JP2018039713A - 遮熱ガラス及びそれを用いた合わせガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高い可視光透過率と優れた日射遮蔽性能及び紫外線遮蔽性能を有し、かつヘイズ率の小さい遮熱ガラスを提供することであり、さらに該遮熱ガラスを用いて、ヘイズ率が低く、かつ安全性に優れた合わせガラスを提供することを目的する。【解決手段】ガラス基材上に、一般式MxWOyで表される複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜を塗布した遮熱ガラスであって、該複合酸化タングステンナノ粒子中の金属MのタングステンWに対するモル比Xが0.8〜1.1の範囲にあり、金属Mが少なくともアルミニウム、錫、亜鉛及びヒ素を含有し、前記複合酸化タングステンナノ粒子の平均粒子径が50nm以下であり、かつ前記複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜に、シランカップリング剤が添加されていることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、日射光の赤外線領域及び紫外線領域を遮蔽し、高い可視光透過率を有する遮熱ガラス及びそれを用いた合わせガラスに関する。
遮熱ガラスとしては、錫をドープした酸化インジウム(ITO)やアルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)をガラス表面にコーティングしたものなどが知られている。
遮熱ガラスとして機能するには、高い遮熱性能を有すると同時に、高い可視光透過率を有する必要がある。建物や自動車等の窓として機能するには、日射光を遮蔽する中で、可視光線の多くを透過し、透明である必要があるからである。また人体や家具類を日焼けから守るために、紫外線の多くを遮蔽することが望ましい。
自動車用フロントガラスは、法令により合わせガラスとする必要がある。また、建物のガラスでも、防犯ガラスや防災ガラスとして合わせガラスが普及してきている。これら合わせガラスに対して、遮熱性能を付与するには、前記した錫をドープした酸化インジウム(ITO)を中間膜に含有させる手段が取られてきた。中間膜とは、合わせガラスの2枚のガラスを貼り合せるための用いられるシート状の樹脂膜である。
前記した遮熱ガラスにおいて、可視光透過率が75%以上、日射透過率が40%以下、紫外線透過率が1%以下という性能を全て満足することは難しく、また、該遮熱ガラスを、合わせガラスを構成する1枚のガラスとして用いた合わせガラスにおいて、可視光透過率が70%以上、日射透過率が40%以下、紫外線透過率が0.5%以下という性能を全て満足することも困難であった。
特許文献1は、高い日射遮蔽機能および紫外線遮蔽機能を有し、かつヘイズ値が小さい合わせ構造体を提供するものであって、日射遮蔽機能を有する微粒子が、一般式Wで表記されるタングステン酸化物の微粒子および/または一般式Mで表記される複合タングステン酸化物の微粒子であり、前記紫外線遮蔽機能を有する微粒子が、酸化亜鉛微粒子であることを特徴とする合わせ構造体である。そして、前記遮熱機能を有するタングステン酸化物の微粒子および/または一般式Mで表記される複合タングステン酸化物の微粒子は、主に前記中間膜に含有されている。また、前記紫外線遮蔽機能を有する酸化亜鉛微粒子は合わせガラスを構成する樹脂ボード中に含有されている。
特許文献1には、22の実施例が記載されているが、多くは、合わせ構造体を構成する中間膜である樹脂シートに日射遮蔽機能を有する微粒子及び紫外線遮蔽機能を有する微粒子を分散させ、板ガラス又は樹脂ボードに挟み込んだ構造である。
また、特許文献1には、日射遮蔽機能を有する紫外線遮蔽機能を有する微粒子および/または紫外線遮蔽機能を有する微粒子が含まれる遮蔽層を合わせ板の少なくとも一方の内側の面に形成された発明が開示されている。但し、特許文献1で示された22の実施例において、合わせ構造体を構成する板ガラス又は樹脂ボードに、日射遮蔽機能を有する微粒子を塗布した構造を有するものは、実施例9及び14の2例のみであって、しかも、それらは、板ガラスに日射遮蔽膜を塗布して形成し、それとは別に、紫外線遮蔽機能を有する微粒子を含有させた樹脂シートを介してもう1枚の板ガラスと貼り合せたものである。
