JP2018058767A - 窒化ガリウム基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】GaN基板を用いて作製した半導体装置の特性の低下を抑制する。
【解決手段】直径が100mm以上のC面を表面とする窒化ガリウム基板であって、C面内の1辺が2mmの正方形の領域の25℃での顕微フォトルミネッセンスマッピングにおいて、バンド端発光強度の平均値が異なる第1領域と第2領域とを有し、第1領域のバンド端発光強度の平均値Ibe1aと、第2領域のバンド端発光強度の平均値Ibe2aとは、以下の関係式(I)および(II)
Ibe1a>Ibe2a …(I)
2.1≦Ibe1a/Ibe2a≦9.4 …(II)
を満たす窒化ガリウム基板。
【選択図】図5

Description

本発明は、窒化ガリウム(GaN)基板に関する。
窒化物半導体基板の中でもGaN基板は、発光デバイスや電子デバイスなどの半導体デバイスの製造用の基板として注目されている。しかしながら、GaN基板の製造上、現状、異種基板上に成長せざるを得ず、異種基板とGaN結晶との間の格子定数や熱膨張係数が異なるため、GaN結晶に大量に結晶欠陥が生じるという問題があった。
そこで、たとえば非特許文献1には、表面に多数のドット状の窪みを有するGaN結晶を成長させることによって、GaN結晶に発生する結晶欠陥を当該窪みの中心に集中させ、その周辺の結晶欠陥を減少させたGaN基板が開示されている。
元木 健作,「窒化ガリウム基板の開発」,SEIテクニカルレビュー,第175号,2009年7月,pp.10−18
しかしながら、上記のGaN基板を用いてショットキバリアダイオード(SBD)等の半導体装置を作製した際に半導体装置の特性が低下することがあったため、その改善が要望されていた。
本発明の一態様に係るGaN基板は、直径が100mm以上のC面を表面とするGaN基板であって、前記C面内の1辺が2mmの正方形の領域の25℃での顕微フォトルミネッセンス(PL)マッピング(顕微PLマッピング)において、バンド端発光強度の平均値が異なる第1領域と第2領域とを有し、前記第1領域のバンド端発光強度の平均値Ibe1aと、前記第2領域のバンド端発光強度の平均値Ibe2aとは、以下の関係式(I)および(II)
Ibe1a>Ibe2a …(I)
2.1≦Ibe1a/Ibe2a≦9.4 …(II)
を満たすGaN基板である。
本発明の一態様に係る貼り合わせ基板は、前記GaN基板と支持基板とが貼り合わされてなる貼り合わせ基板である。
上記によれば、GaN基板を用いて作製した半導体装置の特性の低下を抑制することができる。
実施形態1のGaN基板の表面(C面)の模式的な平面図である。 実施形態1のGaN基板の表面の一部の模式的な斜視図である。 (a)〜(d)は、実施形態1のGaN基板の製造方法の一例について図解する模式的な断面図であり、(e)は、実施形態1の貼り合わせ基板の一例の模式的な断面図である。 実施形態1のGaN基板のC面内の1辺が2mmの正方形の領域の1点について25℃で得られるPL発光スペクトルの一例である。 (a)は、試料2のGaN基板の顕微PLマッピング測定により得られた試料2のGaN基板のC面のバンド端発光強度の分布を示す顕微PLマッピング図であり、(b)は(a)の顕微PLマッピング図から得られたバンド端発光強度のヒストグラムである。 (a)は、試料2のGaN基板の顕微PLマッピング測定により得られた試料2のGaN基板のC面の深い発光強度の分布を示す顕微PLマッピング図であり、(b)は(a)の顕微PLマッピング図から得られた深い発光強度のヒストグラムである。 (a)は、試料2のGaN基板の顕微PLマッピング測定により得られた試料2のGaN基板のC面のバンド端発光強度に対する深い発光強度の比率の分布を示す顕微PLマッピング図であり、(b)は(a)の顕微PLマッピング図から得られたバンド端発光強度に対する深い発光強度の比率のヒストグラムである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るGaN基板は、直径が100mm以上のC面を表面とするGaN基板であって、前記C面内の1辺が2mmの正方形の領域の25℃での顕微PLマッピングにおいて、バンド端発光強度の平均値が異なる第1領域と第2領域とを有し、前記第1領域のバンド端発光強度の平均値Ibe1aと、前記第2領域のバンド端発光強度の平均値Ibe2aとは、以下の関係式(I)および(II)
Ibe1a>Ibe2a …(I)
2.1≦Ibe1a/Ibe2a≦9.4 …(II)
を満たすGaN基板である。このような構成とすることにより、GaN基板を用いて作製した半導体装置の特性の低下を抑制することができる。
(2)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記顕微PLマッピングにおける、前記第1領域の前記バンド端発光強度の平均値に対する前記第1領域の深い発光強度の平均値の比率(Ideep/Ibe)1aは、以下の関係式(III)
(Ideep/Ibe)1a≦0.47 …(III)
を満たし、前記顕微PLマッピングにおける、前記第2領域の前記バンド端発光強度の平均値に対する前記第2領域の深い発光強度の平均値の比率(Ideep/Ibe)2aは、以下の関係式(IV)
