JP2018053832A - 垂直軸型螺旋タービン - Google Patents
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Abstract
Description
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、回転軸体と、前記回転軸体の周りを回転する翼型の横断面を有し前記回転軸体の軸方向に沿って対数螺旋状で変化するように形成されたブレードと、前記回転軸体と前記ブレードとを連結する腕部とを備えて構成される。即ち、たとえば図1に示されるように(ただし図1に示されるものに限定されるものではない。以下同様に、本「課題を解決するための手段」項において、「たとえば」の後に図面を示す場合、本発明の態様は当該示された図面に限定されるものではない)、回転軸体と、たとえば図2に示すように回転軸体の長さ方向を翼幅とし、たとえば図3に示すようにブレードの回転円周方向の長さを翼弦とする翼型の断面を持つブレードが円板状の台座や水平方向に伸ばした腕部などで回転軸体に連結される垂直軸型螺旋タービンの形状として構成される。そのブレードは、たとえば図2に示すように、翼端が翼根元に対して後退するように後退角を持ちつつ、図3に示すように回転軸からの半径を翼根元から翼端側に広げる拡大角θ(0度<θ<90度)によって、ほぼ対数螺旋状の前縁及び後縁を持つ形状とする。拡大角θは対数螺旋のピッチと同意である。
上記の構成を持つ垂直軸型対数螺旋タービンは、従来のヘリカルタービン同様に後退角を有しているため、流体の流れに対してブレードの断面のいずれかが常時最適な位置になることが保証され、タービンの自己起動を容易にし、回転を安定させることができる。さらに垂直軸型対数螺旋タービンは拡大角θによってブレード全体が翼根元から翼端側に回転半径が広がるように傾斜を持っているため、前縁または後縁の長さは翼幅÷signθで求められることになり、同一スケールの翼幅及び回転半径の従来の直線翼タービンやヘリカルタービンに比べ、前縁及び後縁の長さが長くなる。これはブレード1枚あたりの面積を拡張することになるため、抗力と揚力とを問わずに受風によるエネルギーの獲得に有利となる。よって、タービンの初動時に特に必要となる抗力の増大によって初期の起動性が高まると同時に、揚力の増大によって回転時のトルクを増大することが期待できる。
上記構成を有する垂直軸型対数螺旋タービンは、前述の通り翼根元から翼端に向けて回転半径が広がることになるので、常に翼端側の周速が翼根元よりも速くなる。すなわち翼表面の流れの速度は常に翼端側が翼根元側よりも速くなる。ベルヌーイの定理により流体の速度が増加すると圧力は降下するので翼端側が翼根元側よりも負圧となる。ここで翼端側は翼根元よりも回転軸に対して後退しているため、たとえば図4Bに示されるように、正圧側の翼根元より負圧側の翼端に向けての2次的な流れが生じることになる。
この基本形状は、翼型の形状(前縁半径の大きさや、翼弦長など)と翼幅の長さ、ヘリカルタービンにて導入された後退角、そして本発明で導入された半径の拡大角θという概念的要素を備えて構成される。ここにおいて、前述の対数螺旋による効果を得るためには、翼の一部に基本形状が取り入れられていれば良い。翼の性能は設置される環境や発電機などの特徴によって、トルクを増大させた方が有利な場合と回転速度を増大させた方が有利な場合とがある。これは主に翼弦長の調整によって、ソリディティを変化させることで実現可能であるが、翼弦長や後退角は必ずしも固定である必要はない。例えば、後退角と水平断面におけるソリディティとを固定とした場合、たとえば図5Aにその一例を示すが、翼根元から翼端に向かって翼弦長が大きくなる形状となる。また、前縁の後退角と翼弦長とを固定とした場合、たとえば図5Bにその一例を示すが、後縁の後退角はおのずと小さくなる。翼端に向かうに従って、翼弦長を小さくする、いわゆるテーパー形状を形成する場合、たとえば図5Cにその一例を示すが、前縁の後退角を翼端に向けて次第に大きくするか、後縁の後退角を次第に小さくすることになる。