特許文献1の22の実施例で示された合わせ構造体では、日射透過率は、最も低いもので47.5%であって45%未満の性能が得られていない。また、合わせ構造体の透明度を示すヘイズ率は約0.3%で、最小値のものでも0.2%であって、ヘイズ率を0.3%以下とすることは容易ではない。さらに、合わせ構造体を構成する板ガラス又は樹脂ボードに日射遮蔽膜及び紫外線遮蔽膜が形成された単板としての日射遮蔽性能及び紫外線遮蔽性能は記されていない。
また、特許文献1に示された22の実施例で示された合わせ構造体では、安全性の指標となる密着性は評価されていない。密着性は通常、パンメル値で表される。衝撃を受けた合わせ構造体から破損したガラス等の破片が落下せず中間膜に密着しているほどパンメル値が高く、安全性に優れるとされている。
特許文献2は、一般式MWOで示され、かつ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と分散剤を、沸点120℃以下の有機溶剤に分散して分散液を得る第1工程と、第1工程で得られた分散液へ、カルボン酸の金属塩を混合して混合物を得る第2工程と、第2工程で得られた混合物を乾燥して熱線遮蔽微粒子含有組成物とし、当該熱線遮蔽微粒子含有組成物に残留する上記有機溶剤の含有率を5質量%以下にする第3工程とを有する熱線遮蔽微粒子含有組成物の製造方法が開示されている。そして、前記複合タングステン酸化物微粒子を用い、ポリビニルアセタール樹脂と混練して、優れた光学的特性と高い耐候性とを有するシート状の熱線遮蔽膜が開示されている。
特許文献2においては、「安全ガラス等の合わせガラス等には、貫通への耐性が求められる。従来、合わせガラス等に耐貫通性を付与する為、中間層には、ポリビニルアセタール樹脂が用いられてきた。ところが、ポリビニルアセタール樹脂へ複合タングステン酸化物微粒子を含有させると光学特性が低下することが知見された。」と記載している。そして、その問題点を解決するため、複合タングステン酸化物の微粒子を凝集させることなく、均一に分散させた組成物を作成し、該組成物を、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤に混合し混練することで、ポリビニルアセタール樹脂中に複合タングステン酸化物微粒子を均一に分散させ、光学特性の低下を防止している。ここで、複合タングステン酸化物微粒子には亜鉛(Zn)は含まれておらず、また、当該熱線遮蔽微粒子含有組成物はポリビニルアセタール樹脂と混練されてフィルム状に加工されるものであって、板ガラス上に塗布された例は記載されていない。
特許文献3は、可視光透過率を高く維持しつつ、高い熱線遮蔽特性を有し、ヘイズ値が小さく、生産コストの安価な合わせガラス用の中間膜を提供する為の熱線遮蔽微粒子含有組成物の製造方法を提供するものである。一般式MWOで示され、かつ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と分散剤とを、沸点120℃以下の有機溶剤に分散して分散液を得る第1工程と、第1工程で得られた分散液に可塑剤を混合して混合物を得る第2工程と、第2工程で得られた混合物を乾燥して熱線遮蔽微粒子含有組成物とし、当該熱線遮蔽微粒子含有組成物に残留する前記有機溶剤の含有率を5質量%以下にする第3工程を有する熱線遮蔽微粒子含有組成物の製造方法である。そして、当該熱線遮蔽微粒子含有組成物とポリビニルアセタール樹脂と可塑剤からシート状の熱線遮蔽膜を得ている。ここで、複合タングステン酸化物微粒子には亜鉛(Zn)は含まれておらず、また、当該熱線遮蔽微粒子含有組成物はポリビニルアセタール樹脂と混練されてフィルム状に加工されるものであって、板ガラス上に塗布された例は開示されていない。
特許文献4は、一般式MWOで示され、かつ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、主鎖にアクリル構造を有し、官能基としてアミノ基を有し、熱分解温度が200℃以上である分散剤1と、主鎖にアクリル構造を有し、官能基としてエポキシ基を有し、熱分解温度が200℃以上である分散剤2とを含有し、沸点120℃以下の有機溶剤の含有量が5質量%以下である熱線遮蔽微粒子含有組成物、及び該熱線遮蔽微粒子含有組成物と、ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを混練し、フィルム状に成形することにより製造された熱線遮蔽膜を提供するものである。特許文献2及び3と同様に特許文献4においても、2枚のガラスの間に挟むフィルム状(シート状)の熱線遮蔽膜は開示されているが、複合タングステン酸化物微粒子には亜鉛(Zn)は含まれておらず、板ガラス上に塗布された複合タングステン酸化物微粒子膜は開示されていない。
