JP2018042466A - 微生物培養担体、汚水処理方法、土壌評価方法、微生物増殖性向上方法、及び土壌改良方法 - Google Patents

微生物培養担体、汚水処理方法、土壌評価方法、微生物増殖性向上方法、及び土壌改良方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微生物が保持され繁殖し易い環境を付与し、微生物の増殖を促進することができる微生物培養担体を提供する。【解決手段】微生物を増殖する微生物培養担体100であって、略直線状の親水性短繊維1が三次元的にランダムに配向した状態で集合してなる多孔質粒子10を含み、親水性短繊維1は、繊維長が1〜500μmであり、繊維径が0.1〜50μmである。多孔質粒子10は、細孔径分布が1〜500μmであり、細孔2のモード径が10〜100μmであり、気孔率が50〜80%であり、かさ比重が0.1〜0.5g/ccであり、保水量が30〜60cc/100ccである。【選択図】図1

Description

本発明は、微生物を増殖する微生物培養担体、これを用いた汚水処理方法、土壌評価方法、及び微生物増殖性向上方法、並びに土壌改良方法に関する。
微生物培養担体は、微生物を用いた土壌改良や汚水処理等において広く採用されている。微生物培養担体の開発にあたっては、微生物で分解されず、適切な保水性及び通気性を有する材料が求められる。特に、微生物培養担体が適切な細孔を有することは、細孔の内部における微生物の良好な増殖を実現するために必要なことである。
汚水処理においては、汚水処理槽中の微生物の活動によって生物学的に不要な化合物の分解が行われる。この場合、微生物は樹脂やゲル等の担体に保持された状態で用いられる。従来の微生物培養担体の例として、ポリビニルアルコールからなる固定化材料に微生物を高濃度に担持することができる包括固定化微生物担体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、ポリビニルアルコールからなる固定化材料と微生物との混合液を0℃以下で凍結固化させてから解凍することにより、微生物がポリビニルアルコールに包括固定化された親水性包括固定化微生物担体が得られる。
特開2003−238号公報
特許文献1の包括固定化微生物担体は、固定化材料と微生物との混合液を0℃以下で凍結固化させてから解凍するため、凍結固化時に混合液の外部から中心部に向けて凍結が放射状に進行することにより放射状のスポンジ構造が形成される。スポンジ構造における細孔は凍結時に形成され、細孔の形態は凍結時の環境等に影響される。従って、特許文献1の包括固定化微生物担体は、必ずしも微生物にとって好ましい細孔が得られるとは限らない。また、微生物は一旦凍結されるとダメージを受けることがあり、解凍後に凍結前と同様の活性が維持されるかは不明である。このように、従来の包括固定化微生物担体は、細孔の形態及び固定された微生物の活性の点で改善の余地があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、微生物が保持され繁殖し易い環境を付与し、微生物の増殖を促進することができる微生物培養担体を提供することを目的とする。また、本発明は、当該微生物培養担体を用いた汚水処理方法、土壌評価方法、及び微生物増殖性向上方法、並びに微生物増殖性向上方法を利用した土壌改良方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る微生物培養担体の特徴構成は、
微生物を増殖する微生物培養担体であって、
略直線状の親水性短繊維が三次元的にランダムに配向した状態で集合してなる多孔質粒子を含み、
前記親水性短繊維は、繊維長が1〜500μmであり、繊維径が0.1〜50μmであることにある。
本構成の微生物培養担体によれば、略直線状の親水性短繊維が三次元的にランダムに配向した状態で集合してなる多孔質粒子を含むことにより、微生物を担持可能な多孔質の担体を形成することができる。ここで、親水性短繊維の繊維長を1〜500μm、繊維径を0.1〜50μmに設定することで、微生物培養担体に微生物が保持され繁殖し易い環境を付与することができ、微生物の増殖を促進することができる。
本発明に係る微生物培養担体において、
前記多孔質粒子は、細孔径分布が1〜500μmであり、細孔のモード径が10〜100μmであることが好ましい。
本構成の微生物培養担体によれば、多孔質粒子の細孔が所定の大きさに設定されているため、多孔質粒子の細孔に微生物を担持させることが可能でありながら、担体の通気抵抗又は通水抵抗が過大にはならない。従って、本構成の微生物培養担体を、例えば、水処理に利用される汚水処理槽に適用した場合、効率よく汚水処理を行うことができる。
本発明に係る微生物培養担体において、
前記多孔質粒子は、気孔率が50〜80%であり、かさ比重が0.1〜0.5g/ccであり、保水量が30〜60cc/100ccであることが好ましい。
本構成の微生物培養担体によれば、多孔質粒子は、気孔率、かさ比重、及び保水量が適切な範囲に設定されているため、微生物培養担体において微生物がより繁殖し易くなり、且つ微生物培養担体は、所定の強度を有し、耐久性を向上することができる。
本発明に係る微生物培養担体において、
前記微生物は、好気性菌及び/又は嫌気性菌であることが好ましい。
本構成の微生物培養担体によれば、水中や土壌中において、好気性菌及び/又は嫌気性菌を増殖することができる。
本発明に係る微生物培養担体において、
