JP2018053994A - 農機具の車軸用密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハウジングの軸孔に対するシール部材の嵌合を適切に行うことができる農機具の車軸用密封装置を提供する。【解決手段】農機具の車軸11と、この車軸11が挿入されるハウジング12の軸孔12aとの間の環状空間に設けられ、ハウジング12の内部の密封空間Aとハウジング12の外部Bとの間を封止する密封装置10であって、軸方向一方側の端部から軸孔12aに挿入されてハウジング12に嵌合固定される嵌合部36と、車軸11側に設けられたシール面51d,51eに接触するリップ32,33,34,35と、を有するシール部材15を備え、嵌合部36は、弾性材料により形成され、嵌合部36は、軸方向一方側の端部に配置された小径部36bと、小径部36bよりも軸方向他方側に配置されかつ小径部36bよりも外径が大きい大径部36cとを有している。【選択図】図2

Description

本発明は、農機具の車軸に用いられる密封装置に関する。
トラクター等の農機具は、その足廻りに、車軸と、車軸が挿入されたハウジング(ファイナルケース)とを備えており、ハウジングに形成された軸孔と、車軸との間の環状空間には密封装置が装着されている。この密封装置は、ハウジング内の潤滑油の漏洩を防止するとともに、泥水等の異物がハウジングの外部から内部に侵入することを防止している。
例えば、特許文献1には、車軸の外周面に嵌合固定された断面略L字形のスリーブと、ハウジングの軸孔に嵌合固定され、それぞれスリーブと摺接する主リップ(オイルシールリップ)、補助リップ(第1、第2ダストシールリップ)、及びサイドリップ(第3ダストシールリップ)を有するシール部材とを備えた密封装置が提案されている(特許文献1、図1参照)。
特開2005−273864号公報
農機具は、主として泥水に曝されるような過酷な環境で使用されるため、密封装置には、高い密封性が求められる。そのため、スリーブに対するリップの締め代を大きく設定し、リップとシール面との間の泥水や潤滑剤の通過を阻止することが考えられる。
しかしながら、スリーブに対するリップの締め代が大きいと、車軸に伴うスリーブの回転によってシール部材が共まわりする可能性が高くなる。そのため、ハウジングの軸孔に対するシール部材の締め代をも大きくする必要が生じる。
しかしながら、ハウジングの軸孔に対するシール部材の締め代を大きくすると、軸孔にシール部材を嵌合させることが困難になると共に、嵌合の際に、シール部材の外周部にかじり等の損傷が生じ易く、また、スプリングバックによってサイドリップの締め代を適切に設定できなくなる可能性もある。
本発明は、ハウジングの軸孔に対するシール部材の嵌合を適切に行うことができる農機具の車軸用密封装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の農機具の車軸用密封装置(以下、単に密封装置ともいう)は、
農機具の車軸と、この車軸が挿入されるハウジングの軸孔との間の環状空間に設けられ、前記ハウジングの内部の密封空間と前記ハウジングの外部との間を封止する密封装置であって、
軸方向一方側の端部から前記軸孔に挿入されて前記ハウジングに嵌合固定される嵌合部と、前記車軸側に設けられたシール面に接触するリップと、を有するシール部材を備え、
前記嵌合部は、弾性材料により形成され、
前記嵌合部は、前記軸方向一方側の端部に配置された小径部と、前記小径部よりも軸方向他方側に配置されかつ前記小径部よりも外径が大きい大径部と、を有しているものである。
上記構成によれば、シール部材の嵌合部が、軸方向一方側の端部に小径部を有しているので、ハウジングの軸孔に対する挿入を容易に行うことができ、小径部よりも軸方向他方側に小径部よりも外径が大きい大径部を有しているので、軸孔に対してシール部材を強固に嵌合固定することができる。そのため、密封性を高めるために車軸側のシール面に対するリップの締め代を大きくしたとしても、シール部材が車軸と連れ回りしてしまうこともない。
(2) 前記小径部と前記大径部との軸方向の間には、周方向に延びる凹溝が形成されていることが好ましい。
このような構成によって、嵌合部の小径部を軸孔に挿入することによって小径部が軸方向他方側へずれるように変形したとしても、凹溝が逃げ場所となって小径部のかじり等の損傷を防止し、スプリングバックの発生を抑制することができる。
