JP2018052900A - 毛髪化粧料用エマルジョン組成物 - Google Patents

毛髪化粧料用エマルジョン組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】毛髪に対し効率的に処理でき、毛髪にはり、こし感、滑らかさを与え、かつ安定的に使用できる毛髪化粧用エマルジョン組成物の提供。【解決手段】(A)平均組成が式(1)で表されるオルガノポリシロキサン、(B)表面に疎水化された部分とシラノール基とを有するシリカ粒子、及び、(C)水を含有する組成物であって、該組成物中、成分(B)のシリカ粒子が、成分(A)のオルガノポリシロキサン油滴の油相と成分(C)の水相との界面に配置している毛髪化粧用エマルジョン組成物。R1aSiO(4−a)/2(1)[R1は各々独立に置換/非置換のC1〜25の飽和/不飽和一価炭化水素基、置換/非置換のC6〜30の芳香族基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はH;aは1.5〜2.5]【選択図】なし

Description

本発明は、毛髪のはり、こしを与えると同時に滑らかな感触の付与性に優れた毛髪化粧用エマルジョン組成物に関する。
シリカ粒子をはじめとする無機粒子は、毛髪に程よい弾性を与え、はり、こしを感を付与しようとする材料として、毛髪化粧用途、とりわけコンディショナー、スタイリングの分野において用いられるようになった。
無機微粒子の凝集力により毛髪のはり、こし感を付与しようとする技術は、文献1のように以前から知られている。しかし、この場合、シリカ等の無機粒子が毛髪繊維上に塊状となって存在する状態になるので、粒子の強過ぎる凝集力のため毛髪同士が密着する程度が、所望の程度を通り越して過剰になってしまう。そのため、処理後の毛髪の感触は、はり、こしを通り越して著しい硬さを感じさせるごわつき感、引っ掛かり感のある好ましくない状態となるという問題点があった。また、毛髪の摩擦力が著しく高められ、毛髪はダメージが促進されるという問題点もあった。
この問題を解決するため、油と無機粒子を混合して、毛髪化粧用組成物に用いる手法も文献2、3のように開発されたが、油相と無機粒子を混合してしまうと、無機粒子は油相中に留まり、または油成分で表面被覆されてしまい、粒子同士の凝集力が著しく低下するため、はり、こし感を付与する効果が低下する。そのため、はり、こし感付与効果を補うべく、組成物に高いチクソトロピー性を付与する粘度鉱物等を別途添加する事が必要であった。この場合は、本来求めるはり、こし感とは異なる感触しか得られないという問題があった。
それを解決するため、文献4では、1つの組成物でありながら油相と無機粒子が別々に存在している組成物を毛髪化粧用に提案している。しかしながら、該方法では有機系の界面活性剤を用いて別途調製した水中油型エマルジョンに無機粒子を後添加する手法であるため、無機粒子は、水中油型エマルジョン中の遊離界面活性剤により水相中で分散され、毛髪化粧用組成物中、およびその使用後も粒子同士の凝集力が弱く、結果としてはり、こし感ある感触付与効果は低いという問題があった。
さらには、一般的な有機系界面活性剤には例えば、炭素数12〜15のアルキル基を有するアルキルポリエーテルや、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩類があるが、これらの界面活性剤は環境への影響が懸念される化学物質として、PRTR(Pollutant Relaease and Transfer Register)の排出量等の義務付けおよび指定化学物質となっており、その選択にあたっては、制限が生じるようになってきているという問題もあった。
また、特許文献5には従来の界面活性剤に替りシリカ粒子にてシリコーン成分をエマルジョン化することによりシリコーン粒子を得る方法が開示されている。
しかし、該エマルジョンを毛髪化粧用途に応用する場合に必要な具体的な要件および方法は開示されていなかった。
特表2003−512410号公報 特表2007−518751号公報 特表2008−509943号公報 特表2008−528525号公報 特表2009−531489号公報
よって従来技術のいかなるものも、毛髪化粧用途において毛髪のはり、こしを与えると同時に滑らかな感触を与えるための具体的方法に関して開示していなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、即ち、毛髪に対し効率的、すなわち少量でも均一に処理でき、毛髪にはり、こし感を与え、かつ滑らかさの感触を与え、かつ安定的に使用できる毛髪化粧用エマルジョン組成物を提供するものである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、エマルジョン粒子の表面がシリカ粒子で覆われた、ポリオルガノシロキサンエマルジョンが用途展開の上で優位な特性を持ち、用途への制限が開放されることを見出した。
また、そのポリオルガノシロキサンエマルジョンの形状、性状的特性に基づき、毛髪化粧途において、オルガノポリシロキサンによる良好な感触を付与しつつ、同時に毛髪のはり、こし感を与える条件を見出した。
