JP2018052935A - ペプチド界面活性剤を使用した分子の持続送達およびその使用 - Google Patents

ペプチド界面活性剤を使用した分子の持続送達およびその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】低分子,ペプチド及び核酸等の生物活性分子を被験体に投与するための薬物送達組成物及びその調製方法の提供。【解決手段】複数の特定の配列番号を有する群より選択される界面活性剤ペプチドを含有する自己組織化ナノ構造中に封入された生物活性分子を含む薬物送達組成物及び前記組成物の調製方法。前記生物活性分子は、被験者の胃腸管に、または血液脳関門を横切って送達される。【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は、2012年5月31に出願された米国仮特許出願第61/653,782号の恩典を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
分子自己組織化は、ナノ構造の作製および先端材料の開発につながっている[l]。自己組織化特性を有する脂質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、および多糖類を含む、小さな、生物学的に触発された生体分子の分子設計および合成は、生体材料の分野を著しく進歩させた[2]。自己組織化特性を有する短ペプチドが、1993年に発見され、それ以来様々なアミノ酸配列が合成されている。配列によって、自己組織化ペプチドは様々な特性を有し、生物医学において、再生医学および薬物送達系のための許容的生物学的足場としての適用に対し試験されてきた[3,4,5]。両親媒性ペプチドの自己組織化は、脂質および他の化学界面活性剤に類似する安定なナノチューブ、ベシクルまたはミセルの形成につながる[6]。
得られたペプチドアセンブリ超微細構造、例えば、ナノチューブ、ナノドーナツ、ナノバルブ、ナノベシクル、またはミセルの型およびサイズは、ペプチド濃度、ペプチドの臨界ミセル濃度(CMC)、アミノ酸配列、幾何学的制約(アミノ酸の側鎖の長さにより規定される)、自己組織化を誘導するために使用される電解質の型および電荷、媒質のイオン強度およびpHに依存する[6,7,8,9]。これらの因子はペプチド整列、充填密度、モノマ間の分子間結合の強度に影響を与え、よって、異なる形態および特性の階層的超分子構造が得られる[6,7]。両親媒性特性を有する自己組織化ペプチドの開発は、バイオテクノロジーにおいて市販の洗浄剤よりも効果的に膜タンパク質を安定化するための[10,11]、ならびにナノテクノロジーにおいて、エネルギー変換装置の構築のための[12]適用に対し新たな道を切り開いた。
本発明は、自己組織化ペプチドの追加の適用に関する。発明は、自己組織化ナノ構造および生物活性分子を含む薬物送達組成物に関し、ここで、ナノ構造は界面活性剤ペプチドを含み、生物活性分子はナノ構造に封入される。発明はまた、本明細書で記載される薬物送達組成物を投与することを含む、生物活性分子を被験体に投与する方法ならびに薬物送達組成物を調製するための方法を包含する。
発明は、自己組織化ナノ構造および生物活性分子を含む薬物送達組成物を包含し、ナノ構造は複数の界面活性剤ペプチドを含み、界面活性剤ペプチドは、下記からなる群より選択される式を有し:
a.(Φ)(+)(式(1))、
b.(+)(Φ)(式(2))、
c.(Φ)(−)(式(3))、
d.(−)(Φ)(式(4))、
e.(−)(Φ)(−)(式(5))、
f.(+)(Φ)(+)(式(6))、
g.(Φ)(−)(Φ)(式(7))、
h.(Φ)(+)(Φ)(式(8))、
i.(+)(Φ)(−)(式(9))および
j.(−)(Φ)(+)(式(10))、
式中:
(Φ)は、独立して、各事象に対し、疎水性側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;好ましくはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンまたはプロリンであり;
(+)は、独立して、各事象に対し、生理的pHでカチオン性である側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;好ましくはヒスチジン、リジンまたはアルギニンであり;
(−)は、独立して、各事象に対し、生理的pHでアニオン性である側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;好ましくはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
末端アミノ酸は任意で置換され;
各事象に対するmは、5以上の整数を表し;ならびに
各事象に対するnは、1以上の整数を表し;
さらに、生物活性剤はナノ構造内に封入される。
発明はまた、前記被験体に発明の組成物を投与することを含む、生物活性分子を被験体に投与する方法を包含する。ある一定の実施形態では、生物活性分子は放出制御プロファイルを有する。
発明はまた、薬物送達組成物を調製するための方法を含む。
発明の前記および他の目的、特徴および利点は、添付の図面(同様の参照文字は、異なる図面を通して同じ部分を示す)において示される、発明の好ましい実施形態の下記のより詳細な説明から明らかになるであろう。図面は必ずしもない縮尺通りではなく、代わりに、発明の原理を説明するのに重点が置かれている。
両親媒性、界面活性剤様、自己組織化ペプチドの分子モデリングを示す。ペプチド長は生物リン脂質に類似する。ペプチドの疎水性ドメインは、6個のアラニンから構成される。図解はVMDにより作成した。 両親媒性自己組織化ペプチドのHPLCクロマトグラムおよびMSスペクトルを示す。クロマトグラフィーピークのMS/MSスペクトル分析は、各ペプチド試料の分離された断片は、約92%のペプチド純度に対応することを示す。 マイカ上での両親媒性、自己組織化ペプチドナノベシクルのAFMトポグラフィーを示す。(挿入図)ペプチドナノベシクルのサイズ分布ヒストグラムは、AFM画像解析から作成した。 CONTINアルゴリズムにより得られた、PBS pH7.4中、25℃での両親媒性ペプチドナノベシクルの実験時間相関関数の逆ラプラス変換分析を示す。白丸:実験データ;実線:逆ラプラス変換により得られた最良適合曲線;黒四角:流体力学半径の体積分布。流体力学直径の平均の大きさを各分布に対して示す。 電解質濃度に伴う自己組織化ペプチドベシクルのζ−電位の変動を示す。値は、定常レベルで、pH7.4にて実施された3回の測定の平均である。 PBS pH7.4中、20℃でのインキュベーションで、ペプチドナノベシクルを通る、封入されたカルボキシフルオセイン、CFの放出動力学を示す。 (上パネル)PBS pH7.4中、20℃での両親媒性ペプチドナノベシクルとの相互作用でのナイルレッド発光スペクトルを示す。(下パネル)PBS pH7.4中、20℃でのインキュベーションでの、ペプチドナノベシクルを通る、封入されたナイルレッドの放出動力学を示す。 3、24、および48h培養後の、Caco−2細胞生存率に対する自己組織化両親媒性ペプチドの効果を示す。定量分析は、標準偏差を示すエラーバーと共に平均(n=5)を表す。第2日に測定した4つの試料間の生存細胞のパーセンテージは著しく異なる(P<0.01)。 (A)0.2mg/mLおよび(B)1.0mg/mLのペプチドでの、脂質様ペプチドの、FITC−デキストランのCaco−2細胞単層の頂端から側底側への透過に対する効果を示す。(C)0.2mglmLおよび(D)1.0mg/mLの脂質様ペプチドの存在下での、Caco−2細胞腸上皮の経上皮抵抗を示す。データは平均±S.Dとして示す(n=4、*p<0.05、FITC−デキストラン溶液と比較)。矢印はペプチドが成長培地から除去された時間点を示し、単層回収プロセスを示す。 自己組織化ペプチド(A)CMC(0.02mg/mL)未満および(B)CMC(0.2mg/mL)超の存在下での、180分(n=3)後の、トランスウェルの頂端側におけるローダミン−123の総輸送(分泌輸送)を示す。 24hrのCaco−2細胞培養処理を示す。拡大率400x。
発明の好ましい実施形態の説明は以下の通りである。
本明細書では、「1つの(aまたはan)」は、別に特定されない限り、1つ以上を意味すると解釈される。
本発明は、特定の界面活性剤ペプチドから構成される自己組織化ナノベシクルは、生物活性分子、例えば親水性および疎水性生物活性分子を封入し、放出するために使用することができるという発見に基づく。
両親媒性界面活性剤様自己組織化ペプチドは機能材料であり、これらは、条件によって、様々なナノ構造、例えばナノベシクル、ナノチューブ、およびナノバルブを形成する。アスパラギン酸またはリジンから構成される親水性頭部および6個のアラニン残基の疎水性ドメインを有する両親媒性ペプチドは生物脂質のものに類似する長さを有するように設計された。あるクラスの界面活性剤様、自己組織化ペプチド、すなわち、ac−AK−CONH(配列番号:1)、KA−CONH(配列番号:2)、およびac−AD−COOH(配列番号:3)は、生体膜の脂質分子を模倣し、親水性頭部基、疎水性尾部、および2−3nmの長さを有するように設計された。別のペプチド、DA−COOH(配列番号:4)は、6個のアラニンの疎水性ドメインにより分離された荷電頭部および尾部を有するように設計された。これらのペプチドは、電解質溶液に溶解させると、自己組織化し、ペプチドの疎水性ドメインと極性環境の間の相互作用を最小に抑える。生理的条件では、ac−AK−CONH(配列番号:1)、KA−CONH(配列番号:2)、ac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)両親媒性ペプチドは自己組織化し、ナノベシクルを形成する。負電荷を持つAc−AD−COOH(配列番号:1)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドの自己会合の場合、AFM顕微鏡検査により、ネックレス様ペプチドベシクル超アセンブリが明らかになった。ベシクルの構造およびサイズは、アミノ酸配列、頭部型、および配列上の電荷分布に依存する。下記でより詳細に記載される放出研究は、ペプチドナノベシクル製剤が、薬物送達適用のための、薬学的に活性な親水性および疎水性化合物の封入および放出のために使用することができることを示す。下記で記載されるように、ペプチドナノベシクル系は生体適合性であり、上皮タイトジャンクションを制御する細胞膜P−糖タンパク質系との相互作用を含むメカニズムにより、薬物送達を増強する。
