JP2018044062A - ポリカーボネート樹脂組成物並びにそれからなる導光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、導光性にすぐれたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)鉄イオン含有量が0.1ppm以下であるポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)リン系安定剤(B成分)を0.01〜0.1重量部含有することを特徴とする導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物、並びにそれからなる導光板および面光源体に関する。さらに詳しくは、導光性にすぐれ、射出成形時にも黄変の少なく、導光板などの光学素子、あるいは表示パネルや照明用のカバーなどに好適に用いることができるポリカーボネート樹脂組成物並びにそれからなる導光板および面光源体に関する。
LEDを光源とする光源体は、省電力性・長寿命の観点から次世代光源体として注目を集めており、1990年代の青色発光ダイオード開発以降は、LEDによる白色光照明の実用可能性が高まり、局所照明を中心に急速に市販製品が登場してきた。またディスプレイをはじめとする面光源体についても、LED光源は、冷陰極管が発する白色光をカラーフィルタで透過して得られる色(赤・緑・青)に比べ、RGB3色LEDが放つ光の色純度が高く、色の再現範囲を大きく広げることができるというメリットがあるため、光源のLED化が進んできている。一方、LEDは点光源であるため広い面積を照射しようとすると光源体の背面に多くのLEDを設置する必要があり(バックライト方式)その一つ一つが点光源としてみえてしまう、すなわちムラを生じやすいといった欠点がある。最近では、このムラを解消し、かつ低コスト化、更なる省電力化、更には製品の薄型化を目指し、LEDを光源体の端面に配置するいわゆるエッジライト方式の光源体が増えてきている。エッジライト方式の光源体において、均一な面発光性を達成するために光を遠くまで伝える導光体が用いられる。しかしながらエッジライト方式での光源体では光源から遠くなるに従って、暗くなってしまう問題がある。従って、導光性を有する成形体用の材料としては、光源からの光の減衰が少ない特性すなわち導光性が求められ、これまで透明樹脂の中で、ポリメチルメタアクリレート(以下「PMMA」と称する事がある)が最も適した材料として用いられてきた。しかしながら、PMMAは、耐衝撃性、熱安定性などが必ずしも十分でなく、前述の用途においては使用環境が制限されるという問題点がある。また光源のLED化に伴い、導光体には上記特性に加えて耐熱性も求められはじめた。そのため、耐熱性、耐衝撃性の点で優れるポリカーボネート樹脂の導光性を改良する技術が注目を集めるようになってきた。
ポリカーボネートの導光性を改良した例として、特許文献1では、粘度平均分子量が13,000〜15,000であるポリカーボネート樹脂に安定剤と離型剤を配合した導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が報告されている。しかしながら強度に問題がある場合があり用途が限られてしまう。特許文献2、3では、特定のシロキサン化合物を少量配合してなる導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が報告されている。しかしながら、シリコーン系の化合物は、高温条件下で低分子シリコーンガスが発生する場合がある。特許文献4ではポリカーボネートとアクリル系樹脂からなる樹脂組成物を用いて成形した板状成形体の表面又は裏面に光散乱層を設けてなる導光板が報告されている。特許文献5では芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が0.001以上である他の熱可塑性樹脂からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が報告されている。しかしながら本来ポリカーボネート樹脂に対して非相溶であるとアクリル系樹脂を添加するため、添加量が限られており、導光性を充分に発現しない場合がある。
特許文献6では芳香族ポリカーボネート樹脂に流動改質剤として、芳香族ビニル単量体、特定の(メタ)アクリル系単量体および他の単量体からなる単量体混合物を重合して得られる重合体を配合した導光板について報告されている。しかし、使用されているポリカーボネート樹脂の鉄イオン含有量が規定されておらず、導光性能が十分発現しないことが考えられる。
特開2007−204737号公報 特開2004−250557号公報 特開2015−157901号公報 特開平10−73725号公報 特開2002−60609号公報 特開2006−201667号公報
本発明の目的は、透明性、導光性にすぐれたポリカーボネート樹脂組成物並びにそれからなる導光体および面光源体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボネート樹脂およびリン系安定剤からなるポリカーボネート樹脂組成物が優れた導光性を示すことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、(1)(A)鉄イオン含有量が0.1ppm以下であるポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)リン系安定剤(B成分)を0.01〜0.1重量部含有することを特徴とする導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
本発明のより好適な態様の一つは、(2)B成分が、下記一般式〔1〕または下記一般式〔2〕で表されるリン系安定剤であることを特徴とする上記構成(1)に記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物である。
(式〔1〕中、R、Rは、夫々独立して炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表す。)
(式〔2〕中、R、Rは、夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基、炭素原子数5〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、mは1〜4の整数、nは1〜4の整数である。また、Rは、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表す。)
本発明のより好適な態様の一つは、(3)A成分100重量部に対し、(C)(c−1)芳香族(メタ)アクリレート単量体(c−1成分)、(c−2)アルキル(メタ)アクリレート単量体(c−2成分)、および(c−3)変性された芳香族ビニル単量体(c−3成分)からなる共重合体(C成分)を2〜5重量部含有することを特徴とする上記構成(1)または(2)に記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは、(4)A成分が、下記一般式〔3〕で表されるポリカーボネートブロックからなるポリカーボネート樹脂であることを特徴とする上記構成(1)〜(3)のいずれかに記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物である。