本発明はこれらの知見によりなされたものである。
すなわち、本発明の毛髪化粧用エマルジョンは、
(A)平均組成が一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン 20〜80質量部、
SiO(4−a)/2 (1)
[式(1)中、Rは、分子中で同一であっても異なっていていもよく、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の飽和または不飽和一価炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基または水素原子から選択される基であり、aは1.5〜2.5である。]
(B)表面に疎水化された部分とシラノール基とを有するシリカ粒子0.3〜10質量部、
および、
(C)水
を含有する組成物であって、該組成物中、成分(B)のシリカ粒子が、成分(A)のオルガノポリシロキサン油滴の油相と成分(C)の水相との界面に配置していることを特徴とする毛髪化粧用エマルジョン組成物であることを特徴とする。
前記オルガノポリシロキサン(A)は、25℃での粘度が10000mPa・s以上のジメチルポリシロキサンを含有することが好ましい。
前記オルガノポリシロキサン(A)は、アミノ変性ジメチルポリシロキサンを含有することが好ましい場合がある。
本発明に使用するの毛髪化粧用エマルジョン組成物は、オルガノポリシロキサンを基本成分とするエマルジョン組成物である。一般に用いられる有機系のノニオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤によらず、シリカ粒子がオルガノポリシロキサンである油相と水相の界面に配置していることを特徴とする。
成分(B)のシリカ粒子は油相、水相のどちらとも適度の親和性を有するため、油相/水相界面に配置し、水相を連続相とした水中油型エマルジョンを与えることができる。得られるエマルジョンは、通常の有機系界面活性剤使用によるエマルジョンとは異なり、分散される油相の極性によって粒子径が影響されにくく、幅広い油性成分で安定的に粒子径のコントロールができ、粒子径のばらつきを狭くすることができる。
そのために、エマルジョンの作製および保存時、化粧料に配合した場合の作製および保存時、さらには毛髪を処理する時、といった一連の過程を通じて安定的に使用できる。
このような好ましいエマルジョンの状態となるために、本発明の毛髪化粧用エマルジョン組成物を毛髪化粧用途に用いる際、無機粒子単体を用いる場合、水や油の中に無機粒子を分散させたものを用いる場合、あるいは状態の好ましくないエマルジョンを用いる場合に比べ、エマルジョン粒子を均一かつ適量を毛髪上に付着せしめることができる。
そして、その粒子は表面を過度の油分で覆われていないために、粒子間の凝集力が増し、その結果、毛髪全体に適度な弾性感、すなわち、はり、こし感が発現する。同時に、シリコーン成分で毛髪を効果的に覆うことができるので、滑らかさの感触を付与することができる。
また、シリカ粒子を油相と完全に混合する場合に比べ、油相の著しい増粘も生じないため、毛髪化粧用途で好まれる高粘度領域の油相成分を用いることも可能となる。
以下に本発明の毛髪化粧用エマルジョン組成物の詳細を説明する。
(成分(A))
成分(A)は、平均組成式が一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである。
SiO(4−a)/2 (1)
[式(1)中、Rは、分子中で同一であっても異なっていていもよく、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の飽和または不飽和一価炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基または水素原子から選択される基であり、aは1.5〜2.5である。]
成分(A)中のケイ素原子に結合したRは、好ましくは炭素数1〜13の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基である。
上記の有機基は、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基;−CH−CH−CH−NH、−CH−CH−CH−NH(CH)、−CH−CH−CH−N(CH、−CH−CH−NH−CH−CH−NH、−CH−CH−CH−NH(CH)、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−NH、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−N(CH、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−NH(CHCH)、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−N(CHCH、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−NH(cyclo−C11)で表される窒素含有炭化水素基;炭化水素基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子、シアノ基等によって置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、ジフルオロフェニル基、β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基、β−シアノプロピル基等の置換炭化水素基等が挙げられる。特に好ましい有機基はメチル基、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−NH基、フェニル基である。