特許文献5は、特許文献4と比べて、分散剤2の官能基が水酸基あるいはカルボキシル基である点が異なるだけであって、複合タングステン酸化物微粒子には亜鉛(Zn)は含まれておらず、板ガラス上に塗布された複合タングステン酸化物微粒子膜は開示されていない。
特許文献6で開示された発明も、特許文献5と類似したものであって、複合タングステン酸化物微粒子には亜鉛(Zn)は含まれておらず、板ガラス上に塗布された複合タングステン酸化物微粒子膜は開示されていない。
特開2010−228959号公報 特開2012−229388号公報 特開2012−246183号公報 特開2013−116977号公報 特開2014−231439号公報 特開2015−006986号公報
本発明は、高い可視光透過率と優れた日射遮蔽性能及び紫外線遮蔽性能を有し、かつヘイズ率の小さい遮熱ガラスを提供することであり、さらに該遮熱ガラスを用いて、高い可視光線過率と優れた日射遮蔽性能及び紫外線遮蔽性能を有し、ヘイズ率が低く、かつ安全性に優れた合わせガラスを提供することを目的する。
前記課題を解決するために本発明は、ガラス基材上に、一般式MWOで表される複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜を塗布した遮熱ガラスであって、該複合酸化タングステンナノ粒子中の金属MのタングステンWに対するモル比Xが0.8〜1.1の範囲にあり、金属Mが少なくともアルミニウム(Al)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)及びヒ素(As)を含有し、前記複合酸化タングステンナノ粒子の平均粒径が50nm以下であり、かつ前記複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜にシランカップリング剤が添加されていることを特徴とする遮熱ガラスである。
本発明において、金属Mは、酸化タングステンにおけるタングステン原子を置換するか酸化タングステン中に固溶して存在し、そのことにより酸素欠損を生じさせ、5価のタングステンイオンであるW5+を効率的に生成させ、酸化タングステンの近赤外光吸収効果、すなわち遮熱効果を促進する。本発明においては、金属Mとして、Al、Sn、Zn及びAsを含有することが必須であるが、これら以外にカリウム(K)、イットリウム(Y)及びジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ユーロピウム(Eu)、ニオビウム(Nb)及び鉄(Fe)を含有していてもよい。
特許文献1では、紫外線遮蔽機能を得るために、紫外線遮蔽機能を有する微粒子を含有させた樹脂シートで貼り合せた合わせガラスとしているのに対して、本発明では、ガラス基材上に塗布する複合タングステン酸化物が、W以外の金属MとしてZnを含有し、さらにAl、Sn、Asを含有させる。これらの作用によって、近赤外線の吸収効果に加えて、紫外線の遮蔽効果を併せ持つことができる。
本発明において、金属MのタングステンWに対するモル比Xは、0.8〜1.1であるのがよい。Xが1.1を超えると、金属イオンが過多になって可視光透過率が低下する。逆に、Xが0.8より小さいと、5価のタングステンイオンの生成が不足し、日射透過率が増大してしまう。
本発明における複合酸化タングステンナノ粒子は、特許文献2等に開示された公知の方法を利用して作製することができる。すなわち、酸化タングステン原料としては酸化タングステン水和物(H2WO4)等を、酸化亜鉛原料としては酢酸亜鉛二水和物(Zn(CH3COO)2・2H2O)等を、酸化アルミニウム原料としては硫酸アルミニウム水和物(Al2(SO4)3・16H2O)等を、酸化スズ原料としては塩化スズ二水和物(SnCl2・2H2O)等を、三酸化二ヒ素原料としては亜ヒ酸(As(OH)3)等を、酸化カリウム原料としては水酸化カリウム(KOH)等を、酸化イットリウム原料としては硝酸イットリウム水和物(Y(NO33・6H2O)等を、酸化ジルコニウム原料としてはジルコニアナノ粒子分散液等を利用することができる。これら原料を所定の比率で含有させた水溶液を均一に撹拌し、不活性ガス雰囲気中で約650℃の温度で焼成することにより、分子レベルで均一な複合酸化タングステンナノ粒子を得ることができる。
なお、複合酸化タングステンナノ粒子の製造方法は前記方法に限定されず、PVD法、CVD法、粉砕法、溶液法、レーザー蒸発法、パルス細線放電法など、本発明の平均粒径と形状を満たす製法であればよい。
