JP2018043798A - 包装容器 - Google Patents
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Abstract
Description
また、菓子類の包装容器に限らず、蓋をワンタッチで簡単に開放できる包装容器は、その操作の手軽さから幅広い需要が見込まれる。このようなワンタッチ開放容器の例は、特許文献2及び3に記載されている。
前記蓋部は、天板と、前記天板の外周から垂下する外側筒状垂下壁と、前記天板内面から垂下し、前記外側筒状垂下壁よりも一回り内部に位置し、かつ前記開口部上端内面壁の形状に沿った内側筒状垂下壁とを備え、
前記開口部近傍の外側に係止部が設けられ、前記外側筒状垂下壁の内周面には、前記係止部により係止される第1の被係止部が設けられ、
前記容器本体に外力を加えることで前記容器本体の上端部を変形させ、当該変形が少なくとも前記第1の被係止部から前記蓋部全体に伝播して当該蓋部を歪ませることによって、前記係止部による前記第1の被係止部に対する係止が解除されると共に、前記内側筒状垂下壁が前記開口部の内側により押し上げられることによって、当該開口部が開放されることを特徴とする、包装容器である。
前記容器本体の上端部において、前記第1の被係止部近傍とその反対側の部分との距離が縮む方向に外力を加えることで前記容器本体の上端部を変形させ、当該変形が前記第1の被係止部及びその反対側の部分から前記蓋部全体に伝播して当該蓋部を歪ませることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器である。
前記第1の被係止部は、少なくとも前記外側筒状垂下壁と前記ヒンジ部との連結位置とは反対側に位置し、かつ当該外側筒状垂下壁内周面から前記天板中央に向かって突出し、
前記容器本体の前記ヒンジ部近傍と前記第1の被係止部近傍との距離が縮む方向に外力を加えることで前記容器本体の上端部を変形させ、当該変形が前記ヒンジ部及び前記第1の被係止部から前記蓋部全体に伝播して当該蓋部を歪ませることによって、
前記係止部による前記第1の被係止部に対する係止が解除されると共に、前記ヒンジ部近傍の前記内側筒状垂下壁が前記開口部の内側により押し上げられることによって、当該開口部が開放されることを特徴とする、請求項3に記載の包装容器である。
前記蓋部は、前記環状口部材に外嵌合する弾性変形可能な嵌合環部と、前記開口部を開閉するための蓋本体とを備え、
前記蓋本体は、前記天板、前記外側筒状垂下壁及び前記内側筒状垂下壁を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装容器である。
式(1)
p={(R−r)/R}×100
(上記式(1)中、pは変形率(%)を、Rは前記変形前の前記容器本体の最大径(mm)を、rは前記変形における前記容器本体の短径(mm)を、それぞれ表す。)
請求項15記載の本開示は、前記第2の被係止部が、前記外側筒状垂下壁内周面に周方向3°以上20°以下の角度範囲で存在することを特徴とする、請求項14に記載の包装容器である。
請求項17記載の本開示は、前記第3の被係止部は、前記外側筒状垂下壁内周面に周方向3°以上120°以下の角度範囲で存在することを特徴とする、請求項16に記載の包装容器である。
前記蓋部は、天板と、前記天板の外周から垂下する外側筒状垂下壁と、前記天板内面から垂下し、前記外側筒状垂下壁よりも一回り内部に位置し、かつ前記開口部上端内面壁の形状に沿った内側筒状垂下壁とを備え、
前記開口部近傍の外側に係止部が設けられ、前記外側筒状垂下壁の内周面には、前記係止部により係止される第1の被係止部が設けられ、
前記容器本体に外力を加えることで前記容器本体の上端部を変形させ、当該変形が少なくとも前記第1の被係止部から前記蓋部全体に伝播して当該蓋部を歪ませることによって、前記係止部による前記第1の被係止部に対する係止が解除されると共に、前記内側筒状垂下壁が前記開口部の内側により押し上げられることによって、当該開口部が開放されることを特徴とする。
図1は、本開示の包装容器の第1の実施形態を示す斜視図である。
包装容器の第1の実施形態100は、容器本体1と、容器本体1の上部に位置する蓋部2とを備える。容器本体1と蓋部2とは互いに一体として成型されたものであってもよいし、容器本体1と蓋部2とはそれぞれ別の部材として成型され、製造段階で組み立てられるものであってもよい。
