以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るヒンジ(移動速度調整装置)10が用いられる建具3の正面図である。建具3は、建物の開口部に固定される枠体2と、戸体としてのドア1と、ドア1を回転可能に支持する複数のヒンジ10,11と、を備える。
ドア1は、枠体2に複数のヒンジ10,11を介して回転可能に支持される開き戸である。複数のヒンジ10,11のうち、ヒンジ10はドア1の回転速度をコントロールする機能を有する移動速度調整装置である。
図2は、第1実施形態のヒンジ10を模式的に示す図である。図2に示すように、ヒンジ10は、回転側の上丁番20と、固定側の下丁番40と、上丁番20と下丁番に間に配置される受けリング30と、増速機45と、発電機46と、サイリスタ回路(調整回路)80と、抗力部60と、を主要な構成として備える。
上丁番20は、ドア1に固定される上側プレート21と、ドア1の回転とともに回転する上側軸体22と、を備える。上側軸体22は、その内側に増速機45と発電機46を収容する空間が形成されるとともに、下端部に上側軸体22と一体的に回転する回転軸25が設けられる。回転軸25は、その上側(一側)の端部が上側軸体22内部の増速機45に接続されるとともに、他側(下側)の端部が下側軸体42に配置される抗力部60に接続される。
下丁番40は、枠体2に固定される下側プレート41と、回転軸25を回転可能に支持する下側軸体42と、を備える。下側軸体42は、その内側にサイリスタ回路80と抗力部60を収容する空間が形成される。
受けリング30は、上側軸体22の下側の端面と下側軸体42の上側の端面の間に配置されている。回転軸25は、受けリング30中央の貫通孔31を通じて下側軸体42に接続されている。下丁番40は、受けリング30を介して上丁番20の重量を受け止めているので、上丁番20の重量による回転への影響を回転軸25が受け難くなっている。
増速機45は、回転軸25の回転力を増速して発電機46に伝達するギヤボックスであり、所定のギヤ比が設定されている。本実施形態の増速機45は、その上端部に出力軸47が設けられ、その下端部に回転軸25の上側の端部が接続される。増速機45によって増速された回転速度で出力軸47が回転する。
発電機46は、その下部に出力軸47が接続され、出力軸47の回転によって発電する。発電機46は、ケーブル75を介してサイリスタ回路80に接続されており、発電機46で発電された電力はサイリスタ回路80に送られる。
サイリスタ回路80は、発電機46で発電された電流を整流してケーブル76を介して抗力部60に供給する。なお、サイリスタ回路80の詳細な構成については後述する。
抗力部60は、その上部に回転軸25の下側の端部が回転可能に接続されており、回転軸25の回転に対して抗力を発生させることにより、ドア1の回転速度をコントロールするものである。次に、抗力部60の詳細な構成について説明する。
本実施形態の抗力部60は、ケース61と、樹脂ボビン62と、固定コア63と、抵抗部としての回転コア65と、磁気粘性流体64と、抗力用コイル70と、を備える。
ケース61は、その内部に抗力部60の各部品を収容する外装であり、フェライトやケイ素鋼板等の材料により形成される。ケース61は、下側軸体42の一部をなすものであってもよいし、別体として下側軸体42に組み込まれてもよい。
樹脂ボビン62は、その外周に抗力用コイル70が巻き回された状態でケース61の内部に配置される。抗力用コイル70は、サイリスタ回路80に電気的に接続されており、サイリスタ回路80を介して発電機46から供給される電力によって磁界を生じさせる。
本実施形態の樹脂ボビン62は、上端部及び下端部のそれぞれが鍔状に形成されるとともに、軸方向に延びる貫通孔が中央に形成される樹脂製のボビンである。樹脂ボビン62は、ケース61の内部にOリング69を介して固定される(図2参照)。
固定コア63は、樹脂ボビン62の中空部分の下部で固定される。樹脂ボビン62の内側であって固定コア63の上方には磁気粘性流体64を挟んで回転コア65が配置される。
回転コア65は、回転軸25の下側の端部が固定される。回転軸25は、ベアリング67を介してケース61(下側軸体42)に軸支されており、回転軸25の回転に伴って回転コア65が一体的に回転する。
また、回転コア65の上部及び下部の周面には摺動Oリング68がそれぞれ配置されている。本実施形態では、上側の摺動Oリング68がケース61の内側面に位置し、下側の摺動Oリング68が樹脂ボビン62の内側面に位置している。なお、摺動Oリング68の配置や数は適宜変更できる。例えば、樹脂ボビン62の内側に摺動Oリング68が一つだけ配置される構成としてもよい。
図3は、第1実施形態の抗力部60における磁気粘性流体(磁性流体)64近傍の様子を示す拡大図である。図3に示すように、磁気粘性流体64は、樹脂ボビン62の内側であって、回転コア65の下端面と固定コア63の上端面の間に薄膜状に形成される。磁気粘性流体64の厚みは、例えば100〜500μm程度に設定される。