本発明の第2の態様として、本発明の第1の態様において、前記ブレードが前記翼型の翼幅の方向に形成された1又は2以上のスリットを備える構成としても良い。一般に風向きが安定している場合においては、水平軸タービンは垂直軸タービンに比べてエネルギー変換効率が高い。これは水平軸型タービンの受風面が風向きに対して直交しているときには、ブレードはその回転角位相の360度のすべての位置において同一の的確な迎角を保って回転することができるのに対し、垂直軸型タービンではブレードの回転角位相の360度のすべての位置において迎角が変わり、受風によってモーメントを発生させる方法やエネルギー変換効率も変わるからである。その上、垂直軸型タービンでは、揚力を発生させることが困難となって失速状態となる回転角位相が存在するからである。さらにこの失速状態となる回転角位相において、回転方向とは逆向きの摩擦抗力も増大する回転角位相がある。翼上面をタービン内側として回転方向が時計周りのタービンの場合には、回転角位相がおおよそ4時から6時の位置にあるときがそれにあたる。
本発明の第3の態様として、本発明の第1の態様または第2の態様において、前記ブレードが、前記翼型の表面に流体渦を発生させるための流体渦発生機構としてのボルテックスジェネレータを備えた構成としても良い。即ち、各ブレードの翼上面または翼下面に、たとえば図8Aのように複数の小さな楔状凸型や、複数の小さな窪み状凹型など、前記ボルテックスジェネレータを配置することができる。実際にボルテックスジェネレータを配置した態様の例が、たとえば図8Bに示される。ボルテックスジェネレータはブレードの翼表面に小さな渦流を発生させることで境界層の運動量を高め翼表面からの流体の剥離を抑制することができるため、迎角の大きい回転角位相のときの流体の剥離を遅延させて揚力低減を防ぐことができる。
ブレードの前縁の後退角を大きめにしてブレードを形成した場合、たとえば図9Aのように、流体が翼上面方向ではなく、前縁から翼端方向に横滑りしてしまうアウトフローが発生しやすくなる。このアウトフローは、翼上面を前縁から後縁に向かうべき流体の流れを減少させてしまうことで、揚力を発生させることができない前縁失速状態を引き起こす。これを避けるために、本発明の第4の態様として、本発明の第1の態様から第3の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記ブレードが、前記翼型の前縁部に流体渦を発生させるための流体渦発生機構としてのドッグトゥース形状を備えた構成としても良い。即ち、たとえば図9Bのように、翼の前縁をギザギザの形状いわゆるドッグトゥース形状とするものである。これは、いわゆるボルテックスジェネレータの別の態様でもある。ドッグトゥースはアウトフローを遮る役割と、翼上面に強い帯状の乱流を発生させることで、翼端側に極端にそれてしまう流れを翼上面に安定させる働きとを持っている。
一般に翼端においては、たとえば図10のように、負圧側となる翼上面へ正圧側の翼下面からの流体の回り込みの渦が発生する。この渦は翼端渦と呼ばれ、翼端における揚力の低下をもたらすことが知られている。これに鑑み、本発明の第5の態様として、本発明の第1の態様から第4の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記ブレードが、前記翼型の翼端に流体による翼端渦を防止するための翼端渦防止機構としての平面状あるいは立体的なウィングレットを備えた構成としても良い。あるいは本発明の第6の態様として、本発明の第1の態様から第4の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記ブレードが、前記翼型の翼端に流体による翼端渦を利用するための翼端渦利用機構としての立体的形状のウィングレットを備えた構成としても良い。即ち、この翼端渦の影響による揚力低下を抑制する手段として、翼端にいわゆるウィングレットを設置することとする。一般に、ウィングレットには以下にあげるタイプがある。
a)翼端に遮蔽板を設けてしまうことで翼端渦の回り込みを防止するタイプ
