ところで、この従来の収納棚を、居室をはじめとする屋内で組み立てて設置する場合、その収納棚を室内の床上に寝かせた状態で組み立てて完成させ、完成後に本来の用途に対応する起立状態に自立させるようになっている。そのため、起立状態にある収納棚の設置スペースが本来は小さいにも拘わらず、その組み立てのための広いスペースが必要となる。しかも、組み立て後に起立させる作業が必要であるので、その作業に複数の作業者を要し、設置に手間が掛かるという難がある。特に、収納棚の高さが高くなれば、顕著となる。
また、このように完成した収納棚を使用目的に応じて設置当初の構造から変更しようとしても、その変更は大掛かりな作業や工事になる。このことから、例えば賃貸用の住居等においては、入居者のライフスタイルに合わせた対応が柔軟にできないという問題が生じる。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、収納棚の構造に工夫を加えることにより、その収納棚を広いスペースを要することなく組み立てて完成できるようにし、組み立て後の起立作業を不要化するとともに、収納棚の構造を必要に応じて容易に変更できるようにして、その変更の容易化を図ることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、完成後に収納棚の一部になる自立用のボックスを設け、その自立用ボックスに断面L字状の側板や中仕切り板を取り外し可能に固定して自立させ、それら側板や中仕切り板に棚板を架け渡して収納棚とするようにした。
具体的には、第1の発明は、上下に間隔をあけて対向する矩形状板材が、各々の対角線方向に対向する両角部において断面L字状の側壁により一体的に連結された1対の自立用ボックスと、板状の側板本体、及び該側板本体と同じ高さの板状の起立片部が互いに直交するように連続する断面L字状の1対のL型側板と、これらL型側板と同じ高さを有する1対の中仕切り板と、互いに同じ左右長さ及び前後幅を有する複数の棚板とを備え、上記両自立用ボックスは、収納棚の左右両側部において前後方向にずれて配置されている。
そして、上記一方のL型側板は下端部において一方の自立用ボックスに対し、L型側板の側板本体が収納棚の左右一側部に位置しかつ起立片部が収納棚の前後一側部に位置した状態で、自立用ボックスの一方の側壁に締結具により取り外し可能に締結されて起立状態で固定されている。
また、上記他方のL型側板は下端部において他方の自立用ボックスに対し、L型側板の側板本体が収納棚の左右他側部に位置しかつ起立片部が収納棚の前後他側部に位置した状態で、自立用ボックスの一方の側壁に締結具により取り外し可能に締結されて起立状態で固定されている。
さらに、上記一方の中仕切り板は下端部において上記一方の自立用ボックスに対し、該自立用ボックスの他方の側壁に締結具により取り外し可能に締結されて起立状態で固定され、上記他方の中仕切り板は下端部において上記他方の自立用ボックスに対し、一方の中仕切り板に前後方向に並んだ状態で該自立用ボックスの他方の側壁に締結具により取り外し可能に締結されて起立状態で固定されている。
そして、上記起立状態の両L型側板の側板本体と両中仕切り板との間に棚板が架け渡されて取り外し可能に固定されていることを特徴とする。
この第1の発明では、収納棚を組み立てて設置する場合、例えば、まず、一方のL型側板を起立状態にして一方の自立用ボックスの側方に配置し、そのL型側板の側板本体及び起立片部の各下端部を自立用ボックスの一方の側壁に締結具により締結することで、L型側板を自立用ボックスに固定して起立状態で自立させる。
一方、他方のL型側板については、そのL型側板を起立状態にして他方の自立用ボックスの側方に配置し、そのL型側板の側板本体及び起立片部の各下端部を自立用ボックスの一方の側壁に締結具により締結することで、L型側板を自立用ボックスに固定して起立状態で自立させる。
そして、このように一方の側壁に一方のL型側板が前後に並んで固定された一方の自立用ボックスと、同様に一方の側壁に他方のL型側板が前後に並んで固定された他方の自立用ボックスとを前後にずれた状態で左右に対向するように並べ、そのとき、各々に固定されたL型側板を、相対向する自立用ボックスから離れた側に配置する。このことで、両自立用ボックスにそれぞれに固定されたL型側板は左右方向に対向した状態で起立する。
