直鎖状、分岐状)の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。また、式中のi、nは1から2の整数であり、ZとZは同じでも異なってもよく、それらが結合するYと共に互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
式(7)及び式(8)の構造のユニットを含有する、前駆体ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合反応時に、アミン類、アルコール類及びモルフォリン等の(a1)化合物を、添加して反応させる方法や、重合した非置換ポリフェニレンエーテルを例えばトルエン等のPPE可溶性溶媒中、例えば20〜60℃で、好ましくは40℃で撹拌し、上記の(a1)化合物を添加して反応させる方法等が挙げられる。
(a1)化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的にはn−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン等の1級アミン、及びジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−iso−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の2級アミン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール及びモルフォリン等が挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテルを得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合の際に後述する反応性化合物を投入し、変性ポリフェニレンエーテルを重合する方法や、ポリフェニレンエーテルの重合の際に後述する反応性化合物が置換されたモノマーを少量添加して、変性ポリフェニレンエーテルを重合する方法や、ポリフェニレンエーテルと反応性化合物を溶融混練して反応させる方法等が挙げられる。具体的には、PPEの重合時に上記の(a1)化合物を添加して反応させた後に、後述する反応性化合物を反応させる方法や、PPEの重合時に上記の(a1)化合物が置換された2,6−ジメチルフェノールを少量添加して反応させる方法や、前駆体PPEを得た後、当該前駆体PPEと反応性化合物とを溶融混練して反応させる方法(すなわち、例えば、前駆体PPEを用いて樹脂組成物を溶融混練して製造する際に、前駆体PPEと反応性化合物とを溶融混練する)が挙げられる。中でも、短時間で効率よく反応を進行させる観点から、前駆体PPEを得た後、当該前駆体PPEと反応性化合物とを溶融混練して反応させる方法が好ましい。
前駆体PPEと反応性化合物とを溶融混練する方法としては、単軸押出機、二軸押出機等の多軸押出機等の押出機(好ましくは、二軸押出機)を用いて溶融混練する方法が好ましい。反応性化合物とポリフェニレンエーテルとの反応性を高めるため、両物質は事前ブレンドし、同一フィーダーから投入することが好ましい。
溶融混練時の樹脂温度としては、反応性化合物の反応性、変性PPEの押出性、PPE系樹脂組成物の機械物性等の観点から、240〜360℃であることが好ましく、より好ましくは270〜350℃である。
溶融混練時の押出機のL/Dとしては、反応性化合物との反応性とPPEの分子内での転位が抑制され、樹脂が劣化しにくいという観点から、40〜70であることが好ましく、混練ゾーンの合計のL/Dが10〜20であることが好ましい。
溶融混練時の押出機のスクリュ回転数としては、(反応性原料の混練安定性)の観点から、150〜600rpmであることが好ましく、より好ましくは250〜450rpmである。
溶融混練時の樹脂の滞留時間としては、反応性化合物の反応時間の確保とPPEの分子内での転位が抑制され、樹脂が劣化しにくいという観点から、30〜120秒が好ましく、より好ましくは35〜80秒である。
(反応性化合物)
上記変性ポリフェニレンエーテルを得るために用いることができる反応性化合物としては、特に限定されないが、例えば、ホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、カーボネート類等が挙げられる。
ホスホン酸類としては、例えば、ホスホン酸(亜リン酸)、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、デシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、アミノメチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、プロピルホスホン酸無水物等が挙げられる。
ホスホン酸エステル類としては、例えば、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ホスホン酸ジオクチル、ホスホン酸ジラウリル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジベンジル、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、メチルホスホン酸ジオクチル、エチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ジオクチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジプロピル、フェニルホスホン酸ジオクチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジエチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジオクチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、(2−ヒドロキシエチル)ホスホン酸ジメチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジオクチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジエチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジオクチル、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸tert−ブチル、ジエチルホスホン酸ジオクチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジエチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジオクチル、シアノホスホン酸ジエチル、シアノメチルホスホン酸ジエチル、シアノホスホン酸ジオクチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクチル、(メチルチオメチル)ホスホン酸ジエチル等が挙げられる。
