以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A1は、フィルム包材1および被包装物2を備えている。フィルム包装体A1は、たとえば商品である被包装物2を販売業者から購入者へと搬送する際に、被包装物2が適切に保護された状態で搬送されることを目的とするものである。
図1は、フィルム包装体A1を示す斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、図1のIII−III線に沿う断面図である。図4は、図1のIV−IV線に沿う断面図である。なお、これらの図においては、フィルム包材1の後述する筒状フィルム10および筒状フィルム10の材料である筒状フィルム材料10Aの軸方向もしくは搬送方向に相当する方向をx方向とし、筒状フィルム10または筒状フィルム材料10Aの幅方向をy方向とし、x方向およびy方向と直角である方向をz方向としている。
被包装物2は、フィルム包材1によって保護されるものであり、その種類や大きさおよび形状はなんら限定されない。被包装物2としては、日用品、電化製品、飲食料品、薬品等の様々な商品を採用できる。なお、図示された例においては、被包装物2は、比較的偏平な直方体形状を呈している。
フィルム包材1は、被包装物2を包囲しており、被包装物2を保護するものである。なお、フィルム包材1が被包装物2を包囲するとは、たとえば図1および図2において、フィルム包材1がy方向周りに被包装物2を周回するように巻きつけられている状態をいう。本実施形態のフィルム包材1は、一対の筒状フィルム10および一対の端シール部18を有する。
一対の筒状フィルム10は、互いが連結されることにより、被包装物2を包囲するフィルム包材1を構成している。筒状フィルム10は、x方向が軸方向であり、y方向が幅方向である。一対の筒状フィルム10は、z方向において被包装物2を挟むように配置されている。筒状フィルム10には、気体が注入されている。
一対の端シール部18は、一対の筒状フィルム10のx方向両端同士が接合された部分であり、y方向に沿って延びている。端シール部18は、たとえば一対の筒状フィルム10のx方向端部同士が熱シールによって接合されている。
筒状フィルム10は、樹脂材料からなるフィルムが筒状を呈する部材である。筒状フィルム10を構成する樹脂材料は特に限定されず、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビ二ル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビ二ル等のビ二ル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。また前記フィルムは、未実施延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであってもよい。後述する注入シール部17および端シール部18を適切に形成するには、樹脂材料の両外面に、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂等からなる一対の所謂シーラント層が設けられていることが好ましい。また、一対のシーラント層の間に、基材層が介在することが好ましい。この基材層は、気体の通過を阻止するガスバリア性、光を遮る遮光性等を適宜備えることが好ましい。
筒状フィルム10は、一対の主面部11および一対のガゼット部12を有する。一対の主面部11は、z方向において互いに対向している。図2および図3によく表れているように、一対の主面部11の間には、注入された気体が存在するため、互いのx方向両端を除いて互いに離間している。本実施形態においては、主面部11は、略矩形状である。
一対のガゼット部12は、図1および図3に示すように、一対の主面部11のy方向両端同士を連結している。図示された例においては、一対の主面部11のy方向両端がx方向全長にわたって一対のガゼット部12によって連結されている。
ガゼット部12は、一対の側面部121および内方折り返し部122を有する。一対の側面部121は、一対の主面部11のy方向一端同士から内側に折り返された部分である。図示された例においては、側面部121は、x方向に沿って長く延びる長矩形状である。内方折り返し部122は、一対の側面部121のy方向内端同士を連結する部位であり、筒状フィルム10が部分的に折られることにより形成されている。図示された例においては、内方折り返し部122は、x方向に沿っている。