この後、両自立用ボックスの間に両中仕切り板を前後方向に並んだ状態で起立させて配置し、一方の中仕切り板の下端部を一方の自立用ボックスの他方の側壁に締結具により締結して起立状態で自立させ、他方の中仕切り板の下端部を他方の自立用ボックスの他方の側壁に締結具により締結して起立状態で自立させる。この状態では、自立用ボックスの両側に両L型側板と両中仕切り板とが起立した状態となる。
最後に、棚板を上記起立状態のL型側板の側板本体と両中仕切り板との間に架け渡して取り外し可能に固定すればよい。
このように、収納棚の下部に配置される1対の自立用ボックスに対しそれぞれ両L型側板と両中仕切り板とを起立させて固定し、このL型側板と中仕切り板との間に棚板を架け渡すので、収納棚を完成後の使用状態に対応した自立状態で組み立てて設置することができ、組み立てのための広いスペースが不要で設置スペースさえあればよく、狭いスペースでもスムーズに設置することができる。また、収納棚は自立状態で組み立てられるので、その組み立て後に起立させる作業も要らず、高い収納棚であっても少ない作業者で設置できて手間を低減することができる。
そして、上記両自立用ボックスに対して両L型側板と両中仕切り板とは締結具により取り外し可能に締結されているので、収納棚を使用目的に応じて設置当初の構造から変更するときには、この締結具による締結を解除して両L型側板と両中仕切り板とを自立用ボックスから取り外し、その自立用ボックスに対しL型側板や中仕切り板を異なる態様で取り付ければよく、容易に変更することができる。
第2の発明は、第1の発明において、L型側板は、側板本体及び起立片部において自立用ボックスの側壁に固定されていることを特徴とする。
この第2の発明では、L型側板は、側板本体だけでなく起立片部においても自立用ボックスの側壁に固定されているので、L型側板が自立用ボックスに強固に固定され、収納棚の自立安定性を高めることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、L型側板の側板本体の前後方向の幅は棚板の左右方向の長さと同じであり、L型側板の起立片部の左右方向の幅と中仕切り板の前後方向の幅とは棚板の前後方向の幅と同じであることを特徴とする。
この第3の発明では、L型側板の側板本体の前後方向の幅が棚板の左右方向の長さと同じであり、L型側板の起立片部の左右方向の幅及び中仕切り板の前後方向の幅はいずれも棚板の前後方向の幅と同じであるので、収納棚を設置当初の構造から変更するに当たり、L型側板と中仕切り板と棚板との組み合わせにより新たな収納棚を設置するときに、L型側板の起立片部及び中仕切り板とそれらの間に架け渡される棚板との奥行きが互いに一致して棚板がL型側板の起立片部及び中仕切り板から突出しないようになり、見映えの良い収納棚を設置することができる。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つの収納棚から組換えによって設置される収納棚であって、各L型側板は下端部において各自立用ボックスに対し、L型側板の側板本体が収納棚の後側部に位置しかつ起立片部が収納棚の左右一側部に位置した状態で、該起立片部が自立用ボックスの一方の側壁に締結具により取り外し可能に締結されて起立状態で固定され、各中仕切り板は下端部において上記各自立用ボックスに対し、収納棚の左右他側部に位置した状態で、自立用ボックスの他方の側壁に締結具により取り外し可能に締結されて起立状態で固定され、上記L型側板の起立片部と中仕切り板との間に棚板が架け渡されて取り外し可能に固定されていることを特徴とする。
この第4の発明では、上記の収納棚から組換えによって別の新たな収納棚を設置する場合、各自立用ボックスの左右両側及び後側部に各L型側板及び各中仕切り板をそのL型側板の側板本体が収納棚の後側部に位置しかつ起立片部と中仕切り板とがそれぞれ収納棚の左右両側部に位置するように起立状態に配置し、そのL型側板の起立片部の下端部を自立用ボックスの一方の側壁に、また中仕切り板の下端部を自立用ボックスの他方の側壁にそれぞれ締結具により締結し、L型側板の起立片部と中仕切り板との間に棚板を架け渡して固定すればよい。このことで、各自立用ボックス、各L型側板、各中仕切り板及び棚板を用いて、新たな収納棚を設置することができる。この場合も、新たな収納棚は自立状態で設置することができる。
第5の発明は収納棚セットであり、この収納棚セットは、第1〜第3の発明のいずれか1つの収納棚の自立用ボックス、L型側板、中仕切り板及び棚板が組み立て前に分解された状態でまとめられていることを特徴とする。
