以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における複合電子部品の概略斜視図である。図2(A)および図2(B)は、図1中に示すIIA−IIA線およびIIB−IIB線に沿った模式断面図である。図3(A)および図3(B)は、図1中に示す抵抗素子の上面図および下面図である。また、図4は、図1に示す複合電子部品の等価回路を示す図である。まず、これら図1ないし図4を参照して、本実施の形態における複合電子部品1Aについて説明する。
図1に示すように、本実施の形態における複合電子部品1Aは、コンデンサ素子10と、抵抗素子20Aとを備えており、全体として略直方体形状を有している。
コンデンサ素子10は、直方体形状を有し、後述する長さ方向Lの寸法が後述する幅方向Wの寸法よりも大きく構成されている。ここで言う直方体形状には、コンデンサ素子10の角部および稜部に丸みが付けられたものや、コンデンサ素子10の外表面に段差や凹凸が設けられたもの等が含まれる。
抵抗素子20Aは、細長の平板形状を有し、後述する長さ方向Lの寸法が後述する幅方向Wの寸法よりも大きく構成されている。ここで言う平板形状には、抵抗素子20Aの角部および稜部に丸みが付けられたものや、抵抗素子20Aの外表面に段差や凹凸が設けられたもの等が含まれる。
コンデンサ素子10は、抵抗素子20A上に配置されており、たとえば半田接合材や導電性接着剤等の導電性接合材である第1および第2接合部31,32を介して抵抗素子20Aに接合されている。なお、コンデンサ素子10と抵抗素子20Aとを接合する方法としては、上述した導電性接合材を用いた接合方法に限られず、他の接合方法を利用することとしてもよい。
ここで、複合電子部品1Aの向きを表わす用語として、コンデンサ素子10と抵抗素子20Aとが並ぶ方向を高さ方向Hとして定義し、当該高さ方向Hと直交する方向のうち、後述するコンデンサ素子10の第1および第2外部電極14A,14Bが並ぶ方向を長さ方向Lとして定義し、上記高さ方向Hおよび上記長さ方向Lのいずれにも直交する方向を幅方向Wとして定義し、以下の説明においては、これら用語を使用する。
図1および図2に示すように、コンデンサ素子10は、たとえば積層セラミックコンデンサであり、コンデンサ本体11と、第1および第2外部電極14A,14Bと、コンデンサ本体11、第1外部電極14Aおよび第2外部電極14Bの各々の、高さ方向Hおよび長さ方向Lに沿う側面の少なくとも一部を覆っている絶縁膜19と、を有している。コンデンサ本体11は、直方体形状を有しており、その外表面に膜状に形成された第1および第2外部電極14A,14Bは、互いに離隔している。
コンデンサ本体11は、交互に積層された複数の誘電体層12および複数の内部電極層13にて構成されている。本実施の形態においては、複数の誘電体層12および複数の内部電極層13の積層方向が、高さ方向Hに合致している。ただし、当該積層方向は、幅方向Wに合致していてもよい。
誘電体層12は、たとえばチタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)等を主成分とするセラミック材料にて形成されている。また、誘電体層12は、副成分としてのMn、Mg、Si、Co、Ni、希土類等を含んでいてもよい。一方、内部電極層13は、たとえばNi、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等の金属材料にて形成されている。
第1および第2外部電極14A,14Bは、いずれも導電膜にて構成されており、たとえば焼結金属層とめっき層の積層膜にて構成される。焼結金属層は、たとえばCu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等のペーストを焼き付けることで形成される。めっき層は、たとえばNiめっき層とこれを覆うSnめっき層とによって構成される。めっき層は、これに代えてCuめっき層やAuめっき層であってもよい。また、第1および第2外部電極14A,14Bは、めっき層のみによって構成されていてもよいし、金属成分と樹脂成分とを含む導電性樹脂ペーストを硬化させたものにて構成されていてもよい。
コンデンサ本体11は、長さ方向Lにおいて相対する一対の端面と、幅方向Wにおいて相対する一対の側面と、高さ方向Hにおいて相対する一対の主面とを有している。このうち、高さ方向Hにおいて相対する一対の主面のうちの一方である下面11aが、抵抗素子20Aに対向している。
また、第1外部電極14Aは、コンデンサ本体11の一方の端面と、上記一対の側面および上記一対の主面のそれぞれ一部とに連なって設けられており、第2外部電極14Bは、コンデンサ本体11の他方の端面と、上記一対の側面および上記一対の主面のそれぞれ一部とに連なって設けられている。これにより、コンデンサ本体11の下面11aは、長さ方向Lにおいて互いに離隔する第1および第2外部電極14A,14Bによって覆われており、これら第1および第2外部電極14A,14Bの間においてコンデンサ本体11の下面11aが露出している。
図2に示すように、高さ方向Hに沿って誘電体層12を挟んで隣り合う一対の内部電極層13のうちの一方は、コンデンサ素子10の内部において第1および第2外部電極14A,14Bのうちの一方に電気的に接続されており、他方の内部電極層13は、コンデンサ素子10の内部において第1および第2外部電極14A,14Bのうちの他方に電気的に接続されている。これにより、第1および第2外部電極14A,14B間は、複数のコンデンサ要素(C)が電気的に並列に接続された状態となっている。
本実施の形態においては、絶縁膜19は、コンデンサ素子10の両端面、両側面および上面に亘って位置するように設けられている。具体的には、絶縁膜19は、第1外部電極14Aがコンデンサ本体11の一方の端面、両側面および上面を覆っている部分を、覆うように設けられている。絶縁膜19は、第2外部電極14Bがコンデンサ本体11の他方の端面、両側面および上面を覆っている部分を、覆うように設けられている。絶縁膜19は、コンデンサ本体11において、第1および第2外部電極14A,14Bに覆われていない部分の、両側面および上面を覆うように設けられている。
ただし、絶縁膜19の配置は上記に限られず、絶縁膜19は、コンデンサ素子10の上面に位置していなくてもよい。また、絶縁膜19は、コンデンサ素子10の両端面に位置していなくてもよい。さらに、絶縁膜19は、コンデンサ素子10の両側面の全体に位置している必要はなく、コンデンサ素子10の各側面の少なくとも一部を覆っていればよい。
