以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。また、本明細書中において、「〜」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
実施形態に係る配線基板は、伸縮性を有する基板と、伸縮性を有し、かつ導電性を有する配線とが積層された配線基板である。そしてJIS L0848で規定される酸性人工汗液に25℃で7日間浸漬する試験を行う前の基板の重量をW0とし、その試験を行った後の基板の重量をWaとし、その試験を行った後、さらに40℃4時間の条件で乾燥させた後の基板の重量をWbとしたとき、(Wa−Wb)/W0×100[%]で表される値が3.0%以下である。以下に詳しく説明する。
本実施形態に係る配線基板において、基板は第1のエラストマーを含む。また、配線は第2のエラストマーを含む。したがって、基板および配線はそれぞれ伸縮性を有し、この配線基板はフレキシブルデバイス、特にウェアラブルデバイスとして好適に用いられる。なお、第1のエラストマーと第2のエラストマーは互いに同じエラストマーであってもよいし、異なるエラストマーであってもよい。
本実施形態に係る基板は、JIS L0848で規定される酸性人工汗液に25℃で7日間浸漬する試験を行った際の、試験前の重量W0に対する試験後の試験片の水分含有量の比率WRdが0%以上3.0%以下の範囲にある。すなわち、本実施形態の基板は、酸性人工汗液への特定の条件での浸漬試験(以下、単に「試験」とも呼ぶ。)を行ったときに、上記の条件を満足するものである。本発明者らは、このように浸漬試験を行ったときに特定の条件を満足することにより、この基板を用いた配線基板が人体に装着されるデバイス(ウェアラブルデバイス)を用途とした場合に十分に高い耐久性を有することを見出した。
上記浸漬試験においては、JIS L0848で規定される酸性人工汗液に25℃で7日間浸漬する。浸漬試験は具体的に、たとえば以下の様に行える。基板の試験片を準備し、試験前の重量W0を測定する。試験片の寸法はたとえば20mm×50mm、厚さ1mmとする。なお、試験片の寸法は基板の大きさに応じ、上記と異なっていても良い。そして、密閉容器中でJIS L0848で規定される酸性人工汗液にその試験片全体を浸漬させる。酸性人工汗液の温度は25℃とし、そのまま7日間静置する。静置後、酸性人工汗液から試験片を取り出し、表面の水分を除いて試験後の重量Waを測定する。そしてさらに、試験片を40℃4時間で乾燥させ、乾燥後の重量Wbを測定する。
ここで、試験後の試験片の水分含有量はWa−Wbで表される。そして、試験前の重量W0に対する試験後の試験片の水分含有量の比率WRd[%]を0%以上3.0%以下の範囲内とすることで、その基板を用いて耐久性の高い配線基板を得られる。WRdは、WRd=(Wa−Wb)/W0×100[%]の関係で求められる。
発明者らは、ウェアラブルデバイスにおける配線基板の故障について鋭意探求したところ、配線の耐久性が配線の材質や特性のみならず、基板の材質や特性に依存していることが明らかとなった。そして、特にWRdを3.0%以下とすることで、配線基板をウェアラブルデバイスに用いた場合にも、配線が切れたり配線に亀裂が生じたりしにくくなり、耐久性の高い配線基板が得られることを見いだした。この理由は定かではないが、水分が基板に浸入し透過して配線に接触することで生じる配線の強度低下が、抑制されると推測できる。ウェアラブルデバイスにおいては、使用者の皮膚からの水蒸気放出や発汗による高湿状態と、その水分が蒸発した低湿状態とが繰り返されることが、配線へのダメージの一因となっていると推測される。本実施形態では、上記の浸漬試験を行ったときにWRdが3.0%以下となる基板を用いることにより、基板と配線との複合構造である配線基板としての耐久性を向上させることができる。
本実施形態に係る基板について、上記浸漬試験を行った際のWRdは3.0%以下であり、2.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。そうすれば、配線基板の耐久性をより向上させることができる。
また、本実施形態に係る基板の、上記した試験の前における硬度をHa、試験の後における硬度をHbとしたときに、(Hb−Ha)/Ha×100[%]は−10%以上であることが好ましく、−4%以上であることがより好ましく、−1%以上であることがさらに好ましい。そうすれば、配線基板の耐久性をより向上させることができる。また、(Hb−Ha)/Ha×100[%]はたとえば10%以下である。試験の前における硬度Haおよび試験の後における硬度Hbは、それぞれJIS K6253に規定するタイプAデュロメーターにより25℃で測定できる。
基板の、浸漬試験後の硬度Hbはたとえば27以上であることが好ましく、29以上であることがより好ましい。そうすれば、配線基板の耐久性をより向上させることができる。
本実施形態に係る基板から作製した試験片の上記試験の前の引き裂き強さをTRa、試験の後の引き裂き強さをTRbとしたときに、(TRb−TRa)/TRa×100[%]は−40%以上であることが好ましく、−30%以上であることがより好ましい。そうすれば、配線基板の耐久性をより向上させることができる。また、(TRb−TRa)/TRa×100[%]はたとえば30%以下である。引き裂き強さTRaおよび引き裂き強さTRbは、以下の様に測定できる。すなわち、基板から切込みありクレセント形試験片を作製し、当該試験片を上記試験と同様の試験に付し、当該試験片の、試験の前における、引き裂き強さをTRa、試験の後における引き裂き強さをTRbとする。試験の前の引き裂き強さTRaおよび試験の後の引き裂き強さTRbは、それぞれJIS K6252の方法に準じて測定できる。
基板の、浸漬試験後の引き裂き強さTRbはたとえば6.5N/mm以上であることが好ましく、30N/mm以上であることがより好ましい。そうすれば、配線基板の耐久性をより向上させることができる。
本実施形態の基板の、上記した試験の前における引張強さをTBa、試験の後における引張強さをTBbとしたときに、(TBb−TBa)/TBa×100[%]は−50%以上であることが好ましく、−30%以上であることがより好ましく、−25%以上であることがさらに好ましい。そうすれば、配線基板の耐久性をより向上させることができる。また、(TBb−TBa)/TBa×100[%]はたとえば5%以下である。試験の前における引張強さTBaおよび試験の後における引張強さTBbは、それぞれJIS K7161の方法に準じて測定できる。
基板の、浸漬試験後の引張強さTBbはたとえば5N/mm2以上であることが好ましい。そうすれば、配線基板の耐久性をより向上させることができる。
本実施形態の配線基板において、以下に説明する抵抗Rini[Ω]と抵抗Rre[Ω]との比Rre/Riniは特に限定されないが、たとえば5以下とすることができ、好ましくは3以下、より好ましくは2以下とすることができる。ここで、抵抗Rini[Ω]は、酸性人工汗液を接触させる前の非伸縮状態での配線の抵抗である。また、抵抗Rre[Ω]は、酸性人工汗液を染み込ませた不織布を配線を形成した面とは反対側の面のみに接触させ、そのまま7日間静置した後の非伸縮状態での配線の抵抗である。
配線基板において、配線の幅、厚さ、形状等は特に限定されないが、配線の幅はたとえば0.2mm以上1.0mm以下である。また、配線の厚さはたとえば10μm以上500μm以下である。
本実施形態に係る配線基板の製造方法について以下に説明する。ただし、以下の方法は上記の浸漬試験を行った際のWRdが0%以上3.0%以下となる基板を有する配線基板の製造方法の一例を示している。上記の浸漬試験を行った際のWRdが0%以上3.0%以下である基板を有する配線基板であれば、その製造方法は特に限定されない。
本実施形態に係る基板は、第1のエラストマーを含む基板形成用樹脂組成物を用いて作製できる。また、本実施形態に係る配線は、第2のエラストマーを含む導電性樹脂組成物により構成できる。以下では、各樹脂組成物について説明する。
<<基板形成用樹脂組成物>>
第1のエラストマーとしては、たとえばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム等を用いることができる。これらの中でも、基板に含まれる第1のエラストマーは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、およびアクリルゴムからなる群から選ばれる一または二以上の材料であることが好ましい。第1のエラストマーがシリコーンゴムを含む場合、伸縮性、耐熱性、化学的安定性、および生体適合性に優れる配線基板を得られる。また、第1のエラストマーがウレタンゴムを含む場合、伸縮性、機械強度、および耐摩耗性に優れた配線基板が実現できる。
<シリコーンゴム系硬化性組成物>
以下ではまず、本実施形態に係る基板が、第1のエラストマーとしてシリコーンゴムを含むシリコーンゴム系硬化性組成物により構成される例について説明する。すなわち、シリコーンゴム系硬化性組成物を基板形成用樹脂組成物として用いることができる。