磁気粘性流体64は、磁界によって粘度が変化するものであり、回転コア65(回転軸25)の回転に対して粘度に応じた抵抗力を付与する。抗力用コイル70は、樹脂ボビン62における上端部と下端部の間の小径部90の外周面に螺旋状に巻き付けられている。この抗力用コイル70に電流が流れることによって磁界が生じ、磁気粘性流体64の粘度が変化する。
本実施形態では、固定コア63の上端面が抗力用コイル70の上下方向の略中央に位置するように固定コア63の高さ及び抗力用コイル70の長さが調整されている。磁気粘性流体64の位置を抗力用コイル70の上下方向の略中央位置、即ち、磁界が強く作用する位置に設定することにより、磁気粘性流体64に磁界を効率的に作用させることが可能になっている。
以上説明したヒンジ10に配置される増速機45、発電機(発電部)46、抗力部60、サイリスタ回路80は、何れも同一軸線上(上下方向)に並列配置されており、ヒンジ10内部の限られたスペースに配置することが可能になっている。
ドア1が回転すると、上丁番20の上側軸体22の回転に伴って回転軸25が回転し、増速機45にその回転力が伝達される。増速機45では、予め設定される回転比に応じて出力軸47が回転する。出力軸47の回転力によって発電機46で発電された電流は、サイリスタ回路80に送られる。サイリスタ回路80で整流された電流が抗力用コイル70に流れることによって磁界が生じ、この磁界によって磁気粘性流体64の粘度が変化する。
発電機46で発電される電流は、ドア1の回転速度(移動速度)に応じたものとなる。従って、抗力用コイル70の通電によって生じる磁界の強さも回転速度に応じたものとなる。磁気粘性流体64の粘度は磁場の大きさに応じて増大するので、回転速度が速いときは相対的に大きくなり、回転速度が遅いときは相対的に小さくなるように粘度が変化する。
本実施形態では、発電機46で発電された電流はサイリスタ回路80で交流から直流に変換される。次に、第1実施形態のサイリスタ回路80について説明する。図4は、第1実施形態のサイリスタ回路80及び回転数(rpm)と出力の関係を示す模式図である。図4の紙面左側にはサイリスタ回路80の回路図が示され、紙面右側には横軸がドア1の回転数(rpm)であり、縦軸がサイリスタ回路80から抗力部60に出力される電圧であるグラフが示される。なお、以下の説明において回転数(rpm)はドア1の回転速度(戸体の移動速度)として説明することがある。
図4の回路図に示すように、サイリスタ回路80は、4個のダイオード82からなるダイオードブリッジであり、静電容量に応じて発電機46で発電された電力を蓄電し、放電するコンデンサ81が接続されている。
第1実施形態のサイリスタ回路80では、所定電圧として順方向電圧VF1=1Vが設定される。発電機46の発電量はドア1の回転数(rpm)に依存する。図4のグラフに示すように、回転速度が遅いため出力電圧が順方向電圧1Vに満たない場合は、ダイオード82の特性により抗力用コイル70にほとんど電流が流れないことになる。一方、ドア1の回転速度が速く、順方向電圧1Vを上回るような電圧が生じた場合は抗力用コイル70に電流が流れることになる。従って回転速度が速い場合だけ抗力用コイル70によって磁界が作用し、磁気粘性流体64の粘度が上昇する。
本実施形態では、コンデンサ81の静電容量によっても抗力部60による抗力が掛かる条件を調整することができる。例えば、コンデンサ81の静電容量を大きくすることにより、抗力部60の抗力が相対的に掛かり難くすることができ、静電容量を小さくすることにより抗力部60の抗力が相対的に掛かり易くすることができる。静電容量を調整する方法としては、用途に応じて静電容量が異なるコンデンサに変更したり、コンデンサ81の数を増減したり、可変コンデンサを用いる等、適宜の方法を採用することができる。
次に、第1実施形態のサイリスタ回路80と異なる方法で抗力部60によって抗力が掛かる条件を異なる方法で設定した第2実施形態から第4実施形態のサイリスタ回路について説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、既に説明した構成と同様のものについては同じ符号を付してその説明を省略することがある。
図5は、第2実施形態のサイリスタ回路280及び回転数(rpm)と出力の関係を示す模式図である。図4と同様に、紙面左側にサイリスタ回路280の回路図が示され、紙面右側に回転数と出力の関係を示すグラフが示される。
図5の回路図に示すように、第2実施形態のサイリスタ回路280は、ダイオード82を直列接続することで順方向電圧VFを大きくしている点が第1実施形態と異なっている。第2実施形態では、第1実施形態でダイオード82が1個配置される箇所に、ダイオード82を3個、直列配置しており、順方向電圧VF3=3Vとなっている。
即ち、第2実施形態では、第1実施形態に比べて抗力部60に電流が流れる基準となる順方向電圧が3倍となっており、抗力部60によるドア1への負荷が掛かり難くなっている。このように、ダイオード82の順方向電圧VFを調整することでも、ドア1の回転速度に応じて抗力部60による抗力がかかる条件を調整することができる。