前記好気性菌は、アゾトバクター、納豆菌、根粒菌、放線菌、硝化菌、亜硝化菌、及びタンパク質分解菌からなる群から選択される少なくとも一種であり、前記嫌気性菌は、枯草菌、酢酸菌、酵母、乳酸菌、水素細菌、放線菌、糸状菌、脱窒菌、及び光合成細菌からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本構成の微生物培養担体によれば、好気性菌及び/又は嫌気性菌として、上記の適切な菌を選択することで、微生物培養担体に取り込まれた好気性菌及び/又は嫌気性菌が増殖し、目的に応じて微生物培養担体を好適に利用することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る汚水処理方法の特徴構成は、
上記の何れか一つに記載の微生物培養担体を用いたことにある。
本構成の汚水処理方法によれば、本発明の微生物培養担体を用いるため、微生物培養担体の細孔で増殖した微生物によって有機物や窒素化合物等を迅速に分解できるため、汚水の処理速度を向上することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る土壌評価方法の特徴構成は、
上記の何れか一つに記載の微生物培養担体を用いたことにある。
本構成の土壌評価方法によれば、本発明の微生物培養担体を用いるため、評価対象の土壌に含まれる微生物が良好に増殖する。その結果、増殖した微生物によって土壌に含まれる物質の変化が促進され、土壌評価にかかる期間を短縮することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る微生物増殖性向上方法の特徴構成は、
上記の何れか一つに記載の微生物培養担体を用いた微生物増殖性向上方法であって、
土壌に前記微生物培養担体を添加して、当該土壌に含まれる微生物を馴養する馴養工程を実施するものであり、
前記微生物培養担体の添加量が前記土壌に対して5〜70vol%であることにある。
本構成の微生物増殖性向上方法によれば、土壌に微生物培養担体を添加することにより、土壌に含まれる微生物を微生物培養担体に担持することができる。ここで、微生物培養担体の添加量を土壌に対して5〜70vol%に設定することで、微生物が繁殖し易い土壌環境となり、微生物の増殖性を向上することができる。
本発明に係る微生物増殖性向上方法において、
前記馴養工程において、前記土壌の温度を10〜40℃に、前記土壌の水分量を10〜50cc/100ccに調整することが好ましい。
本構成の微生物増殖性向上方法によれば、馴養工程において、土壌を所定の状態に調整することで、微生物がより繁殖し易い土壌環境が実現されるため、微生物の増殖性をより向上することができる。
本発明に係る微生物増殖性向上方法において、
前記馴養工程において、予め微生物を含む液を含水させた微生物培養担体を添加することが好ましい。
本構成の微生物増殖性向上方法によれば、馴養工程において、予め微生物を含む液を含水させた微生物培養担体を添加することにより、元来土壌に含まれる微生物に加えて、微生物培養担体に予め保持された微生物も土壌中で繁殖することができる。その結果、微生物が豊富な土壌を実現することができ、微生物の増殖性をより向上することができる。
本発明に係る微生物増殖性向上方法において、
前記微生物培養担体は、少なくとも前記馴養工程が実施される期間において、その形状を維持可能な強度を有することが好ましい。
本構成の微生物増殖性向上方法によれば、馴養工程において、微生物培養担体の形状が維持されるため、微生物培養担体の細孔に存在する微生物にとって繁殖し易い環境を維持することができる。その結果、馴養工程に亘って土壌に含まれる微生物の増殖性を向上することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る土壌改良方法の特徴構成は、
上記の何れか一つに記載の微生物増殖性向上方法を利用することにある。
本構成の土壌改良方法によれば、本発明の微生物増殖性向上方法を利用することで、土壌に含まれる微生物が増殖し、増殖した微生物によって土壌の環境を迅速に改良することができる。
本発明に係る土壌改良方法において、
前記馴養工程において、バーク堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥、鶏糞堆肥、もみ殻、油粕、大豆粕、ぬか、稲わら、魚粉、牛骨粉、豚骨粉、及び鶏骨粉からなる群から選択される少なくとも一種を前記微生物培養担体と同時に添加することが好ましい。
本構成の土壌改良方法によれば、馴養工程において、上記の適切な肥料を微生物培養担体とともに添加することで、土壌に含まれる微生物が良好に増殖し、増殖した微生物によって土壌の環境をより迅速に改良することができる。
図1は、本発明に係る微生物培養担体を構成する多孔質粒子の表面の拡大図(顕微鏡写真)である。 図2は、本発明に係る汚水処理方法を実施するための汚水処理装置の概略図である。 図3は、本発明に係る土壌評価方法の実施例及び比較例におけるアンモニア態窒素量の減少率の経時変化を示したグラフである。 図4は、本発明に係る土壌改良方法の実施例及び比較例における微生物数の経時変化を示したグラフである。
以下、本発明に係る微生物培養担体、汚水処理方法、土壌評価方法、微生物増殖性向上方法、及び土壌改良方法に関する実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
<微生物培養担体>
図1は、本発明に係る微生物培養担体を構成する多孔質粒子の表面の拡大図(顕微鏡写真)である。微生物培養担体は、複数の多孔質粒子を含む。微生物培養担体の使用形態は、多孔質粒子をバインダー等で結合した固定状態、多孔質粒子を容器や袋等に詰めて用いる半固定状態、多孔質粒子をそのまま用いる分散状態(流動可能状態)の何れであってもよい。また、微生物培養担体は、多孔質粒子の他に別の種類の粒子を含んでいてもよい。
