JP2018044631A - 等速ボールジョイント - Google Patents

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Abstract

【課題】回転シャフトの端部間に位置するボールがロック状態になることを回避して、スムーズな回転動力の伝達を実現する等速ボールジョイントを提供すること。【解決手段】回転シャフトの端部同士を等速回転可能に連結する等速ボールジョイントであって、回転シャフトの一方の端部側に配置されて外輪案内溝を有する外輪と、回転シャフトの他方の端部側に配置されて内輪案内溝を有する内輪と、外輪内に内輪が位置して外輪案内溝と内輪案内溝との間に形成される空間内に収容されるボール31と、を備えて、外輪案内溝と内輪案内溝とに接触するボールの外周面31aの接触点を通る延長面12p、22pの間に挟まれる角度βが摩擦係数μを用いる関係式「β>2tan-1μ」を満たすように、当該内輪案内溝および当該外輪案内溝が形成されている。【選択図】図9

Description

本発明は、一対の回転シャフト端部の内輪と外輪との間にボールを介在させて等速に回転動力を伝達する等速ボールジョイントに関する。
等速ボールジョイントは、一対の回転シャフト間での回転動力の伝達を実現しつつ、その回転シャフトの軸線方向が交差する状態に変動することを許容する機能を有して、車両等に多用されている。
この等速ボールジョイントとして、例えば、特許文献1には、一対の回転シャフトの一方の端部に配置される外輪内に、その他方の端部に配置される内輪を収容して連結状態にするとともに、外輪内面の外輪案内溝と内輪外面の内輪案内溝との間に移動可能にボールを挟み込む状態で介在させる構造が開示されている。
特開2015−113908号公報
しかしながら、この特許文献1に記載のような等速ボールジョイントにあっては、回転シャフトの軸線方向が交差する状態を維持しつつ回転動力を伝達する場合、その端部の外輪案内溝と内輪案内溝との間のボールが移動する。
このとき、回転シャフト端部の外輪案内溝と内輪案内溝との間に挟み込まれる状態で接触しているボールは、その接触面間に挟み込まれる角度や負荷に応じて移動するが、その角度によっては移動が制限されるロック状態になってしまう場合がある。また、そのロック状態から開放されて移動するボールの接触音が騒音になってしまう場合がある。
そこで、本発明は、回転シャフトの端部間に位置するボールがロック状態になることを回避して、スムーズな回転動力の伝達を実現する等速ボールジョイントを提供することを目的としている。
上記課題を解決する等速ボールジョイントの発明の一態様は、一対の回転シャフトの端部同士を等速回転可能に連結する等速ボールジョイントであって、前記回転シャフトの一方の端部側に配置されて外輪案内溝を有する外輪と、前記回転シャフトの他方の端部側に配置されて内輪案内溝を有する内輪と、前記外輪内に前記内輪が位置して前記外輪案内溝と前記内輪案内溝との間に形成される空間内に収容されるボールと、を備えて、前記外輪案内溝に接触する前記ボールの外周面の接触点を通る接線と、前記内輪案内溝に接触する前記ボールの外周面の接触点を通る接線と、の間に挟まれる角度βが摩擦係数μを用いる次の関係式「β>2tan―1μ」を満たすように、当該内輪案内溝および当該外輪案内溝が形成されている。
このように本発明の一態様によれば、一対の回転シャフト端部の外輪と内輪との間におけるボールの外輪案内溝および内輪案内溝との接触点を通る接線に挟まれる、言い換えると、そのボールとの接触面の延長面間に挟まれる角度、所謂、挟角βが摩擦係数μを用いる関係式「β>2tan―1μ」を満たしている。