[上記一般式〔3〕において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数5〜14のアリール基、炭素原子数5〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、a及びbは夫々1〜4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式〔4〕で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
(上記一般式〔4〕においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数5〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1〜10の整数、dは4〜7の整数であり、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、eは自然数であり、fは0又は自然数であり、e+fは4以上150以下の自然数であり、Xは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)]
本発明のより好適な態様の一つは、(5)上記構成(1)〜(4)のいずれかに記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品である。
本発明のより好適な態様の一つは、(6)成形品が、導光体または面光源体である上記構成(5)に記載の成形品である。
以下、更に本発明の詳細について説明する。
<A成分:ポリカーボネート樹脂>
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。
ビスフェノール類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタンおよび下記一般式〔5〕で表されるシロキサン構造を有するビスフェノール化合物等が挙げられる。
[式中、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、p及びqは夫々1〜4の整数でありeは自然数であり、fは0又は自然数であり、e+fは100未満の自然数である。Xは炭素原子数2〜8の二価脂肪族基である。]
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,14−テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16−ヘキサデカンジオール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}プロパン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ビフェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル}プロパン、2,2−ビス{3−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−4−メチルペンタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2−ビス{3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}フルオレン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、1,3−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−5,7−ジメチルアダマンタン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、なかでも1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、上記一般式〔5〕で表されるビスフェノール化合物が好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、4,4’−スルホニルジフェノール、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、上記一般式〔5〕で表されるビスフェノール化合物が好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂とすることが好ましい。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
これらのポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。その製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明において、重合反応においては末端停止剤を使用する。末端停止剤は分子量調節のために使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる末端停止剤としては、下記一般式〔6〕〜〔8〕で表される単官能フェノール類を示すことができる。
[式〔6〕中、Aは水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)、フェニル基、またはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数1〜9)であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である]。
[式〔7〕〔8〕中、Yは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
上記一般式〔6〕で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クレゾール、p−クミルフェノール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、およびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。また、上記一般式〔7〕〜〔8〕で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、樹脂の吸水率を低くする効果があり好ましく使用される。上記一般式〔7〕の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。また、上記一般式〔8〕の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。これら単官能フェノール類の内、上記一般式〔6〕で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールまたは2−フェニルフェノールである。これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
