図1から図21を参照して、実施の形態における工作機械の制御方法及び工作機械の制御装置について説明する。本実施の形態の工作機械は、加工プログラムに基づいて自動的に工具とワークとを相対的に移動させて加工を行う数値制御式である。
図1に、本実施の形態における工作機械のブロック図を示す。工作機械1は、制御装置70を備える。制御装置70は、例えば、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を備えている。制御装置70は、入力部71、読取解釈部72、補間演算部73、およびサーボ制御部74を含む。工作機械1にて加工する場合には、加工プログラム76を予め準備する。加工プログラム76は、ワークの目標形状に基づいてCAM(Computer Aided Manufacturing)装置77等にて作成することができる。ワークの目標形状は、例えば、CAD(Computer Aided Design)装置にて作成することができる。
入力部71には、加工プログラム76が入力される。加工プログラム76には、ワークに対する工具の相対移動の情報や補助装置の制御の情報が含まれている。加工プログラム76には、例えば、GコードやMコード等の指令コードにより工作機械に対する動作指令が記載されている。なお、情報制御部20において、作業者が新規に作成した加工プログラムが入力部71に入力されても構わない。
読取解釈部72は、入力部71から加工プログラム76を読み込む。読取解釈部72は、移動指令を補間演算部73に送出する。補間演算部73は、補間周期毎の位置指令値を演算する。例えば、補間演算部73は、移動指令に基づいて設定された時間間隔ごとの移動量を算出する。補間演算部73は、位置指令値をサーボ制御部74に送出する。サーボ制御部74は、位置指令値に基づいてX軸、Y軸、Z軸、およびA軸等の各送り軸のサーボモータ75を駆動する。
制御装置70は、ワークの加工に関連する加工情報を制御する情報制御部20と、作業者が加工情報等を入力する操作部30と、加工情報を表示する表示部28とを含む。情報制御部20は、加工情報に基づいて所定の変数を演算したり、判別したりする演算処理部25を含む。
情報制御部20は、プログラム作成部21を含む。プログラム作成部21は、数値制御プログラムを作成することができる。プログラム作成部21は、新規に加工プログラムを作成したり、入力部71から加工プログラム76を読み込んだ後に、加工プログラムを編集したりする。また、プログラム作成部21は、後述するように作業者の画面の操作に基づいて、各送り軸の移動装置や補助装置を駆動する移動プログラムや、ワークの測定を行う測定プログラム等を作成することができる。情報制御部20は、表示部28に表示する画像を制御する表示制御部22を含む。
操作部30は、キーボード等を含み、作業者の手動操作により加工情報を入力する手入力部29を含む。本実施の形態の操作部30は、表示部28を含む。表示部28は、画面を接触することにより所望の部分の選択が可能なタッチパネル方式が採用されている。作業者が表示部28に表示される画像を操作することにより、加工情報を入力することができる。操作部30としては、この形態に限られず、作業者が加工情報を入力可能な任意の装置を採用することができる。
制御装置70は、加工情報を記憶する記憶部26を含む。記憶部26は、前述のROMやRAMの他に、通信インターフェイスを介して接続されたメモリーカードやハードディスクなどの記憶装置であっても構わない。情報制御部20は、記憶部26に加工情報を記憶させたり、記憶部26に記憶されている加工情報を読み込んだりする。
制御装置70は、工作機械の運転状態を検出する運転状態検出装置36を含む。運転状態検出装置36としては、工作機械1に取り付けられたセンサを例示することができる。各種センサとしては、各軸サーボモータ75に取り付けられた回転速度を検出するセンサ、主軸の負荷を検出するセンサ、および補助装置の運転状態を検出するセンサ等を例示することができる。演算処理部25は、運転状態検出装置36からの信号を受信して運転状態の異常の有無を判別することができる。たとえば、演算処理部25は、運転状態検出装置36から主軸の負荷を取得して、主軸の負荷が判定値よりも大きい場合には異常であると判別することができる。
制御装置70は、各送り軸の位置を検出する位置検出装置34を含む。位置検出装置34は、例えば、リニアエンコーダやロータリエンコーダを含む。位置検出装置34は、各送り軸の座標値を検出する。演算処理部25は、位置検出装置34から各送り軸の座標値を取得する。
制御装置70は、加工前のワークの形状、または加工後のワークの形状を測定するワーク測定装置35を含む。ワーク測定装置35は、例えばタッチプローブ19を含む。演算処理部25は、タッチプローブ19が移動したときにワークWに接触したことを検出する。例えば、演算処理部25は、タッチプローブ19がワークWに接触した時の座標値を取得することにより、ワークWの寸法を算出することができる。
工作機械1は、ワークの加工を補助する補助装置33を含む。補助装置33としては、自動で工具を交換する工具交換装置、自動でワークを交換するワーク交換装置、ワークの加工部分に冷却液を供給する冷却液供給装置、および切削加工時に生じる切り屑を搬送するチップコンベア等を例示することができる。
情報制御部20は、補助装置33を駆動する動作指令を送出する動作指令生成部27を含む。制御装置70は、補助装置33を駆動する駆動回路を含む補助装置制御部32を含む。補助装置制御部32は、読取解釈部72または動作指令生成部27からの動作指令に基づいて補助装置33を稼働させる。
図2に、本実施の形態における工作機械の概略斜視図を示す。工作機械1は、ワークをテーブル16とともに旋回させるテーブル旋回型である。工作機械1には、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が設定されている。更に、工作機械1は、X軸に平行に延びる軸心周りの回転送り軸としてA軸が設定されている。工作機械1は、Z軸に平行に延びる軸心周りの回転送り軸としてC軸が設定されている。
工作機械1は、基台であるベッド11と、ベッド11の上面に立設されるコラム12とを備える。工作機械1は、主軸13を回転可能に支持する主軸頭14と、主軸頭14をコラム12の前方に支持するサドル15とを備える。主軸頭14は、主軸13の先端がテーブル16に対向するように主軸13を下向きに支持している。主軸13の先端には工具が装着される。
工作機械1は、ワークが配置されるテーブル16と、テーブル16を支持するU字形の揺動支持部材18とを備える。工作機械1は、揺動支持部材18を支持するU字形のキャリッジ17を備える。キャリッジ17は、X軸方向に離間された一対の支柱において揺動支持部材18を支持している。揺動支持部材18は、A軸の軸線の周りに揺動可能に支持されている。