短い両親媒性自己組織化ペプチドはペプチド鎖上のアミノ酸の数、型および順序の改変、ならびに細胞透過を促進する活性ペプチド配列および蛍光染料またはビオチンなどの反応性化学基の組み込みを可能にする分子設計を受けやすい。生成および広範囲な改変の容易さにより、調節可能な特性を有するテーラーメイドの配列の合成が可能になる。これらの両親媒性ペプチドモノマが分子自己組織化を受ける場合、形成された超構造成分(例えば、ナノチューブまたはベシクル)は、さらに改変および調整することができ、ペプチドベシクルが治療化合物を封入し、負荷物を徐々に放出する薬物送達適用において機能性が付与される。
本明細書では、「アミノ酸」という用語は、天然または非天然起源のアミノ酸を包含する。アミノ酸はそれらのよく知られた1文字指定により表される:アラニンに対してA、システインに対してC、アスパラギン酸に対してD、グルタミン酸に対してE、フェニルアラニンに対してF、グリシンに対してG、ヒスチジンに対してH、イソロイシンに対してI、リジンに対してK、ロイシンに対してL、メチオニンに対してM、アスパラギンに対してN、プロリンに対してP、グルタミンに対してQ、アルギニンに対してR、セリンに対してS、スレオニンに対してT、バリンに対してV、トリプトファンに対してWおよびチロシンに対してY。
「生理的pH」という用語は約7のpHである。いくつかの態様では、生理的pHは約6.6〜約7.8のpHである。さらに他の例では、生理的pHは約6.8〜約7.6のpHである。さらに他の例では、生理的pHは、約7.0〜約7.4のpHである。
「自己組織化」という用語は、環境中の条件に応じて、例えば、水性媒質に添加した場合および/または生理的pHで水性媒質に添加した場合に、原子、分子またはペプチドが規則形状の構造または凝集物を形成するプロセスである。
「臨界凝集濃度」または「臨界ミセル濃度」という用語は、これを超えると界面活性剤ペプチドが規則形状の構造、例えばミセル、ナノチューブまたはナノベシクルに凝集し、または形成する濃度である。
界面活性剤ペプチドは、親水性頭部基および親油性尾部基を有する短ペプチドである。界面活性剤ペプチドは、例えば、米国特許第7,179,784号、米国特許第7,671,258号、米国特許出願公開2003/0176335A1号および米国特許出願公開第2006/0211615A1号(それらの教示は参照により本明細書に組み込まれる)において記載されている。これらの特許公報で記載されるクラスのペプチドは自然に自己組織化し、安定なナノ構造(nanostuctures)を形成する能力を有するように設計され、それが示された。これらの短ペプチド(7〜8個のアミノ酸)は、荷電アミノ酸から構成される規定された親水性頭部基および疎水性アミノ酸、例えばアラニン、バリン、イソロイシンまたはロイシンから作られた親油性尾部から構成される界面活性剤分子において観察されるものに類似する構造を有する。その結果、水溶液中に分散されると、疎水性尾部を水と接触しないように単離するために、両親媒性ペプチドは自己組織化する傾向がある。この自己組織化のための一般的な特徴は、極性界面の形成であり、これは炭化水素および水領域を分離する。いくつかの実施形態では、界面活性剤ペプチドは、10個以下のアミノ酸の配列を有する。親水性頭部基は極性および/または荷電(生理的pHで正または負電荷のいずれかを持つ)アミノ酸から構成される。疎水性尾部基は、疎水性アミノ酸、例えば非極性および/または無電荷アミノ酸から構成される。1つの実施形態では、親水性アミノ酸は、生理的pHで正電荷を持つ。別の実施形態では、親水性アミノ酸は、生理的pHで負電荷を持つ。水、水溶液、またはイオン性溶液に溶解されると、ペプチド界面活性剤は自己組織化を受け、ナノ構造、例えばミセル、ナノベシクルまたはナノチューブを形成する。いくつかの実施形態では、発明の組成物のペプチドはナノベシクルを形成する。
ある一定の態様では、本発明により使用される界面活性剤ペプチドは下記からなる群より選択される式を有するペプチドである:
a.(Φ)(+)(式(1))、
b.(+)(Φ)(式(2))、
c.(Φ)(−)(式(3))、
d.(−)(Φ)(式(4))、
e.(−)(Φ)(−)(式(5))、
f.(+)(Φ)(+)(式(6))、
g.(Φ)(−)(Φ)(式(7))、
h.(Φ)(+)(Φ)(式(8))、
i.(+)(Φ)(−)(式(9))、
j.(−)(Φ)(+)(式(10))、
式中:
ペプチドのナノ構造への自己組織化に好適で、ナノ構造を形成させる条件下において
(Φ)は、独立して、各事象に対し、疎水性側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;好ましくはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンまたはプロリンであり;
(+)は、独立して、各事象に対し、生理的pHでカチオン性である側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;好ましくはヒスチジン、リジンまたはアルギニンであり;
(−)は、独立して、各事象に対し、生理的pHでアニオン性である側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;好ましくはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
末端アミノ酸は任意で置換され;
各事象に対するmは、5以上の整数を表し;ならびに
各事象に対するnは、1以上の整数を表す。
式(1)〜(10)の各々を、左から右に読むと、N末端からC末端までのアミノ酸配列に対応する。
さらなる実施形態では、界面活性剤ペプチドのN末端は、ブロックされ、例えば、アシル化またはアセチル化される。追加の実施形態では、界面活性剤ペプチドのC末端はブロックされ、例えば、エステル化またはアミド化される。1つの態様では、式1、3、4、5、7、8、または10を有するペプチドは、N末端アミノ酸で、アシル(例えばアセチルまたはブチルオキシカルボニル基)または他のブロッキング基により置換することができ、末端電荷が除去される。別の態様では、式1、2、4、6、7、8、または10を有するペプチドは、C末端アミノ酸で、アミノまたはアルコール基により置換することができ、アミドまたはエステルが形成され、あるいは他のブロッキング基で置換することができ、末端電荷が除去される。1つまたは両方の末端および任意の側鎖残基は、任意でブロックする、またはさらに置換することができ、電荷を改変する(除去または付加する)、および/または界面活性剤の疎水性および/または親水性を増加または減少させることができる。界面活性剤における電荷、疎水性または自己組織化する能力を制御するために使用することができるブロッキング基としては、それぞれ、カルボン酸のエステルおよびアミド、アルコールのシリルエーテル、ならびにアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが挙げられる。保護基化学の分野は概説されており(Greene, T. W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: N.Y., 1991)、これは参照により組み込まれる。
ある一定の実施形態では、界面活性剤ペプチドは、式(1)または式(3)を有する。追加の態様では、界面活性剤ペプチドは式(1)または(3)を有し、ここで、(Φ)は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびプロリンからなる群より選択され;ある一定の実施形態では、(Φ)はアラニンである。さらに追加の実施形態では、ペプチドは式(1)を有し、ここで、(+)は、ヒスチジン、リジンまたはアルギニンからなる群より選択され;さらに追加の実施形態では、(+)はリジンである。さらに別の実施形態では、ペプチドは式(3)を有し、ここで、(−)はアスパラギン酸またはグルタミン酸からなる群より選択され;さらに追加の実施形態では、(−)はアスパラギン酸である。いくつかの態様では、界面活性剤ペプチドのN末端アミノ酸のカルボン酸は、アセチル基で置換される。ある一定の追加の実施形態では、界面活性剤ペプチドのC末端アミノ酸のアミノ基は、アミノ基で置換される。さらに追加の実施形態では、ペプチドは式(1)または(3)を有し、ここで、nは1であり、および/またはmは5、6または7である。さらに追加の態様では、ペプチドは式(1)または(3)を有し、ここで、nは1であり、およびmは6である。さらに追加の態様では、ペプチドは式(1)または(3)を有し、ここで、nは1であり、およびmは6であり、および(Φ)はアラニンである。