(多孔質粒子)
図1に示すように、多孔質粒子は、略直線状の親水性短繊維1が三次元的にランダムに配向した状態で集合したものである。本明細書において略直線状とは、多少の湾曲部や屈曲部が存在していても、それらが親水性短繊維1のランダムな配向に影響しない程度であればよく、例えば、親水性短繊維1の両端の夫々の延長方向が10度までの角度を成して湾曲又は屈曲したものや、親水性短繊維1が途中で10度までの角度で分岐したものも略直線状に含まれる。これらの略直線状の親水性短繊維1の形状としては、例えば、松葉の様なものが挙げられる。親水性短繊維1は、互いに重なり合った状態で接触部分がバインダーにより結合され、粒状物である多孔質粒子を形成する。親水性短繊維1(白色に見える部分)の間には細孔2(黒色にみえる部分)が形成され、当該細孔2に微生物が侵入し、繁殖することができる。
親水性短繊維1のサイズは、繊維長が1〜500μm、繊維径が0.1〜50μmに設定される。このようなサイズに設定することで、多孔質粒子は、細孔2に微生物が保持され易くなり、微生物にとって繁殖し易い環境を実現することができる。親水性短繊維1の繊維長が1μm未満の場合、あるいは親水性短繊維1の繊維径が0.1μm未満の場合、多孔質粒子を形成する親水性短繊維1が密になり過ぎることで細孔2が占める割合が相対的に小さくなり、その結果、微生物を十分に保持できなくなる虞がある。一方、親水性短繊維1の繊維長が500μmを超えると、親水性短繊維1が過度に湾曲したり、親水性短繊維1どうしが絡まることで細孔2の形状が複雑なものとなる。その結果、細孔2中に液体や気体が滞り易くなり、微生物にとって繁殖し難い環境となる。また、親水性短繊維1の繊維径が50μmを超えると、親水性短繊維1の間に形成される細孔2のサイズが過大になることで細孔2が占める割合が相対的に大きくなり、その結果、多孔質粒子が脆弱になる虞がある。
親水性短繊維1の材質としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、セルロース、又はアクリレート等が挙げられる。これらのうち、特にPVAが好ましい。PVAは水酸基が豊富な構造を有しており、PVAを用いて多孔質粒子を構成すると、細孔2の表面に多数の水酸基が存在することになる。このため、細孔2が水に馴染み易くなり、多孔質粒子は十分な水分を吸収することができる。その結果、細孔2に保持された微生物は、十分な湿潤環境の下で増殖することができる。なお、親水性短繊維1として、疎水性繊維の表面を親水化処理して水分吸収性を向上させたものを使用することも可能である。
多孔質粒子の細孔2のサイズは、上述した親水性短繊維1のサイズを変更したり、親水性短繊維1の使用量(密度)を変更することにより調整可能である。
多孔質粒子の細孔2は、細孔径分布が1〜500μmであることが好ましく、モード径が10〜100μmであることが好ましい。このような細孔2を備えた多孔質粒子は、当該細孔2の内部に液体や気体とともに微生物が侵入できるため、微生物を担持可能な微生物培養担体として利用することができる。また、多孔質粒子の細孔2が所定の大きさに設定されているため、細孔2の内部において液体や気体が十分に通流可能であり、その結果、多孔質粒子の通気抵抗又は通水抵抗が過大にならない。従って、微生物培養担体を、水処理に利用される汚水処理槽等で使用した場合、曝気ガス(空気)の通気抵抗や汚水の通水抵抗の影響が少なく、効率よく汚水処理を行うことができる。
多孔質粒子の形成にあたっては、バインダーを用いて親水性短繊維1を粒状化する。例えば、親水性短繊維1にバインダーや溶媒等の原料を加えて混合し、この原料混合物を造粒機に導入し、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の公知の造粒法により粒状物を形成する。また、親水性短繊維1にバインダーを加え、さらに必要に応じて溶媒等を加えて混練し、これを乾燥してブロック状にしたものを、乳鉢及び乳棒、ハンマーミル、ロールクラッシャー等の粉砕手段で適宜粉砕して粒状物とすることも可能である。粒状物は、必要に応じて乾燥及び分級が行われ、多孔質粒子とされる。
親水性短繊維1を結合するバインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ塩化ビニル系バインダー、ポリエステル系バインダー、スチロール系バインダー、及びポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、及びアルギン酸などの多糖類、膠などの動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
バインダーは、水不溶性のバインダーを用いることが好ましい。これにより、水処理等を実施している最中に多孔質粒子の構造が崩壊するのを防ぐことができる。水不溶性のバインダーとしては、例えば、樹脂材料が挙げられる。そのような樹脂材料として、例えば、ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、及びポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチロール系樹脂、酢酸ビニル、及びエチレン酢酸ビニル等の酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン、及びビニルウレタン等のウレタン系樹脂等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンが好ましい。また、樹脂材料に代えて、アクリルアミド等の高分子ゲル化剤、アルギン酸塩やカラギーナン等の天然多糖類系ゲル化剤、天然ゴムやシリコーンゴム等のゴム系コーティング剤を使用することも可能である。さらに、樹脂架橋剤を使用することもできる。そのような樹脂架橋剤としては、例えば、イソシアネート、ビニルスルホン化合物、アジリジン、ジヒドラジド、メチル化アミン、ジグリシジルエーテル、カルボジイミド、ホルムアルデヒド、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