この第5の発明では、第1〜第3の発明の収納棚を設置するために必要な部材が揃った収納棚セットが容易に得られる。
以上説明した如く、本発明によると、収納棚として、両L型側板を左右に対向するように起立状態に配置して、そのL型側板の下端部をそれぞれ2つの自立用ボックスに取り外し可能に固定し、両自立用ボックス間に1対の中仕切り板の下端部を取り外し可能に固定し、L型側板及び中仕切り板の間に棚板を架け渡したことにより、収納棚を完成後の使用状態に対応した自立状態で組み立てて設置することができ、狭いスペースでもスムーズに設置することができるとともに、収納棚の組み立て後に起立させる作業が不要で、高い収納棚であっても少ない作業者で設置でき、設置作業の手間を低減することができる。さらに、締結具による締結を解除してL型側板と中仕切り板とを自立用ボックスから取り外し、その自立用ボックスに対しL型側板や中仕切り板を異なる態様で取り付けることができ、収納棚を使用目的に応じて設置当初の構造から容易に変更することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
図1〜図4は本発明の実施形態に係る収納棚Fを示す。この収納棚Fは前後に開放されたものであり、室内において床面上に自立状態に設置されて主として間仕切り等の用途に用いられる一方、必要に応じて各部材が組み換えられて、壁面に設置される背板部を有する2つの収納棚F1,F1(図9参照)としても使用できるようになっている。尚、これらの収納棚F,F1において、「前」とは手前側を、また後側とは奥側をそれぞれ表し、「左」とは手前側から見て左側を、また「右」とは同様に手前側から見て右側をそれぞれ表すものとする。
収納棚Fは、1対の自立用ボックス1,1と、1対のL型側板11,11と、1対の中仕切り板21,21と、複数枚の棚板31,31,…とを備え、これらは例えば木質材料等により構成されている。
(自立用ボックス)
2つの自立用ボックス1,1は大きさや構造が互いに同じである。これらの自立用ボックス1,1は収納棚Fの下部の左右両側に配置される。図6に示すように、各自立用ボックス1は、上下に間隔をあけて対向する同じ大きさの矩形状の板材3,3と、両板材3,3同士を各々の対角線方向に対向する両角部において一体的に連結する1対の側壁4,4とからなっている。各側壁4は断面L字状のもので、板材3の角部に対応するように配置されている。下側の板材3は収納棚Fの底板の一部を構成し、上側の板材3は収納棚Fの下から2段目の棚板の一部を構成するようになっている。自立用ボックス1の板材3の左右方向の長さはいずれも棚板31の同長さと同じであり、その板材3の前後方向の幅(例えば390mm)は棚板31の同幅(例えば300mm)よりも大きくなっている。
各自立用ボックス1における2つの側壁4,4の所定位置には、予め、締結具としてのビスV(ボルト)(図5参照)を挿通させるための複数のビス挿通孔5,5,…が貫通形成されている。
そして、図5に示すように、両自立用ボックス1,1は、室内の床面上において収納棚Fの左右両側部に相当する位置に前後方向にずれて配置され、一方の自立用ボックス1は収納棚Fの前側から見て右側の前部に、また他方の自立用ボックス1は収納棚Fの前側から見て左側の後部にそれぞれ位置している。
尚、各自立用ボックス1は、上下の板材3,3と2つの側壁4,4とに分解されたものとし、さらには各側壁4についても断面L字状をなす2枚の板材に分解されたものとしておいて、これらを施工現場で組み立てるようにしておいてもよく、運搬や施工現場への持ち込みが容易となる。
(L型側板)
両L型側板11,11はそれぞれ収納棚Fの左右両側に起立状態で配置されるものである。両L型側板11,11についても大きさや構造が互いに同じである。図7に示すように、各L型側板11は、所定の高さ(例えば1400mm)を有する縦長の矩形板状の側板本体13と、この側板本体13と同じ高さの縦長の細長い板状の起立片部14とからなり、側板本体13及び起立片部14は各々の長辺部で側板本体13の長辺部木口面が起立片部14の表面に当接した状態で互いに直交するように一体的に連結されており、このことでL型側板11は断面L字状となっている。第1L型側板11の側板本体13の前後方向の幅(例えば600mm)は起立片部14の左右方向の幅(例えば300mm)よりも大きく、側板本体13及び起立片部14の厚さは互いに同じである(例えば20.5mm)。