いくつかの実施形態では、界面活性剤ペプチドは下記からなる群より選択される:ac−AAAAAAK−CONH(配列番号:1)、KAAAAAA−CONH(配列番号:2)、ac−AAAAAAD−COOH(配列番号:3)およびDAAAAAA−COOH(配列番号:4)。さらに追加の実施形態では、界面活性剤ペプチドはac−AAAAAAK−CONH(配列番号:1)またはac−AAAAAAD−COOH(配列番号:3)である。ac−AK−CONH(配列番号:1)、KA−CONH(配列番号:2)およびac−AD−COOH(配列番号:3)ペプチドは、6個のアラニン残基の疎水性尾部および荷電側鎖を有するアミノ酸である親水性頭部を有する。頭部および尾部の両方に極性基を有する自己組織化両親媒性ペプチドはDA−COOH(配列番号:4)である。他の例示的な界面活性剤ペプチドは、例えば、米国特許第7,179,784号および米国特許出願公開第2009069547号(その各々の内容はこれによって参照により組み込まれる)において記載されている。
本明細書で記載される界面活性ペプチドは、水溶液中で隔離し、自己組織化し、脂質に基づく系に類似するようにナノ構造を形成する。例えば、下記で示されるように、界面活性剤ペプチドを150mMの電解質を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液に添加すると、ペプチドモノマの自己組織化のために、濁った懸濁液が形成する。ペプチドモノマは自己組織化し、ナノ構造、例えば、ナノベシクルとなる。ナノベシクルは、自己組織化し、ベシクルを形成するペプチドの疎水性尾部から構成される二重層を含む。生物活性分子は封入され、あるいは言い換えれば、ナノ構造内に捕捉または保持される。生物活性分子は、構造内にいくらかの期間の間保持される限り、ナノ構造内に封入される。下記でより詳細に記載されるように、生物活性分子は被験体に投与した後、ナノ構造から放出させることができる。放出動力学は多くの因子に依存し、それらは以下でより詳細に記載される。
ある一定の実施形態では、自己組織化ナノ構造はナノベシクルである。下記で記載されるように、ナノベシクルの直径は、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)および/または動的光散乱(DLS)を使用して決定することができる。いくつかの例では、ナノベシクルは、約30〜約800nm、約60nm〜約500nm、または約80nm〜約300nmの平均直径を有する。さらに他の例では、ナノベシクルは、動的光散乱(DLS)により測定すると、約80nm〜約300nmの平均直径を有する。ある一定の他の例では、ナノベシクルは、DLSにより測定すると、約90nm〜約200nmの平均直径を有する。
さらに追加の態様では、組成物はナノ構造を含み、ここで、ナノ構造は複数の界面活性剤ペプチドを含み、ここで、ペプチドモノマは、ac−AAAAAAK−CONH(配列番号:1)、KAAAAAA(KA−CONH2)、ac−AAAAAAD−COOH(配列番号:3)およびDAAAAAA−COOH(配列番号:4)からなる群より選択され、ナノ構造はナノベシクルである。表2は、AFMまたはDLSを使用して測定した、配列番号:1〜4を有するペプチドから構成されるナノベシクルに対するベシクル直径を示す。ナノベシクルは、例えば、下記表2で記載される範囲内の平均直径を有することができる。ある一定の実施形態では、ペプチドはac−AAAAAAK−CONH(配列番号:1)のアミノ酸配列を有し、ナノベシクルは、約100nm〜135nmの平均直径を有し;いくつかの実施形態では、平均直径はDLSにより測定される。さらに追加の実施形態では、ペプチドはアミノ酸配列ac−AAAAAAK−COOH(配列番号:3)を有し、ナノベシクルは、約80nm〜約120nmの平均直径を有し;いくつかの実施形態では、平均直径は、DLSにより測定される。
さらに追加の実施形態では、生物活性分子は疎水性である。さらなる実施形態では、生物活性分子は親水性である。
本発明の組成物はさらに、追加の分子、例えば、限定はされないが、リポソームを含むことができる。ペプチドはまた、1つ以上の他の分子、例えば、限定はされないが、糖および/または生物活性モチーフ、そのような細胞シグナル伝達および/または細胞透過性アミノ酸を組み込むように改変させることができる。
上記のように、発明はまた、生物活性分子を被験体に投与する方法であって、前記被験体に発明の組成物を投与することを含む方法を包含する。いくつかの実施形態では、生物活性分子は、前記被験体の胃腸管に、または血液脳関門を横切って送達される。ある一定の態様では、生物活性分子は胃腸管に送達され、界面活性剤ペプチドは負電荷を持つ。いくつかの実施形態では、生物活性分子は、上皮単層を横切って送達される。さらに追加の実施形態では、生物活性分子は、薬物送達組成物および/またはナノ構造のP−糖タンパク質との相互作用により、上皮単層を横切って送達される。
本明細書で記載されるナノ構造は、生物活性剤を被験体に投与するために使用することができる。「被験体」という用語は動物およびヒトを含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造は生物活性剤をヒト被験体に投与するために使用される。
「放出制御プロファイル」という用語は、本明細書では、生物活性分子の本明細書で記載される組成物からの放出の特性を示し、得られた製剤の特定の適用により設計されるであろう。放出制御は遅延、持続または延長放出、などを包含する。本明細書で記載されるナノ構造の使用により、被験体に投与した後、生物活性分子の放出制御が可能になる。所望の放出プロファイルの選択は、当業者に知られている留意事項、例えば、治療される疾患または適応症、治療レジメン、治療される患者、投与経路および/または投与部位、などに依存する。下記でより詳細に記載されるように、生物活性分子の放出動力学は、例えば、ナノ構造(例えば、ナノベシクル)のサイズ、それらの負荷容量を変動させることにより、および/または自己組織化し、ナノ構造を形成する界面活性剤ペプチドモノマの電荷を変化させることにより制御することができる。本明細書で記載される放出制御製剤は、注射可能な調製物、インプラント、経口調製物(例えば、粉末、顆粒、カプセル、錠剤、シロップ、エマルジョン、懸濁液)、および/または局所製剤とすることができる。
例示的な生物活性分子としては、例えば、小分子、ペプチド、および核酸が挙げられる。「ペプチド」という用語は、タンパク質(例えば、サイトカイン、ホルモンおよび凝固因子を含む)および抗体を包含することが理解されるであろう。本発明により投与することができる核酸としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:組換え核酸;ゲノムDNA、cDNA、およびRNA。
本発明の製剤としては、経口、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、直腸、腟内および/または非経口投与のために好適なものが挙げられる。製剤は、便宜上、単位剤形で提供することができ、薬学の技術分野でよく知られた任意の方法により調製することができる。活性成分または生物活性分子が単一剤形を生成する量は、治療される宿主、特定の投与方法によって変動するであろう。
これらの製剤または組成物を調製する方法は、生物活性分子を本明細書で記載される界面活性ペプチドと水溶液中、自己組織化に好適な条件下で会合させる工程を含むことができ、任意で、1つ以上の付属の材料成分を含むことができる。自己組織化を可能にする条件は文献に記載されており、下記実施例で詳細に記載されている。そのような条件は、例えば、米国特許第7,179,784号、米国特許第7,671,258号、米国特許出願公開2003/0176335A1号および米国特許出願公開第2006/0211615A1号(それらの教示は参照により本明細書に組み込まれる)において記載されている。そのような条件は、例えば、自己組織化に好適なpH(例えば、生理的pHまたはその付近)および/または自己組織化ペプチドの好適な濃度(例えば、CMC以上)を含む。
発明を下記実施例により説明するが、これらは、決して、制限することを意味しない。
例証
材料および方法
界面活性剤様、自己組織化ペプチド.両親媒性ペプチド、アセチル−AAAAAAK−CONH(ac−AK−CONH;配列番号:1)、KAAAAAA−CONH(KA−CONH;配列番号:2)、アセチル−AAAAAAD−COOH(ac−AD−COOH;配列番号:3)、およびDAAAAAA−COOH(DA−COOH;配列番号:4)を購入した(SynBioSci、Livermore、CA)。ペプチドの純度は、エレクトロスプレーイオン化−四重極型−飛行時間型(ESI−Q−TOF)質量分析により決定すると、約92%であった。ペプチドは粉末で受け取り、リン酸緩衝液生理食塩水、(PBS、100mM KHPO、10mM NaHPO、137mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4)に分散させ、10min間、浴中超音波処理器を用いて超音波処理し、可溶化および分散を促進させた。ペプチド溶液をその後、15min間平衡化させ、モノマを自己会合させ、アミコンウルトラ3kDaMWCOに通して濾過して非会合ペプチドモノマおよび他の合成残留分子を除去し、再懸濁させ、0.4μmフィルタに通して濾過し大きなペプチドベシクル凝集物を除去し、室温でさらに研究の間貯蔵した。
質量分析
溶液中のペプチドを、エレクトロスプレーイオン化−四重極型−飛行時間型(ESI−Q−TOF)質量分析により特徴付けした。ペプチド断片の分離を、Zorbax 300 Extend−C18カラム(Agilent Technologies, Palo Alto, CA)、およびAgilent 6510 Q−TOF(噴霧圧力:3.8kV、ガス温度:275℃、ネブライザーガス:10psi、および乾燥ガス:4L/min)に連結させたAgilent1200シリーズクロマトグラフィーシステムを使用して実施した。走査モードにおける陽イオンデータ依存取得範囲は100−1799m/zであり、MS/MSモードでは、100−2000m/zであった。MS/MS取得の電荷優先度は+2(電荷)、+3、>+3、未知、+1であった。データを収集し、Agilent MassHunterソフトウェア(Agilent, Technologies, Palo Alto, CA)を使用して解析した。ペプチド同定、割当、および可能なアミノ酸化学修飾を、MS/MSスペクトルの検査により、ProteinProspectorソフトウェア(http://prospector.ucsf.edu/)を使用することにより実施した。
