JP2018036732A - 避難誘導装置、および避難誘導プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】より安全と思われる避難経路を利用者に案内することができる避難誘導装置、および避難誘導プログラムを提供することである。【解決手段】実施形態の避難誘導装置は取得部と、構成部とを持つ。取得部は、複数のセンサから計測結果を取得する。構成部は、前記取得部により取得された計測結果に基づいて、避難シナリオを構成する要素シナリオを複数選択し、選択した複数の要素シナリオを時系列に沿って組み合わせて避難シナリオを構成する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、避難誘導装置、および避難誘導プログラムに関する。
災害発生時には、鉄道施設やビル施設などの施設からの避難経路を的確に指示することが重要である。避難者は、個々の判断でそれぞれ最適と思われる経路を選択して、選択した経路を通って避難する場合がある。しかしながら、個々の判断により選択された経路は、最適ではないことがあり、ときには危険を誘発したり、二次災害を引き起こしたりする場合がある。
本発明が解決しようとする課題は、より安全と思われる避難経路を利用者に案内することができる避難誘導装置、および避難誘導プログラムを提供することである。
実施形態の避難誘導装置は取得部と、構成部とを持つ。取得部は、複数のセンサから計測結果を取得する。構成部は、前記取得部により取得された計測結果に基づいて、避難シナリオを構成する要素シナリオを複数選択し、選択した複数の要素シナリオを時系列に沿って組み合わせて避難シナリオを構成する。
以下、実施形態の避難誘導装置、および避難誘導プログラムを、図面を参照して説明する。
図1は、避難誘導システム1の構成図である。避難誘導システム1は、例えば、鉄道施設に適用される。避難誘導システム1は、入力側サブシステムSSInと、出力側サブシステムSSOutと、管理装置80と、避難誘導装置100とを備える。入力側サブシステムSSInは、避難誘導装置100に各種情報を送信する装置や、各種センサ等を含む。出力側サブシステムSSOutは、避難誘導装置100により送信された制御信号を取得し、取得した制御信号に基づいて、制御対象を制御する装置等である。
入力側サブシステムSSInと、避難誘導装置100とはネットワークNW1を介して互いに通信し、出力側サブシステムSSOutと、避難誘導装置100とはネットワークNW2を介して互いに通信する。また、管理装置80と、避難誘導装置100とは、ネットワークNW3を介して互いに通信する。なお、図示の都合上、ネットワークNW1〜3を別々のものとして示したが、これらは一つのネットワークであってもよい。例えば、管理装置80と列車信号システム34が通信可能であってもよい。ネットワークNW1〜3は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、セルラー通信網、インターネット等を含む。
以下、入力側サブシステムSSIn、出力側サブシステムSSOut、管理装置80、避難誘導装置100の順で説明する。
入力側サブシステムは、外部システム、駅構内システム、および車両内システムを含む。外部システムは、駅施設の外部に設けられた装置や、センサ等を含むシステムである。外部システムは、例えば、気象情報提供装置10を含む。気象情報提供装置10は、リアルタイムの気象情報を避難誘導装置100に送信する。この他、外部システムは、雨量センサや、照度センサ、気圧センサなどを含んでもよい。
駅構内システムは、駅構内に設けられる装置や、センサ等を含むシステムである。駅構内システムは、例えば、災害情報提供装置20、火災情報取得部22、温度情報取得部24、混雑情報取得部26、変電設備情報取得部28、各種設備情報取得部30、駅チケットシステム32、および列車信号システム34を含む。
災害情報提供装置20は、取得した災害に関する情報を、避難誘導装置100に送信する。災害情報提供装置20は、送信する情報の元情報として、避難誘導システム1が管理する沿線や、駅、沿線および駅の周辺における災害に関する情報を取得する。災害に関する情報とは、降雨量を示す情報や、河川の水位、震度等、各地に設けられた各種測定センサから取得される情報である。
火災情報取得部22は、取得した火災に関する情報を避難誘導装置100に送信する。