b)翼端の形状を丸めたり狭めたりするなどの形状を与えることで圧力差そのものを低減するタイプ
c)翼端の形状を翼上面または翼下面方向に折り曲げることで、揚力の働くベクトルを変え、主たる翼部の揚力低下を防ぐタイプ
d)b)とc)とを組み合わせたタイプ
従来の垂直軸型タービンとは異なり、垂直軸型対数螺旋タービンでは、束縛渦及び気流そのものが翼端側すなわち、回転方向の後方に傾き加速する特性を持つため、その翼端において気流は最大速になっていると考えられる。翼端形状を回転軸側に折り曲げるだけでなく、気流が後方に流れるように後退角をさらに大きくし、たとえば図12のように翼端を狭めることで、加速された気流と翼端渦とを積極的に取り入れ、推力に変換することが可能となる。
垂直軸型螺旋タービンでは、各ブレードが回転軸体に対して腕部により連結されるが、腕部も回転し流体を受けることから、当該腕部の断面を翼型にして摩擦抗力を低減することはエネルギー変換効率を高めることになると考えられる。そこで本発明の第7の態様として、本発明の第1の態様から第6の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記腕部の横断面が翼型を形成し、該腕部が縦方向が螺旋状あるいは対数螺旋状に形成される構成としても良い。たとえば図13のように、この腕部をブレードと同様に対数螺旋状あるいは螺旋状の形状にする構成とするのも好ましい。このようにすることで、主たるブレードに対する副翼的な効果を持たせて、この腕部からも揚力及び抗力による回転モーメントを発生することで、更に効率を向上させることが可能となる。
本発明の第8の態様として、本発明の第1の態様から第7の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記回転軸体の軸方向に複数段連結されたタンデム型の垂直軸型螺旋タービン、としても良い。この場合、ブレード回転半径を下部に向けて対数螺旋状に減少する型(A型)と、下部に向けて対数螺旋状に増加する型(B型)との組み合わせは、たとえば図18A、図18B、図18C、図18Dに示されるように、A+A、A+B、B+A、B+Bなど、色々な組み合わせが可能であるが、設置場所や季節などの条件により好適な組合せを選ぶことが望ましい。これらは少ない設置面積で総受風面積を増やすことになるので、より大きな運動エネルギーを得ることが可能となる。
本発明の第9の態様として、本発明の第1の態様から第7の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記ブレードの一部または全部の回転半径が、縦方向に下部に向けて対数螺旋状に減少するよう形成された構成としても良い。翼端が垂直軸型螺旋タービンの上部側になるように形成した場合は、気流の上昇成分の運動エネルギーを回転数増加につなげることができることになるので、ビルなどの建物の屋上や、山の稜線上など、気流の上昇成分が多くなる場所に設置する場合に、より大きな運動エネルギーを得ることが可能となる。
本発明の第10の態様として、本発明の第1の態様から第7の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記ブレードの一部または全部の回転半径が、縦方向に下部に向けて対数螺旋状に増加するよう形成された構成としても良い。このように翼端をタービンの下部になるように形成した場合は、気流の下降成分や降雨、降雪が持つ運動エネルギーをブレードが受けとめることから、回転数増加につなげることができる。したがって、高層ビルの下などのように気流の下降成分が多くなる場所や、降雨や降雪の多い地域に設置する場合に、より大きな運動エネルギーを得ることが可能となる。
本発明の第11の態様として、本発明の第1の態様から第7の態様までのうちいずれか1つの態様において、垂直軸型螺旋タービンを上下の向きを逆向きに変更することが可能な機構を更に備えた構成としても良い。前述のように垂直軸型螺旋タービンでは、設置場所や季節などの条件により、翼端側をタービンの上部になるように設置するか下部になるようにするか、どちらかがより好適となるが、それらの条件は変化することも考えられる。従って、これらの条件に対応して、対数螺旋状タービンの天地を変えることができるような機構にすることにより、より好適な回転効率を得ることが可能となる。