(3) 前記軸孔の内径が70.0mmで、はめあい公差がH9であり、
前記小径部の外径が、70.2±0.1mmに設定され、
前記大径部の外径が、70.0+0.40 +0.20に設定されていることが好ましい。
このような構成によって、大径部において必要最小限の締め代を確保しながら、軸孔に対する小径部の挿入のしやすさも維持することができる。
本発明によれば、ハウジングの軸孔に対するシール部材の嵌合を適切に行うことができる。
実施形態に係る密封装置を適用した農機具の車軸部を示す断面図である。 密封装置を拡大して示す断面図である。 密封装置を構成するシール部材の自由状態(無負荷状態)を示す断面図である。 シール部材の第2補助リップを拡大して示す断面図である。 シール部材のサイドリップを拡大して示す断面図である。
以下、本発明の密封装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の密封装置を適用した農機具の車軸部を示す断面図である。なお、本明細書では、農機具の車軸11に沿った方向において車輪側を軸方向外側又は軸方向外方といい、車軸11に沿った反対側を軸方向内側又は軸方向内方という。
本実施形態に係る密封装置10は、図1に示すように、農機具の一例であるトラクタの前輪の車軸部分に取り付けられる。トラクタは、前輪を取り付けるためのフランジ部11aを軸方向外側(図1における左側)の端部に一体的に有している車軸11と、軸受13を介して車軸11を回転自在に軸支し、車軸11に駆動力を伝達するためのべベルギア14が収納されたファイナルケース(ハウジング)12とを備えている。
密封装置10は、車軸11と、ファイナルケース12に形成され車軸11が挿入された軸孔12aとの間の環状空間に装着されている。密封装置10は、ファイナルケース12の内部空間A内に密封された潤滑油等の密封流体がファイナルケース12の外部B側へ漏洩するのを防止するとともに、外部B側から泥水等が内部空間A内に浸入することを防止する。
図2は、密封装置を拡大して示す断面図である。図3は、密封装置を構成するシール部材の自由状態(無負荷状態)を示す断面図である。
密封装置10は、環状のシール部材15と、環状のスリーブ16とを備えている。スリーブ16は、図2に示すように、シール部材15の各リップが接触する金属環51と、金属環51の内周側及び軸方向外側に設けられた環状の弾性部材52とからなる。
金属環51は、円筒部51aと、環状板部51bとを一体に備えている。
円筒部51aは、車軸11の外周面に弾性部材52を介して固定される。
環状板部51bは、円筒部51aの軸方向外側(図2における左側)の端部から径方向外方に延びている。具体的に、環状板部51bは、円筒部51aから軸方向外方かつ径方向外方へ斜めに延びる円すい筒形状の円すい部51b1と、円すい部51b1の径方向外端部からさらに径方向に沿って延びる円環部51b2とを有している。
弾性部材52は、合成ゴム(例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)など)等の弾性素材からなる環状部材である。弾性部材52は、例えば、加硫による接着、焼き付けなどにより金属環51に固定されている。
弾性部材52は、金属環51の車軸11(フランジ部11aを含む)側全体に設けられているが、例えば、円筒部51aの内周面側のみに設けられていてもよい。
スリーブ16は、円筒部51aが弾性部材52を介して車軸11の外周面に嵌合され、環状板部51bの円環部51b2がフランジ部11aの軸方向内側の側面に弾性部材52を介して接触するように車軸11に固定される。このように、金属環51が弾性部材52を介して車軸11と接触するようにスリーブ16を取り付けることにより、車軸11(フランジ部11aを含む)とスリーブ16との間を通って密封空間Aに泥水等が浸入するのを防止することができる。
円筒部51aの外周面は、シール部材15が接触する第1シール面51dとされ、環状板部51bの円環部51b2の軸方向内側面は、シール部材15が接触する第2シール面51eとされている。
[シール部材15の構成]
シール部材15は、芯金21と、芯金21に固定された封止部22と、環状のバネリング23とによって構成されている。