したがって、一対の回転シャフトの端部間を連結する、外輪と内輪との間のボールの移動が制限されてロック状態になることを回避することができる。この結果、スムーズな回転動力の伝達を実現する等速ボールジョイントを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る等速ボールジョイントを説明する図であり、その基本構造を示す一部断面平面図である。 図2は、その構成要素である外輪、内輪、ボール、ケージを示す分解斜視図である。 図3は、その構成要素における回転動力の伝達を説明する図であり、(a)は正トルクの回転動力の伝達時を示す軸線方向から見た概念平面図、(b)は負トルクの回転動力の伝達時を示す軸線方向から見た概念平面図である。 図4は、その外輪の外輪案内溝と内輪の内輪案内溝との間にボールを挟み込んだ状態を示す概念側面図である。 図5は、その外輪の外輪案内溝と内輪の内輪案内溝との間に挟み込まれるボールの動きを説明する概念側面図である。 図6は、その等速ボールジョイントの課題を説明する図であり、(a)はその動作テストを行う際の状態を示す軸線方向と直交する方向から見た平面図、(b)はその軸線方向から見た概念平面図である。 図7は、その図6の動作テストにおいて問題のない結果を示すグラフである。 図8は、その図6の動作テストにおいて問題のある結果を示すグラフである。 図9は、その外輪の外輪案内溝と内輪の内輪案内溝との間にボールを挟み込む挟角を説明するためにモデル化した概念図である。 図10は、その図6の動作テストにおいて外輪の外輪案内溝と内輪の内輪案内溝との間に挟み込まれるボールの動きを説明する図であり、(a)は問題のない場合におけるボールの動きを示す概念側面図、(b)は問題のある場合におけるボールの動きを示す概念側面図である。 図11は、その等速ボールジョイントにより奏される作用効果を説明する図6の動作テストの結果を示すグラフである。 図12は、その等速ボールジョイントにより奏される作用効果を説明する図6の動作テストの結果を示す図であり、(a)は問題のある等速ボールジョイントの場合のグラフ、(b)は問題の解消した等速ボールジョイントの場合のグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図12は本発明の一実施形態に係る等速ボールジョイントを説明する図である。
図1および図2において、等速ボールジョイント10は、車両に動力伝達装置として搭載されるドライブシャフト100に、不図示の車輪側に取り付けられている。この等速ボールジョイント10は、アウトボードジョイントの所謂、ツェッパ型のユニバーサルジョイント構造に構築されている。なお、ドライブシャフト100の不図示のデファレンシャル装置側には、インボードジョイントの所謂、トリポード型のユニバーサルジョイント構造の等速ジョイント110が取り付けられている。
これにより、ドライブシャフト100では、車輪側の外側回転シャフト101およびデファレンシャル装置側の内側回転シャフト103の軸線方向がその間の中間回転シャフト102の軸線方向と交差する状態になることが等速ボールジョイント10と等速ジョイント110とにより許容される。このため、車両に搭載される動力源の回転動力は、走行中に、その動力源に連動するデファレンシャル装置側の等速ジョイント110から中間回転シャフト102を介して車輪側の等速ボールジョイント10にスムーズに伝達されて車輪が等速回転される。
ところで、本実施形態の等速ボールジョイント10が取り付けられるドライブシャフト100を搭載する車両は、動力源として、内燃機関型のエンジンと回転電機とを搭載するハイブリッド車、あるいは、回転電機のみを搭載する電気自動車として構築されている。この車両は、動力源から伝達されてくる回転動力をデファレンシャル装置からドライブシャフト100を介して車輪に伝達して駆動輪として回転させることにより、所謂、ドライブ走行する。また、この車両は、回転電機を電動機として機能させてドライブ走行する一方、加速することなく滑走する、所謂、コースト走行時には、車輪の回転力をドライブシャフト100から回転電機に伝達することにより、その回転電機を発電機として機能させて発電電力(回生電力)をバッテリに充電するようになっている。
この等速ボールジョイント10は、図2に示すように、外輪(所謂、アウタレース)11と、内輪(所謂、インナレース)21と、ボール31と、ブーツ41と、を備えて構築されている。
外輪11は、外側回転シャフト101の端部101aに配置されている。この外輪11は、内周面11aが内輪21を内部に収容可能な内径の球面を有するように形成されている。この外輪11の内周面11aには、外側回転シャフト101の軸心に一致する箇所から放射状に連続する複数本(本実施形態では6本)の外輪案内溝(所謂、アウタレース溝)12が形成されている。
