JP2018046624A - 制振装置及び洗濯機 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、リニアモータの可動子の相対位置を検出する位置センサと、この位置センサの検出値等に基づいて制振対象物の振動を抑制する制御装置と、を備える制振制御システムについて記載されている。
図1は、制振装置が備えるリニアモータ10の縦断面図である。
なお、図1に示すように、xyz軸を定める。また、図1では、x方向においてリニアモータ10の半分を図示しているが、リニアモータ10の構成は、yz平面を基準として対称になっている。
リニアモータ10は、電機子である固定子11と、z方向に延びる板状の可動子12と、の間の磁気的な吸引力・反発力(つまり、推力)によって、固定子11と可動子12との相対位置をz方向で直線的に変化させるモータである。図1に示すように、リニアモータ10は、洗濯機W(図5参照)の外槽37(制振対象物)に接続されている。具体的には、リニアモータ10の可動子12が、外槽37に接続されている。
図2に示すように、固定子11のコア11aは、環状部Sと、磁極歯T,Tと、を備えている。
環状部Sは、縦断面視で環状(矩形枠状)を呈しており、この環状部Sによって磁気回路が構成されている。一対の磁極歯T,Tは、環状部Sからy方向内側に延びており、互いに対向している。なお、磁極歯T,Tの間の距離は、板状を呈する可動子12の厚さよりも若干長くなっている。磁極歯T,Tには、それぞれ、巻線11bが巻回されている。この巻線11bに通電することによって、固定子11が電磁石として機能するようになっている。
制振装置100は、前記したリニアモータ10と、スプリング20と、を備える電磁サスペンションであり、「制振対象物」である外槽37の振動(つまり、洗濯機Wの振動:図5参照)を抑制する機能を有している。
なお、制振装置100は、洗濯機Wの内部に設置されているため(図5参照)、図4では制振装置100を図示していない。
図4に示す洗濯機Wは、ドラム式の洗濯機であり、また、衣類を乾燥する機能も有している。洗濯機Wは、前記した制振装置100(図5参照)と、ベース31と、筐体32と、ドア33と、操作・表示パネル34と、排水ホースHと、を備えている。
筐体32は、左右の側板32a,32aと、前面カバー32bと、背面カバー32c(図5参照)と、上面カバー32dと、を備えている。前面カバー32bの中央付近には、衣類を出し入れするための円形の投入口h1(図5参照)が形成されている。
ドア33は、前記した投入口h1に設けられる開閉可能な蓋である。
排水ホースHは、外槽37(図5参照)の洗濯水を排出するためのホースであり、外槽37に接続されている。
洗濯機Wは、前記した構成の他に、洗濯槽35と、リフタ36と、外槽37と、駆動機構38と、送風ユニット39と、を備えている。
洗濯槽35は、衣類を収容するものであり、有底円筒状を呈している。洗濯槽35は、外槽37に内包され、この外槽37と同軸上で回転自在に軸支されている。洗濯槽35の周壁及び底壁には、通水・通風のための貫通孔(図示せず)が多数設けられている。また、洗濯槽35の開口h2は、外槽37の開口h3とともに、閉状態のドア33に臨んでいる。
リフタ36は、洗濯中・乾燥中に衣類を持ち上げて落下させるものであり、洗濯槽35の内周壁に設置されている。
制振装置100は、前記した構成(リニアモータ10及びスプリング20:図3参照)の他に、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60と、を備えている。
なお、インバータ40に直流電圧を印加する「直流電源」は、交流電源Eと、整流回路Fと、を含んで構成される。
なお、図7では、左側のリニアモータを「リニアモータ10L」とし、右側のリニアモータを「リニアモータ10R」と記している。
図7に示す整流回路Fは、交流電源Eから印加される交流電圧を直流電圧に変換する周知の倍電圧整流回路である。図7に示すように、整流回路Fは、ダイオードD1〜D4がブリッジ接続されてなるダイオードブリッジ回路F1と、直列接続された2つの平滑コンデンサCと、を備えている。
整流回路Fは、正側の配線k1と、負側の配線k2を介してインバータ40に接続されるとともに、洗濯槽35(図5参照)を回転させる駆動機構38のインバータ38aにも接続されている。なお、駆動機構38は、インバータ38aと、モータ38bと、を備えている。