芯金21は、断面形状が略クランク状とされた金属(例えば、SPCC等)製の環状部材であり、筒部21aと、外側円環部21bと、内側円環部21cとを一体に備えている。筒部21aは、円筒状に形成され、スリーブ16の円筒部51aの径方向外側に間隔をあけて配置される。外側円環部21bは、筒部21aの軸方向外側の端部から径方向外方へ屈曲し、円環状に形成されている。内側円環部21cは、筒部21aの軸方向内側の端部から径方向内方へ屈曲し、円環状に形成されている。
封止部22は、合成ゴム(例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)など)等の弾性素材からなる。本実施形態の封止部22は、特に耐泥水性の高い材料が用いられている。
封止部22は、環状に形成されており、加硫による接着、焼き付けなどにより芯金21に固定されている。封止部22は、芯金21の内周側に設けられた本体部31と、本体部31からそれぞれスリーブ16側に延びる主リップ32、第1補助リップ33、第2補助リップ34、及びサイドリップ35と、芯金21の外周側に設けられた外周部36とを有する。
図3に示すように、外周部36の軸方向の中間には、周方向に延びる凹溝(第1の凹溝)36aが形成されている。外周部36は、凹溝36aを挟んで軸方向内側の部分36bと軸方向外側の部分36cとの外径寸法が異なっている。具体的には、凹溝36aよりも軸方向内側の部分36bの外径D1は、軸方向外側の部分36cの外径D2よりも小さい寸法とされている。したがって、以下、軸方向内側の部分36bを小径部といい、軸方向外側の部分36cを大径部という。また、大径部36cよりもさらに軸方向外側には、より外径が小さい凹状の部分(第2の凹溝)36dが形成されている。なお、小径部36bよりも軸方向外側には、軸方向内側ほど外径が小さくなる傾斜状のテーパー面36eが形成されている。
図2に示すように、シール部材15は、ファイナルケース12の軸孔12aに対して軸方向外側から矢印X方向に嵌合されることによって取り付けられる。このとき、封止部22の外周部36は、軸孔12aの内周面に嵌合され、芯金21の外側円環部21bは、ファイナルケース12の軸方向外側の端面に当接される。ここに、封止部22の外周部36は、ファイナルケース12の軸孔12aに嵌合固定される嵌合部を構成している。
図3に示すように、本実施形態では、封止部22の小径部36bの外径D1と、大径部36cの外径D2とが次のように設定されている。
D1=70.2±0.1mm
D2=70.0+0.40 +0.20mm
また、外径D1と外径D2とは、D1<D2の関係を満たしている。
一方、図2に示すように、ファイナルケース12の軸孔12aの内径d1は、70mmであり、はめあい公差がH9(+0.074 )に設定されている。
したがって、軸孔12aに対する小径部36bの締め代は、最大で0.3mm、最小で0.026mmとなる。また、大径部36cの締め代は、最大で0.4mm、最小で0.126mmとなる。このように封止部22は、軸孔12aに対して締め代をもってしまり嵌めで嵌合されるが、小径部36bの締め代は、大径部36cの締め代よりも小さくなる。そのため、軸孔12aにシール部材15を嵌合固定させるとき、嵌合の当初においては小径部36bを比較的容易に軸孔12aに挿入することができる。言い換えると、軸孔12aにシール部材15を嵌合させるときのガイド部として小径部36bを機能させることができる。
図3に示すように、第1の凹溝36aは、底部の外径D3が69.7mmに設定されており、軸孔12aの内径d1よりも小さい。そのため、凹溝36aは、小径部36bを軸孔12aに挿入したときに、小径部36bの軸方向のズレを吸収する逃げ場所として機能する。これにより、シール部材15を軸孔12aに嵌合させるときのスプリングバックを抑制することができ、後述するサイドリップ35の締め代を適切に設定することができる。また、凹溝36aによって、小径部36bに生じるかじり等の損傷を防止することもできる。
封止部22の外周部36における大径部36cは、小径部36bよりも軸孔12aに対する締め代が大きくなっている。そのため、軸孔12aに対してより強く嵌合し、ファイナルケース12に対する回り止めの機能を発揮する。後述するように、シール部材15のリップは、スリーブ16に対する締め代が従来よりも大きく設定されており、車軸11の回転に伴ってシール部材15に付与される回転方向の力が大きくなっている。封止部22の外周部36における大径部36cは軸孔12aに強く嵌合しているので、シール部材15が車軸11と連れ回りしてしまうのを防止することができる。
