JP2018046624A - 制振装置及び洗濯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】制振対象物の振動を適切に抑制する低コストな制振装置等を提供する。【解決手段】制振装置100は、制振対象物Gに接続されるリニアモータ10と、リニアモータ10を駆動するインバータ40と、リニアモータ10に通電される電流を検出する電流検出器50と、電流検出器50によって検出される電流に基づき、インバータ40を駆動することによってリニアモータ10の推力を調整する推力調整部60と、を備える。これによって、制振対象物Gの振動を適切に抑制できる。【選択図】図6

Description

本発明は、制振対象物の振動を抑制する制振装置等に関する。
リニアモータを備える機器として、例えば、特許文献1には、リニアモータによってシリンダ内でピストンを移動させ、ガスを圧縮するリニア圧縮機について記載されている。
また、特許文献2には、リニアモータの可動子の相対位置を検出する位置センサと、この位置センサの検出値等に基づいて制振対象物の振動を抑制する制御装置と、を備える制振制御システムについて記載されている。
特開2003−214353号公報 特開2010−78075号公報
特許文献1に記載の技術では、リニア圧縮機のピストンを上死点と下死点との間で過不足なく往復させるために、リニアモータのモータ定数がオートチューニングされる。つまり、特許文献1に記載の技術は、諸条件が変わってもリニアモータの振幅を一定とするものであり、この振幅を時々刻々と変化させるものではない。
また、特許文献2に記載の技術では、リニアモータの可動子の相対位置を検出する位置センサが設けられるため、製造コストの増加を招くという事情がある。
そこで、本発明は、制振対象物の振動を適切に抑制する低コストな制振装置等を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、制振対象物に接続されるリニアモータと、前記リニアモータを駆動するインバータと、前記リニアモータに通電される電流を検出する電流検出器と、前記電流検出器によって検出される電流に基づき、前記インバータを駆動することによって、前記リニアモータの推力を調整する推力調整部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、制振対象物の振動を適切に抑制する低コストな制振装置等を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る制振装置が備えるリニアモータの縦断面図である。 図1のII−II線矢視端面図である。 本発明の第1実施形態に係る制振装置の斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る制振装置を備える洗濯機の斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る制振装置を備える洗濯機の縦断面図である。 本発明の第1実施形態に係る制振装置の構成図である。 本発明の第1実施形態に係る制振装置が備えるインバータを含む構成図である。 本発明の第1実施形態に係る制振装置の推力調整部等を含む全体の制御ブロック線図である。 図8に示す一次遅れ要素(1/(R+sL))と等価な制御ブロック線図である。 本発明の第2実施形態に係る制振装置の構成図である。 本発明の第2実施形態に係る制振装置が備える推力調整部の制御ブロック線図である。 粘性係数が一定であるオイルダンパを用いた比較例において、洗濯槽の回転速度と外槽の変位の変化を示す実験結果である。 本発明の第2実施形態において、洗濯槽の回転速度と外槽の変位の変化を示す実験結果である。 本発明の第3実施形態に係る制振装置の構成図である。 本発明の第3実施形態に係る制振装置が備える推力調整部及び速度情報推定部を含む制御ブロック線図である。 本発明の第3実施形態に係る制振装置において、誘起電圧Eに基づいて電流指令iを生成する際に用いられる関数の例を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る制振装置において、誘起電圧Eに基づいて電流指令iを生成する際に用いられる関数の別の例を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る制振装置において、誘起電圧Eに基づいて電流指令iを生成する際に用いられる関数の別の例を示す説明図である。 本発明の第4実施形態に係る制振装置の構成図である。 本発明の第4実施形態に係る制振装置が備える推力調整部を含む制御ブロック線図である。 本発明の変形例に係る制振装置の構成図である。
以下の各実施形態では、一例として、リニアモータ10(図1参照)によって洗濯機W(図4参照)の振動を抑制する構成について説明する。
≪第1実施形態≫
図1は、制振装置が備えるリニアモータ10の縦断面図である。
なお、図1に示すように、xyz軸を定める。また、図1では、x方向においてリニアモータ10の半分を図示しているが、リニアモータ10の構成は、yz平面を基準として対称になっている。
リニアモータ10は、電機子である固定子11と、z方向に延びる板状の可動子12と、の間の磁気的な吸引力・反発力(つまり、推力)によって、固定子11と可動子12との相対位置をz方向で直線的に変化させるモータである。図1に示すように、リニアモータ10は、洗濯機W(図5参照)の外槽37(制振対象物)に接続されている。具体的には、リニアモータ10の可動子12が、外槽37に接続されている。
