JP2018054990A - ズームレンズおよびそれを有する光学機器 - Google Patents

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俊二 岩本
Shunji Iwamoto
俊二 岩本
慎一郎 齋藤
Shinichiro Saito
慎一郎 齋藤
聡 前瀧
Satoshi Maetaki
聡 前瀧
隆弘 畠田
Takahiro Hatada
隆弘 畠田
卓 井上
Taku Inoue
卓 井上
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Abstract

【課題】 像面湾曲および変倍に伴う倍率色収差の変動を低減したズームレンズを提供することである。【解決手段】 ズームレンズ1は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、1以上のレンズ群を含み正の屈折力を有する後群LRより構成されている。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔は広くなる。第2レンズ群L2は、所定の条件式を満足する正レンズGPを有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、ズームレンズに関し、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ等の光学機器に好適なものである。
高変倍比のズームレンズとして、ポジティブリード型のズームレンズが知られている。高変倍比のズームレンズでは、ズームに伴う色収差の変動が問題となる。ポジティブリード型のズームレンズにおいてズームに伴う色収差の変動を低減するためには、負の屈折力を有する変倍用のレンズ群を構成するレンズの材料を適切に設定することが重要となる。
特許文献1には、負の屈折力を有する変倍用のレンズ群に、高分散かつ低部分分散である正レンズを用いることでズームに伴う色収差の変動を低減したポジティブリード型のズームレンズが記載されている。
特開2015−200870号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたズームレンズでは、変倍用のレンズ群に用いる正レンズの屈折率が比較的高くなっている。このため、ペッツバール和を0近傍の値にすることが難しく、像面湾曲を補正することが困難であった。
本発明の目的は、像面湾曲および変倍に伴う倍率色収差の変動を低減したズームレンズを提供することである。
本発明のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含み正の屈折力を有する後群より構成され、広角端から望遠端へのズーミングに際して前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が広くなるズームレンズにおいて、前記第2レンズ群は、アッベ数をνd、g線とF線に対する部分分散比をθgF、d線に対する屈折率をndとしたとき、
30≦νd≦40
1.225≦nd−14.387/νd≦1.276
0.4300≦θgF−2.9795/νd≦0.5010
なる条件式を満足する正レンズを有することを特徴とする。
本発明によれば、像面湾曲および変倍に伴う倍率色収差の変動を低減したズームレンズを実現することができる。
実施例1のズームレンズの断面図である。 実施例1のズームレンズの収差図である。 実施例2のズームレンズの断面図である。 実施例2のズームレンズの収差図である。 実施例3のズームレンズの断面図である。 実施例3のズームレンズの収差図である。 実施例4のズームレンズの断面図である。 実施例4のズームレンズの収差図である。 撮像装置の概略図である。
以下、本発明のズームレンズおよびそれを有する光学機器の実施例について説明する。各実施例のズームレンズは、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルムカメラなどの撮像装置に用いられる撮影レンズに装着して用いられる。
図1,3,5,7の各図は、無限遠に合焦している場合の実施例1から4のズームレンズの断面図である。レンズ断面図において、左側が物体側で右側が像側である。
各実施例のズームレンズは物体側から像側に順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、1以上のレンズ群を含む正の屈折力の後群LRにより構成されている。各断面図に実線で示した矢印は、ズーミングに際しての各レンズ群の移動軌跡を表わしている。第1レンズ群L1と第2レンズ群L2は、広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が広くなるように移動する。