(Ideep/Ibe)2a≦3 …(IV)
を満たすことが好ましい。この場合には、GaN基板を用いて作製した半導体装置の特性の低下の抑制効果をより大きくすることができる。
(3)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記顕微PLマッピングにおける、前記第1領域の前記バンド端発光強度の平均値に対する前記第1領域の深い発光強度の平均値の比率(Ideep/Ibe)1aは、以下の関係式(V)
(Ideep/Ibe)1a≦0.11 …(V)
を満たし、前記顕微PLマッピングにおける、前記第2領域の前記バンド端発光強度の平均値に対する前記第2領域の深い発光強度の平均値の比率(Ideep/Ibe)2aは、以下の関係式(VI)
(Ideep/Ibe)2a≦1 …(VI)
を満たすことが好ましい。この場合には、GaN基板を用いて作製した半導体装置の特性の低下の抑制効果をさらに大きくすることができる。
(4)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記第1領域の酸素濃度が5×1017cm-3以上であって、第2領域の酸素濃度が5×1017cm-3未満であることが好ましい。この場合には、GaN基板の表面上に他の半導体層をエピタキシャル成長すること等によって形成した半導体装置の特性の低下の抑制効果をより大きくすることができる。
(5)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記第1領域の貫通転位密度が1×106cm-2以上であることが好ましい。この場合には、GaN基板の表面上に他の半導体層をエピタキシャル成長すること等によって形成した半導体装置の特性の低下の抑制効果をより大きくすることができる。
(6)本発明の一態様に係る貼り合わせ基板は、上記のいずれかに記載のGaN基板と支持基板とが貼り合わされてなる貼り合わせ基板である。このような構成とすることにより、貼り合わせ基板を用いて作製した半導体装置の特性の低下を抑制することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、実施形態について説明する。なお、実施形態の説明に用いられる図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
[実施形態1]
<GaN基板>
図1に、実施形態1のGaN基板の表面(C面)の模式的な平面図を示す。図1に示すように、実施形態1のGaN基板10は、オリエンテーションフラット(オリフラ)30を有していること以外は略円形状の表面を有しており、GaN基板10の直径Rは100mm以上となっている。
図2に、実施形態1のGaN基板の表面の一部の模式的な斜視図を示す。実施形態1のGaN基板10は、GaN結晶11から形成されている。そして、GaN結晶11の表面からGaN結晶11の内部に向かって延在する貫通転位23の集中領域が形成されている。
<GaN基板の製造方法>
以下、図3(a)〜図3(d)の模式的断面図を参照して、実施形態1のGaN基板の製造方法の一例について説明する。まず、図3(a)に示すように、成長面となる表面21aを有する成長用基板21を準備する。成長用基板21は、表面21a上にGaN結晶11を成長させることができるものであれば特に限定されず、たとえば、ガリウム砒素(GaAs)などの異種基板を用いてもよく、GaNからなる同種基板を用いてもよい。
次に、図3(b)に示すように、成長用基板21の表面21a上に、パターニング層22を形成する。パターニング層22は、たとえば、成長用基板21の表面21aの全面に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化珪素(SiO2)膜を形成した後に、SiO2膜上にフォトリソグラフィー法によりパターニングされたレジストを形成し、当該レジストをエッチングマスクとしたエッチングを行うことによって形成することができる。
次に、図3(c)に示すように、成長用基板21のパターニング層22が形成された表面21a上に、GaN結晶11を結晶成長させる。GaN結晶11の結晶成長方法としては、たとえば、ガリウム(Ga)原料として金属Gaを用い、窒素(N)原料としてアンモニア(NH3)ガスを用いたHVPE(Hydride Vapor Phase EPitaxy)法を用いることができる。
次に、図3(d)に示すように、GaN結晶11の裏側の成長用基板21をたとえば研削などによって除去する。その後、GaN結晶11の表面をたとえば研削などによって平坦化した後にたとえば研磨することによって、実施形態1のGaN基板10を得ることができる。
また、上記のようにして得られた実施形態1のGaN基板10の成長用基板21の除去側の表面に、たとえば図3(e)の模式的断面図に示すように、異種基板24を貼り合わせることによって貼り合わせ基板25を作製することもできる。異種基板24としては、たとえば、サファイア基板、AlN基板、SiC基板、GaAs基板、ZrB2基板、SiO2/Al23焼結体基板またはMo基板などを用いることができる。
