JP2018049691A - ホルダー、及びそれを備えた透過型電子顕微鏡 - Google Patents

ホルダー、及びそれを備えた透過型電子顕微鏡 Download PDF

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哲哉 津田
Tetsuya Tsuda
哲哉 津田
チーヤオ チン
Chih Yao Chen
チーヤオ チン
桑畑 進
Susumu Kuwahata
進 桑畑
義文 大島
Yoshifumi Oshima
義文 大島
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Abstract

【課題】任意の電極の使用が可能になるホルダーを提供する。【解決手段】ホルダー1は、収容部2と、複数の端子5a〜5cとを備える。収容部2は、不揮発性電解質又はセパレータ12と、複数の電極とを交換可能に収容する。セパレータ12は、不揮発性電解質を保持する。複数の端子5a〜5cは、収容部2に収容された複数の電極に接続する。収容部2は、上面が開放されている。収容部2の底部は、電子線が通過する貫通孔11aを有する。ホルダー1は、透過型電子顕微鏡に設置されて、収容部2に収容された電極で起こる電気化学反応のその場観察に使用可能である。【選択図】図2

Description

本発明は、ホルダー、及びそれを備えた透過型電子顕微鏡に関する。
リチウム金属は、理論上大容量(3860mAhg-1)であるため、リチウム二次電池の負極の材料(電極活物質の材料)として注目されている。しかし、平滑なリチウム金属層を充電によって負極に堆積させることは難しく、樹枝状のリチウム金属が負極に堆積することがよくある。樹枝状のリチウム金属が負極に堆積した場合には、リチウム金属の脱落やデッドリチウムと称される放電に寄与できない部分が生じるため、一般的に放電効率は理論値を下回る。また、樹枝状のリチウム金属は、短絡を招くおそれがある。したがって、リチウム金属を負極材料として使用できるようにするためには、リチウム金属負極の挙動を視覚的に理解し、樹枝状リチウムの生成を抑制するための方策を探索する必要がある。特に、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)を用いて、リチウム二次電池の電気化学反応をその場観察することが有用である。TEMにより、リチウム堆積物及び固体電解質界面(Solid electrolyte interphase;SEI)のナノスケールレベルでの形態発達を視覚的に観察できるためである。
ただし、TEMの試料室は真空チャンバーであるため、一般的に、TEMは、液相中で起こる反応の観察に利用できない。試料室内で、液相が蒸発するためである。したがって、リチウム二次電池の電気化学反応のような液相中で起こる反応をその場TEM観察するには、液相の気化を防止できるホルダーが必要となる。
その場TEM観察用のホルダーとして、電解液中での電極反応(電気化学反応)を観察するための電気化学測定用セルが知られている(特許文献1参照。)。このセルは、基板と、金電極と、白金電極と、囲い枠と、蓋とを備える。金電極及び白金電極は基板上に形成されている。囲い枠は、基板上で金電極及び白金電極を囲む。蓋は、囲い枠の上方に配置されて、基板と囲い枠とで囲まれた空間を封止する。この空間に、電解液が充填される。基板及び蓋はいずれも、補剛板と、電子線透過性の薄膜とからなる。各補剛板には、電子線透過用の穴が開口されている。薄膜の膜厚は、10nm〜20nm程度である。また、白金電極には、各補剛板の穴に対応する位置に凹部が形成されている。この凹部に、燃料電池用電極触媒(例えば、白金触媒(Pt触媒))のような試料が収容される。
特開2013−200123号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたセルは、リチウム二次電池の電気化学反応の観察に適した構成とはなっていない。換言すると、特許文献1に開示されたセルは、リチウム二次電池の内部構成を再現した構成となっていない。
また、特許文献1に開示されたセルは、平面寸法が数mm角程度の超小型セルであるため、その製造には複雑な微細加工技術が必要である。具体的には、特許文献1に開示されたセルは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によって作製される。したがって、集電体(電極)は基板に一体に形成される。このため、集電体を交換することはできない。更に、集電体の材料の選択枝が限定される。一般的には、金及び白金のうちから選択することになる。これに対して、典型的なリチウム二次電池の集電体の材料は、銅又はアルミニウムである。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、任意の電極を使用できるホルダー、及びそれを備えた透過型電子顕微鏡を提供することにある。
本発明に係るホルダーは、収容部と、複数の端子とを備える。前記収容部は、不揮発性電解質又は前記不揮発性電解質を保持するセパレータと、複数の電極とを交換可能に収容する。前記複数の端子は、前記収容部に収容された前記複数の電極に接続する。前記収容部は、上面が開放されている。前記収容部の底部は、電子線が通過する貫通孔を有する。本発明に係るホルダーは、透過型電子顕微鏡に設置されて、前記収容部に収容された前記電極で起こる電気化学反応のその場観察に使用可能である。
ある実施形態において、前記複数の電極は、正極及び負極を含む。前記収容部は、前記正極と、前記不揮発性電解質又は前記セパレータと、前記負極とがこの順に重なるように、前記正極と、前記不揮発性電解質又は前記セパレータと、前記負極とを収容する。
ある実施形態において、前記正極はL字形状であり、前記負極へ向けて突出する突出片を含む。前記突出片が、前記不揮発性電解質又は前記セパレータを介して前記負極と重なる。