内輪21は、中間回転シャフト102の端部102aに配置されている。この内輪21は、外周面21aが外輪11の内周面11aに均等な隙間を介して対面する外径の球面を有するように形成されている。この内輪21の外周面21aには、中間回転シャフト102の軸心に一致する箇所から放射状に連続する複数本(本実施形態では6本)の内輪案内溝(所謂、インナレース溝)22が形成されている。
ボール31は、外輪11内に内輪21が収容される状態で外輪案内溝12および内輪案内溝22が対向することにより形成される空間内に1つずつ収納されている。このボール31は、外輪案内溝12および内輪案内溝22の対向空間内において、それぞれの溝形成面12a、22aに外周面31aを接触させる状態で回転自在に収納されている。
また、ボール31は、外輪11の内周面11aと内輪21の外周面21aとの間に位置して、それぞれの球面に沿いつつ移動可能な曲率半径の湾曲帯形状に形成されたケージ33の保持窓33a内に保持される。ケージ33の保持窓33aは、外輪案内溝12および内輪案内溝22の対向空間に一致する周方向の均等位置に開口して、その対向空間内でボール31を転動自在に保持するようになっている。このため、ボール31は、湾曲帯形状のケージ33の延在する位置の保持窓33aにより保持されることにより、外輪11の外輪案内溝12と内輪21の内輪案内溝22との間の対向空間の片側に寄って揃ってしまうことがなく、常に球形の中心を通る断面の延長面内に位置するように保持される。
これにより、等速ボールジョイント10は、外側回転シャフト101と中間回転シャフト102の軸線方向が交差する状態でも、外輪11の内周面11aと内輪21の外周面21aとが直接接触してしまうことがボール31により回避されつつ、そのボール31が外輪案内溝12と内輪案内溝22との間の対向空間内に転動自在に収容されている状態が維持される。
このため、例えば、図3に示すように、車両が前進する場合に、中間回転シャフト102がデファレンシャル装置から伝達されてきた回転動力により図中矢印F方向に回転すると、その回転に伴って内輪案内溝22の後進側の溝形成面22aにボール31が押される。すると、外側回転シャフト101の外輪案内溝12の前進側の溝形成面12aがそのボール31により押し進められて、ドライブシャフト100に入力された回転が車輪側に出力伝達される。このとき、ボール31が加えられる圧力に応じて転動等されることにより外輪11の外輪案内溝12および内輪21の内輪案内溝22の間での収納位置がずらされつつ、外側回転シャフト101および中間回転シャフト102の軸線の交差角度が維持される。これにより、外側回転シャフト101および中間回転シャフト102は、等速回転する連結状態が維持されて回転動力が伝達される。
この等速ボールジョイント10による回転伝達の方向は、図3(a)に示すように、上述する中間回転シャフト102から外側回転シャフト101に正トルクが伝達されてドライブ走行する、車両の前進時に限られない。例えば、車両の後退時には逆回転する中間回転シャフト102から外側回転シャフト101に逆向きの正トルクがボール31を介して逆向きの方向に伝達されることになる。
また、デファレンシャル装置から車輪側に正トルクの回転動力が伝達されるだけでなく、コースト走行時のように車輪側からデファレンシャル装置側に伝達される負トルクの回転力が伝達されて回生電力が発電される場合もある。この場合には、図3(b)に示すように、外側回転シャフト101および中間回転シャフト102が車両の進行方向と同じ方向に回転されつつ正トルクの場合と逆向きの方向の負トルクがボール31を介して伝達されることになる。
なお、図1および図2に戻って、ブーツ41は、外側回転シャフト101の外輪11の開口縁部11sに締結バンド47により液密に締結される大径部42と、中間回転シャフト102の端部102aの内輪21よりも本体シャフト102h側に締結バンド48により液密に締結される小径部43と、この大径部42と小径部43との間に形成されている蛇腹部44と、を備えている。