多孔質粒子の粒径は、使用目的に応じて適宜選択されるが、微生物を培養する場合、1〜10mmが好ましく、2〜8mmがより好ましく、2〜5mmがさらに好ましい。多孔質粒子の粒径が1mm未満の場合、多孔質粒子が微細なものとなるため、処理中に流出し易くなる。一方、多孔質粒子の粒径が10mmを超えると、多孔質粒子の中心部まで気体や液体が通流し難くなり、その結果、微生物が繁殖し難い領域が生じ、効率が劣ることになる。多孔質粒子の粒径は、造粒工程における原材料の配合、造粒時間、又は造粒後の篩掛け等により調整することができる。
多孔質粒子の粒径は、例えば、以下の測定法により求めることができる。先ず、測定対象の多孔質粒子をスケールとともにカメラ又は顕微鏡で観察し、その画像を画像処理ソフト(二次元画像解析処理ソフトウェア「WinROOF」、三谷商事株式会社製)を使用して取得する。画像から100個の多孔質粒子を選択し、多孔質粒子の輪郭をトレースする。トレースした図形の周長から、相当円の直径を算出する。夫々の多孔質粒子から求めた相当円の直径(100個)の平均を平均サイズ(単位:ピクセル)とする。そして、平均サイズを画像中のスケールと比較し、単位長さ(μmオーダー乃至mmオーダー)に変換して、多孔質粒子の粒径を算出する。ちなみに、多孔質粒子を構成する親水性短繊維1のサイズ(繊維長、及び繊維径)についても、画像処理を用いた測定法により求められる。
多孔質粒子に形成される細孔2の状態は、多孔質粒子の気孔率、かさ比重、及び保水量に関係する。本発明では、上述した親水性短繊維1のサイズや使用量を調整し、多孔質粒子の気孔率、かさ比重、及び保水量を適切な範囲に設定することが可能である。多孔質粒子は、細孔2に酸素等の気体や水等の液体を取り込むことができるように、気孔率を50〜80%、かさ比重を0.1〜0.5g/cc、保水量を30〜60cc/100ccに設定することが好ましい。気孔率は、測定対象の状態に応じて、ガス吸着法、水銀圧入法、小角X線散乱法、画像処理法等を用いて、又はこれらの方法を組み合わせて、最適な方法により測定することができる。保水量は、100ccの多孔質粒子が保持可能な水分量(cc)として表す。多孔質粒子の気孔率が50%未満であると、細孔2が占める割合が相対的に小さくなることで多孔質粒子の内部を通流する気体の量が少なくなる。多孔質粒子の気孔率が80%を超えると、細孔2が占める割合が相対的に大きくなることで多孔質粒子が脆弱になる。また、多孔質粒子のかさ比重が0.1g/cc未満であると、細孔2が占める割合が相対的に大きくなることで多孔質粒子が脆弱になる。多孔質粒子のかさ比重が0.5g/ccを超えると、細孔2が占める割合が相対的に小さくなることで多孔質粒子に保持できる水分が少なくなる。気孔率及びかさ比重が上記の範囲であれば、多孔質粒子中の空隙(細孔2を含む)に微生物が保持され易くなり、微生物にとって繁殖し易い環境を実現することができる。また、多孔質粒子は所定の強度を有し、耐久性が向上する。さらに、保水量も上記の範囲であれば、細孔2に十分に水を取り込むことができ、微生物がより繁殖し易くなる。
微生物培養担体は、好気性菌及び嫌気性菌の何れの菌の増殖にも優れる。従って、本発明の微生物培養担体は、水中や土壌中において、好気性菌及び/又は嫌気性菌を効率よく増殖することにより、増殖した好気性菌及び/又は嫌気性菌によって水や土壌の環境を改善することができる。
前記好気性菌は、アゾトバクター、納豆菌、根粒菌、放線菌、硝化菌、亜硝化菌、及びタンパク質分解菌からなる群から選択される少なくとも一種であり、前記嫌気性菌は、枯草菌、酢酸菌、酵母、乳酸菌、水素細菌、放線菌、糸状菌、脱窒菌、及び光合成細菌からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。好気性菌及び/又は嫌気性菌として、上記の適切な菌を用いることで、微生物培養担体に取り込まれた菌が増殖し、目的に応じて微生物培養担体を好適に利用することができる。例えば、水や土壌中に含まれる窒素化合物(硝酸態窒素、及びアンモニア態窒素)を調節することができる。なお、微生物培養担体において増殖される菌が嫌気性菌のみである場合、酸素が遮断された特殊な環境下であっても嫌気性菌を増殖し、増殖した嫌気性菌によって水や土壌の環境を改善することができる。
<汚水処理方法>
本発明の微生物培養担体の適用例として、汚水処理方法について説明する。図2は、本発明に係る汚水処理方法を実施するための汚水処理装置の概略図である。図2(a)は、第一実施形態に係る汚水処理方法を実施するための汚水処理装置である。図2(b)は、第二実施形態に係る汚水処理方法を実施するための汚水処理装置である。
(第一実施形態)