工作機械1は、それぞれの送り軸に基づいてワークに対して工具を相対的に移動させる移動装置を備える。移動装置は、それぞれの送り軸に沿って駆動する各軸サーボモータ75を含む。移動装置は、コラム12に対してサドル15をY軸方向に移動させる。移動装置は、ベッド11に対してキャリッジ17をX軸方向に移動させる。コラム12には、キャリッジ17が部分的に進入可能なように空洞部12cが形成されている。また、移動装置は、サドル15に対して主軸頭14をZ軸方向に移動させる。移動装置は、テーブル16をC軸の軸線の周りに回転する。更に、移動装置は、キャリッジ17に対して、A軸の軸線の周りに揺動支持部材18を回動させる。このように、本実施の形態の工作機械1は、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸の3つの直動軸と、A軸およびC軸の2つの回転する回転送り軸とを有する。工作機械は、他の形態であっても構わない。たとえば、工作機械は、主軸側にA軸およびC軸を有する主軸旋回型であっても構わない。また、工作機械は、テーブル側にC軸を有し、主軸側にA軸を有する混合型であっても、主軸が横形の形態であっても、また、回転送り軸を有さなくても構わない。
図3に、工作機械の制御装置に配置されている操作盤の概略正面図を示す。図1および図3を参照して、操作盤41は、制御装置70の手入力部29および表示部28を含む。操作盤41は、表示部28としての表示パネル45を含む。本実施の形態の表示パネル45は、タッチパネル方式である。表示パネル45は、操作部30としても機能する。なお、画面の任意の位置を指定する装置としては、タッチパネル方式の表示部の代わりに、マウス、ジョイスティックまたはタッチパッド等のポインティングデバイスが採用されていても構わない。
操作盤41は、キーボード部42を含む。キーボード部42のキースイッチを押すことにより、所定の数字や文字を入力することができる。操作盤41は、所定の操作の選択を行う操作スイッチ部44を含む。操作盤41は、工作機械を手動で正方向または負方向に駆動するためのジョグボタン46a,46b、およびオーバライド値の設定を行うオーバライド設定部43を含む。その他に、操作盤41は、工作機械の異常時等に即時に停止させる非常停止ボタン48や工作機械の駆動を開始するための実行ボタン47等のボタンを含む。
操作盤41には、手動パルス発生器40が接続されている。手動パルス発生器40は、作業者が保持しながら操作が可能なように小型に形成されている。手動パルス発生器40には、駆動する送り軸を選択する軸選択ボタン40bと、パルス発生量を調整するダイヤル40aとが配置されている。
操作盤41に配置されたキーボード部42、操作スイッチ部44、オーバライド設定部43および各種のボタンは、操作部30の手入力部29として機能する。また、手動パルス発生器40も、操作部30の手入力部29として機能する。
工作機械を操作する場合に、作業者は工作機械の運転モードを選定する。操作スイッチ部44には、工作機械の運転モードを選定する運転モード選択ボタン49a〜49dが配置されている。作業者は、作業の種類を運転モードとして工作機械に設定する。所望の運転モード選択ボタン49a〜49dを押すことにより工作機械の運転モードを切り替えることができる。
たとえば、加工プログラムの編集を行う場合には、運転モード選択ボタン49aを押すことにより、工作機械が編集モードに設定される。加工プログラムに基づいて工作機械を駆動する場合には、運転モード選択ボタン49bを押すことにより、工作機械が実行モードに設定される。工作機械を手動にて動かす場合には、運転モード選択ボタン49cを押すことにより、工作機械が手動運転モードに設定される。
本実施の形態の工作機械の制御装置70は、表示パネル45に3次元の自身の工作機械の画像を表示することができる。すなわち、表示パネル45に立体的な画像を表示することができる。工作機械の画像としては、ワークおよび工具の他に補助装置33の画像が含まれる。ここで、表示パネル45に3次元の画像を表示するための準備作業について説明する。
図1を参照して、3次元の画像を表示するためのモデルデータ39を情報制御部20に入力する。モデルデータ39は、ソリッドモデルから生成することができる。モデルデータ39は、工作機械の形状に関するモデルデータを含む。工作機械のモデルデータには、テーブル16や主軸頭14を含む工作機械1の本体の情報の他に、工具交換装置等の補助装置33の情報も含ませることができる。工作機械のモデルデータは、工作機械の製造者が予め情報制御部20に入力し、記憶部26に記憶させておくことができる。
次に、モデルデータ39には、ワークの形状に関するモデルデータが含まれる。ワークのモデルデータには、加工前のワークのモデルデータが含まれる。すなわち、素材のモデルデータが含まれる。また、ワークのモデルデータには、加工後のワークのモデルデータが含まれる。ワークのモデルデータは、例えば、CAD装置またはCAM装置77にて生成することができる。ワークのモデルデータには、ワークの形状の情報の他に工作機械1のテーブル16に配置される位置の情報が含まれる。テーブル16におけるワークの位置の情報が含まれない場合には、テーブル16の中央部にワークが配置されるように設定される。また、ワークのモデルデータにワーク取付け具のモデルデータを含ませることができる。
さらに、モデルデータ39には、工具の形状に関するモデルデータが含まれる。工具のモデルデータは、工具の製造者が供給するモデルデータを用いることができる。ワークのモデルデータおよび工具のモデルデータは、作業者が情報制御部20に入力して、記憶部26に記憶させることができる。
本実施の形態の制御装置70では、後述するように工作機械1の一部分を表示部28に表示される工作機械の画像にて指定することができる。表示制御部22は、表示パネル45の押された位置を検出し、押された位置に基づいて作業者が選択した工作機械の部分を特定する。たとえば、工作機械1のテーブル16の画像を指で押すことにより、テーブル16を選択することができる。
ところが、作業者は様々なワークの加工を行うために、表示部28に表示されるワークの位置と実際のワークの位置との関係がずれる場合がある。このために、ワークの加工前にテーブル16におけるワークの位置を校正する必要がある。ここで、テーブル16におけるワークの位置の校正について説明する。
図4に、テーブル上のワークの位置の校正を説明する概略斜視図を示す。校正前のワークWの位置が一点鎖線にて示されている。校正後のワークWの位置が実線にて示されている。また、ワークのモデルデータに基づいて工作機械に記憶されているワーク座標G54が示されている。校正前には、ワークWの基準点301がワーク座標G54の原点の位置からずれている。このために、矢印201に示す様に、ワークWの基準点301がワーク座標G54の原点と重なる様に校正を行う。本実施の形態では、テーブル16に配置されている実際のワークWを移動させる。