(エラストマー(A))
シリコーンゴム系硬化性組成物は、エラストマー(A)として、シリコーンゴムを含む。
シリコーンゴムとしては、たとえば、分子内にシロキサン構造を有するものが用いられる。
本実施形態においては、このようなシリコーンゴムの中でも、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)を、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)で架橋してなるシリコーンゴムが好ましく用いられる。
[ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)]
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
このビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、分子内に二個以上のビニル基を有し、かつビニル基の含有量が15モル%以下であるのが好ましく、0.01〜12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)中におけるビニル基の量が最適化され、各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。
なお、本明細書中において、ビニル基の含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基が1つであるものとして算出を行う。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)の重合度は、特に限定されないが、好ましくは1000〜10000、より好ましくは2000〜5000の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)の比重は、特に限定されないが、0.9〜1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴム系硬化性組成物の耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
式(1)中、R1は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、R2は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、R3は炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のR1およびR2の置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、R3の置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のR1は互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R2、およびR3についても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0〜2000の整数、nは1000〜10000の整数である。mは、好ましくは0〜1000であり、nは、好ましくは2000〜5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)のより具体的構造としては、例えば下記式(1−1)で表されるものが挙げられる。
式(1−1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくともこれらのうち一つがビニル基である。
さらに、以上のようなビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)としては、分子内に二個以上のビニル基を有し、かつビニル基含有量が0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))と、ビニル基含有量が0.5〜15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))とを含有するものであるのが好ましい。エラストマー(A)として、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂き強度を高めることができる。また、これにより、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物としての耐久性を飛躍的に向上させることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)として、例えば、上記式(1−1)において、R1がビニル基である単位および/またはR2がビニル基である単位を分子内に二個以上有し、かつ0.4モル%以下含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))と、R1がビニル基である単位および/またはR2がビニル基である単位を、0.5〜15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))は、ビニル基含有量が0.01〜0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))は、ビニル基含有量が、0.8〜12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))とを組み合わせて配合する場合、(A−1(a))と(A−1(b))の比率は特に限定されないが、通常、質量比で(A−1(a)):(A−1(b))が50:50〜95:5であるのが好ましく、80:20〜90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))および(A−1(b))は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)]
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))とに分類され、本実施形態では、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))だけでもよいし、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))だけでもよいし、これらの直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))の双方を含んでもよい。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有する反応性基に作用し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))は、ビニル基を有しないものであることが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
式(2)中、R4は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、R5は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のR4は互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。R5についても同様である。ただし、複数のR4およびR5のうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、R6は炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のR6は互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR4,R5,R6の置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))を構成する繰り返し単位の数であり、mは2〜150の整数、nは2〜150の整数である。好ましくは、mは2〜100の整数、nは2〜100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される各成分の反応性基に作用し、これらの成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))の比重は、0.9〜0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(Ha(R7)3−aSiO1/2)m(SiO4/2)n
(式(c)において、R7は一価の有機基、aは1〜3の範囲の整数、mはHa(R7)3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)。