また、実施形態1のGaN基板10と異種基板24との貼り合わせ方法は、特に限定されないが、たとえば、低温で均一に貼り合わせる観点から、表面活性化法またはフュージョンボンディング法などを用いることが好ましい。ここで、表面活性化法とは、GaN基板10の貼り合わせ面をプラズマに曝すことによりその表面を活性化させた後に貼り合わせる方法のことをいい、フュージョンボンディング法とは、洗浄した表面(貼り合わせ面)同士を加圧加熱して貼り合わせる方法のことをいう。また、実施形態1のGaN基板10と異種基板24とを接合膜を介して貼り合わせることもできる。
<バンド端発光強度および深い発光強度>
図4に、実施形態1のGaN基板10のC面内の1辺が2mmの正方形の領域(以下、「2mm□領域」という。)の1点において、25℃で顕微PLマッピングを行うことによって得られたPL発光スペクトルの一例を示す。図4の横軸はPL発光の波長[nm]を示し、縦軸はPL発光強度[a.u.]を示す。
図4に示すPL発光スペクトルにおいては、波長365nm近傍にピークを有するバンド端発光と、波長450nm〜600nmの範囲にピークを有する深い発光とが見られる。
ここで、本明細書においては、バンド端発光に対応するピークにおいて最も大きいPL発光強度を「バンド端発光強度」とし、深い発光に対応するピークにおいて最も大きいPL発光強度を「深い発光強度」とする。
そして、上記の25℃における顕微PLマッピングを、実施形態1のGaN基板10のC面内の任意の2mm□領域内の複数の箇所について行い、顕微PLマッピングの測定箇所ごとにそれぞれ上記のようにしてバンド端発光強度および深い発光強度を特定する。
そして、上記のようにして特定されたバンド端発光強度のうち、最大のバンド端発光強度の1/2以上のバンド端発光強度の当該2mm□領域内の領域を第1領域とし、最大のバンド端発光強度の1/2未満のバンド端発光強度の当該2mm□領域内の領域を第2領域として、当該2mm□領域を第1領域と第2領域とに区分けする。
そして、上記のようにして特定された複数の第1領域のそれぞれのバンド端発光強度から、その平均値を算出することによって、「第1領域のバンド端発光強度の平均値(Ibe1a)」が求められる。
また、上記のようにして特定された複数の第2領域のそれぞれのバンド端発光強度から、その平均値を算出することによって、「第2領域のバンド端発光強度の平均値(Ibe2a)」が求められる。
<関係式>
実施形態1のGaN基板10においては、第1領域のバンド端発光強度の平均値(Ibe1a)と、第2領域のバンド端発光強度の平均値(Ibe2a)とは以下の関係式(I)および(II)を満たしている。
Ibe1a>Ibe2a …(I)
2.1≦Ibe1a/Ibe2a≦9.4 …(II)
<作用効果>
実施形態1のGaN基板10は、第1領域のバンド端発光強度の平均値(Ibe1a)と、第2領域のバンド端発光強度の平均値(Ibe2a)とが上記の関係式(I)および(II)を満たしている。そのため、実施形態1のGaN基板10の表面上に他の半導体層をエピタキシャル成長すること等によって形成した半導体装置の特性の低下を抑制することができる。これは、本発明者らが鋭意検討した結果、見出したことによるものである。その詳細については、後述する。
<実施形態1の好ましい形態>
上記のようにして特定された複数の第1領域のそれぞれの深い発光強度から、その平均値を算出することによって、「第1領域の深い発光強度の平均値(Ideep1a)」が求められる。
また、上記のようにして特定された複数の第2領域のそれぞれの深い発光強度から、その平均値を算出することによって、「第2領域の深い発光強度の平均値(Ideep2a)」が求められる。
そして、第1領域のバンド端発光強度の平均値(Ibe1a)に対する第1領域の深い発光強度の平均値(Ideep1a)の比率((Ideep/Ibe)1a)が以下の関係式(III)を満たしているとともに、第2領域のバンド端発光強度の平均値(Ibe2a)に対する第2領域の深い発光強度の平均値(Ideep2a)の比率が以下の関係式(IV)を満たしていることが好ましい。この場合には、実施形態1のGaN基板10の表面上に他の半導体層をエピタキシャル成長すること等によって形成した半導体装置の特性の低下の抑制効果をより大きくすることができる。
(Ideep/Ibe)1a≦0.47 …(III)
(Ideep/Ibe)2a≦3 …(IV)
また、半導体装置の特性の低下の抑制効果をさらに大きくする観点からは、(Ideep/Ibe)1aが以下の関係式(V)を満たしているとともに、(Ideep/Ibe)2aが以下の関係式(VI)を満たしていることがさらに好ましい。
(Ideep/Ibe)1a≦0.11 …(V)
(Ideep/Ibe)2a≦1 …(VI)
[実施形態2]
実施形態2のGaN基板10は、第1領域の酸素濃度が5×1017cm-3以上であって、第2領域の酸素濃度が5×1017cm-3未満であることを特徴としている。この場合にも、実施形態2のGaN基板10の表面上に他の半導体層をエピタキシャル成長すること等によって形成した半導体装置の特性の低下の抑制効果をより大きくすることができる。
実施形態2における上記以外の説明は実施形態1と同様であるため、その説明については繰り返さない。すなわち、実施形態2のGaN基板10には、上述の酸素濃度が5×1017cm-3以上の第1領域と酸素濃度が5×1017cm-3未満の第2領域とが含まれているだけではなく、実施形態1のGaN基板10の特徴も含まれている。