また、外周部36の大径部36cよりもさらに軸方向外側の第2の凹溝36dは、外径D4が69.6mmに設定されており、軸孔12aの内径d1よりも小さい。そのため、第2の凹溝36dは、第1の凹溝36aと同様に、大径部36cの軸方向のずれを吸収する逃げ場所として機能し、封止部22を軸孔12aに嵌合させるときのスプリングバックを抑制したり、大径部36cのかじり等の損傷を防止したりするために役立つ。
なお、本実施形態では、小径部36bの軸方向の幅W1が約2mm、大径部36cの軸方向の幅が約3.5mmに設定されている。また、第1の凹溝36aの幅W3は約2.3mm、第2の凹溝36dの幅W4が約4.5mmに設定されている。外周部36の全体幅は約14mmであり、この全体幅に占める幅W1の割合は約14%、幅W2の割合は約25%である。第1の凹溝36aの軸方向の幅W3は、小径部36bの幅W1よりも大きいが、大径部36cの幅W2よりも小さい寸法とされている。
[主リップの構成]
図2に示すように、主リップ32は、封止部22における本体部31の内周側から、径方向内側(車軸11側)かつ軸方向内側(密封空間A側)へ延びている。主リップ32の外周面には周溝32aが形成されている。この周溝32aには、ガータスプリングと呼ばれるバネリング23が装着されている。バネリング23は、主リップ32を径方向内方へ締め付けている。
主リップ32は、金属環51の円筒部51aの外周面(第1シール面51d)に締め代をもって接触し、密封空間A内の密封流体が外部B側へ漏れるのを防止している。また、主リップ32は、バネリング23によって付加される緊迫力によって第1シール面51dに圧接されている。また、主リップ32は、自身の弾性力によっても第1シール面51dに圧接される。
図3に示すように、主リップ32は、自由状態において、その径方向内側の断面形状が径方向内方に向けて細くなる(軸方向幅寸法が小さくなる)略V字形を有している。つまり、主リップ32の内周面は、軸方向外側の第1傾斜面32bと、密封空間A側の第2傾斜面32cとを有する。
第1傾斜面32bは、軸方向外側ほど内径が大きくなるように傾斜し、第2傾斜面32cは、軸方向内側ほど内径が大きくなるように傾斜している。第1傾斜面32bと第2傾斜面32cとの境界部であって主リップ32の最小径部(頂部)をリップ先端部32dという。主リップ32の第1傾斜面32bは、金属環51の第1シール面51dに接触する。
自由状態における主リップ32の内径d2は、次のように設定されている。
d2=47.5±0.4mm
これに対して、スリーブ16における第1シール面51dの外径D5は、次のように設定されている。
D5=49.8mm
したがって、第1シール面51dに対する主リップ32の締め代は、1.9mm〜2.7mmである。従来の農機具における密封装置では、主リップの締め代が1.9mmよりも小さい値に設定されており、本実施形態の主リップ32の締め代は、従来と比べて約1.4倍程度大きい値となっている。なお、第1シール面51dの外径D5は、公差が設定されていてもよく、その公差の範囲内で変動が許容される。第1シール面51dの外径D5は、±0.1mmの公差を有していてもよい。この場合、D5は、49.7mm〜49.9mmの範囲内の値とされる。
また、主リップ32及びバネリング23が第1シール面51dに与える緊迫力(径方向の締め付け力)Fは、次のように設定されている。
F=42N±12.6N(±30%)
したがって、緊迫力Fは、29.4N〜54.6Nの範囲内の値となる。
緊迫力Fのうち、主リップ32単独の緊迫力Faと、バネリング23によって付加される緊迫力Fbとは、次のように設定されている。
Fa=12N±3.6N(±30%)
Fb=30N±9.0N(±30%)
したがって、緊迫力Faは、8.4N〜15.6Nの範囲内の値となり、緊迫力Fbは、21N〜39Nの範囲内の値となる。
バネリング23によって付加される緊迫力Fbは、主リップ32単独の緊迫力Faの2倍以上に設定されている。より具体的には、概ねFa:Fb=2:5に設定されている。従来の密封装置は、主リップ及びバネリングが第1シール面に与える緊迫力が21N程度である。したがって、本実施形態の緊迫力Fは、従来の約2倍に設定されている。また、バネリング23のばね荷重は、約5.0Nに設定されている。このばね荷重は、従来(約2.1N)の2倍以上である。