図2(a)に示すように、第一実施形態に係る汚水処理方法においては、汚水処理装置20を使用する。汚水処理装置20は、汚水処理槽21と、送液部22と、送液パイプ23とを備える。汚水処理槽21は、汚水L等の液体を貯留する。汚水処理槽21及び送液部22は、送液パイプ23を介して汚水Lを循環可能に接続されている。送液部22には、例えば、タービンポンプ、カスケードポンプ、ピストンポンプ、ギヤーポンプ等の各種ポンプを使用することができる。送液部22のサクション側は汚水処理槽21の底部付近に接続され、デリベリ側は汚水処理槽21の上方に接続される。送液パイプ23上には適切な位置にバルブが設けられ、液体の流れる方向を切り替えたり、液体の流れをせき止めたり、液体を抜き出したりすることができる。これにより、送液部22は、送液パイプ23を介して、外部から汚水処理槽21へ液体を流入し、汚水処理槽21から外部へ液体を流出することができる。
汚水処理槽21は、内部に曝気部24を備えており、曝気部24は空気を送り込むブロワー25に接続されている。曝気部24は、例えば、多孔質素材の散気管で構成され、表面全体から空気を噴出することができる。曝気部24は、ブロワー25から送り込まれた空気を連続的に噴出し、汚水L中に気泡Aが生成する。そして、気泡Aが汚水L中を上昇するにともなって、汚水処理槽21の汚水Lが対流する。なお、ブロワー25によって曝気部24に供給されるガスは、空気に限られず、例えば酸素、又は酸素と窒素の混合ガス等であってもよい。
第一実施形態に係る汚水処理方法においては、微生物培養担体100を構成する多孔質粒子10を汚水L中に分散させた状態で用いる。すなわち、第一実施形態は、微生物培養担体100を流動床として構成したものである。汚水L中において、個々の多孔質粒子10は、汚水Lの対流に伴って汚水処理槽21の内部で浮遊と沈降とを繰り返しながら流動する。これにより多孔質粒子10は、汚水L及び気泡A(空気)に連続的に接触する。このとき、多孔質粒子10の細孔2に、汚水Lと空気とが吸収される。それと同時に、細孔2には汚水Lに含まれる微生物(菌)も侵入する。多孔質粒子10の細孔2に保持された微生物は、汚水Lに含まれる有機物等を分解することにより、汚水Lを浄化する。そして、多孔質粒子10の細孔2では微生物がさらに増殖し、増殖した微生物によって汚水L中の有機物や窒素化合物等がさらに分解され、汚水Lの処理速度が向上する。なお、多孔質粒子10には汚水Lに対応する微生物が予め担持されていてもよい。例えば、予め汚水Lに含有される不要物質の種類を分析し、当該不要物質を分解するのに適切な微生物を担持させた多孔質粒子10を用いることにより、効率よく汚水を処理することができる。
(第二実施形態)
図2(b)に示すように、第二実施形態に係る汚水処理方法においては、汚水処理装置30を使用する。汚水処理装置30は、処理部31と、液体貯留部32と、送液部33と、送液パイプ34とを備える。処理部31は中空構造を有しており、内部に複数の多孔質粒子10を集合させた微生物培養担体100が充填されている。液体貯留部32は、汚水L等の液体を貯留する。処理部31、液体貯留部32、及び送液部33は、送液パイプ34を介して汚水Lを循環可能に接続されている。送液部33には、第一実施形態で説明した各種ポンプが使用可能である。送液パイプ34上には適切な位置にバルブが設けられ、液体の流れる方向を切り替えたり、液体の流れをせき止めたり、液体を抜き出したりすることができる。これにより、送液部33は、送液パイプ34を介して、外部から液体貯留部32へ液体を流入し、液体貯留部32から外部へ液体を流出することができる。また、送液部33は、送液パイプ34を介して、液体貯留部32から処理部31へ液体を流入し、処理部31から液体貯留部32へ液体を流出することができる。
第二実施形態に係る汚水処理方法においては、微生物培養担体100を構成する多孔質粒子10が処理部31に充填されている。すなわち、第二実施形態は、微生物培養担体100を固定床として構成したものである。送液部33を駆動することにより汚水Lは、液体貯留部32と処理部31との間で循環する。汚水Lは、処理部31の一端側(図2(b)においては下方側)から内部に流入し、多孔質粒子10と接触しながら処理部31の内部空間を移動し、処理部31の他端側(図2(b)においては上方側)から流出する。これにより、多孔質粒子10は汚水Lが連続的に接触する。このとき、多孔質粒子10の細孔2には、汚水Lが吸収される。それと同時に、細孔2には汚水Lに含まれる微生物(菌)も侵入する。なお、第一実施形態と同様に、汚水Lに気泡を混入させてもよい。また、多孔質粒子10に汚水Lに対応する微生物を予め担持しておいてもよい。汚水Lが液体貯留部32と処理部31との間で循環するにつれて、汚水L中の有機物や窒素化合物等が微生物によって分解され、汚水Lが浄化される。そして、多孔質粒子10の細孔2では微生物がさらに増殖し、増殖した微生物によって汚水L中の有機物や窒素化合物等がさらに分解され、汚水Lの処理速度が向上する。
<土壌評価方法>
本発明に係る土壌評価方法においては、上述の微生物培養担体を用いる。土壌を評価するにあたり、土壌の主要な肥料成分である窒素が、適切な量とバランスとを維持しているか否かが評価される。植物は窒素分を硝酸態窒素の形で体内に取り込むため、土壌に含まれる微生物が窒素有機物(アンモニア態窒素)を硝酸態窒素に変換する能力が評価される。このため、土壌評価方法では、窒素循環の定量、すなわち土壌に含まれる硝化菌の活動度を示すアンモニア態窒素が減少する程度を定量する。
土壌評価方法においては、評価対象の土壌に水を加えて所定の物質を抽出した抽出液に微生物培養担体を添加する。これにより、微生物培養担体に含まれる多孔質粒子の細孔に抽出液が吸収される。それと同時に、多孔質粒子の細孔には抽出液に含まれる微生物が侵入する。微生物は、細孔内で増殖し、増殖した微生物によって抽出液に含まれる物質の変化(アンモニア態窒素の硝酸態窒素への変換)が促進される。その結果、アンモニア態窒素の減少が迅速に進行し、土壌評価にかかる期間を短縮することができる。
