以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。以下は、本発明の一の実施の形態であって本発明を限定するものではない。
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置の第1の実施形態について図面の図1および図2と共に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における情報表示装置2の説明図である。図1(A)は、情報表示装置2を腕時計1に適用した図である。腕時計1では、情報表示装置2は、ケース3の中に配置されて、バンド4にて腕に装着される。5は竜頭である。
図1(B)は、情報表示装置2の全体図である。情報表示装置2は、中心に配置された中心軸Cを回転軸として回転する秒針6、5秒間隔に配置された秒数と1秒間隔に配置された目盛りとが表示された見返しリング7を備えている。見返しリング7は固定されており、秒針6が回転して現在の秒を指すことで、現在の秒数が表示される。
分用円盤8および時間用円盤11は、中心軸Cの周りを時計回りの方向に回転するように構成されている。秒針6、分用円盤8および時間用円盤11は図示されないムーブメントにより回転移動する。ムーブメントは本発明の移動手段に相当する。
分用円盤8には、図1に示すように、5分間隔に配置された数字の分数字情報9と、1分間隔に配置された目盛りの分目盛情報10が表示されている。
時間用円盤11には、図1に示すように、時間を表す1〜12までの数字の時間数字情報12aが等間隔に順番に並んで配置されている。
これらの時間数字情報12aは、本発明の各々の順を定めることが可能であって、所定の順序で並べられる複数の所定情報に相当する。時間用円盤11は、本発明の表示部材に相当する。
図2(A)は、10時00分を示している。図2(B)は、10時30分を示している。図2(C)は、10時55分を示している。
本実施の形態の時分の読取は、図1および図2に示すように九時方向の位置(デザイン上の理由により九時方向より少し下の位置、以下同様)で行われる。時間用円盤11に配置された時間数字情報12aは、九時方向に位置したときに当該時間数字情報12aが正立するように時間用円盤11に形成されている。使用者は、時間数字情報12aが九時方向に位置した状態、あるいは当該時間数字情報12aが正立した状態を視認することで、読取るべき時間数字情報12aが先の順序となる時間数字情報12aからその後の順序となる時間数字情報12aに切替ったことを直感的に認識することができる。
分用円盤8に配置された分数字情報9も、九時方向に位置したときに当該分数字情報9が正立するように分用円盤8に形成されている。
時間用円盤11と分用円盤8は、時間用円盤11の時間数字情報12aが九時位置で正立した回転位置のときに、分用円盤8の分数字情報9も正立する回転位置になるように、中心軸Cに取り付けられている。
情報表示装置2は、図示しない風防部材で覆われており、全体が視認できるようになっ
ている。風防部材の所定の位置(図1および図2に示す本実施の形態では九時方向の位置)には、読取補助領域20が設けられている。読取補助領域20は、時間用円盤11および分用円盤8に重なり、重なった時間数字情報12aおよび分数字情報9が、読取補助領域20に重ならないものより目立つように設けられており、時間数字情報12aや分数字情報9を読取らせるのを補助している。
読取補助領域20は、風防部材にシールを貼付するなどして形成する他、風防部材の表面や裏面に印刷して形成しても良いし、風防部材の読取補助領域20に該当する部分だけを別に形成し、読取補助領域20そのものが風防部材の機能を発揮するようにしても良い。
読取補助領域20は、図1および図2では、グレーで塗りつぶされた領域として記載されている。
図2に示すように、読取補助領域20のうち、時間用円盤11に重なるものが時間読取補助領域201であり、分用円盤8に重なるものが分読取補助領域202である。
時間読取補助領域201は、複数の時間数字情報12aのうち先の順序となる時間数字情報12aが配置される位置と後の順序となる時間数字情報12aが配置される位置との方向(図2(A)では「9」が配置されている位置と「10」が配置されている位置との上下方向)にわたって配置されている。時間読取補助領域201は、時間用円盤11の回転方向に沿うような形状となっている。
本実施形態の時間読取補助領域201は、本発明の読取補助領域に相当する。
時間読取補助領域201は、時間切替重複領域201aと時間読取拡張領域201bとで構成されている。
時間切替重複領域201aは、読取らせる時間数字情報12aが隣り合う時間数字情報12aのうち先の順序となる時間数字情報12aから後の順序となる時間数字情報12aに切替ったときに当該切替った時間数字情報12aの位置に重なる領域である。具体的には、図2(A)に示された状態の「10」は、先の順序となる「9」から「10」に切替った時間数字情報であり、当該切替った「10」をすべて含み切替る前の「9」を含まない領域が時間切替重複領域201aである。図2(A)に示すように、時間切替重複領域201aの横方向の長さは、視認される時間用円盤11の横方向の長さと同等の長さで時間数字情報12aの横方向の長さより十分に長くなっている。また、時間切替重複領域201aの縦方向の長さは、切替ったときに当該切替った時間数字情報12aの縦方向の長さより若干長くなっている。
本実施形態の時間切替重複領域201aは、本発明の切替重複領域に相当する。
時間切替重複領域201aの時間用円盤11の後の順序の時間数字情報12aが配置される方向側の端部である時間情報後順側端部201dは、図2(B)および図2(C)に示すように、九時方向に平行に配置されている。
時間読取拡張領域201bは、時間切替重複領域201aから時間用円盤11に配置された複数の時間数字情報12aのうち先の順序となる時間数字情報12aが配置される方向側に位置している。具体的には、図1および図2に示すように、時間切替重複領域201aの上方に隣接し、時間用円盤11の回転方向に沿って位置している。
図2(A)乃至図2(C)に示すように、時間読取拡張領域201bの横方向の長さは、時間切替重複領域201aと同じであり視認される時間用円盤11の横方向の長さと同等の長さで時間数字情報12aの横方向の長さより十分に長くなっている。
