JP2015157901A - 導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる導光体 - Google Patents

導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる導光体 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、導光性にすぐれ、かつ光源から遠い箇所と近い箇所での色差の少ない導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)分岐構造を有しないシリコーン化合物(B成分)0.01〜3重量部を含んでなる導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる導光体に関する。さらに詳しくは、透明性、導光性にすぐれ、かつ光源から遠い箇所と近い箇所での色差の少ない導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる導光体に関する。
LEDを光源とする光源体は、省電力性・長寿命の観点から次世代光源体として注目を集めており、1990年代の青色発光ダイオード開発以降は、LEDによる白色光照明の実用可能性が高まり、局所照明を中心に急速に市販製品が登場してきた。またディスプレイをはじめとする面光源体についても、LED光源は、冷陰極管が発する白色光をカラーフィルタで透過して得られる色(赤・緑・青)に比べ、RGB3色LEDが放つ光の色純度が高く、色の再現範囲を大きく広げることができるというメリットがあるため、光源のLED化が進んできている。一方、LEDは点光源であるため広い面積を照射しようとすると光源体の背面に多くのLEDを設置する必要があり(バックライト方式)その一つ一つが点光源としてみえてしまう、すなわちムラを生じやすいといった欠点がある。最近では、このムラを解消し、かつ低コスト化、更なる省電力化、更には製品の薄型化を目指し、LEDを光源体の端面に配置するいわゆるエッジライト方式の光源体が増えてきている。エッジライト方式の光源体において、均一な面発光性を達成するために光を遠くまで伝える導光体が用いられる。しかしながらエッジライト方式での光源体では光源から遠くなるに従って、暗くなってしまう問題がある。従って、導光性を有する成形体用の材料としては、光源からの光の減衰が少ない特性すなわち導光性が求められ、これまで透明樹脂の中で、ポリメチルメタアクリレート(以下「PMMA」と称する事がある)が最も適した材料として用いられてきた。しかしながら、PMMAは、耐衝撃性、熱安定性などが必ずしも十分でなく、前述の用途においては使用環境が制限されるという問題点がある。また光源のLED化に伴い、導光体には上記特性に加えて耐熱性も求められはじめた。そのため、耐熱性、耐衝撃性の点で優れるポリカーボネート樹脂の導光性を改良する技術が注目を集めるようになってきた。
ポリカーボネートの導光性を改良した例として、特許文献1では、粘度平均分子量が13,000〜15,000であるポリカーボネート樹脂に安定剤と離型剤を配合した導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が報告されている。特許文献2では、特定の粘度を有し、少なくとも側鎖にフェニル基を有し、かつ分岐シロキサン構造を有するポリオルガノシロキサンを混合してなる導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が報告されている。特許文献3ではポリカーボネートとアクリル系樹脂からなる樹脂組成物を用いて成形した板状成形体の表面又は裏面に光散乱層を設けてなる導光板が報告されている。特許文献4では芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が0.001以上である他の熱可塑性樹脂からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が報告されている。特許文献5では芳香族ポリカーボネート樹脂に特定の流動性向上剤が配合された樹脂組成物からなる導光版が報告されている。これらいずれの報告についても光学特性としては、全光線透過率やHaze、また導光体とした時の輝度やその輝度の均一性といった特性について報告しているが、色相については成形時の滞留安定性いわゆるヤケによる黄変の改善について述べられているのみで、面内色差については述べられていない。ここで、面内色差とは、エッジライト方式による光源体において光源からの距離に応じて色相が変化する度合いを示すもので、特に短波長側に吸収を持つ芳香族ポリカーボネートにおいては光路長が長くなるほど、面内色差が大きくなるという本質的な問題がある。面内色差を改善する例としては特許文献6にポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂からなる樹脂成分に特定の安定剤を配合してなる導光性能を有する樹脂組成物が報告されている。しかしながら特定のポリジオルガノシロキサンドメインが存在するポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を作成する必要があり実用性に欠けるといった問題がある。
特開2007−204737号公報 特開2004−250507号公報 特開平10−73725号公報 特開2002−60609号公報 特開2006−201667号公報 特開2013−221046号公報
本発明の目的は、透明性、導光性にすぐれ、かつ光源から遠い箇所と近い箇所での色差の少ない導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる導光体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に特定のシリコーン化合物を配合することによって、透明性、導光性に優れ、かつ面内色差が小さく色相に優れた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、(1)(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)分岐構造を有しないシリコーン化合物(B成分)0.01〜3重量部を含んでなる導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
本発明のより好適な態様の一つは(2)B成分が、Si−H基および芳香族基を有するシリコーン化合物であることを特徴とする上記構成(1)に記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(3)B成分が、Si−H基が含まれる量(Si−H量)が0.1〜1.2mol/100gであり、下記一般式〔1〕で示される芳香族基が含まれる割合(芳香族基量)が10〜70重量%であり、かつ平均重合度が3〜80であるシリコーン化合物であることを特徴とする上記構成(1)または(2)の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物である。