本発明の、前記複合酸化タングステンと分散剤からなる被膜を塗布した遮熱ガラスは、複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤を、ケトン系有機溶剤及び/又はエステル系有機溶剤に分散させた得た分散液を、ガラス基材表面に塗布することによって得ることができる。前記分散液は、攪拌機で撹拌し混合することによって均一にすることが望ましい。
分散液中で複合酸化タングステンナノ粒子の分散を安定させるための分散剤として、高分子型分散剤及び/又は界面活性剤型分散剤を添加する必要がある。
高分子型分散剤としては、非水系の、陰イオン性のポリカルボン酸部分アルキルエステル系分散剤、非イオン性のポリエーテル系分散剤又は陽イオン性のポリアルキレンポリアミン系分散剤などを用いることができる。
界面活性剤型分散剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などの陽イオン界面活性剤、高級脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、メチルタウリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシドなどの非イオン界面活性剤あるいはアルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルアミンオキシドなどの両性界面活性剤を用いることができる。
前記ケトン系有機溶剤としては、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノンメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどから選ばれる一種又は二種以上を用いることができる。
前記エステル系有機溶剤としては、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、トリプロピレングリコールジアリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、メタクリル酸グリシジルなどから選ばれる一種又は二種以上を用いることができる。
ここで、本発明においては、前記分散液に、シランカップリング剤を添加する。添加量としては、0.5〜3重量%が好ましい。分散液中に添加されたシランカップリング剤の作用により、前記複合酸化タングステン被膜とガラス基板との間の密着性を高めることができる。また、本発明の合わせガラスにおいて、前記複合酸化タングステン被膜と前記中間膜の間の密着性を高めることができる。そして、これら2つの界面の密着性を向上させることによって、合わせガラスの安全性の指標であるパンメル値を高めることができる。密着性の向上により、合わせガラスの破損時に、中間膜からガラス破片が脱落しにくくなるからである。
前記シランカップリング剤としては、官能基としてエポキシ基を有するものを挙げることができる(例えば、信越化学社製KBM-403やKBE-903)。
前記複合酸化タングステンナノ粒子分散液をガラス基材表面に塗布し、250℃で20分乾燥させ、さらに自然乾燥・硬化させるか、あるいは、約120℃で約20分乾燥させ、さらに約200℃で約1時間硬化させるなどの乾燥・硬化工程により、複合酸化タングステンナノ粒子と硬化した分散剤からなる被膜が形成された本発明の遮熱ガラスを得ることができる。
本発明において、ガラス基材表面に塗布する前記分散液中の複合酸化タングステンナノ粒子の平均粒径は50nm以下とする。50nm以下とすることにより、複合酸化タングステンナノ粒子の分散状態がよく、可視光の散乱が少ない被膜が得られる。また、ナノ粒子の粒径が小さく、凝集体を形成することなく均一に分散していることから、ナノ粒子の機能が向上し、可視光透過率を高く保ち、日射遮蔽性も向上する。
本発明において、平均粒径を50nm以下とした前記複合酸化タングステンナノ粒子を、前記被膜中で良好に安定化させるためには、複合酸化タングステンナノ粒子の周囲を分散剤が取り囲んでいる必要があり、これにより複合酸化タングステンナノ粒子が凝集体を形成することを防止することができる。そのために、後述するように、タングステン原子に対する炭素原子Cのモル比(C/W)を、1000以上とすることが望ましい。1000以下であると凝集体が形成されてしまう。
さらに本発明は、前記遮熱ガラスを、中間膜を介して、同寸法のもう1枚のガラス基材と貼り合せた合わせガラスである。