以上のように、本実施形態のシール部材15は、主リップ32の締め代が1.9〜2.7mmであり、従来よりも大きな値に設定されている。そのため、シール部材15の使用によって主リップ32が摩耗したとしても、所定の期間は潤滑油の漏洩を防止できる程度の密封性を維持することができる。例えば、農機具に用いられる密封装置10は、泥水等に曝される過酷な環境で使用されるため定期的な交換が行われるが、少なくとも交換時期までは十分に主リップ32の密封性を維持することができる。
また、本実施形態のシール部材15は、主リップ32及びバネリング23による緊迫力Fが、42Nに設定されており、従来の約2倍の値に設定されている。これによっても、主リップ32による密封性を高めることができる。
バネリング23によって付加される緊迫力Fbは、主リップ32単独の緊迫力Faの2倍以上に設定されているので、主リップ32の摩耗によって緊迫力Faが低下したとしても、全体の緊迫力Fの低下は僅かとなる。したがって、交換時期まで高い緊迫力Fを維持することが可能となる。
なお、トラクターの前車軸用の密封装置の場合、1500〜1700時間の運転で潤滑油の漏洩が生じなければ、交換時期までは十分に密封性を維持できるものと判断する方法を採用することができる。
また、密封装置10は、農機具に用いられるため、シール部材15の締め代や緊迫力による車軸11の回転抵抗の増大はそれほど問題にならない。したがって、上記のように締め代及び緊迫力を高めることによって密封性を高める手段を採用することができる。
[第1補助リップの構成]
第1補助リップ33は、主リップ32よりも軸方向外側において、本体部31の内周側から径方向内側かつ軸方向外側へ延びている。第1補助リップ33は、先端部が金属環51の円筒部51aの外周面(第1シール面)51dに所定の締め代をもって接触している。第1補助リップ33は、主に泥水等の密封空間A内への浸入を防止している。
第1補助リップ33の内径d3は、次のように設定されている。
d3=49.5mm
したがって、第1補助リップ33の締め代は、0.3mmに設定されている。第1補助リップ33は、サイドリップ35及び第2補助リップ34を通過して外部から浸入した泥水を食い止め、ファイナルケース12内に入り込むのを防止している。なお、この第1補助リップ33は省略することも可能であり、次に説明する第2補助リップ34及びサイドリップ35のみによって泥水等の浸入を防止することもできる。
[第2補助リップの構成]
第2補助リップ34は、第1補助リップ33よりも軸方向外側において、本体部31の内周側から径方向内側(車軸11側)かつ軸方向外側へ斜めに延びている。第2補助リップ34は、第1補助リップ33よりも長く形成され、先端部が金属環51の円筒部51aの外周面(第1シール面)51dに所定の締め代をもって接触している。第2補助リップ34は、主に外部B側から密封空間A内への泥水等の浸入を防止している。
図4は、第2補助リップ34の先端側を拡大して示している。第2補助リップ34の内周面34aと、先端面34bとの間には、これらの間でテーパー状に形成された接触面34cが形成されている。この接触面34cは、金属環51の第1シール面51dに面接触する。
第2補助リップ34の内周面34aは、車軸11に対する傾斜角度θ2が、38°以上39°以下の範囲で設定されている。また、接触面34cは、車軸11の軸線に対する傾斜角度θ1が、20°以上21°以下の範囲で設定されている。角度θ1,θ2は、接触面34cが第1シール面51dに面接触可能となるように設定されたものであり、必ずしもこれらの値に限定されるものではない。
図3に示すように、第2補助リップ34の内径d4は次のように設定されている。
d4=48.3±0.3mm
したがって、第1シール面51dに対する第2補助リップ34の締め代は、1.2mm〜1.8mmに設定されている。従来の農機具における密封装置では、第2補助リップの締め代が約1mmに設定されており、本実施形態の主リップ32の締め代は、従来と比べて大きい値となっている。