両親媒性ペプチドの臨界ミセル濃度(CMC).両親媒性ペプチドのCMCを動的光散乱(DLS)実験により決定した(PDDLS/バッチ装置, Precision Detectors, Franklin, MA)。異なるペプチド濃度の溶液をPBS中で調製し、0.4μm細孔サイズフィルタに通して濾過し、その後、測定した。散乱光を90°で検出し、アバランシェフォトダイオードに到達した光子の数を記録した。緩衝液の溶媒粘度および屈折率を、それぞれ、20℃で、0.894cPおよび1.33として得た。データを3つ組で取得し、Precision Deconvolveプログラムで処理した。
粒子サイズ決定.DLSにより粒子サイズを測定する前に、PBS中のペプチドベシクル製剤を0.4μmフィルタに通して濾過し、ベシクル凝集物を除去した。正規化強度−時間相関関数g(2)(q,t)=(I(q,t)I(q,0))/(I(q,0))を、広い時間スケール(10−7s〜10s)にわたり、280のチャネルを分離させたフルマルチプルタウデジタル相関器(full multiple tau digital correlator)(ALV−5000/FAST)を使用して、準対数的に測定した。散乱波数ベクトルq=4πn-sin(θ/2)/λは、散乱角θ(ここでは、我々はθ=90°を使用した)、レーザー波長λ、および媒質の屈折率nに依存する。我々は、5mW未満の電力で動作するダイオード励起固体レーザーからの671nmラインを使用した。散乱光を単一モード光ファイバ(コヒーレンス因子約0.95)により収集し、アバランシェ光検出器に、その後、分析のためにデジタル相関器に伝達させた。累積時間は、分散物からの強い散乱強度のために、ほぼ数秒であった。結果の再現性を確認するために、いくつかの時間相関関数を各ペプチドベシクル系に対して記録した。希薄懸濁液では、正規化電場時間自己相関関数g(1)(q,t)=(E(q,t)E(q,0))/(E(q,0))を、実験的に記録した強度自己相関関数g(2)(q,t)に、Siegert関係[13]g(2)(q,t)=B[1+f|g(1)(q,t)|により関連させ、ここで、Bは、g(2)(q、t)の長い遅延時間挙動を記し、fは、希薄ポリスチレン/トルエン溶液の測定から実験的に得られた機器因子を表す。我々の場合、光ファイバ収集により、f約0.95が得られる。電場時間相関関数g(1)(t)(簡単にするために、我々はq−依存を断念する)を、独立した指数関数寄与の加重和として分析した、すなわち、g(1)(t)=∫L(τ)exp(−t/τ)dτ=∫L(lnτ)exp(−t/τ)dlnτ。緩和時間の分布L(lnr)=τL(τ)がg<'>(q,t)の逆ラプラス変換により、CONTINアルゴリズムを使用して得られた[14]。
懸濁させた粒子の見かけの流体力学半径を、Stokes−Einsteinの関係R=kT/6πηDを用いて決定し、ここで、kはBoltzmann定数であり、ηは溶媒の粘度であり、およびDは粒子の拡散係数である。後者はD=1/tqにより決定され、ここで、τはg(1)(q,t)の緩和時間である。
微小電気泳動移動度測定.ペプチドナノベシクル製剤のζ−電位を決定するために、我々は、検出器としてのアバランシェフォトダイオードおよび633nmで動作させる4mWHe−Neレーザーが取り付けられたNano ZetaSizer(Malvern Instrument、UK)を使用した。データをレーザーDoppler速度測定および位相解析光散乱(PALS)により取得した。自己組織化ペプチドをPBS中に、20mg/mLの濃度で分散させ(これはそれらのCMCを超える)、30min、25℃で平衡化させ、その後検出した。微小電気泳動データをHenry−Smoluchowski式を使用して取得した。
原子間力顕微鏡(AFM).AFM実験では、3μLをペプチドベシクル分散物(0.2μmフィルタに通して濾過した、20mg/mLのペプチドを含むPBS)から取り出し、新たに劈開させたマイカ表面(G250−2マイカシート2.5×2.5×0.015cm;Agar Scientific Ltd, Essex, UK)上に堆積させた。マイカの露出面は滑らかである(rmsは約0.4nmである)。イメージング前に、各試料をマイカ上に1min置き、200μLの水(Millipore)ですすぎ、窒素ガスストリーム中で乾燥させた。画像は、タッピングモードで動作されるVeecoマルチモードナノスコープ3Dコントローラー走査プローブ顕微鏡(Digital Instruments, Santa Barbara, CA)を用いて空気中で直ちに取得された。AFMイメージング(512×512画素)を、ソフトケイ素プローブ(FESP;呼び長さlnom=225μm、幅wnom=28μm、先端半径Rnom=8nm、共振周波数υnom=75kHz、ばね定数knom=2.8Nm−1;Veeco Instruments SAS, Dourdan, France)を用いて実施した。典型的な走査パラメータは、タッピング周波数73kHz、それぞれ、積分および比例ゲイン0.2および0.4、設定点0.7−1.0V、および走査速度1.0−1.5Hzとした。ナノスコープ画像処理ソフトウェアを使用して、ペプチドナノベシクルの高さパターン、断面、およびrmsを得た。2つの異なる試料から、ランダムスポット表面サンプリング(少なくとも5領域)で画像を収集した。
ペプチドベシクルを通じた放出.ペプチドベシクルが薬物送達のために使用することができるかどうかを決定するために、我々は、親水性蛍光プローブ5,6−カルボキシフルオセイン(CF)のペプチド二重層アセンブリを通る放出動力学を測定した。ペプチド粉末をPBS中のCF溶液中に添加し、懸濁液を10min間プローブ−超音波処理し、続いて1時間平衡化させた。封入されたCFは強くクエンチしてあり、よって、放出されたCFのみが、蛍光強度シグナルに寄与する。放出されたCFを、遠心分離により、11,000rpmで25min、Microcon YM−10メンブランチューブ(10kDaカットオフ)を用いて除去した。その後、ベシクルをPBS中に再懸濁させ、1時間、20℃でインキュベートした。インキュベーション中に新たに放出されたCFを、遠心分離により、Microcon膜を通して収集し、蛍光強度を測定した。このプロセスを1時間毎に繰り返し、グラフを作成し、CFの放出動力学を、時間の関数として示した。測定は全て、Perkin−ElmerLS−50B分光光度計において、20℃で、1cmのパスの長さの石英キュベットを使用して実施した。励起波長は470nmであり、発光極大が520nmで観察された。励起および発光スリット幅を、それぞれ、5.0および2.5nmで設定した。
疎水性薬物取込み.疎水性蛍光プローブナイルレッドを、プローブ分子として使用し、ペプチドナノベシクル二重層を研究した。ナイルレッドは強い溶媒和−クロミズムを示し、発光スペクトルはその局所的微小環境によって変動する。「薄膜」方法を分散物の調製のために使用した。簡単に言うと、0.2mgの両親媒性ペプチドを、エタノールに溶解し、その後、有機溶媒を真空下、ロータリー・エバポレーターにおいて除去した。それから、生成した薄膜を、3.14μMナイルレッドを含む1mLのPBS、pH7.4で再水和させた。分析前に、分散物を30分、浴中超音波処理した。全てのスペクトルを室温で、5nmに設定した励起および発光スリット幅を用いて記録した(RF−5301 PC Shimatzu分光光度計)。励起波長は546nmであり、発光スペクトルを550〜700nmで記録した。
細胞培養.Caco−2細胞(40継代)を、37℃で、組織培養フラスコ内にて、10%v/vFBS(ウシ胎仔血清)1%非必須アミノ酸および100μg/mLペニシリンおよびストレプトマイシンが補充されたダルベッコ変法基本培地(DMEM)を用いて、5%v/vCOを含む加湿雰囲気中で増殖させた。培地を2−3日毎に、細胞が80%コンフルエンスに到達するまで交換し、その後、トリプシン処理により継代させた。
細胞生存率MTTアッセイ.自己組織化ペプチドの細胞生存率および細胞増殖に対する効果をMTT比色分析アッセイ(Sigma)を使用して研究した。Caco−2細胞を96−ウェルプレートのウェルで、成長培地を使用して、4×10細胞/cmの密度が達成されるまで培養した。その後、我々は成長培地を0.2または10mg/mLの自己組織化ペプチドを含む新たな成長培地と交換し、細胞を3、24および48h、37℃でインキュベートした。その後、10μLのMTT試薬をウェルの各々に添加し、プレートを3h、37℃でインキュベートした。その後、100μLの洗浄剤溶液を添加し、プレートを暗闇で3h貯蔵し、ホルマザン生成物を溶解させた。光学密度を600nmで、Teknika(登録商標)ELISAプレート分光光度計において測定した。
経上皮抵抗および細胞単層透過性.Caco−2細胞を、2×10細胞/cmの密度で、24−ウェル6.5mmトランスウェルポリエステル膜インサート(0.4μm細孔サイズ、Corning Costar, Cambridge, MA)上に播種した。培地を2−3日毎に、トランスウェル膜の両側で交換した。20日後、成長培地を、10mM HBSS/HEPES緩衝液pH7.4と交換し、細胞−単層完全性および透過性の研究を実施した。
10mMのHBSS/HEPES緩衝液pH7.4中でのCaco−2単層の経上皮電気抵抗(TEER)を、30min毎に5h、Millicell−ERS(登録商標)装置(Millipore)を使用して、細胞成長培地に添加した0.2および1.0mg/mLの自己組織化ペプチドの存在下でモニタした。180minに、10mMのHBSS/HEPES緩衝液pH7.4培地を、FBSを含まないDMEMと交換し、経上皮抵抗をさらに120min測定し、細胞の処理からの回復能力を評価した。全ての測定を3つ組で実施した。