絶縁膜19を構成する材料としては、ソルダーレジストとして機能する材料である、熱硬化性絶縁性樹脂または紫外線硬化性絶縁性樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
絶縁膜19の厚さは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、絶縁膜19の厚さが15μm以上30μm以下である。
絶縁膜19の厚さが10μmより薄い場合、絶縁膜19の抗張力が不足して、絶縁膜19が剥離または破砕する可能性がある。絶縁膜19の厚さが50μmより厚い場合、絶縁膜19がコンデンサ素子10の外形の外側に突き出た状態になり、絶縁膜19に外力が作用しやすくなるため、絶縁膜19が剥離しやすくなる。
上述したコンデンサ素子10は、たとえば、誘電体層12となるセラミックシート(いわゆるグリーンシート)の表面に内部電極層13となる導電性ペーストが印刷された素材シートを複数準備し、これら複数の素材シートを積層して圧着および焼成することでコンデンサ本体11を製作し、さらにその後、コンデンサ本体11の外表面に第1および第2外部電極14A,14Bを形成することによって製作される。なお、複数のコンデンサ本体11が一体化された集合体を予め製造し、当該集合体を切り離すことで複数のコンデンサ本体11を一括して製作し、その後、個々のコンデンサ本体11に第1および第2外部電極14A,14Bを形成することとしてもよい。
絶縁膜19を構成する絶縁性樹脂として熱硬化性絶縁性樹脂を用いる場合には、絶縁性樹脂をスプレーコーティングした後、絶縁性樹脂を加熱することにより硬化させる。絶縁膜19を構成する絶縁性樹脂として紫外線硬化性絶縁性樹脂を用いる場合には、絶縁性樹脂をスプレーコーティングした後、絶縁性樹脂に紫外線を照射して硬化させる。
なお、絶縁膜19の形成方法としては、スプレーコーティングに限られず、たとえば、ディップ法、スクリーン印刷法またはフォトリソグラフィ法などでもよい。絶縁膜19の他の形成方法として、たとえば、第1および第2外部電極14A,14Bが設けられた複数のコンデンサ本体11を互いに間隔を置いて板上に保持した状態で、その板上に軟化した絶縁性樹脂を流し込むことにより、第1および第2外部電極14A,14Bが設けられた複数のコンデンサ本体11の表面に絶縁性樹脂を塗布してもよい。
図1ないし図3に示すように、抵抗素子20Aは、絶縁性の基部21と、抵抗体22と、保護膜23と、第1ないし第4上面導体24A〜24Dと、第1ないし第4下面導体25A〜25Dと、第1ないし第4接続導体としての第1ないし第4ビア導体26A〜26Dおよび第1ないし第4側面導体27A〜27Dとを有している。
基部21は、平板形状を有しており、たとえばエポキシ樹脂等の樹脂材料やアルミナ等のセラミック材料、あるいはこれらに無機材料または有機材料からなるフィラーや織布等が添加されたもの等にて構成される。好適には、アルミナ基板や、低温同時焼成セラミック(LTCC)基板を含むセラミック基板が、基部21として利用される。
基部21は、長さ方向Lにおいて相対する一対の長さ方向側面と、幅方向Wにおいて相対する一対の幅方向側面と、高さ方向Hにおいて相対する一対の主面とを有している。このうち、一対の主面のうちの一方である上面21aが、コンデンサ素子10に対向しており、一対の主面のうちの他方である下面21bが、複合電子部品1Aが実装される配線基板と対向する実装面となる。
図2および図3に示すように、抵抗体22は、基部21の上面21aの所定位置に設けられており、たとえば、基部21の上面21aに垂直な方向から見た場合に、矩形の膜形状を有している。抵抗体22としては、たとえば金属皮膜、酸化金属皮膜、酸化金属皮膜とガラスとの混合物であるメタルグレーズ被膜等が利用できる。
保護膜23は、基部21の上面21a上において抵抗体22の少なくとも一部を覆っており、たとえばガラス材料や樹脂材料等からなる絶縁性の膜にて構成されている。ここで、保護膜23は、抵抗体22が外部に向けて露出することがないように抵抗体22を完全に覆っていることが好ましい。
第1および第2上面導体24A,24Bは、基部21の上面21aに設けられており、矩形状の導電膜にて構成されている。第1および第2上面導体24A,24Bは、長さ方向Lにおいて互いに離隔しており、基部21の上面21aの長さ方向Lにおける両端部に配置されている。
第3および第4上面導体24C,24Dは、基部21の上面21aに設けられており、矩形状の導電膜にて構成されている。第3および第4上面導体24C,24Dは、長さ方向Lにおいて第1上面導体24Aと第2上面導体24Bとの間に位置している。また、第3および第4上面導体24C,24Dは、幅方向Wにおいて互いに離隔しており、基部21の上面21aの幅方向Wにおける両端部に配置されている。
第1ないし第4上面導体24A〜24Dを基部21から剥がれ難くするためには、第1ないし第4上面導体24A〜24Dのそれぞれの少なくとも一部を基部21に埋設することが好ましい。特に、コンデンサ素子10が接合される際の接合力によって第1および第2上面導体24A,24Bが基部21から剥がれないようにするためには、当該第1および第2上面導体24A,24Bのそれぞれの少なくとも一部を基部21に埋設することが好ましい。
第1および第2下面導体25A,25Bは、基部21の下面21bに設けられており、矩形状の導電膜にて構成されている。第1および第2下面導体25A,25Bは、長さ方向Lにおいて互いに離隔しており、基部21の下面21bの長さ方向Lにおける両端部に配置されている。
第3および第4下面導体25C,25Dは、基部21の下面21bに設けられており、矩形状の導電膜にて構成されている。第3および第4下面導体25C,25Dは、長さ方向Lにおいて第1下面導体25Aと第2下面導体25Bとの間に位置している。また、第3および第4下面導体25C,25Dは、幅方向Wにおいて互いに離隔しており、基部21の下面21bの幅方向Wにおける両端部に配置されている。
第1および第2ビア導体26A,26Bは、基部21を高さ方向Hに沿って貫通しており、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、円形状を有している。第1ビア導体26Aは、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第1上面導体24Aおよび第1下面導体25Aに重なっており、第1上面導体24Aと第1下面導体25Aとを接続している。第2ビア導体26Bは、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第2上面導体24Bおよび第2下面導体25Bに重なっており、第2上面導体24Bと第2下面導体25Bとを接続している。