次に、第3実施形態のサイリスタ回路380について説明する。図6は、第3実施形態のサイリスタ回路380の回路図及び回転数(rpm)と出力の関係を示すグラフである。図4と同様に、紙面左側にサイリスタ回路380の回路図が示され、紙面右側に回転数と出力の関係を示すグラフが示される。
第3実施形態のサイリスタ回路380は、電圧モニター回路85と、スイッチ回路86と、を更に備える点が第1実施形態のサイリスタ回路80や第2実施形態のサイリスタ回路280と異なっている。また、第3実施形態のダイオード82は、ロス電圧を低くする観点から低い順方向電圧VF1=0.5のものが用いられている。
電圧モニター回路85には所定電圧として基準電圧VXが設定されている。電圧モニター回路85は、サイリスタ回路380から出力される出力電圧が基準電圧VX以上か否かを監視する。図6のグラフに示すように、出力電圧V2が基準電圧VX以上の場合はスイッチ回路86を出力側に切り替えて抗力部60に電流を流し、出力電圧が基準電圧VXを下回っている場合は抗力部60に電流を流さないようにスイッチ回路86を切り替える。
ダイオード82は、その特性上、順方向電圧分がロスとなってしまう。例えば、第2実施形態では、抗力用コイル70に電流を流れ難くできるものの、順方向電圧VF3以下がロスになってしまう。この点、第3実施形態のサイリスタ回路380では、電圧モニター回路85が出力電圧を監視してスイッチ回路86の出力を切り替えているので、順方向電圧VFを低くしてロスを抑えつつ、回転速度が遅い(回転数が低い)場合には抗力部60による抗力が掛からない構成を実現することができる。
次に、第4実施形態のサイリスタ回路480について説明する。図7は、第4実施形態のサイリスタ回路480及び回転数(rpm)と出力の関係を示す模式図である。図7の紙面左側にはサイリスタ回路480の回路図が示される。また、紙面右側の上段の(a)には時間と出力の関係を示すグラフが示され、下段の(b)には回転数と出力の関係を示すグラフが示される。
1回のドア1の回転速度で出力される出力電圧が順方向電圧VFを下回る場合であっても、ドア1の開閉が繰り返されるとコンデンサ81が蓄電され、最終的にはドア1の回転速度が低速にも関わらず出力電圧が基準電圧VXを上回って抗力部60による負荷がドア1に掛かるおそれがある。このような意図しない状況で抗力用コイル70に電流が流れないように、第4実施形態のサイリスタ回路480はリーク抵抗87を更に備える構成となっている。なお、リーク抵抗87以外の構成については第3実施形態のサイリスタ回路380と同様の構成である。
リーク抵抗87は、コンデンサ81に並列接続され、発電時の蓄電電流に影響しない大きさ(例えば、数Ω〜数KΩ)のものが用いられる。図7のグラフ(a)に示すように、ドア1が低速で開閉を繰り返し、基準電圧VX以下の電圧V1が出力されたとしても基準電圧VX以上となる前にリーク抵抗87によって消費される。従って、ドア1の回転速度が低速であるにも関わらず抗力用コイル70に電流が流れる事態を回避できる。この構成においても、回転速度が高速で基準電圧VXを上回る電圧V2が検出された場合は電圧モニター回路85によりスイッチ回路86が出力側に切り替えられ、抗力部60に電流が流れてドア1の回転にブレーキが掛けられる。
以上説明した各実施形態のヒンジ10は、戸体の移動に連動して回転する回転軸25と、回転軸25が接続され、回転軸25の回転速度を増速して出力軸47から出力する増速機45と、増速機45の出力軸47が接続され、出力軸47の回転により発電する発電機46と、磁界に応じて粘度が変化する性質の磁気粘性流体64により、回転軸25の回転に対して粘度に応じた抵抗を付与する抗力部60と、発電機46で発電された電流が流れることにより、磁気粘性流体に磁界を作用させる抗力用コイル70と、発電機46の出力電圧が所定電圧を超えると抗力部60に電流を流す調整回路としてのサイリスタ回路80(サイリスタ回路280、サイリスタ回路380又はサイリスタ回路480)と、を備える。
これにより、風に煽られたときのような回転速度が速いドア1の急激な動きに対しては抗力部60により回転速度に応じたブレーキがかかり、人が出入りするときのような回転速度が遅いドア1の緩やかな動きに対してはブレーキがからないようにドア1の回転速度を自動調整して安全性を向上させることができる。また、電力を外部から供給するための配線も必要なく、各構成が同軸上に配置されているので、無配線でドア1やヒンジ(蝶番)10に内蔵することが可能となる。
また、各実施形態のヒンジ10は、ドア1の回転速度(移動速度)に応じて所定電圧が設定される。
これにより、ドア1の回転にブレーキがかかる条件に想定されるドア1の使用状況を反映することができる。
また、第4実施形態及び第5実施形態のサイリスタ回路380,480は、出力電圧が所定電圧を超えたか否かを監視する電圧モニター回路85と、所定電圧を超えると発電機46から供給される電力に基づいて抗力用コイル70に電流を流すスイッチ回路86と、を有する。