図5に、テーブルに配置されたワークの位置を校正するための測定を説明する概略斜視図を示す。テーブルに配置された実際のワークの位置を検出するために基準点301の位置を算出する。本実施の形態の位置検出装置34は、タッチプローブ19を含む。この例では、テーブル16に加工前の直方体のワークWが配置されている。
図1、図4および図5を参照して、ワークWのそれぞれの面の略中央部分において複数の測定点302を設定する。そして、矢印202に示すように複数の測定点302にタッチプローブ19の先端を接触させる。情報制御部20の演算処理部25は、この時の座標値を検出する。すなわち、演算処理部25は、複数の測定点302の座標値を検出する。
演算処理部25は、複数の測定点302の座標値を用いて、ワークWの基準点301の座標値を算出する。そして、演算処理部25は、基準点301とワーク座標G54の原点とのずれ量を算出する。作業者は、算出されたずれ量に基づいて、矢印201に示す様にテーブル16の上におけるワークWの位置を調整することができる。作業者は、例えば、ダイヤルゲージ等を用いて調整することができる。このように、ワークのモデルデータの位置に、実際のワークWの位置を合わる校正を実施することができる。
ワークの位置の校正においては、この形態に限られず、モデルデータにおけるテーブル上のワークの位置を校正しても構わない。たとえば、図4に示す例では、実際のワークの測定結果に基づいてワーク座標G54の原点の位置を移動させても構わない。
図6に、本実施の形態におけるワークの位置の校正を行うフローチャートを示す。図1および図6を参照して、ステップ131において、演算処理部25は、モデルデータ39を読み込む。この状態では、モデルデータにおけるテーブル上のワークの位置と、実際のテーブルに配置されたワークの位置とがずれている状態である。
ステップ132においては、表示制御部22は、モデルデータに基づいて表示部28に3次元の画像を表示する。
図7に、ワークを測定するときに表示部に表示する画像を示す。この画面では、主画面の上に補助画面としての第1の手動運転画面60aが表示されている。手動運転画面60aは、工作機械を手動にて運転する時に、工作機械の操作を入力したり工作機械の状態を表示したりする画面である。選択部51a〜51eを押すことにより表示される画面は、実際の加工の際に頻繁に使う画面であり、本実施の形態では主画面と称する。
選択部51a〜51eのうち、プログラム編集の選択部51aを押すことにより、プログラム編集画面を表示することができる。プログラム編集画面は、ワークの加工を行う加工プログラムを作成および表示するための画面である。工具情報の選択部51bを押すことにより、工具に関する情報を入力、表示および編集する工具情報画面を表示することができる。座標情報の選択部51cを押すことにより、座標情報を入力、表示および編集する座標情報画面を表示することができる。また、選択部51dを押すことによりプログラム実行中の工作機械の状態を示す画面が表示される。選択部51eを押すことにより、加工後のワークの測定結果等が表示される。
図3を参照して、工作機械を手動で駆動する場合には、作業者は、運転モード選択ボタン49cを押すことにより、工作機械の運転モードを手動運転モードに設定する。図7を参照して、作業者は、支援画面ボタン65を押して支援画面を表示する。そして、支援画面から手動運転画面の項目を選択することにより、手動運転画面60aを表示する。
図7を参照して、手動運転画面60aは、選択部62a〜62cを有する。選択部62aは、ワーク、工具、または補助装置を手動にて駆動する時に選択する。選択部62bは、所定の面を工具に向ける場合に選択する。選択部62cは、ワークの任意の点の座標値を測定する時に選択する。ここでの例では、選択部62cが選択されている。
手動運転画面60aでは、主軸頭14、工具T、テーブル16、テーブル16に配置されたワークWが3次元の画像にて表示されている。作業者は、3次元の画像において、テーブル上のワークの位置の校正を行う為の測定点302を指定することができる。後述するように、本実施の形態の表示制御部22は、3次元の画像を拡大したり縮小したりすることができる。表示制御部22は、3次元の画像を所望の方向に移動することができる。例えば、画像を直線的に移動して表示する部分を変更したり、画像を回転させて表示する向きを変更したりすることができる。
図1、図6および図7を参照して、ステップ133において、作業者は、3次元の画像において測定点302を指定する。作業者は、ボタン領域61に配置されている測定点指定のボタン61aを押す。この後に、作業者は、画像の測定点302の部分を指で押すことにより、測定点302のマーク99が表示される。表示制御部22は測定点302の位置を検出する。作業者は、3次元の画像の向きを変えて、全ての測定点302を指定する。
ステップ134において、プログラム作成部21は測定プログラムを作成する。図5を参照して、プログラム作成部21は、複数の測定点302に対して矢印202に示すようにタッチプローブ19が移動する測定プログラムを作成する。すなわち、タッチプローブ19の先端が測定点302に接触するように、テーブル16および主軸頭14を移動する測定プログラムを作成する。
次に、ステップ135においてワークの測定を実施する。すなわち、図3を参照して、作業者が操作盤41の実行ボタン47を押すことにより、測定点302の座標の測定が自動的に開始される。図1および図5を参照して、情報制御部20は、作成した測定プログラムを読取解釈部72に送出する。主軸頭14がワークWに向かって移動する。タッチプローブ19は、測定面から離れた位置から測定点302に向かって徐々に移動する。そして、ワーク測定装置35は、タッチプローブ19の先端がワークの測定面に接触したことを検出する。演算処理部25は、タッチプローブ19の先端が接触したときの座標値を検出する。座標値は、位置検出装置34にて検出することができる。例えば、それぞれの測定点302の機械座標値を検出することができる。
図6を参照して、次に、ステップ136において、演算処理部25は複数の測定点302の座標値に基づいて、実際のワークWの基準点301の座標値を算出する。更に、演算処理部25は、実際のワークWの位置とモデルデータにおけるワークの位置とのずれ量を算出する。そして、表示制御部22は、実際のワークWの基準点301の座標値およびずれ量を表示部28に表示する。
ステップ137においては、実際のワークWの位置をワークのモデルデータにおける位置に合わせる。本実施の形態では、作業者が実際のテーブル16におけるワークWの位置を調整する。
このように、ワークの位置の校正を行うことができる。表示部においてワークの3次元の画像を正確に表示することができる。例えば、作業者がワークの画像の特定の部分を指定した場合に、制御装置は実際のワークにおいて指定された部分を正しく認識することができる。