これにより、ブーツ41は、両端部の大径部42と小径部43が外側回転シャフト101側と中間回転シャフト102側とに取り付けられることにより、それぞれの端部101a、102aを蛇腹部44内に液密に収容して閉塞することができ、その内部空間内に潤滑油を貯留しつつ塵埃が侵入することを防止することができる。このため、ブーツ41は、外側回転シャフト101および中間回転シャフト102の交差する軸線方向の変化を蛇腹部44により吸収するとともに、外輪案内溝12および内輪案内溝22との間に回転自在に嵌め込み保持されているボール31のスムーズな転動を確保することができる。
ところで、等速ボールジョイント10のボール31は、外輪11の外輪案内溝12および内輪21の内輪案内溝22との間に挟み込まれている状態のまま、外側回転シャフト101および中間回転シャフト102の回転時に、それぞれの軸線方向の交差角度を維持するように転動して移動している。すなわち、この等速ボールジョイント10のボール31は、図4に示すように、挟み込む外輪案内溝12および内輪案内溝22のそれぞれから垂直荷重fgを受けながら、言い換えると、その外輪案内溝12および内輪案内溝22のそれぞれに、その垂直荷重fgに対する垂直抗力(反力)Fgを加えながら接触している。このため、等速ボールジョイント10のボール31は、外輪案内溝12および内輪案内溝22のそれぞれに挟まれる角度β、所謂、挟角β(図9を参照)やその垂直抗力Fgの大きさに応じて移動され、また、その移動が制限される、所謂、スティック状態に保持される。
このとき、等速ボールジョイント10のボール31には、外側回転シャフト101および中間回転シャフト102の回転方向や回転動力の伝達方向に応じて、例えば、外輪案内溝12および内輪案内溝22のそれぞれに挟まれて開口方向に押し出される方向の押出力Fcが付与される、また同時に、このボール31には、その外輪案内溝12および内輪案内溝22から移動を制限する方向の摩擦力Ffが付与される。すなわち、等速ボールジョイント10のボール31は、図5に示すように、外輪案内溝12および内輪案内溝22の間において、押出力Fcと摩擦力Ffとの向きや大きさに応じて、転動あるいは滑ることにより一方向に押し出されるようにして移動する。
ここで、等速ボールジョイント10と基本構造を共通にする図6に示す等速ボールジョイント210の課題を説明する。図6に示すように、等速ボールジョイント210は、本実施形態の等速ボールジョイント10と同様に、外側回転シャフト201と中間回転シャフト202とがそれぞれの軸線方向を交差させている状態のまま等速回転可能に連結されている。
この等速ボールジョイント210は、その軸線方向の交差角度γを維持したまま、相対的に外側回転シャフト201の軸線周りに中間回転シャフト202を周回させる際、図9に示すように、ボール231に挟み込む圧力として垂直抗力Fgを加えつつ接触する外輪211の外輪案内溝212と内輪221の内輪案内溝222とに挟まれる挟角βが変化する。
そして、その外輪211の外輪案内溝212と内輪221の内輪案内溝222との間に挟み込まれるボール231の挟角βは、図6(b)に示すように、外側回転シャフト201の軸線に対する中間回転シャフト202の軸線の相対的な回転位相αに応じて変動する。
例えば、中間回転シャフト202から外側回転シャフト201に正トルクが伝達されて車両をドライブ走行させる場合、ボール231の挟角βは、図7に示すように、その外側回転シャフト201に対する中間回転シャフト202の相対的な回転位相αに応じて変動していることが分かる。
また、中間回転シャフト202から外側回転シャフト201に負トルクが伝達されて車両をコースト走行させる場合も、ボール231の挟角βは、図8に示すように、その外側回転シャフト201に対する中間回転シャフト202の相対的な回転位相αに応じて変動していることが分かる。ただし、この中間回転シャフト202から外側回転シャフト201に負トルクが伝達される場合には、後述するように、特定の相対的な回転位相αexにおいて、ボール231の挟角βが大きく急激に変動していることが分かる。
