以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信装置を用いた無線通信システムの構成例を示した図である。図1に示すように、無線通信システムは、端末装置1と、無線通信装置2と、RS232cケーブル3と、USB(Universal Serial Bus)ケーブル4と、計測装置5と、無線通信装置6と、RS232cケーブル7とを有している。
端末装置1は、例えば、ノートパソコンやタブレット端末である。計測装置5は、例えば、放射能レベルを検出する装置である。
端末装置1と計測装置5は、無線通信装置2,6を介して、無線によりデータ通信を行う。例えば、端末装置1は、無線通信装置2,6を介して、計測装置5に対し、放射能レベルの検出タイミング等の設定を行う。また、端末装置1は、無線通信装置2,6を介して、計測装置5から、計測装置5が検出した放射能レベルを受信する。
無線通信装置2は、RS232cケーブル3を介して、端末装置1と接続されている。無線通信装置2は、端末装置1から、RS232cケーブル3を介して受信したデータを、無線通信装置6に対し、無線送信する。また、無線通信装置2は、無線通信装置6から無線送信されたデータを、RS232cケーブル3を介して、端末装置1に送信する。
無線通信装置2は、USBケーブル4を介して端末装置1と接続されている。無線通信装置2は、USBケーブル4を介して、端末装置1から電源が供給される。すなわち、USBケーブル4は、無線通信装置2への電源供給のために使用される。
無線通信装置6は、RS232cケーブル7を介して、計測装置5と接続されている。無線通信装置6は、計測装置5から、RS232cケーブル7を介して受信したデータを、無線通信装置2に対し、無線送信する。また、無線通信装置6は、無線通信装置2から無線送信されたデータを、RS232cケーブル7を介して、計測装置5に送信する。
無線通信装置6には、無線通信装置2のように、USBケーブルによって電源が供給されていない。無線通信装置6は、以下で詳述するように、計測装置5から、RS232cケーブル7を介して受信したRS232cの信号から電力を生成し、動作する。すなわち、無線通信装置6は、AC(Alternating Current)電源やバッテリ等の別の電源を必要とせず、動作することができる。
なお、無線通信装置2,6を介してデータ通信する装置は、上記の端末装置1と計測装置5の例に限られない。データ通信する電子機器であれば、図1に示す無線通信システムに適用することができる。すなわち、データ通信する2台の電子機器のそれぞれを、図1に示すように無線通信装置2,6に接続すれば、2台の電子機器は、無線通信を行うことができる。
図2は、有線の通信システムを無線通信システムに置き換える例を説明する図である。図2において、図1と同じものには同じ符号が付してある。
図2(A)は、無線化前の有線の通信システムが示してある。図2(A)に示すように、端末装置1と計測装置5は、RS232cケーブル8によって接続されているとする。端末装置1と計測装置5は、RS232cケーブル8を介して、データ通信を行っているとする。
図2(A)に示した、RS232cケーブル8による通信システムを無線化する場合、図2(B)に示すように、端末装置1と計測装置5から、RS232cケーブル8を外す。そして、図2(C)に示すように、端末装置1と無線通信装置2を、RS232cケーブル3で接続し、また、USBケーブル4で接続する。また、図2(C)に示すように、計測装置5と無線通信装置6を、RS232cケーブル7で接続する。これにより、端末装置1と計測装置5は、無線通信装置2,6を介して、無線通信を行うことができる。
ここで、既に構築されている有線の通信システム(図2(A))は、例えば、その構築場所によっては、無線通信装置6の電源を確保できない場合がある。例えば、計測装置5の近くに、AC電源等がない場合、無線通信装置6の電源を確保できず、有線の通信システムを無線化することが困難である。
しかし、無線通信装置6は、計測装置5から受信したRS232cの信号から電力を生成し、動作する。これにより、既に構築されている有線の通信システムは、その構築場所によらず、容易に無線化されることができる。
なお、上記では、有線の通信システムを無線化する例について説明したが、本発明の無線通信装置の適用例は、これに限られない。例えば、無線通信装置2,6を用いて、初めから図1に示した無線通信システムを構築してもよい。この場合、無線通信システムは、無線通信装置6の電源確保が困難な場所であっても、容易に構築されることができる。