図1に示すように、リニアモータ10は、固定子11と、可動子12と、を備えている。固定子11は、電磁鋼板がz方向に積層されてなるコア11aと、このコア11aの磁極歯Tに巻回される巻線11bと、を備えている。
図2は、図1のII−II線矢視端面図である。なお、図2では、x方向におけるリニアモータ10の半分(図1参照)ではなく、リニアモータ10の全体を図示している。
図2に示すように、固定子11のコア11aは、環状部Sと、磁極歯T,Tと、を備えている。
環状部Sは、縦断面視で環状(矩形枠状)を呈しており、この環状部Sによって磁気回路が構成されている。一対の磁極歯T,Tは、環状部Sからy方向内側に延びており、互いに対向している。なお、磁極歯T,Tの間の距離は、板状を呈する可動子12の厚さよりも若干長くなっている。磁極歯T,Tには、それぞれ、巻線11bが巻回されている。この巻線11bに通電することによって、固定子11が電磁石として機能するようになっている。
図1に示す例では、z方向(可動子12の移動方向)において、2対の磁極歯Tが設けられている。また、2対の磁極歯Tのそれぞれに巻回されている巻線11bは、一本の巻線をなしており、その両端が、後記するインバータ40(図6参照)の出力側に接続されている。
図2に示す可動子12は、環状を呈するコア11aを貫通して、z方向に延びている。また、図1に示すように、可動子12は、z方向に延びる複数の金属板12aと、z方向で所定の間隔を設けて金属板12aに設置される永久磁石121b,122b,123bと、を備えている。なお、1枚の金属板に複数の永久磁石を貼り付けてもよいし、また、1枚の金属板に複数の永久磁石を埋設してもよい。
図1に示す永久磁石121b,122b,123bは、y方向に磁化されている。より詳しく説明すると、y方向正側の向きに磁化された永久磁石(例えば、永久磁石121b,123b)と、y方向負側の向きに磁化された永久磁石(例えば、永久磁石122b)と、がz方向において交互に配置されている。そして、可動子12と、電磁石として機能する固定子11と、の吸引力・反発力によって、可動子12にz方向の推力が作用するようになっている。なお、「推力」とは、可動子12と固定子11との相対位置を変化させる力である。
また、永久磁石121b,122b,123bとして、サマリウム‐鉄‐窒素系の永久磁石を用いることが望ましい。永久磁石121b,122b,123bの原料の具体的な割合(重量%)は、例えば、鉄:約73%、サマリウム:約24%、窒素:約3%である。前記した原料のうち、希土類元素はサマリウムである。
これに対して、従来のネオジム磁石では、鉄:約65%、ネオジム:約28%、ジスプロシウム:約5%、ボロン:約2%の割合のものが多く使用されていた。前記した原料のうち、希土類元素はネオジム及びジスプロシウムである。したがって、サマリウム‐鉄‐窒素系の永久磁石121b,122b,123bは、希土類元素の割合が従来のネオジム磁石よりも小さいため、市場動向の影響を受けにくく、生産性の向上につながるという利点がある。
さらに、サマリウム‐鉄‐窒素系の永久磁石121b,122b,123bは、従来のネオジム磁石やフェライト磁石とは異なり、樹脂に練り込んで金型成形することが可能である。したがって、従来よりも永久磁石121b,122b,123bの加工精度を向上させ、その寸法ばらつきを小さくすることができる。また、金型成形の際に原料の無駄な部分が残っても再利用できるため、原料のロスがなくなり、製造コストを削減できる。
図3は、リニアモータ10を備える制振装置100の斜視図である。
制振装置100は、前記したリニアモータ10と、スプリング20と、を備える電磁サスペンションであり、「制振対象物」である外槽37の振動(つまり、洗濯機Wの振動:図5参照)を抑制する機能を有している。
図3に示すように、リニアモータ10の可動子12の一端は、洗濯機W(図5参照)の外槽37に接続され、他端は固定治具Jに接続されている。また、リニアモータ10の固定子11は、図示はしないが、別の固定治具(図示せず)によって、その移動が規制されている。したがって、洗濯機Wの外槽37がz方向に振動すると、それに伴って可動子12がz方向で往復し、可動子12と固定子11との相対的な位置関係が変化するようになっている。
スプリング20は、固定子11に弾性力を付与するバネであり、固定子11と固定治具Jとの間に介在している。図3に示すように、可動子12は、固定子11を貫通するとともに、スプリング20も貫通している。
図4は、制振装置100を備える洗濯機Wの斜視図である。
なお、制振装置100は、洗濯機Wの内部に設置されているため(図5参照)、図4では制振装置100を図示していない。
図4に示す洗濯機Wは、ドラム式の洗濯機であり、また、衣類を乾燥する機能も有している。洗濯機Wは、前記した制振装置100(図5参照)と、ベース31と、筐体32と、ドア33と、操作・表示パネル34と、排水ホースHと、を備えている。
ベース31は、筐体32を支持するものである。
筐体32は、左右の側板32a,32aと、前面カバー32bと、背面カバー32c(図5参照)と、上面カバー32dと、を備えている。前面カバー32bの中央付近には、衣類を出し入れするための円形の投入口h1(図5参照)が形成されている。
ドア33は、前記した投入口h1に設けられる開閉可能な蓋である。
操作・表示パネル34は、電気スイッチ・操作スイッチ・表示器等が設けられたパネルであり、上面カバー32dに設置されている。
排水ホースHは、外槽37(図5参照)の洗濯水を排出するためのホースであり、外槽37に接続されている。