式(c)において、R7は一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1〜3の範囲の整数であり、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはHa(R7)3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))では1.8〜2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))では0.8〜1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
式(3)中、R7は炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。R7の置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のR7は互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「−O−Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、本実施形態において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))の合計のヒドリド基量が、0.5〜5モルとなる量が好ましく、1〜3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))とでは、通常、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))が主剤として含有され、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))は、上述したように、シリコーンゴムにさらに架橋密度が高い領域を形成させる場合に添加される。したがって、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))とを組み合わせて配合する場合、(A−2(a))と(A−2(b))の比率は、重量比で(A−2(a)):(A−2(b))が好ましくは1:0.1〜1:1に、より好ましくは1:0.2〜1:0.5に設定される。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)の含有量は、具体的にビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)及びシリカ粒子(B)及びシランカップリング剤(C)の合計量100重量部に対して、例えば、0.1重量部以上20重量部以下の割合で含有することが好ましく、0.2重量部以上15重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)の含有量が前記範囲内であることで、より効果的な硬化反応ができる可能性がある。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中におけるエラストマー(A)の含有量は、シリコーンゴム系硬化性組成物の固形分全体に対して、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましい。また、シリコーンゴム系硬化性組成物中におけるエラストマー(A)の含有量は、シリコーンゴム系硬化性組成物の固形分全体に対して、95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましい。
エラストマー(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物が適度な柔軟性を持つことができる。また、エラストマー(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物の機械的強度の向上を図ることができる。
なお、本明細書中において、「固形分」とは、水や有機溶媒等の揮発性成分を除去した成分全体を指し、たとえば常温で液体を呈していたとしても、揮発の起こらない成分については、固形分であるものとして合算する。以下、各成分についても同様である。
(シリカ粒子(B))
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、必要に応じ、シリカ粒子(B)を含んでいてもよい。このシリカ粒子(B)を含ませることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物から形成される硬化物の硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
このシリカ粒子(B)は、例えば、BET法による比表面積が50〜400m2/gであることが好ましく、100〜400m2/gであることがより好ましい。また、その平均一次粒子径が1〜100nmであることが好ましく、5〜20nmであることがより好ましい。
シリカ粒子(B)として、かかる比表面積および平均一次粒子径の範囲内であるものを用いることにより、上述したシリカ粒子(B)としての機能を顕著に発揮させることができる。
なお、シリカ粒子(B)の粒径は、たとえば、シリコーンゴム系硬化性組成物あるいはこの硬化物について透過型電子顕微鏡等で観察の上、画像解析を行い、任意に選んだシリカ粒子200個の平均値として定義することができる。
シリカ粒子(B)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等を用いることができる。
なお、シリカ粒子(B)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中におけるシリカ粒子(B)の含有量は、シリコーンゴム系硬化性組成物がビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)を含む場合、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましく、20重量部以上であることがさらに好ましい。また、シリコーンゴム系硬化性組成物中におけるシリカ粒子(B)の含有量は、シリコーンゴム系硬化性組成物がビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)を含む場合、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましく、80重量部以下であることがより好ましく、70重量部以下であることがさらに好ましい。
シリカ粒子(B)の含有量を上記下限値以上、上限値以下とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物が適度な機械的強度を持つことができる。
(シランカップリング剤(C))
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(C)を含んでいてもよい。このシランカップリング剤(C)は、加水分解性基を有するものであり、この加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(B)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(B)の表面改質を行うことができる。
その他、シリカ粒子(B)が存在しない場合であっても、配線と基板との密着性を向上させるという効果を発揮することができる。
また、このシランカップリング剤(C)は、疎水性基を有するものを用いることができる。これにより、シリカ粒子(B)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中において、シリカ粒子(B)の凝集力が低下し、その結果、該組成物中のシリカ粒子の分散性が向上する。これにより、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物の機械的強度がいっそう向上する。
さらに、シランカップリング剤(C)は、ビニル基を有しているのが好ましい。これにより、シリカ粒子(B)を用いる場合にあっては、その表面にビニル基が導入される。
これにより、たとえば、エラストマー(A)として、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)が含まれる場合、以下のような効果が奏される。
すなわち、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(B)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(B)も取り込まれるようになる。これにより、形成される硬化物の高硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