このように、時間読取補助領域201は、読取らせる時間数字情報12aが隣り合う時間数字情報12aのうち先の順序となる時間数字情報12aから後の順序となる時間数字情報12aに切替ったときに、当該後の順序側の時間数字情報12aと重なる時間切替重複領域201aと、先の順序側の時間数字情報12aと重なる時間読取拡張領域201bとを有している。すなわち、時間読取補助領域201は、時間読取拡張領域201bによって、後の順序側よりも先の順序側が広範囲になるように拡張されている。
時間読取拡張領域201bの時間用円盤11の先の順の時間数字情報12aが配置された方向側の端部である時間情報先順側端部201cは、図2(B)および図2(C)に示すように、切替った時間数字情報12a「10」が次の順の時間数字情報12a「11」に切替るために移動しても時間読取補助領域201に重なる位置に配置されている。また、時間情報先順側端部201cは、九時方向に対してほぼ中心軸Cを中心として時間用円盤11の先の順の時間数字情報12aが配置された方向(時間用円盤11の回転方向)に回転した位置に配置されている。
本実施形態では、時間情報先順側端部201cの位置は、図2(A)に示すように時間数字情報12aが「10」に切替った際(10時00分)には当該切替った時間数字情報12a「10」の先の順序の時間数字情報12a「9」の上部の一部が時間読取拡張領域201bからはみ出すように配置されている。換言すると、時間読取拡張領域201bは、読取らせる時間数字情報12aが隣り合う時間数字情報12aのうち先の順序となる時間数字情報12aから後の順序となる時間数字情報12aに切替ったときに、先の順序となる時間数字情報12aが先の順序側にはみ出した状態で重なる範囲に形成されている。また、図2(C)に示すように時間数字情報12a「10」が、次の順(後の順序)の時間数字情報12a「11」に切替る少し前の位置に移動した際(10時55分)でも読取るべき時間数字情報12a「10」がすべて時間読取拡張領域201bに重なるように配置されている。
本実施形態の時間読取拡張領域201bは、本発明の読取拡張領域に相当する。
時間切替重複領域201aと時間読取拡張領域201bとで構成される時間読取補助領域201は、時間切替重複領域201aの上下方向の中心位置を通る九時方向の直線を境として、非対称の形状となっている。
なお、時間数字情報12aが切替る直前(例えば59分)のときにおいても読取るべき時間数字情報12aである「10」がすべての部分で、時間読取補助領域201に重なっているようにすることが、理想的であるが、必ずしもそのようにしなくても良い。要は、読取るべき時間数字情報12aが移動したとしても当該時間数字情報12aが、所定の移動範囲で時間読取補助領域201に重なって強調されていれば、その移動範囲内では読取るべき時間数字情報12aを一瞬で直感的に読取ることができるのである。そうなるように、時間読取拡張領域201bの時間情報先順側端部201cの位置を設定すれば良い。
このように時間切替重複領域201aから先の順序となる時間数字情報12aが配置される方向側に時間読取拡張領域201bを配置しているので、読取らせる時間数字情報12aが隣り合う時間数字情報12aのうち先の順序となる時間数字情報12aから後の順序となる時間数字情報12aに切替ったときから、当該切替った時間数字情報12aがその後の順序となる時間数字情報12aに切替るために移動しても、値を読まれるべき時間
数字情報12aが時間読取補助領域201に重なり強調されることになり、一瞬で直感的に読み取られるべき当該時間数字情報12aの値を読むことができる。
分読取補助領域202は、図2示すように、分用円盤8に配置された分目盛情報10が九時方向に位置したとき(デザイン上の理由により少し下に位置している。以下、同様)に重なる領域となっている。
また、分用円盤8に配置された分数字情報9が九時方向に位置したとき(デザイン上の理由により少し下に位置している。以下、同様)に当該分数字情報9が正立するようになっており、これにより、使用者は、当該分数字情報9が読取るべき値としてちょうどであることを認識する。そして、分読取補助領域202は、この正立した分数字情報9が十分含まれるように配置された領域となっている。
具体的には、分読取補助領域202の縦方向の長さは、時間切替重複領域201aの縦方向の長さと同じであって、分読取補助領域202の横方向の長さは、分用円盤8に配置された分数字情報9と分目盛情報10との横方向の長さより十分大きい長さとなっている。
分読取補助領域202の分用円盤8の先の順の分数字情報9が配置された側の分情報先順側端部202cおよび分読取補助領域202の分用円盤8の後の順の分数字情報9が配置された側の分情報後順側端部202dは、九時方向に略平行に配置されている。
読取り位置である九時方向の位置(デザイン上の理由により少し下に位置している。以下、同様)に対応する風防部材には、図1および図2に示すように、分用円盤8および時間用円盤11をそれぞれ横切るように、時間用指示線21および分用指示線22を表示しても良い。時間用指示線21および分用指示線22は、分用円盤8および時間用円盤11のそれぞれを横切るものでなくても良く、図1および図2に示した時間用指示線21および分用指示線22は、それぞれの指示線の一部が表示されていても良い。これらの指示線が全く表示されていない場合でも視線に対して読取り位置である九時方向の位置(左腕に時計を装着し、左腕を視認位置に動かして読み取る場合、中心軸Cから左方向の位置)だけ、時間数字情報12aと分数字情報9が正立するとともに、時間読取補助領域201と分読取補助領域202とが設けられているので、時分を読取ることは可能であるが、表示されていればより正確な読取が可能となる。
時間用指示線21および分用指示線22を表示する場合、例えば、風防部材の内面に、印刷で記すことができる。また、風防部材の外面に印刷されても良いし、円盤と風防部材との間に設けられても良い。
時間用指示線21および分用指示線22は、時間読取補助領域201内および分読取補助領域202内に表示されている必要もない。また、時間用指示線21および分用指示線22は、分用円盤8および時間用円盤11に重なる箇所だけでなく、重ならない箇所まで延長して表示されても良い。
図2に示すように、時間用指示線21は、第一時間用指示線21aと第二時間用指示線21bとで表示されている。分用指示線22は、第一分用指示線22aと第二分用指示線22bとで表示されている。
第一時間用指示線21aと第一分用指示線22aは、それぞれ時間用円盤11と分用円盤8に重なる箇所に配置されている。第二時間用指示線21bは、時間用円盤11に一部重なるように、第二分用指示線22bは、分用円盤8に重ならないように配置されている