火災情報取得部22は、送信する情報の元情報として、駅構内やトンネル内における火災に関する情報を取得する。火災に関する情報とは、火災の位置や、煙が発生している位置、火災の度合、煙の発生度合等の情報である。火災情報取得部22は、例えば、各部に設けられた煙検知センサや火災検知センサを含む。
火災情報取得部22は、送信する情報の元情報として、駅構内やトンネル内における火災に関する情報を取得する。火災に関する情報とは、火災の位置や、煙が発生している位置、火災の度合、煙の発生度合等の情報である。火災情報取得部22は、例えば、各部に設けられた煙検知センサや火災検知センサを含む。
温度情報取得部24は、取得した駅構内やトンネル内における温度を示す情報を避難誘導装置100に送信する。温度情報取得部24は、各部に設けられた温度検知センサ等を含む。
混雑情報取得部26は、駅構内における混雑度合を示す情報を避難誘導装置100に送信する。混雑情報を示す情報は、例えば、駅構内や、トンネル内の各所に設けられたカメラにより撮像された画像から導出された混雑の度合である。画像から混雑の度合を導出する処理は、避難提案部110により実行されてもよい。この場合、混雑情報取得部26は、駅構内や、トンネル内の各所に設けられたカメラにより撮像された画像を避難誘導装置100に送信する。
変電設備情報取得部28は、電力情報を取得し、取得した電力情報を避難誘導装置100に送信する。電力情報とは、駅構内に設けられた変電所内の機器の稼働状況を示す情報や、配電所内の機器等の稼働状況を示す情報、電車線設備に印加される電圧を示す情報等を含む。なお、変電設備情報取得部28と同等の構成が、外部システムに含まれてもよい。
各種設備情報取得部30は、設備稼働情報を取得し、取得した設備稼働情報を避難誘導装置100に送信する。設備稼働情報とは、駅構内の換気装置や、空調装置、照明装置、エレベータ、エスカレータ等の稼働状況を示す情報である。
駅チケットシステム32は、駅構内や、駅のホームに存在する人の概数を示す情報を避難誘導装置100に送信する。駅チケットシステム32は、駅構内から入出場するためのチケットを販売する券売機、利用者の入場または出場を制御する自動改札機、およびチケットの精算処理を実行する精算機を含む。駅チケットシステム32に含まれる制御部は、券売機、自動改札機、および精算機を制御する。制御部は、券売機、自動改札機、および精算機の処理結果を取得する。制御部は、例えば、上述した処理結果である自動改札機を通過した人の数と、列車の運行状況とに基づいて、駅構内や、駅のホームに存在する人の概数を導出する。
列車信号システム34は、各列車の存在位置や、災害発生時の列車の線路における存在位置、転轍器の設定状況を取得し、取得した情報を避難誘導装置100に送信する。
車両内システムは、車両内に設けられる装置や、センサ等を含むシステムである。車両内システムは、例えば、車上乗員導出部40、車内環境情報取得部42、および車内混雑状況取得部44を含む。
車上乗員導出部40は、車両に搭乗している乗員の概数を避難誘導装置100に送信する。車上乗員導出部40は、車両に搭載された重量計の測定結果を取得し、取得した測定結果から車両に搭乗している乗員の概数を導出する。
車内環境情報取得部42は、車両内に設けられた温度検知部、湿度検知部、酸素濃度検知部の検知結果を取得し、取得した検知結果(車内環境情報)を避難誘導装置100に送信する。
車内混雑状況取得部44は、車内の混雑を示す混雑情報を避難誘導装置100に送信する。車内混雑状況取得部44は、車内に設けられたカメラにより撮像された画像を取得し、取得した情報に基づいて混雑情報を導出する。
なお、駅構内や、自動改札機を通過した人の数と、列車の運行状況とに基づいて、駅構内や、駅のホームに存在する人の概数を導出する処理は、避難提案部110により実行されてもよい。この場合、券売機、自動改札機、および精算機の処理結果が避難提案部110に送信される。また、車両に搭載された重量計の測定結果から車両に搭乗している乗員の概数を導出する処理は、避難提案部110により実行されてもよい。この場合、重量計の測定結果が避難提案部110に送信される。また、車内に設けられたカメラにより撮像された画像に基づいて、車内の混雑状況を導出する処理は、避難提案部110により実行されてもよい。この場合、車内に設けられたカメラにより撮像された画像が避難提案部110に送信される。