図2は、第1の実施形態において容器本体1と蓋部2とが別の部材からなる場合における分解斜視図である。図2に示すように、容器本体1は容器胴部材1aと環状口部材1bとからなり、環状口部材1bはその開口部近傍の外側に係止部1cを備える。環状口部材1bは蓋部2の内側に嵌合するため、組み上がった状態においては蓋部2の内部に隠れている。
蓋部2は、一体成型品であってもよいし、2つ以上の部品から構成されるものであってもよい。例えば、蓋部2は、環状口部材に外嵌合する嵌合環部4と、開口部3を開閉するための蓋本体5とを含んでいてもよい。本実施形態において、蓋本体5は、ヒンジ部を中心に揺動自在に設けられている。
嵌合環部4と蓋本体5とは、互いに一体成型されたものであってもよいし、個別に成型された別部品であってもよい。
なお、本明細書における「蓋の開放」とは、蓋部が容器本体の開口部を塞ぐ構造のみ備える場合には、蓋部自体が容器本体の開口部から離れることにより、当該開口部が開かれることを意味する。これに対し、蓋部が容器本体の開口部を塞ぐ構造(例えば、上記蓋本体等)に加えて、他の構造(例えば、上記嵌合環部等)を備える場合には、本明細書における「蓋の開放」とは、蓋本体等が容器本体の開口部から離れることにより、当該開口部が開かれることを意味するものとする。
さらに、蓋部が嵌合環部と蓋本体とを備える構成である場合には、環状口部材に外嵌合する嵌合環部についても、環状口部材と共に弾性変形可能であることが必要である。また、環状口部材や容器本体に加えた外力は、ヒンジ部を通じて蓋本体に伝わり、蓋本体を歪ませるため、蓋本体やヒンジ部も弾性変形可能であることが好ましい。
本開示においては、容器本体及び蓋部がいずれも弾性変形可能であることが好ましい。
容器本体の平均肉厚は、0.10mm以上10mm以下であることが好ましい。平均肉厚が0.10mm未満であるとすると、容器本体の強度が弱まり、包装容器の本来の形状を保持できないおそれがある。また、平均肉厚が10mmを超える場合には、容器本体が変形しづらくなる結果、後述する方法による蓋の開放が困難となるおそれがある。
容器本体の平均肉厚は、0.50mm以上5.0mm以下であることがより好ましく、0.75mm以上2.5mm以下であることがさらに好ましい。
容器本体の少なくとも上端部は、弾性変形可能とするために、上記平均肉厚の範囲より薄くても構わない。
蓋部についても、同様の理由により、平均肉厚が0.10mm以上10mm以下であることが好ましく、0.50mm以上5.0mm以下であることがより好ましく、0.75mm以上2.5mm以下であることがさらに好ましい。なお、蓋部の平均肉厚は、容器本体の平均肉厚と略等しくてもよく、異なっていてもよい。
容器本体の上端部の平均肉厚は、0.50mm以上5.0mm以下であることがより好ましく、0.75mm以上2.5mm以下であることがさらに好ましい。
まず、容器本体の任意の部分の壁の厚さをノギス等の装置により測定する。容器本体の10〜20か所を同様に測定し、その平均値を平均肉厚とする。
蓋部の平均肉厚の測定方法も、上記同様である。
まず、容器本体の上端部の壁の厚さ(容器本体が容器胴部材と環状口部材とを備える場合には、環状口部材の壁の厚さ)をノギス等の装置により測定する。容器本体の上端部の10〜20か所を同様に測定し、その平均値を、容器本体の上端部の平均肉厚とする。
容器本体を構成する材料としては、例えば、弾性変形可能な樹脂、並びに、紙及びアルミ等の基材の両面又は片面に当該樹脂を含む層を積層したものが挙げられる。
容器本体は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリカーボネート、又はポリ塩化ビニルを含むことが好ましい。これらの材料は、成型しやすく、安価で、包装容器に必要な強度と柔軟性を兼ね備えるためである。これらの材料は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。蓋部についても、容器本体と同様に、上記材料を含むことが好ましい。
容器本体には、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを用いることがより好ましく、ポリプロピレンを用いることがさらに好ましい。一方、蓋部には、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを用いることがより好ましく、ポリエチレンを用いることがさらに好ましい。蓋部については、後述するティアバンドを用いる場合に、より柔らかい素材であるポリエチレンの使用が適している。
容器本体及び蓋部の平面視形状がいずれも略円形である場合において、蓋の開けやすさの許容範囲を規定する基準としては、例えば、下記式(1)により求められる変形率pが挙げられる。
式(1)