図3は、無線通信装置2の機能ブロック例を示した図である。図3に示すように、無線通信装置2は、RS232cコネクタ11と、RS232cトランシーバ12と、USBコネクタ13と、USB/RS232cトランシーバ19と、I/F(Interface)切替回路14と、I/F切替SW(switch)15と、無線モジュール16と、電源SW17と、電源回路18と、抵抗R1,R2と、発光ダイオードD1,D3と、ダイオードD2とを有している。
RS232cコネクタ11には、RS232cケーブルが接続される。例えば、RS232cコネクタ11には、図1の端末装置1に接続されたRS232cケーブル3が接続される。
RS232cトランシーバ12は、RS232cのトランシーバである。RS232cトランシーバ12は、例えば、マキシム社製のMAX3317である。
USBコネクタ13には、USBケーブルが接続される。例えば、USBコネクタ13には、図1の端末装置1に接続されたUSBケーブル4が接続される。
USB/RS232cトランシーバ19は、USBの信号をRS232cの信号に変換し、RS232cの信号をUSBの信号に変換するトランシーバである。
I/F切替回路14は、RS232cトランシーバ12と接続された第1のI/F(図3に示すI/F切替回路14の「1」)と、USB/RS232cトランシーバ19と接続された第2のI/F(図3に示すI/F切替回路14の「2」)とを有している。I/F切替回路14は、I/F切替SW15のスイッチ状態に応じて、2つのI/Fの一方を有効にする。
例えば、I/F切替SW15が、第1のI/Fを有効にする状態にある場合、I/F切替回路14は、第1のI/Fを有効にする。これにより、RS232cトランシーバ12は、後述する無線モジュール16と接続される。
一方、I/F切替SW15が、第2のI/Fを有効にする状態にある場合、I/F切替回路14は、第2のI/Fを有効にする。これにより、USB/RS232cトランシーバ19は、後述する無線モジュール16と接続される。
I/F切替SW15は、I/F切替回路14の2つのI/Fを切替えるスイッチである。I/F切替SW15は、無線通信装置2の外から、ユーザによって操作できるようになっている。
例えば、図1の通信システムの例の場合、無線通信装置2は、RS232cケーブル3を介して、端末装置1とRS232cの信号を送受信する。従って、図1の通信システムの例の場合、ユーザは、I/F切替回路14の第1のI/Fが有効になるように、I/F切替SW15を操作することになる。
一方、後述するが、無線通信装置2は、USBケーブルによっても端末装置1とデータ通信を行うこともできる。この場合、ユーザは、I/F切替回路14の第2のI/Fが有効となるように、I/F切替SW15を操作することになる。
すなわち、ユーザは、後述するが、端末装置1と無線通信装置2との間のデータ通信を、RS232cにするかUSBにするか、IF切替SW15によって選択することができる。
無線モジュール16は、I/F切替回路14から出力される信号を、無線通信装置6に無線送信する。また、無線モジュール16は、無線通信装置6から無線送信された信号を受信し、I/F切替回路14に出力する。無線モジュール16は、例えば、Digi International社のXB24-Z7UIT-004であり、Zig Beeに対応した無線通信を行う。
無線モジュール16には、抵抗R1と発光ダイオードD1とが直列に接続されている。無線モジュール16は、無線通信装置6と無線通信を行っているとき、所定の電圧を抵抗R1に出力する。すなわち、発光ダイオードD1は、無線モジュール16が無線通信を行っているとき、発光する。
発光ダイオードD1は、無線通信装置2の外部から視認できるようになっている。これにより、ユーザは、無線モジュール16の無線通信状況を把握することができる。
ダイオードD2のアノードには、USBコネクタ13の電源ピンが接続されている。これにより、USBコネクタ13にUSBケーブルが接続されると、ダイオードD2のアノードには、USBの電力(電圧)が供給される。なお、ダイオードD2は、電流逆流を防止するダイオードである。
電源SW17の一端には、ダイオードD2のカソードが接続されている。電源SW17の他端には、電源回路18が接続されている。
電源SW17は、無線通信装置2をオン/オフするスイッチである。電源SW17は、無線通信装置2の外から、ユーザによって操作できるようになっている。電源SW17がユーザによってオンされた場合、USBコネクタ13の電源ピンに供給された電圧は、ダイオードD2を介して電源回路18に出力される。
電源回路18は、USBコネクタ13から供給される電圧を所定の定電圧にして出力する。電源回路18から出力される電圧は、無線通信装置2の各部へ供給される。
抵抗R2の一端には、電源回路18の一端が接続され、他端には、発光ダイオードD3が接続されている。電源SW17がオンされ、電源回路18が所定の電圧を出力しているとき、発光ダイオードD3は発光する。