<微生物増殖性向上方法>
本発明に係る微生物増殖性向上方法は、土壌に含まれる微生物の増殖性を向上させるために実施される。微生物増殖性向上方法においては、土壌に、上述の微生物培養担体を添加して、当該土壌に含まれる微生物を馴養する馴養工程を実施する。土壌に対する微生物培養担体の添加量は、5〜70vol%に設定される。ここで、微生物培養担体の添加対象の土壌は、通常はある程度湿潤した状態となっているため、土壌の水分含有率によって微生物培養担体の添加量も異なるが、上記の数値範囲は、乾燥土壌(pF値=7)に対する微生物培養担体の添加量に換算したものとする。上記の添加量に設定することで、土壌と微生物培養担体とのバランスが良好なものとなり、微生物が繁殖し易い土壌環境となって、微生物の増殖性を向上することができる。土壌に対する微生物培養担体の添加量が5vol%未満の場合、微生物が繁殖し難い土壌環境となるため、十分に微生物が増殖できない虞がある。土壌に対する微生物培養担体の添加量が70vol%を超える場合、微生物が繁殖し易い土壌環境は確保されるが、土壌に含まれる微生物の栄養となる成分が相対的に少なくなるため、別途施肥を行う必要がある。
馴養工程においては、土壌の温度を10〜40℃に、水分量を10〜50cc/100ccに調整することが好ましく、土壌の温度を20〜30℃に、水分量を20〜40cc/100ccに調整することがより好ましい。土壌をこのような状態に調整することで、微生物がより繁殖し易い土壌環境が実現されるため、土壌に含まれる微生物の増殖性をより向上することができる。土壌の温度が10℃未満、又は40℃を超える場合、微生物の活性が低下し、微生物の増殖性が不十分となる虞がある。土壌の水分量が10cc/100cc未満の場合、微生物が活動又は移動するために必要な水分が不足するため、微生物の活性が低下し、微生物の増殖性が低下する虞がある。一方、土壌の水分量が50cc/100ccを超える場合、土壌に含まれる空気の量が不足するため、微生物の活性が低下し、微生物の増殖性が低下する虞がある。
馴養工程においては、予め微生物を含む液を含水させた微生物培養担体を添加することが好ましい。このような微生物培養担体を添加することによって、元来土壌に含まれる微生物に加えて、微生物培養担体に予め保持された微生物も土壌中で繁殖することができる。その結果、微生物が豊富な土壌を実現することができ、微生物の増殖性をより向上することができる。
馴養工程を実施すると、微生物培養担体に含まれる多孔質粒子の細孔内で微生物が繁殖する。そのため、微生物培養担体は、少なくとも馴養工程が実施される期間において、その形状を維持可能な強度を有することが好ましい。微生物培養担体の形状が維持されることにより、微生物培養担体に含まれる多孔質粒子の細孔の形状も維持される。これにより、多孔質粒子の細孔に存在する微生物にとって繁殖し易い環境を維持することができる。その結果、馴養工程に亘って土壌に含まれる微生物の増殖性を向上することができる。微生物培養担体の形状を維持するためには、例えば、多孔質粒子を構成する親水性短繊維を結合するバインダーの強度を向上させたり、細孔を閉塞しない程度に多孔質粒子の表面をコーティングすること等が有効である。
<土壌改良方法>
本発明に係る土壌改良方法においては、上述の微生物増殖性向上方法を利用する。微生物増殖性向上方法に従って、馴養工程で土壌に微生物培養担体を添加する。馴養工程において土壌に含まれる微生物の増殖性が向上し、増殖した微生物によって土壌に含まれる物質の変化が促進される。その結果、土壌成分の変化に伴い、迅速に土壌の環境を改良することができる。
土壌改良方法の馴養工程において、微生物培養担体と同時に、バーク堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥、鶏糞堆肥、もみ殻、油粕、大豆粕、ぬか、稲わら、魚粉、牛骨粉、豚骨粉、及び鶏骨粉等の肥料を添加することが好ましい。肥料は、単独肥料であってもよいし、複数種を混合した混合肥料であってもよい。このような肥料を微生物培養担体とともに添加することにより、土壌に含まれる微生物が良好に増殖し、増殖した微生物によって土壌の環境を迅速に改良することができる。
<汚水処理方法>
本発明に係る微生物培養担体を用いて、本発明に係る汚水処理方法を実施した。本実施例では、微生物培養担体として親水性短繊維を造粒することにより得られた多孔質粒子を使用し、上述の第二実施形態に係る汚水処理方法によって汚水を処理し、処理前後の水の分析を行った。
〔多孔質粒子の調製〕
合成繊維であるPVA短繊維(株式会社クラレ製、繊維長500μm、繊維径20〜30μm)100重量部と、バインダーであるポリオレフィン系樹脂エマルジョン(住友精化株式会社製、セポルジョン(登録商標)G315、濃度20重量%)125重量部とを撹拌造粒装置(SSS−MGS−12型、有限会社G−Labo製)に投入し、10〜20分間撹拌造粒することで粒状体を得た。この粒状体を80℃で12時間乾燥し、次いで、120℃で3時間加熱してPVA短繊維どうしの接触箇所をバインダーで融着し、これを冷却し、さらに所定の粒径に分級して実施例1の多孔質粒子を得た。得られた多孔質粒子の気孔率は66%であり、乾燥時のかさ比重は0.28g/ccであり、粒径は2〜4mmであり、細孔径分布が10〜100μmであり、細孔のモード径が40〜50μmであった。また、多孔質粒子の表面を顕微鏡で観察したところ、図1と同様に、略直線状のPVA短繊維が三次元的にランダムに配向した状態で集合したものとなっており、本発明の微生物培養担体が形成されていることが確認された。
〔多孔質粒子の保水量の測定〕