また、図1および図4に示すように、本実施形態においては、筒状フィルム10は、注入シール部17を有する。注入シール部17は、一対の主面部11およびガゼット部12の一対の側面部121の一部同士が接合された部位である。注入シール部17は、後述するフィルム包装体A1の製造方法において、後述する筒状フィルム材料10Aに気体を注入するために形成される孔を塞ぐためのものである。図示された例においては、注入シール部17は、ガゼット部12の内方折り返し部122のx方向中央付近に形成されている。
本実施形態においては、筒状フィルム10は、注入シール部17および一対の端シール部18が形成されていることにより、内部の気密が保たれている。そして、筒状フィルム10の内部には、たとえば空気等の気体が注入されている。
次に、フィルム包装体A1の製造方法の一例について、図5〜図16を参照しつつ、以下に説明する。
まず、図5に示すように、一対のフィルムロール81を用意する。一対のフィルムロール81は、上述したフィルム包装体A1のフィルム包材1が、一対の筒状フィルム10によって構成されていることに対応している。フィルムロール81は、折り畳まれた筒状フィルム材料10Aが巻き取られたものである。
図6は、筒状フィルム材料10Aの軸方向(以下に説明するフィルム包装体A1の製造方法における搬送方向)と直角な断面図である。なお、同図に示す筒状フィルム材料10Aは、たとえばフィルムロール81に巻き取られた状態を示しており、後述する気体を注入する工程よりも前の状態である。図示された筒状フィルム材料10Aは、たとえば溶融押出成型法の一種であるインフレーション法によって、継ぎ目がない筒状に形成された筒状フィルム材料10Aに、所定の折り畳み処理を施したものである。なお、筒状フィルム材料10Aとしては、インフレーション法以外の手法によって形成することにより、y方向のいずれかの位置にx方向に沿う継ぎ目を有するものであってもよい。
筒状フィルム材料10Aは、一対の主面部11Aおよび一対のガゼット部12Aを有する。一対の主面部11Aおよびガゼット部12Aは、上述したフィルム包装体A1のフィルム包材1におけるものと同様であり、筒状フィルム10よりもx方向に長尺状態である筒状フィルム材料10Aに対応して、x方向に長く延びた態様である。折り畳まれた状態の筒状フィルム材料10Aにおいては、一対の主面部11Aは、互いに重ね合わされており、互いに当接している。ガゼット部12Aは、一対の側面部121Aおよび内方折り返し部122Aを有する。一対の側面部121Aは、一対の主面部11Aのy方向一端同士から内側に折り返された部分である。内方折り返し部122Aは、一対の側面部121Aのy方向内端同士を連結する部位であり、筒状フィルム材料10Aが部分的に折られることにより形成されている。
図5に示すように、図示された例においては、一対のフィルムロール81が図中上下方向に離間して配置されている。そして、それぞれのフィルムロール81から筒状フィルム材料10Aが繰り出されている。一対のフィルムロール81の間には、一対のローラ84が配置されている。一対のローラ84は、後述する工程において一対の筒状フィルム材料10Aの搬送方向を意図する方向へと転換するためのものである。同図においては、一対の筒状フィルム材料10Aのx方向先端同士が端シール部18によって接合されている。この端シール部18は、以降に説明する包装工程で包装される被包装物2のひとつ前の被包装物2の包装工程が完了した際に形成されたものである。
一対のフィルムロール81(筒状フィルム材料10A)を用意した後に、一対の筒状フィルム材料10Aに気体を注入する工程を行う。この工程は、一対のノズル82によって行う。一対のフィルムロール81が設けられる位置は特に限定されず、フィルムロール81のx方向下流側であって、後述する筒状フィルム材料10Aの切断位置よりもx方向上流側であればよい。
図7〜図10は、筒状フィルム材料10Aに気体を注入する工程を示す要部拡大断面図である。これらの図は、x方向(筒状フィルム材料10Aの搬送方向)と直角である断面図である。図7において、筒状フィルム材料10Aのy方向に隣り合う位置にノズル82が配置されている。なお、図5においては、ノズル82のx方向における概略位置を示しており、筒状フィルム材料10Aとノズル82とのより具体的な位置関係は、図7に示す通りである。ノズル82は、たとえばホース等を介して図示しないポンプ等の気体供給源に接続されている。また、ノズル82は、筒状フィルム材料10Aに対してy方向に接近および離間が自在とされている。
図7に示す状態から、ノズル82を筒状フィルム材料10Aに接近させる。これにより、ノズル82が一方のガゼット部12Aの一対の側面部121Aの間を進行する。そして、ノズル82をさらにy方向図中右方に前進させることにより、図8に示すように、ノズル82がガゼット部12Aの内方折り返し部122Aまたは内方折り返し部122A付近の部分を貫通する。これにより、ガゼット部12Aには、ノズル82を相通させる孔が形成される。