透過性アッセイでは、我々はトランスウェルの頂端側に、1mg/mLのFITC−デキストランMW4.4kDa(Sigma)を含む10mM HBSS/HEPES緩衝液pH7.4を、0.2または10mg/mLの自己組織化ペプチドと共に、またはこれなしで添加した。各時間点で、試料を、側底側から引き出し、FITC−デキストランの量を、蛍光96−ウェルプレートリーダーを使用して測定した。励起および発光波長は、それぞれ、490nmおよび530nmとした。結果を時間の関数としてのFITC−デキストランの累積経上皮輸送として表した。全ての測定を3つ組で実施し、平均±S.D.として表した。見かけの透過係数をcm/sで表される、Papp=(dQ/dt)/(AC)に従い計算し、ここで、dQは時間tでの側底側におけるFITC−デキストランの累積量であり、pmol/sで表される(dQ/dt)は透過速度であり、Cは頂端側におけるFITC−デキストランの初期濃度であり、Aは単層の面積である。増強比RはR=(Papp(ペプチド)/Papp(対照))に等しい。
分散分析(ANOVA)を実施し、計算された見かけの透過係数において観察される差が統計的に有意かどうかを決定した。有意なF値は、確率が0.05未満(P<0.05)である場合の、計算された見かけの透過係数における有意の差を示す。
ローダミン123の経上皮輸送.Caco−2単層を通る経上皮輸送を、トランスウェルの側底側に添加した0.5μMのローダミン−123を用いてモニタした。自己組織化ペプチドをトランスウェルの側底側に、ペプチドのCMC値超および未満の濃度、0.016および0.16mg/mLで添加した。対照実験を、1%SDSまたは100μMベラパミル(P−糖タンパク質阻害剤である)の添加を用いて実施した。30min毎に試料を、頂端側から引き出し、HPLCにより分析した(Waters Xterra C18 150mm×46mm、3.5μm分析カラムが取り付けられたShimadzu(登録商標)HPLC、流速0.85ml/min、検出器を500nmで設定)[15]。アセトニトリル、20mMの酢酸ナトリウム緩衝液pH4.0、および1.5mMのTBAを含む水(50/20/30v/v/v)から構成される移動相を、0.45μmフィルタに通して濾過し、超音波処理により脱ガスし、その後使用した。実験の終了前に、経上皮抵抗を測定し、細胞単層完全性が実験条件により影響されていないことを確認した。
免疫細胞化学.Caco−2細胞(40継代)を、カバーガラス上で、70−80%コンフルエンスに到達するように増殖させ、その後、0.2または10mg/mLの自己組織化ペプチドと24hr相互作用させた。未処理Caco−2細胞を対照として使用した。インキュベーション期間の終了時に、カバーガラスをPBSですすぎ、4%w/vパラホルムアルデヒドで30min、室温で固定した。細胞をその後、0.3%のトリトンX−100と含むPBSで10min処理し、続いて、ブロッキング緩衝液(5%BSA、10%NGS)を添加し、30min、室温でインキュベートした。カバーガラスをその後、PBSですすぎ、一次マウスモノクローナルE−カドヘリン抗体(1:100)(Novocastra Laboratories Ltd、UK)と共に、1h、室温でインキュベートし、再びPBSで洗浄し、二次Alexa−Auor568ヤギ抗マウス抗体(1:1000)(Invitrogen)と共に1hインキュベートし、PBSで洗浄した。DAPIを使用して細胞核を染色した。イメージングをNikon D−Eclipse蛍光顕微鏡により実施した。
結果および考察
この研究で我々が試験したペプチド配列の設計に対する理論的根拠は、生体膜中に存在するリン脂質の長さおよび構造に似ていることであった。ac−AK−CONH(配列番号:1)、KA;−CONH(配列番号:2)、およびac−AD−COOH(配列番号:3)ペプチドは、6個のアラニンから構成される疎水性尾部および荷電側鎖を有するアミノ酸である親水性頭部を有する。頭部および尾部の両方に極性基を有する自己組織化両親媒性ペプチド、DA−COOH(配列番号:4)もまた合成し、形態学的、物理化学的、およびペプチド−細胞相互作用分析の結果を、界面活性剤様ペプチドのものと比較した。脂質およびアニオン性界面活性剤のように、脂質様ペプチドは、脂質に基づく系で起こるものに類似するように、水溶液中で隔離し、自己組織化し、ナノ構造を形成する[6,16]。界面活性剤様ペプチドの、150mMの電解質を含むPBS溶液への添加により、ペプチドモノマの自己組織化による濁った懸濁液の形成が得られる。
ペプチドの質量分析
ペプチドをHPLCにより分離し、ESI−Q−TOF質量分析により分析した(図2)。全ての荷電状態に対する抽出クロマトグラムの合わせたピーク積分を使用する定量分析は、ペプチドの純度が90%〜92%の間であったことを明らかにする。図2におけるMSスペクトルにおいて見られるように、試料は微量のより短い、場合によっては、より長いペプチドを含み、これは、合成ペプチド調製物では普通である。MSスペクトル中に存在する割り当てられていないピークは、+1荷電ペプチドの起源内(intra−source)断片化による。
AFMイメージング
我々はAFMを使用して、両親媒性ペプチドアセンブリの形態を研究した。前に、我々はベシクルおよびナノチューブの形成が実験条件に依存することを報告した[6、7、10]。本明細書では、実験条件は一貫してナノベシクルの形成へと導いた。図3は、両親媒性ペプチドアセンブリのサイズが使用したペプチドの型に依存したことを示す。ペプチドベシクルのサイズ分布分析は、リジンを含む、正電荷を持つac−AK−CONH(配列番号:1)およびKA−CONH(配列番号:2)ペプチドの自己組織化は、負電荷を持つac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドの会合から得られたものと比べてより大きな粒子となることを示した(図3、挿入図、および表1)。これはおそらく、リジンに比べ、アスパラギン酸の側鎖がより小さいことによるであろう。これにより、ナノベシクル二重層におけるペプチドのより良好な充填が可能になる。
ac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドの場合、イメージトポロジーは、ネックレス様超微細構造を明らかにした。そのような構造は、ナノ粒子コロイド溶液では、1滴の液体が固体表面上で乾燥した場合、普通に観察され、2次元結晶化規則[17]、あるいは溶媒の蒸発によるナノメートルスケールでのコーヒーリング効果[18]により説明することができる。ac−AK−CONH(配列番号:1)およびKA−CONH(配列番号:2)の場合にような個々のペプチドナノベシクルの存在ではなく、そのような超微細構造の形成に向かう、より小さなac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドナノベシクルの会合は、系の表面エネルギー要求により駆動され得る。ac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドナノベシクルからなるネックレス様構造の平均直径は、それぞれ、200±11nmおよび159±26nmである。さらに、画像解析により、ac−AD−COOH(配列番号:3)ネックレスは、23±3のより小さなac−AD−COOH(配列番号:3)ナノベシクルから構成され、一方、より大きなDA−COOH(配列番号:4)ナノベシクルから構成されるものは、1ネックレスあたり11±2ナノベシクルを有することが示された。
これらの観察は、ネックレス形成のメカニズムについての質問を引き起こした。AFM試料調製中の乾燥条件の変更により、準安定性ナノベシクルクラスターが明らかになり、ネックレス形成前に、ac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドナノベシクルが、それぞれ、直径101±11および135±24nmを有する緩く結合したクラスターを形成したことが示唆される。試料の乾燥プロセス中に、負電荷を持つペプチドナノベシクル凝集物は、同様の電荷を持つマイカ表面上で解体して広がり、ナノベシクルネックレスが形成された。ac−AD−COOH(配列番号:3)ナノベシクルの場合、より大きな直径のネックレスの形成はおそらく、より大きな直径の11ペプチドナノベシクルを必要としたDA−COOH凝集物と比べて、より小さなサイズおよびより高い数の個々のペプチドナノベシクル、すなわち、1つのac−AD−COOH(配列番号:3)ナノベシクル凝集物あたり23による。理論的計算により、ac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ナノベシクル凝集物のサイズ、すなわち、それぞれ、101±11および135±24nmは、23および11の、それぞれ、直径28±9nmおよび43±11nmをそれぞれ、有する密接に充填された個々のナノベシクルとよく相関することが明らかになった。
動的光散乱