直径約1mmの排水口が約2mmの間隔で底面に複数設けられているステンレスカップ(直径50mm×高さ51mm、容量100cc)に試験対象の多孔質粒子100ccを充填し、その上から水を50cc滴下し、カップの底面から水が排出されなくなった時点の重量を計測した。続けて、この多孔質粒子に水を追加で50cc適下し、同様に、カップの底面から水が排出されなくなった時点の重量を計測した。この操作を繰り返し、水分を含む多孔質粒子の重量が一定になったとき、そのときの多孔質粒子の重量から、予め測定しておいた水を滴下する前の多孔質粒子の重量を差し引き、これを多孔質粒子の保水量とした。多孔質粒子の保水量は40cc/100ccであった。
〔分析結果〕
実施例1の多孔質粒子を水に浸漬させた。水を十分に吸収した多孔質粒子100mLを、ポリウレタン及びナイロンからなる通液可能なメッシュ状の袋に充填した。袋入りの多孔質粒子を筒状のカラムの内部にセットした。水槽に汚水を1.5L貯留し、ポンプ(FreeFlow 200、株式会社マルカン製)を用いて、約2L/分の流速で汚水をカラムと水槽との間で3日間循環させた。処理水を分析するために、3日間循環後の水槽内の水の色度、濁度、並びに液中の窒素量、炭素量、及び酸素要求量を測定した。また、3日間循環後のカラム内の多孔質粒子に吸着した微生物数を測定した。微生物数の測定は、多孔質粒子を1g量り採ったものを、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、及びプロティナーゼK等を含有するDNA抽出液10mlでDNAを抽出し精製を行った。抽出したDNAについて電気泳動法により、多孔質粒子1g当たりの微生物数を測定した。なお、循環前の未処理の汚水についても同様の分析を行った。
また、実施例1の多孔質粒子の代わりに、比較例1として市販のPVAスポンジ、比較例2としてPVAコロイド(クラゲール(登録商標)、株式会社クラレ製)、比較例3としてPVAキューブ(マイクロブレス(登録商標)、アイオン株式会社製)、比較例4として市販のウレタンスポンジを夫々用いて、同様の分析を行った。
実施例1の多孔質粒子を用いた処理水の分析結果、比較例1〜4の各サンプルを用いた処理水の分析結果、及び未処理の汚水の分析結果を以下の表1に示す。
Figure 2018042466
〔汚水処理方法の評価〕
実施例1の多孔質粒子を用いた汚水処理方法においては、色度、濁度、及び液中の窒素量は、未処理のサンプルと比べて減少し、比較例1〜4と比べて同等又は減少していることが確認された。このことから、実施例1の多孔質粒子を用いた汚水処理方法においては、汚水中の窒素量が減少し、かつ水の色が比較例1〜4と比べて同等又はより透明に処理できることが確認された。また、液中の炭素量及び酸素要求量については、未処理のサンプルと比べて多少の増加が見られたが、比較例2のPVAコロイド、比較例3のPVAキューブ、及び比較例4のウレタンスポンジを用いた処理後のサンプルと比べて、かなり低い値が検出された。このことから、実施例1及び比較例1〜4のいずれにおいても同様に微生物の数が増加した分、液中の炭素量が増加したものと考えられる。また、実施例1の多孔質粒子を用いた汚水処理方法においては、比較例2〜4を用いた処理方法に比べて、微生物が多孔質粒子内で安定して増殖しつつも、効率よく汚水に含まれる物質を分解したものと推定される。さらに、実施例1の多孔質粒子を用いた汚水処理方法においては、カラム内の多孔質粒子に吸着した微生物数は、未処理及び比較例1〜4のサンプルと比べて顕著に増加していることが確認された。これらの結果、実施例1の多孔質粒子を用いた汚水処理方法は、色度、濁度、液中の窒素量、炭素量及び酸素要求量、並びにカラム内の多孔質粒子に吸着した微生物数の全てにおいて、総合的に良好な結果が得られた。また、比較例1〜3は、実施例1と同様のPVAを素材としたものであるが、構造の違いによって結果に差が見られることから、実施例1の略直線状のPVA短繊維が三次元的にランダムに配向した状態で集合してなる多孔質粒子の構造が、微生物の増殖に寄与していることが示唆された。
<土壌評価方法>
本発明に係る微生物培養担体を用いて土壌評価方法を実施した。微生物培養担体としては、汚水処理方法に用いた多孔質粒子を使用した。
〔アンモニア態窒素の分析〕
エッペンドルフ(登録商標)チューブ(容積:1.5mL)に、土壌0.1gと、蒸留水1mLとを加えて振とうし、土壌懸濁液を調製した。土壌懸濁液を10分間静置した後、上清0.4mLに8.5mMの硫酸アンモニウム0.2mLを加えて混合溶液を得た。ファルコン(登録商標)チューブ(容積:50mL)に、多孔質粒子0.5gと、混合溶液0.3mLとを加えて、室温で24時間静置培養した。培養は、この他に48時間及び72時間についても同様に行った。培養後、1Mの塩化カリウム水溶液5mLを加えて1時間振とうした。エッペンドルフ(登録商標)チューブ(容積:1.5mL)に1.0mL量り採ったものを10000rpmで5分間遠心分離した。上清0.1mLを水で10倍希釈した無機態窒素抽出液を実施例2として、アンモニア態窒素量をインドフェノール法により測定した。
また、比較例5として、多孔質粒子を加えなかった土壌について、実施例2と同様の分析を行った。
〔分析結果〕
実施例2及び比較例5のアンモニア態窒素量の分析結果を図3に示す。図3は、本発明に係る土壌評価方法の実施例及び比較例におけるアンモニア態窒素量の減少率の経時変化を示したグラフである。
実施例2の多孔質粒子を用いた土壌評価方法においては、比較例5の多孔質粒子を用いないサンプルと比べて、アンモニア態窒素量の減少率が大きいことが確認された。このことから、実施例2の多孔質粒子を用いた土壌評価方法においては、多孔質粒子、すなわち微生物培養担体の添加が微生物の増殖に寄与していることが示唆された。