なお、手動運転画面60aでは、上記と同様の操作によりワークの位置の校正の他にワークの寸法の測定を行うことができる。たとえば、加工精度のデータを取得するために、加工後のワークの所定の部分にプローブを接触させて加工後のワークの寸法を測定することができる。
図8に、実施の形態における第2の手動運転画面を示す。工作機械を手動にて駆動する場合には、作業者は、表示切替えのボタン61bを押すことにより視点切替えボタンの補助画面が表示することができる。この補助画面では、表示される工作機械の三次元画像をどの視点から表示するのか選択することができる。作業者は、補助画面から所望の視点を選択し、画面にその視点から見た工作機械の画像を表示させる。そして、図3を参照して、操作盤41のジョグボタン46aまたはジョグボタン46bを押すことにより、選択した送り軸について所望の方向に画像および工作機械の実際の送り軸を駆動することができる。または、手動パルス発生器40において、軸選択ボタン40bにて所望の送り軸を選択する。そして、ダイヤル40aを回すことにより、選択した送り軸について所望の方向に駆動することができる。
ところが、このような手動運転の方法では、作業者が動作させたい方向がどの送り軸に対応するのか迷う場合がある。または、移動させる方向が正側なのか負側なのか迷う場合がある。また、大型の工作機械では、長い距離を移動させるために、ジョグボタンを長時間押し続けたり、ダイヤルを長時間回し続けたりしなければならず、労力が大きい。
本実施の形態の制御装置70は、作業者が表示パネル45に表示される3次元の画像を操作することにより手動にて工作機械を駆動することができる。記憶部26には、工作機械の画像に対する作業者の操作に対応する工作機械の動作が予め記憶されている。制御装置70は、工作機械の画像に対する作業者の操作内容を取得し、この操作内容に対応して工作機械が駆動するための動作指令を生成する。そして、工作機械は、動作指令に基づいて駆動する。
図8を参照して、手動運転画面60bでは、選択部62aが選択されている。ボタン領域61に示されている表示切替えのボタン61bを押すと、表示する部分の一覧が表示される。ここでは、テーブルおよび主軸頭の部分を選択することにより、テーブル16および主軸頭14が表示されている。
初めに三次元の画像を移動したり回転したりする方法について説明する。工作機械の画像が表示されていない領域を指105aにて押しながら矢印203に示す所望の方向に移動することにより、画像を画面内で直線移動させたり、裏側が手前向きに表示されるように回転移動させたりすることができる。例えば、2本の指で画面に触れながら移動させると画像は直線移動し、1本の指で画面を触れながら移動させると画面は回転移動する。
さらに、工作機械の画像が表示されていない領域を、2本の指で押して指同士の間隔を広げることにより、表示されている部分を拡大することができる。また、2本の指同士の間隔を狭くすることにより画像を縮小することができる。3次元の画像の拡大、縮小、直線移動、および回転移動が行えることにより、工作機械やワークの所望の部分を見やすくすることができる。たとえば、ワークに凹部が形成される場合には、凹部の内部の形状も確認することができる。
表示制御部22は、指で表示パネル45を押した後の指の動きを認識し、画像を移動したり拡大したりする。このように、本実施の形態の表示パネル45は、所望の部分を所望の角度から表示することができる。また、表示部は、所望の部分を所望の倍率で表示することができる。
次に、手動にて工作機械を駆動する手動運転モードのうち、ダイレクトモードについて説明する。ダイレクトモードは、指で画像を移動すると共に実際の工作機械が画像の通りに駆動する運転モードである。ボタン領域61において、ダイレクトモードのボタン61cを押して選択する。ここでの例では、キャリッジ17をX軸の正側に移動する。直動軸のボタン61eを選択する。キャリッジ17を指105bで押して選択する。キャリッジ17を押した状態を維持しながら矢印204に示す方向に指105bを移動させる。
図9に、本実施の形態における第3の手動運転画面を示す。図9は、キャリッジ17を矢印204に示す方向に移動させた後の手動運転画面60bである。主軸頭14は移動せずにキャリッジ17が移動している。そして、実際の工作機械においても、キャリッジ17がX軸の正側に移動している。この時の実際の工作機械の移動量は、画面における移動量に対応している。すなわち、所定の部分を画面上で大きく移動させるほど、実際の工作機械の対応する部分も大きく移動する。なお、実際の移動速度についても指の移動速度に対応させても構わない。指の移動速度が速いほど実際の移動速度も速くする制御を実施しても構わない。
工作機械の所定の部分を回転送り軸に沿って回転移動をする場合には、ボタン領域61の回転軸のボタン61fを選択する。そして、回転させる部分を指で押し、指で押した状態を維持しながら回転させる方向に指を移動することにより回転移動することができる。たとえば、揺動支持部材18を押しながら所望の回転方向に指を移動することにより、工作機械の画像および実際の工作機械において、A軸方向に揺動支持部材18を回転移動させることができる。
このように、本実施の形態では、画面に表示されている部分を送り軸の方向に移動させることができる。表示部28に表示される3次元の画像を操作することにより、実際の工作機械を手動にて駆動することができる。作業者は、3次元の画像を見ながら直感で工作機械を駆動することができるために、容易に工作機械を駆動することができる。また、誤操作を抑制することができる。例えば、所望の方向と反対側にワークや工具を移動してしまうことを抑制できる。
図10に、ダイレクトモードにて工作機械を手動で駆動するときの制御のフローチャートを示す。図1および図10を参照して、ステップ141において、表示制御部22は表示部28に3次元の画像を表示する。ステップ142において、表示制御部22は3次元の画像における作業者の操作内容を取得する。例えば、表示制御部22は、3次元の画像の所定の点が押されたことを取得する。表示制御部22は、指にて選択された工作機械の部分を検出する。そして、表示制御部22は、予め定められた時間において、押されている部分が所定の方向に移動することを検出する。表示制御部22は、押された部分の移動方向および移動距離を検出する。指の移動方向としては、予め定められた回転送り軸に沿った回転移動の方向、または予め定められた直動軸に沿った直線移動の方向を検出する。