次いで、たとえば上述したポンプから気体を供給することにより、図9に示すように、ノズル82から筒状フィルム材料10A内に気体を注入する。この気体は特に限定されず、たとえば空気である。この気体の注入により、筒状フィルム材料10Aは、一対のガゼット部12Aが徐々に開き、一対の主面部11が離間するように膨れる。なお、筒状フィルム材料10Aのx方向下流端は、端シール部18によって塞がれている。また、筒状フィルム材料10Aのx方向上流端は、たとえばフィルムロール81から筒状フィルム材料10Aが繰り出される箇所によって塞がれている。このため、ノズル82から注入された気体は、筒状フィルム材料10Aに封入される。
次いで、図10に示すように、ノズル82を後退させ筒状フィルム材料10Aから離間させる。そして、たとえば一対のシールブロック83によって、一対の主面部11Aおよびガゼット部12Aの一対の側面部121Aの一部同士を熱シールすることにより、ノズル82によって形成された孔を塞ぐ。これにより、筒状フィルム材料10Aには、注入シール部17が形成される。なお、一対のシールブロック83は、ノズル82の近傍に配置されており、図5においては省略している。
以上に述べた気体を注入する工程を行うことにより、図5に示すように、一対の筒状フィルム材料10Aは、端シール部18からフィルムロール81にかけて膨らんだ態様となる。
次いで、図11に示すように、被包装物2を図中左方に移動させ、被包装物2によって一対の筒状フィルム材料10Aを図中左方へと押し出す。この際、図示された例においては、被包装物2は、端シール部18に向けて移動させられている。また、一対の筒状フィルム材料10Aは、一対のローラ84によって搬送方向(x方向)が転換されている。
さらに被包装物2をy方向図中左方に移動させる。この移動は、図12に示すように、一対のローラ84の図中左方に配置された一対のシール手段85を被包装物2が十分に超えるまで行う。一対のシール手段85は、一対の筒状フィルム材料10Aのx方向における適所同士を互いに接合するものである。また、本実施形態においては、シール手段85は、一対の筒状フィルム材料10Aを切断する機能を兼ねている。
次いで、図13に示すようにシール手段85によって筒状フィルム材料10Aの接合および切断を行う。より具体的には、図14に示すように、本実施形態のシール手段85は、2対のシールブロック86およびカッター87を有している。2対のシールブロック86は、x方向においてカッター87を挟んで両側に配置されている。各対のシールブロック86は、z方向において一対の筒状フィルム材料10Aを挟んで配置されている。一対のシールブロック86は、y方向において筒状フィルム材料10Aの全長を超える長さを有しており、図15に示すように、一対の筒状フィルム材料10Aを挟むことにより、フィルム包装体A1で述べたフィルム包材1の端シール部18を形成する。本実施形態においては、2対のシールブロック86が採用されていることにより、筒状フィルム材料10Aには、2つの端シール部18が一括して形成される。また、カッター87は、2対のシールブロック86の間に設けられており、2対のシールブロック86による2つの端シール部18の形成と同時に、もしくはその直後に、一対の筒状フィルム材料10Aを切断するものである。
シール手段85による接合および切断工程を経ることにより、図16に示すように、一対の筒状フィルム材料10Aから、フィルム包材1が形成され、このフィルム包材1によって被包装物2が包囲されることによりフィルム包装体A1が完成する。この後は、上述した工程を繰り返すことにより、複数のフィルム包装体A1が順次製造される。
次に、フィルム包装体A1およびその製造方法の作用について説明する。
本実施形態によれば、図1〜図4に示すように、フィルム包材1は、気体が封入されていることによりいわゆる中空構造とされた筒状フィルム10を含んでおり、被包装物2は、この中空構造のフィルム包材1によって包囲されている。このため、フィルム包装体A1に衝撃等が加えられた際に、この衝撃が被包装物2に及ぶことを抑制することが可能である。また、フィルム包材1は、ガゼット部12を有する筒状フィルム10からなる。ガゼット部12は、一対の主面部11の間に位置しており、図7に例示するように、内方折り返し部122によって連結された一対の側面部121(側面部121A)が所謂V字状を呈し得る。これにより、筒状フィルム材料10Aに気体を注入するための、たとえばノズル82を、一対の側面部121によってガイドするようにして、ガゼット部12Aに突き刺すことが可能である。このため、筒状フィルム材料10Aにおける一対の主面部11のいずれかまたは双方を傷つけ難く、筒状フィルム材料10Aに効率よく気体を注入することができる。したがって、フィルム包装体A1およびその製造方法によれば、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。