ホスフィン酸類としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、9、10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及びその誘導体等が挙げられる。
ホスフィン酸エステル類としては、例えば、ジメチルホスフィン酸メチル、ジメチルホスフィン酸エチル、ジメチルホスフィン酸n−ブチル、ジメチルホスフィン酸シクロヘキシル、ジメチルホスフィン酸ビニル、ジメチルホスフィン酸フェニル、エチルメチルホスフィン酸メチル、エチルメチルホスフィン酸エチル、エチルメチルホスフィン酸n−ブチル、エチルメチルホスフィン酸シクロヘキシル、エチルメチルホスフィン酸ビニル、エチルメチルホスフィン酸フェニル、ジエチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、ジエチルホスフィン酸n−ブチル、ジエチルホスフィン酸シクロヘキシル、ジエチルホスフィン酸ビニル、ジエチルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸エチル、ジフェニルホスフィン酸n−ブチル、ジフェニルホスフィン酸シクロヘキシル、ジフェニルホスフィン酸ビニル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、メチル−n−プロピルホスフィン酸メチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸エチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸n−ブチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸シクロヘキシル、メチル−n−プロピルホスフィン酸ビニル、メチル−n−プロピルホスフィン酸フェニル、ジオレイルホスフィン酸メチル、ジオレイルホスフィン酸エチル、ジオレイルホスフィン酸n−ブチル、ジオレイルホスフィン酸シクロヘキシル、ジオレイルホスフィン酸ビニル、ジオレイルホスフィン酸フェニル等が挙げられる。
モノカルボン酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタデセン酸、ドコセン酸、イソオクタデカン酸等のモノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、メチルベンゼンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシオクタデセン酸等のヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸、アルキルチオプロピオン酸等の含イオウ脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸類としては、例えば、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらのスルホン酸は、モノスルホン酸でもジスルホン酸でもトリスルホン酸でもよい。ベンゼンスルホン酸の誘導体としては、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。アントラキノンスルホン酸の誘導体としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−6−スルホン酸等が挙げられる。
スルフィン酸類としては、例えば、エタンスルフィン酸、プロパンスルフィン酸、ヘキサンスルフィン酸、オクタンスルフィン酸、デカンスルフィン酸、ドデカンスルフィン酸等のアルカンスルフィン酸、シクロヘキサンスルフィン酸、シクロオクタンスルフィン酸等の脂環族スルフィン酸;ベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸等の芳香族スルフィン酸等が挙げられる。
カーボネート類としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等が挙げられる。
反応性化合物としては、反応性の観点からリン系化合物が好ましく、具体的にはホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジオクチル、ジフェニルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸等が挙げられ、その中でも、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドがより好ましい。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを用いて得られた変性ポリフェニレンエーテルは、耐熱エージング特性を向上させることができるとともに、そのPPEを用いた樹脂組成物の溶融混練時における流動性をより向上させることができる。
(A)ポリフェニレンエーテルにおける上記式(4)、式(5)としては、上記R、上記R、上記R、及び上記Rからなる群から選択される少なくとも1個が、上記式(7)、式(8)中の−CH−Y−(Zi)で表される基であってもよい。中でも、式(7)、式(8)で表される構造であることがより好ましい。
本実施形態のPPE系樹脂組成物中の(A)ポリフェニレンエーテルの含有量としては、30〜90質量%含有することが好ましい。(A)成分の含有量を30質量%以上とすることで、機械的強度を持たすことができ、90質量%以下とすることで、溶融混練時における流動性を確保することができる。
[(B)縮合リン酸金属塩]
本実施形態のPPE系樹脂組成物では、耐熱性、機械的特性、電気的特性を維持しながら、高温エージングによる機械物性の変化を抑制する観点から、(B)縮合リン酸金属塩を含むことが好ましい。本実施形態のPPE系樹脂組成物において用いることのできる(B)縮合リン酸金属塩とは、ポリリン酸、メタリン酸、ウルトラリン酸等の金属塩が挙げられる。
(B)縮合リン酸金属塩における金属種としては、いずれを用いることもできるが、アルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、より好ましくは、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、更に好ましくは、ナトリウム、マグネシウム、カリウムである。これら金属種の縮合リン酸塩は、芳香族化合物との相互作用が大きく、金属補足効果が高い他、ポリフェニレンエーテルの酸化により生じたアルデヒドを安定化させる作用も持ち合わすため、樹脂、難燃剤の耐熱エージング性向上効果が大きい。
縮合リン酸金属塩の重合度は、特に限定されないが、重合度2〜50の範囲で単独でも、複数の重合度の構造が混在していても良い。また、メタリン酸構造とポリリン酸構造とが混在していても構わない。更に、該縮合リン酸金属塩は、単量体のリン酸金属塩を、0〜10%の範囲で含有していても良い。