次に、ステップ143において、表示制御部22は、移動中の工作機械の画像を表示する。表示制御部22は、表示部28に表示した画像を指の動きに合わせて移動する。ステップ144において、プログラム作成部21は、指で選択された部分を移動するための移動プログラムを作成する。演算処理部25は、指の移動方向および移動量に基づいて、対応する送り軸方向における移動量を算出する。画像における移動量が、実際の工作機械の移動量に対応するように移動量を算出する。そして、プログラム作成部21は、選定された送り軸および算出された移動量に基づいて移動プログラムを作成する。このように、プログラム作成部21は、工作機械の選択された部分を瞬時に動かす為の移動ブログラムを作成する。
ステップ145において、情報制御部20は、読取解釈部72に移動プログラムを送出する。サーボ制御部74により各軸サーボモータ75が駆動される。この結果、工作機械1は、表示部28に表示された画像の動きと同様に、所定の送り軸の方向に選択された部分が移動する。作業者の画面の操作に応じた移動プログラムを作成する代わりに、作業者の画面の操作に応じた送り軸の選択、送り方向及び送り量を手動パルス発生器40の軸選択ボタン40bおよびダイヤル40aを回す方向の信号と、パルス発生量の信号とに変換して、サーボ制御部74に送出しても構わない。
次に、ステップ146では、作業者の画像の操作が終了したか否かを判別する。演算処理部25は、表示部28において押された部分の移動が終了したか否かを判別する。すなわち、指の動きが停止したり、指が画面から離れたりしたか否かを判別する。表示部28における押された部分の移動が継続している場合には、ステップ142に戻って画像の移動および工作機械の駆動を継続する。表示部28における押された部分の移動が終了している場合には、この制御を終了する。この制御を短時間で繰り返して行うことにより、画像に合わせて連続的に工作機械を駆動することができる。このときに、安全のために、作業者の指による大きな移動指示があっても、1回の指の動きでは、例えば50mmのように、予め決められた移動量だけ送り軸が動くように制限を付加することができる。また、互いに移動する工作機械のモデルデータ、工具のモデルデータ、およびワークのモデルデータが干渉しないかを演算処理部25で演算する。干渉する場合には画面上の画像の動きを停止すると共に、工作機械の送り軸を停止させる。このように干渉チェックを行っているので、作業者が不用意に画像を操作しても、工具とワークとが衝突したり、送り軸がストロークエンドを超えたりすることはない。
次に、手動運転モードのうち通常モードについて説明する。通常モードでは、画像にて選択した部分を移動すると共に、送り軸および移動量を含む移動状態を記憶部26に記憶する。この時には、工作機械は停止している。そして、画面において所望の移動が全て終了した後に、記憶しておいた移動を一度に実施する。
図8を参照して、ここでは、キャリッジ17をX軸の正側に動かした後に、主軸頭14をZ軸の正側に移動させる場合を例示する。通常モードを実施する場合には、通常モードのボタン61dを選択する。そして、指105bを動かして画像上でキャリッジ17を移動させる。この時に、画像ではキャリッジ17が移動するが実際の工作機械では、キャリッジ17は停止している。次に、指105bにて主軸頭14を押してZ軸の正側に移動する。画像では主軸頭14がZ軸の正側に移動するが、実際の工作機械の主軸頭14は停止している。次に、決定ボタン61iを押し、操作盤41の実行ボタン47を押すことにより、画像において動かした順序に従って、工作機械の選択した部分が移動する。
図1を参照して、通常モードでは、記憶部26が移動する部分の送り軸と移動量とを記憶する。または、記憶部26が作業者の操作を記憶しても構わない。作業者が決定ボタン61iを押すことにより、プログラム作成部21は、作業者の操作に対応した移動プログラムを作成する。そして、作業者が実行ボタン47を押すことにより、情報制御部20は、移動プログラムを読取解釈部72に送出し、各軸サーボモータ75が駆動される。
このように、本実施の形態では、作業者により工作機械の画像の一部分を選択した状態を維持して移動させる場合に、工作機械の画像における移動方向に対応する送り軸および移動量を設定する。送り軸の移動量に基づいて工作機械の動作指令を生成する。本実施の形態では、作業者の画面の操作に応じた移動プログラムを作成する。そして、移動プログラムに基づいて各送り軸の移動装置を駆動することにより、画像に合わせて工作機械を駆動することができる。
次に、ワークの一つの面を所望の方向に向ける割出し制御について説明する。手動運転の操作においては、ワークの所定の面を所望の方向に向ける場合がある。たとえば、ワークの所定の面を工具に向けて、この面にドリルにて穴をあける場合がある。この場合には、ワークを所定の方向に回転してワークの向きを調整する必要がある。本実施の形態では、ワークの予め定められた面が主軸の軸線に対して垂直になるようにワークの向きを調整する割出し制御を例示する。
図11に、本実施の形態における第4の手動運転画面を示す。第3の手動運転画面60cでは、割出しの選択部62bが選択されている。また、手動運転画面60cでは、テーブル16に加工前のワークWが配置されている画像が表示されている。
ボタン領域61の面指定のボタン61gを押すことにより、ワークWの割出しを行う面を選択することができる。作業者は、必要に応じて画像を回転したり拡大したりして所望の面を指で押す。本実施の形態では、選択された面を指定面と称する。指定面は、例えば、他の面と区別できるように強調される。図11に示す例では、選択された面にハッチングが付されている。そして、操作盤41の実行ボタン47を押すことにより、指定面の割出しを行うことができる。表示部28に表示されている画像が動くと共に、工作機械が駆動される。ここでは、揺動支持部材18がA軸方向に回転し、更にテーブル16がC軸方向に回転する。
図12に、割出しを行った後の第5の手動運転画面を示す。この手動運転画面60cは、表示パネル45に表示されている画像が動いた後の画面である。テーブル16がC軸方向に90°回転し、更に、揺動支持部材18がA軸方向に90°回転している。指定面が主軸の軸線に対して垂直になっている。実際の工作機械も、3次元の画像と同様の動作が実施されている。
図1を参照して、割出し制御において、表示制御部22は、画像において作業者が選択したワークの指定面を取得する。そして、演算処理部25は、ワークのモデルデータに基づいて現在の指定面の向きと角度を取得する。また、演算処理部25は、位置検出装置34から送り軸の現在の位置を取得する。演算処理部25は、指定面が主軸の軸線と垂直になる為の送り軸の移動量を算出する。この時に、回転送り軸については、回転送り軸の回転角度を算出する。
そして、表示制御部22は、選定された送り軸に沿って工作機械が駆動される画像を表示する。プログラム作成部21は、工作機械を駆動するための移動プログラムを作成する。プログラム作成部21において作成された移動プログラムは、読取解釈部72に送出される。そして、各軸サーボモータ75が駆動されて指定面の割出しを行うことができる。