筒状フィルム10には、注入シール部17を有する。注入シール部17を設けることにより、たとえば図7〜図9に示すノズル82による気体注入によって生じる孔を、図10に示す注入シール部17によって適切に封止することが可能である。したがって、フィルム包材1の筒状フィルム10から気体が漏れてしまうことを防止するのに適している。
また、本実施形態においては、筒状フィルム10がy方向両端に一対のガゼット部12を有している。これにより、図3等に示すように、気体が封入された筒状フィルム10のy方向寸法を増大させることなくz方向寸法を大きくすることが可能である。これは、フィルム包装体A1を過度に大型化させることなく、フィルム包材1による被包装物2の保護機能を高めることが可能であるという利点がある。
本実施形態においては、フィルム包材1は、互いのx方向両端同士が接合された一対の筒状フィルム10によって構成されている。被包装物2は、一対の筒状フィルム10によってz方向に挟まれた格好となっている。このため、z方向両側から衝撃が加えられた場合に、被包装物2をより確実に保護することができる。
また、図5に示すように、フィルム包装体A1の製造に用いられるフィルムロール81は、いまだ気体が封入されていない状態の筒状フィルム材料10Aが巻き取られたものである。このため、気体があらかじめ封入された筒状フィルム材料が同じ長さだけ巻き取られたフィルムロールと比べて、嵩を顕著に小さくすることが可能である。これにより、輸送コストを低減し、包装工程におけるロール交換の頻度を低くすることが可能であり、包装工程の煩雑化を抑制することができる。
図17〜図23は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。また、それぞれの変形例および実施形態の具体的構成は、相互に入れ替えたり複合したりすることが可能であることはもちろんである。
図17は、フィルム包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、被包装物2が台材21とともにフィルム包材1に包囲されている。台材21は、たとえばダンボール紙や樹脂板等であり、被包装物2を保持するとともにフィルム包材1による締結力によって過度に変形しない程度の剛性を有するものである。被包装物2は、たとえば接着剤やフィルム(いずれも図示略)によって台材21に固定されている。本変形例のフィルム包装体A1を製造する際には、被包装物2と台材21とが一体的に扱われる。
このような変形例によっても、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。また、筒状フィルム材料10Aに対して被包装物2が小さいために、被包装物2単体を筒状フィルム材料10Aで包装することが困難である場合に、被包装物2と台材21とを一体的に扱うことにより、筒状フィルム材料10Aによって適切に包装可能であるという利点がある。なお、本変形例から理解されるように、被包装物2単体がフィルム包材1によって包装される構成に限定されず、被包装物2と台材21等が一体的に包装させる構成や、複数の被包装物2が一括して包装される構成等を適宜選択可能である。
図18は、本発明の第2実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A2は、フィルム包材1によって被包装物2を覆った後に、フィルム包材1に熱収縮処理が施されている。より具体的には、図16に示す切断工程を経た後に、フィルム包材1に対してたとえば所定温度の熱風を吹き付ける。フィルム包材1を構成する樹脂材料として良好な熱収縮性を発揮するものを選択することにより、フィルム包材1は、図1に示す形態から、図18に示す形態に収縮する。
熱収縮性を発揮する樹脂材料の具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビ二ル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビ二ル等のビ二ル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。特に、熱収縮性であるフィルム包装体の樹脂材料としては、汎用性と加工容易性から、ポリエステル系、ポリオレフィン系、およびポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリオレフィン系フィルムが特に好ましい。これら樹脂フィルムの厚みは、例えば20μm〜100μmである。また当該樹脂フィルムには一般的に無色透明の樹脂フィルムが用いられるが、各種印刷層が形成されていてもよい。