成分(A)は、直鎖状でも分岐状でもよく、25℃における粘度は、好ましくは5〜2000000mPa・sであり、より好ましくは50〜100000mPa・s、特に好ましくは100〜50000mPa・sの範囲内である。5mPa・s未満の場合、および2000000mPa・sを超える場合、乳化が難しく、安定な水分散液が得られない。さらに、成分(A)の好ましい含有量は、19.95〜79.95質量部の範囲内である。19.95質量部未満では十分な乳化精度が得られず、かつ収率も低下し、79.95質量部を超えると、水性エマルジョンの粘度が高くなり取り扱い性が悪くなる。より好ましくは30〜70質量部の範囲内である。
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、上記の条件を満たすものであればよく、その化学構造、分子量、または特性は限定されるものではない。また、2種以上のポリマーの混合物であってもよい。
ただし、成分(A)は、25℃での粘度が10000mPa・s以上のジメチルポリシロキサンを含有することが好ましい。その理由は、該シロキサンが存在しないと、ヘアケア用途において、洗い流す際の付着性が劣ることと、また、洗い流さない場合であっても、感触などの持続性が出にくいためである。特に、成分(A)全体を毛髪に吸着することを促す成分、例えば、変性されたポリシロキサンが含有されておらず、ジメチルポリシロキサンのみの場合はこの点が顕著である。
25℃での粘度が10000mPa・s以上のジメチルポリシロキサンを含有させる場合は、成分(A)全体の粘度範囲は上記の範囲内である必要がある。
また、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、アミノ変性ジメチルポリシロキサンを含有することが好ましい場合がある。アミノ変性ジメチルポリシロキサンは毛髪への付着性が良好であるので、その使用が許される場合は、付着性向上の目的で利用できる。特に、成分(A)全体の粘度が低い場合には有効である。アミノ基がプロトネーションでカチオン化し、毛髪に付着するからである。
このようなアミノ変性オルガノポリシロキサンの化学構造、分子量、物性は、成分(A)全体としての平均の構造が前記一般式(1)を満たし、粘度等の物性も前記条件を満たす限りは限定されるものではない。また、分子構造は直鎖のみならず、分岐する構造を有していてもよいが、好ましくは、直鎖型の構造を有するものである。
一般式(1)におけるRとしては、例えば、2個以上のアミノ基を含有する炭化水素基であって、下記の一般式(2)で表されるようなものであるが、全Rの中で部分的に含有するものである。
−R−[(NR)−RNR (2)
式(2)中、R、Rは、2価の炭素数1〜18の炭化水素残基を表し、R、R及びRは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、tは、0または6以下の正数を表す。
2価の炭素数1〜18の炭化水素残基RおよびRの例は、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソ−プロピレン基、n―ブチレン基、イソ−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソ−ペンチレン基、ヘキシレン基、例えばn−ヘキシレン基、ヘプチレン基、例えばn−ヘプチレン基、オクチレン基、例えばn−オクチレン基及びイソ−オクチレン基、例えば2,2,4−トリメチルペンチレン基、ノニレン基、例えばn−ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、例えばn−ドデシレン基、オクタデシレン基である。R、RおよびRのアルキル基の例は、炭素数10までのアルキル基である。
アミノ変性オルガノポリシロキサンにおける好ましいRの例として、−CH−CH−CH−NH、−CH−CH−CH−NH(CH)、−CH−CH−CH−N(CH、−CH−CH−NH−CH−CH−NH、−CH−CH−CH−NH(CH)、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−N(CH、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−NH(CHCH)、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−N(CHCH、−CH−CH−CH−NH−CH−CH−NH(cyclo−C11)を挙げることができる。化粧品用に好ましい、Rは、−CH−CH−CH−NH、CH−CH−CH−NH−CH−CH−NH、特に好ましくは、CH−CH−CH−NH−CH−CH−NHである。