本発明の第12の態様として、本発明の第1の態様から第11の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記ブレードの幅が一定である構成としても良い。翼弦長を一定にすることは、対数螺旋状で3次元的に回転半径が変化するブレードを形成するときに、形成しやすい利点がある。形成しやすいといってもブレードは対数螺旋状であるので、ここまで述べてきたように、従来型の垂直軸型螺旋タービンに比べ、より良い回転効率を得ることが可能である。
本発明の第13の態様として、本発明の第1の態様から第11の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記回転軸体と前記ブレードに係る翼弦長の中心との間隔が、前記回転軸体の翼根元側から翼端側にかけて対数螺旋状で増加するのに合わせて、前記翼弦長も増加するように形成される構成としても良い。回転軸体と翼弦長の中心との間隔が対数螺旋状に増加する場合は、翼弦長も同時に増加させ、ソリディティを保つ方が自然で、ブレードを形成しやすいという利点がある。この形状とした場合には、ブレードの面積を若干拡大することになり、トルクを得やすく、弱風時の初動に有利となる。
本発明の第14の態様として、本発明の第1の態様から第11の態様までのうちいずれか1つの態様において、前記回転軸体と前記ブレードに係る翼弦の中心との間隔が、前記回転軸体の翼端側から翼根元側にかけて対数螺旋状で拡大する中で、前記翼弦長は逆に縮小するように形成される構成としても良い。回転軸体と翼弦の中心との間隔が対数螺旋状に拡大する中で、翼弦長を逆に縮小させることは、ブレードを形成し難いというデメリットがある。しかし、回転軸体と翼弦の中心との間隔が拡大していき、周速が早まるにつれ、ブレードの面積も減少することになるので、より良い回転効率につなげられるという効果が得られる。
本発明の第15の態様として、本発明の第1の態様から第14の態様までのうちいずれか1つの態様に示される垂直軸型螺旋タービンと、前記垂直軸型螺旋タービンを同一円周上に配置できるような一体型フレームと、前記一体型フレームの回転軸と、前記一体型フレームの外周脚部を支え、かつ、回転が可能となるような軌道溝とを更に備え、前記一体型フレームの回転方向と前記垂直軸螺旋タービンの回転方向とが同じになるように形成された構成を有する垂直軸型螺旋タービン群体として本発明を実現しても良い。
図1は本発明の第1の実施形態に係る垂直軸型螺旋タービンの概略構成を示す斜視図である。また図2はそのブレード部分の概略正面図であり、図3は概略平面図である。図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る垂直軸型螺旋タービン1Aは、回転軸体11に腕部30により3枚のブレード20が取り付けられて構成される。これらの構成のうち、ブレード20はその延伸方向と略直交する断面(以下、「横断面」ともいう。)が図1及び図3に示されるように、翼型もしくは涙の雫を引き伸ばした形状をなし、こうした断面が上下方向(延伸方向)にいわば積層されてもしくは積算的に構成されて形成されている。各ブレード20はその上下方向(延伸方向)の断面(以下、「縦断面」ともいう。)が、図2で示されるように、上側の翼端91から下側の翼根元92に向かって、回転軸体11からの水平距離がたとえば図3で示すように対数螺旋状に減少するように形成されている。