本発明のA成分として用いられるポリカーボネート樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、12,500〜50,000の範囲が好ましく、15,500〜30,000がより好ましく、18,000〜28,000の範囲がさらにより好ましく、19,000〜26,000の範囲が最も好ましい。分子量が50,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が12,500未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の鉄イオン含有量が0.1ppm以下であり、好ましくは0.05ppm以下であり、より好ましくは0.03ppm以下であり、最も好ましくは0.01ppm以下である。鉄イオン含有量が0.1ppmを超えると、透明性は同等であっても導光性能(平均輝度および色差)が低下する。
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の全Cl(塩素)量が好ましくは0〜200ppm、より好ましくは0〜150ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全Cl量が200ppmを越えると、色相および熱安定性が悪くなるので好ましくない。
<B成分:リン系安定剤>
本発明のB成分として使用されるリン系安定剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる。リン系安定剤としては、亜リン酸(ホスファイト)、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィン、リン酸(ホスフェイト)、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキサイドなどが例示され、中でもホスファイト、ホスホナイト、ホスホネート、ホスフィンが好ましく用いられる。具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネート化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。ホスフィン化合物としては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましいホスフィン化合物は、トリフェニルホスフィンである。
上記リン系安定剤の中でもトリメチルホスフェートに代表されるアルキルホスフェート化合物が配合されることが好ましい。なかでも、下記一般式〔1〕および下記一般式〔2〕で表されるいずれか一種であることがより好ましい。これらのリン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。
(式〔1〕中、R、Rは、夫々独立して炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表す。)
(式〔2〕中、R、Rは、夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基、炭素原子数5〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、mは1〜4の整数、nは1〜4の整数である。また、Rは、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表す。)
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.01〜0.1重量部であり、0.01〜0.08重量部が好ましく、0.02〜0.08重量部がより好ましく、0.02〜0.06重量部がさらに好ましく、0.02〜0.05重量部が最も好ましい。B成分の含有量が0.1重量部を超えると、モールドデポジットが発生し、コスト的にも不利になる傾向があり、また0.01重量部より少ない場合は、熱安定性が悪化する。
<C成分:共重合体>
本発明のC成分として使用する共重合体は、芳香族(メタ)アクリレート単量体(c−1成分)、アルキル(メタ)アクリレート単量体(c−2成分)、および変性された芳香族ビニル単量体(c−3成分)からなる共重合体である。尚、本発明の共重合体は樹脂組成物の透明性を損なわず、導光性を更に向上させる作用を有する。
芳香族(メタ)アクリレート単量体とは、エステル部分に芳香族基を有するメタクリレート、エステル部分に芳香族基を有するアクリレート、又は双方を含むものであり、具体的には、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートが挙げられる。これは1種を単独で用いても、2種以上を併用しても差し支えない。これらの中でも、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートが好ましく、フェニルメタクリレートが更に好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート単量体としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどが挙げられ、これらの中でもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。変性された芳香族ビニル単量体としては、具体的には α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどが挙げられ、なかでもα−メチルスチレンが特に好ましい。
かかる共重合体の各成分の使用される割合については、単量体の合計を100重量%とした場合、芳香族(メタ)アクリレート単量体(c−1成分)は好ましくは10〜59重量%、より好ましくは12〜50重量%、さらに好ましくは15〜40重量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体(c−2成分)は好ましくは40〜89重量%、より好ましくは45〜85重量%、さらに好ましくは50〜80重量%、変性された芳香族ビニル単量体(c−3成分)は好ましくは1〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜18重量%である。共重合体を構成する各成分が上記範囲にない場合、共重合体とA成分であるポリカーボネート樹脂との相溶性が悪化し、特に湿熱後の透明性、導光性が低下する場合がある。
本発明のC成分として使用する共重合体は、重量平均分子量が好ましくは5,000〜30,000、より好ましくは7,000〜28,000、さらに好ましくは8,000〜25,000である。重量平均分子量が5,000〜30,000の範囲から外れる場合、A成分であるポリカーボネート樹脂との相溶性が悪くなり、透明性、導光性が低下する場合がある。かかる重量平均分子量はGPC測定(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定)により算出される。ここで示す重量平均分子量は、標準ポリスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定によりポリスチレン換算の値として算出されたものである。