図7に示すように、インバータ40は、スイッチング素子S1,S2を備える第1のレグと、スイッチング素子S3,S4を備える第2のレグと、スイッチング素子S5,S6を備える第3のレグと、が並列接続された構成になっている。これらのスイッチング素子S1〜S6として、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。スイッチング素子S1〜S6には、それぞれ、還流ダイオードDが逆並列に接続されている。
図8に示すように、推力調整部60は、演算器61を備えている。この演算器61は、電流検出器50によって検出される電流iに所定の電流比例ゲインKpを乗算することによって、インバータ40の電圧指令V*を算出する機能を有している。
なお、リニアモータ10の可動子12(図3参照)の速度が大きいほど、電流iが大きな値になる。そこで、推力調整部60は、この電流iを大きくするように(つまり、外槽37に接続された可動子12の速度を小さくするように)、電圧指令V*を調整するようにしている。
第1実施形態によれば、推力調整部60は、リニアモータ10に流れる電流iに基づいて、外槽37の振動を打ち消すように推力を発生させる。これによって、制振装置100は、比較的簡素な方法で、外槽37の振動を適切に抑制できる。
第1実施形態では、推力調整部60における電流比例ゲインKpが一定であるものとして説明したが、この電流比例ゲインKpの大きさを変えることによって、リニアモータ10の粘性係数C[Ns/m]を変化させしてもよい。この粘性係数Cを変化させる方法について説明する。
例えば、式(3)に示す抵抗Rの大きさが変わると、リニアモータ10の粘性係数Cの大きさも変わる。また、推力調整部60(図8参照)が電流比例ゲインKpを変化させることによって、抵抗Rを変化させたのと同様の効果が奏される。つまり、電流比例ゲインKpを変化させることによって、リニアモータ10の粘性係数Cが変化する(つまり、制振装置100の減衰率が変化する)ようになっている。
第2実施形態は、リニアモータ10に流れる電流iと、外槽37の振動周波数fと、に基づいて、推力調整部60A(図10参照)がリニアモータ10の粘性係数Cを変化させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他(リニアモータ10や洗濯機Wの構成等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図10に示すように、制振装置100Aは、リニアモータ10と、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60Aと、を備えている。
図11に示すように、推力調整部60は、演算器61と、テーブル62と、を備えている。
演算器61は、電流検出器50によって検出される電流iに所定の電流比例ゲインKpを乗算することによって、電圧指令V*を算出する。
第2実施形態によれば、外槽37の振動周波数fに基づいて、リニアモータ10の粘性係数Cが可変制御される。したがって、第1実施形態よりも、外槽37の振動をさらに効果的に抑制できる。
なお、図12Aの実験では、洗濯槽35内の偏った所定位置に1kgの衣類を置いた状態で、洗濯槽35を回転させた(図12Bも同様)。
図12Bに示す実験では、洗濯槽35の回転速度を大きいほど(つまり、外槽37の振動周波数fが高いほど)、リニアモータ10の粘性係数Cを小さくするようにした。
図12Bに示すように、洗濯槽35の回転速度が約100[min−1]のときの外槽37の最大振幅は約5mmであり、図12Aに示す比較例の最大振幅(約10mm)の半分程度になっている。また、洗濯槽35の回転速度が500[min−1]以上の領域では、外槽37の振幅が1mm程度になっている。このように、第2実施形態によれば、粘性係数Cを可変制御することによって、第1実施形態よりも外槽37の振動を効果的に抑制できる。
第3実施形態は、リニアモータ10に通電される電流iと、インバータ40の電圧指令V*と、に基づいて、リニアモータ10の誘起電圧Emを推定する速度情報推定部70B(図13参照)を備える点が、第1実施形態とは異なっている。また、第3実施形態は、前記した誘起電圧Emと、リニアモータ10に流れる電流iと、に基づいて、推力調整部60B(図13参照)がリニアモータ10の推力を調整する点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(リニアモータ10や洗濯機Wの構成等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図13に示すように、制振装置100Bは、リニアモータ10と、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60Bと、速度情報推定部70Bと、を備えている。