ペプチドナノベシクルの流体力学半径、Rを、DLSにより決定した。PBS pH7.4中、25℃の分散された両親媒性ペプチドベシクルの強度時間相関関数および対応する逆ラプラス変換分析を図4に示す。実線は、CONTINアルゴリズムを使用して得られた最良適合結果を表す。光散乱データの逆ラプラス変換分析により、単峰性ペプチドベシクルサイズ分布が得られたが、KA−CONH(配列番号:2)ベシクル懸濁液の場合は除かれ、この場合、ピーク分析は、164nmおよび906nmの平均直径を有するナノベシクルの存在を示し;後者はおそらく、個々のベシクルの凝集物を表す(図4)。ac−AK−CONH(配列番号:1)ペプチドナノベシクルの平均直径は122nmである(図4および表2)。ac−AK−CONH(配列番号:1)およびKA−CONH(配列番号:2)ペプチドナノベシクルのDLS測定は、マイカ上に堆積させたナノベシクルのAFMにより決定されたサイズとよく一致する。しかしながら、ac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドベシクルのDLS分析は、それぞれ、直径97nmおよび137nmを有する粒子を明らかにした。これらの値は、AFMでは、ネックレス様構造およびナノベシクルクラスターを示した、個々のac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドナノベシクルに対してAFM分析により決定されたベシクル直径から外れていた。しかしながら、データの検査により、DLSデータ分析によりナノベシクルクラスターに対して決定されたものに類似する粒子直径が得られたことが示され、これらのクラスターは、DLSが実施されたPBS溶液中で安定であることが示唆される(表1、図4)。
DLSによる粒子サイズ決定は、溶液中のペプチドベシクルの流体力学直径を表し、一方、AFMイメージングは、乾燥状態のペプチドベシクルについての情報を提供する。われわれは、DLSおよびAFMから計算されたベシクルサイズの間に良好な一致が存在することを見出し、ベシクル縮小は、AFM走査に先行する乾燥プロセス中、無視できることが示唆された。先端広幅化効果のために、ベシクルの実際の直径は、AFMにより測定されたものよりも小さく[19]、そのため、AFMにより観察されたベシクル直径はDLSデータ分析により決定された流体力学直径とよく相関する。
微小電気泳動移動度測定
静電現象は多くの生物学的プロセスにおいて重要である。ナノ粒子系上に電荷を導入すると、それらの生物学的および物理化学的特性を変化させることができる[20]。極性溶媒中に分散されたベシクルのコロイド安定性は、同様に荷電させた粒子表面間の静電反発と関連する。PBS中のペプチドナノベシクル製剤の安定性を決定するために、我々はそれらの表面電位値を測定した。
pH7.4では、ac−AK−CONH(配列番号:1)(すなわち,8.5±0.3mV)およびKA−CONH(配列番号:2)(すなわち、12.4±0.9mV)から構成されるベシクルに対して得られた正のζ−電位値は、ペプチドモノマの正味の正電荷による。我々がac−AK−CONH(配列番号:1)ベシクルに比べて、KA−CONH(配列番号:2)に対してより高い(t検定、p<0.05)ζ−電位値を測定したという事実は、ペプチドの個々の正味荷電、すなわち、PBS pH7.4中、KA−CONH(配列番号:2)に対しては(+2)およびac−AK−CONH(配列番号:1)に対しては(+1)と一致する。ac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドから構成されるナノベシクルは、それぞれ、−15.4±1.1mVおよび−14.0±1.1mVの負のζ−電位値を示し、pH7.4での、ac−AD−COOH(配列番号:3)の正味荷電、すなわち、(−2)およびDA−COOH(配列番号:4)の正味荷電、すなわち、(−1)に一致する。一定イオン強度でのpHの関数としての、PBS中でのペプチドナノベシクルの電気泳動挙動を図5に示す。pHが増加するにつれ、正電荷を持つac−AKCONH(配列番号:1)およびKA−CONH(配列番号:2)ペプチドベシクルの表面電荷は、より低い正の電位値にシフトし、あるいはac−AD−COOH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)ベシクルの場合、アルカリ性溶液中での粒子表面上のヒドロキシル基の吸着の増加のために、より負のζ−電位値にシフトする。
薬物送達適用のためのペプチドベシクルを通じた放出
自己組織化ペプチドナノベシクルを薬物送達適用において使用することができるかどうかを決定するために、我々は、蛍光プローブCFのナノベシクル二重層を通じた放出動力学を測定した。図8は、界面活性剤様ac−AK−CONH(配列番号:1)ペプチドから構成されるペプチドベシクルが、ベシクルの内側に捕捉されたCFを、長期間保持したことを示す。放出実験(すなわち、ベシクルの遠心分離および再懸濁)において使用される条件では、ac−AK−CONH(配列番号:1)ペプチドナノベシクルを通じたCF放出は7h後およそ50%であった。ac−AD−COOH(配列番号:3)に基づく製剤の場合、ベシクルは、個々の期間において最初に負荷したCFの13%を保持した。KA−CONH(配列番号:2)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドから構成されるベシクルは、2〜3時間以内にCFを完全に放出した。
我々は、封入されたCFのac−AK−CONH2(配列番号:1)およびac−AD−COOH(配列番号:2)ナノベシクルを通じた放出動力学の間の差が、単に、負電荷を持つCFとベシクルの表面の間の静電相互作用によるものであったかを尋ねた。Ac−AK−CONH(配列番号:1)はアセチル化およびアミド化され、CおよびN末端は、それぞれ、pH7.4にて、リジンのε−アミン基でただ1つの正電荷を有する。ac−AD−COOH(配列番号:3)ペプチドは、アスパラギン酸の負電荷を持つカルボキシル基のために、C末端で2つの負電荷を有する。別の実験では、我々は、CFを、予め形成させたペプチドナノベシクルを含む分散物に添加した。遠心分離、上清の除去、およびベシクルの再懸濁の後、我々は、系において極小CF蛍光を観察し、観察された放出プロファイルが、CFのac−AK−CONH(配列番号:1)、より少ない程度にac−AD−COOH(配列番号:3)ペプチド二重層を通じた封入および緩徐放出によることが示唆される。これらの結果から、ペプチドベシクルは、細胞毒性と関係しているため理想的ではないリポソームに基づく系の代わりとして[21,22]、生物系における薬物または遺伝子送達療法のために使用することができることが示唆される。
疎水性薬物取込みおよび放出
我々は次に、ナイルレッドをプローブ分子として使用し、ペプチドベシクル二重層の疎水性特性および構造統合性を研究した。ナイルレッドは疎水性モデル薬物として考えられ、これは、リポソーム二重層安定性を評価するために使用される[23]。水中でナイルレッドにより放出される蛍光は非常に弱く、約660nmで極大を示す。しかしながら、ナイルレッドが極性溶媒との接触から遮断された疎水性環境に埋められると、強度は増加し、極大はブルーシフトする。自己組織化ペプチドベシクルに組み込まれたナイルレッドの発光スペクトルを図7に示す。
623nmおよび626nmのナイルレッド発光極大が、それぞれ、二価KA−CONH(配列番号:2)およびac−AD−COOH(配列番号:3)から構成されるペプチドナノベシクル製剤において、631nmおよび647nmの極大が、それぞれ、一価ac−AK−CONH(配列番号:1)およびDA−COOH(配列番号:4)ペプチドナノベシクルに対して(図7)観察された。これにより、電荷の型に関係なく、1つの電荷を有するペプチドから構成されるナノベシクル中に封入されたナイルレッドの空間配置に比べ、ナイルレッドは2つの電荷を有するペプチドのナノベシクル中のより疎水性の微小環境(すなわち、ペプチド二重層中、より深くに挿入され、極性溶媒との相互作用がより少ない)に配置されることが示唆される。ac−AKCONH(配列番号:1)ナノベシクル中に封入されたナイルレッドは、他のペプチドナノベシクル系中のナイルレッドに対して記録されたものに比べて著しく高い蛍光収率を有し、他のペプチドナノベシクル中のナイルレッドに比べて、より多くの数のナイルレッド分子がac−AK−CONH(配列番号:1)ナノベシクル二重層中に収容されることが示唆される。
ナイルレッドのペプチドナノベシクルを通じた放出動力学もまた研究し、我々は、放出は、ac−AD−COOH(配列番号:3)およびac−AK−CONH(配列番号:1)ナノベシクルの場合、より遅いことを見出し、よって、ペプチドナノベシクルは薬物または遺伝子送達療法のために使用することができることが示唆される。
同時に、我々は、疎水性ナイルレッド分子が、自己組織化し、ベシクルを形成する脂質様ペプチドの疎水性尾部から構成される二重層内に挿入されることを見出した。さらに、ac−AK−CONH2(配列番号:1)ペプチドベシクルの膜二重層安定性とそれらの疎水性および親水性分子を保持する特性の間には相関があると思われる(図6および7)。CF放出の場合のように、我々は、ac−AK−CONH(配列番号:1)、および、より少ない程度にac−AD−COOH(配列番号:3)ナノベシクルは、KA−CONH(配列番号:2)およびDA−COOH(配列番号:4)ベシクルに比べて、より高い数のナイルレッド分子を保持することを観察した。
脂質様ペプチドナノベシクルの細胞生存率に対する効果
4つの両親媒性ペプチドの存在下でのCaco−2細胞の生存率を分析し、結果から、全てのペプチドは24hおよび48h後、細胞増殖に影響しなかったことが示唆される。図9は、Caco−2細胞が2日の培養で約5倍の細胞数増加を示すことを図示し、両親媒性ペプチドの存在下での細胞の活発な増殖が示唆される。自己組織化ペプチドのCaco−2細胞生存率に対する効果を定量的に評価するために、我々は、0.2mg/mLおよび1.0mg/mLのペプチドを添加して、MTTアッセイを使用した。これらのペプチド濃度は、ペプチドのCMC値よりも高く、よって、ペプチドナノベシクルならびにペプチドモノマが系中に存在する。図9に示されるように、細胞をペプチドとインキュベートした場合、細胞生存率の変化は観察されなかった(t検定p<0.05)。