アミノ基を有しないRの平均数とアミノ基を含有するRの平均数との比は、15〜600であって、アミノ基を有しないシロキサンユニットとアミノ基を含有するシロキサンユニットの比の目安となるものである。アミノ変性オルガノポリシロキサン中のアミノ基の全体量を示すものとして、該シロキサン1gを中和するに要する1規定塩酸の容量(mL)で表わされるアミン数も用いられる。このアミン数は、アミノ変性ポリオルガノシロキサンの1分子中のアミノ基の数と分子量によって異なることとなる。本発明のアミノ変性オルガノポリシロキサンのアミン数は、0.1〜3.0であることを要し、好ましくは、0.15〜2.0 のものである。アミン数が0.1以下であると、毛髪表面に吸着する能力が弱くなり、アミン数が3.0以上であると親水基であるアミノ基の数が多くなりすぎ、毛髪へ吸着しにくくなる。
かかるアミノ変性オルガノポリシロキサンの粘度は、25℃で100〜10000mPa・sであり、好ましくは、200〜2000mPa・sである。100mPa・s未満では、毛髪に対する十分なコンディショニング効果が得られず、10000mPa・sを超えると毛髪に対し毛先まで均一な櫛通り性やまとまり性を与えることができない。なお、もし成分(A)としてアミノ変性オルガノポリシロキサンも含有する場合は、成分(A)全体の粘度範囲を条件に従うように、アミノ変性オルガノポリシロキサンの粘度を選択する必要がある。
かかるアミノ変性オルガノポリシロキサンは、一般にアミノ変性シリコーンオイルとして知られているもので、当業者に公知の方法により製造することができるが、代表的なアミノ変性シリコーンオイルの合成法は以下の通りである。
すなわち、アミノアルキル基のケイ素原子への導入は、通常はシランの段階で行われ、ア
ミノアルキルシランがまず製造される。アミノアルキルシランを加水分解し、アミノ基含有シロキサンオリゴマーまたはアミノ基含有ジシロキサンとし、更に、ジメチルシロキサンの線状オリゴマーまたは環状オリゴマーと、アルカリ触媒の存在下に、Si−O結合の再平衡化反応を行うことによりアミノ変性シリコーンオイルとする。再平衡化反応の際、ヘキサメチルジシロキサンを使用すれば、末端トリメチルシリル型のアミノ変性シリコーンオイルが得られる。製造に用いるオリゴマー類またはジシロキサンの量比を調整することにより、特定の動粘度及びアミン数を有するアミノ変性シリコーンオイルを得ることができる。これらアミノ変性シリコーンオイルは、動粘度とアミン数が本発明の範囲にあれば、単独でも2種類以上の混合物としても使用することができる。
(成分(B))
本発明の成分(B)シリカ粒子は、その表面に疎水化された部分とシラノール基とを有し、
エマルジョン水相中の成分(A)オルガノポリシロキサン油滴の油相/水相界面に配置することができるものである。このようなシリカ粒子は、その表面には、親水基であるシラノール基と疎水化処理されたシラノール基が所定の割合内で存在することにより、該粒子の親水性と疎水性のバランスがコントロールされ、成分(A)のオルガノポリシロキサンで構成される油相/水相界面に配置して、従来の有機系界面活性剤が有するような乳化機能を発揮する。
成分(B)シリカ粒子は、合成法によって製造される二酸化ケイ素の粒子であって、珪藻土や結晶石英のような鉱物系のシリカは含まれない。合成法によって製造される二酸化ケイ素として、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、溶融シリカ等の乾式法による微紛、湿式法による沈降シリカまたはコロイダルシリカをあげることができる。これらは当業者には公知のものである。これらの中では、焼成シリカ、沈降性シリカあるいはコロイダルシリカを用いることが好ましい。本発明の(B)シリカ粒子は、表面のシラノール基が残留した親水性シリカであっても、表面のシラノール基をシリル化した疎水性シリカであってもよい。疎水性シリカは、親水性シリカを、メチルトリクロロシランのようなハロゲン化有機ケイ素やジメチルジアルコキシシランのようなアルコキシシラン類、シラザン、低分子量のメチルポリシロキサンで処理する公知の方法によって製造することができる。
成分(B)シリカ粒子は、表面に疎水化された部分とシラノール基とを有するシリカを用いると、シリカ粒子の表面張力が界面活性に必要な領域に設定されるため、通常の界面活性剤が存在しなくても油滴の油相/水相界面に配置して安定化させることができる。
シリル化前のシラノール基に対するシリル化後に残留するシラノールの率は50〜95%の範囲内が好ましい。シラノールの残留率が50%未満または95%を超えると、油相/水相界面での界面活性剤に相当する機能を発揮できない。シリル化、あるいはシラノールの残留率は、元素分析による炭素含有量の測定、またはシリカ表面の反応性シラノール基の残量の測定により決定できる。調製のために用いるシリカ粒子は、表面全体がシリル化された粒子または、表面全体がシリル化されていない粒子を含んでいても構わない。ただし、全体としてのシリル化の率が上記の範囲内にあり、かつ必要な乳化の機能を発現出来れば使用することができる。
