[関連構成]
図1は、後述の第一乃至第四実施形態の判定装置に関連する判定装置である判定装置101aの構成を表す概念図である。判定装置101aは物が所定の位置にあるか否かを判定する判定装置である。
判定装置101aは、処理部10cと、記録部11cと、センサ部20cと、通信部40cと、アンテナ41cとを備える。
センサ部20cは、対象物がある可能性のある向きに赤外線を放射する。センサ部20cは、当該赤外線の放射を、例えば、センサ部20cが備えるLED(light emitting diode)により行う。
センサ部20cは、また、対象物がある可能性があることが想定される向きから入射される赤外線を観測する。センサ部20cは、当該観測を、例えば、センサ部20cが備えるPSD(Position Sensitive Detector)により行う。PSDによる赤外線の観測の具体例は後述する。センサ部20cは、入射された赤外線の観測結果を表す情報を、処理部10cに入力する。
処理部10cは、センサ部20cに対し、赤外線の放射の開始及び停止、並びに、赤外線の観測の開始及び停止を指示する。処理部10cは、また、センサ部20cから送られた赤外線の観測結果を表す情報から、対象物がある可能性のある位置に対象物が存在するか否かを判定する。
そして、処理部10cは、記録部11cから、判定装置101aの識別情報を読み込む。当該識別情報は、判定装置101aを他の判定装置と識別するための情報である。そして、処理部10cは、当該識別情報を、対象物がある可能性のある位置に対象物が存在するかについての判定結果を表す情報と組み合わせた組合せ情報を作成する。そして、処理部10cは、当該組合せ情報を通信部40cに送る。
記録部11cは、判定装置101aの識別情報を保持する。記録部11cは、処理部10cの指示により、当該識別情報を処理部10cに送る。
通信部40cは、処理部10cから送られた前記組合せ情報を、アンテナ41cを通じて、図示しない受信機に無線により送付する。当該受信機は、受け取った組み合わせた情報を出力する。
判定装置101aは、上記構成以外に図示しない電源を備える。当該電源は、判定装置101aを構成する各部に電力を供給する。当該電源は典型的には電池である。
図2は、センサ部の構成例、動作例及び出力例を表すイメージ図である。
図2(a)は、図1に表すセンサ部20cの例であるセンサ部20caの構成及びその動作例を表す概念図である。図2(b)は図2(a)に表すPSD202aの出力を表すイメージ図である。図2(a)には、対象物204a、204bを併せて表してある。対象物204a、204bは、センサ部20caが、赤外線を放射し反射された赤外線を観測する対象とする物である。図2(a)に表すように、対象物204aは対象物204bより、センサ部20caからの距離が近い。
センサ部20caは、LED201aと、PSD202aと、レンズ203a、203bとを備える。LED201a及びPSD202aは、それぞれ、図1に表す処理部10cに接続されている。
LED201aは、処理部10cから送られた電力により、レンズ203aを通じて、赤外線96aを出射する。レンズ203aは、LED201aから入射される赤外線96aの広がりを調整する。赤外線96aは対象物204a、204bに放射される。
対象物204aに放射された赤外線96aは、対象物204aにより反射され、赤外線96baとして、レンズ203bを通じてPSD202aのRで表す位置近傍に入射する。レンズ203bは、入射される赤外線96baの広がりを調整する。
一方、対象物204bに放射された赤外線96aは、対象物204bにより反射し、赤外線96bbとして、レンズ203bを通じてPSD202aのLで表す位置に近い位置に入射する。レンズ203bは、入射される赤外線96bbの広がりを調整する。
PSD202aは、図2(b)に表すように、入射する赤外光のピーク位置が位置Rに近いほどより大きな電圧を、処理部10cに対して出力する。
処理部10cは、PSD202aから送られる出力電圧により、対象物のセンサ部20caからの距離に関する情報を得る。処理部10cは、予め対象が所定の位置にある場合に想定されるPSD202aからの出力電圧値を保持している。そして、当該電圧値と実際にPSD202aから送られた電圧値とを比較することにより、対象物が当該位置にあるか否かを判定する。
次に、図1に表す判定装置101aに対する太陽光の影響を説明する。
図3は、センサ部20caへの太陽光の影響を表す図である。図3(a)は、センサ部20caの構成及びその動作例を表す概念図である。図3(b)は図3(a)に表すPSD202aの出力を表すイメージ図である。図3(a)には、対象物204b及び太陽195を併せて表してある。太陽195からの太陽光194aがPSD202aに入射する場合を表す。