(B)縮合リン酸金属塩の含有量としては、(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1〜5.0質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.3〜3.0質量部である。この範囲で用いることで、耐衝撃性等の機械物性と耐熱エージング性を両立させることができる。
[(C)酸化防止剤]
本実施形態のPPE系樹脂組成物において用いることができる酸化防止剤は、ラジカル連鎖禁止剤として働く一次酸化防止剤と、過酸化物を分解する効果のある二次酸化防止剤のどちらも使用可能である。すなわち、酸化防止剤を用いることにより、ポリフェニレンエーテルが長時間高温にさらされた際に、末端メチル基、側鎖メチル基等において生じ得るラジカルを捕捉することができ(一次酸化防止剤)、又は当該ラジカルにより末端メチル基、側鎖メチル基等に生じた過酸化物を分解することができ(二次酸化防止剤)、それ故に、ポリフェニレンエーテルの酸化架橋を防止することができる。
一次酸化防止剤としては、主にヒンダードフェノール系酸化防止剤が使用可能である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキレイテッドビスフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
二次酸化防止剤としては、主にリン系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤を使用できる。リン系酸化防止剤の具体例としては、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
また、他の酸化防止剤として、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫化亜鉛等の金属酸化物又は硫化物を上記酸化防止剤と併用して用いることも可能である。
これらのうち、ポリフェニレンエーテル樹脂の長期特性を向上させるためには、二次酸化防止剤が効果的であり、中でもリン系酸化防止剤が好ましい。
(C)酸化防止剤の合計添加量は、(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1〜4.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0質量部、さらに好ましくは0.1〜1.5質量部である。この範囲にあると、初期と長期熱エージング後の難燃性に優れ、また機械的強度に優れた難燃樹脂組成物が得られる。
[(D)スチレン系樹脂]
本実施形態のPPE系樹脂組成物には、耐熱性や成形流動性を調整する目的等で、(D)スチレン系樹脂を配合することが可能である。(D)スチレン系樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、スチレン系化合物の単独重合体;スチレン系化合物、及びスチレン系化合物と共重合可能な化合物を、ゴム質重合体存在又は非存在下に重合して得られる重合体;等が挙げられる。
上記スチレン系化合物としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。中でも、原材料の実用性の観点から、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物と共重合可能な上記化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物;等が挙げられる。
(D)スチレン系樹脂としては、ポリフェニレンエーテルとの混和性の観点から、ポリスチレンが好ましい。中でも、耐衝撃性改良の観点から、ゴム強化ポリスチレンが好ましく、成形品外観改良の観点からは、ゼネラルパーパスポリスチレンが好ましい。
ゴム強化ポリスチレンとしては、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物とを、ゴム質重合体存在下で重合して得られる重合体等が挙げられる。
上記ゴム強化ポリスチレンにおいて、スチレン系化合物と共重合可能な化合物の使用量は、スチレン系化合物及びスチレン系化合物と共重合可能な化合物の合計量100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下である。
上記ゴム質重合体としては、以下に限定されないが、例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体系ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体及びスチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらを部分的に又はほぼ完全に水素添加したゴム成分等が挙げられる。
上記ゴム強化ポリスチレンの具体例としては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)が挙げられ、スチレン−ブタジエンブロック共重合体をゴム質重合体として用いたハイインパクトポリスチレンが好適である。
ここで、HIPSを構成するゴム質重合体のゴム粒子の形態として、サラミ構造(複数細胞構造)、ポリスチレンコア(単一細胞構造)の2種が挙げられる。
上記「サラミ構造」とは、ポリスチレンマトリックス中に、ゴム粒子(サラミソーセージ断面状)が分散しており、薄肉の外郭層を有する当該ゴム粒子相の中に複数のポリスチレン粒子が蜂の巣状に内蔵された構造である。
上記「ポリスチレンコア」とは、ポリスチレンマトリックス中に単一細胞構造からなるゴム粒子が分散したコアシェル構造である。
上記ゴム強化ポリスチレンは、塊状重合法又は塊状懸濁重合法により製造することができ、ゴム粒子形態は、重合工程における撹拌の状態、ゴム粒子生成時の混合状態等をコントロールすることにより制御できる。
本実施形態のPPE系樹脂組成物中の(D)スチレン系樹脂の含有量は、例えば、樹脂組成物(100質量%)に対して、0〜70質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることがさらに好ましい。(D)スチレン系樹脂は、樹脂組成物の成形流動性改良の観点から、配合することが好ましい。また、十分な耐熱性保持の観点から、(D)スチレン系樹脂の含有量が70質量%以下であることが好ましい。
[(E)エラストマー成分]
本実施形態の樹脂組成物には、耐衝撃性を向上させる目的等から、更に(E)エラストマー成分(本明細書において、「(E)エラストマー」と称する場合がある)を配合することが可能である。
(E)エラストマーとしては、公知のものを用いることができるが、(A)ポリフェニレンエーテルとの混和性及び耐熱性の観点から、スチレンブロックと水素添加された共役ジエン化合物ブロックとを有するブロック共重合体(以下、「スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体」とも記す)を含むエラストマーが好ましい。
上記共役ジエン化合物ブロックは、熱安定性の観点から、水素添加率50%以上で水素添加されたものが好ましく、より好ましくは80%以上で水素添加されたもの、更に好ましくは95%以上で水素添加されたものである。