図1に示した実施例1のズームレンズ1の断面図において、後群LRは第3レンズ群L3、第4レンズ群L4、第5レンズ群L5により構成されている。なお、レンズ群を構成するレンズの枚数は1枚であっても良い。第5レンズ群L5に関する矢印5aは無限遠にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡を示す。また矢印5bは最至近距離にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡を示す。さらに、第5レンズ群L5に関する矢印5c(点線)は無限遠から最至近距離へのフォーカシングに際しての移動方向を示している。
図3に示した実施例2のズームレンズ2の断面図において、後群LRは第3レンズ群L3、第4レンズ群L4、第5レンズ群L5、第6レンズ群L6により構成されている。第2レンズ群L2に関する矢印2aは無限遠にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡を示す。また矢印2bは最至近距離にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡を示す。さらに、第2レンズ群L2に関する矢印2c(点線)は無限遠から最至近距離へのフォーカシングに際しての移動方向を示している。
図5に示した実施例3のズームレンズ3の断面図において、後群LRは第3レンズ群L3、第4レンズ群L4により構成されている。Gは平行平板状のガラスブロックである。第4レンズ群L4に関する矢印4aは無限遠にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡を示す。また矢印4bは最至近距離にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡を示す。さらに、第4レンズ群L4に関する矢印4c(点線)は無限遠から最至近距離へのフォーカシングに際しての移動方向を示している。なお、ズーミングに際して第1レンズ群L1、第3レンズ群L3、ガラスブロックGは不動である。
図7に示した実施例4のズームレンズ4の断面図において、後群LRは第3レンズ群L3、第4レンズ群L4により構成されている。Gは平行平板状のガラスブロックである。第4レンズ群L4に関する矢印4aは無限遠にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡を示す。また矢印4bは最至近距離にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡を示す。さらに、第4レンズ群L4に関する矢印4c(点線)は無限遠から最至近距離へのフォーカシングに際しての移動方向を示している。なお、ズーミングに際して第1レンズ群L1、第3レンズ群L3、ガラスブロックGは不動である。
また、レンズ断面図においてSPは開口絞りであり、IPは像面である。各実施例のズームレンズがビデオカメラやデジタルカメラの撮像光学系として用いられる場合には、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子が像面IPに配置される。また、各実施例のズームレンズ1を銀塩フィルムカメラの撮像光学系として用いる際には、フィルムが像面IPに配置される。また、SSPは補助絞りである。
図2,4,6,8の各図は実施例1から4のズームレンズの収差図である。各収差図において、(A)は広角端、(B)は中間のズーム位置、(C)は望遠端の収差図を表わしている。収差図においてFnoはFナンバー、ωは半画角(度)であり、近軸計算による画角である。球面収差図において、d(実線)はd線(波長587.6nm)、g(2点鎖線)はg線(波長435.8nm)、C(1点鎖線)はC線(656.3nm)、F(破線)はF線(486.1nm)である。
また、非点収差図においてΔS(実線)はd線におけるサジタル像面、ΔM(破線)はd線におけるメリディオナル像面である。歪曲収差はd線について示している。倍率色収差図においてg(2点鎖線)はg線、C(1点鎖線)はC線、F(破線)はF線である。
各実施例のズームレンズは、像面湾曲および変倍に伴う色収差の変動を低減するために、以下の条件式(1)から(3)を全て満足する正レンズGPが第2レンズ群L2に設けられている。
30≦νd≦40 (1)
1.225≦nd−14.387/νd≦1.276 (2)
0.4300≦θgF−2.9795/νd≦0.5010 (3)
式(1)および(2)におけるνdは、正レンズGPのアッベ数である。式(2)におけるndは、正レンズGPのd線に対する屈折率である。式(3)におけるθgFは、正レンズGPのg線とF線に対する部分分散比である。
なお、フラウンホーファー線のg線、F線、d線、C線に対する屈折率をそれぞれng、nF、nd、nCとするとき、アッベ数νdは以下の式(4)で定義される値である。また、部分分散比θgFは以下の式(5)で定義される値である。
νd=(nd−1)/(nF−nC) (4)
θgF=(ng−nd)/(nF−nC) (5)