ある実施形態において、前記負極は、前記正極へ向けて突出する三角形状の本体部を含む。前記本体部の先端が、前記不揮発性電解質又は前記セパレータを介して前記正極と重なる。
ある実施形態において、ホルダーは、前記複数の電極が載置される試料台を更に備える。
ある実施形態において、ホルダーは、前記不揮発性電解質又は前記セパレータ、及び前記複数の電極の上方に配置される試料押さえ部材を更に備える。
ある実施形態において、前記試料押さえ部材は、前記収容部の貫通孔に対向する貫通孔を有する。前記試料押さえ部材の前記収容部の底部から遠い側の面において、前記試料押さえ部材の貫通孔は、1mm以上3mm以下の径を有する。
ある実施形態において、前記試料押さえ部材は、絶縁性部材を含む。
ある実施形態において、前記複数の端子は、3つの端子である。前記収容部は、3つの電極を収容可能である。
ある実施形態において、ホルダーは、前記複数の端子を支持する端子台を更に備える。前記端子台は、前記収容部に着脱自在に固定される。
ある実施形態において、前記複数の端子は弾性を有する。前記複数の端子はそれぞれ、対応する前記電極に弾性変形した状態で接触する。
ある実施形態において、前記不揮発性電解質は、イオン液体、固体電解質、ガラス電解質、柔粘性結晶、ゲル電解質からなる群のうちから選択される少なくとも一つを含む。
ある実施形態において、前記電極の材料は、銅、ニッケル、アルミニウム、白金、モリブデン、タングステン、炭素、導電性高分子からなる群のうちから選択される少なくとも一つを含む。
本発明に係る透過型電子顕微鏡は、試料室と、上記ホルダーとを備える。ホルダーは、前記試料室に設置される。本発明に係る透過型電子顕微鏡は、電気化学反応をその場観察する。
本発明によれば、任意の電極の使用が可能になる。
本発明の実施形態に係るホルダーを示す図である。 本発明の実施形態に係るホルダーの一部拡大図である。 本発明の実施形態に係るホルダーの先端部分の断面図である。 図3の一部を拡大して示す断面図である。 本発明の実施形態に係るホルダーの先端部分を模式的に示す図である。 本発明の実施例において使用したホルダーの一部拡大図である。 (a)は本発明の実施例1の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)であり、(b)は図7(a)の一部を拡大した図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例1の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例1の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例1の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例1の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例1の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例1に係る制限視野電子線回折の結果を示す模式図である。 本発明の実施例2の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例2の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例2の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例2の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例3の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例3の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例3の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例3の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例4の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例4の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例5の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例5の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例5の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例5の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 (a)は本発明の実施例6の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)であり、(b)は図28(a)の一部を拡大した図面に代わる写真(TEM像)である。 (a)は本発明の実施例6の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)であり、(b)は図29(a)の一部を拡大した図面に代わる写真(TEM像)である。 (a)及び(b)は本発明の実施例7の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。 本発明の実施例8の結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
図1は、本実施形態に係るホルダー1を示す図である。ホルダー1は、その場TEM観察に使用される。即ち、ホルダー1は、TEMの試料室(真空チャンバー)内にセットされる。ホルダー1がTEMの試料室内にセットされることにより、本実施形態に係るTEM(透過型電子顕微鏡)が構成される。