とりわけ、アセチル化ac−AK−CONH(配列番号:1)およびac−ADCOOH(配列番号:3)脂質様ペプチドの存在下での処理後48時間に、我々は細胞異常増殖の増加を観察し、よって、生存率値が100%を超えた(図9)。我々は自己組織化に界面活性剤特性を付加しても、細胞増殖に有益な効果を有さないことを予測した。この所見は驚くべきであり、細胞と脂質様ペプチドモノマまたはペプチドナノベシクルの間の正のクロストークを意味する。
透過エンハンサーとしての脂質様ペプチド
脂質様ペプチドナノベシクルが、親水性および/または疎水性薬物化合物の封入により、薬物送達適用のために使用することができることを確証したが、我々はペプチドナノベシクルの、治療分子のバイオアベイラビリティを促進および増幅する能力を研究するように設定した。多くの疾患の管理の成功には、効率的な薬物送達が要求される。しかしながら、有効濃度の治療薬の送達は、胃腸管の上皮層または血液脳関門の低い透過性のために困難である。バイオアベイラビリティを増加させるために、様々な透過エンハンサーが開発されている。トランスウェルフィルタ増殖Caco−2上皮細胞は、上皮透過性を研究するためのインビトロモデル系として考えられる[24]。自己組織化ペプチドのCaco−2細胞単層を通る透過性に対する効果を評価するために、我々は高分子量親水性マーカーFITC−デキストランMW4.4kDaを使用した。傍細胞透過性は、複数の膜貫通タンパク質から構成される細胞のタイトジャンクションにより調節され、上皮層を通る管腔流体および分子の流れを調節するための半透性ゲートとして機能する。
図10(A&B)に示されるように、ペプチドの添加は、対照(すなわち、トランスウェルの頂端側にペプチドなし)と比較して、FITC−デキストラン輸送の著しい増加(p<0.05)を引き起こした。自己組織化ペプチドの共適用なしでの単層を横切るFITC−デキストラン輸送は小さく、FITC−デキストラン単独では、Caco−2単層の透過は不十分であることが示される。1.0mg/mLのac−AD−COOH(配列番号:3)、DA−COOH(配列番号:4)、ac−AK−CONH2(配列番号:1)、およびKA−CONH2(配列番号:2)の存在は、対照と比較して、FITC−デキストランの輸送を、それぞれ、7.9、6.6、5.7、および5.1倍だけ増強させた(図9および表4)。同様に、0.2mg/mLの界面活性剤様ペプチドを使用した場合、FITC−デキストラン輸送は、1.0mg/mLの添加ペプチドで実施した試験に対して前に観察されたのと同じ効率順序に従い増強された。
この範囲における透過増強比により、上皮層完全性を損なうリスクなしで、上皮層を通る増加した薬物輸送が得られ得る。Caco−2細胞モデルは粘液層を含まないが(これは、いくつかの上皮層中に存在する)、インビトロでの高い吸収増強比は改善された薬物動態と関連する。これらのデータにより、より高いペプチド濃度では、上皮単層を通るFITC−デキストランの透過の一貫した増加が存在し、その効果は、負電荷を持つペプチドナノベシクルの場合に、より顕著であることが示される。
界面活性剤様ペプチドのタイトジャンクションバリアに対する効果を調査するために、我々はCaco−2単層を横切る経上皮抵抗を測定した(図9C&D)。上皮単層を横切る経上皮抵抗(傍細胞透過性の指標)の低減は、増加した傍細胞透過性を示す。観察された、時間依存性の、経上皮抵抗の小さな減少は、細胞間のタイトジャンクションの拡大の結果としての、10mMのHBSS/HEPES緩衝液pH7.4の存在下での、単層の小イオンに対する透過性の増加による。我々の結果から、対照に相当した界面活性剤様ペプチドの適用は、単層の経上皮抵抗に有意の影響を有さなかったことが示される。この結果は、180min後、細胞集団はペプチドの存在に影響されなかったことを示す、細胞生存率データ(図8)と一致する。同時にこれらのデータにより、脂質様ペプチドは上皮単層のタイトジャンクションと相互作用し、FITC−デキストランの透過性を、Caco−2細胞単層完全性を損なわずに増加させることが示唆される。図9で示される結果の比較により、アスパラギン酸含有脂質様ペプチドの自己会合から誘導されるより小さなナノベシクルの存在により、FITC−デキストラン輸送およびTEER値(ac−AK−CONH(配列番号:1)およびKA−CONH(配列番号:2)ナノベシクルに対して得られた値に比べて、対照に対して得られたものにより近い)の増加が得られることも示唆される。
TEER実験の終了時に(すなわち、180min、図9C&Dの矢印)、細胞にペプチド枯渇成長培地を補充し、経上皮抵抗を300minまで測定した。全ての場合において、我々は、経上皮抵抗が処理前値の95−100%まで戻ったことを見出し、観察されたTEER変化は可逆であり、タイトジャンクション損傷または細胞膜機能の有害損傷によるものではありえないことが示唆される。
ペプチドナノベシクルの存在下でのCaco−2単層を通じたローダミン−123輸送
自己組織化ペプチドは上皮細胞単層と相互作用し、傍細胞透過性およびFITC−デキストラン輸送を増加させることを観察したので、我々は、P−糖タンパク質媒介流出を試験することにより、透過性のメカニズムを調査し始めた。P−糖タンパク質は、主に、血液脳関門に関与するヒト脳毛細血管を含む上皮層の頂端表面に局在し、多くの薬物の活発な流出と関連する[25]。薬物溶解度を改善する医薬製剤に含められる特定の界面活性剤もまた、P−糖タンパク質と相互作用し、よって、薬物動態パラメータに影響する[26,27]。
理想的な薬物送達ビヒクルはP−糖タンパク質機能を調節し、薬物バイオアベイラビリティを増加させることができなければならない。この目的を達成するために、我々は両親媒性ペプチド製剤の、Caco−2細胞単層におけるP−糖タンパク質機能に影響する能力を評価しようとした。上皮単層を通る、P−糖タンパク質のための基質であるローダミン−123の輸送[28]を、界面活性剤様ペプチドを添加して、および添加なしで測定した。P−糖タンパク質細胞機能の阻害剤であるベラパミルを、我々のアッセイに対照として含めた[29]。我々は、(側底から頂端側への)輸送に対する測定を実施した。というのも、基底膜を横切る流入(吸収性輸送)はP−糖タンパク質機能により制御されないからである[28]。
ベラパミルはローダミン−123の輸送を阻害した。自己組織化ペプチドモノマの、それらのCMC未満の濃度での存在は、対照と比較して、ローダミン−123輸送の変化を誘導しなかった(図11)。しかしながら、ac−AK−CONH(配列番号:1)およびac−AD−COOH(配列番号:3)ペプチドナノベシクルの、すなわち、それらのCMCを超える濃度での添加により、対照と比較して一貫して高い、細胞単層を通るローダミン−123輸送値が得られた。KACONH(配列番号:2)およびDA−COOH(配列番号:4)ナノベシクルの存在はローダミン−123輸送に影響しなかった。
これらのデータから、ac−AK−CONH(配列番号:1)およびac−AD−COOH(配列番号:3)ペプチドナノベシクルは、ペプチドナノベシクルとP−糖タンパク質の間の相互作用を含むメカニズムにより可能なローダミン−123の分泌輸送を促進することが証明される。この仮説をさらに試験するため、および、ペプチドナノベシクルの、細胞形態および上皮細胞タイトジャンクションへの接着に対する生物学的効果を調査するために、我々は上皮膜抗原E−カドヘリンに対するモノクローナル抗体を使用して免疫染色を実施した。E−カドヘリンは上皮細胞の接着結合に局在し、上皮タイトジャンクション形成を調節する膜貫通糖タンパク質である。頂端側(apicolateral)膜から離れたタイトジャンクションおよび接着結合複合物の下方制御または再分布は、細胞単層の崩壊と相関し、小分子、タンパク質および脂質の、頂端と側底ドメインの間の膜を通る自由拡散が可能になる。
我々の結果から、界面活性剤様ペプチドは、それらのCMC未満および超の濃度では、Caco−2細胞形態に影響せず、またはタイトジャンクション完全性を不利に改変しないことが示される。E−カドヘリン染色はペプチド処理Caco−2細胞膜では強度に陽性であり、蛍光顕微鏡法は陰性対照とペプチド処理単層の間の差を明らかにしなかった。これにより、上皮単層を通るFITC−デキストランMW4.4kDaの透過性およびローダミン−123輸送の増加は細胞膜損壊によるものではないことが示唆される。アセチル化した脂質様ペプチドacAK−CONH(配列番号:1)およびac−AD−COOH(配列番号:3)は、拡散物質の傍細胞および/または細胞内輸送を含むメカニズムにより透過を増強させる可能性がある。同時に、我々の結果により、脂質様ペプチドモノマおよびペプチドナノベシクルは細胞形態、細胞生存率、および増殖特性に影響しないことが証明され、ペプチドナノベシクルは、薬物送達を含む生物医学適用のための可能性のある良好な候補であることが示唆される。
ペプチドナノベシクルの特徴
自己組織化し、ナノベシクルを形成する全てのペプチドを、疎水性尾部および親水性頭部を考慮して設計した。我々の結果から、ペプチドの界面活性剤特性のみおよびナノベシクルの形成が必要であるが、効率的な薬物送達系の開発のために十分な条件ではないことが示される。全てのペプチドベシクルはそれらの巨視的な組織化を維持するが、それらのいくらかは封入された分子を長期間保持することができない。我々は、疎水性プローブナイルレッドのベシクル二重層内への封入および親水性CFのサイズ約126nmを有するac−AK−CONH(配列番号:1)ペプチドナノベシクルを通じた長期放出を観察した。ac−A6D−COOH(配列番号:3)の自己組織化により、約43nmの小さなナノベシクルが得られ、これらは効率的に疎水性ナイルレッドをペプチド二重層内に封入するが、負電荷を持つCFを、ac−AK−CONH(配列番号:1)ペプチドベシクルに比べてより速く放出してしまう。これらの結果から、ナノベシクルのサイズおよびそれらの負荷容量は、ベシクルを形成するために使用される自己組織化ペプチドモノマの電荷を変化させることにより、薬物の放出動力学を制御する手段を提供することが示唆される。