(式〔1〕中、Xはそれぞれ独立にOH基、炭素数1〜20の一価の有機残基を示す。nは0〜5の整数を表わす。更に式〔1〕中においてnが2以上の場合はそれぞれ互いに異なる種類のXを取ることができる。)
本発明のより好適な態様の一つは(4)A成分100重量部に対して、(C)安定剤(C成分)0.001〜1重量部を含むことを特徴とする上記構成(1)〜(3)のいずれかの導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(5)C成分がリン系安定剤であることを特徴とする上記構成(4)の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(6)上記構成(1)〜(5)のいずれかの導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物から形成される導光体である。
本発明のより好適な態様の一つは(7)導光体が板状、柱状、繊維状のいずれかである上記構成(6)の導光体である。
以下、本発明について具体的に説明する。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。ビスフェノール類としては、例えば4,4’ −ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、および下記一般式〔2〕で表されるポリオルガノシロキサンブロックを含むビスフェノール類等が挙げられる。
(上記一般式〔2〕において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、a及びbは夫々独立に1〜4の自然数であり、cは自然数であり、dは0又は自然数であり、c+dは150以下の自然数である。Wは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,14−テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16−ヘキサデカンジオール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}プロパン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ビフェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル}プロパン、2,2−ビス{3−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−4−メチルペンタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2−ビス{3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}フルオレン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、1,3−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−5,7−ジメチルアダマンタン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、なかでも1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、が好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、および上記一般式〔2〕で表されるポリオルガノシロキサンブロックを含むビスフェノール類等が好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂としてもよい。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
これらのポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。その製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明において、重合反応においては末端停止剤を使用する。末端停止剤は分子量調節のために使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる末端停止剤としては、下記一般式〔3〕〜〔5〕で表される単官能フェノール類を示すことができる。
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)、フェニル基、またはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数1〜9)であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である]。
[式中、Yは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
上記一般式〔3〕で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クレゾール、p−クミルフェノール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、およびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。また、上記一般式〔4〕〜〔5〕で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、樹脂の吸水率を低くする効果があり好ましく使用される。上記一般式〔4〕の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。また、上記一般式〔5〕の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。これら単官能フェノール類の内、上記一般式〔3〕で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールまたは2−フェニルフェノールである。これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル% 末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
本発明のA成分として用いられるポリカーボネート樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、12,000〜50,000の範囲が好ましく、12,000〜21,000がより好ましく、12,000〜15,000の範囲がさらに好ましく、12,000〜12,900が最も好ましい。分子量が50,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が12,000未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の全Cl(塩素)量が好ましくは0〜200ppm、より好ましくは0〜150ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全Cl量が200ppmを越えると、色相および熱安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