[実施形態3]
実施形態3のGaN基板10は、上記の第1領域の貫通転位密度が1×106cm-2以上であることを特徴としている。実施形態3のGaN基板10においては、貫通転位密度が1×106cm-2以上の第1領域に転位を集中させることにより、貫通転位密度が1×106cm-2未満の第2の領域の結晶性を向上させることができる。
実施形態3のように、GaN基板10の表面の1辺が2mmの正方形の領域に貫通転位密度が1×106cm-2以上の第1領域と、貫通転位密度が1×106cm-2未満の第2領域とが含まれるのは、図2(b)から図2(c)に至るGaN結晶11の結晶成長過程において、以下の(i)〜(v)の現象がこの順に起こることによるものであると考えられる。
(i)GaN結晶11の表面の窪み14の隣り合うファセット13の境界に転位が移動することによるファセット13における貫通転位の低減。
(ii)GaN結晶11の表面の窪み14の隣り合うファセット13の境界の下部に転位が集合することによる欠陥面(面状欠陥部)の形成。
(iii)GaN結晶11の表面の窪み14の複数のファセット13が交差する多重点における転位の合流および閉じ込めによる転位の拡散防止。
(iv)多重点下部に転位が集合することによる線状欠陥部と、当該線状欠陥部の上方のコア部12の形成。
(v)ファセット13の成長によるファセット13における低欠陥部の増加。
実施形態3における上記以外の説明は実施形態1および実施形態2と同様であるため、その説明については繰り返さない。すなわち、実施形態3のGaN基板10には、上述の貫通転位密度が1×106cm-2以上の第1領域と貫通転位密度が1×106cm-2未満の第2領域とが含まれているだけではなく、実施形態1または実施形態2のGaN基板10の特徴も含まれている。
なお、貫通転位は、成長方向に貫く転位であり、貫通転位密度は選択エッチングによるエッチピットの密度を数えることにより評価することができる。選択エッチング方法としては、たとえば、加熱した酸やアルカリ水溶液中へのGaN基板の浸漬、または水酸化カリウムの溶融塩(溶融KOH)中へのGaN基板の浸漬などを挙げることができる。また、カソードルミネッセンス(CL)によっても貫通転位密度を測定することができる。CLでは貫通転位箇所が暗点となるため、暗点の数を数えてその単位面積(1cm2)当たりの密度を算出することによって、貫通転位密度の測定が可能である。
<試料1のGaN基板の作製>
まず、図3(a)に示すように、成長用基板21として直径110mmの表面((111)A面)21aを有するGaAs基板を準備した。
次に、図3(b)に示すように、GaAs基板の表面上にプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化シリコン(SiO2)膜を0.1μmの厚さで成膜し、その後、フォトリソグラフィー法およびBHF(バッファードフッ酸)を用いたエッチングにより、SiO2膜からなるパターニング層22を形成した
。パターニング層22の形状は、直径50μmの円を800μmピッチで格子状に配置した形状とし、格子方向は、m軸およびa軸方向とそれぞれ一致させた。
次に、図3(c)に示すように、パターニング層22が形成された成長用基板21としてのGaAs基板上に低温バッファ層を成長させ、その後、GaN結晶11を10時間で1200μm程度の厚さに成長させた。GaN結晶11は、Ga原料として金属Gaを用いるとともに、N原料としてNH3ガスを用いたHVPE法により成長させた。
HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法によるGaN結晶11の成長は以下のように行った。まず、ホットウォール型反応炉内の石英製の試料ホルダ上に成長用基板21としてのGaAs基板を設置した。次に、上流側ボート内に設置した金属Ga(800℃に加熱)に水素(H2)ガスをキャリアガスとして塩化水素(HCl)ガスを吹き付けて生成した塩化ガリウム(GaCl)ガス(分圧:3.06kPa)、およびNH3ガス(分圧:6.12kPa)をH2ガスをキャリアガスとして中心温度が1000℃となるように加熱されたGaNテンプレート基板上に10時間供給することによって、厚さ1200μm程度のGaN結晶11を成長させた。
低温バッファ層は、GaN結晶11の成長前に、上流側ボート内に設置した金属GaにH2ガスをキャリアガスとしてHClガスを吹き付けて生成したGaClガス(分圧:1.5kPa)およびNH3ガス(分圧:4.2kPa)を500℃に加熱したGaAs基板上に30分間供給して厚さ50nm程度に形成した。
次に、上記のようにして成長させたGaN結晶11の裏面を研削してGaAs基板を除去した。次に、GaN結晶11の表面を研削により平坦化した後に研磨を行い、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である試料1のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
<試料2のGaN基板の作製>
GaN結晶の結晶成長時に、結晶成長炉内の雰囲気に含まれる酸素量を制御したこと以外は試料1と同様にして、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である試料2のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