太陽195は遠方にあるため、太陽光194aがPSD202aに入射する場合には、太陽光194aがPSD202aの位置Lの近傍に入射する。そして、太陽光194aに含まれる赤外線の強度が、LED201aから出射され対象物204bにより反射してPSD202aの位置Rにより近い位置に入射した赤外線の強度を上回ったとする。すると、PSD202aは、位置Lに近い位置に入射した赤外線のピークがあることから、太陽光194aがない場合よりも低い電圧を出力する。
一方、処理部10cは、対象物204bとの距離が所定の値である場合を想定したPSD202aの出力電圧値と、実際の出力電圧値との比較により、対象物204bまでの距離が所定の値であるか否かを判定する。しかしながら、当該想定した出力電圧値には、太陽光194aによる電圧低下の影響は考慮されていない。当該PSD202aからの出力電圧値は太陽光194aがない場合よりも低いので、処理部10cは、太陽光の影響により、対象物204bが実際より遠くにあることを検出することになる。
次に、センサ部20cに入射する太陽光の影響の測定結果について説明する。
図4は、PSDの出力への太陽光の影響を測定する方法を表すイメージ図及び測定結果を表す図である。
図4(a)は、PSDの出力への太陽光の影響を測定する方法を表すイメージ図である。
まず、判定装置101aと反射板205cとからなるセット70cを用意する。反射板205cが対象物である。そして、太陽光が判定装置101aのセンサ部20c(図1、図2参照)に入射する場合があるように、セット70cを同一平面内において回転させる。図4(a)において、線95aは太陽の方向を表す。また、線95bは、図2に表すPSD202aによる赤外線の検出方向を表す。そして、判定装置101aは、線95aと線95bとのなす角度97aと、PSD202aの出力電圧との関係を求める。
図4(b)は、角度97aとPSD202aによる出力電圧との関係の測定結果を表す図である。そして、PSD202aは、出力電圧が1V以上であれば、反射板が適正な位置にあると判定できるように出力設定されている。
出力電圧は、角度97aの値が97度付近から117度付近の約20度の範囲で、1Vより小さくなり得る。従い、97度より小さい方向及び117度より大きい方向のそれぞれに5度程度のマージンを考慮して、92度から122度の間の30度の範囲を除けば、判定装置101aは、反射板205cが所定の位置にあることを正しく検出できると考えられる。
上記測定結果は、PSDによる検出方向を所定の角度(30度)以上ずらして互いに固定した二つのセンサ部を用意すれば、それら二つのセンサ部のうちのいずれかは対象物が正しい位置にあるかを判定し得る情報を提供できることを表す。ここで、当該二つのセンサ部のそれぞれは図1に表すセンサ部20cに相当するセンサ部であっても構わない。
<第一実施形態>
第一実施形態は、赤外線の検出方向の異なる複数のセンサ部を備える判定装置についての実施形態である。
[構成と動作]
図5は、第一実施形態の判定装置の例である判定装置101cの構成を表す概念図である。
図5に表す判定装置101cは、処理部10cと、記録部11cと、検出部121cと、通信部40cと、アンテナ41cとを備える。検出部121cは、センサ部20c、21cを備える。
検出部121cが備えるセンサ部20c、21cの各々の構成は、例えば、図2に表すセンサ部20caの構成である。そして、センサ部20caの動作例は、図2及びその説明の通りである。センサ部20c、21cの設置については図6を参照して後述する。
また、図5に表す、記録部11c、通信部40c及びアンテナ41cの説明は、図1に表す記録部11c、通信部40c及びアンテナ41cの説明と同じである。
また、処理部10cについての説明は、図1に表す処理部10cについての説明において、「センサ部20c」を、「センサ部20c、21c」と読み替えたものである。
判定装置101cは、上記構成以外に図示しない電源を備える。当該電源は、判定装置101cを構成する各部に電力を供給する。当該電源は典型的には電池である。判定装置101cが当該電源を備える点は、後述の、図12及び図16に表す判定装置101cにおいても同じである。
図6は、センサ部20c、21cの設置例を表すイメージ図である。図6には、対象物204cも併せて表してある。
センサ部20cとセンサ部21cとは互いに固定されている。センサ部20cの赤外線検出方向とセンサ部21cの赤外線検出方向とは角度97dだけ異なる。
センサ部20cは、矢印99fの向きに赤外線を放射する。放射された当該赤外線は対象物204cの位置87aに当たり、反射され、矢印99fの逆向きに進む。そして、反射された赤外線は、センサ部20cに入射し、電圧に変換され、第一出力として出力される。第一出力は図5に表す処理部10cに入力される。
センサ部21cは、矢印99gの向きに赤外線を放射する。当該赤外線は対象物204cの位置87bに当たり、反射され、矢印99gの逆向きに進む。そして、反射された赤外線は、センサ部21cに入射し、電圧に変換され、第二出力として出力される。第二出力は図5に表す処理部10cに入力される。