以下、第2以降の実施形態及び該当する図では、第1の実施形態と同じ機能のものは同一の符号を付し、その説明を省略する。図14は、本発明の第2の実施形態に係る垂直軸型螺旋タービンの概略構成を示す図であり、図15はそのブレードの翼型断面を示した図である。本発明の第2の実施形態に係る垂直軸型対数螺旋状タービン2Aにおいては、図14に示されるように、各ブレード20Aは複数のスリット41、42を有するように複数のサブブレード(ブレード構成要素)21、22、23を備えて構成される。これらのサブブレードは、図7で示されるように、各サブブレードの翼型形状が若干の重なりを持つように、すなわち、サブブレード21の横断面における翼型もしくは涙滴型形状の尖端部とサブブレード22の同様形状の円弧端部とが正面視で若干の重なりを帯び、サブブレード22の横断面における翼型もしくは涙滴型形状の尖端部とサブブレード23の同様形状の円弧端部とが正面視で若干の重なりを帯びるように、形成される。このように構成されることで、流体がそのスリットをスムーズに通り抜けることが可能となる。また、上記では1枚のブレードが3枚のサブブレードを有して構成される態様を例にとって説明したが、サブブレードの数は3に限らず、任意の自然数とすることができる。その場合には、スリットの数は(サブブレードの数)−1となる。
本発明の第3の実施形態に係る垂直軸型螺旋タービンとして、上記の第1もしくは第2の実施形態の構成に加えて、図8Bに示すように各ブレード21の表面に複数の小さな楔状凸型のボルテックスジェネレータ50(図8Aの(a))を配置することもできる。ボルテックスジェネレータの形状としては種々のパターンが可能であり、たとえば、板状凸型51(図8Aの(b))、ブレードの翼幅方向に沿った縦溝状凹型52(図8Aの(c))、ブレードの翼弦方向に沿った横溝状凹型53(図8Aの(d))もしくは複数の小さな窪み状凹型54(図8Aの(e))などを採用することもできる。これらブレード表面に凸型もしくは凹型のボルテックスジェネレータを備えることで、流体が各ブレードの表面を流れるときに小さな渦流が発生し、流体のブレードからの剥離を遅らせることを可能としている。その結果、風のエネルギーからより多くの揚力を発生させ、トルクの増加から回転数の増加につなげることができるようになる。
本発明の第4の実施形態に係る垂直軸型螺旋タービンとして、上記の第1〜第3のうちのいずれかの実施形態の構成に加えて、図9Bに示すように各ブレードの前縁にギザギザ形状のいわゆるドッグトゥース503を導入する機能を採用する。これによりブレードが回転するときに気流に作用し、図9Aで示されるようなアウトフロー502を遮り、翼上面に帯状の乱流を発生させる。これらの作用により翼端側に極端にそれてしまう流れを翼上面に安定させ、揚力を安定させる機能を持つことが可能となる。
図16及び図17は、それぞれ本発明の第5の実施形態及び第6の実施形態に係る垂直軸型螺旋タービンとして、上記の第1〜第4のうちのいずれかの実施形態の構成に加えて、ブレードの翼端にウィングレットとして機能する部分を導入した状態を示す図である。ウィングレットとは、各ブレードの翼端を他の翼部とは異なる形状/角度に加工し、もしくは当該の異なる形状体を取り付けた翼端のことである。本発明の第5の実施形態に係る垂直軸型螺旋タービンの概略は、図16に示されている。本発明の第5実施形態では、第2の実施形態のように各ブレードはサブブレードで構成されスリットを持っているが、各ブレードの翼端部には曲り型のウィングレット61が導入されている。このようなウィングレットを持った構成を備えることで、ブレードが回転するときに気流に作用して翼端渦を発生、これにより揚力低減を抑止することや空気抵抗(誘導抗力)を減らす機能を持つことが可能となる。
図13は、本発明の第7の実施形態に係る、各ブレードを回転軸に連結する腕部の形状を示す概念的斜視図である。本発明の第7の実施形態に係る垂直軸型螺旋タービンにおいては、上記の第1〜第6のうちのいずれかの実施形態の構成に加えて、図13に示されるように、各ブレード20Bを回転軸に接続する腕部30Bは、各ブレードと同様に螺旋状あるいは対数螺旋状であり、この部分でも揚力及び抗力を回転モーメントとして生かせるように翼型の断面を有している。この構成により、ブレードを対数螺旋状としたことによる作用・効果を、腕部30Bにおいても享受でき腕部に副翼的な機能を持たせることが可能となる。したがって、たとえば上記の各ブレードを対数螺旋状とした第1もしくは第2の実施形態と本第7の実施形態とを重畳的に用いれば、両者が相まってさらに風のエネルギーを回転数の増加につなげる効果を増大させることができる。