上記樹脂フィルムは、少なくとも一方向に延伸されていることが好ましい。樹脂フィルムは、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよいが、一方向に高倍率で延伸され、当該一方向と直交する方向に低倍率で延伸されたフィルムが好ましい。この場合、樹脂フィルムの主延伸方向(高倍率で延伸された方向)が、フィルム基材13の主収縮方向となる。フィルム基材13の主収縮方向の熱収縮率は、120℃のオイルバスに20秒浸漬する条件において、例えば30%〜90%が好ましく、より好ましくは40%〜85%である。主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は、例えば−10%〜50%である。
このような実施形態によっても、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。また、フィルム包材1の収縮により、フィルム包材1のy方向両端の開口寸法が縮小するため、被包装物2をy方向における損傷を抑制することができる。また、フィルム包材1が被包装物2を包囲する張力が収縮によって強化される。したがって、フィルム包材1の開口寸法の縮小および張力の強化により、被包装物2がフィルム包材1から抜けだしてしまうことをより確実に阻止することができる。これは、被包装物2が相対的に小さい商品等である場合に好ましい。
図19は、本発明の第3実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A3においては、注入シール部17の位置が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、注入シール部17は、端シール部18と重なる位置に設けられている。注入シール部17は、図10に示す工程において形成されるものであり、被包装物2に対する位置は、図5におけるノズル82の設置位置や被包装物2の大きさ等によって変わり得る。このため、注入シール部17の位置は、偶発的に図1や図19に示す位置になる場合がある。一方、被包装物2の大きさ等を考慮して筒状フィルム材料10Aの搬送量やノズル82による気体注入タイミングを制御することにより、意図的に図19に示す位置に注入シール部17を設けることが可能である。
このような実施形態によっても、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。また、本実施形態によれば、フィルム包材1の断面形状は、その全体において図3に示す形状を維持しており、図4に示すような断面形状となる部位を除去することが可能である。これは、フィルム包材1による被包装物2の保護をより高めるのに適している。また、注入シール部17が端シール部18と重なって設けられていることにより、フィルム包装体A3の外観をより美麗に仕上げることができる。
図20は、本発明の第4実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A4は、注入シール部17を有していない点が、上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、フィルム包材1に注入シール部17が設けられておらず、フィルム包材1には、気体を注入した痕跡が存在しない。
このようなフィルム包装体A4は、たとえば製造における筒状フィルム材料10Aの切断工程において、図21に示すシール手段85を用いることによって製造することができる。同図に示すシール手段85は、2対のシールブロック86と一対のカッター87を有している。一対のカッター87は、x方向において互いに離間配置されている。このシール手段85によって一対の筒状フィルム材料10Aに端シール部18を形成するとともに一対の筒状フィルム材料10Aを切断する際には、一対のカッター87の間に注入シール部17を位置させる。x方向において一対のカッター87によって注入シール部17が挟まれた状態で一対の筒状フィルム材料10Aを切断することにより、一対の筒状フィルム材料10Aのうち注入シール部17を有する部分は、フィルム包材1から切り離される。これにより、注入シール部17を有さないフィルム包材1を備えるフィルム包装体A4を製造することができる。
このような実施形態によっても、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。また、注入シール部17を有さないことにより、フィルム包装体A4の外観を美麗に仕上げるのに好適である。また、注入シール部17のシール不良等が生じていたとしても、フィルム包装体A4の完成後に筒状フィルム材料10Aから気体が漏れだしてしまうことを回避することができる。