このL型側板11における側板本体13及び起立片部14の各下部には、予め複数の埋込ナットN,N,…が上記自立用ボックス1の側壁4における各ビス挿通孔5の位置に対応して埋め込まれており、ビス挿通孔5を自立用ボックス1の内側から挿通するビスVが埋込ナットNに螺合締結されることにより、L型側板11が自立用ボックス1の側壁4に固定されるようになっている。上記埋込ナットNは、例えば(株)ムラコシ精工の商品名「鬼目ナット」(登録商標)等が用いられる。
また、各L型側板11,12の側板本体13及び起立片部14には、棚板31を支持する部分に、予め複数のダボ穴16,16,…が、他のL型側板11との間及び中仕切り板21との間で高さ位置を一致させて形成されている。
この各L型側板11の側板本体13の前後方向の幅(例えば600mm)は、上記自立用ボックス1よりも大に設定されている。
尚、L型側板11,12は、設置現場において板状の側板本体13及び起立片部14が互いに直交するように連結されて断面L字状に組み立てられるものとしてもよい。
(中仕切り板)
2枚の中仕切り板21,21は収納棚Fの左右中央に起立状態で配置されるもので、両中仕切り板21,21が前後に並んで1枚の中仕切り板を形成するようになっている。両中仕切り板21,21は互いに大きさが同じである。すなわち、図8に示すように、各中仕切り板21は、L型側板11と同じ高さ(例えば1400mm)を有する縦長の細長い板材で、その前後方向の幅はL型側板11の側板本体13の同幅の1/2(例えば300mm)とされている。
この各中仕切り板21の下部には予め複数の埋込ナットN,N,…が上記自立用ボックス1の側壁4のビス挿通孔5の位置に対応して埋め込まれており、ビス挿通孔5を自立用ボックス1内側から挿通するビスVが埋込ナットNに螺合締結されることにより、両中仕切り板21,21が自立用ボックス1の側壁4に固定されるようになっている。この埋込ナットNも、L型側板11の側板本体13に埋め込まれているものと同じである。
また、各中仕切り板21には、棚板31,31を支持する部分に予め複数のダボ穴16,16,…がL型側板11との間で高さ位置を一致させて形成されている。
(棚板)
各棚板31についても大きさや構造が互いに同じである。各棚板31は左右方向に延びる横長の細長い板材からなり、その左右方向の長さ(例えば567.75mm)はL型側板11の側板本体13の前後方向の幅と同じであり、棚板31の前後方向の幅は、L型側板11の起立片部14の左右方向の幅及び中仕切り板21の前後方向の幅と同じである。
そして、図1〜図5に示すように、上記2つのL型側板11,11のうち、左側(図3及び図5で左側)のL型側板11は、収納棚Fの左側後部に起立状態に配置されて、下端部が左側の自立用ボックス1に固定されている。具体的には、この左側のL型側板11の側板本体13は収納棚Fの左側部に、また起立片部14は収納棚Fの後部にそれぞれ位置していて、これらの下端部が自立用ボックス1の断面L字状の左側壁4に沿って該側壁4に当接するように配置されている。この状態で、自立用ボックス1の左側壁4における複数のビス挿通孔5,5,…にボックス1内側からビスVが挿通され、このビスVがそれぞれL型側板11の側板本体13及び起立片部14の複数の埋込ナットN,N,…に取り外し可能に螺合締結されている。このことにより、左側のL型側板11は、側板本体13及び起立片部14の下端部において自立用ボックス1の左側壁4に起立状態で固定されている。
一方、右側(図3及び図5で右側)のL型側板11は収納棚Fの右側部に起立状態に配置されて、下端部が右側の自立用ボックス1に固定されている。具体的には、この右側のL型側板11の側板本体13は収納棚Fの右側部に、また起立片部14は収納棚Fの前部にそれぞれ位置していて、これらの下端部が自立用ボックス1の断面L字状の右側壁4に沿って該側壁4に当接するように配置されている。この状態で、自立用ボックス1の右側壁4における複数のビス挿通孔5,5,…にボックス1内側からビスVが挿通され、このビスVがそれぞれL型側板11の側板本体13及び起立片部14の複数の埋込ナットN,N,…に取り外し可能に螺合締結されている。このことにより、右側のL型側板11は側板本体13及び起立片部14の下端部において自立用ボックス1の右側壁4に起立状態で固定されている。