出力側サブシステムSSOutは、例えば、駅構内システム、および車両内システムを含む。駅構内システムは、駅構内の設備を制御する制御装置等である。駅構内システムは、設備制御部50、電車線路加圧制御部60、列車制御システム62、ホームドア制御部64、自動改札機ドア制御部66、音声案内制御部68、表示案内制御部70、外部連絡制御部72、および構内ドア制御部74を含む。
設備制御部50は、所定の制御信号を対象の設備に送信することにより対象の設備を制御する。対象の設備は、例えば、構内およびトンネル内の排煙設備(例えば換気装置)や、エレベータ、エスカレータ、照明、非常時誘導表示部等である。設備制御部50は、換気装置を制御して送風する方向、および送風の速度を調整することにより、排煙の経路を制御する。設備制御部50は、エレベータ内に人が存在するか否かを検出し、人が検出されない場合、エレベータの稼働を停止させる。設備制御部50は、駅構内の照明の照度を調整する。設備制御部50は、駅構内の各箇所に設置された非常時誘導表示部を点灯させたり、点滅させたりする。
電車線路加圧制御部60は、電車線路に対して電圧を印加したり、電圧を遮断したりする。列車制御システム62は、列車を制御して列車の自動運転を実現するためのシステムである。ホームドア制御部64は、ホームに設けられたドアの開閉を制御する。ホームドア制御部64は、例えば列車信号システム34から取得した列車の存在位置に基づいてドアを制御する。
自動改札機ドア制御部66は、自動改札機のドアを制御する。例えば非常時に、自動改札機ドア制御部66は、自動改札機のドアを開放状態に制御する。
音声案内制御部68は、駅構内に設けられたスピーカを制御して、乗客を誘導するための情報を出力させる。表示案内制御部70は、駅構内に設けられた表示部を制御して、乗客を誘導するための情報を表示させる。
外部連絡制御部72は、駅構内に設けられた通信部を制御して、外部機関の通信部と通信させる。外部機関は、例えば警察署や、消防署などである。
構内ドア制御部74は、権限を有する者のみが解錠することができるドアを制御して、施錠されたドアを解錠する。権限を有する者のみが解錠することができるドアは、例え従業員の執務室等に出入りする出入口に設けられたドアである。平常時には、ドアの近傍に設けられた読取部にIDカードが翳された場合、そのIDカードについて権限を有すると判定されると、ドアは解錠状態に制御される。災害時には、構内ドア制御部74は、例えばドアを解錠状態に制御する。
車両内システムは、車内の設備を制御する装置である。車内システムは、車内音声案内制御部76、および車内表示案内制御部78を備える。車内音声案内制御部76は、車内に設けられたスピーカを制御して、所定の情報を出力させる。車内表示案内制御部78は、車内に設けられた表示部を制御して、所定の情報を表示させる。
管理装置80は、鉄道を運営する運営者により操作される装置である。管理装置80は、利用者によって入力操作がされる操作部および情報を出力する出力部を備える。操作部は、例えば、ボタン、キーボード、マウス、マイク、タッチパネル等のユーザインターフェースである。出力部は、音声を出力するスピーカや、表示部である。表示部は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置を含む。
避難誘導装置100は、例えば、避難提案部110、および避難制御部140を備える。避難提案部110は、入力側サブシステムSSInから得られた情報に基づいて、避難シナリオを構成し、管理装置80に送信する。避難制御部140は、避難シナリオに基づいて、出力側サブシステムSSOutを制御するための制御信号を出力側サブシステムSSOutに送信する。避難制御部140は、「制御部」の一例である。
図2は、避難提案部110の機能構成を示す図である。避難提案部110は、取得部112と、状況把握部114、避難方針選択部116、避難シナリオ構成部118、避難推奨度検証部120、および避難シナリオ承認部122を備える。取得部112と、状況把握部114、避難方針選択部116、避難シナリオ構成部118、避難推奨度検証部120、および避難シナリオ承認部122のうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。避難シナリオ構成部118は、「構成部」の一例である。避難推奨度検証部120は、「推奨度導出部」の一例であり、避難シナリオ承認部122は、「承認部」の一例である。