図5は、制振装置100を備える洗濯機Wの縦断面図である。
洗濯機Wは、前記した構成の他に、洗濯槽35と、リフタ36と、外槽37と、駆動機構38と、送風ユニット39と、を備えている。
洗濯槽35は、衣類を収容するものであり、有底円筒状を呈している。洗濯槽35は、外槽37に内包され、この外槽37と同軸上で回転自在に軸支されている。洗濯槽35の周壁及び底壁には、通水・通風のための貫通孔(図示せず)が多数設けられている。また、洗濯槽35の開口h2は、外槽37の開口h3とともに、閉状態のドア33に臨んでいる。
なお、図5に示す例において洗濯槽35の回転中心軸は、開口側が高くなるように傾斜しているが、これに限らない。すなわち、洗濯槽35の回転中心軸は、水平方向であってもよいし、また、鉛直方向であってもよい。
リフタ36は、洗濯中・乾燥中に衣類を持ち上げて落下させるものであり、洗濯槽35の内周壁に設置されている。
外槽37は、洗濯水の貯留等を行うものであり、有底円筒状を呈している。図5に示すように、外槽37は、洗濯槽35を内包している。外槽37の左右には、リニアモータ10(固定子11・可動子12)及びスプリング20がそれぞれ設置されている。なお、図5では、左右のリニアモータ10の一方を図示している。
また、外槽37の底壁の最下部には排水孔(図示せず)が設けられ、この排水孔に排水ホースHが接続されている。そして、排水ホースHに設けられた排水弁(図示せず)が閉弁された状態で外槽37に洗濯水が貯留され、また、排水弁が開弁されることで洗濯水が排出されるようになっている。
駆動機構38は、洗濯槽35を回転させる機構であり、外槽37の底壁の外側に設置されている。駆動機構38が備えるモータ38b(図7参照)の回転軸は、外槽37の底壁を貫通して、洗濯槽35の底壁に連結されている。
送風ユニット39は、洗濯槽35に温風を送り込むものであり、洗濯槽35の上側に配置されている。送風ユニット39は、ヒータ(図示せず)及びファン(図示せず)を備えている。そして、ヒータで熱せられた空気が、ファンによって洗濯槽35に送り込まれるようになっている。これによって、水を含んだ衣類が、洗濯槽35内で徐々に乾燥する。
図6は、制振装置100の構成図である。なお、図6では、左右の2つのリニアモータ10のうち一方を図示し、他方を省略している。また、図6に示す制振対象物Gは、洗濯機W(図5参照)の外槽37(図5参照)である。
制振装置100は、前記した構成(リニアモータ10及びスプリング20:図3参照)の他に、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60と、を備えている。
インバータ40は、整流回路Fから印加される直流電圧を、推力調整部60からの電圧指令Vに基づいて単相交流電圧に変換し、この単相交流電圧をリニアモータ10の巻線11b(図2参照)に印加する電力変換器である。つまり、インバータ40は、前記した電圧指令Vに基づいて、リニアモータ10を駆動する機能を有している。
なお、インバータ40に直流電圧を印加する「直流電源」は、交流電源Eと、整流回路Fと、を含んで構成される。
図7は、制振装置100が備えるインバータ40を含む構成図である。
なお、図7では、左側のリニアモータを「リニアモータ10L」とし、右側のリニアモータを「リニアモータ10R」と記している。
図7に示す整流回路Fは、交流電源Eから印加される交流電圧を直流電圧に変換する周知の倍電圧整流回路である。図7に示すように、整流回路Fは、ダイオードD1〜D4がブリッジ接続されてなるダイオードブリッジ回路F1と、直列接続された2つの平滑コンデンサCと、を備えている。
そして、ダイオードブリッジ回路F1から印加される電圧(脈流を含む直流電圧)が、平滑コンデンサCによって平滑化され、交流電源Eの電圧の略2倍に相当する直流電圧が生成されるようになっている。
整流回路Fは、正側の配線k1と、負側の配線k2を介してインバータ40に接続されるとともに、洗濯槽35(図5参照)を回転させる駆動機構38のインバータ38aにも接続されている。なお、駆動機構38は、インバータ38aと、モータ38bと、を備えている。
インバータ40は、前記した「直流電源」から印加される直流電圧を単相交流電圧に変換し、この単相交流電圧をリニアモータ10L,10Rの巻線11b(図2参照)に印加する三相フルブリッジインバータである。
図7に示すように、インバータ40は、スイッチング素子S1,S2を備える第1のレグと、スイッチング素子S3,S4を備える第2のレグと、スイッチング素子S5,S6を備える第3のレグと、が並列接続された構成になっている。これらのスイッチング素子S1〜S6として、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。スイッチング素子S1〜S6には、それぞれ、還流ダイオードDが逆並列に接続されている。
また、スイッチング素子S1,S2の接続点は、配線k3を介して、リニアモータ10Lの巻線11b(図2参照)に接続されている。つまり、三相のインバータ40の一相分に対応するレグが、左側(一方)のリニアモータ10Lに接続されている。
また、スイッチング素子S5,S6の接続点は、配線k5を介して、リニアモータ10Rの巻線11b(図2参照)に接続されている。つまり、三相のインバータ40の一相分に対応する別のレグが、右側(他方)のリニアモータ10Lに接続されている。