。第一時間用指示線21aと第一分用指示線22aの形状は、直線である。第二時間用指示線21bと第二分用指示線22bの形状は、三角形である。
時間用指示線21は、時間用円盤11に配置された読取らせる時間数字情報12aが隣り合う時間数字情報12aのうち先の順序となる時間数字情報12a(例えば「9」)から後の順序となる時間数字情報12a(例えば「10」)に切替ったときに、後の順序となる時間数字情報12a(例えば「10」)の上下方向の中心位置を指示する位置に設けられている。分用指示線22aについても同様である。
したがって、これらの時間用指示線21、分用指示線22がそれぞれ指す位置と、時間用円盤11に配置された時間数字情報12a並びに分用円盤8に配置された数字の分数字情報9および目盛りの分目盛情報10との位置関係によって時分が、より、正確に読取れるようになっている。
この時間用指示線21および分用指示線22は、本願発明の指示部に相当する。
分用指示線22が、目盛りの分目盛情報10ちょうどを指したときは、当該分目盛情報の値を読み取る。分用指示線22が、隣り合う分目盛情報10の間を指すときには、隣り合う二つの分目盛情報10のうち先の順序となる値を読取る。
時間用指示線21が、時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部を指すときには、当該中心部の時間数字情報12aを読み取る。時間用指示線21が、隣り合う時間数字情報12aの中心部と中心部との間を指すときには、隣り合う時間数字情報12aのうち先の順序となる時間数字情報12aを読取る。この時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部は、本発明の所定情報の所定部位に相当する。
なお、この実施の形態では、時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部としているが、時間数字情報12aの上端部や下端部などの所定の位置としても良い。
図2を例として時間用円盤11の読取り方を具体的に説明する。
図2(A)では正時の10時00分を表しており、時間用指示線21が、「10」の時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部を指している。この場合には、時間用指示線21が指す中心部の時間数字情報12aの値の「10」を読み取るべき表示状態である。
この位置では、時間数字情報12aの値である「10」は、すべての部分で時間読取補助領域201に重なっている。より具体的には、時間数字情報12aの「10」は、時間切替重複領域201aに重なって表示されている。
このような、時間用指示線21および時間読取補助領域201と、時間数字情報12aの値である「10」との位置関係から、一瞬で直感的に時間数字情報12aの「10」の値を読むことができる。
図2(B)では10時30分を表しており、時間用指示線21が、「10」の時間数字情報12aの中心部と「11」の時間数字情報12aの中心部との間を指している。この場合には、「10」の時間数字情報12aと「11」の時間数字情報12aのうち、先の順序となる「10」の時間数字情報12aである「10」を読取るべき表示状態である。
この位置で、読取るべき時間数字情報12aの値である「10」は、すべての部分で時
間読取補助領域201に重なっている。より具体的には、時間数字情報12aの「10」の大半は、時間読取拡張領域201bに重なり、下の一部が時間切替重複領域201aに重なって表示されている。また、読取るべき時間数字情報12aの「10」の次の時間数字情報12aの「11」は、一部の部分でしか時間切替重複領域201aに重なっていない。このため、一瞬で直感的に時間数字情報12aの「10」の値を読むことができる。
図2(C)では10時55分を表しており、時間用指示線21が、「10」の時間数字情報12aの中心部と「11」の時間数字情報12aの中心部との間を指している。この場合には、「10」の時間数字情報12aと「11」の時間数字情報12aのうち、先の順序となる「10」の時間数字情報12aである「10」を読取るべき表示状態である。
この位置で、読取るべき時間数字情報12aの値である「10」は、すべての部分で時間読取補助領域201に重なっている。より具体的には、時間数字情報12aの「10」は、時間読取拡張領域201bに重なって表示されている。また、読取るべき時間数字情報12aの「10」の次の読取るべきでない時間数字情報12aの「11」は、すべての部分が時間切替重複領域201aに重なっていない。このため、一瞬で直感的に時間数字情報12aの「10」の値を読むことができる。
時間読取補助領域201を設けなければ、時間用指示線21と時間数字情報12aとの位置関係だけで時間数字情報12aを読取ることとなる。そのため、図2(C)では、時間用指示線21に重なる時間数字情報12aの値である「11」を、時間用指示線21が指す時間として誤認しやすくなってしまう。このように、時間読取補助領域201を設けることにより、時間用指示線21が指す時間の誤認を防ぐことができる。
〔第2の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置2の第2の実施形態について図面の図3と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態における時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部が時間用円盤11に表示されている点で異なる。また、第一時間用指示線21aの態様も異なる。さらに、時間読取補助領域201の外側に表示補助線23が表示されている点でも異なる。
図3に示すように、時間数字情報12aの中心部の表示である中心部表示12bは、直線として表示されている。この中心部表示12bが第一時間用指示線21aと重なることで、正時を明確に表示することができる。この中心部表示12bは、本発明の所定情報の所定部位を示す表示に相当する。
第一時間用指示線21aは、内部が塗りつぶされていない透明とされた中抜き直線となっている。よって、時間数字情報12aの中心部表示12bの直線と重なることで、第一時間用指示線21aが強調表示されるようになり、より明確に認識できるようになっている。
時間読取補助領域201の外側に設けられた表示補助線23は、時間用円盤11の先の順序の時間数字情報12aが配置された方向(時間用円盤11の回転方向)を示す矢印で表示されている。その形状も時間用円盤11の回転方向に沿った形状となっている。この表示補助線23により、時間用円盤11の回転方向を認識し、読むべき時間数字情報12aを誤認しないように補助することができる。表示補助線23は、風防部材に配置しているが、見返しリング7に配置しても良い。