このとき、等速ボールジョイント210のボール231に負荷される押出力Fcおよび摩擦力Ffは、ボール231の挟角βと次のような関係にある。すなわち、この押出力Fcおよび摩擦力Ffは、図9に示すように、ボール231の外輪211の外輪案内溝212との接触点における接線、言い換えると、その接触面の延長面212pおよび内輪221の内輪案内溝222との接触面の延長面222pの間に挟まれる角度(挟角)βと、そのボール231が外輪案内溝212および内輪案内溝222から受ける垂直抗力Fgと、ボール231と外輪案内溝212や内輪案内溝222との間の動摩擦係数μと、を用いる次式(1)、(2)により算出することができる。なお、この図9は、本来、互いに倣うように湾曲する外輪案内溝212および内輪案内溝222のボール231との接触面の延長面212p、222pと共に挟角βを図示するために、その挟角βを大きくすることによりモデル化して図示している。
Fc=2Fg×sin(β/2) ……(1)
Ff=Fg×μ×cos(β/2) ……(2)
そして、この等速ボールジョイント210は、軸線方向の交差する状態で外側回転シャフト201と中間回転シャフト202とが等速回転しつつ回転動力を伝達する際に、ボール231が外輪211と内輪221との間で適宜、転動あるいは滑ることにより外輪案内溝212と内輪案内溝222との接点位置がずれることを実現する。
このことから、等速ボールジョイント210のボール231は、負荷される摩擦力2Ffが押出力Fc以上となる(2Ff≧Fc)と、外輪案内溝212および内輪案内溝222に対する接触点を滑らせることができず、相対的な移動が制限されるスティック状態にロックされてしまうことにある。すなわち、この等速ボールジョイント210のボール231は、2Ff≧Fcを満たす場合に、外輪案内溝212と内輪案内溝222との間でスティック状態にロックされるスティック領域に嵌まり込む。このことから、等速ボールジョイント210のボール231が外輪案内溝212と内輪案内溝222との間に挟み込まれてロックされるスティック領域の挟角βsは、その2Ff≧Fcから次式(3)のように設定することができる。
βs≦2tan-1(μ) ……(3)
この上記式(3)を満たすスティック挟角βsを超える条件(状況)で外輪案内溝212と内輪案内溝222との間に挟み込まれるボール231は、中間回転シャフト202から外側回転シャフト201に伝達する回転動力に応じて異なる挙動となる。
例えば、車両をドライブ走行させる正トルクを伝達する図7に示す状況の場合には、図10(a)に示すように、ボール231に負荷される押出力Fcは構造上、外輪案内溝212と内輪案内溝222との間の狭くなる側に向かう。このことから、ボール231は、外輪案内溝212と内輪案内溝222との間に挟み込まれる挟角βが、図7の破線で示すスティック挟角βsよりも小さくなる場合にスティック状態にロックされる。しかしながら、正トルクの回転動力の伝達の場合、ボール231は、外輪案内溝212と内輪案内溝222との間の広がる側に急激に動き出してしまうことはなく、スムーズにスティック領域外の動きに移行して転動等することができる。
その一方で、車両をコースト走行させる負トルクを伝達する図8に示す状況の場合には、図10(b)に示すように、ボール231に負荷される押出力Fcは構造上、外輪案内溝212と内輪案内溝222との間の広がる側に向かう。このことから、ボール231は、同様に、外輪案内溝212と内輪案内溝222との間に挟み込まれる挟角βが、図8の破線で示すスティック挟角βsよりも小さくなる場合にスティック状態にロックされる。このため、負トルクの回転動力の伝達の場合、ボール231は、そのロックされているスティック状態の後に、スティック挟角βs条件から外れて外輪案内溝212と内輪案内溝222との間の開放側に急激に動き出してしまい他部材に突き当たってしまう場合がある。
このことから、図6に示すように、外輪211の外周側周方向の4箇所の均等位置にマイクロフォンM1〜M4を設置して、等速ボールジョイント210により回転動力を伝達する際に発生する異音、例えば、ボール231が突き当たる衝突音(接触音)の有無を確認するテストを行ってみた。すると、負トルクとなる回転動力の伝達時に異音の発生が確認された。その異音は、図8に示すように、ボール231の挟角βが大きく急激に変動している、外側回転シャフト201に対する中間回転シャフト202の特定の相対的な回転位相αexから、そのボール231の移動時間分だけ遅延したタイミングにおいて不定期に発生している。