ここで、酸素量の制御は、GaN結晶の結晶成長初期、特に結晶成長開始後の10分間は結晶成長炉内の雰囲気に含まれる酸素量を100ppm以下にすることにより行った。
具体的には、GaN結晶の結晶成長開始前に、室温にて結晶成長炉内の雰囲気をN2、H2およびAr(アルゴン)などのガスで10分間以上置換し、結晶成長炉内の酸素濃度を酸素濃度計でモニターして100ppm以下となるようにした。GaN結晶の結晶成長開始後も結晶成長炉内の酸素濃度が100ppm以下となるように計測および制御した。
<試料2のGaN基板の顕微PLマッピング測定>
上記のようにして作製した試料2のGaN基板の表面であるC面について、顕微PLマッピング測定を行った。その結果を図5および図6に示す。なお、顕微PLマッピング測定は、GaN基板のC面内の2mm□領域の複数の箇所について25℃でのPL発光分光分析を行い、当該2mm□領域のバンド端発光強度または深い発光強度の分布をマッピングにより表す方法である。
ここで、2mm□領域の複数の箇所のそれぞれの顕微PLマッピング測定は、以下の条件で行った。
照射光:アルゴンイオンレーザー光の第2高調波(波長244nm)
照射エネルギー密度:0.3mW/直径10μmの円形スポット
PL発光波長領域:350nm〜610nm
測定領域:GaN基板の表面のC面中央部の2mm□領域内において50μm間隔で40点×40点
温度:室温(25℃)
なお、図5(a)は、試料2のGaN基板の顕微PLマッピング測定により得られた試料2のGaN基板のC面のバンド端発光強度の分布を示す顕微PLマッピング図であり、図5(b)は図5(a)の顕微PLマッピング図から得られたバンド端発光強度のヒストグラムである。
図5(b)においては、顕微PLマッピング図から得られたバンド端発光強度のうち、最大のバンド端発光強度の1/2以上のバンド端発光強度の領域を第1領域とし、最大のバンド端発光強度の1/2未満のバンド端発光強度の領域を第2領域として区分けされている。
また、図6(a)は、試料2のGaN基板の顕微PLマッピング測定により得られた試料2のGaN基板のC面の深い発光強度の分布を示す顕微PLマッピング図であり、図6(b)は図6(a)の顕微PLマッピング図から得られた深い発光強度のヒストグラムである。
また、図6(b)にも、図5(b)で区分けされた第1領域と第2領域とに基づいて区分けされている。バンド端発光強度と深い発光強度とは逆相関関係(バンド端発光強度が大きい箇所においては深い発光強度が小さくなり、バンド端発光強度が小さい箇所においては深い発光強度が大きくなる)にあるため、バンド端発光強度の大きさで第1領域と第2領域とを区分けした場合には、図6(b)に示すように、深い発光強度の大きさでも第1領域と第2領域とをきれいに区分けすることができる。
また、図7(a)は、試料2のGaN基板の顕微PLマッピング測定により得られた試料2のGaN基板のC面のバンド端発光強度に対する深い発光強度の比率の分布を示す顕微PLマッピング図であり、図7(b)は図7(a)の顕微PLマッピング図から得られたGaN基板のC面のバンド端発光強度に対する深い発光強度の比率のヒストグラムである。
また、図7(b)にも、図5(b)で区分けされた第1領域と第2領域とに基づいて区分けされている。上述のように、バンド端発光強度と深い発光強度とは逆相関関係にあるため、バンド端発光強度の大きさで第1領域と第2領域とを区分けした場合には、図7(b)に示すように、バンド端発光強度に対する深い発光強度の比率においても、第1領域と第2領域とをきれいに区分けすることができる。
<試料3のGaN基板の作製>
GaN結晶11の成長時におけるGaAs基板の中心温度を1030℃としたこと以外は試料2と同様にして、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である試料3のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
<試料4のGaN基板の作製>
GaN結晶11の成長時におけるGaAs基板の中心温度を980℃としたこと以外は試料2と同様にして、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である試料4のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
<試料5のGaN基板の作製>
成長用基板21として試料3のGaN基板と同一の方法および同一の条件で作製した直径110mmの表面(C面)を有するGaN基板上に、GaN結晶11の成長時におけるGaN基板の中心温度を1000℃とし、低温GaNバッファ層を形成せず、GaClガスの分圧を3.06kPaとし、NH3ガスの分圧を6.12kPaとしたこと以外は試料2と同様にして、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である試料5のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
<試料6のGaN基板の作製>