速度情報推定部70Bは、電流検出器50によって検出される電流iと、推力調整部60Bによって算出されるインバータ40の電圧指令V*と、に基づいて、リニアモータ10で発生する誘起電圧Emを推定する。この誘起電圧Emは、以下の式(4)で表される。なお、電圧V、抵抗R、及びインダクタンスLについては、第1実施形態で説明したとおりである。
なお、リニアモータ10の誘起電圧Emと、可動子12の速度(つまり、振動する外槽37の速度)とは、以下の式(5)に示すように、比例関係になっている。したがって、誘起電圧Emは、「外槽37の速度に相当する値」であるといえる。
推力調整部60Bは、電流検出器50によって検出される電流i、及び、速度情報推定部70Bによって算出される誘起電圧Emに基づいて、所定の電圧指令V*を生成する。
減算器63は、電流検出器50の検出結果である電流iから、電流指令生成部65の算出結果である電流指令i*を減算する機能を有している。
電流指令生成部65は、速度情報推定部70Bから入力される誘起電圧Emの値に基づいて、誘起電圧Emを打ち消すようにインバータ40の電流指令i*を算出する機能を有している。
図15Aに示す例では、誘起電圧Emと電流指令i*とが比例関係になっており、その比例係数は負の値である。すなわち、電流指令生成部65(つまり、推力調整部60B)は、誘起電圧Emの絶対値が大きいほど、電流指令i*の絶対値を大きくする。このように、誘起電圧Emが大きいほど(外槽37が振動する速度が大きいほど)、電流指令i*の絶対値を大きくすることで、外槽37の振動を適切に抑制できる。
図15Bに示すように、誘起電圧Emを打ち消すための電流指令i*(絶対値)を固定値としてもよい。このようにしても、制振装置100Bによって外槽37の振動を適切に抑制できる。
図15Cに示す例では、誘起電圧Emがゼロ付近でない領域に関しては図15Bと同様であるが、誘起電圧Emがゼロ付近の領域では、電流指令生成部65によって(つまり、推力調整部60Bによって)、電流指令i*がゼロに設定される。
第3実施形態によれば、電流i及び電圧指令V*に基づいて誘起電圧Em(外槽37の速度に相当する値)が推定され、この誘起電圧Em等に基づいてリニアモータ10が制御される。つまり、外槽37の時々刻々の速度を打ち消すようにリニアモータ10の推力を発生させることで、外槽37の振動を効果的に抑制できる。
第4実施形態は、リニアモータ10の推力の調整方法が第3実施形態とは異なっているが、その他の点(リニアモータ10や洗濯機Wの構成等)については、第3実施形態と同様である。したがって、第3実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図16に示すように、制振装置100Cは、リニアモータ10と、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60Cと、速度情報推定部70Cと、を備えている。
推力調整部60Cは、電流i、誘起電圧Em、及び外槽37(制振対象物G)の振動周波数fに基づいて、電圧指令V*を算出する機能を有している。
図17に示すように、推力調整部60Bは、減算器63と、ACR64と、テーブル66と、電流指令生成部67と、を備えている。なお、減算器63及びACR64については、第3実施形態(図14参照)と同様であるから、説明を省略する。
第4実施形態によれば、速度情報推定部70Cによって、時々刻々の誘起電圧Em(外槽37の速度に相当する値)が推定され、この誘起電圧Emを打ち消すように、推力調整部60Cによってリニアモータ10の推力が調整される。さらに、外槽37の振動周波数fが高いほど電流指令i*が大きな値に設定されるため、外槽37の振動を効果的に抑制できる。これによって、低コストかつ制振性の高い洗濯機Wを提供できる。
以上、本発明に係る制振装置100等について実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、各実施形態では、一つのインバータ40(図7参照)によって、左右のリニアモータ10L,10Rを駆動する構成について説明したが、これに限らない。
図18に示すように、左側のリニアモータ10Lを駆動するインバータ40Lと、右側のリニアモータ10Rを駆動するインバータ40Rを別々に設けてもよい。