図1に示すように、ホルダー1は、その先端に向かって段階的に径が小さくなる細長い円筒形状を有する。したがって、ホルダー1は長軸を有する。ただし、ホルダー1の形状及び寸法は特に限定されるものではない。ホルダー1をセットするTEMに適した形状及び寸法であればよい。また、ホルダー1の筐体の材料も特に限定されるものではないが、好適には、ホルダー1をTEMの試料室内に設置したときに水分あるいは気体を放出する材料以外の材料を使用する。例えば、ホルダー1の筐体の材料として、ニッケル合金又はステンレス鋼のような金属を使用し得る。
図2は、ホルダー1の一部拡大図である。詳しくは、図2は、ホルダー1の先端部分を拡大して示す。図2に示すように、ホルダー1は、その先端部分に収容部2を含む。また、ホルダー1は、第1端子3aと、第2端子3bと、第3端子3cと、端子台4と、第1ホルダー電極5aと、第2ホルダー電極5bと、第3ホルダー電極5cと、試料押さえ部材6とを備える。
収容部2は、上面が開放されている。本実施形態において、収容部2は、第1端子3a、第2端子3b、第3端子3c及び端子台4を収容する。端子台4は、第1端子3a、第2端子3b及び第3端子3cを支持する。第1端子3a、第2端子3b及び第3端子3cはそれぞれ、端子台4からホルダー1の先端側及び基端側の両側へ突出する。端子台4は、ホルダー1の筐体に対し、ビス7によって固定される。したがって、端子台4は、ホルダー1の筐体に対して着脱自在である。
収容部2は、3つの電極を交換可能に収容することができる。本実施形態では、収容部2に第1電極8a及び第2電極8bが収容される。収容部2に収容された第1電極8aは、第1端子3aの一端に接続する。収容部2に収容された第2電極8bは、第2端子3bの一端に接続する。また、収容部2は、図5を参照して説明するセパレータ12も交換可能に収容することができる。したがって、収容部2は、観察対象の電池(実際の電池)の内部に組み込まれる部品と同じ材料の部品を収容することができる。以下、観察対象の電池の内部に組み込まれる部品と同じ材料の部品を「電池部品」と記載する。収容部2が電池部品を収容することにより、観察対象の電池の内部で起こっている電気化学反応(電極反応)をその場TEM観察することが可能となる。なお、収容部2は、第3端子3cの一端に接続する電極も収容することができる。
第1ホルダー電極5a、第2ホルダー電極5b、及び第3ホルダー電極5cの各々の先端は収容部2内へ突出する。第1ホルダー電極5aの先端は、第1端子3aの他端に接続する。第2ホルダー電極5b及び第3ホルダー電極5cの先端も同様に、第2端子3b及び第3端子3cの他端にそれぞれ接続する。
試料押さえ部材6は、収容部2に収容された電池部品の上方に配置される。換言すると、試料押さえ部材6は、収容部2に収容された電池部品を覆うように配置される。試料押さえ部材6は、ホルダー1の筐体に対し、ビス9によって固定される。したがって、試料押さえ部材6は、ホルダー1の筐体に対して着脱自在である。試料押さえ部材6の寸法は、収容部2に収容された電池部品を覆うことができる限り、特に限定されない。試料押さえ部材6を用いることにより、収容部2に収容された各電池部品を互いに平行な姿勢にすることが容易になる。したがって、TEM像を撮影する際に所望の位置に焦点を合わせることが容易になる。
図3は、ホルダー1の先端部分の断面図である。詳しくは、図3は、図2に示すIII−III線に沿ってホルダー1の先端部分を切断した断面を示す。図3に示すように、ホルダー1は、試料台10を更に備える。また、試料押さえ部材6は、絶縁性部材6aと蓋部材6bとを含む。絶縁性部材6aは、蓋部材6bよりも試料台10に近い位置に配置されて、試料台10と対向する。換言すると、絶縁性部材6aは、蓋部材6bよりも電池部品に近い位置に配置される。また、収容部2の底部は第1貫通孔11aを有する。試料台10は第2貫通孔11bを有する。絶縁性部材6aは第3貫通孔11cを有する。蓋部材6bは第4貫通孔11dを有する。なお、絶縁性部材6aは蓋部材6bに固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
試料台10は、収容部2に収容される。試料台10上に電池部品が載置される。試料台10は、試料押さえ部材6と対向するように配置される。試料台10を用いることにより、収容部2に収容された各電池部品を互いに平行な姿勢にすることが容易になる。したがって、TEM像を撮影する際に所望の位置に焦点を合わせることが容易になる。更に、本実施形態では、試料押さえ部材6と試料台10との間に電池部品を挟むことができる。したがって、より容易に、収容部2に収容された各電池部品を互いに平行な姿勢にすることができる。換言すると、TEM像を撮影する際に所望の位置に焦点を合わせることがより容易になる。なお、試料台10の試料押さえ部材6側の面は、平坦面であることが好ましい。同様に、試料押さえ部材6(絶縁性部材6a)の試料台10側の面は、平坦面であることが好ましい。
試料台10の材料は特に限定されないが、ホルダー1の筐体が金属性である場合、試料台10は絶縁性を有する材料を含むことが好ましい。例えば、試料台10の材料として、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような樹脂(高分子材料)、又はセラミックスを使用し得る。好ましくは、試料台10は樹脂からなる。試料台10を樹脂によって構成した場合、電解質が試料台10に吸い込まれることを抑制することができる。更に、試料台10を樹脂によって構成した場合、ユーザーによる試料台10の取り扱いが容易になる。
絶縁性部材6aの材料は、絶縁性を有する材料である限り、特に限定されない。例えば、絶縁性部材6aの材料として、PEEKのような樹脂(高分子材料)、又はセラミックスを使用し得る。好ましくは、絶縁性部材6aは樹脂からなる。絶縁性部材6aを樹脂によって構成した場合、電解質が絶縁性部材6aに吸い込まれることを抑制することができる。更に、絶縁性部材6aを樹脂によって構成した場合、ユーザーによる絶縁性部材6aの取り扱いが容易になる。