矢印99fと矢印99gとのなす角度は角度97dである。角度97dは、センサ部20cの赤外線検出方向とセンサ部21cの赤外線検出方向とがなす角度である。角度97dの大きさは、図4に表す測定結果からは、20度以上であることが好ましく、マージンを考慮すると30度以上であることがより好ましい。また、位置87aと位置87bとの間の距離である距離89aは、対象物204cの幅である距離89bより小さい必要がある。センサ部20cとセンサ部21cの双方が対象物204cにより反射された赤外線を検出できるようにするためである。
図5に表す処理部10cは、第一出力の電圧と第二出力の電圧のそれぞれが、予め設定された値であるかを判定する。ここで、当該予め設定された値は、赤外線センサから対象物(位置87aまたは87b)までの距離が想定されたものであるとして予め設定された値である。赤外線センサから対象物(位置87aまたは87b)までの距離が想定されたものであるということは、対象物204c(位置87aまたは87b)が想定された位置にあることを意味することを想定する。すなわち、対象物204cが想定された場所に存在するということを意味することを想定する。
そして、処理部10cは、第一出力が第一出力として予め設定された値であると判定されるか、第二出力が第二出力として予め設定された値であると判定されるかの、いずれかの場合に、組合せ情報を出力する。当該組合せ情報は、対象物204cが所定の位置にあることを表す情報を、判定装置101cの識別情報と組み合わせた情報である。
図示は省略するが、第一実施形態の判定装置において、対象物に対し赤外線を放出する部分(LED等)は共通である場合も想定され得る。その場合は、赤外線の放出方向は一つである。一方、二つのセンサ部において赤外線を検出する部分(PSD等)の赤外線検出方向は異なる。
図5に表す判定装置101cは、次に説明するように、例えば、コンテナである対象物が台車上の所定の位置にあるか否かを判定する判定システムに適用することができる。
図7は、第一実施形態の判定システムの第一の例である判定システム11aを表すイメージ図である。図7には、対象物204dを併せて表してある。対象物204dは、例えば、台車上に置かれるコンテナである。判定システム11aは、牽引車により牽引する台車上の対象物の有無を判定する判定システムである。
判定システム11aは、牽引車105aと、台車103a、103bと、判定装置101ca、101cbとを備える。
牽引車105aは受信機104aを備える。
台車103aには、判定装置101caが設置されている。判定装置101caの構成例は、例えば、図5に表す判定装置101cの構成である。
判定装置101caは台車103a上に対象物があるか否かを判定する。そして、判定装置101caは、台車103a上に対象物があるか否かの判定結果を表す情報を判定装置101caの識別情報と組み合わせた組合せ情報を、矢印191aが表す無線電波により受信機104aに送る。図7においては台車103a上には対象物204dが置かれている。そのため、判定装置101caは、台車103a上に対象物があることを表す情報を判定装置101caの識別情報とを組み合わせた組合せ情報を、受信機104aに送る。
判定装置101cbは台車103b上に対象物があるか否かを判定する。そして、判定装置101cbは、台車103b上に対象物があるか否かを表す情報を判定装置101cbの識別情報とひもづけた情報を、矢印191bが表す無線電波により受信機104aに送る。図7においては台車103b上には対象物が置かれていない。そのため、判定装置101cbは、台車103b上に対象物がないことを表す情報を判定装置101cbの識別情報と組み合わせた組合せ情報を、受信機104aに送る。
受信機104aは、判定装置101ca、101cbから送られる情報により、台車103aと台車103bの各々に対象物があるか否かを表す情報を出力する。当該出力は、例えば、画面への表示である。牽引車105aの運転者や搭乗者は当該画面を見て、台車103aと台車103bの各々の上に対象物があるか否かを知る。当該運転者や搭乗者は、牽引車105aに乗ったまま、後方を目視しなくても、各台車上の対象物の有無を知ることができる。
受信機104aは、台車103aと台車103bの各々の上に対象物があるか否かを表す情報を他の位置にある他の受信機に無線により送り出力させても構わない。その場合、当該他の受信機の利用者は、当該出力により、台車103aと台車103bの各々の上に対象物があるか否かを知ることができる。当該他の受信機は例えば複数の判定システム11aを管理する管理センタに設置される。
図8は、第一実施形態の判定システムの第二の例である判定システム11bを表すイメージ図である。図8には、対象物204dを併せて表してある。判定システム11bは、駐車された台車上の対象物の有無を判定する判定システムである。
判定システム11bは、台車103a、103bと、判定装置101ca、101cbと、受信機104aとを備える。
判定装置101ca、101cb及び受信機104aの説明は、以下の説明を除き、図7に表す判定装置101ca、101cb及び受信機104aの説明と同じである。