このようなシランカップリング剤(C)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
Yn−Si−(X)4−n・・・(4)
上記式(4)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(C)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられる。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Yn−Si−)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(C)の具体例は、例えば、官能基として疎水性基を有するものとして、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられ、官能基としてビニル基を有するものとして、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジビニルジシラザンが挙げられるが、中でも、上記記載を考慮すると、特に、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンであるのが好ましい。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中におけるシランカップリング剤(C)の含有量は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)100重量部に対して5重量部以上100重量部以下であるのが好ましく、5重量部以上40重量部以下であるのがより好ましい。
シランカップリング剤(C)の含有量を上記下限値以上、上限値以下とすることにより、配線と基板とが適度な密着性を持ち、また、シリカ粒子(B)を用いる場合においては、硬化物全体としての機械的強度の向上に資することができる。
(白金または白金化合物(D))
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(D)を含むことができる。
白金または白金化合物(D)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物硬化の際の触媒として作用する成分である。
白金または白金化合物(D)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(D)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金または白金化合物(D)の含有量は、特に限定されないが、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)、シリカ粒子(B)、シランカップリング剤(C)の合計量に対して、白金または白金化合物(D)中の白金族金属が重量単位で0.01〜1000ppmであることが好ましく、0.1〜500ppmであることがより好ましい。
白金または白金化合物(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物を作製する際のコストの削減に資することができる。
(水(E))
また、本実施形態の導電性組成物には、水(E)が含まれていてもよい。
これにより、先述のシランカップリング剤(C)が加水分解を起こし、所望の効能を発現しやすくなる。
なお、水(E)を含有する場合、その含有量は、適宜設定することができるが、具体的には、シランカップリング剤(C)100重量部に対して、例えば、10〜100重量部の範囲であるのが好ましく、30〜70重量部の範囲であるのがより好ましい。これにより、シランカップリング剤(C)とシリカ粒子(B)との反応をより確実に進行させることができる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)〜(E)成分の他、樹脂組成物に配合される公知の成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
また、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化性を制御する観点から、適宜反応阻害剤を加えることもできる。
(シリコーンゴム系硬化性組成物の製造方法)
続いて、本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物の製造方法について説明する。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、たとえば、以下に示すような工程を経ることにより製造することができる。
[1]まず、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)と、シリカ粒子(B)と、シランカップリング剤(C)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置により、混練することで、これら各成分を含有する混練物を得る。
なお、この混練物は、予めビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)とシランカップリング剤(C)とを混練し、その後、シリカ粒子(B)を混練(混合)して得るのが好ましい。これにより、シリカ粒子(B)の分散性がより向上する。
また、この混練物を得る際には、水(E)を必要に応じて、各成分に添加するようにしてもよい。
ここで、各成分の混練は、第1温度で加熱する第1ステップと、第2温度で加熱する第2ステップとを経るようにするのが好ましい。これにより、第1ステップにおいて、シリカ粒子(B)の表面をシランカップリング剤(C)で表面処理することができるとともに、第2ステップにおいて、シリカ粒子(B)とシランカップリング剤(C)との反応で生成した副生成物を混練物中から確実に除去することができる。
第1温度は、40〜120℃程度であるのが好ましく、60〜90℃程度であるのがより好ましい。第2温度は、130〜210℃程度であるのが好ましく、160〜180℃程度であるのがより好ましい。
また、第1ステップにおける雰囲気は、窒素雰囲気下のような不活性雰囲気下であるのが好ましく、第2ステップにおける雰囲気は、減圧雰囲気下であるのが好ましい。
さらに、第1ステップの時間は、0.3〜1.5時間程度であるのが好ましく、0.5〜1.2時間程度であるのがより好ましい。第2ステップの時間は、0.7〜3.0時間程度であるのが好ましく、1.0〜2.0時間程度であるのがより好ましい。
第1ステップおよび第2ステップを、上記のような条件とすることで、前記効果をより顕著に得ることができる。
[2]次に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)と、白金または白金化合物(D)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置を用いて、前記工程[1]で調製した混練物に、これら成分を混練することで、シリコーンゴム系硬化性組成物を得る。
なお、この各成分の混練の際には、予め前記工程[1]で調製した混練物とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)とを、前記工程[1]で調製した混練物と白金または白金化合物(D)とを混練し、その後、それぞれの混練物を混練するのが好ましい。これにより、各成分を確実に分散させることができる。
この工程[2]において、混練する際の温度は、ロール設定温度として、10〜70℃程度であるのが好ましく、25〜30℃程度であるのがより好ましい。
さらに、混練する時間は、5分〜1時間程度であるのが好ましく、10〜40分程度であるのがより好ましい。
なお、各工程[1]、[2]において使用される混練装置としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等を用いることができる。
また、本工程[2]において、混練物中に1−エチニル−1−シクロヘキサノールのような反応抑制剤を添加するようにしてもよい。これにより、混練物の温度が比較的高い温度に設定されたとしても、各成分の反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。
<ウレタンゴム系組成物>
次いで以下では、本実施形態に係る基板が、第1のエラストマーとしてウレタンゴムを含むウレタンゴム系組成物により構成される例について説明する。本例ではたとえば、ウレタンゴム系組成物を基板形成用樹脂組成物として用いることができる。
(エラストマー(A))