上記共役ジエン化合物ブロックとしては、以下に限定されないが、例えば、ポリブタジエン;ポリイソプレン;ポリ(エチレン・ブチレン);ポリ(エチレン・プロピレン)及びビニル−ポリイソプレン;等が挙げられる。上記共役ジエン化合物ブロックは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ブロック共重合体を構成する繰り返し単位の配列の様式は、リニアタイプでもラジアルタイプでもよい。また、ポリスチレンブロック及びゴム中間ブロックにより構成されるブロック構造は、二型、三型及び四型のいずれであってもよい。中でも、本実施形態に所望の効果を十分に発揮し得る観点から、ポリスチレン−ポリ(エチレン・ブチレン)−ポリスチレン構造で構成される三型のリニアタイプのブロック共重合体が好ましい。なお、共役ジエン化合物ブロック中に30質量%を超えない範囲でブタジエン単位が含まれてもよい。
本実施形態に用いることができる、上記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体は、耐衝撃性改良の観点から重量平均分子量Mwが45000〜300000の範囲が好ましく、より好ましくは55000〜280000であり、更により好ましくは70000〜250000である。十分な耐衝撃性付与の観点から、重量平均分子量は、50000以上が好ましく、成形体の流動性、外観保持、混和性の観点から、300000以下が好ましい。
本実施形態に用いることができる、上記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体の結合スチレン量は、20〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜60質量%であり、更により好ましくは30〜45質量%の範囲内である。混和性の観点から、上記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体の結合スチレン量は、20質量%以上が好ましく、耐衝撃性付与の観点から80質量%以下が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いることができる(E)エラストマーの含有量は、樹脂組成物100質量%中において、1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜12質量%、更により好ましくは5〜12質量%の範囲内である。(E)エラストマーの含有量は、一層優れた耐衝撃性が得られる観点から1質量%以上であることが好ましく、耐熱性及び剛性保持の観点から15質量%以下であることが好ましい。
[その他の成分]
本実施形態のPPE系樹脂組成物は、更には、樹脂組成物の耐熱性、機械物性並びに成形品の表面外観及び耐熱エージング特性等を著しく低下させない範囲において、上記(B)成分以外の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
本実施形態のPPE系樹脂組成物中の上記その他の成分の含有量は、例えば、樹脂組成物(100質量%)に対して、各々が0.001〜3質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1.5質量%であり、さらにより好ましくは0.1〜1.0質量%の範囲内である。十分な添加効果発現の観点から、0.001質量%以上であることが好ましく、十分な成形品外観及び物性保持の観点から、3質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のPPE系樹脂組成物には、機械的強度向上の目的で、強化剤としての無機フィラーを配合することも可能である。強化剤としての無機フィラーとしては、一般的に、熱可塑性樹脂の補強に用いられるものであり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、クロライト、マイカ等が挙げられる。
本実施形態のPPE系樹脂組成物中の上記無機フィラーの含有量は、例えば、樹脂組成物(100質量%)に対して、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜40質量%、更により好ましくは1〜30質量%の範囲内である。無機フィラーは、機械的強度向上の観点から含有することが好ましく、また無機フィラーの含有量は、十分な成形品外観と成形流動性保持の観点から、50質量%以下であることが好ましい。
本発明には、(A)ポリフェニレンエーテルを含むPPE系樹脂組成物も含まれるものとする。この場合、耐熱エージング性の観点から、(A)ポリフェニレンエーテル、(B)縮合リン酸金属塩を含むPPE系樹脂組成物が好ましく、さらに、(C)酸化防止剤、(D)スチレン系樹脂、及び/又は(E)エラストマーを含んでいてもよい。
(A)成分、(D)成分、(E)成分を含むことにより、耐熱性、成形性、耐衝撃性のバランスが良い樹脂組成物が得られる。(A)成分としては、変性PPEが好ましく、上記前駆体PPEや、式(1)及び式(2)の上記Xが、
Figure 2018058983
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、炭素数1以上の置換基である変性PPEがより好ましい。耐熱エージング性と外観を両立する観点からは、式(1)及び式(2)の上記Xが、
Figure 2018058983
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、炭素数1以上の置換基である変性PPEと、(B)縮合リン酸金属塩を含むことが好ましい。
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分等は、上述の通りである。
[物性]
本実施形態のPPE系樹脂組成物の物性について記載する。
(145℃処理による引張衝撃強さの半減期)
本実施形態のPPE系樹脂組成物は、高温エージング後の機械物性に優れる観点から、大気雰囲気下、145℃の条件で静置するエージング処理をした後の、JIS K 7160に準拠して測定される引張衝撃強さの半減期が、500時間以上でることが好ましく、550時間以上であることがより好ましく、600時間以上であることがさらに好ましい。
なお、引張衝撃強さの半減期は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(150℃、1000時間処理によるクロロホルム不溶分の変化率)
本実施形態のPPE系樹脂組成物は、縦12.6cm、横1.3cm、厚み1.6mmの成形品の、150℃の条件で1000時間静置するエージング処理前後における、クロロホルム不溶分の変化率が、15質量%以下であることが好ましく、14質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることが更に好ましく、また、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。