記憶部130は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の記憶媒体によって実現される。記憶部130には、後述する要素シナリオデータベース132が記憶される。
取得部112は、入力側サブシステムSSInと通信して入力側サブシステムSSInから情報を取得する通信インターフェースである。取得部112は、入力側サブシステムSSInから情報を取得して記憶部130のRAMに格納する機能を有してもよい。
状況把握部114は、入力側サブシステムSSInから取得した情報に基づいて、管轄する領域の状況を把握する。状況とは、災害の状況や、乗員の状況(数や移動方向)である。また、状況把握部114は、入力側サブシステムSSInから取得した情報に基づいて、災害の拡大に関する状況を予想する。災害の拡大に関する状況は、例えば、災害の広がり方や、煙の流れる方向等である。
避難方針選択部116は、状況把握部114により把握された情報に基づいて、避難方針(後述)を選択する。避難シナリオ構成部118は、避難方針選択部116により選択された避難方針に基づいて、避難シナリオを構成する要素シナリオを複数選択し、選択した複数の要素シナリオを時系列に沿って組み合わせて、1または複数の避難シナリオを構成する。
避難推奨度検証部120は、避難シナリオ構成部118により構成された避難シナリオについて避難の安全性やリスク等を導出する。避難推奨度検証部120は、避難シナリオ構成部118により構成された避難シナリオや、避難シナリオを実行した場合の必要避難時間、避難シナリオを実行した場合のリスク(安全度)等を、避難シナリオ承認判断セットとしてまとめ、避難シナリオ承認部122に送信する。避難シナリオ構成部118および避難推奨度検証部120の処理の詳細については後述する。
避難シナリオ承認部122は、受信した避難シナリオ承認判断セットを画像データとして編集し、管理装置80に送信する。避難シナリオ承認部122は、管理装置80により送信された避難シナリオ承認判断セットに対する承認を示す情報を取得すると、承認された避難シナリオを避難制御部140に送信する。避難制御部140は、承認された避難シナリオに従って、時系列に沿って出力側サブシステムSSOutを制御する。
図3は、避難誘導装置100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、取得部112は、入力側サブシステムSSInからリアルタイムの情報を取得する(ステップS100)。取得部112は、例えば100ms以下程度の間隔で入力側サブシステムSSInから情報を取得する。例えば、駅構内で火災が発生した場合、状況把握部114は、火災情報取得部22により検知された火災を示す情報(事故発生トリガー)が取得部112により取得された場合、火災の状況を把握する。
次に、避難方針選択部116は、状況把握部114により把握された状況に基づいて、避難方針を選択する(ステップS102)。避難方針選択部116は、例えば、事故内容が局地的な火災であれば、火災発生箇所を中心に避難シナリオを構成する。また、避難方針選択部116は、事故内容が洪水のような複数の駅等を含む鉄道システムの全体に関わるようなものであれば、鉄道システム自体をシャットダウンするような避難シナリオを構成する。
より具体的には、避難誘導システム1が、A駅、B駅、およびC駅を管轄している場合において、A駅で火災が発生したとき、避難方針選択部116は、A駅を中心とした避難シナリオを組むことを選択する。一方、A駅、B駅、およびC駅を含む地域で洪水が発生したとき、避難方針選択部116は、A駅、B駅、およびC駅に対する避難シナリオを組むことを選択する。避難方針選択部116は、選択した避難方針を、避難シナリオ構成部118に送信する。
次に、避難シナリオ構成部118は、避難方針選択部116から取得した避難方針に従い、好適な避難シナリオを構成する(ステップS104)。
ここで、記憶部130に格納された要素シナリオデータベース132について説明する。要素シナリオデータベース132には、複数の要素シナリオが記憶されている。それぞれの要素シナリオは、局所的な避難シナリオである。要素シナリオが複数組み合わされることで最終的な避難シナリオが構成される。