式(1)から(3)は、各実施例のズームレンズにおいて高分散、低部分分散、低屈折率である光学材料を用いて形成された正レンズが第2レンズ群L2に設けられていることを表わしている。
ポジティブリード型のズームレンズにおいて、強い負の屈折力を有する第2レンズ群L2は変倍レンズとして機能する。第2レンズ群L2における軸外主光線の入射高さは変倍によって大きく変動するため、変倍に伴う倍率色収差の変動に対する第2レンズ群L2の寄与は大きい。したがって、ズーム全域にわたって倍率色収差を低減するためには、第2レンズ群L2における色収差の発生を低減する必要がある。
1次の色収差は分散の異なる正レンズと負レンズを組み合わせることで補正することができる。第2レンズ群L2は負の屈折力を有するため、第2レンズ群L2における1次の色収差は高分散な正レンズと低分散な負レンズを組み合わせることで補正することができる。
しかしながら、一般に光学材料の部分分散比は高分散材料ほど高くなる傾向がある。すなわち、負の屈折力を有するレンズ群において一般の光学材料を用いて1次の色収差を補正する場合、正レンズの部分分散比は大きくなり、負レンズの部分分散比は小さくなる。このため、1次の色収差の補正を達成できたとしても短波長側における色収差(2次の色収差)が残存してしまう。
2次の色収差は正レンズの部分分散比と負レンズの部分分散比を近い値にすることで補正することができる。したがって、第2レンズ群L2において広い波長範囲で色収差を補正するためには、正レンズに高分散でありながら低部分分散比である光学材料を用いる必要がある。
しかしながら、従来から用いられている高分散かつ低部分分散比である光学ガラスは、屈折率が大きい傾向がある。したがって、このような既知の光学ガラスで形成された正レンズを用いる場合、第2レンズ群L2のペッツバール和を0近傍の値とすることが難しく、像面湾曲を補正することが困難であった。
そこで各実施例のズームレンズでは、高分散かつ低部分分散比でありながら屈折率の比較的小さな光学材料で形成された正レンズGPを用いることによって、像面湾曲および変倍に伴う倍率色収差の変動を低減している。
次に、式(1)から(3)の各条件式について説明する。
式(1)は、正レンズGPのアッベ数に関する。νdの値が条件式(1)の上限値を超えるほどに正レンズGPの分散が小さい場合、正レンズGPを用いて1次の色収差を補正することが困難となる。また、νdの値が下限値を下回るほどに正レンズGPの分散を大きくすると、正レンズGPの透過率が低下してしまったり、耐環境性が悪化してしまったりするため好ましくない。
1次の色消し効果をより大きくするためには、式(1)を次の式(1a)の範囲とするとことが好ましく、式(1b)の範囲とすることがより好ましい。
31≦νd≦39.5 (1a)
32≦νd≦38 (1b)
式(2)は、正レンズGPの屈折率とアッベ数の関係を規定した式である。式(2)の上限値を超えるほどに正レンズGPの屈折率が大きい場合、第2レンズ群L2の負のペッツバール和を補正することが困難となってしまう。その結果。像面湾曲の補正が困難となる。また、下限値を下回るほどに正レンズGPの屈折率が小さい場合、正レンズGPに色収差および像面湾曲を補正するのに十分な屈折力を与えるために必要な曲率が大きくなってしまい、ズームレンズを小型に構成することが困難となる。
像面湾曲の補正とズームレンズの小型化を両立するためには、式(2)は次の式(2a)の範囲とすることが好ましく、式(2b)の範囲とすることがより好ましい。
1.235<nd−14.387/νd<1.273 (2a)
1.245<nd−14.387/νd<1.270 (2b)
式(3)は、正レンズGPの異常部分分散性に関する。式(3)の上限値を上回るほどに正レンズGPの負の異常部分分散性が小さくなると、正レンズGPによって2次の色収差を十分に補正することが困難となる。また、下限値を下回る場合、式(1)および(2)を満たすガラス材料を製造することが困難となる。
1次と2次の色収差をバランスよく低減するためには、式(3)を次の式(3a)の範囲とするとことが好ましく、式(3b)の範囲とするとことがより好ましい。
0.4650<θgF−2.9795/νd<0.5005 (3a)
0.4800<θgF−2.9795/νd<0.5000 (3b)
式(1)、(2)、(3)を満たす光学材料は、例えばSiO−Nb系の光学ガラスの原料にZrO、アルカリ金属酸化物などを添加して熔解することで得ることができる。例えば、特許文献1に示されたSiO−Nb系の光学ガラスと、特開平6−135738号公報で示されたアルカリ金属を含む光学ガラスを調合および混合する。その後、白金ルツボを使用して溶融し、攪拌均質化した後、ブロック形状に成形し徐冷することで式(1)、(2)、(3)を満たす光学ガラスを得ることができる。