ここで、高い可視光線透過率とは、前記複合酸化物タングステン被膜が形成された遮熱ガラスにおいて75%以上であり、該遮熱ガラスを、合わせガラスを構成する1枚のガラスとして用いた合わせガラスにおいて70%以上の透過率である。これらの数値は、特に自動車用フロントガラスとして用いる場合に重要であり、多くの国で法令によって規定されている。
優れた日射遮蔽性及び紫外線遮蔽性とは、本発明の遮熱ガラスでは、日射透過率が40%以下、紫外線透過率が1%以下という性能を満足することができることを言い、また、該遮熱ガラスを、合わせガラスを構成する1枚のガラスとして用いた本発明の合わせガラスにおいて、日射透過率が40%以下、紫外線透過率が0.2%以下という性能を満足できることを言う。
本発明の遮熱ガラスに用いることのできるガラス基材としては、一般的なクリアガラスであるフロート板ガラスを用いればよい。また、遮熱性を高めるために、グリーンガラスなどの熱線吸収ガラスを用いてもよい。あるいは、紫外線遮蔽性を高めるために、紫外線吸収ガラスを用いることもできる。
本発明の合わせガラスに用いることのできる中間膜としては、一般的なPVB膜(ポリビニルブチラール膜)の他、樹脂注入法で得られるアクリル膜やウレタン膜を挙げることができる。
本発明の遮熱ガラス及び該遮熱ガラスを用いた本発明の合わせガラスは、ガラス基材上に形成される前記被膜中の複合酸化タングステンナノ粒子がAl、Sn、Zn及びAsを前記割合で含有することから、70%以上という高い可視光透過率を維持しながら、優れた遮熱性及び紫外線遮蔽性を示す。また、複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる前記被膜において、複合酸化タングステンナノ粒子が分散剤に取り囲まれた均一な球状粒子であることから、ヘイズ率が0.2%未満という高い透明性を達成できるという利点がある。さらに、本発明の合わせガラスは、前記複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤から成る被膜が均一な構造を有し、かつシランカップリング剤が添加されていることから、ガラス基材及び合わせガラス用の前記中間膜との間で高い密着性を有し、安全性を高めることができる。
また、本発明の遮熱ガラス及びそれを用いた合わせガラスにおいて、前記複合タングステン酸化物ナノ粒子と分散剤からなる被膜は、合わせガラスの中間膜に混練し含有させるものではく、ガラス基材上に塗布されるものであるので、前記中間膜が、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール膜であっても、樹脂注入法で製造されるアクリル膜であってもウレタン膜であっても、本発明の合わせガラスを作製できるという利点を有する。
本発明の遮熱ガラスに塗布した複合酸化タングステンナノ粒子分散液A中のナノ粒子の粒径分布と比較例1(分散液B)及び比較例2(分散液C)の粒径分布を比較した図である。
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各実施例において、複合酸化タングステンナノ粒子膜を塗布した遮熱ガラス及びその遮熱ガラスを用いて製造した合わせガラスの可視光線透過率(波長範囲:380nm〜780nm)、紫外線透過率(波長範囲:300nm〜380nm)、日射透過率(波長範囲:300nm〜2500nm)、赤外線透過率(波長範囲:780nm〜2500nm)及び拡散透過率(波長範囲:380nm〜780nm)は、日立製作所(株)製の分光光度計UH-4150を用いて測定した。ヘイズ率は全光透過率に対する拡散透過率の比として算出した。
遮熱ガラスA作製用の分散液Aの作製においては、酸化タングステン原料として酸化タングステン水和物(H2WO4)を、酸化亜鉛原料として酢酸亜鉛二水和物(Zn(CH3COO)2・2H2O)を、酸化アルミニウム原料として硫酸アルミニウム水和物(Al2(SO4)3・16H2O)を、酸化スズ原料として塩化スズ二水和物(SnCl2・2H2O)を、三酸化二ヒ素原料として亜ヒ酸(As(OH)3)を、モル分率で1:0.1:0.25:0.4:0.04となるよう秤量し、乳鉢で粉砕して粉末とし、公知の方法で還元し焼成し複合酸化タングステンナノ粒子を得た。
前記複合酸化タングステンナノ粒子及び分散剤としてのポリエーテル系分散剤を、酢酸エチル及び酢酸ブチルグリコールからなる有機溶剤に分散させた。そして、分散液中にシランカップリング剤として約2重量%の3-グリドキシプロピルメトキシシラン(信越化学社製KBM-403)を添加し、撹拌機を用いて回転数1000rpmで10分間の処理を行い、複合酸化タングステンナノ粒子分散液Aを作製した。