ペプチド上の電荷の位置を規定するアミノ酸配列もまた、効率的な系を設計するのに重要である。ac−AK−CONH(配列番号:1)ナノベシクルは負電荷を持つCFを著しく保持し、KA−CONH(配列番号:2)ナノベシクルはそうではなかったが、KA−CONH(配列番号:2)は1つのモノマあたり2つの正電荷を有する(pH7.4では、リジンの非アセチル化N末端アミンおよびε−アミンは荷電される、表1)。迅速なCF放出はまた、ac−AD−COOH(配列番号:3)製剤に比べて、DA−COOH(配列番号:4)ナノベシクルを通じて観察され;DA−COOH(配列番号:4)は、C末端に1つの負電荷を有し、それはN末端では中性であり(1つ正および1つ負)、一方、ac−AD−COOH(配列番号:3)は2つの負電荷を有する。よって、電荷分布はまた、効率的な、ペプチドナノベシクル薬物送達系の設計には重要な因子である。
安定なベシクルの形成では、良好な両親媒性ペプチドは下記を有するべきである:(i)ac−AK−CONH(配列番号:1)およびac−AD−COOH(配列番号:3)のようなアセチル化N末端;非アセチル化ペプチドKA−CONH(配列番号:3)およびDA−COOH(配列番号:4)はCFを保持しなかった、(ii)C末端における正電荷を持つアミノ酸;N末端のリジンはでは良好なCF保持特性を有する安定なペプチドナノベシクルが得られなかった、(iii)アミド化されたC末端;C末端の遊離カルボキシル基を有するac−AD−COOHペプチドは、小さなCF保持効率しか示さなかった。
ペプチドの自己組織化の質的プロセスは脂質および脂肪酸のそれに類似するが、ペプチドはこれらの系とは異なる。というのも、ナノベシクル二重層は、アミノ酸の疎水性側鎖間の疎水性相互作用およびペプチドモノマ極性バックボーン間の水素結合の組み合わせにより安定化されるからである。よって、二重層内部化学はリポソームとペプチドナノベシクルの間で異なる。我々は、これらの単純で短く、安価で($45/g未満)および多用途のペプチドは、ベシクルを使用した薬物送達適用の分野で新たな未知を切り開くであろうことを信じる。界面活性剤様、自己組織化ペプチドは、脂質と混合することができ、標的薬物送達のためのハイブリッドペプチド/脂質リポソーム系が形成される。自己組織化ペプチドのリポソーム中への組み込みは機能性を付与し、製剤の二重層湾曲および安定性を調節した[30].界面活性剤様ペプチドは容易に改変、および調整することができ、他の分子、例えば糖類および機能的モチーフ、例えば細胞シグナル伝達および細胞透過性アミノ酸配列が組み込まれる。デザイナーペプチドの設計は、おそらく、今後10年間に生物医学適用のためのそれらの用途に対し、ますます重要な役割を果たすであろう実現技術である。
Figure 2018052935
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結論
生物脂質に触発され、我々は、疎水性および親水性分子の薬物送達適用のために使用することができるナノベシクルを形成する、自己組織化特性を有する、両親媒性、界面活性剤様ペプチドを考案した。我々は、溶液中のペプチドベシクルの物理化学的および形態学的特性を調査し、我々はペプチド製剤の良好なインビトロ生体適合性を観察した。我々は、ペプチドナノベシクルは、P−糖タンパク質系との相互作用により、上皮単層を通じた輸送を促進することを証明した。細胞増殖研究は、両親媒性ペプチドは、Caco−2細胞培養における細胞増殖に影響しなかったことを示した。自己組織化ペプチドベシクルは、生物医学において潜在的有用性を有する新しい型のナノ材料を表す。これらの両親媒性ペプチドは、単一アミノ酸レベルで容易に設計することができるだけでなく、標準ペプチド合成により容易に製造される。我々の結果はさらに、治療特性を有する分子が封入され、体内で徐々に送達される、ペプチドに基づく薬物送達系の開発に対する理解を提供する。
MITにおける環境衛生学センター(Center for Environmental Health Sciences:CEHS;助成金番号NlEHS ES0021 09)は、質量分析および技術サポートで認められている。
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この発明について、その好ましい実施形態を参照して特定的に図示し、記載してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲により包含される発明の範囲から逸脱せずに、形態および細部における様々な変更が可能であることが理解されるであろう。

Claims (20)

  1. 自己組織化ナノ構造および生物活性分子を含む放出制御型薬物送達組成物であって、前記ナノ構造は複数の界面活性剤ペプチドを含み、前記界面活性剤ペプチドは、下記からなる群より選択される式を有し:
    a.(Φ)(+)(式(1))、
    b.(+)(Φ)(式(2))、
    c.(Φ)(−)(式(3))、
    d.(−)(Φ)(式(4))、
    e.(−)(Φ)(−)(式(5))、
    f.(+)(Φ)(+)(式(6))、
    g.(Φ)(−)(Φ)(式(7))、
    h.(Φ)(+)(Φ)(式(8))、
    i.(+)(Φ)(−)(式(9))、
    j.(−)(Φ)(+)(式(10))、
    式中:
    (Φ)は、独立して、各事象に対し、疎水性側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;
    (+)は、独立して、各事象に対し、生理的pHでカチオン性である側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;
    (−)は、独立して、各事象に対し、生理的pHでアニオン性である側鎖を含む天然もしくは非天然アミノ酸を表し;
    前記末端アミノ酸は任意で置換され;
    各事象に対するmは、5以上の整数を表し;ならびに
    各事象に対するnは、1以上の整数を表し;
    さらに、前記生物活性剤はナノ構造内に封入される、
    薬物送達組成物。
  2. 前記界面活性剤ペプチドは、式(1)または式(3)を有する、請求項1に記載の組成物。
  3. (Φ)は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびプロリンからなる群より選択され、好ましくは(Φ)はアラニンである、請求項2に記載の組成物。
  4. (+)はヒスチジン、リジンまたはアルギニンからなる群より選択される、または(−)はアスパラギン酸またはグルタミン酸からなる群より選択される、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記界面活性剤ペプチドのN末端アミノ酸はアセチル基により置換される、または前記界面活性剤ペプチドのC末端アミノ酸はアミノ基で置換される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. nは1である、またはmは5、6または7であり、好ましくはmは6である、請求項1または2に記載の組成物。
  7. 前記界面活性剤ペプチドはac−AAAAAAK−CONH(配列番号:1)、KAAAAAA(配列番号:2)、ac−AAAAAAD−COOH(配列番号:3)およびDAAAAAA−COOH(配列番号:4)からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記界面活性剤ペプチドはac−AAAAAAK−CONH(配列番号:1)およびac−AAAAAAD−COOH(配列番号:3)からなる群より選択される、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記ナノ構造はナノベシクルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 前記生物活性分子は疎水性である、または親水性である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 前記生物活性分子は核酸である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 前記界面活性剤ペプチドはアセチル化N末端を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 前記界面活性剤ペプチドはC末端に正電荷を持つアミノ酸を有する、請求項1または請求項12に記載の組成物。
  14. 前記界面活性剤ペプチドはアミド化されたC末端を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. さらにリポソームを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 生物活性分子を被験体に投与するために用いられる請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物であって、当該組成物中の前記生物活性分子は放出制御プロファイルを有する、組成物。
  17. 前記生物活性分子は、前記被験体の胃腸管に、または血液脳関門を横切って送達され、好ましくは胃腸管に送達される、請求項16に記載の組成物。
  18. 前記界面活性剤ペプチドは負電荷を持つ、請求項17に記載の方法。
  19. 生物活性分子を前記界面活性剤ペプチドと、水溶液中、自己組織化に好適な条件下で接触させることを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物を調製する方法。
  20. 医学に用いられる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
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