発光ダイオードD3は、無線通信装置2の外部から視認できるようになっている。これにより、ユーザは、無線通信装置2の電源SW17が投入されているいか否か認識することができる。
図4は、無線通信装置6の機能ブロック例を示した図である。図4に示すように、無線通信装置6は、RS232cコネクタ21と、RS232cトランシーバ22と、USBコネクタ23と、USB/RS232cトランシーバ33と、I/F切替回路24と、I/F切替SW25と、無線モジュール26と、電流制限回路27と、レギュレート回路28と、RI切替SW29と、スーパーキャパシタ30と、電源SW31と、電源回路32と、抵抗R11,R12と、発光ダイオードD11,D14と、ダイオードD12,D13とを有している。
RS232cコネクタ21には、RS232cケーブルが接続される。例えば、RS232cコネクタ21には、図1の計測装置5に接続されたRS232cケーブル7が接続される。
RS232cコネクタ21のピンは、RS232cトランシーバ22、電流制限回路27、およびRI切替SW29に接続されている。
図5は、RS232cコネクタ21のピン接続を説明する図である。図5には、図4のRS232cコネクタ21がD−Sub9ピンの場合の例が示してある。
図5に示すように、RS232cコネクタ21の6番ピンは、電流制限回路27に接続されている。これにより、RS232cコネクタ21によって受信された(RS232cケーブルを介して受信された)DSR信号は、電流制限回路27に出力される。
RS232cコネクタ21の2番ピンは、RS232cトランシーバ22に接続されている。これにより、RS232cコネクタ21によって受信されたRXD信号は、RS232cトランシーバ22に出力される。
RS232cコネクタ21の7番ピンは、RS232cトランシーバ22に接続されている。これにより、RS232cトランシーバ22から出力されるRTS信号は、RS232cコネクタ21の7番ピンに入力される。
RS232cコネクタ21の3番ピンは、RS232cトランシーバ22に接続されている。これにより、RS232cトランシーバ22から出力されるTXD信号は、RS232cコネクタ21の3番ピンに入力される。
RS232cコネクタ21の8番ピンは、電流制限回路27とRS232cトランシーバ22とに接続されている。これにより、RS232cコネクタ21によって受信されたCTS信号は、電流制限回路27とRS232cトランシーバ22とに出力される。
RS232cコネクタ21の9番ピンは、RI切替SW29に接続されている。これにより、RS232cケーブルのRI信号線の電圧は、RI切替SW29に出力される。
なお、図5の例では、DCD信号およびDTR信号は、未サポートとなっており、RS232cコネクタ21の1番ピンおよび4番ピンは、どこにも接続されていない。
図4の説明に戻る。RS232cトランシーバ22、USBコネクタ23、USB/RS232cトランシーバ33、I/F切替回路24、I/F切替SW25、無線モジュール26、抵抗R11、および発光ダイオードD11は、図3で説明したRS232cトランシーバ12、USBコネクタ13、RS232cトランシーバ19、I/F切替回路14、I/F切替SW15、無線モジュール16、抵抗R1、および発光ダイオードD1と同様であり、その説明を省略する。
なお、図1の無線通信システムの例の場合、無線通信装置6は、RS232cケーブル7を介して、計測装置5とRS232cの信号を送受信する。従って、図1の無線通信システムの例の場合、ユーザは、I/F切替回路24の第1のI/Fが有効になるように、I/F切替SW25を操作することになる。
一方、後述するが、無線通信装置6は、USBケーブルによっても計測装置5とデータ通信を行うこともできる。この場合、ユーザは、I/F切替回路24の第2のI/Fが有効となるように、I/F切替SW25を操作することになる。
すなわち、ユーザは、後述するが、計測装置5と無線通信装置6との間のデータ通信を、RS232cにするかUSBにするか、IF切替SW25によって選択することができる。
電流制限回路27には、RS232cコネクタ21に、RS232cケーブルが接続された場合、CTS信号とDSR信号とが入力される。電流制限回路27は、CTS信号とDSR信号との電流が、レギュレート回路28に必要以上流れないようにする。
図6は、電流制限回路27の回路例を示した図である。図6に示すように、電流制限回路27は、ダイオードD51,D52、抵抗R51,R52と、トランジスタQ51,Q52と、ダイオードD61,D62と、抵抗R61,R62と、トランジスタQ61,Q62とを有している。
抵抗R51には、ダイオードD51を介して、CTS信号が入力される。CTS信号による抵抗R51を流れる電流が、次の式(1)に示す電流「I」を超えると、トランジスタQ52は、オンする。