この表示補助線23は、本発明の方向表示に相当する。
表示補助線23は、時間切替重複領域201aと時間読取拡張領域201bとにわたり、後の順序側から先の順序側に沿う方向に延びるとともに、時間読取拡張領域201bにおける先の順序側の端部まで達しないように設けられている。具体的には、表示補助線23は、時間用指示線21の延長上の位置を始点として、当該時間用指示線21に時間数字情報12aの中心部表示12bが重なった際に当該重なった時間数字情報12aの先の順序の時間数字情報12aの中心部表示12bの延長上の位置には達しない位置を終点とする長さで表示されている。これによって、読取るべき時間数字情報12aの中心部表示12bを延長した線が表示補助線23に重なったときに、読取るべきではない先の順序の時間数字情報12aが、表示補助線23の先端部から外れた回転位置にあるという印象を与えることにより、読取るべき時間数字情報12aの値を認識しやすくすることができる。
図3により、具体的に説明する。図3(A)は10時00分を表示している。読取るべき時間数字情報12aの値の「10」の中心部表示12bを延長した線(時間用指示線21を延長した線)は、表示補助線23の始点と重なっている。このとき、「9」の時間数字情報12aの中心部表示12bを延長した線は、表示補助線23とは重なっていない。図3(B)は10時30分を表示している。読取るべき時間数字情報12aの値の「10」の中心部表示12bを延長した線は、表示補助線23と重なっている。図3(C)は10時55分を表示している。読取るべき時間数字情報12aの値の「10」の中心部表示12bを延長した線は、表示補助線23の終点手前で重なり、11時00分となった際には、「10」の中心部表示12bを延長した線は、表示補助線23とは重ならない。このように、中心部表示12bの延長した線と表示補助線23とが重なる時間数字情報12aを読取るべき値とすることができる。すなわち、仮に、時間読取拡張領域201bと時間数字情報12aの値との位置関係から、読取るべき時間数字情報12aの値を判別し難い場合であっても、中心部表示12bの延長した線と表示補助線23との位置関係から、より、正確に、読取るべき時間数字情報12aの値を判別することができる。
〔第3の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置2の第3の実施形態について図面の図4と共に説明する。なお、第1、2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
図4に示すように、第3の実施形態では、第2の実施形態における矢印で表示された表示補助線23が、矢印ではないものとしてされたものである。
このようにすると、表示補助線23の表示をシンプルにすることができる。また、時間用指示線21の延長上から、時間用円盤11の先の順の時間数字情報12aが配置された方向(時間用円盤11の回転方向)にわたって表示されているので、矢印でなくとも時間用円盤11の回転方向を示唆していることになる。
この実施形態の場合も、図4(A)〜図4(C)に示したように、正時、30分、55分のそれぞれの時刻の表示状態において、読取るべき時間数字情報12aの値を、一瞬で直感的に読むことができる。
〔第4の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置2の第4の実施形態について図面の図5と共に説明する。なお、第1乃至3の実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
図5に示すように、第4の実施形態では、情報表示装置2の時間用円盤11及び分用円盤8を覆う図示しない風防部材における時間読取補助領域201および分読取補助領域202の読取補助領域20以外の部分を不透明とする難視認部24を備えている。この難視認部24を設けることで、読取補助領域20以外の情報に視線が向かないようになり、より早く読むべき情報に視線が向かうようになっている。
難視認部24を不透明にするには、風防部材に不透明のシールを貼付しても良いし、風防部材の当該部分を不透明部材としたり、不透明に着色しても良い。本実施例では、難視認部24を完全に不透明として、情報を視認できないようにしているが、読取補助領域20に重なる情報よりも視認し難い透明度にしても良い。また、風防部材における難視認部24を例えば時間数字情報12aと同じ色の半透明色に着色して、時間数字情報12aが難視認部24に重なることで、時間数字情報12aが視認し難いようにしても良い。また、風防部材と時間用円盤11および分用円盤8との間に、不透明な円盤部材を配置しても良い。
本願発明の複数の所定情報が読取補助領域に重なっておらず、視認困難となっている部分は、この難視認部24に相当する。
なお、第4の実施形態では、第2、第3の実施形態と異なり、時間数字情報12aの中心部表示12bが、内部が塗りつぶされていない透明とされた中抜き直線となっている。このようにすると、内部が塗りつぶされたものより中心部表示12bの表示が目立ちにくい。
この実施形態の場合も、図5(A)〜図5(C)に示したように、正時、30分、55分のそれぞれの時刻の表示状態において、読取るべき時間数字情報12aの値を、一瞬で直感的に読むことができる。
〔第5の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置2の第5の実施形態について図面の図6と共に説明する。なお、第1乃至4の実施形態と同様の部分については説明を適宜省略し、異なる部分について説明する。
第5の実施形態では、時間用円盤11の各々の時間数字情報12aの間であって、各々の時間用円盤11の先の順序の時間数字情報12aが配置される側には、時間数字情報12a間を区切る境界部12cが設けられている。境界部12cは、時間用円盤11の放射状の直線で表示されている。境界部12cは、図6(A)の「10」について示すように、時間数字情報12aが九時方向に位置したとき、すなわち時間用指示線21に時間数字情報12aの上下方向の中心部が指されたときにおいて、当該時間数字情報12aの先の順序の時間数字情報12aが配置された側(図では上方側)であって、時間用指示線21に略平行な線となっている。