このように、制御装置70は、作業者によりワークの一つの面が指定面として選択された操作内容を取得し、指定面を予め定められた方向に向けるための回転送り軸の回転角度を算出し、回転角度に基づいてテーブルを回転させる動作指令を生成している。制御装置70は、3次元の画像にて指定面を指定することができるために、割出しを行う指定面を容易に指定することができる。また、複雑な回転角度の算出等は不要であり、容易に所望の面の割出しを行うことができる。
図11を参照して、本実施の形態の手動運転画面60cでは、ボタン領域61にアニメーションのボタン61hが配置されている。指定面の選択を行った後にアニメーションのボタン61hを押すことにより、画像が動いて工作機械の動作を確認することができる。工作機械は停止した状態を維持しながら、3次元の画像にて移動の状況を確認することができる。このために、3次元の画像にて異常の有無を確認することができる。例えば、ワークWに対して工具Tが干渉しないことを事前に確認することができる。この後に、操作盤41の実行ボタン47を押すことにより、指定面の割出しを行うことができる。
本実施の形態では、テーブル16のワーク取付け面に垂直な面をワークの指定面にしたが、ワーク取付け面に対して平行や垂直でない傾斜した面を指定面にすることができる。また、本実施の形態の工作機械1は、テーブル16側にA軸およびC軸を有するテーブル旋回型である。主軸側にA軸およびC軸を有する主軸旋回型の工作機械の場合には、主軸側がA軸またはC軸に沿って回転して、指定面に対して主軸の軸線を垂直にすることができる。主軸側にA軸を有し、テーブル側にC軸を有する混合型の工作機械の場合は、主軸側もテーブル側も回転して指定面に対して主軸の軸線を垂直にすることができる。さらに、本実施の形態では、作業者により選択された指定面を主軸に向ける制御について説明したが、この形態に限られず、指定面を予め定められた方向に向ける制御に適用することができる。たとえば、制御装置は、指定面を向ける方向を設定できるように形成することができる。
図13に、本実施の形態における第6の手動運転画面を示す。前述の制御では、工具またはワークを手動運転画面の操作によって移動させている。本実施の形態においては、工具およびワークの他に工作機械に備え付けられている補助装置33を手動運転画面60dの操作によって可動させることができる。ここでは、補助装置33のうち工具交換装置を例示する。
手動運転画面60dでは、表示切替えのボタン61bを押して表示されるメニューから工具交換装置が選択されている。本実施の形態の工具交換装置は、複数の工具Tを保管しておく工具マガジン93と、主軸に工具を取り付けたり取り外したりする交換アーム96と、工具マガジン93と交換アーム96との間で工具を搬送する搬送装置94とを含む。複数の工具が工具マガジン93に配置されている。工具T1の位置が工具マガジン93から工具を取り出したり、工具マガジン93に工具を収納したりする交換位置である。
作業者は、例えば、工具T2を指で押した状態を維持しながら、工具マガジン93が延びる方向に沿って、矢印205に示すように交換位置まで移動する。この操作により、工作機械の画像および実際の工作機械において、工具マガジン93が回動して、工具T2を交換位置に配置することができる。このように、指の移動量に応じて工具マガジン93の移動量が定まる。また、工具マガジン93を手動で動かすことにより、工具マガジン93に配置されている工具の種類を確認することができる。その他にも、例えば、搬送装置94の画像を操作することにより、交換位置に配置されている工具を交換アーム96まで手動で移動させることができる。なお、補助装置33を駆動する場合にも、ダイレクトモードまたは通常モードをボタン61c,61dにて選定することができる。
図1を参照して、補助装置33を手動で稼働させる場合には、表示制御部22は、作業者の画像の操作内容を取得する。演算処理部25は移動量を算出する。そして、補助装置の動作指令生成部27は、作業者の操作に応じた動作指令を補助装置制御部32に送出する。そして、補助装置制御部32は、動作指令に基づいて補助装置33を稼働させる。このように、本実施の形態の制御装置70は、プログラムを用いずに補助装置を稼働させるように形成されている。
補助装置33の手動の操作としては、作業者が指定した部分を移動させる他に、補助装置33の指定された部分を起動したり停止したりすることができる。次に、補助装置33として冷却液供給装置を例に取り上げて説明する。
図14に、本実施の形態における第7の手動運転画面を示す。第7の手動運転画面60eでは、表示切替えのボタン61bを押して表示されるメニューの一覧から冷却液供給装置が選択されている。本実施の形態の冷却液供給装置は、冷却液を貯留するタンクと、ポンプと、冷却液噴出ノズル95とを含む。図14に示す画像では、主軸頭14の先端の部分が拡大されて表示されている。主軸頭14の先端には、冷却液噴出ノズル95が配置されている。
作業者は、手動運転画面60eにおいて冷却液噴出ノズル95を押す。冷却液噴出ノズル95を押すことにより、冷却液供給装置を始動して冷却液噴出ノズル95から冷却液を噴出することができる。または、冷却液を噴出しているときに冷却液噴出ノズル95を押すことにより冷却液の噴出を停止することができる。本実施の形態では、補助装置の稼働している状態が明確になるように、補助装置が稼働すると補助装置が強調して表示される。この例では、冷却液噴出ノズル95の色が変化する。または、補助装置の駆動している状態または停止している状態が明確になるように、補助装置の駆動または停止を表示する画像が表示されても構わない。
図15に、補助装置を起動または停止するときの制御のフローチャートを示す。図1および図15を参照して、ステップ151において、表示制御部22は、作業者により選択された部分の3次元の画像を表示部28に表示する。ステップ152において、表示制御部22は、画像において所定の補助装置33が押されたことを検出する。すなわち、表示制御部22は、作業者が所定の補助装置33を選択したことを検出する。
次に、ステップ153において、演算処理部25は、選択された補助装置33が停止しているか否かを判別する。ステップ153において、補助装置33が停止している場合にはステップ154に移行する。ステップ154においては、補助装置33を起動する。また、ステップ153において、補助装置33が稼働している場合にはステップ155に移行する。ステップ155においては、補助装置33を停止する。次に、ステップ156においては補助装置の稼働状態を表示する。本実施の形態では、表示制御部22は、補助装置33の色を稼働状態または停止状態に応じて変化させる。