以下の実施例及び比較例で用いた3種類の分散液(分散液A、B及びC)の配合及びガラス基材上に形成された被膜中の複合酸化タングステンナノ粒子の組成を表1に示す。なお、ガラス基材上に形成された被膜中の複合酸化タングステンナノ粒子の組成分析は、ガラス基材上に被膜を形成したのと全く同一の条件で、Si基板上に被膜を形成したものを試料とし、リガク社製蛍光X線分析及び付属のソフトウェア(EZ Scan Program)を用いて行った。また、表1に示した各分散液には前記したように、約2重量%のシランカップリング剤(信越化学社製KBM-403)も添加されている。
表1に示すように、分散液A中の複合酸化タングステンナノ粒子は、タングステンWの他、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)及びヒ素(As)を含有する。一方、分散液Bでは、タングステンW以外に、カリウムK及びイットリウム(Y)を含有する。また、分散液Cでは、タングステンW以外にジルコニウム(Zr)を含有する。
Figure 2018039713
前記分散液A中の複合酸化タングステンナノ粒子の粒径分布を図1に示す。測定は、日立ハイテクノロジー株式会社製透過型電子顕微鏡HT7700を用いて行った。複合酸化タングステンナノ粒子分散液を、カーボンがコーティングされた銅グリッド上へ滴下し、窒素雰囲気下、24時間デシケーター中で乾燥させた後、加速電圧120kVで観察した。得られた画像から、ナノ粒子100個以上について粒径を計測し、平均粒径(Av値)及び標準偏差(Cv値)を求めた。なお、図1には、対比のため後述する分散液B及び分散液C中の複合酸化タングステンナノ粒子の粒径分布も示している。表1中には平均粒径も記載している。分散液A中の複合酸化タングステンナノ粒子の平均粒径は50nm以下であり、分散液B及び分散液Cのそれは、50nmより大きい。
表2は、遮熱ガラスA、B及びCに形成された複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜における、タングステンWに対する金属Mの比率Xと、タングステンWに対する分散剤中の炭素原子Cの比率を示したものである。C原子のモル%も、前記と同様、Si基板上の被膜を用いて蛍光X線分析装置を用いて測定したものである。
本発明の遮熱ガラスAにおいては、複合酸化タングステンナノ粒子中のタングステンWに対する金属Mのモル比は、0.97という大きい値であるのに対し、比較例である遮熱ガラスB及び遮熱ガラスCにおけるそれらは、0.112及び0.006とはるかに小さい。
また、タングステンWに対する炭素原子Cのモル比は、本発明の遮熱ガラスAでは、5551に達するのに対して、比較例である遮熱ガラスB及び遮熱ガラスCにおけるそれらは、574及び439とはるかに小さいことがわかった。
Figure 2018039713
(実施例1)
幅300mm×長さ500mm×3mmの板ガラス表面に少量の重曹粉末を散布し、水に濡らしたスポンジを擦り付けて洗浄した。このガラス表面の重曹を水で完全に洗い落とした後に、予め1%のシランカップリング剤を純水に添加した溶液でガラス表面を洗浄した。シランカップリング剤は、オルガノシラン(信越化学社製KBE-903)を使用した。
前記板ガラスの表面を洗浄した後、その表面に複合酸化タングステンナノ粒子分散液Aを、メラミンスポンジを使用して手塗りした。この分散液Aの組成は表1の通りである。ガラス基板上に分散液を約5g/枚塗布した。前記したように、この分散液には約2重量%のシランカップリング剤(信越化学社製KBM-403)が添加されている。
前記板ガラス上に分散液を塗布した後、250℃で20分間加熱乾燥し、さらに一昼夜自然乾燥(温度約25℃、湿度約50%)させて、複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜を形成した本発明の遮熱ガラスAを作製した。
表3に示すように、この遮熱ガラスAは可視光透過率77%、日射透過率は40%、赤外線透過率は12%で、ヘイズ値は0.17%であり、紫外線透過率は0.71%であった。
Figure 2018039713
次に、この遮熱ガラスAの板ガラスの四周に幅6mm厚さ1mmの両面接着テープを貼り付け、同寸法のガラス基板を重ね合わせた。2枚のガラスの層間に注入したウレタン樹脂は、その原料であるイソシアネートとポリオールをウレタン樹脂製造装置(DISPENSER)で脱泡・混合した後、四周の両面テープに設けた空隙から定量吐出し注入された。このウレタン樹脂合わせガラスを約24時間養生して、2枚の板ガラスをウレタン樹脂中間膜で接着した本発明の合わせガラスAを作製した。