また、境界部12cの両端は、時間数字情報12aの内側と外側とにわたって位置しており、隣合う時間数字情報12aの境界部12cの両端同士が円弧線で繋がれており、境界部12cと円弧線とで枠形状となっている。当該枠形状の中に各時間数字情報12aが配置されている。
この境界部12cと時間読取補助領域201との関係によって、読取るべき時間数字情報12aをさらに容易に読取ることができるようになっている。
図6(A)は、情報表示装置2が10時00分を表示している図である。読取るべき「10」の時間数字情報12aの境界部12cは、その先の順序の「9」の時間数字情報12aとの間であって、「10」の上方である先の順序の時間数字情報12a側に位置しており、時間読取補助領域201に重なって表示されている。一方、「10」の先の順序の時間数字情報12aである「9」の境界部12cは、時間読取拡張領域201bの時間情報先順側端部201cより時間用円盤11の先の順序の時間数字情報12aが配置された方向(図では上方側の時間用円盤11の回転方向)に位置しており、時間読取補助領域201とは重ならない。
図6(B)は、情報表示装置2が10時30分を表示している図である。読取るべき「10」の時間数字情報12aの境界部12cは、時間読取拡張領域201bに重なって表示されている。また、「10」の後の順序の時間数字情報12aである「11」の境界部12cは、時間切替重複領域201aに重なって表示されている。
図6(C)は、情報表示装置2が10時55分を表示している図である。読取るべき「10」の時間数字情報12aの境界部12cは、時間読取拡張領域201bに、時間情報先順側端部201c付近で重なって表示されている。そして、11時00分を表示した際には、「10」の時間数字情報12aの境界部12cは、図6(A)の「9」の時間数字情報12aの境界部12cと同様に、時間読取拡張領域201bの時間情報先順側端部201cより、時間用円盤11の先の順序の時間数字情報12aが配置された方向(時間用円盤11の回転方向側)に位置する。換言すると、11時00分を表示した際には、「10」の時間数字情報12aの境界部12cは、時間読取拡張領域201bに重ならない外側に配置されるようになる。
このように構成することで、仮に、第1の実施形態の表示では、時間数字情報12aの上端部が時間読取拡張領域201bの範囲を越えたか否かを判別し難い場合であっても、時間数字情報12aの境界部12cが時間読取拡張領域201bの範囲内にあるか否かによって、読取るべき時間数字情報12aの値が切り替わることを明確に認識させることができる。
〔第6の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置2の第6の実施形態について図面の図7と共に説明する。なお、第1乃至5の実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
第6の実施形態は、第5の実施形態において、第4の実施形態のように時間読取補助領域201および分読取補助領域202の読取補助領域20以外の部分を不透明とする難視認部24としたものである。
この実施形態の場合も、図7(A)〜図7(C)に示したように、正時、30分、55分のそれぞれの時刻の表示状態において、読取るべき時間数字情報12aの値を、一瞬で直感的に読むことができる。
〔第7の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置2の第7の実施形態について図面の図8と共に説明する。なお、第1乃至6の実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
第7の実施形態は、時間読取補助領域201および分読取補助領域202の読取補助領域20にグラデーションを施したものである。
この実施形態におけるグラデーションは、時間用円盤11の先の順序の時間数字情報12aおよび分用円盤8の先の順序の分数字情報9が配置された方向(時間用円盤11と分用円盤8の回転方向)に向かって色が濃くなるようなグラデーションとなっている。このグラデーションによって、時間用円盤11と分用円盤8の回転方向を把握しやすくなり、読取るべき値を認識しやすくすることができる。このグラデーションも本発明の方向表示に相当する。
図8においては、グラデーションの色の濃度の変化は、時間用指示線21に対して垂直方向に離れるにしたがって色が濃くなっているようにして表している。このように近似的に円盤の回転方向をイメージさせるようにしても良い。
また、時間数字情報12aの色とグラデーションの色とを同色系とすれば、次第に読取るべき値の先の時間数字情報12aの値の表示を目立たないようにすることもできる。
なお、グラデーションは、時間用円盤11と分用円盤8とに施したが、どちらか一方にしても良い。また、時間用円盤11の先の順の時間数字情報12aおよび分用円盤8の先の順の分数字情報9が配置された方向(時間用円盤11と分用円盤8の回転方向)に向かって色が薄くなるようなグラデーションを設けることも可能である。
この実施形態の場合も、図8(A)〜図8(C)に示したように、正時、30分、55分のそれぞれの時刻の表示状態において、読取るべき時間数字情報12aの値を、一瞬で直感的に読むことができる。
〔第8の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置2の第8の実施形態について図面の図9と共に説明する。なお、第1乃至7の実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
第8の実施形態は、第7の実施形態において、第4の実施形態のように時間読取補助領域201および分読取補助領域202の読取補助領域20以外の部分を不透明とする難視認部24としたものである。
この実施形態の場合も、図9(A)〜図9(C)に示したように、正時、30分、55分のそれぞれの時刻の表示状態において、読取るべき時間数字情報12aの値を、一瞬で直感的に読むことができる。
〔第9の実施形態〕
以下、本発明の情報表示装置2の第9の実施形態について図面の図10乃至図13と共に説明する。なお、第1乃至8の実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
第9の実施形態は、腕時計1に適用した情報表示装置2において、読取補助領域20を風防部材36に設けずに、時間用円盤11と分用円盤8の後側に設けたものである。