p={(R−r)/R}×100
(上記式(1)中、pは変形率(%)を、Rは変形前の容器本体の最大径(mm)を、rは変形における容器本体の短径(mm)を、それぞれ表す。)
なお、上記「容器本体の最大径」とは、容器本体をその上縁側から見たときの最も長い差し渡しの長さを意味し、上記「変形における容器本体の短径」とは、変形時の容器本体について、その上縁側から見たときの最も短い差し渡しの長さを意味するものとする。
前記係止が解除されるときの変形率pは、7.2%以上8.0%以下であることがより好ましく、7.5%以上7.8%以下であることがさらに好ましい。
係止部による第1の被係止部等に対する係止が解除されるとき、容器本体に付与される前記外力が35.0N以上60.0N以下であることが好ましい。前記外力が35.0N未満であるとすると、容器本体が柔らかすぎるため、蓋を開放しても容器本体の形状が元に戻らないおそれがある。一方、60.0Nを超える外力によって係止が解除されるとすると、蓋の開放が困難となるおそれがある。
前記係止が解除されるときの前記外力は、40.0N以上55.0N以下であることがより好ましく、42.8N以上51.0N以下であることがさらに好ましい。
本開示においては、蓋の開放に必要な外力によって容器本体に生じる応力は、容器本体の弾性限界未満であることが好ましい。
指示部8は、後述する第1の被係止部近傍に設けることが好ましい。容器の使用者が、指示部8に適切な外力を付与することにより、第1の被係止部に関する係止を容易に解除することができるためである。指示部8の態様としては、例えば、指示部8への印字、彩色若しくは彫刻、又は指示部8を立体的に造形することが挙げられる。
図示してはいないが、同様の指示部をヒンジ部近傍に設けてもよい。これにより、容器の使用者に対して、第1の被係止部近傍の位置と、ヒンジ部近傍の位置の両方を指示することができ、蓋の開放を容易にすることができる。
一方、本開示においては、係止部を開口部近傍の一部に設け、第1の被係止部を全周に設けてもよい。
係止部が1つのみ設けられる例は以下の通りである。溝又は凸形状が開口部近傍外側の一部に1つのみ設けられる例、溝又は突条環が開口部近傍の外側全周に1つのみ設けられる例等。
係止部が2以上設けられる例は以下の通りである。溝又は凸形状が開口部近傍外側に断続的に2つ以上設けられる例、溝又は突条環が開口部近傍の外側全周に二重又は三重に設けられる例等。
図1及び図2においては、容器本体1と蓋部2とがいずれも平面視円形となっているが、容器本体1と蓋部2の平面視形状が同じである必要はなく、互いに異なっていてもよい。
蓋部の平面視形状は、対称性が高くデザイン性に優れるという観点から、略円形又は略楕円形であることが好ましい。
ヒンジ部については、蓋部の他の部分や容器本体と同様に、弾性変形可能であることが好ましい。
ただし、本開示においては、蓋の開放状態において、容器本体と蓋部とが分離していてもよい。この場合にはヒンジ部等の連結手段は不要となる。
図3上側の右側面断面図に示す通り、蓋部2は、嵌合環部4と蓋本体5とが、ヒンジ部10を介して連結することにより構成される。図3には、その他の構成要素として、ティアバンド7が描かれている。
外側筒状垂下壁22は、天板21の外周から垂下し、その一部(容器後方、すなわち図の左側部分)がヒンジ部10と連結し、嵌合環部4へとつながっている。
図3上側の右側面断面図に示す通り、本実施形態においては、第1の被係止部24は、外側筒状垂下壁22とヒンジ部10との連結位置とは正反対の位置(容器前方、すなわち図の右側部分)に設けられている。これはつまり、図3下側の底面断面図に示す通り、連結位置10aの周方向中心から180°離れた位置に、第1の被係止部の周方向中心が位置合わせされていることを意味する。図3上側の右側面断面図に示す通り、第1の被係止部24は、開閉つまみ9の裏側に配置されることになる。
ただし、本実施形態においては、第1の被係止部の位置は、少なくともヒンジ部との連結位置とは反対側の位置であればよい。ここでいう「ヒンジ部との連結位置とは反対側の位置」とは、ヒンジ部との連結位置とは略反対側の位置を意味し、当該連結位置と正反対の位置を含む一定の領域を指すものとする。したがって、第1の被係止部の周方向中心が当該領域内に存在していればよく、その限りにおいて、第1の被係止部の周方向中心と、当該連結位置と正反対の位置とは、多少ずれていてもよい。このような場合でも蓋部を歪ませることができ、スムーズな蓋の開放が可能である。