ウレタンゴム系組成物は、エラストマー(A)として、ウレタンゴムを含む。ウレタンゴムとしては、たとえば分子構造で分類した場合、ポリエステルウレタンおよびポリエーテルウレタンが挙げられる。エラストマー(A)は、ウレタンゴムとして、これらのうち一種のみを含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。また、ウレタンゴムは、熱硬化性タイプおよび熱可塑性タイプのいずれであってもよい。
本実施形態において、ウレタンゴム系組成物中におけるエラストマー(A)の含有量は、ウレタンゴム系組成物の固形分全体に対して、90質量%以上であることが好ましく、91質量%以上であることがより好ましく、92質量%以上であることがさらに好ましい。また、ウレタンゴム系組成物中におけるエラストマー(A)の含有量は、ウレタンゴム系組成物の固形分全体に対して、99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99.0質量%以下であることがさらに好ましい。エラストマー(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、ウレタンゴム系組成物が絶縁性の高いウレタンゴム系組成物を得ることができる。
ウレタンゴム系組成物としては、たとえば市販のウレタンゴムを用いることができる。
<フッ素ゴム系組成物>
次いで以下では、本実施形態に係る基板が、第1のエラストマーとしてフッ素ゴムを含むフッ素ゴム系組成物により構成される例について説明する。すなわち、フッ素ゴム系組成物を基板形成用樹脂組成物として用いることができる。
(エラストマー(A))
フッ素ゴム系組成物は、エラストマー(A)として、フッ素ゴムを含む。フッ素ゴムとしては、たとえばフッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、および四フッ化エチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルゴムが挙げられる。エラストマー(A)は、フッ素ゴムとして、これらのうち一種のみを含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
本実施形態において、フッ素ゴム系組成物中におけるエラストマー(A)の含有量は、フッ素ゴム系組成物の固形分全体に対して、85質量%以上であることが好ましく、87質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、フッ素ゴム系組成物中におけるエラストマー(A)の含有量は、フッ素ゴム系組成物の固形分全体に対して、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましく、97質量%以下であることがさらに好ましい。エラストマー(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、基板の耐薬品性、耐熱性をより向上することができる。また、エラストマー(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、加工性をより向上できる。
(その他の成分)
本実施形態のフッ素ゴム系組成物は、必要に応じ、可塑剤や充填剤を含んでいてもよい。可塑剤を含ませることにより加工性をより向上できる。また、充填剤を含ませることにより、組成物の特性の調整をおこなうことができる。
フッ素ゴム系組成物は、上記の各成分を混合することにより得られる。
なお、本実施形態に係る基板としては、市販の板状樹脂またはシート状樹脂に必要に応じて加工を施したものを用いてもよい。
[導電性樹脂組成物]
本実施形態に係る配線は、導電性樹脂組成物により構成される。導電性樹脂組成物は第2のエラストマーを含むことが好ましい。そうすれば、伸縮性に優れる配線基板を実現できる。この第2のエラストマーとしては、たとえばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム等を用いることができる。これらの中でも、配線に含まれる第2のエラストマーは、シリコーンゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴムからなる群から選ばれる一または二以上の材料であることが好ましい。第2のエラストマーがシリコーンゴムを含む場合、伸縮性、耐熱性、化学的安定性、および生体適合性に優れる配線基板を得られる。また、第2のエラストマーがウレタンゴムを含む場合、伸縮性、機械強度、および耐摩耗性に優れた配線基板を実現できる。ただし、導電性樹脂組成物はエラストマーを含まなくてもよく、エラストマー以外の樹脂を含んでもよい。
導電性樹脂組成物について、第2のエラストマーがシリコーンゴムを含む場合を例として、以下に説明する。
(エラストマー(A))
導電性樹脂組成物中に含まれるエラストマー(A)としては、シリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれるエラストマー(A)として例示したものを用いることが可能である。また、好ましい条件についても、以下に説明する点を除いてシリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれるエラストマー(A)と同じである。
本実施形態において、導電性樹脂組成物中におけるエラストマー(A)の含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性樹脂組成物中におけるエラストマー(A)の含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
エラストマー(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性樹脂組成物の硬化物が適度な柔軟性を持つことができる。また、エラストマー(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物の機械的強度の向上を図ることができる。
(シリカ粒子(B))
本実施形態の導電性樹脂組成物は、必要に応じ、シリカ粒子(B)を含んでいてもよい。このシリカ粒子(B)を含ませることにより、導電性樹脂組成物から形成される硬化物の硬さや機械的強度の向上を図ることができる。導電性樹脂組成物中に含まれるシリカ粒子(B)としては、シリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれるシリカ粒子(B)として例示したものを用いることが可能である。また、好ましい条件についても、以下に説明する点を除いてシリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれるシリカ粒子(B)と同じである。
本実施形態において、導電性樹脂組成物中におけるシリカ粒子(B)の含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性樹脂組成物中におけるシリカ粒子(B)の含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
シリカ粒子(B)の含有量を上記下限値以上、上限値以下とすることにより、導電性樹脂組成物の硬化物が適度な機械的強度を持つことができる。また、シリカ粒子(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物が適度な導電特性を持つことができる。
(シランカップリング剤(C))
本実施形態の導電性樹脂組成物は、シランカップリング剤(C)を含んでいてもよい。このシランカップリング剤(C)は、加水分解性基を有するものであり、この加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(B)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(B)の表面改質を行うことができる。
その他、シリカ粒子(B)が存在しない場合であっても、配線と基板との密着性を向上させるという効果を発揮することができる。
導電性樹脂組成物中に含まれるシランカップリング剤(C)としては、シリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれるシランカップリング剤(C)として例示したものを用いることが可能である。また、好ましい条件についても、以下に説明する点を除いてシリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれるシランカップリング剤(C)と同じである。
本実施形態において、導電性樹脂組成物中におけるシランカップリング剤(C)の含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性樹脂組成物中におけるシランカップリング剤(C)の含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤(C)の含有量を上記下限値以上、上限値以下とすることにより、配線が基板と適度な密着性を持ち、また、シリカ粒子(B)を用いる場合においては、硬化物全体としての機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物である配線が適度な導電特性を持つことができる。