これにより、ダイオード82等に起因する電圧ロスを抑えつつ、所定電圧を超えた場合には抗力用コイル70に効率的に電流を流す構成をシンプルな回路により実現できる。
また、第4実施形態のサイリスタ回路480は、所定電圧を下回る出力電圧により蓄電された電気をリークするリーク抵抗87を有する。
これにより、低速でドア1の開閉が繰り返されることによってコンデンサ81に電気が蓄電して所定電圧を上回る事態を効果的に回避できる。
また、本実施形態の建具3は、ドア1の移動速度を調整する移動速度調整装置を実現する構成がドア1のヒンジ10の内部に設けられる。
これにより、デザイン上のノイズになることなく、ドア1の移動速度を適切に調整する移動速度調整装置を実現することができる。
次に、ギヤ比の異なる増速機45A及び増速機45Bを用いて発電機及び抗力部の効率を向上させる方法について説明する。図8は、回転数(rpm)に対する出力及びドア1に掛かる抗力の関係を示すグラフである。
発電機46で発電された電気の出力が最大となる回転数と、抗力部60によって回転軸25に付与される抗力が最大となる回転数と、が装置構成によって異なる場合がある。図8中の(a)のグラフに示される例では、発電機46の出力が最も大きくなる最大点の回転数は2000rpmである。これに対し、図8中の(b)のグラフに示される例では、抗力部の抗力が最も大きくなる最大点の回転数が1000rpmとなっている。ドア1に最も強くブレーキを掛ける回転速度が予め決まっている場合、発電機46及び抗力部60の最大点は一致していることが好ましい。
この最大点の違いを解消する方法として増速機45A及び増速機45Bを用いる方法について説明する。図9は、2つの増速機(増速機45A及び増速機45B)を用いた場合の発電機246と抗力部260のレイアウトを示す模式図である。
図9(a)には、回転軸25側から順に増速機45A、抗力部260、増速機45B、発電機246が回転軸25の同一軸線上に配置される例が示されている。
図9に示される抗力部260は、上記実施形態で説明した抗力部60の変形例である。抗力部260は、上記実施形態の樹脂ボビン62と同様の構成の樹脂ボビン262と、樹脂ボビン262の外周面に巻き回される抗力用コイル70と、樹脂ボビン262を軸方向で貫通する貫通孔に配置される回転軸48と、樹脂ボビン262の内周面と回転軸48の外周面との間に配置される薄膜状の磁気粘性流体64と、を主要な構成として備えている。
樹脂ボビン262の内側に挿入される回転軸48は、増速機45A又は増速機45Bの出力軸47に接続されており、出力軸47と一体的に回転するようになっている。抗力用コイル70に発電機46からの電流が流れると磁界が生じて粘度が高くなり、回転軸48の回転に対して回転速度に応じた抵抗力が発揮される。なお、抗力部260と発電機46を接続する配線等の図示については省略している。
また、図9に示される増速機45Aは入力される回転数に対して出力される回転数がA倍(ギヤ比1:A)の増速機であり、増速機45Bは入力される回転数に対して出力される回転数がB倍(ギヤ比1:B)の増速機であるものとする。
また、図9に示される発電機246は、上記実施形態の発電機46と同様の発電機能を有する。本実施形態の発電機246は、上記実施形態で説明したサイリスタ回路80(サイリスタ回路280、サイリスタ回路380又はサイリスタ回路480)と同様の機能を有し、出力電圧が所定電圧を超えると抗力部260に電流を流す調整回路を有するものとする。なお、発電機246は、上記実施形態と同様に、発電機46とサイリスタ回路80が別体となっている構成であってもよい。
図9(a)のレイアウトの場合、回転軸25から入力された回転数(回転速度)は増速機45AでA倍されて抗力部260に入力される。抗力部260からは増速機45Aの出力軸47と一体的に回転する回転軸48の回転力が増速機45Bに伝達される。増速機45Bは、回転軸48の回転数のB倍で回転する出力軸47により発電機46に回転力を伝達する。
図8の例では、発電機46を最大点で使用するためには2000rpmであり、抗力部60を最大点で使用するためには1000rpmである必要がある。図9(a)のレイアウトでは、発電機46に入力される最終的な回転数が2000rpmであればよいので、A×B=2000rpmの条件を満たせば良いことになる。抗力部60に入力される回転数は1000rpmなので、A×B=2000rpmの条件を満たすためにはB=2であれば良いことになる。
図9中の(b)には、回転軸25側から順に増速機45A、発電機46、増速機45B、抗力部260が回転軸25の同一軸線上に配置される例が示されている。図9(b)のレイアウトの場合、回転軸25から入力された回転数は増速機45AでA倍されて発電機46に入力される。発電機46は増速機45Aの出力軸47の回転によって発電を行う。図9中の(b)の発電機46には増速機45Aの出力軸47と一体的に回転する回転軸49が設けられており、この回転軸49の回転力が増速機45Bに伝達される。増速機45Bは、回転軸48の回転数のB倍で回転する出力軸47により抗力部260に回転力を伝達する。