θ1は、好適には3°以上120°以下であり、より好適には30°以上100°以下であり、さらに好適には60°以上90°以下である。θ1が3°未満であるとすると、外側筒状垂下壁において第1の被係止部の占める部分が狭すぎるため、蓋の係止が不十分となるおそれがある。一方、θ1が120°を超えるとすると、外側筒状垂下壁において第1の被係止部の占める部分が広くなりすぎるため、係止が解除しにくく、後述する方法により蓋を開放することが困難となるおそれがある。
より好適には、第1の被係止部24の周方向中心から両側に、それぞれ均等に1.5°以上60°以下の範囲で第1の被係止部24を設けることが好ましい。
内側筒状垂下壁23の壁の高さは、蓋部の部位によって異なっていてもよい。ここでいう壁の高さとは、内側筒状垂下壁23において、天板21との接触点から、当該点から垂れ下がった壁先端までの距離をいう。
特に、図3上側の右側面断面図に示す通り、容器後方(同図の左側部分)の内側筒状垂下壁23の壁の高さは、容器前方(同図の右側部分)の内側筒状垂下壁23の壁の高さよりも高いことが好ましい。後述する蓋の開放の際、容器後方部(ヒンジ部10の近傍)の内側筒状垂下壁23は、容器本体開口部の内側と接触して押し上げられる役割を担うため、その壁の高さが低いと押し上げが不十分となるからである。これに対し、容器前方部の内側筒状垂下壁23はそのような役割を有さず、むしろ、蓋の開放時にいち早く容器本体の密閉状態を破るためにも、容器前方部の内側筒状垂下壁23の壁の高さは適度に低い方が好ましい。
このような観点から、容器後方の内側筒状垂下壁23の壁の高さは、容器前方の内側筒状垂下壁23の壁の高さの1.0倍を超えて1.5倍以下であることが好ましく、1.1倍以上1.4倍以下であることがより好ましい。
図4は、第1の実施形態の右側面断面図である。図4においては、容器に何らの外力も付与されていない。図4の上部分(蓋部)は、ティアバンド7が除去されていること以外は、図3上側の右側面断面図と同様のものを示している。
図4には、さらに、容器胴部材1a、環状口部材1b及び係止部1cを示す。容器胴部材1aの上縁には、環状口部材1bが嵌り込み、固着している。さらに、環状口部材1bに対しては、嵌合環部4が外側から嵌合している。
第1の被係止部24は、容器本体の開口部近傍外側に設けられた係止部1cにより止められ、その結果、天板21全体が開口部に覆いかぶさり、包装容器が閉止されている。さらに、蓋本体の内側筒状垂下壁23と環状口部材の開口部上端内面壁とが密着することにより、包装容器の密閉性が保たれている。
図4と図5Aとを比較すると分かるように、図5Aにおいては、天板21が容器上方向に凸状に反っている。これは、図5Aにおいて、第1の実施形態100に対して、容器本体のヒンジ部10近傍と第1の被係止部24近傍との距離が縮む方向に外力が加えられることによって、容器本体の上端部が変形することに起因する。ここでいう「容器本体のヒンジ部10近傍と第1の被係止部24近傍との距離が縮む方向」とは、図5A中、容器の水平方向に略平行かつ容器に対し内向きな方向を意味し、また、「外力」とは、容器に対して外部から作用する力を意味する。すなわち、容器本体のヒンジ部10近傍と第1の被係止部24近傍とを中心に、図5Aの紙面左右両側から容器内側に向かって外力が付与されている。
本開示においては、外力を加える方法は特に限定されず、例えば、容器本体の上端部を潰す方法の他、容器本体の上端部を握り込む方法や、容器本体の上端部の一部をつまむ方法等が挙げられる。
外力を加える部分も特に限定されず、容器本体のどこに外力を加えてもよい。ただし、蓋の開放のためには容器本体の上端部の変形が必要なため、容器本体の上端部に外力を加えることが好ましい。
外力を加える方法の一例としては、図5Bや図5Cに示すように、容器本体のヒンジ部10近傍又は第1の被係止部24近傍のいずれか一方を人差し指等で、いずれか他方を親指で押さえ、そのまま親指と人差し指等とを近づけて容器本体をたわめる方法が考えられる。この方法は、特に容器本体が片手で把持できる大きさである場合に有効な方法である。外力を付与する他の方法としては、例えば、容器本体のヒンジ部10近傍を壁などに押し付け、容器本体の第1の被係止部24近傍を親指や拳で押さえ、そのまま親指等を壁に近づけて容器本体をたわめる方法が考えられる。
容器本体に対する外力の付与のイメージは、静止時における容器本体の平面視断面形状を歪めていくイメージである。例えば、容器本体の平面視断面形状が略円形状である場合、外力付与時においては当該断面形状が略楕円形状になるイメージである。