(白金または白金化合物(D))
本実施形態の導電性樹脂組成物は、白金または白金化合物(D)を含むことができる。
白金または白金化合物(D)は、本実施形態の導電性樹脂組成物硬化の際の触媒として作用する成分である。導電性樹脂組成物中に含まれる白金または白金化合物(D)としては、シリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれる白金または白金化合物(D)として例示したものを用いることが可能である。また、好ましい条件についても、以下に説明する点を除いてシリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれる白金または白金化合物(D)と同じである。
本実施形態において、導電性樹脂組成物中における白金または白金化合物(D)の含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体の重さに対して、0.001ppm以上であることが好ましく、0.005ppm以上であることがより好ましく、0.01ppm以上であることがさらに好ましい。また、導電性樹脂組成物中における白金または白金化合物(D)の含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体の重さに対して、2000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、500ppm以下であることがさらに好ましい。
白金または白金化合物(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性樹脂組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、導電性樹脂組成物を作製する際のコストの削減に資することができる。
(水(E))
また、本実施形態の導電性組成物には、水(E)が含まれていてもよい。
これにより、先述のシランカップリング剤(C)が加水分解を起こし、所望の効能を発現しやすくなる。
なお、この水(E)の添加量は任意である。
(導電性フィラー)
本実施形態の導電性樹脂組成物は、導電性フィラーを含む。すなわち、配線は導電性フィラーを含む。そうすることにより、配線の導電性を高めることができる。この導電性フィラーは特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらを合金化した金属粉、導電有機化合物、導電性の炭素材料のうちの少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。炭素材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等が挙げられる。
これらのうち、導電性フィラーとしては、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀粉、銅粉および炭素材料からなる群から選ばれる一または二以上の材料を含むことが好ましい。なお、これらの導電性フィラーは他種金属でコートしたものも使用できる。
本実施形態において、導電性フィラーの形状には制限がないが、樹枝状、球状、リン片状等の従来から用いられているものが使用できる。
本実施形態において、導電性樹脂組成物中における導電性フィラーの含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性樹脂組成物中における導電性フィラーの含有量は、導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、90質量%以下であることが好ましく、88質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
導電性フィラーの含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性樹脂組成物の硬化物が適度な導電特性を持つことができる。また、導電性フィラーの含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物が適度な柔軟性を持つことができる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態の導電性樹脂組成物は、上記(A)〜(E)成分の他、樹脂組成物に配合される公知の成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
また、導電性樹脂組成物の硬化性を制御する観点から、適宜反応阻害剤を加えることもできる。
(導電性樹脂組成物の製造方法)
続いて、本実施形態に係る導電性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本実施形態の導電性樹脂組成物は、たとえば、以下に示すような工程を経ることにより製造することができる。
まず、上記したシリコーン系硬化性組成物を製造する方法の工程[1]および[2]と同様にして、シリコーン系硬化性組成物を得る。導電性樹脂組成物を製造する方法の、各工程における好ましい条件は、シリコーン系硬化性組成物を製造する方法で説明した条件と同じである。
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を溶媒に溶かし、導電性フィラーを加えることで、導電性樹脂組成物を得ることができる。
ここで用いられる溶媒は、上記の配合物を均一に溶解ないし分散させることのできる溶媒の中から適宜選択すればよい。
具体的な溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを例示することができる。
溶媒は、これらのうち一種類を単独で用いても良く、二種類以上の溶媒を任意の比率で混合して用いても良い。
なお、本実施形態では、シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物を用いて導電性樹脂組成物を製造する方法について説明したが、これに限定されず、用いるエラストマーの種類に応じて、公知の方法を適宜用いることができる。
たとえば、第2のエラストマーとしてウレタンゴムを用いる場合には、ウレタンエラストマー粒子の水分散液に対し、導電性フィラーを加えることで、導電性樹脂組成物を製造できる。
また、導電性樹脂組成物としては、市販の導電性組成物を用いても良い。導電性樹脂組成物としては、CI−1036(Engineered Materials Systems, Inc.社製)、SX―ECA48(セメダイン社製)等を用いることができる。
また、配線および基板がシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて形成される場合、各構成要素について、用いられるシリコーンゴム系硬化性組成物は同一の組成であっても良いし、互いに異なる組成であってもよい。
第1のエラストマーおよび第2のエラストマーのうち、少なくとも1つはビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)の架橋体(a)を含むことが好ましく、中でも、第1のエラストマーはビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)の架橋体(a)を含むことが好ましい。また、第1のエラストマーおよび第2のエラストマーがいずれもビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)の架橋体(a)を含むことがより好ましい。
また、当該架橋体(a)は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)との架橋体であることがより好ましい。
また、第1のエラストマーおよび第2のエラストマーのうち、少なくとも1つはシリカ粒子(B)を含むことが好ましく、第1のエラストマーおよび第2のエラストマーがいずれもシリカ粒子(B)を含むことがより好ましい。
本実施形態に係る配線基板の製造方法について以下に説明する。
当該製造方法は、第1のエラストマーを含む基板を準備する工程、および基板の少なくとも一方の面に配線を形成する工程を含む。各工程について以下に詳しく説明する。
まず、基板を準備する工程では、上記したシリコーンゴム系硬化性組成物を型枠内で熱プレスし、シート化する。この熱プレスにおいては、たとえば、加熱温度を100℃以上250℃以下、圧力を0.5MPa以上20MPa以下、熱プレス時間を1分以上30分以下とすることができる。また、熱プレスによる成形後、200℃で1〜4時間ポストベーク(2次硬化)することができる。基板の厚さは特に限定されないが、3000μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。また、基板の厚さはたとえば0.5μm以上である。