そこで、本実施形態の等速ボールジョイント10では、図4および図9に示すように、ボール31の外輪案内溝12との接触点における接触面の延長面(接線の延長線)12pおよび内輪案内溝22との接触面の延長面22pの間に挟まれる挟角βが上記式(3)のスティック挟角βsを超えるように作製されている。
言い換えると、まずは、ボール31と外輪11の外輪案内溝12と内輪21の内輪案内溝22との接触点における動摩擦係数μを取得する。次いで、その接触点における延長面12p、22pの間の挟角βがその動摩擦係数μを用いる次式(4)を満たすように外輪案内溝12と内輪案内溝22とを形成(設定)して等速ボールジョイント10を作製する、製造方向を採用する。
μ<tan(β/2) ……(4)
すると、ボール31を挟む外輪案内溝12および内輪案内溝22の挟角βは、上記式(3)のスティック挟角βsを満たすことなく、次式(5)を満たすように作製することができる。
β>2tan-1(μ) ……(5)
これにより、等速ボールジョイント10では、図6に示す異音の発生の有無を確認するテストを等速ボールジョイント210と同様に行っても、図11に示すように、ボール31を挟む挟角βに急激な変動を確認することはできなかった。
具体的には、例えば、等速ボールジョイント210では、外輪案内溝212と内輪案内溝222との間にボール231を挟み込む挟角βが16degであるところを、本実施形態の等速ボールジョイント10では、外輪案内溝12と内輪案内溝22との間にボール31を挟み込む挟角βを18degにしている。
これにより、等速ボールジョイント10では、図11に示すように、その挟角βをスティック挟角βsの範囲(スティック領域)から外すことができ、ボール31のスティック状態を回避して急激な変動に起因する異音の発生を防止することができている。
この結果、外側回転シャフト101と中間回転シャフト102との相対的な回転に伴って、等速ボールジョイント210では、図12(a)に示すように、その特定の回転位相αex毎に不定期に異音が発生していた。これに対して、等速ボールジョイント10では、図12(b)に示すように、その特定箇所に限らず、いずれの回転位相でも異音の発生は確認されなかった。なお、この図12における回転パルスは、外側回転シャフト101と中間回転シャフト102との相対的な1回転毎に発生するパルス信号である。
このように、本実施形態の等速ボールジョイント10においては、外側回転シャフト101と中間回転シャフト102との間でボール31をロック状態にスティックさせてしまうことを回避しつつ、スムーズに回転動力を伝達することができる。
したがって、軸線方向の交差角度を維持したまま、相対的に外側回転シャフト101の軸線周りに中間回転シャフト102を周回させる際に、騒音となる衝突音などの異音を発生させることがなく、回転動力をスムーズに伝達可能な等速ボールジョイント10を提供することができる。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
10 等速ボールジョイント
11 外輪
12 外輪案内溝
12p、22p 延長面(接線)
21 内輪
22 内輪案内溝
31 ボール
31a 外周面
100 ドライブシャフト
101 外側回転シャフト
101a、102a 端部
102 中間回転シャフト
Fc 押出力
Ff 摩擦力
fg 垂直荷重
Fg 垂直抗力
β 挟角

Claims (1)

  1. 一対の回転シャフトの端部同士を等速回転可能に連結する等速ボールジョイントであって、
    前記回転シャフトの一方の端部側に配置されて外輪案内溝を有する外輪と、前記回転シャフトの他方の端部側に配置されて内輪案内溝を有する内輪と、前記外輪内に前記内輪が位置して前記外輪案内溝と前記内輪案内溝との間に形成される空間内に収容されるボールと、を備えて、
    前記外輪案内溝に接触する前記ボールの外周面の接触点を通る接線と、前記内輪案内溝に接触する前記ボールの外周面の接触点を通る接線と、の間に挟まれる角度βが摩擦係数μを用いる次の関係式
    β>2tan-1μ
    を満たすように、当該内輪案内溝および当該外輪案内溝が形成されている、等速ボールジョイント。
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