表4に示すように、このウレタン樹脂中間膜合わせガラスA(表4中ではウレタン合わせガラスAと表記)は可視光透過率75%、日射透過率は42%、赤外線透過率は9%で、ヘイズ値は0.22%であり、紫外線透過率は0.13%であった。
Figure 2018039713
(実施例2)
実施例1と同様に、幅300mm×長さ500mm×3mmの板ガラスを洗浄し、その板ガラスに複合酸化タングステンナノ粒子分散液Aを塗布して遮熱ガラスAを作製した。この板ガラスの四周に幅6mm厚さ1mmの両面接着テープを貼り付け、同寸法の板ガラスを重ね合わせた。そして、2枚の板ガラスの間にアクリル樹脂を注入した。アクリル樹脂を脱泡した後、硬化剤を添加して混合した後に注入した。その後、約24時間養生して、アクリル樹脂中間膜合わせガラスAを作製した。
表4に示すように、このアクリル樹脂中間膜合せわガラスA(表4中にはアクリル合わせガラスAと表記)は可視光透過率75%、日射透過率は42%、赤外線透過率は9%で、ヘイズ値は0.20%であり、紫外線透過率は0.15%であった。
(実施例3)
実施例1と同様に、幅300mm×長さ500mm×3mmの板ガラスを洗浄し、前記したものと同じ複合酸化タングステンナノ粒子分散液Aを塗布して遮熱ガラスAを作製した。そして、2枚の板ガラスの間にPVB フィルムを挟み込み、約80℃に加熱して仮接着した後、140℃、14kg/cm2の条件でオートクレーブに投入して本接着を行い、PVB樹脂 合わせガラスAを作製した。
表4に示すように、このPVB樹脂合わせガラスA(表4中にはPVB合わせガラスと表記)は可視光透過率76%、日射透過率は37%、赤外線透過率は9%で、ヘイズ値は0.21%であり、紫外線透過率は0.11%であった。
以下に、本発明の比較例を具体的に説明する。ここでは前記した本発明の遮熱ガラスAと同様の方法で比較例として2種類の遮熱ガラスB及びCを作製して比較した。なお、これら遮熱ガラスの光学性能は実施例と同じく日立製作所(株)製の分光光度計UH-4150を用いて測定した。
(比較例1)
幅300mm×長さ500mm×3mmの板ガラスを実施例1と同じように洗浄した後、このガラス基材上に、表1に示す組成の複合酸化タングステンナノ粒子が分散した分散液Bを、メラミンスポンジを使用して手塗りにて塗布して、遮熱ガラスBを得た。ここでも、分散液を約5g/枚をガラス基材上に塗布した。
分散液Bを塗布後、250℃で20分間加熱乾燥し、さらに一昼夜自然乾燥(温度約25℃、湿度約50%)させて、遮熱ガラスBを作製した。遮熱ガラスBの塗布状態は、良好ではなく、色ムラや色スジが全体にあり塗膜を均一に美しく作製できなかった。このため、遮熱ガラスBを用いた合わせガラスの作製はしなかった。
表3に示すように、この遮熱ガラスBは、可視光透過率55%、日射透過率は26%、赤外線透過率は4%でヘイズ値は6%であり、紫外線透過率は15%であった。
(比較例2)
幅300mm×長さ500mm×3mmの板ガラスを実施例1と同じように洗浄した後、この板ガラスに、表1に示した複合酸化タングステンナノ粒子の組成及び配合の分散液Cを作製し、メラミンスポンジを使用して手塗りして、遮熱ガラスCを作製し、本発明による遮熱ガラスAと比較した。ここでも、分散液約5g/枚を前記板ガラス上に塗布した。
分散液Cを塗布後、250℃で20分間加熱乾燥し、さらに一昼夜自然乾燥(温度約25℃、湿度約50%)させて、遮熱ガラスCを作製した。遮熱ガラスCの塗布状態は、良好ではなく、部分的に色の濃淡があり塗膜を均一に美しく作製できなかった。そのため、遮熱ガラスCを用いた合わせガラスの作製はしなかった。
表3に示すように、この遮熱ガラスCは、可視光透過率77%、日射透過率は45%、赤外線透過率は14%でヘイズ値は0.42%であり、紫外線透過率は38%であった。
実施例及び比較例1〜2について、板ガラス上の分散液の塗布状態を観察した結果を表5に示す。これは、光学顕微鏡(オリンパス製 CKX41N-FL)により、成膜箇所の複合酸化タングステンナノ粒子被膜において、ナノ粒子が析出した凝集体(輝点)を観察したものであって、被膜の不良となるものである。実施例である分散液Aを用いた遮熱ガラスAでは、析出した凝集体数が1.4 x 105個/cm2以下で、その大きさが1.51μm以下であった。そして、画像解析ソフト(ImgWorks)を用いて凝集体占有面積を計測したところ、0.06%以下であった。これに対して、比較例1である分散液Bを用いた遮熱ガラスBでは、不定形の凝集体が数多く観察され、その占有面積率は4.28%であった。また、比較例2である分散液Cを用いた遮熱ガラスCでは、不定形及び繊維状の凝集体が比較例1よりさらに多く存在し、その占有面積率は12.6%に達した。