次いで、配線を形成する工程では、基板に対し、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、ディスペンサー等の公知の方法により、上記した導電性樹脂組成物をインクとして配線となるパターンを印刷、塗布する。それをオーブンで加熱し、配線を形成する。このとき、加熱温度はたとえば100℃以上300℃以下とすることができる。また、加熱時間はたとえば20分以上30時間以下とすることができる。こうして、配線基板が得られる。なお、配線の上にはさらに被覆層等を設けてもよい。被覆層は、たとえば基板と同様の樹脂組成物を塗布して形成できる。
図1は、本実施形態に係る電子装置100の構成例を示す断面図である。本実施形態に係る電子装置100は、本実施形態に係る配線基板10を備える。配線基板10は基板11と配線13とを備える。基板11の一方の面110には、配線13が設けられている。また、電子装置100は素子20を備える。素子20はたとえば半導体集積回路(IC)、抵抗、またはコンデンサ等の電子素子である。素子20は電極22を備える。電極22は、配線13を介して他の素子20の電極22や電源等と接続されている。
電子装置100は特に限定されないが、たとえばウェアラブルのセンサデバイス、通信デバイスとして機能する。
なお、本図の例では、配線13が基板11の一方の面110のみに形成されている例を示しているが、この構造に限定されない。配線は、基板の両面に形成されていてもよい。また、基板を貫通し、基板の両面の配線を電気的に接続する導電部が設けられていてもよい。
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態に係る配線基板は、ウェアラブルデバイスのような、人間の皮膚に装着させるようなデバイスに用いる場合において、デバイスとしての高い信頼性、耐久性を有する。また、本実施形態に係る配線基板は、ウェアラブルデバイス以外の用途においても高い信頼性および耐久性を発揮することはいうまでもない。
以下、本実施形態を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
[配線基板の作製]
(実施例1)
<シリコーンゴム系組成物の調製>
本実施例において、シリコーンゴム系組成物1の作製に用いた材料は以下の通りである。
第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a)):下記式にしたがって合成された、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを使用した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン0.086g(0.25mmol)およびカリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))を得た(ビニル基含有量0.13モル%、Mn=277,734、Mw=573,906、IV値(dl/g)=0.89)。
第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b)):2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンを、0.86g(2.5mmol)用いたこと以外、上記(A−1(a))と同様にして合成したビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを使用した。(ビニル基含有量:0.92モル%)。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a)):以下の式(5)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(Momentive Performance Materials LLC社製、商品名「88466」、式(5)において、m=14、n=11)
シリカ粒子(B):日本アエロジル社製、商品名「AEROSIL300」、比表面積:300m2/g、平均一次粒子径:7nm
シランカップリング剤(C−1):ヘキサメチルジシラザン(Gelest社製)
白金化合物(D):PLATINUM DIVINYLTETRAMETHYLDISILOXANE COMPLEX(in xylene) (Gelest社製、商品名「SIP6831.2」、白金含有量:2.1〜2.4wt%)
水(E):純水
反応阻害剤:1−エチニル−1−シクロヘキサノール(東京化成社製)
第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))を80重量部、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))を20重量部、シリカ粒子(B)を40重量部、シランカップリング剤(C−1)を10.5重量部、および、水(E)を5.25重量部、秤量し、その後、混練装置((株)モリヤマ製、油圧式加圧型ニーダー)により、混練することで、これら各成分を含有する混練物を得た。
なお、ここでの混練は、第1ステップにおいて窒素雰囲気下、60〜90℃の条件下で1時間混練し、次いで第2ステップにおいて減圧雰囲気下、160℃で1時間混練した。
続いて、上記混練物100重量部に対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))を0.42重量部、白金化合物(D)を0.05重量部、反応阻害剤を0.1重量部、秤量し、上記で得た混練物にこれら成分をさらに添加し、混練装置(関西ロール社製、ロール機)を用いて混練した。結果、シリコーンゴム系硬化性組成物としてシリコーンゴム系組成物1を得た。このとき、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金の含有量は、シリコーンゴム系硬化性組成物の固形分全体の重さに対して、10〜13ppmとなっている。
<導電性樹脂組成物の調製>
上記で得たシリコーンゴム系組成物1を、2.33倍量のテトラデカンに浸漬し、続いて自転・公転ミキサーで撹拌し、溶液状とした。この溶液に対し、導電性フィラー1として銀粉(DOWAエレクトロニクス社製、商品名「3−8F」)を加えることで、導電性樹脂組成物1を得た。このとき、導電性樹脂組成物1の固形分100質量部に対し、シリコーンゴム系組成物1の固形分の含有量を15質量部、導電性フィラー1の含有量を85質量部とした。
<配線基板の形成>
シリコーンゴム系組成物1を型枠内で熱プレスして、150mm×150mm、厚さ1mmのシートを得た。この熱プレスにおいては、加熱温度を170℃、圧力を10MPa、熱プレス時間を5分とした。その後、200℃で4時間ポストベーク(2次硬化)した。このシートから、20mm×50mm、厚さ1mmの寸法に一部を切り出し、基板を得た。この熱プレスにおいては、加熱温度を170℃、圧力を10MPa、熱プレス時間を5分とした。その後、200℃で4時間ポストベーク(2次硬化)した。
次いで、基板の主面に対し、スクリーン印刷で上記した導電性樹脂組成物1をインクとして配線となるパターンを印刷、塗布した。それをオーブンで加熱し、配線を形成した。このとき、加熱温度は200℃、加熱時間は2時間とした。また、配線パターンとしては、幅0.5mm、厚さ50μm、長さ30mmとした。
(実施例2)
シリコーンゴム系組成物1の代わりに以下に説明するシリコーンゴム系組成物2を用いて基板を形成した点を除いて、実施例1と同様にして配線基板を得た。
シリコーンゴム系組成物2の調製で用いた第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))、シリカ粒子(B)、シランカップリング剤(C−1)および、水(E)は、それぞれ、シリコーンゴム系組成物1の調製で用いた材料と同じである。また、シリコーンゴム系組成物2の調製には、シランカップリング剤(C−2)として1,3−ジビニルジシラザン(Gelest社製)をさらに用いた。
第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))を80重量部、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))を20重量部、シリカ粒子(B)を50重量部、シランカップリング剤(C−1)を9.5重量部、シランカップリング剤(C−2)を1.0重量部、および、水(E)を5.25重量部、秤量し、その後、混練装置((株)モリヤマ製、油圧式加圧型ニーダー)により、混練することで、これら各成分を含有する混練物を得た。
なお、ここでの混練は、第1ステップにおいて窒素雰囲気下、60〜90℃の条件下で1時間混練し、次いで第2ステップにおいて減圧雰囲気下、160℃で1時間混練した。