本発明のC成分として使用する共重合体の重合方法としては、公知の乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法などが挙げられる。これらの中では、変性された芳香族ビニルの重合性が良好になることから乳化重合法が好ましい。乳化重合法で用いられる乳化剤としては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の公知の乳化剤を使用できる。乳化重合で使用する重合開始剤としてはt−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム等の公知の重合開始剤を使用できる。
C成分の含有量はA成分100重量部に対し、2〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは3〜5重量部であり、さらに好ましくは3〜4重量部である。C成分の含有量が2重量部未満の場合、導光性能が充分に得られない場合があり、5重量部を超えると耐熱性が低下する場合がある。
<その他の成分>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、透明性・導光性を損なうことがない限り、他の樹脂や充填剤は配合しても差し支えないが、他の樹脂や充填剤の多くは透明性に支障を来すので、その種類や量の選択は、その点を考慮すべきである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、その熱安定性、意匠性の改良のために、これらの改良に使用されている添加剤が有利に使用される。以下これら添加剤について具体的に説明する。
(I)熱安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物にはリン系安定剤以外の公知の各種熱安定剤を配合することができる。具体的には、フェノール系酸化防止剤、イオウ含有酸化防止剤などが挙げられる。
かかるフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを挙げることができ、好ましく使用できる。
より好ましくは、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンであり、さらにn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネートが好ましい。
また、酸化防止剤としてイオウ含有酸化防止剤を使用することもできる。特に樹脂組成物が回転成形や圧縮成形に使用される場合には好適である。かかるイオウ含有酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
上記に挙げたフェノール系酸化防止剤、およびイオウ含有酸化防止剤はそれぞれ単独または2種以上併用することができる。
これらのフェノール系酸化防止剤またはイオウ含有酸化防止剤の含有量は、それぞれA成分100重量部に対し、0.0001〜1重量部であることが好ましい。より好ましくは0.0005〜0.5重量部であり、さらに好ましくは0.001〜0.2重量部である。
(II)離型剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて離型剤を配合することができる。かかる離型剤としてはそれ自体公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックスまたは1−アルケン重合体が挙げられる。これらは酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。これらの中でも飽和脂肪酸エステル類、直鎖状または環状のポリジメチルシロキサンオイルやポリメチルフェニルシリコーンオイルなど、およびフッ素オイルを挙げることができる。好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステルが挙げられ、例えばステアリン酸モノグリセライドなどのモノグリセライド類、デカグリセリンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類が使用される。かかる離型剤の含有量はA成分100重量部に対して0.01〜0.3重量部が好ましい。
(III)紫外線吸収剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
また紫外線吸収剤としては例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
さらに紫外線吸収剤としては例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール、2−(4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部当たり0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜1重量部である。
(IV)光安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて光安定剤を配合することができる。かかる光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2n−ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンジカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリ{[6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンに代表されるヒンダードアミンが挙げられる。
光安定剤の含有量は、A成分100重量部当たり0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜1重量部である。
(V)ブルーイング剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては通常ポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」]、一般名Solvent Violet31[CA.No68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solvent Violet33[CA.No60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一般名Solvent Blue94[CA.No61500;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名Solvent Violet36[CA.No68210;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名Solvent Blue97[商標名 バイエル社製「マクロレックスブルーRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110;商標名 サンド社製「テラゾールブルーRLS」]等が挙げられ、特に、マクロレックスブルーRR、マクロレックスバイオレットBやテラゾールブルーRLSが好ましい。ブルーイング剤の含有量はA成分100重量部当たり0.000005〜0.001重量部が好ましく、より好ましくは0.00001〜0.0001重量部である。