図4は、要素シナリオデータベース132の一例を示す図である。図示する例は、コンコースが地下1階、プラットフォームが地下2階に存在する駅に対する要素シナリオの集まりである。この場合、コンコースから避難するときの要素シナリオとして、出口1(Exit1)から地上へ避難する要素シナリオや、出口2(Exit2)から地上へ避難する要素シナリオ、出口3(Exit3)から地上へ避難する要素シナリオ、出口4(Exit4)から地上へ避難する要素シナリオ、地下2階へ避難する要素シナリオ等が、要素シナリオデータベース132に記憶されている。
また、要素シナリオデータベース132には、地下2階プラットフォームからの避難に関する要素シナリオや、走行中の電車に関する要素シナリオ等が記憶されている。例えばA駅付近を走行中の電車に関する要素シナリオは、A駅に退避することや、B駅に退避すること、現在の位置に停車すること等である。
また、これら各要素シナリオに対して、各要素シナリオを実現するための出力側サブシステムSSOutの動作内容が予め記憶されている。これにより、避難シナリオ構成部118により要素シナリオが選択されると、要素シナリオに対応付けられた出力側サブシステムSSOutの動作内容が自動的に選択される。図5は、要素シナリオに対応付けられた動作内容の一例を示す図である。例えば、「出口1(Exit1)から地上へ避難」という要素シナリオに対して、「地下1階の表示案内制御部70を用いて出口1Aより避難してくださいという放送を繰り返す。」という出力側サブシステムSSOutの動作内容が対応付けられている。
避難シナリオ構成部118は、要素シナリオデータベース132から抽出した要素シナリオを組み合わせて、好適な避難シナリオを構成する。好適な避難シナリオは、入力側サブシステムSSInから随時得られる情報によって状況把握部114により把握された災害の情報、車両の情報、乗客の情報(例えば乗客の動きを示す情報)などに基づいて構成された、乗客が安全な場所に所定時間内に低リスクで避難することができる確率が高い(例えば、最も高い、基準値以上に高い、或いは他の避難シナリオに比して相対的に高い)避難シナリオである。避難シナリオ構成部118は、各要素シナリオを組み合せ、避難の推奨度が高い避難シナリオを構成する。
図6は、要素シナリオが組み合わされた避難シナリオの一例を示す図である。避難シナリオ構成部118は、時系列に沿って要素シナリオ1からnを組み合わせ(「n」は任意の自然数である。)、避難シナリオを構成する。避難シナリオ構成部118は、要素シナリオを計算された時間配分に従い組み合わせ好適な避難シナリオを構成する。
例えば、地下2階に人が50人存在する場合、避難シナリオ構成部118は、「50人を階段Aから地下1階に避難させる」という要素シナリオを選択すると共に、選択した要素シナリオを実現する時間として3分を計上する。更に、避難シナリオ構成部118は、「50人を地下1の出口1から地上に避難させる」という要素シナリオを選択すると共に、選択した要素シナリオを実現する時間として2分を計上する。このように、避難シナリオ構成部118は、要素シナリオを組み合わせ、組み合わせた要素シナリオを実現した場合に、設定した時間内に乗員が避難することができる避難シナリオを構成する。避難シナリオ構成部118は、バックアップを含め、複数の避難シナリオを構成する。避難シナリオ構成部118は、複数の好適な避難シナリオをシリアル通信により避難推奨度検証部120に送信する。
次に、避難推奨度検証部120は、受信した好適な避難シナリオ、好適な避難シナリオに含まれる避難経路、および状況把握部114により導出された災害の拡大に関する予想に基づいて、必要避難時間を検証すると共に、およびリスク(安全度)を導出し(ステップS106)、好適な避難シナリオ、必要避難時間、およびリスクを、避難シナリオ承認判断セットとしてまとめ、避難シナリオ承認ブロックに送信する(ステップS108)。リスクは、好適な避難シナリオに含まれる避難経路それぞれに対する安全性を示す数値に基づいて導出される。例えば、避難推奨度検証部120は、火災が発生した近くを通る経路や、線路を通る経路等はリスクが高いと導出し、人が集中する経路は混雑により二次災害が発生する可能性があるためリスクが高いと導出する。避難推奨度検証部120は、例えば予め設定されたリスクの重要性に応じた係数を避難経路のリスクに乗算して、各避難経路のリスクを合計することで最終的なリスクを求める。