GaN結晶11の成長時におけるGaN基板の中心温度を1030℃としたこと以外は試料5と同様にして、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である試料6のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
<試料7のGaN基板の作製>
GaN結晶11の成長時におけるGaN基板の中心温度を980℃としたこと以外は試料5と同様にして、直径100mmの円形状のC面を表面として有するファセット構造の自立GaN基板である試料7のGaN基板を作製した(仕上げ厚み500μm)。
<試料8のGaN基板の作製>
成長用基板としてGaNテンプレート基板を準備した。GaNテンプレート基板は、直径110mmのサファイア基板の表面(C面)上にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によりGaN膜を2μmの厚さで形成することにより用意した。そして、SiO2膜からなるパターニング層22および低温バッファ層を形成することなく、GaN結晶11が鏡面成長するようにGaNテンプレート基板の中心の温度が1100℃となるように加熱して、GaClガス(分圧:2.40kPa)およびNH3ガス(分圧:2.40kPa)をキャリアガスとして
のN2ガスとともにGaNテンプレート基板に供給することによって厚さ1mm程度のGaN結晶11をシラン(SiH4)ガスを用いたシリコン(Si)ドープを行いながら成長させ、試料1と同様して、直径100mmの円形状のC面を表面として有するコアレス構造(コア部とファセットとからなる窪みを有しない構造)の自立GaN基板である試料10のGaN基板(Si濃度:2×1018cm-3)を作製した(仕上げ厚み500μm)。
<貫通転位密度評価>
試料2と同様にして作製したGaN基板の貫通転位密度をエッチピットで評価した。H2SO4:H3PO3=1:1の溶液を250℃に加熱し、GaN基板を約30分間浸漬させて、光学顕微鏡でエッチピット密度を測定した。GaN基板の中心部でのエッチピットはコア近傍で高密度であり、コアから離れた領域では低密度であった。コアを中心とした半径50μm領域ではエッチピット密度が1×107cm-2以上であり、コアを中心とした半径50μm領域を除く、半径400μm領域では3×105cm-2であった。試料3、試料5および試料6と同様にして作製したGaN基板のエッチピット密度も同様の分布となっており、コアを中心とした半径50μmの領域ではエッチピット密度が1×106cm-2以上であり、コアを中心とした半径50μmの領域を除く半径400μmの領域では1×106cm-2未満であった。
<酸素濃度評価>
試料2と同様の条件で作製したGaN基板の酸素濃度分布を二次イオン質量分析法(SIMS)により評価した。コア近傍のファセット成長領域では酸素濃度2×1018cm-3であり、コアから離れたC面成長領域(800μm□の4隅コア対角線交差部)では3×1016cm-3であった。試料3、試料5および試料6と同様にして作製したGaN基板の酸素濃度も、コア近傍のファセット成長領域では5×1017cm-3以上であり、コアから離れたC面成長領域では5×1017cm-3未満であった。
<顕微PLマッピング測定>
試料1および3〜8のGaN基板についても、試料2のGaN基板と同一の方法および同一の条件で顕微PLマッピング測定を行った。そして、試料1〜8のGaN基板の顕微PLマッピング測定結果から、試料1〜8のGaN基板のそれぞれについて、Ibe1a、Ideep1a、Ibe2a、Ideep2a、Ibe1a/Ibe2a、(Ideep/Ibe)1a、および(Ideep/Ibe)2aを算出した。その結果を表1に示す。
<エピタキシャル成長評価>
上記のようにして作製した試料1〜8のGaN基板上に、MOVPE法によりSBD構造をエピタキシャル成長させた。SBD構造は、キャリアストップ層であるキャリア濃度が2×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+GaN層、およびキャリアドリフト層であるキャリア濃度が1×1016cm-3で厚さ5μmのn-GaN層をこの順にエピタキシャル成長させた。これらの層のエピタキシャル成長条件は、成長温度は1050℃であり、GaNの原料としてTMG(トリメチルガリウム)およびNH3ガスを用い、Siドーパントの原料としてSiH4ガスを用いた。そして、上記のエピタキシャル成長後の試料1〜8のGaN基板の表面の外観を観察した。
その結果、試料1〜7のGaN基板においては、クラックおよび割れの発生は見られず、外観は良好であった。しかしながら、試料8のGaN基板はバラバラに割れていた。GaN層の成長中および成長後の冷却工程における応力のために破壊したものと考えられる。
<SBD耐圧評価>
上記のエピタキシャル成長評価で試料1〜8のGaN基板上に成長させたSBD構造上にドリフト層の表面に終端構造であるフィールドプレート用絶縁膜としてSiNx層を形成した。SiNx層はプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法で、SiH4ガスおよびNH3ガスを原料とし、厚みを0.5μmとした。
その後、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いて、SiNx層の形成後の試料1〜8のGaN基板をN2ガス雰囲気中で600℃で3分間の処理を行った。