(VI)蛍光増白剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において蛍光増白剤は、樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限はなく、例えばスチルベン系、ベンズイミダゾール系、ベンズオキサゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。具体的には例えばCI Fluorescent Brightener 219:1や、イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1やハッコールケミカル(株)製「ハッコールPSR」、などを挙げることができる。ここで蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。蛍光増白剤の含有量はA成分100重量部に対して、0.001〜0.1重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜0.05重量部である。
(VII)エポキシ化合物
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ化合物を配合することができる。かかるエポキシ化合物は、金型腐食を抑制するという目的で配合されるものであり、基本的にエポキシ官能基を有するもの全てが適用できる。好ましいエポキシ化合物の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’ーエポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体等が挙げられる。かかるエポキシ化合物の添加量としては、A成分100重量部に対して0.003〜0.2重量部が好ましく、より好ましくは0.004〜0.15重量部であり、さらに好ましくは0.005〜0.1重量部である。
(VIII)有機金属塩
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、有機金属塩化合物を配合することができる。かかる有機金属塩は、難燃性を付与するという目的で配合されているものであり、炭素原子数1〜50、好ましくは1〜40の有機酸のアルカリ(土類)金属塩であることが好ましく、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることがより好ましい。この有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩には、炭素原子数1〜10、好ましくは2〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩の如きフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに炭素原子数7〜50、好ましくは7〜40の芳香族スルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩が含まれる。金属塩を構成するアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。より好適にはアルカリ金属である。かかるアルカリ金属の中でも、透明性の要求がより高い場合にはイオン半径のより大きいルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、リチウムおよびナトリウムなどのより小さいイオン半径の金属は逆に難燃性の点で不利な場合がある。これらを勘案してスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。ここでパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18の範囲が好ましく、1〜10の範囲がより好ましく、更に好ましくは1〜8の範囲である。これらの中で特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。アルカリ金属からなるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩中には、通常少なからず弗化物イオン(F)が混入する。かかる弗化物イオンの存在は難燃性を低下させる要因となり得るので、できる限り低減されることが好ましい。かかる弗化物イオンの割合はイオンクロマトグラフィー法により測定できる。弗化物イオンの含有量は、100ppm以下が好ましく、40ppm以下が更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。また製造効率的に0.2ppm以上であることが好適である。かかる弗化物イオン量の低減されたパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、製造方法は公知の製造方法を用い、かつ含フッ素有機金属塩を製造する際の原料中に含有される弗化物イオンの量を低減する方法、反応により得られた弗化水素などを反応時に発生するガスや加熱によって除去する方法、並びに含フッ素有機金属塩を製造に再結晶および再沈殿等の精製方法を用いて弗化物イオンの量を低減する方法などによって製造することができる。特に有機金属塩系難燃剤は比較的水に溶けやすいこことから、イオン交換水、特に電気抵抗値が18MΩ・cm以上、すなわち電気伝導度が約0.55μS/cm以下を満足する水を用い、かつ常温よりも高い温度で溶解させて洗浄を行い、その後冷却させて再結晶化させる工程により製造することが好ましい。芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の具体例としては、例えばジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウム、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウム、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、およびアントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。これら芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩では、特にカリウム塩が好適である。これらの芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の中でも、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、およびジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムが好適であり、特にこれらの混合物(前者と後者の重量比が15/85〜30/70)が好適である。