そして、両L型側板11,11同士は互いに左右に対向するように起立状に配置され、両自立用ボックス1,1は前後にずれており、その状態で、両自立用ボックス1,1の間に両中仕切り板21,21が起立して配置されている。一方の中仕切り板21は前側に、また他方の中仕切り板21は後側にそれぞれ配置され、両中仕切り板21,21は1枚の連続した中仕切り板となるように前後方向に並んでいる。この状態で、左側の自立用ボックス1の右側壁4における複数のビス挿通孔5,5,…にボックス1内側からビスVが挿通され、このビスVがそれぞれ前側の中仕切り板21の複数の埋込ナットN,N,…に取り外し可能に螺合締結されている。また、右側の自立用ボックス1の左側壁4における複数のビス挿通孔5,5,…にボックス1内側からビスVが挿通され、このビスVがそれぞれ後側の中仕切り板21の複数の埋込ナットN,N,…に取り外し可能に螺合締結されている。このことにより、前側の中仕切り板21が下端部において左側の自立用ボックス1に対しその右側壁4にて、また後側の中仕切り板21が下端部において右側の自立用ボックス1に対しその左側壁にて4それぞれ起立状態で固定されている。
また、上記起立状態の左側のL型側板11の側板本体13と中央の両中仕切り板21,21との間に高さの異なる多段の左側の棚板31,31,…が架け渡され、同様に、右側のL型側板11の側板本体13と中央の両中仕切り板21,21との間にも高さの異なる多段の右側の棚板31,31,…が架け渡されている。各段の高さの棚板31,31は1枚の棚板となるように前後に突き合わされて状態で架け渡されている。各棚板31の左右端部は、L型側板11及び中仕切り板21に対し、L型側板11及び中仕切り板21のダボ穴に螺合等により固定された連結用ダボ(図示せず)によって取り外し可能に一体的に固定されている。この連結用ダボとしては、木製や金属製を含む一般的なものを使用することができ、棚板31,32の左右両端部をL型側板11,12及び中仕切り板21,22に対し取り外し可能に連結するものであればよい。
このとき、左側に位置する各段の高さの幅の前後2枚の棚板31,31は、いずれも左端部が同じ左側のL型側板11の側板本体13に連結されて固定され、これら棚板31,31の右端部はそれぞれ前後の中仕切り板21,21に連結されて固定されている。右側に位置する各段の高さの幅の前後2枚の棚板31,31にあっては、いずれも右端部が同じ右側のL型側板11の側板本体13に連結されて固定され、両棚板31,31の左端部はそれぞれ前後の中仕切り板21,21に連結されて固定されている。
以上の構造により収納棚Fが構成されている。そして、上記両自立用ボックス1,1、両L型側板11,11、両中仕切り板21,21、及び複数枚の棚板31,31,…は、施工現場に持ち込まれて組み立てられる前に分解された状態でまとめられた収納棚セットとして梱包されている。尚、各自立用ボックス1を上下の板材3,3と2つの側壁4,4とに分解して梱包するようにしてもよい。また、この各側壁4についても断面L字状をなす2枚の板材に分けて梱包するようにしてもよい。
次に、上記収納棚Fを設置する場合の組み立て手順について説明する。この手順は例示であり、他の組み立て手順であってもよい。
収納棚Fを組み立てて設置する場合、施工現場に収納棚セットを持ち込み、その梱包を解いて2つの自立用ボックス1,1、2枚のL型側板11,11、2枚の中仕切り板21,21、及び複数枚の棚板31,31,…を取り出す。尚、自立用ボックス1が分解されているときには、上下の板材3,3同士を断面L字状の1対の側壁4,4により連結してボックス状に組み立て、側壁4が2枚の板材に分けられているときにはそれらを断面L字状に接合する。また、L型側板11が側板本体13と起立片部14とに分解されているときには、それらを連結して断面L字状に組み立てる。
まず、左側のL型側板11を起立状態にして左側の自立用ボックス1の左側に配置し、そのL型側板11の側板本体13及び起立片部14の各下端部を自立用ボックス1の左側壁4にビスVにより締結する。このビスVは、自立用ボックス1の内側から左側壁4における複数のビス挿通孔5,5,…に挿通した後、L型側板11の側板本体13及び起立片部14の複数の埋込ナットN,N,…に螺合して締結する。このことで、L型側板11を自立用ボックス1に固定して起立状態で自立させる。