また、第2補助リップ34の長さは約5mmとされている。従来の第2補助リップの長さは約4mmとされており、本実施形態の第2補助リップ34は、従来と比べて長く形成されている。また、第2補助リップ34は、スリーブ16における円筒部51aと環状板部51bの境界にまで到らない範囲で可及的に長く形成されている。なお、第2補助リップ34の長さは、公差が設定されていてもよく、その公差の範囲内で変動が許容される。例えば、±0.3mmの公差を設定することができる。この場合、第2補助リップ34の長さは、4.7mm〜5.3mmの範囲内の値となる。
以上のように、本実施形態の第2補助リップ34は、締め代が1.2mm〜1.8mmであり、従来よりも大きな値に設定されている。そのため、シール部材15の使用によって第2補助リップ34が摩耗したとしても、所定の期間は外部からの泥水の浸入を防止できる程度の密封性を維持することができる。例えば、農機具に用いられる密封装置10は、泥水等に曝されるような過酷な環境で使用されるため定期的な交換が行われるが、少なくとも交換時期までは第2補助リップ34の密封性を十分に維持することができる。また、本実施形態の第2補助リップ34は、従来よりも長さが長く形成されている。そのため、軸孔12aに対する車軸11の偏心に追従することが可能となり、密封性を好適に維持することができる。なお、第2補助リップ34の締め代が1.2mm未満であると、軸孔12aに対する車軸11の偏心によって密封性が低下する可能性があり、1.8mmを超えると第2補助リップ34の摩耗が顕著となるおそれがある。したがって、締め代を1.2mm〜1.8mmの範囲内に設定することが有効である。
[サイドリップの構成]
サイドリップ35は、図2及び図3に示すように、本体部31の軸方向外側の側面31aから金属環51の環状板部51b側へ延びており、環状板部51bの軸方向内側面(第2シール面)51dに接触している。
図2に示すように、サイドリップ35は、本体部31の側面31aから延びる円筒部35aと、円筒部35aの軸方向外側端部から環状板部51bに向かって拡径しながら延びる円錐環形状の円錐筒部35bと、円錐筒部35bの軸方向外側端部から弾性的に湾曲された状態で略径方向外方に延び、環状板部51bに接触したリップ部37を有する円環形状の円環部35cとを有する。円環部35cは弾性的に湾曲した状態で環状板部51bに接触している。
リップ部37は、図5に示すように、環状板部51bに対向するサイドリップ35の円環部35cの対向面35dのうち、環状板部51bと接触している部分であり、対向面35dの外周縁38を含んでいる。つまり、サイドリップ35は、外周縁38が環状板部51bと常に接触している。また、リップ部37の外周縁38は、スリーブ16に対する接触面圧のピークとなっている。
外周縁38が環状板部51bと接触していると、サイドリップ35と金属環51との間に泥水等が入り込みにくくなる。そのため、泥水等を噛み込んだ状態でのサイドリップ35と金属環51との摺動が発生しにくく、その結果として、サイドリップ35は摩耗しにくくなる。また、使用によってサイドリップ35が摩耗しても、外周縁38の環状板部51bに対する接触面圧は、所定の期間、例えば交換時期まで所定以上に維持される。
対向面35dのうちリップ部37より径方向内側の部分は、環状板部51bとの間に隙間Sを有する。隙間Sを有する状態で対向面35dが金属環51と接触すると、リップ部37の接触面積が過度に大きくなることを防止することができる。サイドリップ35が経時的に摩耗して締め代の寸法が変化しても、その変化は円錐筒部35bに対する円環部35cの角度が変化することによって吸収され、円環部35cの外周縁38が環状板部51bと接触した状態に維持される。そのため、サイドリップ35とスリーブ16との間に泥水等が入り込みにくい状態を維持することができ、サイドリップ35は長期間に亘って摩耗しにくくなる。サイドリップ35の円環部35cにおいて、隙間Sの部分の対向面35dと環状板部51bとのなす角度θsは、例えば5〜45°の範囲で設定することができる。
サイドリップ35は、スリーブ16と接触する前の自由状態において、例えば、図3に示した形状を有している。自由状態のサイドリップ35は、本体部31側から順に、円筒形状の基端部41、円錐環形状の中間部42、及び、中間部42とは車軸11の軸線に対する傾斜角が異なる円錐環形状の先端部43を有している。また、基端部41と中間部42との間、及び、中間部42と先端部43との間は、それぞれ屈曲している。