時間用円盤11と分用円盤8とは、後側に設けた読取補助領域20を視認できるように、透明な部材で構成されている。このため、図10(B)に示すように、読取補助領域20以外の部分もこれらの円盤の後側が視認でき、時間用円盤11と分用円盤8の後側に配置されたムーブメント30を視認することができるようになっている。図10では、ムーブメントの説明に必要な部分だけを図示し、ムーブメントの説明が不要な部分は図示を省
略している。また、ムーブメント30には、ムーブメント30を構成する部品を固定するムーブメント固定金具31が設けられる。このムーブメント固定金具31もムーブメントの一部として視認できるようになっている。
読取補助領域20は、第1乃至第8の実施形態と同様に配置されているが、第9の実施形態では、分読取補助領域202の上下方向の長さが時間切替重複領域201aの上下方向の長さより短くなっている。(図13)
図11に示すように、読取補助領域20は、リング状をしたスペーサリング25と一体に形成され、スペーサリング25からその内側に延出するように設けられている。換言するとスペーサリング25の一部分から内側に読取補助領域20が張り出したように形成されている。そして、スペーサリング25の内側にムーブメント固定金具31が配置される。このため読取補助領域20は、ムーブメント固定金具31とは、ほぼ同じ断面高さ位置で互いに平面方向には重ならず、互いの干渉を避けるように形成されている。
読取補助領域20には、第一時間用指示線21a、第二時間用指示線21b、第一分用指示線22a、表示補助線23が表示されている。第9の実施形態では、スペーサリング25やスペーサリング25のその内側に張り出した部分に溝を形成することで、第一時間用指示線21a、第二時間用指示線21b、第一分用指示線22a、表示補助線23が表示されているが、これに限定されない。また、溝に着色が施されても良い。
図12は、第9の実施形態の腕時計1の断面図である。腕時計1を構成する情報表示装置2はケース3に収容されたものである。風防部材36は、風防部材パッキン37を介してケース3の開口部に嵌められている。見返しリング7は、ケース3の開口部に嵌められて、その上から風防部材36によって押さえられている。見返しリング7とケース3とは別体となっているが、ケースと見返しリングとが一体に形成されていても良い。
ムーブメント30もケース3に収納されている。ムーブメント30は、ケース3内で支持枠33によって固定されている。そして、ケース3には裏蓋34が嵌められる。裏蓋34の係止部34aは、ケース3の内面に係合し、その先端で支持枠33を押さえる構造となっている。裏蓋34とケース3との間には裏蓋パッキン35が介在している。
ムーブメント30から突出した駆動軸32の分用軸、時間用軸のそれぞれには、分用円盤8、時間用円盤11がそれぞれに取付けられている。時間用円盤11は分用円盤8の後側(図12において下側)に設けられている。なお、駆動軸32には秒用軸があり秒針6が取付けられるが、図12では、図示を省略している。
時間用円盤11とムーブメント30との間であって、時間用円盤11のムーブメント30側には、読取補助領域20と一体に形成されたスペーサリング25が配置されている。時間用円盤11と分用円盤8とは透明部材で構成されているので、スペーサリング25に形成されている読取補助領域20を視認することができる。また、スペーサリング25の内側であって読取補助領域20以外の部分では、ムーブメント30も視認することができる。
スペーサリング25の外径は、ムーブメント30の外径とほぼ同じであり、見返しリング7の内周より大きくなっている。このため、図12に示すように、ムーブメント30と見返しリング7とで、スペーサリング25を挟んで固定するようになっている。
このように、スペーサリング25は、見返しリング7とムーブメント30との間のスペーサとしても機能していることになり、本願発明のムーブメントと外装部品との間に設けられる環状スペーサに相当する。
このスペーサリング25の外径寸法や厚さを、固定された文字盤と回転する時分針とで構成される一般的な時計の文字盤の厚さと同じに設定すれば、スペーサリング25とムーブメント固定金具31とを固定式の文字盤に、分用円盤8を分針に、時間用円盤11を時針に変更するだけで、他の部材を変更せずに一般的な時計に変更することができる。よって、経済的に設計の変更が行えるようになる。
ムーブメント固定金具31は、図12では図示していないが、スペーサリング25の内側であって読取補助領域20と干渉しない位置に配置されている。
本実施形態では、読取補助領域20やスペーサリング25は不透明としているが、読取補助領域20に重なる読取るべき時間数字情報12a等を強調できる程度にまで透明な部材としても良い。この場合には、当該部分においてもムーブメント30が視認できるようになる。
また、読取補助領域20に重ならない部分のムーブメント30の表面を時間数字情報12a、分数字情報9、分目盛情報10の色と同色系に設定すれば、読取補助領域20以外の部分の各情報を目立たなくすることができ、第4、第6および第8の実施形態の難視認部24と同様の作用効果を得ることができる。この場合のムーブメント30は、複数の所定情報が読取補助領域に重なっておらず視認困難となっている部分であり、難視認部に相当する。
図13により、本実施形態の読取補助領域20について更に具体的に説明する。
本実施形態では、分読取補助領域202の上下方向の長さが時間切替重複領域201aの上下方向の長さより短くなっている。具体的には、分読取補助領域202の分情報後順側端部202dは、時間切替重複領域201aの時間情報後順側端部201dよりも上側に位置している。分読取補助領域202の分情報先順側端部202cのほぼ右半分は、分情報後順側端部202dの第一分用指示線22aについて線対称に位置している。時間読取拡張領域201bの時間情報先順側端部201cと分読取補助領域202の分情報先順側端部202cとはなだらかに接続された線形となっている。時間切替重複領域201aの時間情報後順側端部201dと分読取補助領域202の分情報後順側端部202dとも同様になだらかに接続された線形となっている。
また、読取補助領域20は、ムーブメント固定金具31を避けるように形成されている。
図13(A)は、正時の10時00分を表している。第一時間用指示線21aおよび第二時間用指示線21bが「10」の時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部を指しており、第一分用指示線22aが「00」の分数字情報9に対応する分目盛情報10を指している。
この位置で、切替った時間数字情報12a「10」の先の順序の時間数字情報12a「9」の一部は、時間読取拡張領域201bからはみ出している。