なお、「クロロホルム不溶分の変化率」とは、次の方法で算出した値をいう。
縦12.6cm、横1.3cm、厚み1.6mmの成形品を作製する。その後、1)エージング前の該成形品の下端から1cm×1cm×1.6mmを切り出し、凍結粉砕後、篩にかけることにより目の開き500μmは通過するが目の開き355μmは通過しない粒子を採取する。これを200mg測り取り、クロロホルム40mL中で6時間超音波振動を与え、可溶分と不溶分とを吸引濾過で分離させる。得られた残渣(不溶分)を100℃で2時間真空乾燥した後、乾燥残渣の質量を測定する。この値を「初期の残渣量」とする。また、2)150℃で1000時間静置するエージング処理を行った成形品についても、1)の方法と同様の方法に従って、切り出しから乾燥までを行った後の残渣の質量を測定する。この値を「エージング後の残渣量」とする。そして、1)、2)で得られた値から、下記数式(II)によりクロロホルム不溶化分の変化率(質量%)を計算する。
クロロホルム不溶分の変化率(質量%)={[エージング後の残渣量(mg)−初期の残渣量(mg)]/[200−初期の残差量(mg)]}×100 ・・・(II)
本実施形態のPPE系樹脂組成物の荷重たわみ温度は、耐熱性の観点から、90〜160℃であることが好ましく、より好ましくは100〜150℃である。
なお、上記荷重たわみ温度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のPPE系樹脂組成物は、ISO 179に準拠して測定されるノッチ付きシャルピー衝撃強さが、機械強度の観点から、2.0〜25.0kJ/cmであることが好ましく、より好ましくは5.0〜20.0kJ/cmである。
なお、ノッチ付きシャルピー衝撃強さは、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
[PPE系樹脂組成物の製造方法]
本実施形態のPPE系樹脂組成物は、上記(A)成分、さらに、任意の上記(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、その他の成分を、溶融混練の条件を適宜調節して、溶融混練することにより製造することができる。
本実施形態のPPE系樹脂組成物の製造方法では、種々の溶融混練機や混練押出機等を用いることができる。溶融混練機や混練押出機としては、公知の混練機を用いることができ、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の多軸押出機等の押出機;ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等の加熱溶融混練機;等が挙げられる。中でも、二軸押出機が好ましい。
上記樹脂組成物を製造するための上記(A)及び任意成分の溶融混練の条件については、本実施形態の所望の効果を十分に発揮し得る樹脂組成物を大量且つ安定的に得るという観点から、スクリュ径25〜90mmの二軸押出機を用いることが好適である。
押出樹脂温度は、240〜360℃であることが好ましく、より好ましくは270〜350℃、更に好ましくは300〜340℃である。押出樹脂温度は、十分な反応性と押出性の観点から240℃以上が好ましく、十分な機械物性保持と押出性の観点から360℃以下が好ましい。
溶融混練時の樹脂組成物の滞留時間としては、十分な反応時間を確保するため、30秒以上120秒以下であることが好ましく、35秒以上80秒以下であることが更に好ましい。滞留時間が上記範囲内にあることで、樹脂の劣化を進行させずに、耐熱エージング効果を得るための十分な反応率が得やすくなる。
なお、滞留時間は、押出機の第一原料供給口から黒色マスターバッチを0.5g添加した瞬間を測定開始とし、押出機のダイから、着色されたストランドが出てきた瞬間までの時間を計測して求めることができる。
押出機のL/Dは、40〜70の範囲が好ましく、また、スクリュ構成は、原料供給口の下流に混練ゾーンを少なくとも3箇所以上有し、混練ゾーンの合計のL/Dが10〜20であることが好ましい。押出機のL/D及び混練ゾーンの合計のL/Dがこの範囲内にあることで、樹脂の劣化を進行させずに、耐熱エージング効果を得るための十分な反応率が得やすくなる。
本実施形態のPPE系樹脂組成物の製造方法において、反応性化合物とポリフェニレンエーテルとの反応性を高めるため、両物質は事前ブレンドし、同一フィーダーから投入することが好ましい。中でも、一層優れた耐熱エージング性が得られる観点から、(A)成分と反応性化合物とを、第一原料供給口から投入することが好ましい。
押出機のスクリュ回転数は、原料の混練安定性と反応性の観点から、150〜600rpmであることが好ましく、より好ましくは250〜450rpmである。
本実施形態に用いる樹脂組成物を、二軸押出機(特に、大型(スクリュ径40〜90mm)の二軸押出機)を用いて製造する際に注意すべきは、押出樹脂ペレット中に押出時に生じた、(A)ポリフェニレンエーテルから生じ得るゲルや炭化物が混入することで、成形品の表面外観や輝度感を低下させる原因となる場合もある。そこで、(A)ポリフェニレンエーテルを最上流(トップフィード)の原料投入口から投入して、最上流投入口におけるシューター内部の酸素濃度を15容量%以下に設定しておくことが好ましく、より好ましくは8容量%以下であり、更により好ましくは1容量%以下である。
酸素濃度は、原料貯蔵ホッパー内を十分に窒素置換して、原料貯蔵ホッパーから押出機原料投入口までの、フィードライン中での空気の出入りがないように密閉した上で、窒素フィード量の調節、ガス抜き口の開度を調節すること等により、調整することができる。
[成形品]
本実施形態のPPE系樹脂組成物からなる成形品は、上述のPPE系樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
上記PPE系樹脂組成物の成形方法としては、以下に限定されないが、例えば、射出成形、押出成形、真空成形及び圧空成形が好適に挙げられ、特に成形外観及び輝度感の観点から、射出成形がより好適に用いられる。
上記PPE系樹脂組成物の成形時の成形温度は、バレル設定最高温度250〜350℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましい範囲は270〜340℃であり、更により好ましくは280〜330℃である。成形温度は、十分な成形加工性の観点から250℃以上が好ましく、樹脂の熱劣化抑制の観点から350℃以下が好ましい。
上記PPE系樹脂組成物の成形時の金型温度は、40〜170℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましくは80〜150℃であり、更により好ましくは80〜130℃の範囲内である。金型温度は、十分な成形品外観保持の観点から40℃以上が好ましく、成形安定性の観点から170℃以下であることが好ましい。