<B成分:分岐構造を有しないシリコーン化合物>
本発明のB成分として使用される分岐構造を有しないシリコーン化合物は、分子中にSi−H基および芳香族基を有するシリコーン化合物であることが好ましく、Si−H基が含まれる量(Si−H量)が0.1〜1.2mol/100gであり、上記一般式〔1〕で示される芳香族基が含まれる割合(芳香族基量)が10〜70重量%であり、かつ平均重合度が3〜80であるシリコーン化合物であることがより好ましい。
さらに好ましくは、Si−H基含有単位として、下記一般式〔6〕および〔7〕で示される構成単位のうち少なくとも一種の式で示される構成単位を含むシリコーン化合物である。
(式〔6〕および式〔7〕中、Z〜Zはそれぞれ独立に水素原子、ヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基を示す。α1〜α3はそれぞれ独立に0または1を表わす。m1は0もしくは1以上の整数を表わす。さらに式〔6〕中においてm1が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
上記一般式〔6〕および〔7〕で示される構成単位のZ〜Z、および一般式〔1〕のXにおけるヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基およびアラルキル基を挙げることができ、さらにこれらの基はエポキシ基、カルボキシル基、無水カルボン酸基、アミノ基、およびメルカプト基などの各種官能基を含むものであってもよい。さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、特にはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基が好ましい。
本発明のB成分として使用される分岐構造を有しないシリコーン化合物は、上記のように、シリコーン化合物中のSi−H量が、好ましくは0.1〜1.2mol/100gの範囲、より好ましくは0.2〜1.0mol/100gの範囲、最も好ましくは0.2〜0.6mol/100gの範囲にあるシリコーン化合物である。Si−H量が上記範囲内にあると面内色差が小さく、かつ導光性が良好な導光体を得る事ができる。また、ここで言うSi−H量とは、シリコーン化合物100gあたりに含まれるSi−H基のmol数を言うが、これはアルカリ分解法により、シリコーン化合物の単位重量当たり発生した水素ガスの体積を測定することにより求めることができる。例えば、25℃においてシリコーン化合物1g当たり122mlの水素ガスが発生した場合、下記計算式により、Si−H量は0.5mol/100gとなる。
122×273/(273+25)÷22400×100≒0.5
ポリカーボネート樹脂(A成分)に分岐構造を有しないシリコーン化合物(B成分)を配合した導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物において、該組成物から形成される導光体の白濁、あるいは湿熱処理による透明性の低下を抑えるためには、シリコーン化合物の分散状態が重要である。シリコーン化合物が偏在する場合には、樹脂組成物自体が白濁し、さらには成形品表面で剥離などが生じたり、あるいは湿熱処理時にシリコーン化合物が移行して偏在して透明性が低下するなど、導光性の良好な成形品を得ることが困難となるためである。かかる分散状態を決定する重要な因子としてシリコーン化合物中の芳香族基量が挙げられる。
かかる観点より、本発明のB成分として使用される分岐構造を有しないシリコーン化合物としては、シリコーン化合物中の芳香族基量が10〜70重量%であることが好ましい。さらに好ましくは芳香族基量が15〜60重量%の範囲、最も好ましくは25〜55重量%の範囲にあるシリコーン化合物である。シリコーン化合物中の芳香族基量が10重量%より少ないとシリコーン化合物が偏在して分散不良となり、透明性が良好な成形品を得ることが困難となる場合がある。芳香族基量が70重量%より多いとシリコーン化合物自体の分子の剛直性が高くなるためやはり偏在して分散不良となり、透明性が良好な成形品を得ることが困難となる場合がある。
なお、ここで芳香族基量とは、シリコーン化合物において、前述した一般式〔1〕で示される芳香族基が含まれる割合のことを言い、下記計算式によって求めることができる。
芳香族基量=〔A/M〕×100(重量%)
ここで、上記式におけるA、Mはそれぞれ以下の数値を表す。
A=シリコーン化合物1分子中に含まれる、全ての一般式〔1〕で示される芳香族基部分の合計分子量
M=シリコーン化合物の分子量
本発明のB成分として使用される分岐構造を有しないシリコーン化合物は、25℃における屈折率が1.40〜1.60の範囲にあることが望ましい。さらに好ましくは屈折率が1.42〜1.59の範囲であり、最も好ましくは、1.44〜1.59の範囲にあるシリコーン化合物である。屈折率が上記範囲内にある場合、芳香族ポリカーボネート中にシリコーン化合物が微分散することで、導光性の良好な樹脂組成物が提供される。
本発明のB成分として使用される分岐構造を有しないシリコーン化合物は、105℃/3時間における加熱減量法による揮発量が18%以下であることが好適である。さらに好ましくは揮発量が10%以下であるシリコーン化合物である。揮発量が18%より大きいと本発明の樹脂組成物を押出してペレット化を行う際に、樹脂からの揮発物の量が多くなる問題が生じ、さらに、成形品中に生じる気泡が多くなりやすいという問題がある。
本発明のB成分として使用される分岐構造を有しないシリコーン化合物は、その平均重合度を3〜80の範囲とすることが好ましく、より好ましくは3〜50の範囲、さらに好ましくは3〜30の範囲、特に好ましくは5〜30の範囲、最も好ましくは5〜15の範囲である。重合度が3より小さい場合、シリコーン化合物自体の揮発性が高くなるため、このシリコーン化合物を配合した樹脂組成物の加工時において樹脂からの揮発分が多くなりやすいという問題がある。重合度が80より大きい場合、このシリコーン化合物を配合した樹脂組成物における導光性が不十分となりやすい。
なお、上記のシリコーン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
このようなSi−H基を有するシリコーン化合物は、それ自体従来公知の方法によって製造することができる。例えば、目的とするシリコーン化合物の構造に従い、相当するオルガノクロロシラン類を共加水分解し、副生する塩酸や低沸分を除去することによって目的物を得ることができる。また、分子中にSi−H基や一般式(1)で示される芳香族基、その他のヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリコーンオイル、環状シロキサンやアルコキシシラン類を出発原料とする場合には、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の酸触媒を使用し、場合によって加水分解のための水を添加して、重合反応を進行させた後、使用した酸触媒や低沸分を同様に除去することによって、目的とするシリコーン化合物を得ることができる。