このため、すべての部分で時間読取補助領域201に重なり、第一時間用指示線21aおよび第二時間用指示線21bが上下方向の中心部を指している時間数字情報12a「10」が読取るべき時間数字情報12aであり、時間読取拡張領域201bからはみ出している先の順序の時間数字情報12a「9」は読取るべき時間数字情報12aではないと認識することができる。
図13(B)は、10時35分を表している。第一時間用指示線21aおよび第二時間用指示線21bが「10」の時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部と次の時間数字情報12aである「11」の上下方向の中心位置である中心部との間を指しており、分用指示線22が「35」の分数字情報9に対応する分目盛情報10を指している。
この位置で、読取るべき時間数字情報12aの値である「10」は、すべての部分で時間読取補助領域201に重なっている。また、読取るべき時間数字情報12aの「10」の後の順序である時間数字情報12aの「11」は、一部の部分でしか時間読取補助領域201に重なっていない。このため、一瞬で直感的に時間数字情報12aの「10」の値を読むことができる。
図13(C)は、10時55分を表している。第一時間用指示線21aおよび第二時間用指示線21bが「10」の時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部と次の時間数字情報12aである「11」の上下方向の中心位置である中心部との間を指しており、分用指示線22が「55」の分数字情報9に対応する分目盛情報10を指している。
この位置で、読取るべき時間数字情報12aの値である「10」は、大半の部分で時間読取補助領域201に重なっている。本実施形態の場合では、55分より前の53分頃までは「10」が時間読取補助領域201に重なるようになっており、この時点までは、一瞬で直感的に時間数字情報12aの「10」の値を読むことができる。
先にも述べたように、必ず59分までの読み取るべき値である「10」が時間読取補助領域201に重なっている必要はなく、各種の制約条件によって、時間読取補助領域201は設定される。要は、時間切替重複領域201aの時間用円盤11の先の順の時間数字情報12aが配置された方向(時間用円盤11の回転方向)側に時間読取拡張領域201b設けられていれば一定の効果が生じるのである。
表示補助線23についても、第2の実施形態のように、時間用指示線21の延長上の位置を始点として、当該時間用指示線21に時間数字情報12aの中心部表示12bが重なった際に当該重なった時間数字情報12aの先の順序の時間数字情報12aの中心部表示12bの延長上の位置には達しない位置を終点とする長さにはなっておらず、少し円盤の回転方向へ位置が移動している。これは、表示補助線23を、時間数字情報12aの上下方向の中心位置である中心部ではなく、時間数字情報12aの上部の位置にあわせて移動させたものである。 図13(A)における正時となった時間数字情報12aの「10」の上部を外側に延長した位置で重なる部分が表示補助線23の始点となっている。そして、図13(C)における10時55分となった時間数字情報12aの「10」の上部を外側に延長した位置で重なる部分が表示補助線23の終点となっている。このように表示補助線23を設けたので、10時55分において、時間数字情報12aの「10」が時間読取拡張領域201bから少しはみ出したとしても、「10」を読取らせることを補助することができる。
なお、本実施形態では、スペーサリング25に一体に形成した読取補助領域20としたが、これに限定されない。スペーサリング25に一体に形成しないで、ムーブメント30に読取補助領域20を印刷するなどして構成しても良い。そのようにすれば、読取補助領域20をムーブメント固定金具31との干渉を考慮しないで形成することができる。
〔第10の実施形態〕
第1乃至第9の実施形態では、時計の時間の表示に適用した場合を中心に説明したが、分の表示に適用しても良く、年月日のような日付や曜日についての表示に適用しても良い。
以下に、腕時計における日付表示に本発明を適用した第10の実施形態を説明する。説明は、従来技術を図14によって説明し、第10の実施形態は、図15とともに説明する。なお、第1乃至9の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図14は、従来技術の腕時計における日付の表示を示したものである。図14(A)は、7日午後11時00分を示している。図14(B)は、7日午後11時50分を示している。図14(C)は、8日午前12時00分を示している。
腕時計1は、ケース3、竜頭5、時針41、分針42、秒針6を有し、文字盤の三時方向の位置に日付表示窓Wが開口して形成されている。日付表示窓Wの後方には、複数の日付を示す日付数字情報43が配置された日車45が配置されている。そして、日付表示窓Wを介して、日車45に配置された日付数字情報43が表示されるようになっている。
この従来技術の腕時計では、日車45は以下のように回転する。
午後11時00分までは、日付数字情報43の「7」の上下方向中心位置が日付表示窓Wの上下方向中心位置に配置され、日付表示窓W内には、傾いていない正立した日付数字情報43「7」がすべて表示される。その後、日車45が回転を開始し始めて、午後11時50分では、日付数字情報43の「7」と「8」との中間位置が日付表示窓Wの上下方向中心位置に配置され、日付表示窓W内には、左に傾いた日付数字情報43の「7」の下部と右に傾いた日付数字情報43の「8」の上部が表示される。そして、午前12時00分では、日付数字情報43の「8」の上下方向中心位置が日付表示窓Wの上下方向中心位置に配置され、日付表示窓W内には、傾いていない正立した日付数字情報43「8」がすべて表示される。
使用者は、日付数字情報43が傾いていないで正立した状態、日付数字情報43が三時方向に位置した状態、日付数字情報43のすべてが日付表示窓W内に含まれている状態、あるいは日付数字情報43の上下方向の中心位置が日付表示窓Wの上下方向中心位置に配置されている状態を視認することで、日付数字情報43が切替っていることを認識する。
このような構成において、特に図14(B)の午後11時50分に示すような状態、すなわち、日付表示窓W内に、左に傾いた日付数字情報43の「7」の下部と右に傾いた日付数字情報43の「8」の上部が表示された状態では、日付数字情報43について、「7」と読むべきか「8」と読むべきかが一瞬で直感的に読取ることが難しい。