スルホン酸アルカリ(土類)金属塩以外の有機金属塩としては、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩および芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩などが好適に例示される。硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、特に一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、およびステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩が挙げられる。芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩としては、例えばサッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。有機金属塩の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部、特に好ましくは0.03〜0.15重量部である。
(IX)その他
上記以外にも本発明の樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を少割合配合することができる。これら添加物は本発明の目的を損なわない限り、通常の配合量である。かかる添加剤としては、強化充填剤、摺動剤(例えばPTFE粒子)、着色剤、蛍光染料、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、光拡散剤、流動改質剤、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、並びにフォトクロミック剤などが挙げられる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造について>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。別法として、A成分、B成分および任意に他の成分をそれぞれ独立にベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法、A成分および他の成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法、B成分を水または有機溶剤で希釈混合した後、溶融混練機に供給、またはかかる希釈混合物を他の成分と予備混合した後、溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。なお、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
<導光板および面光源体の製造>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物からなる導光板を製造するには、任意の方法が採用される。例えば該ポリカーボネート樹脂組成物を押出機、バンバリーミキサーおよびロール等で混練した後、射出成形、押出成形または圧縮成形等従来公知の方法で成形し、導光板を得ることができる。また、この導光板の少なくとも一方の側面に光源を設け、該導光板の片面に反射板を設置することにより面光源体とすることもできる。かかる導光板および面光源体の光源としては、蛍光ランプの他、冷陰極管、LED、レーザーダイオード、有機EL等の自己発光体を使用できる。本発明の導光板および面光源体は、携帯電話、携帯端末、カメラ、時計、ノートパソコン、ディスプレイ、照明、信号、自動車のランプ、家電・光学機器の表示部品などに使用される。特には電機製品としてのLEDを光源とする場合のように、周辺機器に難燃性が求められる場合などには、本発明の導光板および面光源体が好適に使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、特定のポリカーボネート樹脂およびリン系安定剤からなるポリカーボネート樹脂組成物であり、優れた導光性を示すものであり、これらの技術は従来の高導光性付与技術にはないものである。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高い導光性をもつため、LED照明を始めとする照明分野、OA機器分野、電気電子機器分野、自動車分野などの各種工業用途に極めて有用であり、その奏する工業的効果は極めて大である。さらに具体的には、照明用のカバー、ディスプレイ用拡散板、ガラス代替用途、光ディスクなどの各種光学ディスクおよび関連部材、電池ハウジングなどの各種ハウジング成形品、鏡筒、メモリーカード、スピーカーコーン、ディスクカートリッジ、面発光体、マイクロマシン用機構部品、ヒンジ付き成形品またはヒンジ用成形品、透光・導光型ボタン類、タッチパネル部品などが例示される。
本発明における導光性(輝度、面内色差)の測定方法を示す概略図である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げてさらに説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。尚、評価としては以下の項目について実施した。
1.ポリカーボネート樹脂(A成分)の評価
(1)粘度平均分子量(Mv)
次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出した。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
c=0.7
(2)ポリジオルガノシロキサン成分含有量
日本電子(株)製 JNM−AL400を用い、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のH−NMRスペクトルを測定し、二価フェノール(I)由来のピークの積分比とジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)由来のピークの積分比を比較することにより算出した。
ポリジオルガノシロキサン成分含有量(wt%)=[A/(A+B)]×100
A:〔ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)のH一つ分のピークの積分比〕×〔ポリジオルガノシロキサン部分の分子量〕
B:〔二価フェノール(I)のH一つ分のピークの積分比〕×〔二価フェノールの分子量〕
(3)鉄イオン含有量
20gのサンプルを用いて誘導結合プラズマ発光分析法(日本ジャーレルアッシュ社製、NJA ICPA575)にて測定した。
2.樹脂組成物の評価
(1)透明性(ヘーズ)
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度320℃、金型温度80℃にて幅150mm、長さ150mm、厚みが2.0mmである角板を成形した。この角板のヘーズをJIS−K 7361−1に従い測定した。また同角板を温度60℃、湿度90%RHにて300時間処理したものについて、湿熱試験後のヘーズを同様に測定した。
(2)外観