このように、本開示における蓋の開放は、容器本体の上端部の変形と蓋部の変形とが連動することによって生ずる。本開示においては、第1の被係止部の位置や、ヒンジ部の有無にかかわらず、容器本体の上端部の変形が、少なくとも第1の被係止部から蓋部全体に伝播して蓋部の変形と連動することによって、蓋が開放するきっかけとなる。
図6における係止の解除は突発的に生じ得るため、場合によっては蓋本体が跳ね上がる。したがって、その勢いに乗じて、好適にはヒンジ部10近傍の内側筒状垂下壁23aが開口部の内側1dにより押し上げられることによって、当該開口部が開放される。内側筒状垂下壁23aと開口部内側1dとの接触部が滑らかにスライドするため、開口部の開放はスムーズに進行する。
図8は、蓋が全開となった第1の実施形態の右側面断面図である。図8に示すように、内側筒状垂下壁23が開口部3の上縁に乗り上げることによって、蓋の開放が完了する。そして、包装容器を外力から解放すると、包装容器の各部材の形状は元の形にまで復元する。
さらに、蓋部の変形により蓄えられた応力を利用して、開放時に蓋部を勢いよく跳ね上げる構成とすることもできる。その構成を採用する場合には、さらに、天板の裏面に、文字、図形、記号、立体的形状や色彩、又はこれらの組み合わせを施すことにより、蓋の開放に娯楽性を加えることもできる。
ただし、蓋部の素材や形状、包装容器の大きさ等によっては、ヒンジ部にばね等を設け、蓋開放の補助に供してもよい。
本開示の包装容器の高さは、用途によって適宜調節できるが、例えば外寸で50〜100,000mmとしてもよい。
本開示における容器本体の幅は、用途によって適宜調節できるが、片手で握れるサイズとして、例えば外寸で50〜100mmとしてもよい。容器本体の平面視断面形状が略円形以外の場合には、容器本体の長径(容器本体幅方向の最も長い差渡し径)を外寸で100〜200mm、短径(容器本体幅方向の最も短い差渡し径)を外寸で20〜50mmとしてもよい。
本開示における容器本体の容量は、上記寸法同様に適宜調節できるが、例えば、0.1〜1,000Lとしてもよい。
第2の被係止部は、外側筒状垂下壁において、ヒンジ部との連結位置及び第1の被係止部が存在する位置のいずれとも異なる位置に設けられる。第2の被係止部は、ヒンジ部との連結位置と第1の被係止部が存在する位置との略中間の位置に設けられることが好ましい。仮に第1の被係止部を包装容器正面側とした場合、第2の被係止部は包装容器側面側に設けることが好ましい。
第2の被係止部は、好適には外側筒状垂下壁において周方向に延設される。第2の被係止部は、外側筒状垂下壁内周面から天板中央へ向かって突出する。
第2の被係止部は、1つのみ設けてもよいし、2つ以上設けてもよい。
図9下側の底面断面図に示す通り、第2の実施形態において、第2の被係止部25(斜線で示す)は、外側筒状垂下壁22に沿って考えた場合、外側筒状垂下壁22とヒンジ部10との連結位置10aと、第1の被係止部24が存在する位置とのちょうど中間の位置にそれぞれ1つずつ設けられている。より具体的には、同図に示す通り、連結位置10aの周方向中心から90°離れた位置に、第2の被係止部の周方向中心が位置合わせされている。
このように第2の被係止部を設けることにより、よりしっかりした蓋部の閉止状態が実現する。本第2の実施形態においては、第2の被係止部は2つのうちいずれか1つのみであってもよいが、バランスの良い閉止を実現するため、2つとも設けることが好ましい。
θ2は、好適には3°以上20°以下であり、より好適には5°以上18°以下であり、さらに好適には10°以上15°以下である。θ2が3°未満であるとすると、外側筒状垂下壁において第2の被係止部の占める部分が狭すぎるため、蓋の閉止状態が不十分となるおそれがある。一方、θ2が20°を超えるとすると、外側筒状垂下壁において第2の被係止部の占める部分が広くなりすぎるため、蓋の開放が困難となるおそれがある。
より好適には、第2の被係止部25の周方向中心から両側に、それぞれ均等に1.5°以上10°以下の範囲で第2の被係止部25を設けることが好ましい。
第3の被係止部は、外側筒状垂下壁とヒンジ部との連結位置近傍に設けられる。第3の被係止部の周方向中心は、当該連結位置と位置合わせされていてもよく、当該連結位置とはずれていてもよい。
第3の被係止部は、好適には外側筒状垂下壁において周方向に延設される。第3の被係止部は、外側筒状垂下壁内周面から天板中央へ向かって突出する。
図10下側の底面断面図に示す通り、第3の被係止部26(斜線で示す)は、外側筒状垂下壁とヒンジ部との連結位置10a近傍に設けられる。より具体的には、同図に示す通り、連結位置10aの周方向中心と、第3の被係止部26の周方向中心とが位置合わせされている。