また、スイッチング素子S3,S4の接続点は、配線k4を介してリニアモータ10Lの巻線11b(図2参照)に接続されるとともに、この配線k4を介してリニアモータ10Rの巻線11bにも接続されている。つまり、3相のインバータ40の残りのレグが、左側(一方)のリニアモータ10L、及び右側(他方)のリニアモータ10Rに接続されている。
このように、左右のリニアモータ10L,10Rに対応して別々にインバータを設けるのではなく、左右を一つのインバータ40として共通化することで、インバータ40のコストを削減できる。そして、PWM制御(Pulse Width Modulation)に基づいてスイッチング素子S1〜S6のオン・オフが制御されることで、リニアモータ10L,10Rの巻線11b(図2参照)に単相交流電圧が印加されるようになっている。
電流検出器50は、リニアモータ10L,10Rに通電される電流を検出するものであり、配線k6に設けられている。つまり、電流検出器50によって、リニアモータ10L,10Rの巻線11b(図2参照)に流れる電流が検出される。なお、前記した配線k6は、スイッチング素子S2,SS4,S6のエミッタと、インバータ38aの入力側と、を接続する配線である。
図6に示す推力調整部60は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
推力調整部60は、電流検出器50によって検出される電流iに基づき、インバータ40を駆動することによって、リニアモータ10の推力を調整する機能を有している。つまり、推力調整部60は、前記した電流iに基づいて所定の電圧指令Vを生成し、この電圧指令Vに基づいてスイッチング素子S1〜S6のオン・オフを切り替える。詳細については後記するが、外槽37(図5参照)の振動に伴って可動子12と固定子11との相対位置が変化すると、この変化を打ち消すように、推力調整部60がリニアモータ10の推力を調整するようになっている。
ここで、外槽37の振動(つまり、洗濯機Wの振動)について簡単に説明する。洗い・すすぎ・乾燥時には、図5に示す駆動機構38によって洗濯槽35が低速回転し、洗濯槽35の底に溜まった衣類をリフタ36によって持ち上げて落下させるタンブリング動作が繰り返される。また、脱水時には洗濯槽35が高速回転し、回転による遠心力で衣類の水分を外に押し出す遠心脱水が行われる。
なお、従来の洗濯機では、洗い・すすぎ・乾燥時において、落下する衣類の反力で洗濯槽35の振動の振幅が大きくなることが多かった。また、従来の洗濯機では、脱水時において、衣類の位置の偏りに起因して、洗濯機Wで振動・騒音が発生することが多かった。このように、洗濯槽35における衣類の量や位置の偏り、含水率の他、洗い・すすぎ・乾燥・脱水等の諸条件によって、洗濯機Wの振動の仕方は時々刻々と変化する。その振動は外槽37に伝播する。
図8は、推力調整部60等を含む全体の制御ブロック線図である。
図8に示すように、推力調整部60は、演算器61を備えている。この演算器61は、電流検出器50によって検出される電流iに所定の電流比例ゲインKpを乗算することによって、インバータ40の電圧指令Vを算出する機能を有している。
なお、リニアモータ10の可動子12(図3参照)の速度が大きいほど、電流iが大きな値になる。そこで、推力調整部60は、この電流iを大きくするように(つまり、外槽37に接続された可動子12の速度を小さくするように)、電圧指令Vを調整するようにしている。
この電圧指令Vに基づいてインバータ40が制御されることによって、リニアモータ10の巻線11b(図2参照)に所定の電圧Vが印加される。この電圧Vが、可動子12の速度(図8では、「x」の上に「・」として記載)に反映されるまでの流れが、枠線Q内に示されている。
すなわち、インバータ40の出力側の電圧Vから、リニアモータ10の誘起電圧Eを減算した電圧(V−E)が、巻線11bに印加される。この電圧(V−E)と、巻線11bの抵抗R及びインダクタンスLに基づく一次遅れ要素(1/(R+sL))と、によって、巻線11bに所定の電流iが流れる。この電流iに、リニアモータ10の特性を示すモータ定数Ke(「逆起電力定数」ともいう)を乗算した値が、リニアモータ10の推力になる。つまり、固定子11と可動子12との相対位置をz方向で移動させる推力が発生する。そして、前記した推力と、積分要素(1/sM)と、によって、可動子12の速度が変化する。なお、Mは外槽37の質量である。
また、可動子12の速度にモータ定数Keを乗算した値に等しい誘起電圧Eが、リニアモータ10の巻線11b(図2参照)に発生する。この誘起電圧Eは、外槽37の振動によって時々刻々と変化し、それに伴って、巻線11bに流れる電流iも変化する。この電流iに基づき、推力調整部60がリニアモータ10の推力を調整することによって、外槽37の振動を抑制するようにしている。
例えば、外槽37の振動中、z方向上向きに可動子12(図3参照)が移動すると、推力調整部60は、リニアモータ10において可動子12の移動(つまり、外槽37の振動)を抑制する下向きの推力を発生させる。一方、z方向下向きに可動子12が移動すると、推力調整部60は、リニアモータ10において可動子12の移動を抑制する上向きの推力を発生させる。これによって、外槽37の振動が抑制され、ひいては、洗濯機Wの振動が抑制される。
<効果>
第1実施形態によれば、推力調整部60は、リニアモータ10に流れる電流iに基づいて、外槽37の振動を打ち消すように推力を発生させる。これによって、制振装置100は、比較的簡素な方法で、外槽37の振動を適切に抑制できる。