例えば、避難推奨度検証部120は、受信した好適な避難シナリオ、避難シナリオに含まれる避難経路、検証した必要避難時間、避難シナリオ構成部118により導出された災害の拡大に関する予想、および導出したリスクに基づいて、避難の推奨度を導出する。例えば、避難推奨度検証部120は、リスクが低い、および/または必要避難時間が短い程、避難の推奨度が高いと導出する。
避難推奨度検証部120は、好適な避難シナリオに含まれる避難経路のリスクを総合的に判断して、好適な避難シナリオのリスクを示す情報、避難を完了させるために必要な時間、および避難の推奨度を示す情報を避難シナリオ承認部122に送信する。
避難シナリオ承認部122は、受信した避難シナリオ承認判断セットを画像データとして編集し、管理装置80に送信する。管理装置80は、避難シナリオ承認判断セットを表示部に表示し、避難シナリオに対する承認を促す。この際、前述のように避難シナリオは複数提案され、鉄道システムを管理する鉄道運営チームは、各避難シナリオを精査し、管理装置80の操作部を操作することで所定の避難シナリオを選択して承認する。管理装置80は、選択および承認がされたことを示す情報を避難シナリオ承認部122に送信する。
避難シナリオ承認部122は、管理装置80から避難シナリオの承認に関する情報を取得するまで待機する(ステップS110)。鉄道運営チームによって、全ての避難シナリオの承認が得られなかった場合(承認しないことを示す情報が管理装置80により送信された場合)は、避難シナリオ承認部122は、避難方針選択部116に対し再検討信号を送信し、引き続き、避難提案部110は、シナリオ構成を継続する。
管理装置80から避難シナリオの承認を示す情報を取得すると、避難シナリオ承認部122は、避難シナリオを避難制御部140に送信する。避難制御部140は、避難シナリオを受信すると、受信した避難シナリオに従い、この避難シナリオに含まれる時系列に対応付けられた出力側サブシステムSSOutに対する動作内容に基づいて、出力側サブシステムSSOutを制御する(ステップS112)。これにより本フローチャートの1ルーチンは終了する。
避難提案部110は、一旦避難シナリオが実行に移された後も引き続き、乗客の避難状況と災害が拡大する状況を随時モニタリングし続け、モニタリングの結果を鉄道運営チーム(管理装置80)に送信し続ける。避難シナリオ構成部118は、避難状況と現在実行中の避難シナリオ、災害が拡大する状況と予想された災害が拡大する状況を比較し続ける。避難シナリオ構成部118は、現在実行中の避難シナリオと避難状況との間、または避難シナリオを構成する際に状況把握部114により予想された災害が拡大する状況と実際に災害が拡大する状況との間に乖離が発生すれば、その都度、好適な避難シナリオを構成し、前述のフローチャートの処理の通りに鉄道運営チームに判断を仰ぐ。
次に、具体的な災害例を用いて、具体的な避難シナリオの例を説明する。図7は、後述する災害設定において、避難誘導システム1により構成された好適な避難シナリオの一例を示す図である。図7の矢印は時系列を示している。また、図7では、時刻に対応するA駅地下1階コンコースの要素シナリオ、A駅地下2階プラットフォームの要素シナリオ、A駅近辺走行中の列車の要素シナリオ(south bound)、A駅近辺走行中の列車の要素シナリオ(north bound)を示している。時刻(1−2)から(1−6)は、それぞれ後述する図8から図12に対応する。図8、9、10、11,および12は、それぞれ避難誘導システムが管轄する駅Aから駅B区間および駅A内の建屋構造を簡単に示したものであり、図8、9、10、11、および12はこの順番で時系列となっている。
図7において、時刻(1−1)が避難シナリオの開始時刻である。この駅Aは、コンコースが地下1階、プラットフォームが地下2階にある駅であるものとする。この災害に対する避難シナリオでは、後述する図8に示す駅AのExitA、ExitB付近にて火災が発生した設定となっている。
避難提案部110は、下記(A)および(B)の決定に基づいて、図7に示す避難シナリオを構成する。そして、出力側サブシステムSSOutには、避難シナリオに含まれる要素シナリオに対応付けられた出力側サブシステムSSOutの動作内容に応じた制御信号が送信される。
この例では、避難提案部110は、隣駅Bには両プラットフォームにも列車が停車していないことを示す情報を列車信号システム34から取得しているものとする。(A)避難提案部110は、A駅近辺を走行していた列車を、列車A(North Bound)、列車B(South Bound)共に駅Bへ移動させると決定する。