図10下側の底面断面図に示す通り、第3の被係止部26は、外側筒状垂下壁内周面に一定の角度範囲で存在することが好ましい。ここでいう角度は、同図中のθ1と等しくなる。θ1の数値範囲は、上述した第1の被係止部の場合と同様である。
なお、第1の被係止部についてのθ1と、第3の被係止部についてのθ1とは、同じ角度であってもよいし、異なる角度であってもよい。
図12は、第5の実施形態における蓋部2の右側面断面図と底面断面図である。第5の実施形態は、第1の被係止部24の位置と個数以外は、第1の実施形態(図1〜図8)と同様である。
図12下側の底面断面図に示す通り、第5の実施形態において、2つの第1の被係止部24(斜線で示す)は、それぞれ、その周方向中心が外側筒状垂下壁22とヒンジ部10との連結位置10aの周方向中心から90°離れた位置にある。この第1の被係止部24の位置は、上述した第2の実施形態(図9)の第2の被係止部25の位置と同じである。ただし、本第5の実施形態においては、第1の被係止部の位置を決めるに当たり、外側筒状垂下壁とヒンジ部との連結位置10aは特に基準としない。したがって、本第5の実施形態は、容器本体と蓋部との連結手段としてヒンジを用いない包装容器や、蓋の開放状態において容器本体と蓋部とが分離する包装容器にも適用することができる。
図12下側の底面断面図に示す通り、第1の被係止部24は、外側筒状垂下壁内周面に一定の角度範囲で存在することが好ましい。ここでいう角度は、同図中のθ1と等しくなる。θ1の数値範囲は、上述した第1の実施形態と同様である。
図12には第1の被係止部24が2つ描かれているが、本第5の実施形態においては、第1の被係止部は1つのみでもよく、3つ以上設けられていてもよい。ただし、本第5の実施形態においてバランスの良い閉止を実現するためには、第1の被係止部は2つ以上設けることが好ましく、外側筒状垂下壁22の平面視形状に沿って均等に第1の被係止部を配置することが好ましい。
第1の被係止部を2つ以上設ける場合には、その大きさや形状は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
この容器本体の上端部の変形が、第1の被係止部及びその反対側の部分から蓋部全体に伝播する。より詳細に説明すると、容器本体の上端部の変形によって、外側筒状垂下壁のうち第1の被係止部が、これを係り止めている係止部に追従して移動し、第1の被係止部と反対側の部分も、対応する容器本体の部分に追従して移動する。しかし、外側筒状垂下壁のうち上記以外の部分は、容器本体の上端部のどの部分にも追従しないため、容器本体から浮き上がる結果、蓋部の形状が歪む。このように、容器本体の上端部の変形と蓋部の変形との連動が、蓋の開放の契機となる。
本開示は蓋の開放に主な特徴を有するため、この特徴を損なわない限度において、容器本体の形状を自由に選択することができる。例えば、図13に示すように、容器の蓋から首にかけての部分を第1の実施形態と同様の構成とし、容器本体の胴部30を大きくすることもできる。また、本図面には示さないものの、例えば、当該胴部30を多角形状や球状としたり、動物、植物、乗り物や建物その他あらゆるものをモチーフとした形状としたりすることも可能である。
第1〜第5の実施形態は主としてハンディな容器であり、片手で把持したままその手で簡単に開放できることをその効果の1つとする。これに対し、本第6の実施形態は、容器本体が大型であり、およそ持ち上げることのできない寸法のものであってもよく、その蓋及びその近傍を本開示の構成とすることによって、蓋を片手で簡単に開放することが可能である。
前記蓋部は、天板と、前記天板の外周から垂下する外側筒状垂下壁と、前記天板内面から垂下し、前記外側筒状垂下壁よりも一回り内部に位置し、かつ前記開口部上端内面壁の形状に沿った内側筒状垂下壁とを備え、
前記開口部近傍の外側に係止部が設けられ、前記外側筒状垂下壁の内周面には、前記係止部により係止される第1の被係止部が設けられ、
前記係止部と第1の被係止部により蓋部が閉じられ、かつ前記内側筒状垂下壁と前記開口部上端内面壁により容器内部の密閉性が確保されることを特徴とする。
上記変形例においては、密閉機能(及びそれに伴うリクローズ機能)と係止機能とを異なる部分で確保できるという点で、実用上優れた効果を奏する。このように包装容器に必要な2つの機能を異なる部位で分担することにより、被係止部を蓋全体に設ける必要が無く、蓋の一部に設けることができる。その結果、蓋の開放時に被係止部から受ける抵抗を最小限に抑えることができ、従来よりも小さい力で蓋を開放できる。
[実施例1]
上記第1の実施形態に示した包装容器を製造した。