そこで、第10の実施形態では、日付表示窓に本発明の読取補助領域20を日付読取補助領域203として適用し、日付数字情報43を読取らせるのを補助している。図15(A)は、7日午後11時00分を示している。図15(B)は、7日午後11時50分を示している。図15(C)は、8日午前12時00分を示している。
図15に示すように、日付表示窓である日付読取補助領域203は、複数の日付数字情報43のうち先の順序となる日付数字情報43が配置される位置と後の順序となる日付数字情報43が配置される位置との方向(図15(A)では「6」が配置される位置と「7」が配置される位置との上下方向)にわたって配置されている。日付読取補助領域203は、日車45の回転方向に沿うような形状となっている。
本実施形態の日付読取補助領域203は、本発明の読取補助領域に相当する。
日付読取補助領域203は、日付切替重複領域203aと日付読取拡張領域203bとで構成されている。
日付切替重複領域203aは、従来技術の日付表示窓に相当するもので、読取らせる日付数字情報43が隣り合う日付数字情報43のうち先の順序となる日付数字情報43から後の順序となる日付数字情報43に切替ったときに当該切替った日付数字情報43の位置に重なる領域である。具体的には、図15(A)に示された状態の「7」は、先の順序となる「6」から「7」に切替った日付数字情報であり、当該切替った「7」をすべて含み「6」を含まない領域が日付切替重複領域203aである。図15(A)に示すように、日付切替重複領域203aの横方向の長さは、日付数字情報43の横方向の長さより十分に長くなっている。また、日付切替重複領域203aの縦方向の長さは、切替ったときに当該切替った日付数字情報43の縦方向の長さより若干長くなっている。
本実施形態の日付切替重複領域203aは、本発明の切替重複領域に相当する。また、本実施形態の日車45および日付数字情報43は、本発明の表示部材および所定情報に相当する。
日付読取拡張領域203bは、日付切替重複領域203aから日車45に配置された複数の日付数字情報43のうち先の順序となる日付数字情報43が配置される方向側に位置している。具体的には、図15に示すように、日付切替重複領域203aの上方に隣接し、日車45の回転方向に沿って位置している。
図15(A)乃至図15(C)に示すように、日付読取拡張領域203bの横方向の長さは、日付切替重複領域203aと同じであり日付表示窓と同じ長さで日付数字情報43の横方向の長さより十分に長くなっている。
日付読取拡張領域203bの日車45の先の順の日付数字情報43が配置された方向側の端部である日付情報先順側端部203cは、図15(B)に示すように、切替った日付数字情報43「7」が次の順の日付数字情報43「8」に切替るために移動しても表示される位置に配置されている。
本実施形態では、日付情報先順側端部203cの位置は、午後11時50分の日付数字情報43の「7」と「8」との中間位置が日付切替重複領域203aの上下方向中心位置に配置されたときに、左に傾いた日付数字情報43の「7」がすべて日付読取補助領域203に重なるようになっている。しかしながら必ずしもこれに限定されず、適宜に設定されても良い。
本実施形態の日付読取拡張領域203bは、本発明の読取拡張領域に相当する。
このように日付切替重複領域203aから日車45に配置された複数の日付数字情報43のうち先の順序となる日付数字情報43が配置される方向側に日付読取拡張領域203bを備えているので、切替った日付数字情報43「7」が次の順の日付数字情報43「8」に切替るために移動しても、値を読まれるべき日付数字情報43「7」のすべてが日付読取補助領域203の日付表示窓を介して視認されるようになり、一瞬で直感的に当該日付数字情報43の値を読むことができる。
日車の動きには、3つのパターンがある。一つ目は、例えば午前12時00分などの切
替り時刻の例えば1時間前(午後11時00分)などの所定時間前までは日車が前の日付で停止しており、その後に日車が動き始め、切替り時刻まで一定速度で回転し、切替り時刻で日車が後の日付で停止するパターンである。二つ目は、切替り時刻の所定時間前(例えば午後11時00分)までは日車が停止しており、その後に日車が動き始め、前の日付と後の日付とが半々に見える程度(図15(B)の状態)にまで徐々に動き、切替り時刻の直前までその状態となっており、切替り時刻となると瞬時に後の日付に切替るパターンである。三つ目は、切替り時刻直前まで日車は前の日付で停止しており、切替り時刻となると瞬時に後の日付に切替るパターンである。
本第10の実施形態は、一つ目と二つ目のパターンに適用した場合に有効であり、特に二つ目のパターンのものに適用すれば、一瞬で直感的に日付を読取ることができる。
なお、本実施形態は、文字板が、不透明の部材で構成されて第4の実施形態等の難視認部24に対応する。
〔他の変形例〕
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
例えば、第9の実施形態においては、読取補助領域20をスペーサリング25と一体に形成したが、読取補助領域20をスペーサリング25と別の部材として、風防部材36に設けても良い。
本実施形態では、時間用円盤11を回転させ、読取補助領域20を固定させる形態であったが、これとは逆の構成にすることも可能である。例えば、図1に示した時間用円盤11の背面側に時間用の文字板をムーブメントに固定して配置し、これに時間数字情報12aを図1とは逆順に記し、時間用円盤11を透明な部材で構成して、これに時間読取補助領域201を半透明に形成すると良い。
この構成により、時間数字情報12a側が固定で、時間読取補助領域201側が回転することになる。分数字情報9と分読取補助領域202についても同様である。
また、各実施形態のように、時間読取補助領域201を設ける円盤や分読取補助領域202を設ける円盤に、図1に示した時間用指示線21および分用指示線22を設けることもできるし、時間読取補助領域201を設ける円盤に、図3に示した表示用補助線23を設けることもできる。
このように、本発明は、時間数字情報12a等の複数の所定情報を配置した表示部材と、読取補助領域20を設けた部材とを相対的に移動させる情報表示装置に適用することができる。
本実施形態では、時間用円盤11と分用円盤8とを回転させ、読取補助領域を固定させる形態であった。しかし、時間数字情報や分数字情報を表面に配置したドラムを回転させるようにしたものにも適用できる。この場合には、本願発明の読取補助領域を、回転するドラムを覆う透明なカバーなどに設ける。
時計だけでなく、体重計や高度計、気圧計などの情報表示装置にも適用が可能である。