(B)避難提案部110は、A駅での火災の状況も同様にリアルタイムに得られており、A駅地下1階コンコースにいる乗客はそれぞれ近場のExitA、B、C、Dより避難、A駅地下2階プラットフォームにいる乗客はそれぞれ階段A、Bより上階へ避難させることを決定する。
時刻(1−2)では、避難制御部140は、構成された避難シナリオに基づいて、出力側サブシステムSSOutを制御する。図8は、時刻(1−2)に避難シナリオが実行されたときの駅構内の状況を示した図である。図8の例では、地下1階コンコースおよび地下2階プラットフォームにおいて、音声案内制御部68が、図示するような避難を誘導する情報をスピーカに出力させ、表示案内制御部70が、図示するような避難を誘導する情報を表示部に表示させる。また、避難制御部140により送信された制御信号に従って、自動改札機のドアは全面開放され、構内照明は最大輝度となる。また、エレベータ、エスカレータ、換気装置等も、避難制御部140により送信された制御信号に従って動作を行う。
避難提案部110は、随時更新される火災が拡大される状況を基に、将来、火災および煙が拡大する領域の予想を行う。避難提案部110の状況把握部114は、図7の時刻(1−3)にて火災がExitA、B近辺に延伸すると予想し、避難シナリオ構成部118は、この火災に応じた避難シナリオに切替える(避難シナリオを更新する)。避難シナリオ構成部118は、地下1階コンコースにいる乗客をExitA、Bから避難させることに代えて、ExitC、Dからのみ避難する避難シナリオを構成する。また、避難シナリオ構成部118は、地下2階プラットフォームにいる乗客は階段Bからのみ避難する避難シナリオを構成する。一方で、B駅に到着した列車は乗客をB駅プラットフォームより安全にB駅地上出口へ避難完了させる。図9は、時刻(1−3)に避難シナリオが実行されたときの駅構内の状況を示す図である。
避難提案部110は、図7の時刻(1−4)の予想である、A駅で更に火災が延伸すること、およびB駅で列車の乗客が全員避難することに基づいて、避難シナリオを構成する。ここで構成される避難シナリオは、A駅地下1階コンコースにいる乗客を引き続きExitC、Dからのみ避難させ、A駅地下2階プラットフォームにいる乗客を、そのままプラットフォームに待機させる指示を行う避難シナリオである。避難提案部110は、この時点では地下1階コンコースは火災の延伸と煙により地下2階から地下1階に上がってくることが危険であると判断したため、乗客を引き続きExitC、Dからのみ避難させる。また、避難提案部110は、この時点で、A駅からB駅間のトンネルは列車を走行させる必要がないと判断し、A駅、B駅に隣接するセクションを含む区間の列車に供給する電力を遮断する。図10は、時刻(1−4)に避難シナリオが実行されたときの駅構内の状況を示す図である。
避難提案部110は、図7の時刻(1−5)で、これまで閉じていたホームに設けられたドアを全面開放し、乗客のトンネル内へのアクセスを可能とする避難シナリオを構成する。図11は、時刻(1−5)に避難シナリオが実行されたときの駅構内の状況を示す図である。避難提案部110は、図7の時刻(1−6)の時刻では、A駅からB駅間のトンネル内の避難安全が確保され、待機していたA駅プラットフォームにいる乗客をトンネル内に避難させる。避難提案部110は、上記のように避難シナリオを作成し、図7の時刻(1−6)で、A駅構内にいる乗客全員が避難できると予想する。図12は、時刻(1−6)に避難シナリオが実行されたときの駅構内の状況を示す図である。
このように、避難提案部110は、構成した避難シナリオを、リスクや、推奨度等と共に、管理装置80に送信し、鉄道事業者の承認を求める。避難制御部140は、承認された避難シナリオを実行することで、安全な避難経路を利用者に案内することができる。