一方、右側のL型側板11については、そのL型側板11を起立状態にして右側の自立用ボックス1の右側に配置し、そのL型側板11の側板本体13及び起立片部14の各下端部を自立用ボックス1の右側壁4にビスVにより締結する。すなわち、このビスVを、自立用ボックス1の内側から右側壁4における複数のビス挿通孔5,5,…に挿通した後、L型側板11の側板本体13及び起立片部14の複数の埋込ナットN,N,…に螺合して締結する。このことで、L型側板11を自立用ボックス1に固定して起立状態で自立させる。
そして、このように左側壁4に左側のL型側板11が固定された左側の自立用ボックス1と、同様に右側壁4に右側のL型側板11が固定された右側の自立用ボックス1とを前者が後者よりも後側に位置するように前後にずれた状態で左右に対向するように並べ、各々に固定されたL型側板11,11を、相対向する自立用ボックス1から離れた側に配置する。このことで、右側の自立用ボックス1に固定された右側のL型側板11と、左側の自立用ボックス1に固定された左側のL型側板11とは各々の側板本体13,13が互いに左右方向に対向した状態で起立する。
この後、両自立用ボックス1,1の間に両中仕切り板21,21を前後方向に並んだ状態で起立させて配置し、左側の自立用ボックス1の右側壁4における複数のビス挿通孔5,5,…にボックス1内側からビスVを挿通して、このビスVをそれぞれ前側の中仕切り板21の複数の埋込ナットN,N,…に螺合締結する。また、右側の自立用ボックス1の左側壁4における複数のビス挿通孔5,5,…にボックス1内側からビスVを挿通して、このビスVをそれぞれ後側の中仕切り板21の複数の埋込ナットN,N,…に螺合締結する。このことで、前側の中仕切り板21を下端部において左側の自立用ボックス1にその右側壁4にて、また後側の中仕切り板21を下端部において右側の自立用ボックス1にその左側壁4にてそれぞれ起立状態で固定する。このようにして、自立用ボックス1,1の両側に左右のL型側板11,11と中央の両中仕切り板21,21とが起立した状態となる。
最後に、2枚の棚板31,31を前後に突き合わせた状態で並べて1枚の棚板とし、このように並べられた複数枚の棚板を、自立用ボックス1,1の上側において上記起立状態の左右のL型側板11,12の側板本体13,13と中央の両中仕切り板21,21との間に高さが異なるように配置し、各段の高さの棚板31,31を、各L型側板11の側板本体13及び起立片部14と各中仕切り板21とに連結用ダボにより連結固定すればよい。そのとき、各棚板31はL型側板11の側板本体13及び起立片部14と中仕切り板21とに対し取り外し可能に固定する。また、自立用ボックス1の下側の板材3は最下段の棚板の一部となり、上側の板材は下から2番目の棚板の一部(残りの部分は上側の板材3と同じ高さの棚板31であってもよい)となる。尚、例えば最上段以外の段の棚板31,31は高さ位置を変更可能な可動棚とすることもできる。
したがって、この実施形態においては、収納棚Fの下部に配置される左右の自立用ボックス1,1に対し、左側のL型側板11と右側のL型側板11と左右中央の両中仕切り板21,21とを起立させて固定し、このL型側板11,11と中仕切り板21,21との間に棚板31,31を多段に架け渡すので、収納棚Fを完成後の使用状態に対応した自立状態で組み立てて設置することができ、組み立てのための広いスペースが不要で設置スペースさえあればよく、狭いスペースでもスムーズに設置することができる。また、収納棚Fは最初から自立状態で組み立てられるので、その組み立て後に起立させる作業も要らず、高い収納棚Fであっても少ない作業者で設置できて手間を低減することができる。
さらに、L型側板11及び中仕切り板21の各下部の所定位置に前もって埋込ナットN,N,…が設けられ、各自立用ボックス1の側壁4に予めビス挿通孔5,5,…が形成されているので、ビス挿通孔5にビスVを挿通して埋込ナットNに螺合締結するだけで、自立用ボックス1にL型側板11及び中仕切り板21を連結して固定することができ、その組付作業が容易になって施工性を高めることができる。
また、L型側板11は側板本体13と起立片部14が直交する断面L字状のものであり、両L型側板11,11が収納棚Fの左右両側に配置されているので、収納棚Fの特に左右方向の自立安定性を高めることができる。
また、自立用ボックス1は、矩形状の板材3,3同士を各々の対角線方向に対向する両角部において断面L字状の1対の側壁4,4により一体的に連結したものであるので、この自立用ボックス1にL型側板11や中仕切り板21を起立状態で固定したときに、それらの起立状態が不安定になることはなく、組み立て作業をスムーズに進めることができる。