本実施形態における好適な成形品としては、卓越した耐熱エージング特性を有することから、自動車、家電、事務機、工業製品等、様々な用途において利用可能であるが、特に、高い耐熱エージング性が要求される自動車部品が好ましい。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに制限されるものではない。実施例及び比較例に用いた物性の測定方法及び原材料を以下に示す。
[物性の測定方法]
(1)荷重たわみ温度(DTUL)
得られた樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物を、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(東芝機械社製、IS−80EPN)により、シリンダー温度330℃、金型温度120℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片を成形した。得られた成形片を切断して作製した80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、ISO75に準拠し、フラットワイズ法、1.82MPaで荷重たわみ温度(℃)を測定した。
評価基準として、120℃以上であれば、耐熱性が高いと判断した。
(2)成形外観(成形片の目視評価)
上記(1)の成形において、ダンベル成形片を完全に充填させずにショートショット(ISOダンベル金型に射出し、デッド側に5mm以内の隙間が空くように成形した状態)で成形し、完全に充填していないデッド側掴み部分を目視で観察して、成形片表面の状態を評価した。
成形片表面に、シルバーや微細なガスの抜け痕による表面荒れ、曇り感等の不具合の見られる場合を「×」(不良)、見られない場合を「○」(良好)と判定した。
(3)ノッチ付シャルピー衝撃強さ
得られた樹脂組成物のペレットを、スクリューインライン型射出成形機(東芝機械(株)社製、製品名「EC75SXII射出成形機」)に供給し、シリンダー温度240〜320℃、金型温度40℃〜120℃の条件でJIS K7139 A型の多目的試験片を成形した。この多目的試験片から試験片を切り出し、ISO 179に準じて23℃の温度条件下でノッチ付きシャルピー衝撃強さ(kJ/cm)を評価した。測定値が高い値であるほど、耐衝撃性に優れていると判断した。
(4)耐熱エージング特性
(4−1)エージング後の引張衝撃強さの半減期
得られた樹脂組成物ペレットを、スクリューインライン型射出成形機(東芝機械(株)社製、製品名「EC75SXII射出成形機」)に供給し、シリンダー温度240〜320℃、金型温度40℃〜120℃の条件で、JIS K7160 4型、3mm厚みの試験片を成形した。この試験片の引張衝撃強さを、JIS K7160に準じ、30gのクロスヘッドを用いて、23℃の温度条件下で測定した(エージング前の引張衝撃強さ)。
エージング前の引張衝撃強さを初期値として、設定温度145℃の熱風オーブン中に試験片を静置し、50時間おきに試験片を5本ずつ取り出し、JIS K7160に準じて23℃の温度条件下で引張衝撃強さを測定した(エージング後の引張衝撃強さ)。
エージング前の引張衝撃強さに対する、エージング後の引張衝撃強さの物性保持率を下記数式(III)により求め、物性保持率が50%になった時の時間を、半減期とした。
物性保持率(%)={(エージング後の引張衝撃強さ)÷(エージング前の引張衝撃強さ)}×100 ・・・(III)
評価基準として、半減期が500時間以上であれば、耐熱エージング性が高いと判断した。
(4−2)エージング後の表面平滑性
得られた樹脂組成物のペレットから、縦10cm、横4.8cm、厚み4.0mmの平板成形品を作製し、エージング処理前、及び150℃で500時間静置するエージング処理後のそれぞれにおいて、平板成形品の縦横の中心1cm角内の5か所の視野(1か所の視野は0.15mm×0.15mm)の表面平均粗さRaを測定し、その平均値を「エージング処理前のRaの平均値」及び「エージング処理後のRaの平均値」とした。
そして、エージング処理前のRaの平均値に対するエージング処理後のRaの平均値の割合(エージング処理後のRaの平均値/エージング処理前のRaの平均値)が、0.9〜1.1の範囲であれば「○」(良好)、範囲外であれば「×」(不良)、と判断した。
(4−3)エージング後の電気的特性
得られた樹脂組成物のペレットから、縦10cm、横4.8cm、厚み4.0mmの平板成形品を作製し、150℃で500時間静置するエージング処理後の500Vでの比較トラッキング指数(CTI)をJIS C2134法で測定し、合格であれば「○」(良好)、不合格であれば「×」(不良)と判断した。
(5)クロロホルム不溶分の変化率
得られた樹脂組成物から、縦12.6cm、横1.3cm、厚み1.6mmの成形品を作製した。その後、1)エージング前の該成形品の下端から1cm×1cm×1.6mmを切り出し、凍結粉砕後、篩にかけることにより目の開き500μmは通過するが目の開き355μmは通過しない粒子を採取した。これを200mg測り取り、クロロホルム40mL中で6時間超音波振動を与え、可溶分と不溶分とを吸引濾過で分離させた。得られた残渣(不溶分)を100℃で2時間真空乾燥した後、乾燥残渣の質量を測定した。この値を「初期の残渣量」とした。また、2)150℃で1000時間静置するエージング処理を行った成形品についても、1)の方法と同様の方法に従って、切り出しから乾燥までを行った後の残渣の質量を測定した。この値を「エージング後の残渣量」とした。そして、1)、2)で得られた値から、下記数式(II)によりクロロホルム不溶分の変化率(質量%)を計算した。
クロロホルム不溶分の変化率(質量%)={[エージング後の残渣量(mg)−初期の残渣量(mg)]/[200−初期の残差量(mg)]}×100 ・・・(II)
(6)熱溶融後の転位率
得られた樹脂組成物のペレットをクロロホルムに溶解させ、ガラスフィルターでろ過し、ろ液を採取した。このろ液に、クロロホルムの3倍量のアセトンを徐々に添加し、ポリフェニレンエーテル成分を沈殿させ、ろ過によりろ物を回収した。このろ物を乾燥後、H−NMRを測定し、下記数式(I)により、転位率を算出した。
転位率(個)={(3.85ppmピークの積分値)÷(6.2〜6.8ppmピークの積分値)}×100 ・・・(I)
(7)ポリフェニレンエーテルへの反応性化合物の付加量
(7−1)メチル基への付加量
末端メチル基、及び側鎖メチル基への付加量の合計は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れる反応性化合物の付加したメチレンのピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端メチル基及び側鎖メチル基への付加量(個)が求められる。
また、末端メチル基への付加量に対する側鎖メチル基への付加量の割合は、31P−NMRにて、主鎖メチル基付加物由来の36〜45ppmのピークの積分値に対する、側鎖メチル基付加物由来の30〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められる。
H−NMRと31P−NMRの測定条件を以下に示す。
H−NMRの測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single−Plus