第3および第4ビア導体26C,26Dは、基部21を高さ方向Hに沿って貫通しており、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、円形状を有している。第3ビア導体26Cは、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第3上面導体24Cおよび第3下面導体25Cに重なっており、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとを接続している。第4ビア導体26Dは、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第4上面導体24Dおよび第4下面導体25Dに重なっており、第4上面導体24Dと第4下面導体25Dとを接続している。
第1側面導体27Aは、長さ方向Lにおいて相対する基部21の一対の長さ方向側面の一方を覆っており、第1上面導体24Aと第1下面導体25Aとを接続している。第2側面導体27Bは、長さ方向Lにおいて相対する基部21の一対の長さ方向側面の他方を覆っており、第2上面導体24Bと第2下面導体25Bとを接続している。
第3側面導体27Cは、幅方向Wにおいて相対する基部21の一対の幅方向側面の一方を覆っており、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとを接続している。第4側面導体27Dは、幅方向Wにおいて相対する基部21の一対の幅方向側面の他方を覆っており、第4上面導体24Dと第4下面導体25Dとを接続している。
なお、第1ないし第4上面導体24A〜24D、第1ないし第4下面導体25A〜25Dは、第1ないし第4ビア導体26A〜26D、および、第1ないし第4側面導体27A〜27Dは、各種の導電材料を用いて形成することができるが、好適にはCu、Ni、Sn等の金属材料にて構成でき、めっき処理、導電性ペーストの焼き付け、スパッタ等にてこれを形成することができる。
ここで、上述した抵抗体22は、長さ方向Lにおいて第1上面導体24Aと第2上面導体24Bとの間に位置しており、その幅方向Wにおける一端が第3上面導体24Cの一部を覆っているとともに他端が第4上面導体24Dの一部を覆っている。これにより、第3および第4上面導体24C,24Dが、抵抗体22に接続されることになる。
抵抗素子20Aとコンデンサ素子10とが物理的に干渉することを防止するためには、抵抗体22の長さ方向Lにおける寸法を、コンデンサ素子10の第1外部電極14Aと第2外部電極14Bとの間隔よりも小さくすることが好ましい。
また、他の導電性部材との接触を防ぐためには、上述した保護膜23は、抵抗体22のみならず、第3および第4上面導体24C,24Dをも覆うことが好ましい。ただし、第3および第4上面導体24C,24Dが保護膜23によって覆われている必要は必ずしもなく、その一部のみが覆われていてもよいし、その全体が覆われていなくてもよい。
上述した抵抗素子20Aは、たとえば以下に示す手順に従ってその製作を行なうことができる。
まず、絶縁性の基部21を準備し、当該基部21に貫通孔を設け、当該貫通孔を閉塞するように導電性ペーストを塗布してこれを硬化させることで第1ないし第4ビア導体26A〜26Dを形成する。
次に、基部21の上面21aおよび下面21bに導電性ペーストを印刷してこれを焼き付けたり、あるいは基部21の上面21aおよび下面21bに金属材料をスパッタによって成膜したりすること等により、第1ないし第4上面導体24A〜24Dおよび第1ないし第4下面導体25A〜25Dを形成する。
その後、基部21の一対の長さ方向側面および一対の幅方向側面に導電性ペーストを塗布してこれを硬化させたり、あるいは基部21の一対の長さ方向側面および一対の幅方向側面にめっき層を形成したりすること等により、第1ないし第4側面導体27A〜27Dを形成する。
次に、基部21の上面21aに抵抗体22となる材料を印刷等によって形成することにより、第3および第4上面導体24C,24Dに抵抗体22を接続する。
その後、基部21の上面21aに抵抗体22を覆うようにガラス材料や樹脂材料等をたとえば印刷等によって塗布し、これにより保護膜23を形成する。
以上により、上述した抵抗素子20Aが製作される。なお、上述した手順はあくまで一例であり、上述した手順における各工程の順序を一部入れ替えたり(たとえば、先に第1ないし第4上面導体24A〜24Dおよび第1ないし第4下面導体25A〜25Dを形成し、その後第1ないし第4ビア導体26A〜26Dを形成してもよい)、上述した手法以外の手法を用いて各部の形成を行なったりすることも当然に可能である。また、複数の抵抗素子20Aが一体化された集合体を予め製造し、当該集合体を切り離すことで複数の抵抗素子20Aを一括して製作することとしてもよい。
ここで、図1および図2に示すように、本実施の形態における複合電子部品1Aにあっては、上述したようにコンデンサ素子10と抵抗素子20Aとが第1および第2接合部31,32を介して接合されている。
より詳細には、コンデンサ素子10が、高さ方向Hにおいて抵抗素子20Aの上面21a側に実装されることにより、コンデンサ本体11の下面11aと基部21の上面21aとが、高さ方向Hにおいて対向し、かつ、コンデンサ素子10の第1および第2外部電極14A,14Bと抵抗素子20Aの第1および第2上面導体24A,24Bとが、それぞれ対応付けて第1および第2接合部31,32を介して接合されている。
これにより、第1および第2外部電極14A,14Bと第1および第2上面導体24A,24Bとが、それぞれ電気的に接続されることになり、当該第1および第2上面導体24A,24Bおよびこれらのそれぞれに接続された第1および第2ビア導体26A,26Bならびに第1および第2側面導体27A,27Bが、コンデンサ素子10の中継導体として機能することになり、第1および第2外部電極14A,14Bと第1および第2下面導体25A,25Bとが、それぞれ電気的に接続された状態とされている。
したがって、抵抗素子20Aに設けられた第1および第2下面導体25A,25Bならびに第1および第2側面導体27A,27Bが、コンデンサ素子10の配線基板への接続端子である端子導体として機能することになる。