このような自由状態を有するサイドリップ35は、図2に示すように、弾性的に湾曲された状態でスリーブ16と接触し、中間部42の一部と先端部43とが円環部35cを構成し、中間部42の残りの部分が円錐筒部35bを構成し、基端部41が円筒部35aを構成する。
自由状態のサイドリップ35において、本体部31の側面31aから先端縁43aまでの軸方向の長さL1は、約9.2mmとされている。中間部42は、基端部41の軸方向外側端部から軸方向外方でかつ径方向外方へ向けて斜めに延びている。中間部42の車軸11の軸線に対する傾斜角度θ3は、例えば、約37°とされている。角度θ3は、例えば30〜45°の範囲で設定することができる。中間部42の軸方向における長さ(幅)L2は、約3.6mmとされており、この場合、サイドリップ35の全体長さL1の約39%となる。長さL2は、例えば全体長さL1に対して30〜45%の範囲で設定することができる。
先端部43は、中間部42の軸方向外側端部から軸方向外方かつ径方向外方へ向けて斜めに延びている。先端部43の車軸11の軸線に対する傾斜角度θ4は、例えば、約17°とされており、角度θ4は角度θ3よりも小さい値とされている。角度θ4は、例えば10〜30°の範囲で設定することができる。
先端部43の軸方向における長さ(幅)L3は、例えば、約2.7mmとされており、この場合、サイドリップ35の全体長さL1の約30%となる。長さL3は、例えば全体長さL1に対して30〜45%の範囲で設定することができる。
先端部43は、中間部42の軸方向外側端部から斜めに延びつつ、角度θ4が角度θ3より小さい値とされている。このような先端部43は、サイドリップ35の締め代を大きくしても、サイドリップ35とスリーブ16との接触状態が、所謂、腹当たり状態となることを回避し、リップ部37が外周縁38を含むよう環状板部51bと接触するのに適している。
サイドリップ35は、締め代を有してスリーブ16と接触している。この締め代は、環状板部51bの軸方向内側面(第2シール面)51eから自由状態におけるサイドリップ35の先端縁43aまでの軸方向寸法L4(図3参照)であり、例えば、2〜5mmに設定されている。上記締め代L4は、より好ましくは2.8〜4.4mmである。このようにサイドリップ35の締め代も従来よりも大きい値に設定されている。そのため、交換時期等の所定の時期まで密封性を維持することができる。
(他の実施形態)
本発明の実施形態は、上記実施形態に限られるものではなく、この発明の範囲内において、構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等について適宜変更することができる。
例えば、本発明の密封装置は、トラクター以外の農機具にも用いることができ、コンバイン、耕うん機、田植機、移植機等の農機具にも用いることができる。
10 :密封装置
11 :車軸
12 :ファイナルケース(ハウジング)
12a :軸孔
15 :シール部材
16 :スリーブ
32 :主リップ
33 :第1補助リップ
34 :第2補助リップ
35 :サイドリップ
36 :外周部(嵌合部)
36a :凹溝
36b :小径部
36c :大径部
A :密封空間
B :外部

Claims (3)

  1. 農機具の車軸と、この車軸が挿入されるハウジングの軸孔との間の環状空間に設けられ、前記ハウジングの内部の密封空間と前記ハウジングの外部との間を封止する密封装置であって、
    軸方向一方側の端部から前記軸孔に挿入されて前記ハウジングに嵌合固定される嵌合部と、前記車軸側に設けられたシール面に接触するリップと、を有するシール部材を備え、
    前記嵌合部は、弾性材料により形成され、
    前記嵌合部は、前記軸方向一方側の端部に配置された小径部と、前記小径部よりも軸方向他方側に配置されかつ前記小径部よりも外径が大きい大径部と、を有している、農機具の車軸用密封装置。
  2. 前記小径部と前記大径部との軸方向の間に、周方向に延びる凹溝が形成されている、請求項1に記載の農機具の車軸用密封装置。
  3. 前記軸孔の内径が70.0mmで、はめあい公差がH9であり、
    前記小径部の外径が、70.2±0.1mmに設定され、
    前記大径部の外径が、70.0+0.40 +0.20に設定されている、請求項1又は2に記載の農機具の車軸用密封装置。
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