図8の例では、発電機46を最大点で使用するためには2000rpmであり、抗力部60を最大点で使用するためには1000rpmである必要がある。図9(b)のレイアウトでは、発電機46に入力される回転数が2000rpmであればよいので、発電機46を最大点で使うには、A=2000rpmとなる。一方、抗力部60を最大点で使用するためには回転数を1000rpmに落とす必要があるのでB=1/2となる。この場合、増速機45Bは減速機として機能させることになる。
以上説明したように、図9(a)及び(b)の何れのレイアウトによっても、発電機46及び抗力部260をそれぞれの最大点で使用することができる。
図10は、本発明の実施形態に係るピポットヒンジ(移動速度調整装置)210によって開閉するドア201を模式的に示した図である。ピポットヒンジ210は、ドア201の上端面及び下端面のそれぞれに上下方向に突出する軸体である。ドア201は、ピポットヒンジ210を介して枠体又は建物の躯体に回転可能に支持される。次に、ピポットヒンジ210に本発明を適用した各実施形態について説明する。
図11は、第5実施形態のピポットヒンジ210の内部構成を模式的に示した図である。図11では、ドア201の内部に埋設されるピポットヒンジ210の内部構成が示されている。
図11に示すように、第5実施形態のピポットヒンジ210は、ドア201の回転軸101に接続される増速機45Aと、増速機45Aの出力軸47が接続される抗力部260と、抗力部260の回転軸48が接続される増速機45Bと、増速機45Bの出力軸150が接続される発電機46と、ドア201を閉める方向に付勢するドアクローザとしての付勢機構110と、を主要な構成として備える。このうち、増速機45A、抗力部260、増速機45B及び発電機46は、図9の(a)と同様の構成及びレイアウトであり、同一軸線上に配置される。
付勢機構110は、大径ピニオン111及び小径ピニオン112と、ラック120と、付勢バネ130と、を備える。大径ピニオン111、小径ピニオン112及びラック120は、いわゆるラックアンドピニオン機構である。
大径ピニオン111は、増速機45Bと発電機46を接続する出力軸150に設けられる軸側ピニオン115に噛合する。小径ピニオン112は、大径ピニオン111に回転中心が一致するように連結されており、ラック120に噛み合った状態で大径ピニオン111と一体的に回転する。大径ピニオン111は、小径ピニオン112より大きい径であり、減速機としても機能する。
ラック120は、付勢バネ130によってドア201を閉める方向に付勢される。本実施形態では、付勢バネ130がラック120を引き寄せる方向に力を加えている。付勢バネ130の付勢力は、ラック120、小径ピニオン112、大径ピニオン111を介して出力軸150の軸側ピニオン115に伝達される。
ドア201を閉める方向に付勢する付勢力は、ドア201の回転軸101に伝達される過程で、増速機45B及び増速機45Aで段階的に低速に変速される。即ち、ドア201の回転軸101からの回転を増速する増速機45A及び増速機45Bは、付勢バネ130の付勢力をドア201の回転軸101に伝達する経路では低速機として機能し、トルクを増幅させる作用が働く。
次に、第6実施形態のピポットヒンジ310について説明する。図12は、第6実施形態のピポットヒンジ310の内部構成を模式的に示した図である。図12では、ドア201の内部に埋設されるピポットヒンジ210の内部構成が示されている。
図12に示すように、第6実施形態のピポットヒンジ310は、付勢機構110の構成が第5実施形態と異なっており、それ以外は第5実施形態と略同様の構成となっている。より具体的には、第6実施形態では、抗力部260の回転軸151に軸側ピニオン315が配置される。この軸側ピニオン315に大径ピニオン311が噛合している。
大径ピニオン311は、第5実施形態の大径ピニオン111に比べて小さな径のものが用いられており、減速比が小さくなっている。また、第6実施形態の付勢バネ330は、第5実施形態の付勢バネ130に比べて短いものが用いられている。なお、ドア201を閉めるために必要なその他の条件は第5実施形態と第6実施形態で同様である。この構成によっても、増速機45Aが低速機として機能し、付勢バネ330によるドア201を閉める方向に付勢する力が増幅される。
第5実施形態では、第6実施形態に比べ、減速比が大きくなるので付勢バネ130に必要な付勢力を低減することができる。これによって、ドアクローザを実現するための構成を軽量化できる。一方で、第6実施形態に比べて付勢力を発揮しなければならない時間が長くなるため付勢バネ130の長さを長くする必要が生じる。
第6実施形態では、第5実施形態に比べ減速比が小さくなるので、付勢バネ330の付勢力を大きなものにする必要があるものの、付勢バネ330の長さを短くすることができ、装置構成をコンパクト化できる。