I=VBE/R …(1)
ここで、式(1)の「VBE」(例えば、VBE≒0.6V)は、トランジスタQ52のベース−エミッタ間電圧であり、「R」は、抵抗R51の抵抗値である。
すなわち、抵抗R51に、式(1)に示す電流が流れると、トランジスタQ52がオンし、トランジスタQ51がオフする。これにより、CTS信号による電流は、レギュレート回路28へ出力されず、電流が制限される。DSR信号についても同様である。
このように、CTS信号およびDSR信号の電流制限を行うのは、過剰な電流が流れることによるCTS信号およびDSR信号の電圧低下を抑制するためである。
例えば、図5に示したように、CTS信号は、RS232cトランシーバ22にも出力される。CTS信号がレギュレート回路28に多く流れ、CTS信号の電圧が低下すると、RS232cトランシーバ22は、CTS信号を適切に認識できなくなる。そこで、電流制限回路27によって、所定の電流がレギュレート回路28に流れないようにする。また、電流制限回路27によって、CTS信号およびDSR信号の電流を制限するのは、RS232cコネクタ21に接続される電子機器(図1の例の場合、計測装置5)の、RS232cトランシーバの負荷を軽減するためである。
なお、ダイオードD51,D61は、電流逆流を防止するダイオードである。ダイオードD52,D62は、過電圧保護のダイオードである。
図4の説明に戻る。レギュレート回路28は、電流制限回路27から出力されるCTS信号およびDSR信号の電圧を一定にし、スーパーキャパシタ30に出力する。
RI切替SW29は、RS232cコネクタ21の9番ピン(図5を参照、以下、9番ピンをRI端子と呼ぶことがある)と接続されている。RI切替SW29は、RS232cコネクタ21のRI端子を、ダイオードD13を介して、スーパーキャパシタ30に接続するか否か切替えるスイッチである。
RI切替SW29は、無線通信装置2の外から、ユーザによって操作できるようになっている。RI切替SW29がユーザによってオンされた場合、RS232cコネクタ21のRI端子は、ダイオードD13を介して、スーパーキャパシタ30に接続される。ダイオードD13は、電流逆流を防止するダイオードである。
以下で説明するが、無線通信装置6は、RS232cケーブルのRI信号線から供給される電力によっても動作することができる。例えば、無線通信装置6に接続される計測装置5が、RS232cのケーブルのRI信号線に、電力を給電できるようになっている場合、ユーザは、RI切替SW29をオンすることにより、無線通信装置6をRI信号線から供給される電力で動作させることができる。
スーパーキャパシタ30には、レギュレート回路28から出力される電圧が入力される。また、スーパーキャパシタ30には、RI切替SW29から出力されるRI信号線の電圧が入力される。また、スーパーキャパシタ30には、ダイオードD12を介して、USBケーブルから供給される電力(電圧)が入力される。
以下で説明するが、無線通信装置6は、USBケーブルから供給される電圧によっても動作することができる。例えば、無線通信装置6が、USBケーブルから電圧供給可能な状況にあるとき、無線通信装置6は、USBの電圧で動作することができる。
電源SW31は、無線通信装置6をオン/オフするスイッチである。電源SW31は、無線通信装置6の外から、ユーザによって操作できるようになっている。電源SW31がユーザによってオンされた場合、スーパーキャパシタに蓄電された電力(電圧)は、電源回路32に出力される。
電源回路32は、スーパーキャパシタ30から供給される電圧を所定の定電圧にして出力する。電源回路32から出力される電圧は、無線通信装置6の各部へ供給される。
抵抗R12の一端には、電源回路32の一端が接続され、他端には、発光ダイオードD14が接続されている。電源SW31がオンされ、電源回路32が所定の電圧を出力しているとき、発光ダイオードD14は発光する。
発光ダイオードD14は、無線通信装置6の外部から視認できるようになっている。これにより、ユーザは、無線通信装置6の電源SW31が投入されているいか否か認識することができる。
電源回路32の動作例について説明する。電源回路32は、スーパーキャパシタ30の電圧に応じて、無線通信装置6の各部に供給する電力(電圧)を制御する。例えば、電源回路32は、スーパーキャパシタ30の電圧が所定の電圧「V1」を超えたとき、無線通信装置6の各部に電圧を供給する。また、無線通信装置6は、スーパーキャパシタ30の電圧が所定の電圧「V1」より小さい電圧「V2」を下回ったとき、無線通信装置6の各部への電圧供給を停止する。
図7は、図4の電源回路32の動作例を説明するタイミングチャートである。図7(A)は、図4の電源SW31のオン・オフ状態を示している。