本発明のB成分として使用される分岐構造を有しないシリコーン化合物の含有量はポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、0.01〜3重量部であり、好ましくは0.01〜1.8重量部より好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜0.5重量部、最も好ましくは0.05〜0.09重量部である。含有量が多すぎると成形品の透明性が低下するばかりでなく、樹脂の耐熱性が低下したり、加工時にガスが発生し、少なすぎると導光性が発揮されない。
<C成分:安定剤>
本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物には、成形加工時の熱安定性を向上させる目的で安定剤を配合することが好ましい。安定剤としては、通常ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性改良のために用いられるものであれば、特に制限はなくリン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤などが用いられる。以下に具体的に例示するが、本発明はそれに限定されるものではない。
(C−1)リン系安定剤
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系安定剤の中でもトリメチルホスフェートに代表されるアルキルホスフェート化合物が配合されることが好ましい。またかかるアルキルホスフェート化合物と、ホスファイト化合物および/またはホスホナイト化合物との併用も好ましい態様である。
(C−2)ヒンダードフェノール系安定剤
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
(C−3)前記以外の熱安定剤
本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物には、前記リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤が好適に例示される。かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば前記社製のIrganoxHP−2921が好適に例示される。またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ化合物を配合することができる。かかるエポキシ化合物は、金型腐食を抑制するという目的で配合されるものであり、基本的にエポキシ官能基を有するもの全てが適用できる。好ましいエポキシ化合物の具体例としては、3,4ーエポキシシクロヘキシルメチルー3’,4’ーエポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体等が挙げられる。
本発明のC成分として用いられる安定剤は、前記リン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤およびそれら以外の他の熱安定剤を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができるが、これらの中でリン系安定剤が好ましく用いられる。中でもホスファイト系安定剤がより好ましく、最も好ましいのは下記一般式〔8〕で表される安定剤である。
(式〔8〕中、A、Aは、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
一般式〔8〕中、A、Aがアリール基である場合、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、炭素数6〜10のアリール基が更により好ましい。具体的には、ジノリルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でもビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。一般式〔8〕中、A、Aがアルキル基である場合、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数6〜30のアルキル基がより好ましく、炭素数6〜20のアルキル基が更により好ましい。具体的には、ジオクチルペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジベヘニルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。これらの中ではジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく用いられる。
本発明のC成分として用いられる安定剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部である。C成分の含有量が1重量部を超えると、モールドデポジットが発生し、コスト的にも不利になる場合があり、また0.001重量部より少ない場合は、色相改善効果が小さくなる場合がある。
(その他の添加剤)
上記以外にも本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を少割合配合することができる。これら添加物は本発明の目的を損なわない限り、通常の配合量である。かかる添加剤としては、強化充填剤、難燃剤、光拡散剤、摺動剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、着色剤、蛍光染料、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、離型剤、流動改質剤、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、並びにフォトクロミック剤などが挙げられる。
本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物は、単軸押出機、二軸押出機の如き押出機を用いて、溶融混練することによりペレット化することができる。かかるペレットを作製するにあたり、上記各種難燃剤、強化充填剤、添加剤を配合することもできる。
本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物は、通常前記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。更にペレットを経由することなく、押出機で溶融混練された樹脂を直接シート、フィルム、異型押出成形品、ダイレクトブロー成形品、および射出成形品にすることも可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、およびフィルムなどの形で利用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