まず、容器胴部材、環状口部材、及び蓋部をそれぞれインジェクション成型により成型した。各部品の材料及び平均肉厚は以下の通りである。
容器胴部材:ポリプロピレン製、平均肉厚1.0mm
環状口部材:ポリプロピレン製、平均肉厚1.0mm
蓋部:ポリエチレン製、平均肉厚1.5mm
容器胴部材及び環状口部材は、それぞれ図2及び図4に示したものを用いた。
蓋部は、図3に示したもの(第1の実施形態)を用いた。このとき、被係止部の角度θ1=60°とした。
完成した包装容器の形状及び寸法は以下の通りである。
包装容器の形状:円柱形状
包装容器の寸法(外寸):
高さ:89.0mm
幅(円柱の直径):66.4mm
容量:0.240L
実施例1の包装容器について圧縮試験を行った。具体的には、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、型番:RTC−1225A)を用いて、実施例1の包装容器(容器最大径:φ66.4mm)の容器本体のヒンジ部近傍と第1の被係止部近傍との距離が縮む方向に外力を付与して潰し、蓋の係止が解除されたとき、及び蓋が全開したときの各変位量と各荷重ピークを測定した。なお、ここで「変位量」とは、容器最大径(すなわち容器直径の外寸:φ66.4mm)と、潰した際の容器の短径との差を意味する。なお、ここでいう「蓋の係止が解除されたとき」とは図6に示したような状態のときを意味し、「蓋が全開したとき」とは図8に示したような状態のときを意味する。
試験方法の詳細は以下の通りである。
試験速度:30mm/min
荷重レンジ:100N
測定は5つの容器について同じ条件下で行い、その平均を求めた。また、5つの容器全てについて、外力から解放した後に、蓋が全開したまま、容器の各部材(容器胴部材、環状口部材、蓋部)の形状が元の形にまで復元した。
なお、表1における「変形率」とは、下記式(1)により求められる値である。
式(1)
p={(R−r)/R}×100
(上記式(1)中、pは変形率(%)を、Rは変形前の容器本体の最大径(mm)を、rは変形における容器本体の短径(mm)を、それぞれ表す。)
また、上記表1及び表2より、容器最大径が66.4mmの容器について、平均して5.04mm圧縮した時点で蓋の係止が解除されることが分かる。また、その際の荷重ピークの平均は47.25Nである。一方、これらの表より、同じ容器について、平均して8.08mm圧縮した時点で蓋が全開することが分かる。また、その際の荷重ピークの平均は35.60Nである。また、これらの表より、蓋の係止の解除時の平均変形率は7.6%であり、蓋全開時の平均変形率は12%であることが分かる。
1a 容器胴部材
1b 環状口部材
1c 係止部
1d 開口部内側
2 蓋部
3 開口部
4 嵌合環部
5 蓋本体
6 つまみ
7 ティアバンド
8 指示部
9 開閉つまみ
10 ヒンジ部
10a 外側筒状垂下壁22とヒンジ部10との連結位置
21 天板
22 外側筒状垂下壁
23 内側筒状垂下壁
23a ヒンジ部10近傍の内側筒状垂下壁
24 第1の被係止部
25 第2の被係止部
26 第3の被係止部
27 参考例における第1の被係止部
30 容器本体の胴部
100 包装容器の第1の実施形態
A 切断面の位置を示す一点鎖線
Claims (17)
- 上縁に開口部を備える少なくとも上端部が弾性変形可能な容器本体と、
前記開口部を塞ぐ蓋部と、
を備える包装容器であって、
前記蓋部は、
天板と、
前記天板の外周から垂下する外側筒状垂下壁と、
前記天板内面から垂下し、前記外側筒状垂下壁よりも一回り内部に位置し、かつ前記開口部上端内面壁の形状に沿った内側筒状垂下壁とを備え、
前記開口部近傍の外側に係止部が設けられ、
前記外側筒状垂下壁の内周面には、前記係止部により係止される第1の被係止部が設けられ、
前記容器本体に外力を加えることで前記容器本体の上端部を変形させ、当該変形が少なくとも前記第1の被係止部から前記蓋部全体に伝播して当該蓋部を歪ませることによって、
前記係止部による前記第1の被係止部に対する係止が解除されると共に、前記内側筒状垂下壁が前記開口部の内側により押し上げられることによって、当該開口部が開放されることを特徴とする、包装容器。 - 前記第1の被係止部は、前記外側筒状垂下壁内周面の一部に設けられ、
前記容器本体の上端部において、前記第1の被係止部近傍とその反対側の部分との距離が縮む方向に外力を加えることで前記容器本体の上端部を変形させ、当該変形が前記第1の被係止部及びその反対側の部分から前記蓋部全体に伝播して当該蓋部を歪ませることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。 - 前記蓋部が、前記開口部を塞ぐように前記容器本体にヒンジ部を介して揺動自在に連結されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の包装容器。