一方、抵抗素子20Aに設けられた抵抗体22は、上述したように抵抗素子20Aの第3および第4上面導体24C,24Dに電気的に接続されているため、当該第3および第4上面導体24C,24Dのそれぞれに接続された第3および第4ビア導体26C,26Dならびに第3および第4側面導体27C,27Dが、抵抗体22の中継導体として機能することになり、第3および第4上面導体24C,24Dと第3および第4下面導体25C,25Dとが、それぞれ電気的に接続された状態となっている。
したがって、抵抗素子20Aに設けられた第3および第4下面導体25C,25Dならびに第3および第4側面導体27C,27Dが、抵抗素子20Aの配線基板への接続端子である端子導体として機能することになる。
これにより、本実施の形態における複合電子部品1Aは、配線基板への接続端子である端子導体を4つ有したものとなり、図4に示す如くの等価回路を有することになる。
上記構成の複合電子部品1Aとすることにより、コンデンサ本体の表面に直接的に抵抗体を形成する必要がないため、製造の際の加工が容易になるばかりでなく、抵抗体の電気的な特性が、コンデンサ本体の大きさやコンデンサ本体に設けられる一対の外部電極の形状や大きさ等の制約を受けることもない。したがって、複合電子部品としての設計自由度が大幅に高められることになる。
また、上記構成の複合電子部品1Aとすることにより、複合化するコンデンサ素子10および抵抗素子20Aを同形かつ同寸法の直方体形状に製作する必要もなく、コンデンサ素子10および抵抗素子20Aの電気的な特性がこの意味において制約を受けることもない。したがって、この点においても、複合電子部品としての設計自由度が大幅に高められることになる。
さらには、上記構成の複合電子部品1Aとすることにより、抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とが当該複合電子部品1Aの内部において電気的に並列に接続された状態とはならないため、回路設計の観点においてもその設計自由度が非常に高いものとなる。すなわち、当該複合電子部品1Aが実装される配線基板側においてこれら抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とを電気的に接続することでこれらを直列にも並列にも接続することが可能であるし、場合によっては、別々の回路にこれらをそれぞれ接続することも可能である。したがって、様々な回路に対して適用が可能な複合電子部品とすることができる。
加えて、上記構成の複合電子部品1Aとすることにより、コンデンサ素子10と抵抗素子20Aとを複合化することで得られる実装面積の削減(配線基板に対する電子部品の高集積化)の効果も当然に得られることになる。
ここで、実装面積を削減する観点からは、抵抗素子20Aの長さ方向Lにおける寸法よりもコンデンサ素子10の長さ方向Lにおける寸法が大きいことが好ましく、また抵抗素子20Aの幅方向Wにおける寸法よりもコンデンサ素子10の幅方向Wにおける寸法が大きいことが好ましい。また、コンデンサ素子10の大容量化の観点からは、抵抗素子20Aの高さ方向Hにおける寸法よりもコンデンサ素子10の高さ方向Hにおける寸法が大きいことが好ましい。
また、絶縁膜19がコンデンサ素子10の各側面の少なくとも一部を覆っていることにより、コンデンサ素子10の絶縁膜19が形成されている位置で複合電子部品1Aが、隣接している電子部品と接触した場合に、この電子部品と複合電子部品1Aとが短絡することを絶縁膜19の電気絶縁性により抑制できる。本発明の実施の形態1における複合電子部品1Aは、隣接配置された電子部品との短絡の発生を抑制できるため、配線基板に電子部品を高密度実装することを可能とする。
以上において説明したように、本実施の形態における複合電子部品1Aおよびこれに具備される抵抗素子20Aにおいては、容易に所望の電気的な特性を有する抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とを組み合わせることが可能になり、これによって複合電子部品自体の設計自由度が高くなるばかりでなく、当該複合電子部品が実装される配線基板における回路設計の設計自由度も高くすることが可能になる。
ここで、予め、複合化するコンデンサ素子10として電気的な特性が異なる複数の種類のものを準備しておくとともに、複合化する抵抗素子20Aとして電気的な特性が異なる複数の種類のものを準備しておくこととすれば、これらを選択して適宜組み合わせることにより、所望の電気的な特性を有する抵抗要素(R)およびコンデンサ要素(C)を併せ備えた複合電子部品を容易に製造することができる。その際、複数種のコンデンサ素子間および複数種の抵抗素子間のそれぞれにおいて、これらを同形かつ同寸法に構成する必要性は必ずしもなく、選択した種類のコンデンサ素子と選択した種類の抵抗素子とを重ね合わせてこれらを複合化することができる限りにおいては、複数種のコンデンサ素子間および複数種の抵抗素子間のそれぞれにおいて、異形でかつ異寸法にこれらを構成することも可能である。
また、上述した本実施の形態においては、抵抗体22が接続された第3上面導体24Cおよび第4上面導体24Dが、コンデンサ素子10の中継導体として機能する第1上面導体24Aおよび第2上面導体24Bが並ぶ方向である長さ方向Lと直交する幅方向Wにおいて互いに離隔して配置されている。このように構成することにより、第1ないし第4上面導体24A〜24D間の相互の距離を大きくしつつ、基部21の上面21a上において抵抗体22が形成できる面積をより大きくすることが可能になり、第1ないし第4上面導体24A〜24D間の絶縁性の確保と抵抗体22の電気的な特性の調整の自由度の確保とが両立できることになる。
図5は、図1に示す複合電子部品の配線基板への実装方法を示す概略斜視図であり、図6(A)および図6(B)は、図1に示す複合電子部品を含む実装構造体の模式断面図である。次に、これら図5および図6を参照して、本実施の形態における複合電子部品1Aの配線基板100への実装構造について説明する。
図5に示すように、複合電子部品1Aの配線基板100への実装に際しては、抵抗素子20Aの基部21の下面21bが配線基板100の主面100aと対向するように複合電子部品1Aが配置され、半田接合材や導電性接着剤等の導電性接合材を用いての実装が行なわれる。
図5および図6に示すように、配線基板100は、主面100aに導電パターンが形成された絶縁性の基板であり、配線基板100の材質としては、エポキシ樹脂等の樹脂材料やアルミナ等のセラミックス材料、あるいはこれらに無機材料または有機材料からなるフィラーや織布等が添加されたもの等を用いることができる。一般的には、配線基板100としては、エポキシ樹脂からなる基材にガラス製の織布が添加されたガラスエポキシ基板が好適に利用される。