以上説明した実施形態によれば、避難提案部110が、入力側サブシステムSSInにより取得された計測結果に基づいて、避難シナリオを構成する要素シナリオを複数選択し、選択した複数の要素シナリオを時系列に沿って組み合わせて避難シナリオを構成することにより、より安全と思われる避難経路を利用者に案内することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数のセンサから計測結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された計測結果に基づいて、避難シナリオを構成する要素シナリオを複数選択し、選択した複数の要素シナリオを時系列に沿って組み合わせて避難シナリオを構成する構成部とを持つことにより、より安全と思われる避難経路を利用者に案内することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…避難誘導システム、80…管理装置、100…避難誘導装置、110…避難提案部、112…取得部、114…状況把握部、116…避難方針選択部、118…避難シナリオ構成部、120…避難推奨度検証部、122…避難シナリオ承認部、130…記憶部、132…要素シナリオデータベース、140…避難制御部
Claims (8)
- 複数のセンサから計測結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された計測結果に基づいて、避難シナリオを構成する要素シナリオを複数選択し、選択した複数の要素シナリオを時系列に沿って組み合わせて避難シナリオを構成する構成部と、
を備える避難誘導装置。 - 前記複数のセンサは、少なくとも駅構内に設けられたセンサを含み、
前記構成部は、鉄道施設から避難するための避難シナリオを構成する、
請求項1記載の避難誘導装置。 - 前記構成部により構成された避難シナリオに基づいて、駅構内に設けられた設備を制御するための制御信号を出力する制御部を、更に備える、
請求項1または請求項2記載の避難誘導装置。 - 鉄道を運営する運営者から前記避難シナリオに対する承認を示す承認情報を取得する承認部を更に備え、
前記制御部は、前記承認部により承認情報が取得された場合に、前記承認された避難シナリオに基づいて前記制御信号を出力する、
請求項3記載の避難誘導装置。 - 前記構成部により構成された避難シナリオについて避難の推奨度を導出する推奨度導出部を、更に備える、
請求項1から4のうちいずれか1項記載の避難誘導装置。 - 前記構成部により構成された避難シナリオと、前記推奨度導出部により導出された前記避難の推奨度を示す情報とを互いに対応付けた情報を、情報を出力する出力部に出力させる制御部を、更に備える、
請求項5記載の避難誘導装置。 - 取得部は、前記複数のセンサからリアルタイムの計測結果を取得し、
前記構成部は、前記取得部により取得されたリアルタイムの計測結果に基づいて、前記構成した避難シナリオを更新する、
請求項1から5のうちいずれか1項記載の避難誘導装置。 - コンピュータに、
複数のセンサから計測結果から情報を取得させ、
前記取得された計測結果に基づいて、避難シナリオを構成する要素シナリオを複数選択し、選択した複数の要素シナリオを時系列に沿って組み合わせて、1または複数の避難シナリオを構成させる、
避難誘導プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016167328A JP2018036732A (ja) | 2016-08-29 | 2016-08-29 | 避難誘導装置、および避難誘導プログラム |
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2018036732A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2781759C1 (ru) * | 2022-01-14 | 2022-10-17 | Ордена Трудового Красного Знамени Федеральное Государственное Унитарное Предприятие "Российские Сети Вещания И Оповещения" | Устройство для формирования тревожных сигналов и устранения угроз безопасности |
WO2023170952A1 (ja) * | 2022-03-11 | 2023-09-14 | 日本電気株式会社 | 通知装置、通知方法、および記録媒体 |
-
2016
- 2016-08-29 JP JP2016167328A patent/JP2018036732A/ja active Pending
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