また、第1実施形態によれば、可動子12の位置を検出する位置センサを設ける必要がないため、洗濯機Wの低コスト化を図ることができる。また、リニアモータ10は、その構成要素(固定子11・可動子12)の損傷や摩耗がほとんど発生しないため、制振装置100の耐久性を高めることができる。
また、左右のリニアモータ10L,10R(図7参照)に印加される単相交流電圧が、一つのインバータ40によって生成される。したがって、左右のリニアモータ10L,10Rに対応して別々にインバータを設ける構成と比較して、洗濯機Wの低コスト化を図ることができる。
また、サマリウム‐鉄‐窒素系の永久磁石121b,122b,123b(図1参照)を用いることで、前記したように、ネオジム磁石を用いる従来技術と比較して、永久磁石121b,122b,123bの低コスト化を図ることができる。したがって、洗濯機Wの製造コストを削減できる。
≪第1実施形態の変形例≫
第1実施形態では、推力調整部60における電流比例ゲインKpが一定であるものとして説明したが、この電流比例ゲインKpの大きさを変えることによって、リニアモータ10の粘性係数C[Ns/m]を変化させしてもよい。この粘性係数Cを変化させる方法について説明する。
電磁サスペンションである制振装置100の運動方程式は、以下の式(1)で表される。なお、式(1)に示すF[N]は、制振装置100で発生する力(つまり、リニアモータ10の推力)である。また、x[m]は、可動子12の位置である。
Figure 2018046624
また、リニアモータ10の推力の運動方程式は、式(2)で表される。なお、F[N]はリニアモータ10の推力であり、Ke[N/A]はリニアモータ10のモータ定数である。また、I[A]は巻線11b(図2参照)に流れる電流であり、V[V]は巻線11bに印加される電圧である。また、R[Ω]は巻線11bの抵抗であり、φ[T]は巻線11bで発生する磁束である。
Figure 2018046624
ここで、式(1)の力Fと、式(2)の推力Fと、は等価であるため、以下の式(3)が導かれる。なお、C[N・m/rad]は、リニアモータ10の粘性係数である。
Figure 2018046624
図9は、図8に示す一次遅れ要素(1/(R+sL))と等価な制御ブロック線図である。
例えば、式(3)に示す抵抗Rの大きさが変わると、リニアモータ10の粘性係数Cの大きさも変わる。また、推力調整部60(図8参照)が電流比例ゲインKpを変化させることによって、抵抗Rを変化させたのと同様の効果が奏される。つまり、電流比例ゲインKpを変化させることによって、リニアモータ10の粘性係数Cが変化する(つまり、制振装置100の減衰率が変化する)ようになっている。
図8に示す推力調整部60は、電流検出器50によって検出される電流iが大きいほど(つまり、外槽37の振動に伴う可動子12の移動速度が大きいほど)、電流比例ゲインKpを大きくする。これによって、リニアモータ10でより大きな推力を発生させ、外槽37の振動を効果的に抑制できる。
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、リニアモータ10に流れる電流iと、外槽37の振動周波数fと、に基づいて、推力調整部60A(図10参照)がリニアモータ10の粘性係数Cを変化させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他(リニアモータ10や洗濯機Wの構成等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図10は、第2実施形態に係る制振装置100Aの構成図である。
図10に示すように、制振装置100Aは、リニアモータ10と、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60Aと、を備えている。
推力調整部60Aは、電流検出器50によって検出される電流iに所定の電流比例ゲインKpを乗算することによって、インバータ40の電圧指令Vを算出する機能を有している。また、推力調整部60Aは、外槽37(制振対象物G)の振動周波数fが高いほど、前記した電流比例ゲインKpを大きくする機能を有している。
なお、外槽37の振動周波数fと、洗濯槽35の回転速度と、は比例関係になっている。したがって、推力調整部60Aは、前記した駆動機構38(図5参照)から入力される洗濯槽35の回転周波数に基づいて、外槽37の振動周波数fを演算するようにしている。したがって、外槽37の振動周波数fを検出するセンサを設ける必要がないため、洗濯機Wの低コスト化を図ることができる。
図11は、制振装置100Aが備える推力調整部60Aの制御ブロック線図である。
図11に示すように、推力調整部60は、演算器61と、テーブル62と、を備えている。
演算器61は、電流検出器50によって検出される電流iに所定の電流比例ゲインKpを乗算することによって、電圧指令Vを算出する。
テーブル62には、外槽37の振動周波数fと、電流比例ゲインKpと、の関係を示すデータが予め記憶されている。具体的には、テーブル62のデータに基づき、外槽37の振動周波数fが高いほど、電流比例ゲインKpが大きな値に設定されるようになっている。つまり、外槽37の振動周波数fが高いほど、制振装置100A(図10参照)の粘性係数Cが小さくなり、リニアモータ10でより大きな推力が発生する。これによって、外槽37の振動を効果的に抑制できる。
なお、外槽37の振動周波数fは、洗濯槽35における衣類の重量や位置、運転モード等によって時々刻々と変化するため、それに伴って推力調整部60は、電流比例ゲインKpを時々刻々と変化させる。
<効果>