成分(B)として好適に使用される、疎水化された部分とシラノール基とを有するシリカ粒子の炭素含有量は、界面活性剤として機能するという目的が達せられるものであれば限定されないが、0.1〜10%の範囲内が好ましい。0.1%未満でも10%を超えても安定的なエマルジョンを得ることができない。より好ましくは0.1〜10%の範囲内である。
エマルジョン100質量部中における成分(B)の含有量は好ましくは0.3〜10質量部の範囲内である。0.3質量部未満では、水分散液の安定性が劣り、10質量部を超えるとエマルジョン粒子の被覆が過剰になり、化粧品用途におけるきしみ感のような好ましくない現象が起きる。より好ましくは1〜7質量部の範囲内である。
以上記したような構成の本発明の毛髪化粧料用エマルジョン組成物をもって毛髪を処理すると、毛髪への効率的な処理、すなわち少量でも均一な処理が可能になるとともに、シリカ粒子間の凝集力が増すことにより、毛髪にはり、こし感が発現する。また、毛髪処理剤によるごわつき感等もなく、滑らかである一方、ある程度のしっかりした引き合いの状態が保持できるようになる。
さらには、エマルジョン自体が安定に長期間存在するほか、化粧料へ配合した場合の安定性や、毛髪の処理状態の安定性も解決できるのである。
本発明の毛髪化粧料用エマルジョン組成物の作製方法は、上記の方法の範囲内であれば特に限定されないが、公知の方法で作製することができる。例えば、エマルジョンの作製に適当な常用の混合機、例えばホモジナイザー、コロイドミル、ホモミキサー、高速ステーターローター攪拌装置等を用いて上記成分を混合、乳化することにより作製することができる。より工業的に安定で粒子の形状および性状をより有利に制御するためには、成分(A)オルガノポリシロキサン20〜80質量部および成分(B)シリカ粒子0.3〜10質量部を用いて、成分(C)水に分散することにより、水中油型の毛髪化粧用エマルジョン組成物を得る方法が推奨される。
本発明の毛髪化粧料用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン酸エステルなどのノニオン性界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸Na,ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム等の皮膚への刺激性が緩和なイオン性界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤量としては、エマルジョン100質量部中、0.1質量部以下が好ましくはより好ましくは0.06質量部以下である。1質量部を超えると、環境に悪影響を与えるほか、シリカ粒子の凝集力が低下し、その後のはり、こし感を得難くなる。
本発明の毛髪化粧料用組成物は、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましく、好ましくはpH2〜12、より好ましくはpH4〜10の範囲内である。
本発明の毛髪化粧料用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、エタノール、1−プロパノール、2-プロパノール、1,2−プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1、2-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの親水性成分を含有していてもよい。
本発明の毛髪化粧料用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、防腐剤として、サリチル酸,安息香酸ナトリウム,デヒドロ酢酸ナトリウム,ソルビン酸カリウム,フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチルを含んでもよい。
本発明のオルガノポリシロキサンエマルジョン組成物の粒径は、特に制限が無いが、好ましくは100μm以下である。100μmを超える粒子径では、粒子の大きさが過剰であり、毛髪への均一な感触付与性が得られ難くなる。
次に本発明を実施例によって説明する。なお、本発明はこれによって限定されるものではない。また、実施例における本発明の水中油型シリコーンエマルジョン、および、比較例におけるシリカ/シリコーンオイル組成物に対する評価方法、および、実施例、比較例におけるシャンプー、コンディショナー、トリートメント組成物に対する評価方法は、以下のようにして行った。
<貯蔵安定性評価方法>
作製した水中油型シリコーンエマルジョンまシリカ/シリコーンオイル組成物、シャンプー組成物、コンディショナー組成物、またはトリートメント組成物を50mlスクリュー管に30g入れ、室温または40℃で貯蔵1か月後に、クリーミング、沈降分離の有無を確認した。
評価基準;
○:クリーミング、沈降分離なし、△:クリーミング、沈降分離の傾向あり、×:クリーミング、沈降分離あり。
<水溶液での毛髪感触付与効果の評価方法>