ドア201の厚みや内部空間等の本発明を適用する条件に応じて第5実施形態又は第6実施形態のうち好適な構成を適宜選択することができる。
次に、第7実施形態のピポットヒンジ410について説明する。図13は、第7実施形態のピポットヒンジ410の内部構成を模式的に示した図である。図13では、ドア201の内部に埋設されるピポットヒンジ410の内部構成が示されている。
図13に示すように、第7実施形態のピポットヒンジ410は、ドア201を閉める方向に付勢するための機構が第5実施形態及び第6実施形態と異なっている。なお、増速機45A、抗力部260、増速機45B及び発電機46は同一軸線上に配置されており、第5実施形態のレイアウトと同様である。
第7実施形態では、増速機45Bの出力軸170が角柱状に形成されており、当該出力軸170にはワイヤー巻ボビン401が上下方向でスライド移動可能に取り付けられる。ワイヤー巻ボビン401には、バネユニット160から引き出されたワイヤー161が巻き付けられる。バネユニット160の内側にはワイヤー161を引っ張るための付勢手段が配置されており、ワイヤー161がバネユニット160の内側に収容される方向に付勢力が作用している。バネユニット160側にワイヤー161が引っ張られることにより、出力軸170に対してドア201を閉める方向の力が働く。
本実施形態のワイヤー巻ボビン401は、ドア201の位置(回転角度)によってドア201を閉める方向に作用する力が変化するように構成される。より具体的にはドア201が所定の回転角度範囲に入ったときにドア201が停止するようにワイヤー巻ボビン401が構成されている。次に、図14Aから図14Dを参照してワイヤー巻ボビン401の詳細な構成について説明する。
図14Aは、満巻状態のワイヤー巻ボビン401の模式断面図である。まず、ワイヤー巻ボビン401の構成について説明する。ワイヤー巻ボビン401の内部には、軸方向に滑り角パイプ430が挿入されており、この滑り角パイプ430を介して角柱状の出力軸170に上下方向(図14A〜Dにおいては紙面左右方向)にスライド可能に保持されている。
本実施形態のワイヤー巻ボビン401は、軸方向に間隔をあけて配置される4つのフランジ部411〜414により、第1セクション421、第2セクション422、第3セクション423と3つの領域に区分されている。第1セクション421と第2セクション422の間に配置されるフランジ部412と、第2セクション422と第3セクション423に配置されるフランジ部413と、の間には軸方向に斜めのスリット450が形成されている。このスリット450により、ワイヤー161のセクション間の移動が滑らかなものとなっている。
第1セクション421、第2セクション422及び第3セクション423の巻取面にはガイド溝451が形成されており、このガイド溝451に沿ってワイヤー161が巻取面に巻き取られていく。本実施形態では、巻取動作が1回で溝の幅だけワイヤー巻ボビン401の位置が軸方向にスライド移動するように構成される。上述のように、ワイヤー巻ボビン401は、内側に固定された角パイプ430を介して角柱状の出力軸170に取り付けられているので、出力軸170に対してワイヤー巻ボビン401が空回りすることなくスライド方向に移動する。角柱状の出力軸170と滑り角パイプ430によってワイヤー巻ボビン401の回転防止しつつ出力軸170に対してスライド移動させる構成が実現されている。
出力軸170に対してワイヤー巻ボビン401が移動する構成であるため、ワイヤー巻ボビン401にワイヤー161が巻き取られる巻取位置又はワイヤー161がバネユニット160側に引きだされる繰り出し位置の絶対的な位置は変化しない構成になっている。
ドア201が閉鎖位置に移動すると、ワイヤー巻ボビン401からワイヤー161がバネユニット160に繰り出されていく。本実施形態では、第1セクション421、第2セクション422、第3セクション423の順でワイヤー161がワイヤー巻ボビン401からバネユニット160に巻き戻されていく。反対にドア201が開く方向に移動すると第3セクション423、第2セクション422、第1セクション421の順でワイヤー巻ボビン401にワイヤー161が巻き付けられる。
本実施形態では、ワイヤー161が第2セクション422にある状態でドア201が閉止するようにワイヤー巻ボビン401が構成されている。第1セクション421と第3セクション423は、ワイヤー巻ボビン401の中心から巻取面までの径方向の長さ(半径r1)が、第2セクション422の径方向の長さ(半径r2)よりも大きく構成される(r1>r2)。r1とr2は、それぞれの径が、第2セクション422でドア201を停止させるように設定されている。次に、図10を参照しながら第2セクション422までワイヤー161が巻き取られたときにドア201が停止する条件について説明する。まず、各条件の定義について説明する。
FA:増速機45A及び増速機45Bによるドアノブ202での保持力(抵抗力)