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度320℃、金型温度80℃にて幅150mm、長さ150mm、厚みが2.0mmである角板を成形した。この角板を1,000ショット連続で成形し、1,000枚目の外観について目視で評価した。なお評価結果は以下の記号であらわす。
○:シルバー、モールドデポジットによる外観不良がみられなかった。
×:シルバー、モールドデポジットによる外観不良がみられた。
(3)平均輝度
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風乾燥機にて乾燥し、射出成形機[東芝機械(株)IS150EN−5Y]によりシリンダー温度300℃、金型温度80℃で輝度評価用の導光板(100mm×70mm×4mm)(裏面に0.1mm間隔でシボあり)を成形した。上記導光板を裏面が下側になるように設置し、70mm×4mmのエッジから光を入射させ100mm×70mmの面から発光する光の輝度をトプコン社製BM−7を用いて測定した。平均輝度を幅3水準、長さ3水準の合計9箇所の測定値を平均して求めた。なお入射光としては、LEDとしてNS2W150(日亜化学工業(株)製)を18ミリピッチで実装したものを光源として用いた(消費電力 約30W)。また同角板を温度60℃、湿度90%RHにて300時間処理したものについて、湿熱試験後の平均輝度を同様に測定した。なお平均輝度は4,000Cd/m以上が好ましく、5,000Cd/m以上がより好ましく、6,500Cd/m以上が最も好ましい。
(4)面内色差
上記導光板を裏面が下側になるように設置し、70mm×4mmのエッジから光を入射させ100mm×70mmの面から発光する色度(x,y)をトプコン社製BM−7を用いて測定した。面内色差(Δ(x,y))は、以下の式(1)より算出した数値で評価を行った。なお数値は小さいほど面内色差が小さい事を意味する。なお入射光としては、LEDとしてNS2W150(日亜化学工業(株)製)を18ミリピッチで実装したものを光源として用いた(消費電力 約30W)。
Δ(x,y)=[(x−x+(y−y1/2 (1)
(x,y) 光源から80mm離れた箇所の色度
(x,y) 光源から20mm離れた箇所の色度
(5)耐熱性(荷重たわみ温度)
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度320℃、金型温度80℃にてISO多目的試験片(80mm×10mm×4mm)を作成し、ISO75−1、2に準拠し、荷重たわみ温度(荷重1.80MPa)を測定した。
なお荷重たわみ温度は、115℃〜130℃が好ましく、120℃〜130℃がより好ましく、123℃〜130℃がさらに好ましい。荷重たわみ温度が115℃より低いと、導光板として使用した際に、光源近くの箇所で変形を起こす場合があり、130℃を超えると、成形時に流動性が低下し、導光性が悪化する場合があるため好ましくない。
[実施例1〜18、および比較例1〜3]
A成分、B成分および各種添加剤を表1および表2記載の各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。使用する各種添加剤は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口から第二供給口まで270℃、第二供給口からダイス部分まで290℃とした。評価結果を表1および表2に示す。
なお、使用した各成分の詳細は以下の通りである。
(A成分)
A−1:下記製法により得られた粘度平均分子量15,200のポリカーボネート樹脂パウダー(鉄イオン含有量:0.012ppm)
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器に電気伝導率が0.9μs/cmであるイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と称する事がある)710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液217部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、パス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して、電気伝導率が0.9μs/cmであるイオン交換水にて水洗した後、塩酸酸性にし、更に水洗し、水相の電気伝導率が1.0μs/cm以下となったところで、温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネートのパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−2:下記製法により得られた粘度平均分子量19,800のポリカーボネート樹脂パウダー(鉄イオン含有量:0.016ppm)
11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液148部とした以外はA−1の製造方法と同様に行い、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−3:下記製法により得られた粘度平均分子量12,900のポリカーボネート樹脂パウダー(鉄イオン含有量:0.009ppm)
11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液274部とした以外はA−1の製造方法と同様に行い、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−4:下記製法により得られた粘度平均分子量15,300のポリカーボネート樹脂パウダー(鉄イオン含有量:0.025ppm)
イオン交換水の替わりに電気伝導率が3.0μs/cmである蒸留水を2340部用いてホスゲン化を行った以外は、A−1の製造方法と同様に行い、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−5:下記製法により得られた粘度平均分子量14,900のポリカーボネート樹脂パウダー(鉄イオン含有量:0.4ppm)
イオン交換水の替わりに電気伝導率が150μs/cmである水を2340部用いてホスゲン化を行った以外は、A−1の製造方法と同様に行い、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−6:下記製法により得られたポリジオルガノシロキサン成分含有量8.2%、粘度平均分子量19,400のポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダー(鉄イオン含有量:0.019ppm)