蓋部材6bの材料は、特に限定されないが、好適には、ホルダー1をTEMの試料室内に設置したときに水分あるいは気体を放出する材料以外の材料を使用する。例えば、蓋部材6bの材料として、ニッケル合金又はステンレス鋼のような金属を使用し得る。
試料台10、絶縁性部材6a、及び蓋部材6bは、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dが互いに対向するように配置される。第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dは電子線が通過する窓である。具体的には、TEMにセットされたホルダー1に対して、電子線が第1貫通孔11aへ向けて照射される。電子線は、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dをこの順に通過する。
第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの径は特に限定されるものではないが、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの径が大きい程、電極の電気化学反応を観察できる範囲が広くなる。したがって、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの径が大きい程、ユーザーが観察したい反応を観察できる可能性が高くなる。具体的には、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの径は、ホルダー1がセットされるTEMのビーム走査範囲に基づいて決定し得る。例えば、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの径は、1mm以上3mm以下の範囲のうちから選択し得る。好ましくは、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの径は、2mm以上である。
特に、TEMに付属する分析装置を用いて試料(電極)の分析を行う場合、第4貫通孔11dの径を大きくすることが好ましい。分析装置の検出器は、一般的に、試料に対して斜め45度の角度から信号を検出する。このため、第4貫通孔11dの径が小さい程、信号の検出が困難になる。したがって、信号の検出を容易にするために、第4貫通孔11dの径を大きくすることが好ましい。例えば、第4貫通孔11dの径は、2mm以上とすることが好ましい。第4貫通孔11dの径を大きくすることにより、例えば、エネルギー分散型X線分析(energy dispersive X−ray spectrometry;EDX)のような分析が容易に行えるようになる。
なお、本実施形態では、第1貫通孔11aと第4貫通孔11dとが同じ径を有し、第2貫通孔11bと第3貫通孔11cとが同じ径を有し、第1貫通孔11a及び第4貫通孔11dの径が、第2貫通孔11b及び第3貫通孔11cの径よりも小さいが、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの各径の関係は、このような関係に限定されない。例えば、第1貫通孔11a及び第4貫通孔11dは、第2貫通孔11b及び第3貫通孔11cと同じ径を有してもよい。あるいは、第1貫通孔11a及び第4貫通孔11dは、第2貫通孔11b及び第3貫通孔11cよりも大きい径を有してもよい。
図4は、図3の一部を拡大して示す断面図である。詳しくは、図4は、端子台4とその周辺を拡大して示す。図4に示すように、第3端子3cは、接点部31を含む。接点部31は、試料台10に向かって突出する円弧形状を有する。
第3端子3cは、接点部31において電極と接触する。第3端子3cの接点部31は、試料台10上に電極が載置された後に端子台4がホルダー1の筐体にビス止めされることによって、電極に接触する。
本実施形態において、第3端子3cは弾性を有する。したがって、第3端子3cを弾性変形させた状態で電極に接触させることができる。第3端子3cを弾性変形させた状態で電極に接触させた場合、第3端子3cと電極との接点をより確実に維持することができる。
なお、第1端子3a及び第2端子3bは、第3端子3cと同様の構成を有し、対応する電極に対して第3端子3cと同様に接触する。
図5は、ホルダー1の先端部分を模式的に示す図である。詳しくは、図5は、収容部2に収容された電池部品を示す。図5に示すように、収容部2は、第1電極8a及び第2電極8bに加えて、セパレータ12を交換可能に収容する。セパレータ12は、不揮発性電解質を保持している。
また、本実施形態において、第1電極8aはL字形状であり、突出片を含む。第2電極8bは、配線部13と、本体部14とを含む。本体部14は、第1電極8aの突出片へ向けて突出するように、例えばスポット溶接によって配線部13に接続される。
第1電極8a、セパレータ12及び第2電極8bは、この順で重なるように配置される。詳しくは、第2電極8bの本体部14の外形は三角形状をしており、その三角形の先端が、図3を参照して説明した第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dに対応する位置で、セパレータ12を介して第1電極8aと重ねられる。
また、本実施形態において、第2電極8bの本体部14は、グリッド状である。第2電極8bの本体部14をグリッド状とすることにより、電気化学反応をその場観察できる部分を増やすことができる。したがって、ユーザーが観察したい反応を観察できる可能性が高くなる。但し、第2電極8bの本体部14は、板状又はフィルム状等であってもよい。