ドア201にはドア201の位置を保持する力が増速機45A及び増速機45Bによって掛かっている。即ち、回転軸101の回転を増速して発電機46側に伝達する増速機45A及び増速機45Bは、バネユニット160によってドア201を閉鎖位置に戻す力を回転軸101に伝達する際に減速機として機能するため、抗力(ギヤロス)が生じる。ドアノブ202において、ドア201を閉じる力に対して増速機45A及び増速機45Bによって生じる抵抗力(保持力)をFAとする。
FB:バネユニット160によるワイヤー161を巻き取る力
バネユニット160がワイヤー161を引き込む力をFBとする。
L:ドアノブ202とピポットヒンジ210の距離
上記実施形態では、回転軸101(ピポットヒンジ210)の回転中心からドアノブ202までの径方向の距離をLとする。
H:増速機45A及び増速機45Bを合わせたギヤの増速比
増速機45A及び増速機45Bを経ることによって回転軸101の回転速度が増速された最終的な比である。増速機45Aの増速比をAとし、増速機45Bの増速比をBとするとA×Bがここでのギヤの増速比となる。
次に、バネユニット160がワイヤー161を巻き取る力が、ワイヤー巻ボビン401を介してドアノブ202でドア201を閉める方向に作用するときの回転力について説明する。上述のように、ワイヤー巻ボビン401は、径の異なる第1セクション421、第2セクション422、第3セクション423を有する。そのため、ワイヤー161からドアノブ202側に最終的に伝達される力はワイヤー巻ボビン401のセクションによって異なる。
F1:r1の部分にワイヤー161があるときのドアノブ202の回転力
回転軸101(出力軸170)の回転中心から巻取面までの距離r1の第1セクション421及び第3セクション423にワイヤー161が位置するときのドアノブ202におけるドア201を閉めようとする力をF1とする。
F2:r2の部分にワイヤー161があるときのドアノブ202の回転力
回転軸101(出力軸170)の回転中心から巻取面までの距離r2(<r1)の第2セクション422にワイヤー161が位置するときのドアノブ202におけるドア201を閉めようとする力をF2とする。
ドア201が閉止する条件を力のモーメントで考えるとF1×L=r1×FB×H及びF2×L=r2×FB×Hである。従って、ドア201を各セクションで閉止する条件は以下の通りとなる。
F1=r1×FB×H/L
F2=r2×FB×H/L
増速機45A及び増速機45Bによるドアノブ202での保持力(抵抗力)が、ワイヤー161からワイヤー巻ボビン401を介して伝達されたドアノブ202の回転力よりも強ければドア201は閉止することになる。従って、F2<FA<F1の条件を満たすように、r1、r2を設定するとすることにより、第2セクション422でドア201を閉止させることができる。この条件を満たすことで、r2部分(第2セクション422)ではバネユニット160がワイヤー161を巻き取る力が不足し、ドア201の回転が停止することになる。本実施形態のr1及びr2は、この条件を満たすように設定されている。
r1及びr2を上述の条件に設定することにより、ワイヤー161が第1セクション421又は第3セクション423に位置する間はドア201が閉じる方向に動き、第2セクション422に位置する間はドア201が閉止する。
図14Bは、バネユニット160側に繰り出されるワイヤー161が第1セクション421に位置するときのワイヤー巻ボビン401の模式断面図である。図14Bに示す第1セクション421にワイヤー161がある状態では、FA<F1となってドア201が閉じられる方向に移動する。例えば、使用者がドアノブ202に手を掛けた状態でドア201の位置を保持していても、ドアノブ202から手を放すとドア201が閉じる方向に移動する。
図14Cは、バネユニット160側に繰り出されるワイヤー161が第2セクション422に位置するときのワイヤー巻ボビン401の模式断面図である。図14Cに示す位置までワイヤー161が繰り出されるとF2<FAとなり、ドア201をその位置に保持する力がバネユニット160によってドアノブ202に作用する力を上回ってドア201の移動が停止する。即ち、バネユニット160の巻取力の不足により増速機45のギヤロスに起因する抵抗力によってドア201の位置が停止したままになる。
図14Dは、バネユニット160側に繰り出されるワイヤー161が第3セクション423に位置するときのワイヤー巻ボビン401の模式断面図である。図14Dに示す位置までワイヤー161が繰り出されると再びFA<F1となり、ドア201が閉じる方向に移動する。
図14Aから図14Dを参照して説明したように、ドア201を停止させる力はワイヤー巻ボビン401の位置によって変化する。即ち、第1セクション421の軸方向の長さd1、第2セクション422の軸方向の長さd2、第3セクション423の軸方向の長さd3が、ドア201の開閉範囲に対応している。例えば、ドア201の開閉可能角度が180度の場合において、閉鎖位置からドア201を90度開いた状態でドア201が停止するようにしたい場合は、第2セクション422がワイヤー巻ボビン401の中央に位置するように各軸方向の長さを調整すればよい。