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
31P−NMRの測定条件
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
(7−2)末端OH基への付加量
13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(IV)で求めることができる。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの反応性化合物の末端OH基への付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])} ・・・(IV)
13C−NMRの測定条件を以下に示す。
13C−NMRの測定条件
装置 :Bruker Biospin Avance 600
観測核 :13
観測周波数 :150.9MHz
測定法 :逆ゲートデカップリング法
パルス幅 :30°
待ち時間 :10秒
積算回数 :2,000回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:TMS 0ppm
[原材料]
<ポリフェニレンエーテル>
(PPE−1)
前駆体ポリフェニレンエーテルPPE−1を次の製造方法で製造した。
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入し始め、重合を開始した。乾燥空気を140分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
得られた有機相を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用い湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(PPE−1)は、還元粘度=0.38dL/g、数平均分子量15300、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:0.72個、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのN,N−ジブチルアミノメチル基の数:0.43個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
(PPE−2)
前駆体ポリフェニレンエーテルPPE−2を次の製造方法で製造した。
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10Lのジャケット付き反応器にキシレン2.9kg、メタノール905g、2,6−ジメチルフェノール1.0kg(8.2モル)を仕込み均一な液とした後、水酸化ナトリウム26.2g(655ミリモル)をメタノール175gに溶かした溶液を加え、次いで塩化マンガン四水和物810mg(4.1ミリモル)とモノエタノールアミン20g(328ミリモル)を窒素雰囲気下、50℃、1時間混合した予備混合物20.8gを加えた。更にエチレングリコール20.4g(329ミリモル)及びジ−n−ブチルアミン10.6g(82ミリモル)を加えた。内容物を激しくかきまぜながらこれに酸素を200Nml/分の速さで吹き込み、反応温度を40℃に保ち3時間反応させた後、酸素を80Nml/分、反応温度30℃に降温し、反応開始から5時間経過した時点で酸素供給を停止した。反応混合物600gを抜き出し、メタノール280gを加え、析出した重合体を吸引濾過した後、メタノール1Lで2回洗浄し吸引濾過した。得られた重合体を、ピロリン酸ナトリウム2.9g及びハイドロサルファイトナトリウム1.9gをイオン交換水500mlに溶かした溶液中に分散させ、攪拌下80℃で10分間処理した。吸引濾過して得られた重合体をイオン交換水1Lで2回洗浄、吸引濾過した。湿った重合体を150℃で5時間減圧乾燥し、110gの粉末状のポリフェニレンエーテルを得た。
上記の製造方法で得られた、前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−2)は、還元粘度=0.47dL/g、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:0.72個、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのN,N−ジブチルアミノメチル基の数:3.6個であった。
(PPE−3)
まず、ブロモ化ポリフェニレンエーテルを次の製造方法で製造した。
(PPE−1)100質量部を10Lのジャケット付き反応器に入れ、クロロホルム2.0Lを加えて、室温、窒素雰囲気下5分間撹拌した。その後、N−ブロモスクシンイミドを15.0質量部、アゾビスイソブチロニトリルを2.0質量部を投入し、還流させながら8時間反応させた。この反応液を室温に冷却後、n−ヘキサンを3L投入し、ブロモ化ポリフェニレンエーテルを固化させ、スラリーを得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕を行い、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。
上記の製造方法で得られたブロモ化ポリフェニレンエーテルは、側鎖メチル基及び末端メチル基のみブロモ化されたものであり、ブロモ化率は、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり4.3個であった。
上記ブロモ化ポリフェニレンエーテル100質量部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)500質量部を10Lのジャケット付き反応器に入れ、160℃で24時間撹拌し、反応させた。この反応液を室温に冷却し、2Lのメタノールを加えて反応物を固化させスラリー状にした。このスラリーをろ過し、得られたパウダーを4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(PPE−3)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(PPE−3)は、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(9)、(10)の構造を合わせて4.0個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量を前述の通り13C−NMRにて測定したが、化学式(11)の構造は確認できなかった。
また、化学式(10)に対する化学式(9)の割合は、31P−NMRにて、化学式(10)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(9)由来の34〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、570モル%であることが分かった。
<反応性化合物>