本実施形態において、第1電極8aは正極であり、第2電極8bは負極である。以下の説明において、第1電極8aを正極8aと記載し、第2電極8bを負極8bと記載する場合がある。
負極8bで起こる電気化学反応の観察を行う場合、図5に示すように、正極8aのみが電極活物質を含み得る。詳しくは、正極8aは、集電体15と、電極活物質16とを含む。電極活物質16は、集電体15上に塗布されている。
正極8a及び負極8bの材料は、観察対象の電池に組み込まれる電極の材料に応じて選定し得る。典型的には、正極8a及び負極8bは、集電体の材料として、銅、ニッケル、アルミニウム、白金、モリブデン、タングステン、炭素、導電性高分子からなる群のうちから選択される少なくとも一つ含み得る。例えば、リチウム二次電池の負極で起こる電気化学反応の観察を行う場合、正極8aの集電体15としてアルミ箔を使用し、正極8aの電極活物質16(リチウム源)としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を使用し得る。また、負極8bの配線部13として銅線を使用し、負極8bの本体部14としてニッケルグリッドを使用し得る。
セパレータ12の材料も、正極8a及び負極8bと同様に、観察対象の電池に組み込まれるセパレータの材料に応じて選定し得る。例えば、セパレータ12はポリプロピレンからなる。
セパレータ12に保持される不揮発性電解質は、イオン液体、固体電解質、ガラス電解質、柔粘性結晶、ゲル電解質からなる群のうちから選択される少なくとも一つを含み得る。例えば、不揮発性電解質は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Li[(CF3SO22N])とテトラグリム(G4)とを等モルで混合した溶媒和イオン液体([Li(G4)][TFSA])であり得る。
第1ホルダー電極5a〜第3ホルダー電極5cは、ホルダー1の外部の電源に接続して、第1端子3a〜第3端子3cに所定の電位又は電圧を付与する。本実施形態では、第1ホルダー電極5aは参照電極と対極とを兼ねており、第2ホルダー電極5bは作用電極である。以下の説明において、第1ホルダー電極5aを参照電極5aと記載し、第2ホルダー電極5bを作用電極5bと記載する場合がある。
例えば、リチウム二次電池の充電時の電気化学反応をその場TEM観察する際には、参照電極5aを接地し、参照電極5aに対してマイナスの電位を、作用電極5bに付与する。この結果、負極8b(本体部14)にリチウム金属が堆積(析出)する。リチウム二次電池の放電時の電気化学反応をその場TEM観察する際には、参照電極5aと同じ電位(即ち、0V)を作用電極5bに付与する。この結果、負極8b(本体部14)に堆積したリチウム金属が溶解して、電荷が放出される。このように、本実施形態に係るホルダー1を用いることにより、実際の電池の内部で起こっている電極反応(電気化学反応)を収容部2内で再現させて、その電極反応をその場TEM観察することができる。
なお、第3ホルダー電極5cを使用する場合、第3ホルダー電極5cに基準電位(例えば、0V)が付与される。この結果、正極8aの電位と基準電位との間の電位差を測定することができる。同様に、負極8bの電位と基準電位との間の電位差を測定することができる。したがって、電気化学反応のより正確な測定が可能となる。
以上説明した本実施形態によれば、収容部2の上面は開放されており、端子台4及び試料押さえ部材6はホルダー1の筐体に対して着脱自在である。したがって、収容部2内の電池部品を容易に交換することができる。よって、任意の電極の使用が可能になる。換言すると、観察対象の電池に応じた電極材料の選定が可能になる。また、観察対象の電池の集電体と同じ材料の部品に、任意の電極活物質(所望の電極活物質)を塗布することが可能となる。
詳しくは、一般的なその場TEM観察用ホルダーは、電解質の気化を防止するために、電解質を封止する封止セルを備える。封止セルは、電子線透過性を有する膜厚が数十nm程度の薄膜(例えば、窒化シリコン窓)を備える。このため、一般的な封止セルは、MEMSのような複雑な微細加工技術によって製造する必要がある。しかし、MEMSのような複雑な微細加工技術によって封止セルを製造する場合、集電体(電極)は基板に一体に形成される。このため、集電体を交換することはできない。更に、集電体の材料の選択枝が限定される。一般的には、金及び白金のうちから選択することになる。これに対して、本実施形態によれば、セパレータ12が不揮発性電解質を保持するため、ホルダー1は封止セルを備える必要がない。換言すると、電子線透過性を有する膜厚が数十nm程度の薄膜を必要としない。したがって、本実施形態によれば、MEMSのような複雑な微細加工技術ではなく、一般的な加工技術によってホルダー1を製造することができる。よって、電池部品(電極及びセパレータ)の交換が可能な構成にすることができる。
また、一般的な封止セルを用いてその場TEM観察を行う場合、観察範囲は、窒化シリコン窓のような電子線透過性を有する薄膜窓の大きさによって決まる。しかし、薄膜窓の大きさは、通常、大きくても数百μm角である。これに対して、本実施形態によれば、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの径を1mm以上3mm以下の範囲のうちから選択し得る。したがって、本実施形態によれば、一般的な封止セルと比べて、観察範囲を広くすることができる。
また、一般的な封止セルは、薄膜窓の大きさが数百μm角以下であるため、セッティングが難しい。これに対して、本実施形態に係るホルダー1は、第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの径が一般的な封止セルの薄膜窓よりも大きいため、一般的な封止セルと比べて容易にセッティングすることができる。
また、一般的な封止セルは、薄膜窓の大きさが数百μm角以下であるため、TEMに付属する分析装置を用いた試料の分析を行うことが難しい。これに対して、本実施形態によれば、既に説明したように、TEMに付属する分析装置を用いた試料(電極)の分析が可能となる。