配線基板100の主面100aには、複合電子部品1Aに対応して4つの第1ないし第4ランド101A〜101Dが設けられる。これら4つの第1ないし第4ランド101A〜101Dは、いずれも上述した導電パターンの一部に該当し、互いに離隔して配設されている。
また、これら4つの第1ないし第4ランド101A〜101Dの各々は、複合電子部品1Aが有する4つの第1ないし第4下面導体25A〜25Dに対応した大きさに形成されており、対応する第1ないし第4下面導体25A〜25Dに対して、配線基板100の主面100aの法線方向に沿って対向する部分を含んでいる。なお、第1ないし第4ランド101A〜101Dの材質としては、各種の導電材料が利用できるが、一般的にはCu等の金属材料が好適に利用される。
複合電子部品1Aが有する4つの第1ないし第4下面導体25A〜25Dおよび第1ないし第4側面導体27A〜27Dと、配線基板100に設けられた4つの第1ないし第4ランド101A〜101Dとは、それぞれ導電性接合材からなる実装用第1ないし第4接合部111〜114によって接合されている。ここで、複合電子部品1Aに第1ないし第4側面導体27A〜27Dが設けられていることにより、実装用第1ないし第4接合部111〜114により適切な大きさのフィレットが形成されることになり、複合電子部品1Aの実装安定性が増すことになる。
ここで、上述した第1ないし第4ランド101A〜101Dのうちの所定のランドを相互に電気的に接続しておくこととすれば、複合電子部品1Aに含まれるコンデンサ素子10と抵抗素子20Aとを配線基板100側において直列にも並列にも接続することが可能になる。
図7(A)は、本実施の形態における複合電子部品の要部拡大断面図である。また、図7(B)は、本実施の形態に基づいた他の構成例に係る複合電子部品の要部拡大断面図である。
図7(A)に示すように、本実施の形態における複合電子部品1Aにあっては、抵抗素子20Aの基部21の上面21aに設けられた第1および第2上面導体24A,24Bと、コンデンサ素子10のコンデンサ本体11の下面11aに設けられた第1および第2外部電極14A,14Bとの間に、それぞれ第1および第2接合部31,32が位置している。
そのため、第1および第2上面導体24A,24Bの各々の高さ方向Hにおける厚みと、当該第1および第2上面導体24A,24Bに対向する部分の第1および第2外部電極14A,14Bの各々の高さ方向Hにおける厚みと、第1および第2接合部31,32の高さ方向Hにおける厚みとの総和が、基部21の上面21aとコンデンサ本体11の下面11aとの間の高さ方向Hにおける距離となる。
ここで、基部21の上面21aに設けられた抵抗体22および保護膜23は、コンデンサ本体11の下面11aのうちのコンデンサ本体11が露出した部分に対向して配置されている。
したがって、本実施の形態における複合電子部品1Aとすることにより、基部21の上面21aを基準とした第1および第2上面導体24A,24Bの最大高さH1と保護膜23の最大高さH2とが、H1<H2となる条件を満たしている場合であっても、上記最大高さH2が基部21の上面21aとコンデンサ本体11の下面11aとの間の高さ方向Hにおける距離よりも小さい限りにおいては、保護膜23および抵抗体22がコンデンサ素子10に物理的に干渉することがなくなり、複合電子部品1Aの高さ方向Hにおける外形寸法が大型化することを抑制することができる。好ましくは、最大高さH2を、最大高さH1とコンデンサ素子10Aの下面11a側に位置する第1および第2外部電極14A,14Bの厚みとの和よりも小さくする。
また、図7(B)に示すように、本実施の形態に基づいた他の構成例に係る複合電子部品1A’においては、抵抗体22を保護膜で覆うことなく基部21の上面21a上において露出させる構成としている。
(第1変形例)
図8(A)ないし図8(C)は、第1変形例に係る抵抗素子の上面図、断面図および下面図である。また、図9(A)および図9(B)は、図8中に示すIXA−IXA線およびIXB−IXB線に沿った模式断面図である。以下、これら図8および図9を参照して、本実施の形態に基づいた第1変形例に係る抵抗素子20A1について説明する。
図8および図9に示すように、第1変形例に係る抵抗素子20A1は、上述した抵抗素子20Aと比較した場合に、基部21の上面21aと基部21の下面21bとにおける各部のレイアウトが相違しており、これに伴って第1ないし第4接続導体の構成も異なるものとなっている。
具体的には、第3および第4上面導体24C,24Dは、長さ方向Lにおいて第1上面導体24Aと第2上面導体24Bとの間に位置しているとともに、長さ方向Lにおいて互いに離隔している。ここで、第3および第4上面導体24C,24Dは、いずれも基部21の上面21aに垂直な方向から見て、矩形状に構成されており、幅方向Wに沿って長く延びている。なお、第3および第4上面導体24C,24Dの幅方向Wにおける寸法は、第1および第2上面導体24A,24Bと同じでもよいし、小さくてもよい。
抵抗体22は、長さ方向Lにおいて第1上面導体24Aと第2上面導体24Bとの間に位置しており、その長さ方向Lにおける一端が第3上面導体24Cを覆っているとともにその長さ方向Lにおける他端が第4上面導体24Dを覆っている。これにより、第3,第4上面導体24C,24Dが、抵抗体22に接続されることになる。
ここで、本第1変形例においては、上述した本実施の形態の場合に比べて、基部21の上面21aに垂直な方向から見た場合の抵抗体22の面積をより大きく確保できるため、抵抗体22の電気的な特性の調整の自由度がより高まることになる。
一方、第3および第4下面導体25C,25Dは、長さ方向Lにおいて第1下面導体25Aと第2下面導体25Bとの間に位置しているとともに、幅方向Wにおいて互いに離隔している。
この場合、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとが必ずしも重なるとは限らず、また、第4上面導体24Dと第4下面導体25Dとが必ずしも重なるとは限らない。特に、上述したように、抵抗体22の面積をより大きくするために、第3上面導体24Cと第4上面導体24Dとを長さ方向Lにおいて互いにより離れるように構成した場合には、これらのいずれもが基部21の上面21aに垂直な方向から見た場合に重ならないレイアウトとなってしまう。
そのため、本第1変形例に係る抵抗素子20A1にあっては、第3および第4接続導体である第3および第4ビア導体26C,26Dを、それぞれ複数に分割してこれらを相互に接続することにより、上記レイアウトを実現可能にしている。