・9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(HCA)(株式会社三光製)
・ホスホン酸ジオクチル(城北化学製)
<変性PPE中の構造ユニット>
Figure 2018058983
Figure 2018058983
Figure 2018058983
Figure 2018058983
Figure 2018058983
Figure 2018058983
<(B)縮合リン酸金属塩>
(B−1)ヘキサメタリン酸ナトリウム (ユニオン(株)社製)
(B−2)メタリン酸マグネシウム(太平化学産業製)
(B−3)メタリン酸カリウム(太平化学産業製)
(B−4)トリポリリン酸ナトリウム(太洋化学工業製)
(B−5)ポリリン酸アンモニウム(商品名「テラージュ」、チッソ(株)製)
<(C)酸化防止剤>
(C−1)
リン系酸化防止剤(化学名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、アデカ社製、商品名:アデカスタブPEP−36〔登録商標〕)
(C−2)
リン系酸化防止剤(化学名:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、BASF社製、商品名:Irgafos168〔登録商標〕)
<(D)スチレン系樹脂>
(D−1)
ゼネラルパーパスポリスチレン(旭化成ケミカルズ社製、商品名:ポリスチレン680〔登録商標〕)
<(E)エラストマー成分>
(E−1)
重量平均分子量71200であって、結合スチレン量32質量%のポリスチレンブロックと水素添加率98%の水添ブタジエンブロックとを有する三型タイプの水添ブロック共重合体を用いた。
〔実施例1〜16、比較例1〜5〕
実施例、比較例では、表1に示す組成で、二軸押出機(コペリオン社製 ZSK―40MC)の第1原料供給口から各成分をフィードし、バレル温度320℃、その他、表1に示す押出条件で、樹脂組成物のペレットを得た。スクリュの回転数は、目的の滞留時間になるよう、任意に設定した。樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
Figure 2018058983
表1に示すように、本実施例1〜16により、耐熱エージング特性に優れたポリフェニレンエーテル及び樹脂組成物が得られることが分かった。
本発明によれば、卓越した耐熱エージング特性を有する、ポリフェニレンエーテル及び当該ポリフェニレンエーテルを含有する樹脂組成物が得られることから、自動車、家電、事務機、工業製品等、様々な用途において利用可能である。特に、流動性及び高い熱エージング性が要求される自動車部品、例えば、光反射部品用途の成形品として有効に使用することが可能である。

Claims (9)

  1. (A)ポリフェニレンエーテルを含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であって、
    大気雰囲気下、145℃の条件で静置するエージング処理をした後の、JIS K7160に準拠して測定される引張衝撃強さの半減期が500時間以上であり、
    前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる縦12.6cm、横1.3cm、厚み1.6mmの成形品の、大気雰囲気下、150℃の条件で1000時間静置するエージング処理前後における、クロロホルム不溶分の変化率が、15質量%以下である
    ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリフェニレンエーテルが、温度280℃以上で熱溶融した後のポリフェニレンエーテルの転位率が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり0.2個以下である、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリフェニレンエーテルが、下記式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含む、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    Figure 2018058983
    Figure 2018058983
    (式(1)及び(2)のXは、
    Figure 2018058983
    から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、炭素数1以上の置換基である。)
    Figure 2018058983
    (式(3)中のXは、
    Figure 2018058983
    から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、及びアリールアミノ基からなる群から選ばれる基であり、R及びRは、それらに含まれる炭素原子が互いに結合して環状構造を形成してもよい。但し、式(3)は、芳香環の二重結合以外に炭素−炭素の二重結合を実質的に有さない。)
  4. 前記式(1)及び前記式(2)の前記Xが、
    Figure 2018058983
    から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して、炭素数1以上の置換基である、請求項3に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリフェニレンエーテルが、前記(A)ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択されるいずれかの構造のユニットを、0.01〜10.0個有する、請求項3又は4に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  6. 前記式(2)で表される構造のユニットに対する、前記式(1)で表される構造のユニットのモル割合が、0〜30モル%である、請求項3〜5のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  7. 前記(A)ポリフェニレンエーテルが、前記式(1)及び/又は(2)で表される構造のユニットと、前記式(3)で表される構造のユニットとを含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  8. 更に、(B)縮合リン酸金属塩を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  9. 更に、(C)酸化防止剤を含有し、
    前記(C)成分の含有量が、前記(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1〜4.0質量部である、請求項1〜8のいずれかに1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
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