また、株式会社オハラ社製の商品名S−TIM27(nd=1.63980、νd=34.5、θgF=0.5922)と特許文献1の実施例6の光学ガラス(nd=1.69072、νd=36.2、θgF=0.5775)を2:3の割合で混合しても良い。この場合も、条件式(1)、(2)、(3)を満たすガラス材料(nd=1.67035、νd=35.5、θgF=0.5834)を得ることができる。
なお、正レンズGPはガラス材料を用いて形成されていることが好ましい。ガラス材料は樹脂等の有機材料と比較して製造が容易であるためである。また、樹脂等の成形と比較してガラス材料の成形では肉厚の制約が少ない。そのため、ガラス材料を用いて正レンズGPを形成することで正レンズGPの屈折力の設計自由度を高くすることができる。さらに、ガラス材料は湿度や温度の変化に対して優れた耐環境性を備えていると共に十分な硬度を有している。
さらに、各実施例のズームレンズは、次の条件式(6)から(10)のうち1つ以上を満足することが好ましい。
0.9<fA/|f2|<4.0 (6)
0.5<|f2|/fW<4.0 (7)
−1.8<(rpa+rpb)/(rpa−rpb)<0.4 (8)
3.2<f1/|f2|<8.5 (9)
0.75<nP/nN<1.05 (10)
式(6)におけるf2は第2レンズ群L2の焦点距離である。fAは、正レンズGPの光入射側の屈折面と光出射側の屈折面が共に空気に接しているときの正レンズGPの焦点距離である。
式(7)におけるfWは広角端におけるズームレンズの全系の焦点距離である。
式(8)におけるrpaは、正レンズGPの物体側の屈折面の曲率半径である。また、rpbは正レンズGPの像側の屈折面の曲率半径である。
式(9)におけるf1は第1レンズ群L1の焦点距離である。
式(10)におけるnPは第2レンズ群L2における全ての正レンズのd線に対する屈折率を平均した値である。また、nNは第2レンズ群L2における全ての負レンズのd線に対する屈折率を平均した値である。
式(6)から(10)について説明する。
式(6)は、正レンズGPの焦点距離と第2レンズ群L2の焦点距離の関係を規定した式である。正レンズGPの焦点距離が式(6)の上限値を上回るほどに正レンズGPの屈折力が弱くなると、1次の色収差を十分に補正することが難しくなる。また、式(6)の下限値を下回るほどに正レンズGPの屈折力が強くなると、1次の色収差の補正には有利になるが色の像面湾曲が生じるため好ましくない。
式(6)は、次の式(6a)の範囲とすることが好ましく、式(6b)の範囲とすることがより好ましい。
1.00<fA/|f2|<3.80 (6a)
1.01<fA/|f2|<3.61 (6b)
式(7)は、第2レンズ群L2の焦点距離と広角端でのズームレンズの全系の焦点距離の関係を規定した式である。式(7)を満たすズームレンズに正レンズGPを設けることによって、ズームレンズを小型に構成しつつ像面湾曲および倍率色収差をより低減することができる。|f2|の値が式(7)の上限値を超える程に第2レンズ群L2の屈折力が弱くなる場合、広角側での像面湾曲の補正を行うことが困難となる。また、式(7)の上限値を超えるほどに第2レンズ群L2の屈折力が弱くなりすぎるとズームレンズが大型化してしまう。
|f2|の値が式(7)の下限値を下回る程に第2レンズ群L2の屈折力が強くなる場合、ズームレンズの小型化や像面湾曲の補正には有利となるが、変倍に伴う倍率色収差と歪曲収差の変動を低減することが困難となる。
式(7)は、次の式(7a)の範囲とすることが好ましく、式(7b)の範囲とすることがより好ましい。
0.60<|f2|/fW<3.5 (7a)
0.67<|f2|/fW<2.9 (7b)
式(8)は正レンズGPのシェープファクタに関する。式(8)の上限値を上回る場合、倍率色収差等の諸収差を十分に補正することが困難となる。特に、倍率色収差の二次スペクトルを良好に補正することが困難となる。式(8)の下限値を下回る場合、色の像面湾曲が生じやすくなるため好ましくない。
式(8)は次の式(8a)の範囲とすることが好ましく、式(8b)の範囲とすることがより好ましい。
−1.5<(rpa+rpb)/(rpa−rpb)<0.3 (8a)
−1.1<(rpa+rpb)/(rpa−rpb)<0.2 (8b)
式(9)は、第1レンズ群L1の焦点距離と第2レンズ群L2の焦点距離の関係を規定した式である。式(9)を満たすズームレンズに正レンズGPを設けることで、ズームレンズを小型に構成しつつ倍率色収差をより低減することができる。式(9)の上限値を超える場合、第2レンズ群L2の屈折力が第1レンズ群L1の屈折力に対して強くなりすぎ、変倍に伴う倍率色収差の変動が大きくなってしまう。式(10)の下限値を下回る場合、第2レンズ群L2の屈折力が第1レンズ群L1の屈折力に対して弱くなりすぎ、ズームレンズが大型化してしまう。
式(9)は次の式(9a)の範囲とすることが好ましく、式(9b)の範囲とすることがより好ましい。
4.0<f1/|f2|<8.0 (9a)
4.5<f1/|f2|<7.2 (9b)