また、一般的な封止セルを用いてその場TEM観察を行う場合、電子線は、2枚の薄膜窓と電解質とを透過する。この結果、TEM像の分解能が低下する。これに対して、本実施形態によれば、セパレータ12が不揮発性電解質を保持するため、一般的な封止セルのように薄膜窓を必要としない。したがって、TEM像の分解能の低下を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第2電極8b(負極)の本体部14の外形は三角形状をしており、その三角形の先端が、セパレータ12を介して第1電極8a(正極)と重ねられる。したがって、第2電極8bとセパレータ12との接触面積を小さくすることができる。この結果、収容部2内で電池反応(放電及び充電)を起こした際に、セパレータ12に保持されている電解質が第2電極8bへ濡れあがり難くなる。したがって、第2電極8bで起こる電気化学反応の観察が容易になる。なお、第2電極8bの本体部14の外形は三角形状に限定されない。例えば、第2電極8bの本体部14の外形は円弧状であり得る。第2電極8bの本体部14の外形を円弧状にしても、第2電極8bとセパレータ12との接触面積を小さくすることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
例えば、本発明の実施形態では、第1電極8a(正極)の形状がL字形状であったが、第1電極8aの形状はL字形状に限定されない。例えば、第1電極8aの形状は直線形状であり得る。
また、本発明の実施形態では、第2電極8b(負極)の配線部13及び本体部14の材料が異なる形態について説明したが、配線部13及び本体部14の材料は同じ材料であり得る。
また、本発明の実施形態では、第2電極8b(負極)の本体部14の外形が三角形状又は円弧状である形態について説明したが、第2電極8bの本体部14の形状は特に限定されない。例えば、第2電極8bの本体部14の形状は矩形状であり得る。あるいは、第2電極8bの形状は直線形状であってもよい。
また、本発明の実施形態では、第1電極8a(正極)、セパレータ12及び第2電極8b(負極)がこの順で重ねられたが、第1電極8a、セパレータ12及び第2電極8bは横方向に並べて配置されてもよい。
また、本発明の実施形態では、第1端子3a〜第3端子3cが接点部31を有したが、接点部31は省略され得る。
また、本発明の実施形態では、ホルダー1が、第1端子3a〜第3端子3cを備える形態について説明したが、ホルダー1は、2つの端子(第1端子3a及び第2端子3b)又は4つ以上の端子を備えてもよい。
また、本発明の実施形態では、収容部2がセパレータ12を収容する形態について説明したが、本発明はこの形態に限定されない。粘度が高く流動性し難い電解質(例えば、固体電解質)を使用する場合、セパレータ12は省略し得る。
また、本発明の実施形態では、ホルダー1がTEMの試料室内にセットされる形態について説明したが、ホルダー1は、その場TEM観察にのみ使用可能なものではない。ホルダー1は、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)やX線光電子分光分析(X−ray Photoelectron Spectroscopy)よるその場観察に使用され得る。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下で説明する実施例に限定されるものではない。
本実施例では、図1〜図5を参照して説明したホルダー1を使用した。図6は、本実施例において使用したホルダー1の一部拡大図である。ホルダー1の各部品の材料は次の通りである。即ち、ホルダー1の筐体の材料に、日本工業規格(JIS)において規定されたSUS(Steel Use Stainless)304を使用した。SUS304は、オーステナイト系のステンレス鋼(18%クロム(Cr)−8%ニッケル(Ni)ステンレス鋼)である。また、試料台10の材料にPEEKを使用した。試料押さえ部材6の絶縁性部材6aの材料にPEEKを使用した。試料押さえ部材6の蓋部材6bの材料にニッケル合金(In600)を使用した。正極8aの集電体15にアルミ箔を用いた。正極8aの電極活物質16に、市販のLiCo2正極シート(容量:3mAhg-1)を用いた。負極8bの配線部13に銅線を用いた。負極8bの本体部14にニッケルグリッドを用いた。ニッケルグリッドは、銅線にスポット溶接した。セパレータ12に、ポリプロピレン製のセパレータを用いた。セパレータ12には、電解質として、1.2μLのイオン液体を保持させた。具体的には、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Li[(CF3SO22N])とテトラグリム(G4)とを等モルで混合した溶媒和イオン液体([Li(G4)][TFSA])をセパレータ12に含浸させた。電池部品(正極8a、負極8b、及びセパレータ12)の収容部2内への設置は、アルゴンを充填したグローブボックス(密閉容器)の中で行った。
本実施例で使用したホルダー1の収容部2及び試料押さえ部材6の寸法は次の通りである(図6参照)。即ち、収容部2の外径(ホルダー1の先端部分の外径)は、φ7.5mmとした。平面視したときの収容部2の内枠の幅、即ち試料押さえ部材6の幅(ホルダー1の長軸に直交する方向の幅)は、5.4mmとした。ホルダー1の長軸に沿った試料押さえ部材6の長さは13mmとした。試料押さえ部材6の先端(ホルダー1の先端側の端)から第4貫通孔11dの中心までの長さは、7mmとした。第1貫通孔11a〜第4貫通孔11dの直径は、2mmとした。
その場TEM観察の前に、異なる負極を有する電池の電気化学挙動を検証した。セパレータ12に過剰な量の電解質を含浸させた場合、電池は例外なく優れた電気化学挙動を示したが、電子線は分厚い電解質層(イオン液体層)を透過できなかったため、電極反応を観察することが難しかった。逆に、電解質の量が不十分な場合、鮮明なTEM像を得られたものの、電池が作動しなかった。電池部品を収容部2にセットした後にセパレータ12から電解質が滲出せず、セパレータ12が電解質を保持できる条件であれば、鮮明なその場TEM像を取得できることを発見した。