第2実施形態によれば、外槽37の振動周波数fに基づいて、リニアモータ10の粘性係数Cが可変制御される。したがって、第1実施形態よりも、外槽37の振動をさらに効果的に抑制できる。
図12Aは、粘性係数Cが一定であるオイルダンパを用いた比較例において、洗濯槽35の回転速度と外槽37の変位(振動)の変化を示す実験結果である。
なお、図12Aの実験では、洗濯槽35内の偏った所定位置に1kgの衣類を置いた状態で、洗濯槽35を回転させた(図12Bも同様)。
図12Aに示すように、洗濯槽35の回転速度が大きくなるにつれて、外槽37の振幅が変化している。具体的には、洗濯槽35の回転速度をゼロから増加させると、約50[min−1]の回転速度において外槽37の振幅が一旦減少し、約100[min−1]の回転速度において外槽37の振幅が急激に大きくなって最大振幅になっている。また、105〜170[min−1]の回転速度において外槽37の振幅が増加し、200[min−1]以上の領域では、洗濯槽35の回転速度が大きくなるにつれて、外槽37の振幅は小さくなっている。
図12Bは、第2実施形態において、洗濯槽35の回転速度と外槽37の変位(振動)の変化を示す実験結果である。
図12Bに示す実験では、洗濯槽35の回転速度を大きいほど(つまり、外槽37の振動周波数fが高いほど)、リニアモータ10の粘性係数Cを小さくするようにした。
図12Bに示すように、洗濯槽35の回転速度が約100[min−1]のときの外槽37の最大振幅は約5mmであり、図12Aに示す比較例の最大振幅(約10mm)の半分程度になっている。また、洗濯槽35の回転速度が500[min−1]以上の領域では、外槽37の振幅が1mm程度になっている。このように、第2実施形態によれば、粘性係数Cを可変制御することによって、第1実施形態よりも外槽37の振動を効果的に抑制できる。
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、リニアモータ10に通電される電流iと、インバータ40の電圧指令Vと、に基づいて、リニアモータ10の誘起電圧Eを推定する速度情報推定部70B(図13参照)を備える点が、第1実施形態とは異なっている。また、第3実施形態は、前記した誘起電圧Eと、リニアモータ10に流れる電流iと、に基づいて、推力調整部60B(図13参照)がリニアモータ10の推力を調整する点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(リニアモータ10や洗濯機Wの構成等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図13は、第3実施形態に係る制振装置100Bの構成図である。
図13に示すように、制振装置100Bは、リニアモータ10と、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60Bと、速度情報推定部70Bと、を備えている。
速度情報推定部70Bは、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
速度情報推定部70Bは、電流検出器50によって検出される電流iと、推力調整部60Bによって算出されるインバータ40の電圧指令Vと、に基づいて、リニアモータ10で発生する誘起電圧Eを推定する。この誘起電圧Eは、以下の式(4)で表される。なお、電圧V、抵抗R、及びインダクタンスLについては、第1実施形態で説明したとおりである。
Figure 2018046624
速度情報推定部70Bは、式(4)に基づいて、リニアモータ10の誘起電圧Eを算出し、この誘起電圧Eの値を推力調整部60Bに出力する。
なお、リニアモータ10の誘起電圧Eと、可動子12の速度(つまり、振動する外槽37の速度)とは、以下の式(5)に示すように、比例関係になっている。したがって、誘起電圧Eは、「外槽37の速度に相当する値」であるといえる。
Figure 2018046624
図14は、制振装置100Bが備える推力調整部60B及び速度情報推定部70Bを含む制御ブロック線図である。
推力調整部60Bは、電流検出器50によって検出される電流i、及び、速度情報推定部70Bによって算出される誘起電圧Eに基づいて、所定の電圧指令Vを生成する。
図14に示すように、推力調整部60Bは、減算器63と、ACR64(Automatic current regulator)と、電流指令生成部65と、を備えている。
減算器63は、電流検出器50の検出結果である電流iから、電流指令生成部65の算出結果である電流指令iを減算する機能を有している。
ACR64は、前記した電流iを電流指令iに近づけるように、電圧指令Vを算出する機能を有している。そして、ACR64で算出された電圧Vに基づいて、インバータ40(図13参照)が制御されるようになっている。
電流指令生成部65は、速度情報推定部70Bから入力される誘起電圧Eの値に基づいて、誘起電圧Eを打ち消すようにインバータ40の電流指令iを算出する機能を有している。
図15Aは、誘起電圧Eに基づいて電流指令iを生成する際に用いられる関数の例を示す説明図である。
図15Aに示す例では、誘起電圧Eと電流指令iとが比例関係になっており、その比例係数は負の値である。すなわち、電流指令生成部65(つまり、推力調整部60B)は、誘起電圧Eの絶対値が大きいほど、電流指令iの絶対値を大きくする。このように、誘起電圧Eが大きいほど(外槽37が振動する速度が大きいほど)、電流指令iの絶対値を大きくすることで、外槽37の振動を適切に抑制できる。