次に、SiNx層の表面上にレジストを形成した後に、フォトリソグラフィによりレジストに開口部を形成し、エッチングによって開口部から露出しているSiNx層をバッファードフッ酸により除去し、フィールドプレート用開口部を形成した。フィールドプレート用開口部は、0.8mm間隔でドット状に配置されたコアの中央部に1辺が0.6mmの正方形の形状となるように形成した(ショットキー電極の有効面積0.6mm□)。なお、電極角部での電界集中を緩和させるためにフィールドプレート用開口部の角部を丸めた(曲率半径0.1mm)。
次に、レジストを除去した後、レジストを再度形成して、フォトリソグラフィによりレジストに開口部を形成し、ショットキー電極用パターンを形成した。そして、電子ビーム(EB)蒸着法により厚さ50nmのNi層および厚さ300nmのAu層をこの順序で蒸着し、リフトオフによりショットキー電極を形成した。ショットキー電極とSiNx層とが重なる領域の長さ(FP幅)を20μmとした。
その後、オーミック電極として、Al層/Ti層/Au層の3層構造の電極を試料1〜9のGaN基板の裏面の全面に形成し、SBDを完成させた。
そして、プローバーを使用し、顕微PLマッピングの測定領域の全領域を含む4×4=16のSBD素子(1辺が3.2mmの正方形の領域内のSBD素子)の逆方向I−V特性をマッピング測定した。電流密度1×10-3[A/cm2](3.6μA)における逆方向電圧を耐圧とした。試料1〜8の各試料の耐圧の面内平均値と最大値と最小値とを表1に示す。なお、表2に、試料1〜8の各GaN基板の製造条件を示す。
<考察>
表1にまとめた各試料のSBD耐圧と顕微PLマッピング特性とを比較する。しばしば結晶の指標として用いられるバンド端発光強度の平均値に対する深い発光強度の平均値の比率(以下、「スペクトル強度比」という。)が小さい方が、GaN結晶の単結晶性および表面特性が良いと考えられるため、SBD耐圧が高いことが期待できる。
実際に、第1領域のスペクトル強度比および第2領域のスペクトル強度比の両方、またはこれらのいずれか一方が大きい試料では、SBD耐圧の面内平均値が低い傾向があり(試料1,2,4)、両方の領域のスペクトル強度比が低い試料(試料3,5,6)では、SBD耐圧の面内平均値が600V以上となり、良好であることがわかった。
試料2〜7のGaN基板が同様の成長条件の試料1のGaN基板よりもスペクトル強度比が比較的小さくなった原因は、結晶成長初期の結晶成長炉内の酸素濃度を100ppm以下に低く制御したことによるものと考えられる。結晶成長初期の結晶成長炉内の酸素濃度を100ppm以下に低く制御することにより結晶成長初期のGaN結晶の結晶性が向上し、これにより、結晶成長初期のGaN結晶の結晶性が向上したことによりスペクトル強度比が改善し、その結果、SBD耐圧も改善傾向を示したと考えられる。
しかし、試料7では、両領域のスペクトル強度比が小さいにもかかわらず、SBD耐圧が低く、全SBD素子で600V以下となり、不良であることがわかった。この原因を考察するに、第1領域と第2領域でのバンド端発光領域強度比(Ibe1a/Ibe2a)が大きすぎることが考えられる。
この着眼から他の試料も確認してみると、SBD耐圧が良好(600V)なSBD素子を1素子でも得るためには、バンド端発光領域強度比が小さい((Ibe1a/Ibe2a)≦9.4)ことが必要条件であると考えられる。
バンド端発光領域強度比は、試料8のようなコアレス構造のGaN基板においては最低値1をとるが、試料8のGaN基板は他の半導体層のエピタキシャル成長時に割れてしまう不具合があるため、半導体装置の作製用の基板としては使用することができない。
したがって、ファセット構造を有するGaN基板のバンド端発光領域強度比の最低値は、試料6の2.1となる(ファセット構造はコアレス構造と比べて平均値で2倍程度の差異ができる)。
以上により、バンド端発光領域強度比(Ibe1a/Ibe2a)が2.1以上9.4以下である場合にSBD耐圧が良好なSBD素子が得られる条件となることが確認された。さらにSBD耐圧が良好なSBD素子を得るためには、バンド端発光領域強度比の条件に加えて、スペクトル強度比も影響することが確認された。
具体的には、試料2のGaN基板と試料3のGaN基板とは共に(Ibe1a/Ibe2a)が2.1以上9.4以下の条件を満たしているが、第1領域のスペクトル強度比(Ideep/Ibe)1aが0.47であって、第2領域のスペクトル強度比(Ideep/Ibe)2aが3である試料3のGaN基板は、(Ideep/Ibe)1aが0.52であって、(Ideep/Ibe)2aが11.8である試料2のGaN基板と比べて、SBD耐圧の面内平均値、最大値および最小値のすべてにおいて優れていた。特に、試料2のGaN基板はSBD耐圧の最大値が600Vを超える結果となったが、試料3のGaN基板はSBD耐圧の面内平均値が600Vを超える結果となった。
さらに、試料5および試料6のGaN基板は、(Ibe1a/Ibe2a)が2.1以上9.4以下、(Ideep/Ibe)1aが0.47以下、および(Ideep/Ibe)2aが3以下のすべての条件を満たしているが、さらに(Ideep/Ibe)1aが0.11以下、かつ(Ideep/Ibe)2aが1以下の条件も満たしていたため、全SBD素子でSBD耐圧が600V以上となっていた。