<土壌改良方法>
本発明に係る微生物増殖性向上方法を利用した土壌改良方法を実施した。微生物培養担体としては、汚水処理方法に用いた多孔質粒子を使用した。
〔土壌中の微生物数の測定〕
土壌に対して5vol%の多孔質粒子を加えて実施例3の土壌サンプルを調製した。実施例3の土壌サンプルに対して3vol%の各バイオマスを添加して混合し、実施例4(バーク堆肥添加)、実施例5(牛糞堆肥添加)、実施例6(鶏糞堆肥添加)、実施例7(もみ殻添加)、及び実施例8(油粕添加)の土壌サンプルを夫々調製した。各土壌サンプルをオートクレーブ(121℃、20分間)で滅菌した。滅菌後の土壌サンプルに対して1vol%の事前に培養した納豆菌溶液(4.6×10 CFU/mL)を添加し混合した。これを30℃でインキュベートし、2日、7日、14日、21日、及び28日経過後の土壌中の微生物数を測定した。微生物数の測定は、以下のように行った。土壌を1g量り採ったものを、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、及びプロティナーゼKなどを含有するDNA抽出液10mlでDNAを抽出し精製を行った。抽出したDNAについて電気泳動法により、土壌1g当たりの微生物数を測定した。
また、比較例6として多孔質粒子を加えない土壌サンプルを調整し、比較例6の土壌サンプルに対して3vol%の各バイオマスを添加して混合し、比較例7(バーク堆肥添加)、比較例8(牛糞堆肥添加)、比較例9(鶏糞堆肥添加)、比較例10(もみ殻添加)、及び比較例11(油粕添加)の土壌サンプルを夫々調製し、実施例3と同様の分析を行った。
図4は、本発明に係る土壌改良方法の実施例3〜8、及び比較例6〜11における微生物数の経日変化を示したグラフである。図4(a)は実施例3〜8、図3(b)は比較例6〜11における微生物数の分析結果を示したものである。
〔土壌改良方法の評価〕
実施例3〜8の多孔質粒子を用いた土壌サンプルにおいては、比較例6〜11の多孔質粒子を加えない土壌サンプルと比べて、夫々微生物数の増加が大きいことが確認された。このことから、実施例3〜8の多孔質粒子を用いた土壌改良方法においては、多孔質粒子、すなわち微生物培養担体の添加が微生物の増殖に寄与していることが示唆された。
本発明の微生物培養担体は、汚水処理方法、土壌評価方法、及び土壌改良方法に使用する微生物の培養に利用可能であるが、その他の用途として、例えば、医薬用、食品用、日用品等に用いられる微生物の培養にも利用可能である。
1 親水性短繊維
2 細孔
10 多孔質粒子
100 微生物培養担体

Claims (13)

  1. 微生物を増殖する微生物培養担体であって、
    略直線状の親水性短繊維が三次元的にランダムに配向した状態で集合してなる多孔質粒子を含み、
    前記親水性短繊維は、繊維長が1〜500μmであり、繊維径が0.1〜50μmである微生物培養担体。
  2. 前記多孔質粒子は、細孔径分布が1〜500μmであり、細孔のモード径が10〜100μmである請求項1に記載の微生物培養担体。
  3. 前記多孔質粒子は、気孔率が50〜80%であり、かさ比重が0.1〜0.5g/ccであり、保水量が30〜60cc/100ccである請求項1又は2に記載の微生物培養担体。
  4. 前記微生物は、好気性菌及び/又は嫌気性菌である請求項1〜3の何れか一項に記載の微生物培養担体。
  5. 前記好気性菌は、アゾトバクター、納豆菌、根粒菌、放線菌、硝化菌、亜硝化菌、及びタンパク質分解菌からなる群から選択される少なくとも一種であり、前記嫌気性菌は、枯草菌、酢酸菌、酵母、乳酸菌、水素細菌、放線菌、糸状菌、脱窒菌、及び光合成細菌からなる群から選択される少なくとも一種である請求項4に記載の微生物培養担体。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の微生物培養担体を用いた汚水処理方法。
  7. 請求項1〜5の何れか一項に記載の微生物培養担体を用いた土壌評価方法。
  8. 請求項1〜5の何れか一項に記載の微生物培養担体を用いた微生物増殖性向上方法であって、
    土壌に前記微生物培養担体を添加して、当該土壌に含まれる微生物を馴養する馴養工程を実施するものであり、
    前記微生物培養担体の添加量が前記土壌に対して5〜70vol%である微生物増殖性向上方法。
  9. 前記馴養工程において、前記土壌の温度を10〜40℃に、前記土壌の水分量を10〜50cc/100ccに調整する請求項8に記載の微生物増殖性向上方法。
  10. 前記馴養工程において、予め微生物を含む液を含水させた前記微生物培養担体を添加する請求項8又は9に記載の微生物増殖性向上方法。
  11. 前記微生物培養担体は、少なくとも前記馴養工程が実施される期間において、その形状を維持可能な強度を有する請求項8〜10の何れか一項に記載の微生物増殖性向上方法。
  12. 請求項8〜11の何れか一項に記載の微生物増殖性向上方法を利用した土壌改良方法。
  13. 前記馴養工程において、バーク堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥、鶏糞堆肥、もみ殻、油粕、大豆粕、ぬか、稲わら、魚粉、牛骨粉、豚骨粉、及び鶏骨粉からなる群から選択される少なくとも一種を前記微生物培養担体と同時に添加する請求項12に記載の土壌改良方法。
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