式(10)は第2レンズ群L2における負レンズの屈折率の平均値と正レンズの屈折率の平均値の比に関する。式(10)を満たす第2レンズ群L2を有するズームレンズに正レンズGPを設けることで、像面湾曲および倍率色収差をより低減することができる。
式(10)の上限値を上回る程にnNが小さくなる場合、第2レンズ群L2における負のペッツバール和を補正することが難しくなり、特に広角端での像面湾曲の補正が困難となる。
式(10)の下限値を下回る程にnNが大きくなる場合、像面湾曲の補正には有利だが負レンズのアッベ数が小さくなりすぎるため第2レンズ群L2における倍率色収差の補正が困難となる。
式(10)は、次の式(10a)の範囲とすることが好ましく、式(10b)の範囲とすることがより好ましい。
0.900<nP/nN<1.00 (10a)
0.940<nP/nN<0.995 (10b)
なお、第2レンズ群L2に式(1)から(3)を満たす正レンズGPを複数設けても良い。
次に、実施例1から4について説明する。
実施例1のズームレンズ1では、第5レンズが正レンズGPである。実施例2のズームレンズ2では、第8レンズが正レンズGPである。実施例3のズームレンズ3および実施例4のズームレンズ4では、第6レンズが正レンズGPである。
このように、各実施例のズームレンズは、式(1)から(3)を満たす正レンズGPを有することによって、像面湾曲および変倍に伴う色収差の変動を低減している。
以下に、実施例1から4のズームレンズに対応する数値実施例1から4を示す。
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のd線に対するアッベ数、θgFは光学部材のg線とF線に対する部分分散比を表わしている。
また各数値実施例の面データにおいて、非球面形状の光学面については面番号の後に*(アスタリスク)の符号を付加している。また、非球面データには各非球面の非球面係数を示している。非球面係数における「e±B」は「×10±B」を意味している。光学面の非球面形状は、光軸方向における面頂点からの変位量をX、光軸方向に垂直な方向における光軸からの高さをH、近軸曲率半径をR、円錐定数をK、非球面係数をA4,A6,A8,A10、A12とするとき、以下の式(16)により表される。
Figure 2018054990
なお、各数値実施例において、d、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(°)は全て各実施例の光学系が無限遠物体に焦点を合わせた時の値である。バックフォーカスBFは最終レンズ面から像面までの距離である。レンズ全長は第1レンズ面から最終レンズ面までの距離にバックフォーカスを加えた値である。
[数値実施例1]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 217.055 9.20 1.48749 70.23 0.5300
2 -402.152 0.15
3 142.038 3.00 1.83400 37.34 0.5790
4 75.074 9.29 1.49700 81.54 0.5375
5 358.061 0.15
6 67.267 6.13 1.43875 94.93 0.5340
7 122.858 (可変)
8 252.361 2.67 1.63980 36.20 0.5778
9 6142.904 1.70 1.74320 49.34 0.5531
10 43.446 8.17
11 -405.220 1.50 1.77250 49.60 0.5520
12 36.914 7.47 1.85478 24.80 0.6121
13 1099.333 3.17
14 -55.045 1.40 1.77250 49.60 0.5520
15 -393.324 (可変)
16(絞り) ∞ 1.00
17(補助絞り)∞ 1.00
18 90.913 4.62 1.69895 30.13 0.6030
19 -192.047 0.15
20 104.714 7.10 1.48749 70.23 0.5300
21 -69.697 1.50 2.00100 29.13 0.5997
22 827.097 (可変)
23 491.460 2.00 2.00100 29.13 0.5997
24 84.141 2.83
25 -893.286 4.49 1.59522 67.74 0.5442
26 -74.904 0.15
27 111.996 5.22 1.49700 81.54 0.5375
28 -237.359 0.15
29 64.229 8.16 1.49700 81.54 0.5375
30 -153.569 (可変)
31 -120.099 2.43 1.80810 22.76 0.6307
32 -67.435 1.50 1.51742 52.43 0.5564
33 60.925 5.35
34 -54.053 1.90 1.59270 35.31 0.5933
35 -47.210 (可変)
像面 ∞