図18A、図18B、図18C、図18Dは、本発明の第8の実施形態に係る対数螺旋タービンの連結設置を示す図である。上記の第1〜第7のうちのいずれかの実施形態の構成を有する垂直軸型対数螺旋タービンのユニットは、回転方向を同一にして複数組み合わせて同一軸に連結する、いわゆるタンデム構造としてもよい。この場合、各ブレードの回転半径を下部に向けて減少する型(A型)と、下部に向けて増加する型(B型)との組み合わせは、図18A、図18B、図18C、図18Dに示すように、A+A、A+B、B+A、B+Bなど、色々な組み合わせが可能であるが、設置場所や季節などの条件により好適な組合せを選ぶことが望ましい。また、同一軸に連結するのではなく、発電機などのエネルギー変換ユニットと一体化したものを一つの出力モジュールとして、同一垂直軸位置に積み上げる、いわゆるスタック構造としてもよい。これらのスタック構造を採用すれば少ない設置面積で総受風面積を増やすことになるので、より大きな運動エネルギーを得ることにつながる。このスタック構造は垂直軸タービンに特有な有効的方法である。なおこの様々な組み合わせにおいては、流体の流れは翼端方向に傾斜しているので、翼端と翼端とが天地で向き合うような積み重ねをする場合は、その距離を広げクリアランス602を設ける等の処置をして、互いの流れの干渉を考慮した上でスタック構造を形成するのが好ましい。逆に翼根元が天地で向き合うような積み重ねをする場合では互いの距離を広げる必要はないため、積み重ねではなく完全に一体化した構造であっても問題はない。
垂直軸型対数螺旋タービンでは、翼端が後退し拡開する形状をとるが、翼端がタービンの上部側となるように設置しても、天地を変えて翼端をタービンの下部側になるように設置しても良い。また、タービンの回転方向は時計回りでも反時計回りでも良いが、各ブレード断面は風などの流体の流れに対して、最大の受益を得られる翼型断面としておくのが好ましい。
ところで、本発明者がより考察を深めたところ、垂直軸型対数螺旋タービンの向きには、それぞれ好適な設置条件があることが解った。本発明の第9の実施形態に係るものとして、上記の第1〜第7のうちのいずれかの実施形態の構成に加えて、各ブレードの一部または全部の回転半径が縦方向に減少するよう形成さる。この構成の場合、即ち翼端がタービンの上部側になるように設置した場合は、気流の上昇成分の運動エネルギーを回転数増加につなげることができるので、ビルなどの建物の屋上や、山の稜線上など、気流の上昇成分が多くなる場所に設置する場合に好適ということができる。
対数螺旋タービンの重要な構成要素であるブレード部20について、その幅を垂直方向にどのようにするかについては、3つのパターンがある。本発明の第12の実施形態として、上記の第1〜第11のうちのいずれかの実施形態の構成に加えて、翼弦長を一定にした場合は、ブレードを製作する場合に、その要素の一つを一定にすることで製作しやすい。一方で、本発明の第13の実施形態として、上記の第1〜第11のうちのいずれかの実施形態の構成に加えて、回転軸体と各ブレードの翼弦の中心との間隔が、回転軸体の翼根元から翼端にかけて対数螺旋状で増加するのと同様に、各翼弦長も同じ比率で増加させ、ソリディティが一定となるように形成する構成の場合は、自然な変化となるので、前述の場合とは違う意味で製作しやすい、即ち製作コストを抑えられるという利点があると言える。ブレード全体のソリディティは若干拡大するため、トルクが増大し初期起動が容易となる。さらに、本発明の第14の実施形態として、上記の第1〜第11のうちのいずれかの実施形態の構成に加えて、回転軸体と各ブレードの翼弦中心との間隔が、回転軸体の翼根元から翼端にかけて対数螺旋状で増加するのに対して、各翼弦長が逆に減少するように形成するような構成の場合は、前述の場合とは異なり、減少させる度合いを微妙に調整する必要があることから、設計や製作の面でコスト増になると考えられる。しかし、ブレード全体のソリディティ、特に周速の速い翼端側のソリディティが縮小されることになるため、高速回転時においてより速度を増加させる効果が期待できる。いずれも設置環境に合わせて設計することが可能である。