<樹脂組成物の製造について>
本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
<導光体の製造>
本発明の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物からなる導光体を製造するには、任意の方法が採用される。例えば該樹脂組成物を押出機、バンバリーミキサーおよびロール等で混練した後、射出成形、押出成形または圧縮成形等従来公知の方法で成形し、導光体を得ることができる。また、この導光体の少なくとも一方の側面に光源を設け、該導光板の片面に反射板を設置することにより面光源体とすることもできる。かかる導光体および面光源体の光源としては、蛍光ランプの他、冷陰極管、LED、レーザーダイオード、有機EL等の自己発光体を使用できる。
本発明において得られる導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物は、輝度が高く、面内色差の小さい優れた導光性を発揮するため、かかる特性を活かし従来使用できなかった部品に用途展開が可能である。具体例としては、光学部品、電気・電子機器分野、自動車分野において幅広く使用することができる。さらに具体的には、携帯電話、携帯端末、カメラ、時計、ノートパソコン、ディスプレイ、照明、信号、自動車のランプ、家電・光学機器の表示部品、照明用のカバー、ガラス代替用途、光ディスクなどの各種光学ディスクおよび関連部材、透光・導光型ボタン類、タッチパネル部品などが例示される。
本発明における導光性(輝度、面内色差)の測定方法を示す概略図である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない
以下に実施例を挙げてさらに説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
尚、評価としては以下の項目について実施した。
(1)粘度平均分子量(Mv)
次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂を溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出した。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
c=0.7
(2)全光線透過率、Haze
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度320℃、金型温度80℃にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)である3段型プレートを成形した。かかる3段型プレートの厚み2.0mm部における全光線透過率およびHazeを日本電飾工業(株)製 Haze Meter NDH2000を用い、ASTM D1003に準拠して測定した。
(3)平均輝度・平均色度
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風乾燥機にて乾燥し、射出成形機[東芝機械(株)IS150EN−5Y]によりシリンダー温度320℃、金型温度80℃で輝度評価用の導光板(100mm×70mm×4mm)(裏面に0.1mm間隔でシボあり)を成形した。上記導光板を裏面が下側になるように設置し、70mm×4mmのエッジから光を入射させ100mm×70mmの面から発光する光の輝度および色度をトプコン社製BM−7を用いて測定した。平均輝度を幅3水準、長さ3水準の合計9箇所の測定値を平均して求めた。なお入射光としては、LEDとしてNS2W150(日亜化学工業(株)製)を18ミリピッチで実装したものを光源として用いた(消費電力 約30W)。
(4)面内色差
上記導光板を裏面が下側になるように設置し、70mm×4mmのエッジから光を入射させ100mm×70mmの面から発光する色度(x,y)をトプコン社製BM−7を用いて測定した。面内色差(Δ(x,y))は、以下の式(1)より算出した数値で評価を行った。なお数値は小さいほど面内色差が小さい事を意味する。なお入射光としては、LEDとしてNS2W150(日亜化学工業(株)製)を18ミリピッチで実装したものを光源として用いた(消費電力 約30W)。
Δ(x,y)=[(x−x+(y−y1/2 (1)
(x,y) 光源から80mm離れた箇所の色度
(x,y) 光源から20mm離れた箇所の色度
[実施例1〜11、および比較例1〜4]
A成分、B成分および各種添加剤を表1記載の各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。使用する各種添加剤は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口から第二供給口まで270℃、第二供給口からダイス部分まで290℃とした。評価結果を表1に示す。
なお、使用した各成分の詳細は以下の通りである。
(A成分)
A−1:下記製法により得られた分子量12,300のポリカーボネート樹脂パウダー
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と称する事がある)710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液294部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、パス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネートのパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−2:下記製法により得られた粘度平均分子量15,100のポリカーボネート樹脂パウダー
11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液221部に変更した以外は、A−1の製造方法と同様に行い、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−3:下記製法により得られた粘度平均分子量20,300の分岐構造を有するポリカーボネート樹脂パウダー
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下にビスフェノールA710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部、14%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを25%濃度で溶解した水溶液38.1部(1.00mol%)を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液261部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、パス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネートのパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−4:下記製法により得られた粘度平均分子量13,500のポリカーボネート樹脂パウダー