図15Bは、誘起電圧Eに基づいて電流指令iを算出する際に用いられる関数の別の例を示す説明図である。
図15Bに示すように、誘起電圧Eを打ち消すための電流指令i(絶対値)を固定値としてもよい。このようにしても、制振装置100Bによって外槽37の振動を適切に抑制できる。
図15Cは、誘起電圧Eに基づいて電流指令iを算出する際に用いられる関数の別の例を示す説明図である。
図15Cに示す例では、誘起電圧Eがゼロ付近でない領域に関しては図15Bと同様であるが、誘起電圧Eがゼロ付近の領域では、電流指令生成部65によって(つまり、推力調整部60Bによって)、電流指令iがゼロに設定される。
なお、前記した図15Bの例では、誘起電圧Eがゼロ付近の領域で電流指令iの正負が交互に入れかわるため、場合によっては、リニアモータ10の動作が不安定になりやすい。そこで、図15Cに示すように、電流指令iがゼロの不感帯を設けることによって、リニアモータ10の推力を安定的に制御できる。
<効果>
第3実施形態によれば、電流i及び電圧指令Vに基づいて誘起電圧E(外槽37の速度に相当する値)が推定され、この誘起電圧E等に基づいてリニアモータ10が制御される。つまり、外槽37の時々刻々の速度を打ち消すようにリニアモータ10の推力を発生させることで、外槽37の振動を効果的に抑制できる。
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、リニアモータ10の推力の調整方法が第3実施形態とは異なっているが、その他の点(リニアモータ10や洗濯機Wの構成等)については、第3実施形態と同様である。したがって、第3実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図16は、第4実施形態に係る制振装置100Cの構成図である。
図16に示すように、制振装置100Cは、リニアモータ10と、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60Cと、速度情報推定部70Cと、を備えている。
速度情報推定部70Cは、第3実施形態で説明した速度情報推定部70B(図13参照)と同様の方法で、電圧指令V及び電流iに基づいて誘起電圧Eを推定する。
推力調整部60Cは、電流i、誘起電圧E、及び外槽37(制振対象物G)の振動周波数fに基づいて、電圧指令Vを算出する機能を有している。
図17は、制振装置100Cが備える推力調整部60Cを含む制御ブロック線図である。
図17に示すように、推力調整部60Bは、減算器63と、ACR64と、テーブル66と、電流指令生成部67と、を備えている。なお、減算器63及びACR64については、第3実施形態(図14参照)と同様であるから、説明を省略する。
テーブル66には、誘起電圧E、及び外槽37の振動周波数fに基づいて、電流指令iを生成するためのデータが予め格納されている。具体的には、第2実施形態と同様にして、外槽37の振動周波数fに基づき、リニアモータ10の粘性係数Cが調整される。すなわち、電流指令生成部67(つまり、推力調整部60C)は、外槽37の振動周波数fが高いほど、電流指令iを大きくする。
また、電流指令生成部67は、第3実施形態と同様にして、誘起電圧Eを打ち消すように電流指令iを算出する。このように、第4実施形態では、第2実施形態の長所と、第3実施形態の長所と、を生かした制御が行われる。そして、電流指令生成部67によって生成された電流指令iに電流iを近づけるように、ACR64において電圧指令Vが算出される。
<効果>
第4実施形態によれば、速度情報推定部70Cによって、時々刻々の誘起電圧E(外槽37の速度に相当する値)が推定され、この誘起電圧Eを打ち消すように、推力調整部60Cによってリニアモータ10の推力が調整される。さらに、外槽37の振動周波数fが高いほど電流指令iが大きな値に設定されるため、外槽37の振動を効果的に抑制できる。これによって、低コストかつ制振性の高い洗濯機Wを提供できる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る制振装置100等について実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、各実施形態では、一つのインバータ40(図7参照)によって、左右のリニアモータ10L,10Rを駆動する構成について説明したが、これに限らない。
図18は、変形例に係る制振装置100Dの構成図である。
図18に示すように、左側のリニアモータ10Lを駆動するインバータ40Lと、右側のリニアモータ10Rを駆動するインバータ40Rを別々に設けてもよい。
インバータ40Lは、ブリッジ接続された4つのスイッチング素子S11〜S14を備えている。そして、第1のレグを構成するスイッチング素子S11,S12の接続点、及び、第2のレグを構成するスイッチング素子S13,S14の接続点が、それぞれ、リニアモータ10Lに接続されている。なお、右側のリニアモータ10Rを駆動するインバータ40Rも同様の構成を備えている。このように2つのインバータ40L,40Rを設けることで、左右のリニアモータ10L,10Rを独立に制御できる。
また、例えば、制御装置(図示せず)が、制振対象物の時々刻々の速度ベクトル(向き及びスカラー量)を推定し、この速度ベクトルを打ち消すようにリニアモータ10の推力ベクトルを発生させるようにしてもよい。
また、制振対象物の重量(負荷の大きさ)を測定し、その測定結果に基づいて、リニアモータ10の推力を調整するようにしてもよい。例えば、制振対象物の重量が大きいほど、リニアモータ10の粘性係数Cを大きくするようにしてもよい。これによって、制振対象物の振動をさらに効果的に抑制できる。