本実施の形態の補助装置33の手動操作では、情報制御部20の動作指令生成部27が補助装置制御部32に動作指令を送出しているが、この形態に限られず、プログラム作成部21が補助装置33を移動させるプログラムを作成しても構わない。例えば、プログラム作成部21は、冷却液噴出ノズル95から冷却液を噴出するMコードを含むプログラムを作成することができる。この場合に、プログラム作成部21は、作業者の画像の操作に基づいてプログラムを生成し、読取解釈部72に送出する。読取解釈部72は、補助装置制御部32に補助装置33の動作指令を送出する。そして、補助装置制御部32は、動作指令に基づいて補助装置33を駆動する。
次に、加工プログラムなどの工作機械を駆動するプログラムの作成を容易にする支援機能について説明する。加工プログラムの作成においては、GコードやMコード等の指令コードが頻繁に用いられる。指令コードに基づいて、ワークに対して工具が相対移動されたり、補助装置が制御されたりする。
ワークを加工した後には、加工結果を確認して加工プログラムを修正する場合がある。または、指令コードがワークのどの部分を加工するかを確認したい場合がある。ところが、指令コードは数多く存在し、それぞれの指令コードの番号を作業者が全て覚えておくことは困難である。このため、従来の技術では、作業者は記憶を頼りに該当する箇所を探していた。または、作業者は、参考文献を参照しながら、該当する箇所を探していた。このために、作業者には高度な知識や判断が要求されていた。また、時間がかかったり誤りが生じたりする場合があった。
本実施の形態の制御装置では、3次元の画像を見ながら加工プログラムの位置を特定したり、加工プログラムの指令コードに基づいてワークの加工する部分を特定したりすることができる。
図16に、操作盤の表示パネルに表示される第1のプログラム編集画面を示す。本実施の形態のプログラムの作成には、新規にプログラムを作成する場合と、既に作成されているプログラムを編集して今回のプログラムを作成する場合とが含まれる。加工プログラムを作成する場合には、図3を参照して、編集モードに設定する運転モード選択ボタン49aを押す。そして、図16を参照して、選択部51aを押すことにより、プログラム編集画面55aを表示する。
本実施の形態のプログラム編集画面55aは、表示領域81aと表示領域81bとを含む。表示領域81aには、加工プログラムが表示される。表示領域81aでは、加工プログラムの作成が可能である。表示領域81aには、複数の選択部85a,85bが配置されている。使用者は、選択部85a,85bのいずれかを押すことにより、作成する加工プログラムを選択することができる。ここでは、選択部85bが選択されている。
また、ボタン領域59に配置されているボタン59aを押すことにより、右側の表示領域81bに表示される情報を選択することができる。この例では、表示領域81bには、加工後のワークの3次元の画像が表示されている。
プログラム編集画面55aでは、表示領域81bに表示されている画像の所望の部分を指で押して選択することができる。そして、表示領域81aにおいて、選択した画像の部分を加工する為の加工プログラムの該当箇所を表示することができる。例えば、表示領域81bのワークの画像において、1つの穴の部分103aを選択する。そして、ボタン領域59における対応部表示のボタン59bを押すことにより、表示領域81aにおいて、加工プログラムの該当する部分が表示される。更に、該当する部分にはマーク103bが表示される。マーク103bは、ワークの穴の部分103aを加工するための指令コードを示している。
図17に、3次元の画像の所望の部分を選択して、加工プログラムの該当する部分を表示する制御のフローチャートを示す。図1および図17を参照して、ステップ161において、表示制御部22は、表示部28に加工プログラムおよび3次元のワークの画像を表示する。作業者は、画像の所望の部分を指で押して選択する。ステップ162において、表示制御部22は、ワークの画像の一部分の選択を検出する。すなわち、表示制御部22は、作業者により選択されたワークの部分を検出する。
次に、ステップ163において、演算処理部25は、ワークの選択された部分の座標値を算出する。たとえば、ワーク座標の座標値を算出する。ステップ164において、演算処理部25は、加工プログラムの解析を行う。演算処理部25は、算出された座標値の部分を加工する指令コードを加工プログラムから抽出する。加工プログラムの対応する部分が複数存在する場合には、最後の指令コードを選択する。または、加工プログラムの対応する部分が複数ある場合には、全てを抽出しても構わない。
次に、ステップ165において、表示制御部22は、加工プログラムの対応する部分を表示する。たとえば、加工プログラムが非常に長い場合には、対応する部分が表示されるように、加工プログラムの表示する範囲を選択する。次に、ステップ166において、表示制御部22は、対応する加工プログラムの指令コードに対してマーク103bを表示する。
このように、制御装置70は、工作機械の画像の操作に基づいて、加工プログラムの該当する部分を抽出することができる。作業者は、加工プログラムの該当する部分を探す手間を省くことができて、容易に加工プログラムの該当する部分を確認したり修正したりすることができる。
図18に、操作盤の表示パネルに表示される第2のプログラム編集画面を示す。第2のプログラム編集画面55bにおいては、表示領域81aにおいて所望の加工プログラムの指令コードを選択すると、表示領域81bにおいて、選択した指令コードにて加工する部分の画像が表示される。例えば、作業者は、表示領域81aにおいて、加工プログラムの所望の部分を押すと選択された部分が枠104aにて囲まれる。ボタン領域59の対応部表示のボタン59bを押すことにより、表示領域81bにおいて、加工プログラムの選択された部分に対応する3次元のワークの画像が表示される。
更に、工作機械の画像の対応する部分にマーク104bが表示される。この時に、作業者が見やすいように拡大したり移動したりした状態で3次元の画像が表示される。このように、加工プログラムの任意の部分を選択することにより、ワークの加工する部分の画像を表示することができる。
図19に、加工プログラムの選択した部分にて加工するワークの部分を表示する制御のフローチャートを示す。図1および図19を参照して、ステップ171において、表示制御部22は、加工プログラムおよび3次元のワークの画像を表示する。作業者が、加工プログラムの所望の部分を選択する。ステップ172において、演算処理部25は、加工プログラムの選択された一部分を検出する。ステップ173において、演算処理部25は、加工プログラムの選択された部分の座標値を算出する。例えば、演算処理部25は、ワーク座標値を算出する。ステップ174において、演算処理部25は、3次元の画像の解析を実施する。演算処理部25は、算出した座標値に基づいて3次元の画像の該当する部分を特定する。
ステップ175において、表示制御部22は、3次元の画像の対応する部分を表示する。表示制御部22は、対応する部分を見やすくするためにワークの画像を拡大したり移動したりした状態で表示する。次に、ステップ176において、表示制御部22は、画像の対応する部分にマーク104bを表示する。