すなわち、(Ideep/Ibe)1a≦0.11、かつ(Ideep/Ibe)2a≦1である場合には、SBD耐圧の面内平均値、最大値および最小値のいずれにおいても600V以上を得ることができたため、(Ideep/Ibe)1a≦0.11、かつ(Ideep/Ibe)2a≦1であることがさらに好ましいことがわかった。
以上の結果から、顕微PLマッピング特性がSBD耐圧に与える影響を考察する。GaN基板のバンド端発光領域強度比が9.4を超える場合に、SBD耐圧の低下が生じることは以下のように解釈することができる。
たとえば、ドナー濃度が1×1016cm-3であって、ドープしたSiが全量Gaサイトに入りドナーとして働くと仮定した場合には、SBDに対する逆方向印加電圧が約200Vである場合に空乏層の厚みが5μmとなり、それ以上の逆バイアスではn+GaNからなるキャリアストップ層およびGaN基板に空乏層の影響が及ぶと考えられる。すなわち、逆方向印加電圧200V以上である場合には、SBD耐圧は、キャリアストップ層あるいはGaN基板の影響も受けると考えられる。GaN基板のバンド端発光強度の違いに起因して空乏層の伸び方が変わることによって、電界強度分布が発生し、一部に電界集中が生じて、SBD耐圧の低下に繋がった可能性が考えられる。
GaN基板のスペクトル強度比の影響については以下のように考えることができる。
GaN基板のスペクトル強度比が大きい場合には、GaN基板の結晶バルク特性または表面特性が良くないと考えられ、その結果、以下の悪影響(A)〜(C)を生じると考えられる。
(A)エピタキシャル成長特性が悪くなり、SBD耐圧が低下する。
(B)逆方向電圧を印加した場合に空乏層がキャリアドリフト層を貫通し、キャリアストップ層およびGaN基板にまで及び、GaN基板の結晶バルク特性不良または表面特性不良の影響を受け、SBD耐圧が低下する。
(C)エピタキシャル成長層内またはGaN基板の面内不均一に起因して発生した電界不均一の結果、一部に発生した電界集中がSBD耐圧の低下につながる。
以上のように本発明の実施形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
実施形態および実施例のGaN基板は、SBDなどの半導体デバイスなどの用途に利用することができる。
10 GaN基板
11 GaN結晶
21 成長用基板
21a 表面
22 パターニング層
23 貫通転位
24 支持基板
25 貼り合わせ基板
30 オリフラ

Claims (6)

  1. C面を表面とする窒化ガリウム基板であって、
    前記C面内の1辺が2mmの正方形の領域の25℃での顕微フォトルミネッセンスマッピングにおいて、バンド端発光強度の平均値が異なる第1領域と第2領域とを有し、
    前記第1領域のバンド端発光強度の平均値Ibe1aと、前記第2領域のバンド端発光強度の平均値Ibe2aとは、以下の関係式(I)および(II)
    Ibe1a>Ibe2a …(I)
    2.1≦Ibe1a/Ibe2a≦9.4 …(II)
    を満たす、窒化ガリウム基板。
  2. 前記顕微フォトルミネッセンスマッピングにおける、前記第1領域の前記バンド端発光強度の平均値に対する前記第1領域の深い発光強度の平均値の比率(Ideep/Ibe)1aは、以下の関係式(III)
    (Ideep/Ibe)1a≦0.47 …(III)
    を満たし、
    前記顕微フォトルミネッセンスマッピングにおける、前記第2領域の前記バンド端発光強度の平均値に対する前記第2領域の深い発光強度の平均値の比率(Ideep/Ibe)2aは、以下の関係式(IV)
    (Ideep/Ibe)2a≦3 …(IV)
    を満たす、請求項1に記載の窒化ガリウム基板。
  3. 前記顕微フォトルミネッセンスマッピングにおける、前記第1領域の前記バンド端発光強度の平均値に対する前記第1領域の深い発光強度の平均値の比率(Ideep/Ibe)1aは、以下の関係式(V)
    (Ideep/Ibe)1a≦0.11 …(V)
    を満たし、
    前記顕微フォトルミネッセンスマッピングにおける、前記第2領域の前記バンド端発光強度の平均値に対する前記第2領域の深い発光強度の平均値の比率(Ideep/Ibe)2aは、以下の関係式(VI)
    (Ideep/Ibe)2a≦1 …(VI)
    を満たす、請求項1または請求項2に記載の窒化ガリウム基板。
  4. 前記第1領域の酸素濃度が5×1017cm-3以上であって、第2領域の酸素濃度が5×1017cm-3未満である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化ガリウム基板。
  5. 前記第1領域の貫通転位密度が1×106cm-2以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の窒化ガリウム基板。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の窒化ガリウム基板と、支持基板とが貼り合わされてなる、貼り合わせ基板。
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