図7(B)は、レギュレート回路28の電圧出力状態を示している。例えば、図7(B)に示す「出力」は、レギュレート回路28から電圧が出力されていることを示し、「なし」は、レギュレート回路28から電圧が出力されていないことを示している。
図7(C)は、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧(出力電圧)を示している。
図7(D)は、電源回路32の電圧出力状態を示している。例えば、図7(D)に示す「出力」は、電源回路32から電圧が出力されていることを示し、「なし」は、電源回路32から電圧が出力されていないことを示している。
RS232cコネクタ21にRS232cケーブルが接続され、CTS信号およびDSR信号が、電流制限回路27に入力されたとする。これにより、レギュレート回路28からは、時刻「t0」において、図7(B)に示すように電圧が出力される。
時刻「t0」でのレギュレート回路28からの電圧出力により、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧は、図7(C)に示すように、「0V」から上昇していく。
時刻「t1」において、図7(A)に示すように、電源SW31がオンされたとする。
電源SW31がオンされても、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧が、電圧「V1」を超えていないため、電源回路32は、電圧を出力しない(図7(D)の時刻「t1」〜時刻「t2」を参照)。
時刻「t2」において、図7(C)に示すように、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧は、電圧「V1」を超えたとする。電源回路32は、時刻「t2」において、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧が電圧「V1」を超えると、図7(D)に示すように、所定の定電圧を無線通信装置6の各部へ供給する。これにより、無線モジュール26は、無線通信装置2と無線通信を行うことができる。なお、スーパーキャパシタ30は、規定電圧まで上昇(充電)すると、それ以上電圧が上昇しない。
時刻「t3」において、図7(B)に示すように、レギュレート回路28から電圧が出力されなくなったとする。例えば、CTS信号およびDSR信号が電源として供給されない場合、レギュレート回路28からは、電圧が出力されなくなる。
レギュレート回路28から電圧が出力されなくなると、スーパーキャパシタ30には、電圧が供給されない。そのため、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧は、図7(C)に示すように、徐々に低下していく(図7(C)の時刻「t3」〜時刻「t4」を参照)。
時刻「t4」において、図7(B)に示すように、レギュレート回路28から電圧が出力されると、スーパーキャパシタ30には、電圧が供給される。これにより、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧は、時刻「t4」から、図7(C)に示すように上昇し始める。
時刻「t5」において、電源SW31がオフされたとする。電源回路32は、時刻「t5」での電源SW31のオフによって、無線通信装置6の各部への電圧供給を停止する(図7(D)の時刻「t5」〜時刻「t6」を参照)。
一方、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧は、時刻「t5」において電源SW31がオフされても、レギュレート回路28から電圧が出力されていれば、図7(C)に示すように、規定電圧まで上昇し続ける。
すなわち、無線通信装置6は、電源SW31がオフであっても、RS232cコネクタにRS232cケーブルが接続され、CTS信号およびDSR信号が電源として供給されていれば、スーパーキャパシタ30に電力を蓄電する。これにより、無線通信装置6は、電源SW31をオンしたとき、すぐに動作することが可能となる。
時刻「t6」において、図7(A)に示すように、電源SW31がオンされたとする。電源SW31のオンによって、電源回路32は、無線通信装置6の各部への電圧供給を開始する(図7(D)の時刻「t6」〜時刻「t7」を参照)。
時刻「t7」において、図7(B)に示すように、レギュレート回路28から電圧が出力されなくなったとする。例えば、CTS信号およびDSR信号が電源として供給されていない場合、レギュレート回路28からは、電圧が出力されなくなる。