さらに、前記した光学顕微鏡観察において、凝集体が存在せず均一に見えた箇所を、電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製FE-SEM SU8230)で観察したところ、遮熱ガラスAでは、複合酸化タングステンナノ粒子は球状であり、分散液中のナノ粒子と同一形態であって、被膜化によっても凝集することなく均一性を維持していたのに対して、遮熱ガラスBでは、複合酸化タングステンナノ粒子は不定形に凝集し、凝集体の占有面積率が21.4%であり、遮熱ガラスCでは、複合酸化タングステンナノ粒子は球状であったものの、凝集体を形成し、その占有面積率は29.4%に達していることがわかった。
Figure 2018039713
(比較例3)
表3に示したように、市販の米国Guardian社製(表3中にはG社製と記載)3mm厚みのLow-E ガラスは、可視光透過率69%、日射透過率は31%、赤外線透過率は2%でヘイズ値は0.11%であり、紫外線透過率は20%であった。なお、Low-Eガラスとは、板ガラス上に銀(Ag)膜と保護膜がスパッタリング法により形成された低放射率ガラスである。
このLow-Eガラスと3mmガラスを300 × 300mmに切断・洗浄した後、3mm厚みの板ガラスの四周に幅6mm厚さ1mmの両面接着テープを貼り付け、Low-Eガラスと重ね合わせた。そして、2枚のガラスの間にウレタン樹脂を注入して接着した。その後、約24時間養生して、ウレタン樹脂中間膜Low-E合わせガラスを作製した。
表4に示したように、このウレタン樹脂Low-E合わせガラス、は可視光透過率76%、日射透過率は37%、赤外線透過率は3%でヘイズ値は2.33%であり、紫外線透過率は21%であった。
ウレタン樹脂中間膜Low-E合わせガラスの接着強度と本発明の遮熱合わせガラスを比較するためにパンメル試験を実施した。その結果を表4に示した。ウレタン樹脂中間膜Low-E 合わせガラスの接着強度だけが低いことが判明した。
なお、パンメル試験とは、合わせガラスを構成する板ガラスと中間膜の間の密着性を評価する指標である。本発明におけるパンメル値の評価方法は、合わせガラスを載置する鋼製のパンメル台(水平に対して45度の角度をなしている。)に、評価用の合わせガラスを載置し、重さ450gのハンマーでガラスを打ち砕き、打ち砕いた合わせガラスの中間膜とガラス破片の接着状態を観察し、1〜8の段階見本と比較し判定するものである。合格基準は3~7である。1ないし2と判定されるのは、ガラス破片の脱落落下が多いものであって、逆に8とされるのはガラス破片の脱落落下はないものの、中間膜に亀裂を生じるものである。

Claims (5)

  1. ガラス基材上に、一般式MWOで表される複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜を塗布した遮熱ガラスであって、該複合酸化タングステンナノ粒子中の金属MのタングステンWに対するモル比Xが0.8〜1.1の範囲にあり、金属Mが少なくともアルミニウム、錫、亜鉛及びヒ素を含有し、前記複合酸化タングステンナノ粒子の平均粒径が50nm以下であり、かつ前記複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜にシランカップリング剤が添加されていることを特徴とする遮熱ガラス。
  2. 前記複合酸化タングステンナノ粒子と分散剤からなる被膜中の、前記分散剤中の炭素原子と前記複合酸化タングステンナノ粒子中のタングステンのモル比が1000以上であることを特徴とする請求項1に記載の遮熱ガラス。
  3. 可視光線透過率が75%以上、日射透過率が40%以下及び紫外線透過率が1%以下であり、ヘイズ率が0.3%以下であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の遮熱ガラス。
  4. 前記請求項1乃至3に記載の遮熱ガラスと、同寸法のもう1枚のガラス基材とを、中間膜を介して貼り合せた合わせガラス。
  5. 可視光線透過率が70%以上、日射透過率が40%以下及び紫外線透過率が0.2%以下、ヘイズ率が0.2%未満であり、かつパンメル値が4以上7以下であることを特徴とする請求項4に記載の合わせガラス。
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