一様流の中の回転する球体や円柱体、並びに円錐・円錐台には、移動方向または一様流に対して垂直の力(揚力)が発生することが知られている。これをマグヌス効果と言うが、垂直軸型螺旋タービンについても、各ブレードが回転しているときのタービン全体の形状は円柱形となるので、ブレードのみならずタービン自体にもマグヌス効果が働くことになる。垂直軸型タービンは水平軸型タービンのように重心が高くなることはなくタービン全体に風圧が均一にかかることになるので、強風時においても安全性の上では有利であるが、同一方向からの強風が一定時間吹くような環境にあるときには、このマグヌス効果によりタービン全体またはシャフト等には強い圧力がかかることになる。
10 回転軸
11、11B 回転軸体
12 回転方向
20 ブレード
20B ブレード(スリットあり)
20C ブレードの変形例
20D ブレードの別の変形例
20E ブレードのまた別の変形例
20F ブレードのヘリカルタービンとの合成例(一部が対数螺旋状)
21 第1サブブレード
22 第2サブブレード
23 第3サブブレード
30 腕部
30B 腕部(螺旋状または対数螺旋状)
30C 腕部(斜め直線状)
41 第1のスリット
42 第2のスリット
50 ボルテックスジェネレータ(楔状凸型)
51 ボルテックスジェネレータ(板状凸型)
52 ボルテックスジェネレータ(縦溝状凹型)
53 ボルテックスジェネレータ(横溝状凹型)
54 ボルテックスジェネレータ(窪み状凹型)
60 ウィングレット(先端割れ型)
61 ウィングレット(先端曲り型)
62 ウィングレット(立体的先端曲り型)
63 ウィングレット(先端丸形)
70 一体型フレーム
71 一体型フレームの回転軸
72 一体型フレームの回転用軌道溝
80 垂直軸型螺旋タービンの回転方向
81 一体型フレームの回転方向
90 翼幅
91 翼端
92 翼根元
θB 後退角
θ 拡大角
100 タービンの大回転径(翼端の回転軌跡)
101 タービンの小回転径(翼根元の回転軌跡)
102 前縁
103 後縁
104 翼上面
105 翼下面
106 翼弦
201 ヘリカルタービンのブレードを通過する流れ
202 翼端の回転半径
203 垂直軸型螺旋タービンのブレードを通過する風の流れ
204 周速差で生じる圧力差による2次的流れ
205 翼根元の回転半径(202より小さい)
301 摩擦抗力の低減
302 剥離の遅延
303 流速の増大
304 ヘリカルタービン部分e
401 揚力の働く向き
402 正圧側から負圧側への回り込みの流れ
403 ブレード翼端を流れる風の流れ
404 翼端渦
500 拘束渦
501 推進力(抗力)
502 アウトフロー
503 ドッグトゥース形状
601 気流の流れ
602 タンデム構造におけるクリアランス
ところで、本発明者がより考察を深めたところ、垂直軸型対数螺旋タービンの向きには、それぞれ好適な設置条件があることが解った。本発明の第9の実施形態に係るものとして、上記の第1〜第7のうちのいずれかの実施形態の構成に加えて、各ブレードの一部または全部の回転半径が縦方向に減少するよう形成される。この構成の場合、即ち翼端がタービンの上部側になるように設置した場合は、気流の上昇成分の運動エネルギーを回転数増加につなげることができるので、ビルなどの建物の屋上や、山の稜線上など、気流の上昇成分が多くなる場所に設置する場合に好適ということができる。
Claims (15)
- 回転軸体と、
前記回転軸体の周りを回転する翼型の横断面を有し前記回転軸体の軸方向に沿って対数螺旋状で変化するように形成されたブレードと、
前記回転軸体と前記ブレードとを連結する腕部と
を備えたことを特徴とする垂直軸型螺旋タービン。 - 前記ブレードが、前記翼型の翼幅の方向に形成された1又は2以上のスリットを備えたことを特徴とする請求項1記載の垂直軸型螺旋タービン。