すなわち、本第1変形例に係る抵抗素子20A1にあっては、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとを接続する第3ビア導体26Cを、基部21の内部において高さ方向Hと直交する方向に延びる内部接続導体26C3と、内部接続導体26C3に接続し、基部21の上面21aと内部接続導体26C3との間に位置しかつ高さ方向Hに延びる上側ビア導体26C1と、内部接続導体26C3に接続し、基部21の下面21bと内部接続導体26C3との間に位置しかつ高さ方向Hに延びる下側ビア導体26C2とによって構成している。ここで、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、上側ビア導体26C1と下側ビア導体26C2とは、少なくとも一部において重なっていないことになる。
このように構成することにより、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとが重ならないレイアウトである場合にも、これら第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとを、上側ビア導体26C1、下側ビア導体26C2および内部接続導体26C3を介して接続することが可能になる。
また、本第1変形例に係る抵抗素子20A1にあっては、第4上面導体24Dと第4下面導体25Dとを接続する第4ビア導体26Dを、基部21の内部において高さ方向Hと直交する方向に延びる内部接続導体26D3と、内部接続導体26D3に接続し、基部21の上面21aと内部接続導体26D3との間に位置しかつ高さ方向Hに延びる上側ビア導体26D1と、内部接続導体26D3に接続し、基部21の下面21bと内部接続導体26D3との間に位置しかつ高さ方向Hに延びる下側ビア導体26D2とによって構成している。ここで、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、上側ビア導体26D1と下側ビア導体26D2とは、少なくとも一部において重なっていないことになる。
このように構成することにより、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第4上面導体24Dと第4下面導体25Dとが重ならないレイアウトである場合にも、これら第4上面導体24Dと第4下面導体25Dとを、上側ビア導体26D1、下側ビア導体26D2および内部接続導体26D3を介して接続することが可能になる。
したがって、上記構成を採用することにより、第3および第4上面導体24C,24Dが並ぶ方向と、第3および第4下面導体25C,25Dが並ぶ方向とを容易に異ならせることが可能になる。
ただし、設計が許す限りにおいては、実装安定性の観点およびショート不良の発生の防止の観点から、基部の上面または下面に到達しかつ抵抗素子の外表面に露出することになるビア導体は、上面導体および下面導体と完全に重ならせることが好ましい。
なお、本第1変形例に係る抵抗素子20A1においては、第1ないし第4接続導体が、いずれも第1ないし第4ビア導体26A〜26Dのみによって構成されている。
ここで、加工の容易化の観点から、基部21に設ける第1ないし第4ビア導体26A〜26Dは、基部21の一対の長さ方向側面および一対の幅方向側面よりも所定距離(たとえば50μm以上)離れていることが好ましく、また、第1ないし第4ビア導体26A〜26Dの直径は、ある程度大きい(たとえば80μm以上)であることが好ましい。その場合、本第1変形例の如くの構成を採用することにより、抵抗素子の大型化を最大限抑制することができる。
なお、上記においては、内部接続導体を用いて上側ビア導体と下側ビア導体とを接続した場合を例示したが、基部21の上面21aに垂直な方向から見た場合に、上側ビア導体と下側ビア導体とが重なるように配置できる場合には、内部接続導体を形成せずに上側ビア導体と下側ビア導体とを直接接続することとしてもよい。
(第2変形例)
図10(A)および図10(B)は、第2変形例に係る複合電子部品の模式断面図である。以下、この図10を参照して、本実施の形態に基づいた第2変形例に係る複合電子部品1A1について説明する。
図10に示すように、第2変形例に係る複合電子部品1A1は、上述した複合電子部品1Aと比較した場合に、異なる構成の抵抗素子20A2を備えている。抵抗素子20A2は、上述した抵抗素子20Aと比較した場合に、基部21に設けられた抵抗体22の位置が主として相違している。具体的には、抵抗体22は、基部21の下面に設けられており、長さ方向Lにおいて第1下面導体25Aと第2下面導体25Bとの間に位置している。
ここで、上述した抵抗体22は、その幅方向Wにおける一端が第3下面導体25Cの一部を覆っているとともにその幅方向Wにおける他端が第4下面導体25Dの一部を覆っている。これにより、第3および第4下面導体25C,25Dが、抵抗体22に接続されることになる。
なお、本第2変形例に係る抵抗素子20A2には、上述した抵抗素子20Aが具備していた第3および第4上面導体24C,24Dならびに第3および第4ビア導体26C,26Dは設けられていないが、これが設けられていても特段問題はない。
このように構成した場合にも、上述した本実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになり、低コストにかつ容易に所望の電気的な特性を有する抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とを組み合わせることが可能になり、これによって複合電子部品自体の設計自由度が高くなるばかりでなく、当該複合電子部品が実装される配線基板における回路設計の設計自由度も高くすることが可能になる。
(第3変形例)
図11(A)および図11(B)は、第3変形例に係る複合電子部品の模式断面図である。以下、この図11を参照して、本実施の形態に基づいた第3変形例に係る複合電子部品1A2について説明する。
図11に示すように、第3変形例に係る複合電子部品1A2は、上述した複合電子部品1Aと比較した場合に、異なる構成の抵抗素子20A3を備えている。抵抗素子20A3は、上述した抵抗素子20Aと比較した場合に、基部21に設けられた抵抗体22の位置が主として相違している。具体的には、抵抗体22は、基部21の内部に埋設されており、長さ方向Lにおいて第1ビア導体26Aと第2ビア導体26Bとの間に位置している。
これに伴い、基部21の内部には、長さ方向において第1ビア導体26Aと第2ビア導体26Bとの間に位置しかつ幅方向Wに沿って互いに離隔する第1および第2内部導体28C,28Dが設けられている。当該第1および第2内部導体28C,28Dは、基部21の幅方向Wにおける両端部に配置されている。