200mLのポリプロピレン製カップ中に50mLの脱イオン水を入れ、さらに作製した水中油型シリコーンエマルジョン1から4を5.0gを混合し、均一な水溶液とした後、長さ25cm、重量2.0gの毛束を1分間水溶液に浸漬し、その後30秒間流水で洗浄し、1日乾燥させた後、感触毛髪の滑らかさ、ならびに、はり、こし感をパネル3名で評価した。
評価法はパネル3名で、1対比較法で行った。
評価基準;
各サンプルにつき、感触が優れている場合1点、劣っている場合0点、同等の感触の場合0.5点を付与し、3名で評価した合計を算出した。
<感触評価方法>
シャンプー、コンディショナー組成物の評価;作成した組成物、1.0gを長さ25cm、重量2.0gの毛束に1分間刷り込み、1分間40℃の流水ですすぐことを3回繰り返し処理した。25度で1日乾燥後の毛髪の滑らかさ、ならびに、はり、こし感をパネル3名で評価した。
トリートメント組成物の評価;作成した組成物、1.0gを長さ25cm、重量2.0gの毛束に1分間なでながら根元から毛先までなじませ、1日乾燥させた後、感触毛髪の滑らかさ、ならびに、はり、こし感をパネル3名で評価した。
評価法はパネル3名で、1対比較法で行い、シャンプー処理毛束はシャンプー処理毛同士で評価を行い、コンディショナー、トリートメントもそれぞれ同一の処理を施した毛髪同士で、評価を行った。
評価基準;
各サンプルにつき、感触が優れている場合1点、劣っている場合0点、同等の感触の場合0.5点を付与し、3名で評価した合計を算出した。
<実施例1>
以下のようにして、水中油型シリコーンエマルジョン1を調製した。シリカ粒子としてはBET表面積が200/g、炭素含有量が10%、粒子径が約100〜1000nm程度の分布を有する凝集体である乾式シリカを用いた。これを以下「シリカ粒子1」と称する。初めに、5質量部のシリカ粒子1を45質量部の水に、IKA製ウルトラタラックスT50ベーシックシャフトジェネレーターG45Mを用い4000rpmにて撹拌することにより分散させ、シリカ粒子水分散液を調整した。次いで、別容器にて、両末端がそれぞれトリメチルシリル基で封鎖された粘度10mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部、粘度300000mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部を混合し、粘度20000mPa・s(25℃)である混合油を調製した。次いで、前記シリカ粒子の水分散液に、4000rpmの攪拌条件下、調製した混合油を加えることにより、水中油型シリコーンエマルジョン1を得た。処方を表1に示す。
水中油型シリコーンエマルジョン1の貯蔵安定性評価、水溶液での毛髪感触付与効果の評価を行った。結果を表2に示す。
次に、表3〜5に示す処方にてシャンプー、コンディショナー、トリートメント(アウトバス)の基本処方を作製し、油中水型シリコーンエマルジョン1を用いて、表6に示すようにシャンプー、コンディショナー、トリートメント組成物を作製し、貯蔵安定性、毛髪への感触付与効果(滑らかさ、はり、こし感)を評価した。その結果を表7に示す。
<実施例2>
粘度10mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部、粘度300000mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部の混合油に替えて、粘度1000mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサンを50質量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、水中油型シリコーンエマルジョン2を得た。処方を表1に示す。
水中油型シリコーンエマルジョン2の貯蔵安定性評価、水溶液での毛髪感触付与効果の評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例3>
粘度10mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部、粘度300000mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部の混合油に替えて、粘度1000mPa・s(25℃)であるアミノ変性シリコーンを25質量部、粘度10mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部の混合油を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、水中油型シリコーンエマルジョン3を得た。処方を表1に示す。
水中油型シリコーンエマルジョン3の貯蔵安定性評価、水溶液での毛髪感触付与効果の評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例1>