- 前記ヒンジ部が前記開口部近傍に設けられ、前記外側筒状垂下壁の一部が当該ヒンジ部と連結し、
前記第1の被係止部は、少なくとも前記外側筒状垂下壁と前記ヒンジ部との連結位置とは反対側に位置し、かつ当該外側筒状垂下壁内周面から前記天板中央に向かって突出し、
前記容器本体の前記ヒンジ部近傍と前記第1の被係止部近傍との距離が縮む方向に外力を加えることで前記容器本体の上端部を変形させ、当該変形が前記ヒンジ部及び前記第1の被係止部から前記蓋部全体に伝播して当該蓋部を歪ませることによって、
前記係止部による前記第1の被係止部に対する係止が解除されると共に、前記ヒンジ部近傍の前記内側筒状垂下壁が前記開口部の内側により押し上げられることによって、当該開口部が開放されることを特徴とする、請求項3に記載の包装容器。 - 前記容器本体は、
上縁が開口した少なくとも上端部が弾性変形可能な容器胴部材と、
前記容器胴部材の上縁に固着された弾性変形可能な環状口部材とを備え、
前記蓋部は、
前記環状口部材に外嵌合する弾性変形可能な嵌合環部と、
前記開口部を開閉するための蓋本体とを備え、
前記蓋本体は、前記天板、前記外側筒状垂下壁及び前記内側筒状垂下壁を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装容器。 - 前記第1の被係止部は、前記外側筒状垂下壁内周面に周方向3°以上120°以下の角度範囲で存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記係止部は、前記開口部近傍の外側全周に設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記蓋部が弾性変形可能であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記蓋部の平面視形状が略円形又は略楕円形であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記容器本体及び前記蓋部の平面視形状がいずれも略円形である場合において、
前記係止が解除されるとき、下記式(1)により求められる変形率pが7.0%以上8.5%以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の包装容器。
式(1)
p={(R−r)/R}×100
(上記式(1)中、pは変形率(%)を、Rは前記変形前の前記容器本体の最大径(mm)を、rは前記変形における前記容器本体の短径(mm)を、それぞれ表す。) - 前記容器本体の平均肉厚が、0.10mm以上10mm以下であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記容器本体の上端部の平均肉厚が、0.10mm以上10mm以下であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記容器本体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリ塩化ビニルからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記外側筒状垂下壁において、前記ヒンジ部との連結位置及び前記第1の被係止部が存在する位置のいずれとも異なる少なくとも1つの位置に、当該外側筒状垂下壁内周面から前記天板中央に向かって突出し、かつ前記係止部により係止される第2の被係止部が設けられることを特徴とする、請求項4〜13のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記第2の被係止部は、前記外側筒状垂下壁内周面に周方向3°以上20°以下の角度範囲で存在することを特徴とする、請求項14に記載の包装容器。
- 前記外側筒状垂下壁と前記ヒンジ部との連結位置近傍に、当該外側筒状垂下壁内周面から前記天板中央に向かって突出し、かつ前記係止部により係止される第3の被係止部が設けられることを特徴とする、請求項4〜15のいずれか一項に記載の包装容器。
- 前記第3の被係止部は、前記外側筒状垂下壁内周面に周方向3°以上120°以下の角度範囲で存在することを特徴とする、請求項16に記載の包装容器。
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