各種データ
ズーム比 9.60
広角 中間 望遠
焦点距離 50.46 133.95 484.28
Fナンバー 4.60 5.60 6.48
半画角(°) 23.21 9.18 2.56
像高 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 319.11 352.27 385.43
BF 80.40 138.12 194.08

d 7 6.62 39.78 72.94
d15 79.80 44.55 1.84
d22 38.19 21.31 10.64
d30 10.56 4.97 2.39
d35 80.40 138.12 194.08

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 154.14
2 8 -33.60
3 16 123.88
4 23 62.51
5 31 -112.01
[数値実施例2]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 88.966 2.20 1.91082 35.25 0.5824
2 53.971 7.85 1.49700 81.54 0.5375
3 242.465 0.10
4 68.482 5.82 1.59522 67.74 0.5442
5 969.838 (可変)
6* 62.789 1.20 1.85135 40.10 0.5695
7 15.475 8.97
8 -35.364 1.00 1.80400 46.58 0.5573
9 90.351 0.15
10 34.504 6.49 1.78472 25.68 0.6161
11 -36.013 0.80
12 -25.710 1.00 1.80400 46.58 0.5573
13 59.989 3.23 1.68690 35.00 0.5775
14 -128.568 (可変)
15(絞り) ∞ 1.00
16* 101.381 3.89 1.55332 71.68 0.5402
17 -72.442 0.10
18 86.580 4.51 1.48749 70.23 0.5300
19 -44.747 0.10
20 112.978 5.45 1.48749 70.23 0.5300
21 -28.175 1.00 1.80518 25.42 0.6161
22 -83.107 (可変)
23* -40.925 0.90 1.69350 53.20 0.5464
24 23.356 2.65 1.72151 29.23 0.6053
25 92.203 (可変)
26* -148.578 3.18 1.58313 59.38 0.5423
27 -30.901 0.10
28 50.535 5.93 1.48749 70.23 0.5300
29 -32.973 1.45
30 -36.340 1.00 1.88300 40.76 0.5667
31 43.352 6.32 1.51742 52.43 0.5564
32 -40.646 (可変)
33 -477.802 1.20 1.48749 70.23 0.5300
34 122.594 (可変)
像面 ∞