図22は、本発明の第5実施形態に基づくフィルム包装体A5を示している。本実施形態のフィルム包装体A5は、フィルム包材1の一対の筒状フィルム10が1つずつのガゼット部12を有する点が、上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、筒状フィルム10は、一対の主面部11、ガゼット部12および外方折り返し部13を有する。外方折り返し部13は、一対の主面部11のy方向一旦同士を連結しており、筒状フィルム10が部分的に折り曲げられた部位である。
このような実施形態によっても、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。また、筒状フィルム10を製造するための筒状フィルム材料10Aを用意する工程においては、一つのガゼット部12Aのみを形成すれば済む。これは、製造効率の向上に好ましい。また、一つのガゼット部12(ガゼット部12A)を有していれば、ノズル82をスムーズに突き刺すことが可能であるという効果を奏することができる。
図23および図24は、本発明の第6実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A6は、フィルム包材1が筒状フィルム10およびフィルム14によって構成されている点が上述した実施形態と異なっている。フィルム14は、たとえば筒状フィルム10を構成する樹脂材料からなる一枚のフィルムである。筒状フィルム10とフィルム14とは、互いのx方向両端同士が、たとえば一対の端シール部18によって接合されている。図示された例においては、筒状フィルム10とフィルム14とが、z方向において被包装物2を挟んでいる。また、フィルム14の樹脂材料として上述した熱収縮性を有するものを選択した場合、図示された例のように、フィルム14を被包装物2に対して密着させることが可能である。
このような実施形態によっても、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。また、本実施形態は、たとえば被包装物2の一方側(図23および図24におけるz方向下側)部分が特に保護が望まれる部分であり、被包装物2の他方側(図23および図24におけるz方向上側)部分の保護がそれほど必要では無い場合等に適している。このような構成によれば、フィルム包装体A6の製造に必要となる樹脂材料の量を削減することができる。
図25は、本発明の第7実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A7は、筒状フィルム10に複数の区画シール部19が形成されている点が上述した実施形態と異なっている。区画シール部19は、一対の主面部11の一部ずつが熱シール等によって接合された部位であり、筒状フィルム10の内部空間を区画している。図示された例においては、複数の区画シール部19は、各々が筒状フィルム10をy方向に横断するように設けられており、x方向に離間配置されている。これにより、筒状フィルム10の内部空間は、複数の領域に区画されている。これらの複数の領域は、区画シール部19によって互いに密閉されている。
このような実施形態によっても、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。また、筒状フィルム10の内部空間が複数の領域に区画されていることにより、搬送中等においていずれかの領域に仮に孔等が生じることにより封入された気体が漏れだしたとしても、孔が生じた領域以外の領域から気体が漏れだすことを回避することが可能である。これは、フィルム包材1による被包装物2の保護機能を維持するのに適している。
図26は、本発明の第8実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A8は、フィルム包材1全体が一つの筒状フィルム10によって構成されている点が、上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、一つの筒状フィルム10が被包装物2を周回するように巻きつけられている。そして、この筒状フィルム10のx方向両端同士が、一つの端シール部18によって接合されている。このような実施形態によっても、包装工程の煩雑化を抑制しつつ商品としての被包装物2をより確実に保護することができる。
本発明に係るフィルム包装体およびフィルム包装体の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るフィルム包装体およびフィルム包装体の製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。