[実施例1]
実施例1では、TEMの試料室内で、正極8aに対して−4.25Vの定電圧を、負極8bに1時間付与した。即ち、電池を充電した。正極8a及び負極8b(参照電極5a及び作用電極5b)に対する電圧の付与には、ポテンショスタット/ガルバノスタット(プリストンアプライドリサーチ社製の「VersaSTAT4」)を用いた。なお、後述する実施例2〜8における正極8a及び負極8bの電圧の制御にも、実施例1と同じポテンショスタット/ガルバノスタットを使用した。
図7(a)、図7(b)、及び図8〜図12は、実施例1の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。図7(a)、図7(b)、及び図8〜図12に示すように、負極8bに堆積した様々な形態のリチウム堆積物を観察することができた。詳しくは、図7(a)に示すように、樹枝状リチウム堆積物を観察できた。図7(b)は、図7(a)の一部を拡大した図面に代わる写真(TEM像)である。図7(b)に示すように、樹枝状リチウム堆積物の表面が薄膜SEI層で完全に被覆されていることを観察できた。図8に示すように、平滑なリチウム堆積物(膜厚が均一なリチウム堆積層)を観察できた。図9〜図11に示すように、枝を有する樹枝状リチウム堆積物を観察できた。図12に示すように、キンク(kink)を有する樹枝状リチウム堆積物を観察できた。
図13は、制限視野電子線回折(Selected Area Electron;SAED)の結果を示す模式図である。詳しくは、図13は、図8のリチウム堆積物に対する制限視野電子線回折の結果を示す。図13に示すように、[(CF3SO22N]-の分解に由来する多結晶LiF及び多結晶Li3Nによって単結晶Liが被覆された結晶構造を確認できた。なお、図13には、ビームストッパー1301も図示している。
[実施例2]
実施例2では、TEMの試料室内で、正極8aに対して−4.25Vの定電圧を負極8bに付与して、樹枝状リチウム堆積物が成長する様子を観察した。図14〜図17は、実施例2の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。図14及び図15に示すように、樹枝状リチウム堆積物に、矢印で示すキンクが形成される様子を観察できた。また、図16及び図17に示すように、矢印で示す新たな樹枝状リチウムの出現を観察できた。
[実施例3]
実施例3では、TEMの試料室内で、正極8aと同じ電圧を負極8bに付与して、樹枝状リチウム堆積物が溶解する様子を観察した。即ち、電池を放電した。図18〜図21は、実施例3の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。詳しくは、図18は、放電開始直後の樹枝状リチウム堆積物を示す。図19は、放電を開始してから2時間後の樹枝状リチウム堆積物を示す。図20は、放電を開始してから3時間後の樹枝状リチウム堆積物を示す。図21は、放電を開始してから4時間後の樹枝状リチウム堆積物を示す。図18〜図21に示すように、樹枝状リチウム堆積物はその根本から溶解が始まり、樹枝状リチウム堆積物の先端部分は溶解しなかった。したがって、樹枝状リチウム堆積物の先端部分は電気的に絶縁されることを確認できた。
[実施例4]
実施例4では、実施例3と同様に、TEMの試料室内で、正極8aと同じ電圧を負極8bに付与して、樹枝状リチウム堆積物が溶解する様子を観察した。図22及び図23は、実施例4の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。詳しくは、図22は、放電開始直後の樹枝状リチウム堆積物を示す。図23は、放電を開始してから3725秒経過後の樹枝状リチウム堆積物を示す。実施例4で観察した樹枝状リチウム堆積物は、実施例3で観察した樹枝状リチウム堆積物よりも直径が小さい。図22及び図23に示すように、樹枝状リチウム堆積物であっても、その直径が小さいものは、放電によって消失することを観察できた。
[実施例5]
実施例5では、実施例3及び実施例4と同様に、TEMの試料室内で、正極8aと同じ電圧を負極8bに付与した。実施例5では、苔状リチウム堆積物を観察した。図24〜図27は、実施例5の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。詳しくは、図24は、放電開始直後の苔状リチウム堆積物を示す。図25は、放電を開始してから1820秒経過後の苔状リチウム堆積物を示す。図26は、放電を開始してから3605秒経過後の苔状リチウム堆積物を示す。図27は、放電を開始してから3681秒経過後の苔状リチウム堆積物を示す。図24〜図27に示すように、苔状リチウム堆積物は、放電によって、ほぼ完全に溶解することを観察できた。
[実施例6]
実施例6では、実施例1と同様に、TEMの試料室内で、正極8aに対して−4.25Vの定電圧を、負極8bに1時間付与した後に、樹枝状リチウム堆積物を観察した。また、大気雰囲気下で、正極8aに対して−4.25Vの定電圧を、負極8bに1時間付与した後に、TEMの試料室にホルダー1をセットして、樹枝状リチウム堆積物を観察した。
図28(a)、図28(b)、図29(a)及び図29(b)は、実施例6の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。詳しくは、図28(a)は、TEMの試料室内で、正極8aに対して−4.25Vの定電圧を、負極8bに1時間付与した後に撮影したTEM像を示す。図28(b)は、図28(a)の一部を拡大した図面に代わる写真(TEM像)である。図29(a)は、大気雰囲気下で、正極8aに対して−4.25Vの定電圧を、負極8bに1時間付与した後に、TEMの試料室にホルダー1をセットして撮影したTEM像を示す。図29(b)は、図29(a)の一部を拡大した図面に代わる写真(TEM像)である。