レギュレート回路28から電圧が出力されなくなると、スーパーキャパシタ30には、電圧が供給されない。そのため、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧は、図7(C)に示すように、徐々に低下していく(図7(C)の時刻「t7」〜時刻「t9」を参照)。
スーパーキャパシタ30の蓄電電圧が徐々に低下し、時刻「t8」において、図7(C)に示すように、電圧「V2」(V2<V1)を下回ると、電源回路32は、図7(D)に示すように、無線通信装置6の各部への電圧供給を停止する。
時刻「t8」を過ぎても、図7(B)に示すように、レギュレート回路28からは、電圧が出力されないが、無線通信装置6の各部への電圧供給が停止されているため、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧は低下しない(図7(C)の時刻「t8」〜時刻「t9」)。
時刻「t9」になると、図7(B)に示すように、レギュレート回路28からは、電圧が出力される。これにより、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧は、図7(C)に示すように上昇し始める。電源回路32は、時刻「t10」において、図7(C)に示すように、スーパーキャパシタ10の蓄電電圧が電圧「V1」を超えると、図7(D)に示すように、無線通信装置6の各部への電圧供給を開始する。これにより、無線モジュール26は、無線通信装置2と無線通信を行うことができる。
このように、電源回路32は、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧に対し、ヒステリシスを持って、電圧出力の制御を行う。これにより、電源回路32は、スーパーキャパシタ30の蓄電電圧が、電圧「V1」より小さい電圧「V2」になるまで、無線通信装置6の各部へ電圧を供給できる。すなわち、無線通信装置6は、少しの時間、CTS信号およびDSR信号が電源として供給されなくても、無線通信装置2と無線通信を行うことができる。
上記では、無線通信装置6が、RS232cケーブル7を介して受信したRS232cの信号(CTS信号、DSR信号)から電力を生成し、動作する例について説明した。無線通信装置6は、他の電源があれば、その電源で動作できるようになっている。
図8は、他の無線通信システムの構成例を示した図のその1である。図8において、図1と同じものには同じ符号が付してある。
図8の無線通信システムでは、無線通信装置6は、端末装置1とUSBケーブル41で接続されている。例えば、図4に示したUSBコネクタ23には、端末装置1と接続されたUSBケーブル41が接続される。
この場合、USBコネクタ23から、スーパーキャパシタ30にUSBの電源が供給される。すなわち、無線通信装置6は、端末装置1から供給される電源によって動作する。
図9は、他の無線通信システムの構成例を示した図のその2である。図9において、図1と同じものには同じ符号が付してある。
図9の無線通信システムでは、無線通信装置6は、USBケーブル52を介して、バッテリ51と接続されている。例えば、図4に示したUSBコネクタ23には、バッテリ51と接続されたUSBケーブル52が接続される。
この場合、USBコネクタ23から、スーパーキャパシタ30にUSBの電源が供給される。すなわち、無線通信装置6は、バッテリ51から供給される電源によって動作する。
図10は、他の無線通信システムの構成例を示した図のその3である。図10において、図1と同じものには同じ符号が付してある。
図10の無線通信システムでは、端末装置1と無線通信装置2は、USBケーブル61で接続されている。また、計測装置5と無線通信装置6は、USBケーブル62で接続されている。
この場合、図4のUSBコネクタ23から、スーパーキャパシタ30にUSBの電源が供給される。すなわち、無線通信装置6は、計測装置5から供給される電源によって動作する。
なお、図10の無線通信システムでは、端末装置1と無線通信装置6は、USBケーブル61を介してデータの送受信を行う。そのため、ユーザは、図3に示したI/F切替SW15を、I/F切替回路14の第2のI/Fが有効となるように操作する。
また、計測装置5と無線通信装置6は、USBケーブル62を介してデータの送受信を行う。そのため、ユーザは、図4に示したI/F切替SW25を、I/F切替回路24の第2のI/Fが有効となるように操作する。
図11は、他の無線通信システムの構成例を示した図のその4である。図11において、図1と同じものには同じ符号が付してある。
図11の無線通信システムでは、計測装置5と無線通信装置6は、RS232cケーブル71で接続されている。