ここで、上述した抵抗体22は、その幅方向Wにおける一端が第1内部導体28Cの一部を覆っているとともにその幅方向Wにおける他端が第2内部導体28Dの一部を覆っている。これにより、第1および第2内部導体28C,28Dが、抵抗体22に接続されることになる。
また、第3ビア導体26Cは、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第1内部導体28Cおよび第3下面導体25Cに重なっており、第1内部導体28Cと第3下面導体25Cとを接続している。第4ビア導体26Dは、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第2内部導体28Dおよび第4下面導体25Dに重なっており、第2内部導体28Dと第4下面導体25Dとを接続している。
なお、図11に示すように、本第3変形例に係る抵抗素子20A3においては、上述した抵抗素子20Aが具備していた第3および第4上面導体24C,24Dが設けられる必要はない。
このように構成した場合にも、上述した本実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになり、低コストにかつ容易に所望の電気的な特性を有する抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とを組み合わせることが可能になり、これによって複合電子部品自体の設計自由度が高くなるばかりでなく、当該複合電子部品が実装される配線基板における回路設計の設計自由度も高くすることが可能になる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2における複合電子部品の概略斜視図である。図13(A)および図13(B)は、図12中に示すXIIIA−XIIIA線およびXIIIB−XIIIB線に沿った模式断面図である。図14(A)ないし図14(C)は、図12中に示す抵抗素子の上面図、断面図および下面図である。また、図15は、図12に示す複合電子部品の等価回路を示す図である。以下、これら図12ないし図15を参照して、本実施の形態における複合電子部品1Bについて説明する。
図12ないし図14に示すように、本実施の形態における複合電子部品1Bは、上述した複合電子部品1Aと比較した場合に、異なる構成の抵抗素子20Bを備えている。抵抗素子20Bは、上述した抵抗素子20Aと比較した場合に、第4上面導体24D、第4下面導体25D、第4ビア導体26Dおよび第4側面導体27Dを具備していない点において主として相違している。
具体的には、図13および図14に示すように、抵抗素子20Bは、基部21の上面21aのうちの長さ方向Lにおいて第1および第2上面導体24A,24Bに挟まれた部分に、第3上面導体24Cのみを有している。当該第3上面導体24Cは、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、矩形状に構成されており、幅方向Wに沿って長く延びている。なお、第3上面導体24Cの幅方向Wにおける寸法は、第1および第2上面導体24A,24Bと同じでもよいし、小さくてもよい。
抵抗体22は、長さ方向Lにおける一端が第1上面導体24Aの一部を覆っているとともに、その長さ方向Lにおける他端が第3上面導体24Cの一部を覆っている。これにより、第1および第3上面導体24A,24Cが、抵抗体22に接続されることになる。
ここで、第3上面導体24Cは、第1上面導体24Aよりも第2上面導体24Bにより近い位置に設けられる。このように構成することにより、基部21の上面21aに垂直な方向から見た場合の抵抗体22の面積をより大きく確保できるため、抵抗体22の電気的な特性の調整の自由度がより高まることになる。
一方、第3ビア導体26Cは、長さ方向Lにおいて第1ビア導体26Aと第2ビア導体26Bとの間に位置しており、第3下面導体25Cは、長さ方向Lにおいて第1下面導体25Aと第2下面導体25Bとの間に位置している。
ここで、本実施の形態においても、基部21の上面21aに垂直な方向から見て、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとが必ずしも重なるとは限らない。特に、上述したように、抵抗体22の面積をより大きくするために、第3上面導体24Cを第2上面導体24B側に寄せて配置させた場合には、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとが基部21の上面21aに垂直な方向から見た場合に重ならないレイアウトとなってしまう。
そのため、本実施の形態における抵抗素子20Bにおいては、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとを接続する第3ビア導体26Cを、相互に接続された上側ビア導体26C1、下側ビア導体26C2および内部接続導体26C3によって構成している。このように構成することにより、第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとが重ならないレイアウトである場合にも、これら第3上面導体24Cと第3下面導体25Cとを接続することが可能になる。
以上のように構成した場合には、抵抗素子20Bに設けられた抵抗体22は、抵抗素子20Bの第1および第3上面導体24A,24Cに電気的に接続されているため、当該第1および第3上面導体24A,24Cのそれぞれに接続された第1および第3ビア導体26A,26Cならびに第1および第3側面導体27A,27Cが、抵抗体22の中継導体として機能することになり、第1および第3上面導体24A,24Cと第1および第3下面導体25A,25Cとが、それぞれ電気的に接続された状態となる。
したがって、抵抗素子20Aに設けられた第1および第3下面導体25A,25Cならびに第1および第3側面導体27A,27Cが、抵抗素子20Bの配線基板への接続端子である端子導体として機能することになる。
なお、この場合、第1上面導体24A、第1ビア導体26Aおよび第1側面導体27Aは、コンデンサ素子10の第1外部電極14Aの中継導体としても機能することになり、また、第1下面導体25Aおよび第1側面導体27Aは、コンデンサ素子10の配線基板への接続端子である端子導体としても機能することになる。
これにより、本実施の形態における複合電子部品1Bは、配線基板への接続端子である端子導体を3つ有したものとなり、図15に示す如くの等価回路を有することになる。