図28(a)、図28(b)、図29(a)及び図29(b)に示すように、大気雰囲気下で充電を行った場合、リチウム堆積物を覆うSEI層の膜厚が厚くなることを確認できた。
[実施例7]
実施例7では、樹枝状リチウム堆積物に対して、電子線量が10Am-2を超える強電子線を照射した。なお、撮像用の通常の電子線量は0.5Am-2未満である。図30(a)及び図30(b)は、実施例7の結果を示す図面に代わる写真(TEM像)である。詳しくは、図30(a)は、電子線量が10Am-2を超える強電子線を照射する前の樹枝状リチウム堆積物を示す。図30(b)は、電子線量が10Am-2を超える強電子線を照射した後の樹枝状リチウム堆積物を示す。図30(a)及び図30(b)に示すように、強電子線を照射することにより、樹枝状リチウム堆積物の一部が消失した。
[実施例8]
実施例8では、TEMの試料室内で、正極8aに対して−4.25Vの定電圧を、負極8bに付与した際に、正極8aと負極8bとの間に流れた電流を測定した。図31は、実施例8の結果を示す図である。詳しくは、図31は、クロノアンペロメトリーを示す。図31は、大きな電流が流れる時間帯(矢印で示す時間帯)において、リチウム堆積物の顕著な成長が観察可能となったことを示している。
本発明は、次世代高容量リチウム二次電池用の開発に有用である。
1 ホルダー
2 収容部
3a 第1端子
3b 第2端子
3c 第3端子
4 端子台
5a 第1ホルダー電極(参照電極)
5b 第2ホルダー電極(作用電極)
5c 第3ホルダー電極
6 試料押さえ部材
6a 絶縁性部材
6b 蓋部材
8a 第1電極(正極)
8b 第2電極(負極)
10 試料台
11a 第1貫通孔
11b 第2貫通孔
11c 第3貫通孔
11d 第4貫通孔
12 セパレータ
13 配線部
14 本体部
15 集電体
16 電極活物質

Claims (14)

  1. 不揮発性電解質又は前記不揮発性電解質を保持するセパレータと、複数の電極とを交換可能に収容する収容部と、
    前記収容部に収容された前記複数の電極に接続する複数の端子と
    を備え、
    前記収容部は、上面が開放されており、
    前記収容部の底部は、電子線が通過する貫通孔を有し、
    透過型電子顕微鏡に設置されて、前記収容部に収容された前記電極で起こる電気化学反応のその場観察に使用可能なホルダー。
  2. 前記複数の電極は、正極及び負極を含み、
    前記収容部は、前記正極と、前記不揮発性電解質又は前記セパレータと、前記負極とがこの順に重なるように、前記正極と、前記不揮発性電解質又は前記セパレータと、前記負極とを収容する、請求項1に記載のホルダー。
  3. 前記正極はL字形状であり、前記負極へ向けて突出する突出片を含み、
    前記突出片が、前記不揮発性電解質又は前記セパレータを介して前記負極と重なる、請求項2に記載のホルダー。
  4. 前記負極は、前記正極へ向けて突出する三角形状の本体部を含み、
    前記本体部の先端が、前記不揮発性電解質又は前記セパレータを介して前記正極と重なる、請求項2又は請求項3に記載のホルダー。
  5. 前記複数の電極が載置される試料台を更に備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のホルダー。
  6. 前記不揮発性電解質又は前記セパレータ、及び前記複数の電極の上方に配置される試料押さえ部材を更に備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のホルダー。
  7. 前記試料押さえ部材は、前記収容部の貫通孔に対向する貫通孔を有し、
    前記試料押さえ部材の前記収容部の底部から遠い側の面において、前記試料押さえ部材の貫通孔は、1mm以上3mm以下の径を有する、請求項6に記載のホルダー。
  8. 前記試料押さえ部材は、絶縁性部材を含む、請求項6又は請求項7に記載のホルダー。
  9. 前記複数の端子は、3つの端子であり、
    前記収容部は、3つの電極を収容可能である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のホルダー。
  10. 前記複数の端子を支持する端子台を更に備え、
    前記端子台は、前記収容部に着脱自在に固定される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のホルダー。
  11. 前記複数の端子は弾性を有し、
    前記複数の端子はそれぞれ、対応する前記電極に弾性変形した状態で接触する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のホルダー。
  12. 前記不揮発性電解質がイオン液体、固体電解質、ガラス電解質、柔粘性結晶、ゲル電解質からなる群のうちから選択される少なくとも一つを含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のホルダー。
  13. 前記電極の材料が銅、ニッケル、アルミニウム、白金、モリブデン、タングステン、炭素、導電性高分子からなる群のうちから選択される少なくとも一つを含む、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のホルダー。
  14. 電気化学反応をその場観察する透過型電子顕微鏡であって、
    試料室と、
    請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のホルダーと
    を備え、前記ホルダーが前記試料室に設置される、透過型電子顕微鏡。
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