- 前記ブレードが、前記翼型の表面に流体渦を発生させるための流体渦発生機構としてのボルテックスジェネレータを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の垂直軸型螺旋タービン。
- 前記ブレードが、前記翼型の前縁部に流体渦を発生させるための流体渦発生機構としてのドッグトゥース形状を備えたことを特徴とする請求項1から3までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービン。
- 前記ブレードが、前記翼型の翼端に流体による翼端渦を防止するための翼端渦防止機構としての平面状あるいは立体的なウィングレットを備えたことを特徴とする請求項1から4までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービン。
- 前記ブレードが、前記翼型の翼端に流体による翼端渦を利用するための翼端渦利用機構としての立体的形状のウィングレットを備えたことを特徴とする請求項1から4までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービン。
- 前記腕部の横断面が翼型を形成し、該腕部が縦方向に螺旋状あるいは対数螺旋状に形成されることを特徴とする請求項1から6までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービン。
- 前記請求項1から7までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービンが、前記回転軸体の軸方向に複数段連結されたことを特徴とするタンデム型垂直軸型螺旋タービン。
- 前記請求項1から7までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービンにおいて、前記ブレードの一部または全部の回転半径が縦方向に減少するよう形成されたことを特徴とする垂直軸型螺旋タービン。
- 前記請求項1から7までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービンにおいて、前記ブレードの一部または全部の回転半径が縦方向に増加するよう形成されたことを特徴とする垂直軸型螺旋タービン。
- 前記請求項1から7までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービンにおいて、上下の向きを逆向きに変更することが可能な機構を更に備えたことを特徴とする垂直軸型螺旋タービン。
- 前記請求項1から11までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービンにおいて、前記翼弦長が一定であることを特徴とする垂直軸型螺旋タービン。
- 前記請求項1から11までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービンにおいて、前記回転軸体と前記ブレードに係る翼弦中心との間隔が、前記回転軸体の翼根元側から翼端側にかけて対数螺旋状で拡大する中で、前記翼弦長も拡大するように形成されたことを特徴とする垂直軸型螺旋タービン。
- 前記請求項1から11までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービンにおいて、前記回転軸体と前記ブレードに係る翼弦中心との間隔が、前記回転軸体の翼根元側から翼端側にかけて対数螺旋状で増加する中で、前記翼弦長は縮小するように形成されたことを特徴とする垂直軸型螺旋タービン。
- 前記請求項1から14までのうち何れか1項記載の垂直軸型螺旋タービンと、
前記垂直軸型螺旋タービンを同一円周上に配置できるような一体型フレームと、
前記一体型フレームの回転軸と、
前記一体型フレームの外周脚部を支え、かつ、回転が可能となるような軌道溝と
を更に備え、前記一体型フレームの回転方向と前記垂直軸螺旋タービンの回転方向とが同じになるように形成されたことを特徴とする垂直軸型螺旋タービン群体。
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