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器に電気伝導率が0.9μs/cmであるイオン交換水21591部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3674部を入れ、上記式〔1〕で表されるカーボネート構成単位を構成するジヒドロキシ化合物(I)として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3880部、およびハイドロサルファイト7.6部を溶解した後、塩化メチレン14565部(ジヒドロキシ化合物(I)1モルに対して14モル)を加え、撹拌下22〜30℃でホスゲン1900部を60分要して吹き込んだ。次に、48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131部、p−tert−ブチルフェノール108部を塩化メチレン800部に溶解した溶液を加え、下記式〔9〕で表されるポリジオルガノシロキサン化合物430部を塩化メチレン1600部に溶解した溶液を、ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)が二価フェノール(I)の量1モルあたり0.0008モル/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3部を加えて温度26〜31℃において45分間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して電気伝導率が0.9μs/cmであるイオン交換水にて水洗した後、塩酸酸性にし、更に水洗し、水相の電気伝導率が1.0μs/cm以下となったところで、温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダーを得た。
(B成分)
B−1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト((株)ADEKA製:アデカスタブPEP−36)
B−2:2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト((株)ADEKA製:アデカスタブHP−10)
(C成分)
C−1:重量平均分子量16,700のフェニルメタクリレート/メチルメタクリレート/α−メチルスチレンの重量比が30:62:8である共重合体
(三菱レイヨン(株)製:H−880(商品名))
C−2:重量平均分子量11,800のフェニルメタクリレート/メチルメタクリレート
/α−メチルスチレンの重量比が5:92:3である共重合体
C−3:重量平均分子量11,600のフェニルメタクリレート/メチルメタクリレート
/α−メチルスチレンの重量比が65:25:10である共重合体
C−4:重量平均分子量11,500のフェニルメタクリレート/メチルメタクリレート
/α−メチルスチレンの重量比が25:35:40である共重合体
C−5:重量平均分子量10,000のフェニルメタクリレート/メチルメタクリレート
の重量比が34:66である共重合体
(その他の成分)
D:グリセリンモノステアレート(理研ビタミン(株)製:リケマールS−100A(商品名))
E:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:Irganox1076(商品名))
F:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学(株)製:メガファックF−114P(商品名))
G:スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体(日油(株)製:マープルーフG−0250S)
H:UV吸収剤(ケミプロ化成(株)製:ケミソーブ79(商品名))
I:蛍光増白剤(ハッコールケミカル(株)製:ハッコールPSR(商品名))
A 平板状試験片(100mm×70mm×4mm)(下面に0.1mm間隔でシボあり)
B 光源
L 面輝度
(x,y) 光源側の側面から80mm離れた箇所の色度
(x,y) 光源側の側面から20mm離れた箇所の色度

Claims (6)

  1. (A)鉄イオン含有量が0.1ppm以下であるポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)リン系安定剤(B成分)を0.01〜0.1重量部含有することを特徴とする導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
  2. B成分が、下記一般式〔1〕または下記一般式〔2〕で表されるリン系安定剤であることを特徴とする請求項1に記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
    (式〔1〕中、R、Rは、夫々独立して炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表す。)
    (式〔2〕中、R、Rは、夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基、炭素原子数5〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、mは1〜4の整数、nは1〜4の整数である。また、Rは、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表す。)
  3. A成分100重量部に対し、(C)(c−1)芳香族(メタ)アクリレート単量体(c−1成分)、(c−2)アルキル(メタ)アクリレート単量体(c−2成分)、および(c−3)変性された芳香族ビニル単量体(c−3成分)からなる共重合体(C成分)を2〜5重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
  4. A成分が、下記一般式〔3〕で表されるポリカーボネートブロックからなるポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
    [上記一般式〔3〕において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数5〜14のアリール基、炭素原子数5〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、a及びbは夫々1〜4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式〔4〕で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
    (上記一般式〔4〕においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数5〜14のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数5〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1〜10の整数、dは4〜7の整数であり、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、eは自然数であり、fは0又は自然数であり、e+fは4以上150以下の自然数であり、Xは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)]
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
  6. 成形品が、導光体または面光源体である請求項5に記載の成形品。
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