非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A4= 1.51833e-006 A6= 1.74722e-008 A8=-9.23865e-011 A10= 1.50791e-013

第16面
K = 0.00000e+000 A4=-1.54692e-006 A6= 2.59874e-009 A8=-1.52509e-012 A10=-4.22137e-015

第23面
K = 0.00000e+000 A4= 2.87977e-006 A6=-9.55884e-009 A8= 2.34538e-011

第26面
K = 0.00000e+000 A4=-7.12308e-006 A6=-1.53494e-009 A8= 3.38207e-011 A10=-2.21000e-013

各種データ
ズーム比 16.30
広角 中間 望遠
焦点距離 18.09 131.43 294.86
Fナンバー 3.49 4.58 5.76
半画角(°) 37.06 5.93 2.65
像高 13.66 13.66 13.66
レンズ全長 201.18 235.70 245.66
BF 41.46 59.71 56.04

d 5 2.16 56.32 75.92
d14 50.11 10.96 0.89
d22 3.48 25.61 23.15
d25 25.39 3.25 5.71
d32 1.00 2.26 6.36
d34 41.46 59.71 56.04

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 116.91
2 6 -16.26
3 15 32.00
4 23 -41.98
5 26 48.58
6 33 -200.00
[数値実施例3]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 52.673 1.30 1.85478 24.80 0.6122
2 26.611 4.90 1.49700 81.54 0.5375
3 -222.974 0.16
4 25.513 3.34 1.81600 46.62 0.5568
5 78.086 (可変)
6 26.877 0.64 1.88300 40.76 0.5667
7 5.413 2.81
8 -17.091 0.64 1.77250 49.60 0.5520
9 20.907 0.21
10 11.156 3.53 1.70771 31.16 0.5958
11 -8.640 0.59 1.77250 49.60 0.5520
12 -94.084 (可変)
13(絞り) ∞ 2.67
14 18.249 0.59 1.88300 40.76 0.5667
15 7.591 1.96 1.80518 25.42 0.6161
16 15.604 1.39
17* 10.930 3.71 1.58313 59.38 0.5423
18 -13.697 0.59 1.69895 30.13 0.6030
19 15.865 0.53
20 46.345 1.53 1.60342 38.03 0.5835
21 -29.140 (可変)
22 38.185 1.42 1.54072 47.23 0.5651
23 -47.400 0.16
24 15.540 0.70 1.84666 23.93 0.6199
25 8.609 2.95 1.60311 60.64 0.5415
26 -63.830 (可変)
27 ∞ 2.40 1.51633 64.14 0.5353
28 ∞ 2.00
像面 ∞

非球面データ
第17面
K =-2.95698e-003 A4=-6.23063e-005 A6= 4.39162e-009 A8=-3.38881e-010

各種データ
ズーム比 19.79
広角 中間 望遠
焦点距離 3.64 13.06 72.00
Fナンバー 1.85 2.68 3.20
半画角(°) 27.24 8.16 1.49
像高 1.87 1.87 1.87
レンズ全長 85.22 85.22 85.22
BF 13.66 16.18 10.81

d 5 0.75 16.16 25.81
d12 26.79 11.38 1.73
d21 7.68 5.17 10.53
d26 10.07 12.59 7.23