さらに、L型側板11の側板本体13に各段の高さの前後の棚板31,31の端部が架け渡されて固定されているので、その側板本体13が両棚板31,31同士を連結することとなり、収納棚Fの前後方向の自立安定性をより一層確保することができる。
そして、上記各自立用ボックス1に対してL型側板11と中仕切り板21,21とはビスVにより取り外し可能に締結されているので、収納棚Fを使用目的に応じて設置当初の構造から変更して新たな収納棚F1を設置するときには、このビスVによる締結を解除してL型側板11,11と両中仕切り板21,21とを自立用ボックス1,1から取り外し、その各自立用ボックス1に対しL型側板11や中仕切り板21を異なる態様で取り付ければよく、容易に変更することができる。
この収納棚Fから変更される新たな収納棚F1は2つであり、それら両収納棚F1,F1は互いに同じもので、上記収納棚Fの部材をそのまま使用して設置される。
図9はこの新たな収納棚F1を示し、この収納棚F1は、各自立用ボックス1、各L型側板11、各中仕切り板21及び複数枚の棚板31,31,…を組み合わせたものである。すなわち、図9に示すように、各L型側板11は、その下端部において自立用ボックス1に対し、L型側板11の側板本体13が収納棚F1の後側部に位置しかつ起立片部14が収納棚F1の左右一側部に位置した状態で、該側板本体13及び起立片部14が自立用ボックス1の一方の側壁4にビスV(締結具)により取り外し可能に締結されて起立状態で固定されている。このとき、変更前の収納棚Fと比較すると、その収納棚Fにおける左側のL型側板11にあっては平面視で時計回り方向に90°だけ、また右側のL型側板11にあっては同反時計回り方向に90°だけそれぞれ回動した状態となり、このことでL型側板11,11の各々の側板本体13が収納棚F1の後側部に位置し、起立片部14が収納棚F1の左右一側部に位置した状態となる。
また、各中仕切り板21は、その下端部において自立用ボックス1に対し、自立用ボックス1の他方の側壁4にビスV(締結具)により取り外し可能に締結されて起立状態で固定されている。
このような配置では、各収納棚F1の左右両側にL型側板11の起立片部14と中仕切り板21とが対向して起立し、後側部にL型側板11の側板本体13が起立した状態となり、この側板本体13は、収納棚F1の背板部を構成するようになる。
そして、上記L型側板11の起立片部14と中仕切り板21との間に複数枚の棚板31,31,…が高さを変えた状態で多段に架け渡されて連結用ダボにより取り外し可能に連結固定されている。
尚、各収納棚F1においては、自立用ボックス1の前端部は、L型側板11の起立片部14、中仕切り板21及び各棚板31よりも前側に突出している。このことで、収納棚F1の設置面積が自立用ボックス1により大きくなり、安定した設置となる。
この新たな2つの収納棚F1,F1は、いずれもL型側板11の側板本体13を背板部にして前側に開放されたものであり、その背板部(側板本体13)を室内の壁面に向けて設置されて書棚等として使用できるようになっている。
このとき、L型側板11の側板本体13の前後方向の幅は棚板31の左右方向の長さと同じであり、L型側板11の起立片部14の左右方向の幅と中仕切り板21の前後方向の幅とは棚板31の前後方向の幅と同じであるので、各L型側板11と棚板31との組み合わせにより収納棚F1を設置するときに、L型側板11の起立片部14及び中仕切り板21と、それらの間に架け渡される棚板31との奥行きが互いに一致して棚板31がL型側板11の起立片部14及び中仕切り板21から突出しないようになり、見映えの良い収納棚F1を設置することができる。
こうすることで、同じ部材を用いながら、間仕切りタイプの収納棚Fと、書棚タイプの2つの収納棚F1,F1とに切り換えて変更でき、使用者の好みや生活スタイルに合わせた使い方を選択することができる。特に、例えば賃貸用の住宅であれば、入居者毎に間仕切りタイプの収納棚Fと書棚タイプの収納棚F1,F1とを物件の間取り等に応じて切り換えることができる。
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、収納棚Fにおいて、2枚の棚板31,31を前後に突き合わせて同じ高さの1枚の棚板に配置しているが、両棚板31,31を高さの異なる段違いの棚板になるように配置することもできる。