図11の計測装置5は、RS232cケーブル71のRI信号線に電圧を出力している。この場合、図4のRS232cコネクタ21のRI端子から、RI切替SW29を介して、スーパーキャパシタ30にRI信号線を利用した電源(電圧)が供給される。すなわち、無線通信装置6は、計測装置5から供給される電源によって動作する。
なお、図11の無線通信システムの場合、ユーザは、図4に示したRI切替SW29を、オンするように操作する。
また、図1、図8〜図11に示した無線通信システムの構成例は、組み合わせることができる。例えば、端末装置1と無線通信装置2とのデータ通信をUSBにし、計測装置5と無線通信装置6とのデータ通信をRS232cとしてもよい。
以上説明したように、無線通信装置6は、計測装置5に接続されたRS232cケーブル7が接続されるRS232cコネクタ21と、RS232cコネクタ21を介して受信したCTS信号およびDSR信号から電力を生成する電源部(例えば、レギュレート回路28、スーパーキャパシタ30、および電源回路32)と、電源部で生成された電力によって、無線通信装置2と無線通信を行う無線モジュール26とを有する。これにより、無線通信装置6は、別の電源を用意しなくても無線通信システムを構築することができる。
また、無線通信装置6は、制御信号であるCTS信号とDSR信号とから電力を生成する。これにより、無線通信装置6は、データ信号であるRXD信号とTXD信号とを劣化(電圧低下)させることなく、無線通信を行うことができる。
また、無線通信装置6は、RS232cコネクタ21と、レギュレート回路28との間に、電流制限回路27を有する。これにより、無線通信装置6は、過負荷によるCTS信号およびDSR信号の電圧低下を抑制できる。
また、無線通信装置6は、スーパーキャパシタ30を有する。これにより、無線通信装置6は、多少の時間、CTS信号とDSR信号とによる電源供給が途切れても、無線通信を行うことができる。
また、無線通信装置6は、スーパーキャパシタ30の電圧に応じて、無線モジュール26に供給する電力を制御する。例えば、電源回路32は、スーパーキャパシタ30の電圧が電圧「V1」を超えたとき、無線モジュール26に電力を供給し、スーパーキャパシタ30の電圧が電圧「V1」より小さい電圧「V2」を下回ったとき、無線モジュール26への電力の供給を停止する。これにより、無線通信装置6は、多少の時間、CTS信号とDSR信号とによる電源供給が途切れても、無線通信を行うことができる。また、無線通信装置6は、電源低下による無線モジュール26の不安定動作を防止できる。
また、無線通信装置6は、無線モジュール26への電力供給の有無を示す発光ダイオードD14を有する。これにより、ユーザは、無線モジュール26に電力が供給されているか否か知ることができる。
また、無線通信装置6は、無線モジュール26が無線通信を行っているか否かを示す発光ダイオードD11を有する。これにより、ユーザは、無線モジュール26が無線通信を行っているか否か知ることができる。
また、ユーザは、発光ダイオードD11,D11により、無線モジュール26が、電源が供給されていないため、無線通信を行っていないのか、電源が供給されているのに、無線通信を行っていないのか、知ることができる。
なお、上記では、無線通信装置6は、CTS信号およびDSR信号から、電力を生成したが、どちらか一方の信号から電力を生成してもよい。
また、上記では、無線通信装置6は、CTS信号およびDSR信号から、電力を生成したが、さらにRXD信号を加えて電力を生成してもよい。この場合、例えば、RS232cコネクタ21で受信されたRXD信号は、電流制限回路27へ出力される。また、無線通信装置6は、RXD信号だけから電力を生成してもよい。
また、無線通信装置6は、電力消費を抑制するため、発光ダイオードD11,D14を活性化および不活性化するためのスイッチを設けてもよい。例えば、発光ダイオードD11,D14のそれぞれに、外部からオン・オフ操作が可能なスイッチを直列に接続する。これにより、スイッチをオフした場合、無線通信装置6の消費電力を抑制することができる。
また、端末装置1に接続される無線通信装置2の電源確保が困難な場合は、端末装置1にも無線通信装置6を接続すればよい。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、無線通信装置の機能構成は、無線通信装置の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。無線通信装置の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
また、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。例えば、各実施の形態を組み合わせてもよい。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。