また、各実施形態では、固定子11(図3参照)と固定治具Jとの間にスプリング20を設ける構成について説明したが、これに限らない。例えば、スプリング20に代えて、ゴムや油圧を利用した機構を適用してもよい。
また、各実施形態では、制振対象物である外槽37に可動子12が接続される構成について説明したが、これに限らない。すなわち、固定子11及び可動子12の一方を制振対象物に接続し、磁気的な吸引力・反発力によって、固定子11と可動子12との相対位置を変化させるようにしてもよい。
また、各実施形態では、制振装置100等によって洗濯機Wの制振を行う構成について説明したが、これに限らない。例えば、エアコンや冷蔵庫等の家電製品の他、鉄道車両や自動車等にも各実施形態を適用できる。
また、各実施形態では、単相交流電力でリニアモータ10を駆動する構成について説明したが、例えば、3相交流電力でリニアモータ10を駆動させてもよい。
また、実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
100,100A,100B,100C,100D 制振装置
10 リニアモータ
10L リニアモータ(一方のリニアモータ)
10R リニアモータ(他方のリニアモータ)
11 固定子
12 可動子
121b,122b,123b 永久磁石
20 スプリング
35 洗濯槽
37 外槽(制振対象物)
38 駆動機構
40,40L,40R インバータ
50 電流検出器
60,60A,60B,60C 推力調整部
70B,70C 速度情報推定部
G 制振対象物
W 洗濯機

Claims (10)

  1. 制振対象物に接続されるリニアモータと、
    前記リニアモータを駆動するインバータと、
    前記リニアモータに通電される電流を検出する電流検出器と、
    前記電流検出器によって検出される電流に基づき、前記インバータを駆動することによって、前記リニアモータの推力を調整する推力調整部と、を備えること
    を特徴とする制振装置。
  2. 前記推力調整部は、前記電流検出器によって検出される電流に所定の電流比例ゲインを乗算することによって、前記インバータの電圧指令を算出し、前記電流が大きいほど、前記電流比例ゲインを大きくすること
    を特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記推力調整部は、前記電流検出器によって検出される電流に所定の電流比例ゲインを乗算することによって、前記インバータの電圧指令を算出し、前記制振対象物の振動周波数が高いほど、前記電流比例ゲインを大きくすること
    を特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  4. 前記電流検出器によって検出される電流と、前記推力調整部によって算出される前記インバータの電圧指令と、に基づいて、前記制振対象物の速度に相当する値を推定する速度情報推定部を備え、
    前記推力調整部は、前記速度に相当する値を打ち消すように前記インバータの電流指令を算出し、前記電流を前記電流指令に近づけるように、前記電圧指令を算出すること
    を特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  5. 前記推力調整部は、前記速度に相当する値の絶対値が大きいほど、前記電流指令の絶対値を大きくすること
    を特徴とする請求項4に記載の制振装置。
  6. 前記推力調整部は、前記速度に相当する値がゼロ付近の領域では、前記電流指令をゼロに設定すること
    を特徴とする請求項4に記載の制振装置。
  7. 前記推力調整部は、前記制振対象物の振動周波数が高いほど、前記電流指令を大きくすること
    を特徴とする請求項4に記載の制振装置。
  8. 単相交流電力で駆動する一対の前記リニアモータを備え、
    前記インバータは、三相フルブリッジインバータであり、
    前記三相フルブリッジインバータの一相分に対応するレグが、一方の前記リニアモータに接続され、
    前記三相フルブリッジインバータの一相分に対応する別のレグが、他方の前記リニアモータに接続され、
    前記三相フルブリッジインバータの残りのレグが、一方及び他方の前記リニアモータに接続されること
    を特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  9. 前記リニアモータは、電機子である固定子と、永久磁石を有する可動子と、を有し、
    前記永久磁石は、サマリウム‐鉄‐窒素系の永久磁石であること
    を特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の制振装置。
  10. 衣類を収容する洗濯槽と、
    前記洗濯槽を内包する外槽と、
    前記洗濯槽を回転させる駆動機構と、を備えるとともに、
    制振対象物である前記外槽に接続されるリニアモータと、
    前記リニアモータを駆動するインバータと、
    前記リニアモータに通電される電流を検出する電流検出器と、
    前記電流検出器によって検出される電流に基づき、前記インバータを駆動することによって、前記リニアモータの推力を調整する推力調整部と、を有する制振装置を備えること
    を特徴とする洗濯機。
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