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と称する事がある)710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液257部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン0.4部を加えて温度26〜31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネートのパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
A−5:下記製法により得られた粘度平均分子量19,100のポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダー
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21591部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3674部を入れ、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3880部、およびハイドロサルファイト7.6部を溶解した後、塩化メチレン14565部(ジヒドロキシ化合物(I)1モルに対して14モル)を加え、撹拌下22〜30℃でホスゲン1900部を60分要して吹き込んだ。次に、48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131部、p−tert−ブチルフェノール108部を塩化メチレン800部に溶解した溶液を加え、攪拌しながら下記式〔9〕で表わされるジメチルシロキサン単位の平均繰返し数が約37であるジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン化合物204部を塩化メチレン1600部に溶解した溶液を、ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンが二価フェノールの量1モルあたり0.0008モル/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3部を加えて温度26〜31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダーを得た。(ポリジオルガノシロキサン成分含有量4.1%、粘度平均分子量19,100)
(B成分)
B−1:下記製法により得られたSi−H量が0.21mol/100g、芳香族基量が49重量%、平均重合度が8.0の分岐構造を有しないシリコーン化合物。
撹拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコに水301.9gとトルエン150gを仕込み、内温5℃まで冷却した。滴下ロートにトリメチルクロロシラン21.7g、メチルジクロロシラン23.0g、ジメチルジクロロシラン12.9gおよびジフェニルジクロロシラン76.0gの混合物を仕込み、フラスコ内へ撹拌しながら2時間かけて滴下した。この間、内温を20℃以下に維持するよう、冷却を続けた。滴下終了後、さらに内温20℃で撹拌を4時間続けて熟成した後、静置して分離した塩酸水層を除去し、10%炭酸ナトリウム水溶液を添加して5分間撹拌後、静置して分離した水層を除去した。その後、さらにイオン交換水で3回洗浄し、トルエン層が中性になったことを確認した。このトルエン溶液を減圧下内温120℃まで加熱してトルエンと低沸分を除去した後、濾過により不溶物を取り除いてシリコーン化合物B−1を得た。
B−2:下記製法により得られたSi−H量が0.50mol/100g、芳香族基量が31重量%、平均重合度が11.0の分岐構造を有しないシリコーン化合物。
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン167.9g、オクタメチルシクロテトラシロキサン92.7g、オクタフェニルシクロテトラシロキサン49.6gおよびフェニルトリメトキシシラン297.4gを仕込み、さらに濃硫酸25.5gを添加し、水41.3gを滴下した以外は、B−1の製造方法と同様に操作して、シリコーン化合物B−2を得た。
B−3:分岐構造を有しないメチルフェニルシロキサン化合物(東レ・ダウコーニング社製 SH−710)
(B)成分以外
B−4:分岐構造を有するメチルフェニルシロキサン化合物(東レ・ダウコーニング製 SH−556)
(C成分)
C−1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト((株)ADEKA製:アデカスタブPEP−36)
C−2:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製TMP)
A 平板状試験片(100mm×70mm×4mm)(下面に0.1mm間隔でシボあり)
B 光源
L 面輝度
(x,y) 光源側の側面から80mm離れた箇所の色度
(x,y) 光源側の側面から20mm離れた箇所の色度

Claims (7)

  1. (A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)分岐構造を有しないシリコーン化合物(B成分)0.01〜3重量部を含んでなる導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
  2. B成分が、Si−H基および芳香族基を有するシリコーン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
  3. B成分が、Si−H基が含まれる量(Si−H量)が0.1〜1.2mol/100g、下記一般式〔1〕で示される芳香族基が含まれる割合(芳香族基量)が10〜70重量%であり、かつ平均重合度が3〜80であるシリコーン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
    (式〔1〕中、Xはそれぞれ独立にOH基、炭素数1〜20の一価の有機残基を示す。nは0〜5の整数を表わす。更に式〔1〕中においてnが2以上の場合はそれぞれ互いに異なる種類のXを取ることができる。)
  4. A成分100重量部に対して、(C)安定剤(C成分)0.001〜1重量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
  5. C成分がリン系安定剤であることを特徴とする請求項4記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物から形成される導光体。
  7. 導光体が板状、柱状、繊維状のいずれかである請求項6に記載の導光体。
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