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、容易に所望の電気的な特性を有する抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とを組み合わせることが可能になり、これによって複合電子部品自体の設計自由度が高くなるばかりでなく、当該複合電子部品が実装される配線基板における回路設計の設計自由度も高くすることが可能になる。
ここで、上記構成の複合電子部品1Bとした場合には、抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とが当該複合電子部品1Bの内部において電気的に並列に接続された状態とはならないため、回路設計の観点においてもその設計自由度が非常に高いものとなる。すなわち、当該複合電子部品1Bが実装される配線基板側においてこれら抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とを電気的に接続することでこれらを直列にも並列にも接続することが可能である。したがって、様々な回路に対して適用が可能な複合電子部品とすることができる。
(実施の形態3)
図16は、本発明の実施の形態3における複合電子部品の概略斜視図である。図17(A)および図17(B)は、図16中に示すXVIIA−XVIIA線およびXVIIB−XVIIB線に沿った模式断面図である。図18(A)および図18(B)は、図16中に示す抵抗素子の上面図および下面図である。また、図19は、図16に示す複合電子部品の等価回路を示す図である。以下、これら図16ないし図19を参照して、本実施の形態における複合電子部品1Cについて説明する。
図16ないし図18に示すように、本実施の形態における複合電子部品1Cは、上述した複合電子部品1Aと比較した場合に、異なる構成の抵抗素子20Cを備えている。抵抗素子20Cは、上述した抵抗素子20Aと比較した場合に、第3および第4上面導体24C,24D、第3および第4下面導体25C,25D、第3および第4ビア導体26C,26Dおよび第3および第4側面導体27C,27Dを具備していない点において主として相違している。
具体的には、図17および図18に示すように、抵抗素子20Cは、基部21の上面21aのうちの長さ方向Lにおいて第1および第2上面導体24A,24Bに挟まれた部分に、特に他の導体を有していない。また、抵抗素子20Cは、基部21の下面21bのうちの長さ方向Lにおいて第1および第2下面導体25A,25Bに挟まれた部分にも、特に他の導体を有していない。
抵抗体22は、長さ方向Lにおける一端が第1上面導体24Aの一部を覆っているとともに、その長さ方向Lにおける他端が第2上面導体24Bの一部を覆っている。これにより、第1および第2上面導体24A,24Bが、抵抗体22に接続されることになる。
このように構成した場合には、抵抗素子20Cに設けられた抵抗体22は、抵抗素子20Cの第1および第2上面導体24A,24Bに電気的に接続されているため、当該第1および第2上面導体24A,24Bのそれぞれに接続された第1および第2ビア導体26A,26Bならびに第1および第2側面導体27A,27Bが、抵抗体22の中継導体として機能することになり、第1および第2上面導体24A,24Bと第1および第2下面導体25A,25Bとが、それぞれ電気的に接続された状態となる。
したがって、抵抗素子20Cに設けられた第1および第2下面導体25A,25Bならびに第1および第2側面導体27A,27Bが、抵抗素子20Cの配線基板への接続端子である端子導体として機能することになる。
なお、この場合、第1および第2上面導体24A,24B、第1および第2ビア導体26A,26Bおよび第1および第2側面導体27A,27Bは、コンデンサ素子10の中継導体としても機能することになり、また、第1および第2下面導体25A,25Bおよび第1および第2側面導体27A,27Bは、コンデンサ素子10の配線基板への接続端子である端子導体としても機能することになる。
これにより、本実施の形態における複合電子部品1Cは、配線基板への接続端子である端子導体を2つ有したものとなり、図19に示す如くの等価回路を有することになる。
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、容易に所望の電気的な特性を有する抵抗要素(R)とコンデンサ要素(C)とを組み合わせることが可能になり、これによって複合電子部品自体の設計自由度を高くすることが可能になる。
上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、主として、抵抗素子の基部の上面に設けられた導体と下面に設けられた導体とをビア導体と側面導体との双方にて接続した場合を例示して説明を行なったが、これらビア導体および側面導体の双方を設ける必要は必ずしもなく、一方のみを設けることとしてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、コンデンサ素子のコンデンサ本体を構成する誘電体層および内部電極層の積層方向を複合電子部品の高さ方向と合致するように構成した場合を例示して説明を行なったが、当該積層方向は、複合電子部品の幅方向に合致するように構成することも当然に可能である。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、複合電子部品に組み込むコンデンサ素子として、積層セラミックコンデンサを用いた場合を例示して説明を行なったが、積層セラミックコンデンサに代えて他の種類のコンデンサ素子を複合電子部品に組み込むこととしてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、抵抗素子に実装される電子部品として積層セラミックコンデンサを例示して説明を行なったが、抵抗素子に実装される電子部品としては、積層セラミックコンデンサ以外のコンデンサ素子であってもよし、インダクタ素子、サーミスタ素子、圧電素子等、他の電子部品であってもよい。ここで、インダクタ素子は、上述した積層セラミックコンデンサと比較した場合に、コイル状の導体層が内部電極層に代えて本体に備えられているとともに、当該コイル状の導体層の一対の外部端子が一対の外部電極に代えて本体の表面に設けられてなるものである。
さらには、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当然に相互にその組み合わせが可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。