以下のようにして、水中油型シリコーンエマルジョン2を調製した。初めに、両末端がそれぞれトリメチルシリル基で封鎖された粘度10mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部、粘度300000mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン25質量部を混合し、粘度20000mPa・s(25℃)である混合油を調製し、さらに3質量部ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(EO 10モル)、ならびに42質量部の水を用いて、IKA製ウルトラタラックスT50ベーシックシャフトジェネレーターG45Mを用い4000rpmにて撹拌することにより分散させ、水中油型シリコーンエマルジョンを得た。さらに、5質量部のシリカ粒子1を4000rpmの攪拌条件下で加えることにより、水中油型シリコーンエマルジョン4を調製した。処方を表1に示す。
水中油型シリコーンエマルジョン4の貯蔵安定性評価、水溶液での毛髪感触付与効果の評価を行った。結果を表2に示す。
次に、表3〜5に示す処方にて作製したシャンプー、コンディショナー、トリートメント(アウトバス)の基本処方において、油中水型シリコーンエマルジョン4を用いて、表6に示すようにシャンプー、コンディショナー、トリートメント組成物を作製し、貯蔵安定性、毛髪への感触付与効果(滑らかさ、はり、こし感)を評価した。その結果を表7に示す。
<比較例2>
以下のようにして、シリカ、シリコーンオイル組成物1を調製した。初めに、両末端がそれぞれトリメチルシリル基で封鎖された粘度10mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン45質量部、粘度300000mPa・s(25℃)であるジメチルポリシロキサン45質量部を混合し、粘度20000mPa・s(25℃)である混合油を調製し、さらに10質量部のシリカ粒子1を4000rpmの攪拌条件下で加えることにより、シリカ/シリコーンオイル組成物1を調製した。処方を表1に示す。
シリカ/シリコーンオイル組成物1の貯蔵安定性評価を行った。水溶液での毛髪感触付与効果の評価は試験不能だった。結果を表2に示す。
次に、表3〜5に示す処方にて作製したシャンプー、コンディショナー、トリートメント(アウトバス)の基本処方において、油中水型シリカ/シリコーンオイル組成物1を用いて、表6に示すようにシャンプー、コンディショナー、トリートメント組成物を作製し、貯蔵安定性、毛髪への感触付与効果(滑らかさ、はり、こし感)を評価した。その結果を表7に示す。
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本発明の毛髪化粧料用エマルジョン組成物は、毛髪への効率的な処理、すなわち少量でも均一な処理ができ、毛髪に対しはり、こし感かつ滑らかさの感触を与えることができるので、美観や好感触性を与える毛髪化粧料を普及できる可能性を示すものである。
また、有機系界面活性剤の使用を省くないし低減できるため、それに伴う環境問題や安定的な製造、さらには安定したエマルジョンの形として存在でき、多くの産業で有利に使用できる可能性がある。

Claims (6)

  1. (A)平均組成が一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン 20〜80質量部、
    SiO(4−a)/2 (1)
    [式(1)中、Rは、分子中で同一であっても異なっていていもよく、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の飽和または不飽和一価炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基または水素原子から選択される基であり、aは1.5〜2.5である。]
    (B)表面に疎水化された部分とシラノール基とを有するシリカ粒子 0.3〜10質量部、および、
    (C)水
    を含有する組成物であって、該組成物中、成分(B)のシリカ粒子が、成分(A)のオルガノポリシロキサン油滴の油相と成分(C)の水相との界面に配置していることを特徴とする毛髪化粧用エマルジョン組成物。
  2. 前記オルガノポリシロキサン(A)が、25℃での粘度が10000mPa・s以上のジメチルポリシロキサンを含有することを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧用エマルジョン組成物。
  3. 前記オルガノポリシロキサン(A)が、アミノ変性ジメチルポリシロキサンを含有することを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧用エマルジョン組成物。
  4. 請求項1、2、または3に記載の毛髪化粧用エマルジョン組成物を用いることを特徴とするシャンプー組成物。
  5. 請求項1、2、または3に記載の毛髪化粧用エマルジョン組成物を用いることを特徴とするコンディショナー組成物。
  6. 請求項1、2、または3に記載の毛髪化粧用エマルジョン組成物を用いることを特徴とするトリートメント組成物。
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