このように、第1セクション421の軸方向の長さd1、第2セクション422の軸方向の長さd2、第3セクション423の軸方向の長さd3をドア201の開閉範囲に応じて設定することで、所定範囲以外ではドア201が自動的に閉鎖位置に戻り、所定範囲内ではドア201が停止するドアクローザ機能が実現できる。
なお、ワイヤー巻ボビン401の各セクションの配置は、ドア201を停止させたい位置やドア201を閉鎖位置に戻す力を働かせたい範囲に応じて適宜変更することができる。例えば、第1セクション421と第2セクション422だけでワイヤー巻ボビン401を構成し、ドア201をある程度開くまではドア201が閉鎖位置に自動的に戻り、ある程度開くとドア201が停止するように構成することもできる。
以上説明した各実施形態のピポットヒンジ210(ピポットヒンジ310又はピポットヒンジ410)は、ドア201の移動に連動して回転する回転軸101と、回転軸101が接続され、回転軸101の回転速度を増速する増速機45A及び増速機45Bと、増速機45Bの出力軸170が接続され、出力軸170の回転により発電する発電機246と、磁界に応じて粘度が変化する性質の磁気粘性流体64により、出力軸170を介して回転軸101の回転に対して粘度に応じた抵抗を付与する抗力部260と、発電機246で発電された電流が流れることにより、磁気粘性流体64に磁界を作用させる抗力用コイル70と、を備え、発電機246の出力電圧が所定電圧を超えると抗力部260に電流が流されるように構成される。
第5実施形態から第7実施形態で説明した構成においても、風に煽られてドア201が閉まるような急激な動きに対しては抗力部260により強いブレーキを掛け、ドア201の動きが緩やかな場合にはブレーキを掛けない構成を複雑な配線を取り回すことなく実現することができる。
また、第5実施形態から第7実施形態のピポットヒンジ210,310,410は、増速機45Bの出力軸150,170に直接的に又は増速機45Aの出力軸47と一体的に回転する回転軸48を介して間接的に、ドア201を閉める方向に力を付勢する付勢機構110,バネユニット160を更に備える。
これにより、回転軸101の回転速度を増速する増速機45を利用してドア201を閉めるために必要な付勢力を小さくすることができる。
従来はドア201の外側に配置されていたようなドアクローザを省略することもでき、装置構成を単純化することができる。
また、第5実施形態から第7実施形態の構成では、外側から見えないピポットヒンジ210,310,410の内部にドア201の移動速度を調整する移動速度調整装置を実現する構成が設けられるので、デザイン上のノイズがない美観に優れた建具を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
上記実施形態では、所定電圧が予め設定される例を説明したが、所定電圧を設置後に変更できるように構成することもできる。例えば、調整回路の電気抵抗を変更する操作部を更に備え、該操作部を操作して抵抗を変更することで所定電圧を調整する構成とすることもできる。これにより、子供や大人等、使用者の属性に応じて抗力部による抵抗が付与される回転速度を設定することができる。
上記実施形態では、増速機45、発電機246、抗力部60等の移動速度調整装置に関わる構成がドア201側に内蔵される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、枠体や建物側に増速機45、発電機246、抗力部60等の移動速度調整装置に関わる構成を建物側に配置することもできる。例えば、地面に埋設したり、建物に固定される枠体の上部に配置したり、移動速度調整装置に関わる構成の配置場所は、事情に応じて適宜変更することができる。
また、発電機246が発電機能及び調整機能を備えるものとして説明した第7実施形態において、発電機246が調整機能を有していない構成を考えることもできる。この構成では、出力電圧が所定電圧を超えると抗力部に電流を流す調整は行われないものの、ドアの回転角度(位置)に応じてドアを所定方向(閉める方向)に付勢する力を変化させる構成について実現できる。即ち、以下の技術思想を把握することができる。ドア(戸体)201の移動を制御するピポットヒンジ(ダンパ)410は、ドア201の移動に連動して回転する回転軸101と、回転軸101の回転速度を増速して出力軸170から出力する増速機45Bと、増速機45Bの出力軸170に対して空回りすることなく軸方向で移動可能に取り付けられ、ワイヤー(線状部材)161が巻き付けられるワイヤー巻ボビン401と、所定方向にドア201が移動するように、ワイヤー161を引っ張るバネユニット160と、を備え、ワイヤー巻ボビン401におけるワイヤー161を巻き付ける部分の径が異なることにより、ドア201の所定方向への移動と停止をコントロールするように構成される。