このように、制御装置70は、加工プログラムの1つの部分にて加工するワークの部分を容易に特定することができる。このため、容易に加工プログラムの確認をしたり誤りを修正したりすることができる。
なお、プログラム編集画面においては、補助装置の画像を表示し、補助装置の画像を押すことにより、加工プログラムに補助装置を起動したり停止したりする指令コードを自動的に挿入する制御を行うことができる。この制御を行うことにより、作業者は、補助装置に関する指令コードや引数を覚える必要がなく、容易に加工プログラムを作成することができる。また、指令コードの入力誤り等の誤操作を低減することができる。
次に、工作機械の状態を検出して作業者に工作機械の状態を通知したり警告したりする制御について説明する。
図20に、工作機械の状態を表示する診断画面を示す。診断画面63は、主画面に重ねて表示される補助画面である。それぞれの主画面の上部には、情報表示領域86が設定されている。図1を参照して、運転状態検出装置36は、それぞれの運転モードにおいて工作機械の運転状態を検出する。演算処理部25は、工作機械1の運転状態が予め定められた条件に一致するか否かを判別する。工作機械1の状態が予め定められた条件に一致した場合に、表示制御部22は、判別結果を取得し、情報表示領域86に工作機械1の状態に応じたアイコンを表示する。アイコンの画像は、記憶部26に予め記憶されている。
図20に示す例では、工具の測定中に工具測定装置に異常が生じて工具の測定が中断している。演算処理部25は、運転状態検出装置36からの信号に基づいて、工具測定装置92に異常が生じていると判別している。表示制御部22は、情報表示領域86に警告のアイコン86aを表示している。
作業者がアイコン86aを押すと、表示制御部22は、工作機械1の警告や通知に関する情報を含む診断画面63を表示する。表示制御部22は、初めに表示領域87aに3次元の画像を表示する。このときに、異常が生じている部分が含まれる画像を表示する。表示制御部22は、異常が生じている部分が表示される方向から工作機械を表示する。図20に示す例では、テーブル16および主軸頭14を裏側から見た画像を表示している。そして、表示制御部22は、警告の原因の工具測定装置92に重ねてマーク100を表示する。更に、表示制御部22は、マーク100を点滅して作業者に異常箇所が分かり易いように表示している。
次に、作業者がマーク100を指で押すと、表示制御部22は、工作機械の画像に重ねて表示領域87b,87cを表示する。表示領域87bには、警告の種類が表示されている。表示領域87cには、警告が発生した原因や復旧方法等の警告に関する詳細の内容が表示される。
このように、本実施の形態の制御装置は、警告が発生した箇所を3次元の画像にて表示するために、作業者は、異常の箇所を直感的に認識することができる。また、作業者は、異常箇所に表示されるマーク100を押すことにより、警告に関する詳細な情報を容易に確認することができる。
本実施の形態においては、工作機械に異常が生じた時の警告を例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、工作機械の状態の通知であっても構わない。たとえば、工作機械の補修時期が到来した通知等であっても構わない。
異常箇所等の警告や通知に関連する箇所を表示するマークとしては、重要度に応じて表示形態を変更して表示することができる。たとえば、工作機械の破損等により稼働を継続できない場合には、赤いマークにして、更に点滅させることができる。また、稼働を継続できる程度の軽い警告の場合には、黄色のマークにして点灯させることができる。また、工作機械の補修時期の通知の場合には、青いマークにして点灯させることができる。
図21に、警報や通知を表示する制御のフローチャートを示す。図1および図21を参照して、ステップ181において、運転状態検出装置36は、工作機械の所定の部分の運転状態を検出する。演算処理部25は、運転状態に異常発生したことを検出する。ステップ182において、演算処理部25は、異常が発生した部分を特定する。
次に、ステップ183において、表示制御部22は、3次元の画像を選定する。異常が発生した時に表示される画像の種類については、予め記憶部26に記憶されている。例えば、工具測定装置92に異常が発生した場合には、工具測定装置92の画像を含むキャリッジ17と主軸頭14との部分が含まれる画像が選定される。
次に、ステップ184において、表示制御部22は、3次元の画像を表示する。この場合に、表示制御部22は、異常が生じた部分が作業者から見やすいように表示する方向を選んで表示する。ステップ185において、表示制御部22は、異常が生じた部分の画像上の位置を特定する。そして、表示制御部22は、工作機械の画像において異常が生じた部分にマークを表示する。
この後に、本実施の形態の制御装置70は、生じた異常が解消したか否かを継続して確認する。作業者は、診断画面63を見て異常が発生した原因を解消することができる。ステップ186において、演算処理部25は、運転状態検出装置36から工作機械の運転状態の信号を受信する。そして、演算処理部25は、異常の有無を判別する。
ステップ187において、演算処理部25は、装置の異常が解消されたか否かを判別する。装置の異常が除去されない場合にはステップ186に戻る。すなわち、異常の有無の判別を継続する。ステップ187において、装置の異常が除去された場合には、ステップ188に移行する。ステップ188においては、診断画面63に表示されていたマーク100を消去する。また、主画面の情報表示領域86に表示していたアイコン86aを消去する。
このように、本実施の形態の制御装置では、自動的に異常の除去の有無を監視している。異常を除去したときの制御については、この形態に限られず、任意の制御を採用することができる。たとえば、診断画面のボタン領域にリセットのボタンを設ける。そして、異常を除去した場合には、リセットボタンを押すことにより警報や通知を解除することができる。
本実施の形態の工作機械は、5軸制御の工作機械であるが、この形態に限られず、任意の送り軸を有する工作機械に本発明を適用することができる。また、本実施の形態の表示部に表示される工作機械の画像は3次元のソリッドモデルによる立体的な画像であるが、サーフェスモデルやワイヤフレームモデルでも構わない。また、これらの形態に限られず、2次元の平面的な画像であっても構わない。
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの制御においては、機能および作用が変更されない範囲において適宜ステップの順序を変更することができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。