続いて、上記混練物100重量部に対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))を0.84重量部、白金化合物(D)を0.05重量部、反応阻害剤を0.1重量部、秤量し、上記で得た混練物にこれら成分をさらに添加し、混練装置(関西ロール社製、ロール機)を用いて混練した。結果、シリコーンゴム系硬化性組成物としてシリコーンゴム系組成物2を得た。このとき、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金の含有量は、シリコーンゴム系硬化性組成物の固形分全体の重さに対して、10〜13ppmとなっている。
以下、実施例1と同様に導電性樹脂組成物1で配線を形成して配線基板を得た。
(実施例3)
実施例3では、以下に説明する点を除いて、実施例1と同様にして配線基板を得た。
本実施例では、株式会社扶桑ゴム産業で購入したポリエステル系ウレタンのシート(硬さ30、厚さ1mm、幅1000mm×長さ2000mm、ゴム通商品コード10199−0005−9)から切り出して、20mm×50mmの大きさの基板を準備した。
次いで、基板の主面に対し、スクリーン印刷で上記した導電性樹脂組成物1をインクとして配線となるパターンを印刷、塗布した。それをオーブンで加熱し、配線を形成した。このとき、加熱温度は120℃、加熱時間は2時間とした。また、配線パターンとしては、幅0.5mm、厚さ50μm、長さ30mmとした。
(実施例4)
フッ素系ゴムのシート(厚さ1mm、クレハエラストマー株式会社製、FB760N)から切り出して、20mm×50mmの大きさの基板を準備した点を除いて、実施例1と同様にして配線基板を得た。準備した基板に対し実施例1と同様に導電性樹脂組成物1で配線を形成して配線基板を得た。
(実施例5)
実施例5では、以下に説明する点を除いて、実施例1と同様にして配線基板を得た。
本実施例では、株式会社扶桑ゴム産業で購入した板状のポリエーテル系ウレタンのシート(硬さ90、厚さ1mm、幅1000mm×長さ2000mm、ゴム通商品コード10005−0002−0)から切り出して、20mm×50mmの大きさの基板を準備した。
次いで、基板の主面に対し、スクリーン印刷で後述する導電性樹脂組成物2をインクとして配線となるパターンを印刷、塗布した。それをオーブンで加熱し、配線を形成した。このとき、加熱温度は120℃、加熱時間は2時間とした。また、配線パターンとしては、幅0.5mm、厚さ50μm、長さ30mmとした。
導電性樹脂組成物2としては、CI−1036(Engineered Materials Systems, Inc.社製)を用いた。導電性樹脂組成物2には、導電性フィラーとして銀粉が含まれていた。
(比較例1)
シリコーンゴム系組成物1の代わりに以下に説明するウレタンゴム系組成物1を用いて基板を形成した点を除いて、実施例1と同様にして配線基板を得た。
ウレタンゴム系組成物1としては水分散ウレタン(住化バイエルウレタン株式社製、ディスパコールU42)を用いた。
本比較例では、ウレタンゴム系組成物1を型枠に流し込み3日間自然乾燥して150mm×150mm、厚さ1mmのシートを得た。そして、このシートから一部を切り出すことにより基板を得た。基板のサイズおよび厚さは20mm×50mm、厚さは1mmとした。以下、実施例1と同様に導電性樹脂組成物1で配線を形成して配線基板を得た。
[基板の評価]
各実施例及び比較例の、配線を形成していない状態の基板を以下の通り評価した。
<基板の重量>
試験前の基板の重量W0を測定した。そして、密閉容器中でJIS L0848で規定される酸性人工汗液に基板全体を浸漬させた。酸性人工汗液の温度は25℃とし、そのまま7日間静置した。静置後、酸性人工汗液から基板を取り出し、表面の水分を除いて試験後の重量Waを測定した。さらに、基板を40℃4時間で乾燥させ、乾燥後の重量Wbを測定した。
そして、試験前の重量W0に対する試験後の重量Waの比率WRaをWRa=Wa/W0×100[%]の関係から求めた。また、試験前の重量W0に対する試験および乾燥後の重量Wbの比率WRbをWRb=Wb/W0×100[%]の関係から求めた。さらに、試験前の重量W0に対する試験後の基板の水分含有量の比率WRdをWRd=(Wa−Wb)/W0×100[%]の関係から求めた。
[配線基板の耐久性評価]
各実施例及び比較例の配線基板を以下の通り評価した。結果を表1にまとめて示した。
配線基板について、非伸縮状態で配線の耐久試験前の抵抗値Riniを測定した。そして、密閉容器中でJIS L0848で規定される酸性人工汗液を染み込ませた不織布にその配線基板のうち配線を形成した面とは反対側の面のみを接触させた。酸性人工汗液の温度は25℃とし、そのまま7日間静置した。静置後、酸性人工汗液を染み込ませた不織布から配線基板を取りはずし、一回目の伸長状態での配線の抵抗値Rexを測定した。なお、伸長は配線の長さ方向に行った。また、伸長時の配線の長さは、各実施例および比較例において同じとした。次いで、一回目の伸長状態から元の長さに戻した状態(非伸縮状態)での抵抗値Rreを測定した。抵抗値Rreに対する抵抗値Rexの比率Rex/Rreを算出した。算出された比率Rex/Rreが2未満の場合を「◎」、2以上10未満の場合を「○」、10以上の場合を「×」として評価した。なお、いずれの実施例、比較例においても、基板と配線とは充分な密着性を有しており、剥離等することなく抵抗値を評価できた。また、抵抗Riniと、抵抗Rreとの比Rre/Riniも合わせて表1及び表2に示した。
表1および表2に示すように、WRdが0%以上3.0%以下の範囲にある実施例1〜実施例5においては、Rex/Rreの値が小さく、配線基板の高い耐久性が確認された。なかでも、WRdが0%以上0.5%以下の実施例1および実施例2において、Rex/Rreの値が1.5以下となり、特に耐久性が高かった。一方、WRdが9%を超える比較例1についてはRex/Rreが大きかった。これは、配線の亀裂が多く伸長状態での抵抗が大きくなったせいと考えられる。この様に、比較例1の配線基板では人工汗液による配線の劣化が確認され、人体に装着されるデバイスに用いた場合の耐久性に問題があることが分かった。
基板の評価、および配線基板の耐久性評価の結果を表1および表2にまとめて示す。
[基板の硬度及び強度の評価]
実施例1〜5,及び比較例1の、配線を形成していない状態の基板について、さらに硬度及び強度の評価を以下の通り行った。上記した配線基板の耐久性評価の判定結果と合わせて結果を表3および表4に示す。
<基板の硬度>
基板を切り出す前のシートから試験片を切り出し、JIS K6253に規定するタイプAデュロメーターにより25℃で、浸漬試験の前における硬度Haを測定した。そして、密閉容器中でJIS L0848で規定される酸性人工汗液にその試験片全体を浸漬させた。酸性人工汗液の温度は25℃とし、そのまま7日間静置した。静置後、酸性人工汗液から試験片を取り出し、JIS K6253に規定するタイプAデュロメーターにより25℃で、浸漬試験の後における硬度Hbを測定した。そして、(Hb−Ha)/Ha×100[%]で表される値を算出した。
<基板の引き裂き強さ>
基板を切り出す前のシートからクレセント形試験片を作製し、JIS K6252に準拠して浸漬試験の前における引き裂き強さTRa[N/mm]を測定した。一方、密閉容器中でJIS L0848で規定される酸性人工汗液にシートから別途切り出したシート片の全体を浸漬させた。酸性人工汗液の温度は25℃とし、そのまま7日間静置した。静置後、酸性人工汗液からシート片を取り出して、そのシートからクレセント形試験片を作製した。得られた試験片に対しJIS K6252に準拠して浸漬試験の後における引き裂き強さTRb[N/mm]を測定した。そして、(TRb−TRa)/TRa×100[%]で表される値を算出した。
<基板の引張強さ>
基板を切り出す前のシートから3号タンベル形試験片を作製し、JIS K7161に準拠して浸漬試験の前における引張強さTBa[N/mm2]を測定した。一方、密閉容器中でJIS L0848で規定される酸性人工汗液にシートから別途切り出したシート片の全体を浸漬させた。酸性人工汗液の温度は25℃とし、そのまま7日間静置した。静置後、酸性人工汗液からシート片を取り出して、そのシート片から3号タンベル形試験片を作製した。得られた試験片に対しJIS K7161に準拠して浸漬試験の後における引張強さTBb[N/mm2]を測定した。そして、(TBb−TBa)/TBa×100[%]で表される値を算出した。
表3および表4に示すように、(Hb−Ha)/Ha×100[%]の値が−10%以上の実施例1から実施例5で配線基板の耐久性が高かった。また、(TRb−TRa)/TRa×100[%]の値が−40%以上の実施例1から実施例5で配線基板の耐久性が高かった。そして、(TBb−TBa)/TBa×100[%]の値が−50%以上の実施例1から実施例5で配線基板の耐久性が高かった。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。