インバータ40Lは、ブリッジ接続された4つのスイッチング素子S11〜S14を備えている。そして、第1のレグを構成するスイッチング素子S11,S12の接続点、及び、第2のレグを構成するスイッチング素子S13,S14の接続点が、それぞれ、リニアモータ10Lに接続されている。なお、右側のリニアモータ10Rを駆動するインバータ40Rも同様の構成を備えている。このように2つのインバータ40L,40Rを設けることで、左右のリニアモータ10L,10Rを独立に制御できる。
また、各実施形態では、単相交流電力でリニアモータ10を駆動する構成について説明したが、例えば、3相交流電力でリニアモータ10を駆動させてもよい。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
10 リニアモータ
10L リニアモータ(一方のリニアモータ)
10R リニアモータ(他方のリニアモータ)
11 固定子
12 可動子
121b,122b,123b 永久磁石
20 スプリング
35 洗濯槽
37 外槽(制振対象物)
38 駆動機構
40,40L,40R インバータ
50 電流検出器
60,60A,60B,60C 推力調整部
70B,70C 速度情報推定部
G 制振対象物
W 洗濯機
Claims (10)
- 制振対象物に接続されるリニアモータと、
前記リニアモータを駆動するインバータと、
前記リニアモータに通電される電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器によって検出される電流に基づき、前記インバータを駆動することによって、前記リニアモータの推力を調整する推力調整部と、を備えること
を特徴とする制振装置。 - 前記推力調整部は、前記電流検出器によって検出される電流に所定の電流比例ゲインを乗算することによって、前記インバータの電圧指令を算出し、前記電流が大きいほど、前記電流比例ゲインを大きくすること
を特徴とする請求項1に記載の制振装置。 - 前記推力調整部は、前記電流検出器によって検出される電流に所定の電流比例ゲインを乗算することによって、前記インバータの電圧指令を算出し、前記制振対象物の振動周波数が高いほど、前記電流比例ゲインを大きくすること
を特徴とする請求項1に記載の制振装置。 - 前記電流検出器によって検出される電流と、前記推力調整部によって算出される前記インバータの電圧指令と、に基づいて、前記制振対象物の速度に相当する値を推定する速度情報推定部を備え、
前記推力調整部は、前記速度に相当する値を打ち消すように前記インバータの電流指令を算出し、前記電流を前記電流指令に近づけるように、前記電圧指令を算出すること
を特徴とする請求項1に記載の制振装置。 - 前記推力調整部は、前記速度に相当する値の絶対値が大きいほど、前記電流指令の絶対値を大きくすること
を特徴とする請求項4に記載の制振装置。 - 前記推力調整部は、前記速度に相当する値がゼロ付近の領域では、前記電流指令をゼロに設定すること
を特徴とする請求項4に記載の制振装置。 - 前記推力調整部は、前記制振対象物の振動周波数が高いほど、前記電流指令を大きくすること
を特徴とする請求項4に記載の制振装置。 - 単相交流電力で駆動する一対の前記リニアモータを備え、
前記インバータは、三相フルブリッジインバータであり、
前記三相フルブリッジインバータの一相分に対応するレグが、一方の前記リニアモータに接続され、
前記三相フルブリッジインバータの一相分に対応する別のレグが、他方の前記リニアモータに接続され、
前記三相フルブリッジインバータの残りのレグが、一方及び他方の前記リニアモータに接続されること
を特徴とする請求項1に記載の制振装置。 - 前記リニアモータは、電機子である固定子と、永久磁石を有する可動子と、を有し、
前記永久磁石は、サマリウム‐鉄‐窒素系の永久磁石であること
を特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の制振装置。 - 衣類を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽を内包する外槽と、
前記洗濯槽を回転させる駆動機構と、を備えるとともに、
制振対象物である前記外槽に接続されるリニアモータと、
前記リニアモータを駆動するインバータと、
前記リニアモータに通電される電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器によって検出される電流に基づき、前記インバータを駆動することによって、前記リニアモータの推力を調整する推力調整部と、を有する制振装置を備えること
を特徴とする洗濯機。
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