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 37.20
2 6 -6.81
3 13 40.71
4 22 16.64
5(G) 27 ∞
[数値実施例4]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 73.472 1.40 1.85478 24.80 0.6122
2 31.804 5.58 1.59522 67.74 0.5442
3 -190.439 0.28
4 28.433 2.95 1.80400 46.57 0.5572
5 71.716 (可変)
6 28.955 0.70 1.80400 46.58 0.5573
7 5.780 3.43
8 -12.430 0.60 1.65160 58.55 0.5425
9 12.352 1.28
10 13.485 2.70 1.66565 35.64 0.5824
11 -28.696 (可変)
12(絞り) ∞ 1.40
13* 7.877 2.07 1.55332 71.68 0.5402
14 22.466 2.21
15 38.485 1.53 1.80610 33.27 0.5881
16 -7.213 0.50 1.79952 42.22 0.5672
17 8.368 (可変)
18* 7.577 2.72 1.55332 71.68 0.5402
19 -29.628 0.40
20 31.426 0.60 1.85478 24.80 0.6122
21 7.805 2.37 1.60311 60.64 0.5415
22 -17.827 (可変)
23 ∞ 2.00 1.51633 64.14 0.5353
24 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第13面
K =-2.11724e+000 A4= 4.52958e-004 A6=-2.35725e-006 A8= 6.50609e-009

第18面
K =-1.15864e+000 A4=-1.36864e-004 A6=-3.24402e-006 A8= 2.89406e-007 A10=-6.97641e-009

各種データ
ズーム比 28.34
広角 中間 望遠
焦点距離 2.83 23.26 80.35
Fナンバー 1.85 3.40 3.90
半画角(°) 29.44 3.94 1.14
像高 1.60 1.60 1.60
レンズ全長 79.87 79.87 79.87
BF 9.83 11.59 5.27

d 5 0.80 24.89 30.92
d11 32.12 8.02 2.00
d17 4.39 2.63 8.95
d22 7.51 9.27 2.96

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 41.83
2 6 -8.15
3 12 -241.39
4 18 9.17
5(G) 23 ∞
各数値実施例における種々の数値を表1にまとめて示す。
Figure 2018054990
[光学機器]
図9は、本発明の一実施形態としての光学機器としての撮像装置(デジタルスチルカメラ)100の概略図である。本実施形態の撮像装置100は、カメラ本体70と、上述した実施例1から4のいずれかと同様であるズームレンズ71と、ズームレンズ71によって形成される像を光電変換する受光素子(撮像素子)72を備える。
本実施形態の撮像装置100は、実施例1から4のいずれかと同様であるズームレンズ71を有するため、ズーム全域にわたって像面湾曲および倍率色収差が低減された高品位な画像を得ることができる。なお、受光素子72としては、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を用いることができる。
なお、上述した各実施例のズームレンズは、図9に示したデジタルスチルカメラに限らず、銀塩フィルム用カメラやビデオカメラ、望遠鏡等の種々の光学機器に適用することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
1,2,3,4 ズームレンズ
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
LR 後群
GP 正レンズ

Claims (8)

  1. 物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含み正の屈折力を有する後群より構成され、広角端から望遠端へのズーミングに際して前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が広くなるズームレンズにおいて、
    前記第2レンズ群は、アッベ数をνd、g線とF線に対する部分分散比をθgF、d線に対する屈折率をndとしたとき、
    30≦νd≦40
    1.225≦nd−14.387/νd≦1.276
    0.4300≦θgF−2.9795/νd≦0.5010
    なる条件式を満足する正レンズを有することを特徴とするズームレンズ。
  2. 前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記正レンズの焦点距離をfAとしたとき、
    0.9<fA/|f2|<4.0
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
  3. 前記第2レンズの焦点距離をf2、広角端における前記ズームレンズの焦点距離をfWとしたとき、
    0.5<|f2|/fW<4.0
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
  4. 前記正レンズの物体側の屈折面を曲率半径をrpa、像側の屈折面の曲率半径をrpbとしたとき、
    −1.8<(rpa+rpb)/(rpa−rpb)<0.4
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  5. 前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、
    3.2<f1/|f2|<8.5
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  6. 前記第2レンズ群における全ての負レンズの屈折率を平均した値をnN、前記第2レンズ群における全ての正レンズの屈折率を平均した値をnPとしたとき、
    0.75<nP/nN<1.05
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  7. 前記正レンズはガラス材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のズームレンズと、該光学系によって形成された像を受光する撮像素子を有することを特徴とする光学機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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