受信機104aは、牽引車が備える物ではなく、地上に設置された物である。
受信機104aは、判定装置101ca、101cbから送られる情報により、台車103aと台車103bの各々に対象物があるか否かを表す情報を出力する。当該出力は、例えば、画面への表示である。その場合、受信機104aの周りにいる者は当該画面を見て、台車103aと台車103bの各々の上に対象物があるか否かを知る。
受信機104aは、台車103aと台車103bの各々の上に対象物があるか否かを表す情報を他の位置にある他の受信機に無線により送り出力させても構わない。その場合、当該他の受信機の利用者は、当該出力により、台車103aと台車103bの各々の上に対象物があるか否かを知ることができる。当該他の受信機は例えば複数の判定システム11aを管理する管理センタに設置される。
[処理フロー]
図9は、図5に表す判定装置101cの処理部10cが行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
処理部10cは、まず、S101の処理として、記録部11cから判定装置101cの識別情報を読み込む。
そして、処理部10cは、S102の処理として、積算値Ct0及びCt1に0を代入する。ここで、積算値Ct0は、処理部10cが後述のS112乃至S114の処理を行った積算回数を表す値である。また、積算値Ct1は、処理部10cが後述のS122乃至S124の処理を行った積算回数を表す値である。
そして、処理部10cは、S103の処理として、積算値Fd0及びFd1に0を代入する。ここで、積算値Fd0は、後述のS113において処理部10cが「yes」を判定した積算回数を表す値である。また、積算値Fd1は、後述のS123において処理部10cが「yes」を判定した積算回数を表す値である。
次に、処理部10cは、S111の処理として、センサ部20cに動作を開始させる。センサ部20cは、赤外線の放射と入射された赤外線の検出を開始する。センサ部20cが図3に表すセンサ部20caである場合は、赤外線の当該放射はLED201aにより、赤外線の当該検出はPSD202aにより、それぞれ行われる。センサ部20cは、また、赤外線の検出結果を表す情報の処理部10cへの送付を開始する。
そして、処理部10cは、S112の処理として、積算値Ct0の値を一つ増やす。
そして、処理部10cは、S113の処理として、センサ部20cからの出力電圧が、閾値Vt1以上かを判定する。ここで、閾値Vt1は、センサ部20cからの出力が閾値Vt1以上である場合には対象物が所定の位置にあることを判定することを想定して定められた、センサ部20cからの出力についての閾値である。ただし、当該判定は、処理部10cが当該判定を複数回行い、複数の当該判定の結果から後述のS131及びS132の処理により、対象物が所定の位置にあることについての判定を行うための判定である。
処理部10cは、S113の処理により「yes」を判定した場合は、S114の処理を行う。
一方、処理部10cは、S113の処理により「no」を判定した場合は、S115の処理を行う。
処理部10cは、S114の処理を行う場合は、同処理として、積算値Fd0の値を一つ増やす。
そして、処理部10cは、S115の処理として、積算値Ct0が閾値Ct0th以上であるかを判定する。ここで、閾値Ct0thは、S112乃至S114の処理を行う回数について予め設定された閾値である。
処理部10cは、S115の処理に「yes」を判定した場合は、S116の処理を行う。
一方、処理部10cは、S115の処理により「no」を判定した場合は、前述のS112の処理を再度行う。
処理部10cは、S116の処理を行う場合は、同処理として、センサ部20cの動作を停止させる。これにより、センサ部20cは、赤外線の放射と入射された赤外線の検出を停止する。センサ部20cが図3に表すセンサ部20caである場合は、赤外線の当該放射はLED201aにより、赤外線の当該検出はPSD202aにより、それぞれ停止される。センサ部20cは、さらに、赤外線の検出結果を表す情報の処理部10cへの送付を停止する。
次に、処理部10cは、S121の処理として、センサ部21cに動作を開始させる。これにより、センサ部21cは、赤外線の放射と入射された赤外線の検出を開始する。センサ部21cが図3に表すセンサ部20caである場合は、赤外線の当該放射はLED201aにより、赤外線の当該検出はPSD202aにより、それぞれ行われる。センサ部21cは、また、赤外線の検出結果を表す情報の処理部10cへの送付を開始する。
そして、処理部10cは、S122の処理として、積算値Ct1の値を一つ増やす。
そして、処理部10cは、S123の処理として、センサ部21cからの出力電圧が、閾値Vt2以上かを判定する。ここで、閾値Vt2は、センサ部21cからの出力が閾値Vt2以上である場合に対象物が所定の位置にあることを判定するとして予め定められた、センサ部21cからの出力についての閾値である。ただし、当該判定は、処理部10cは当該判定を複数回行い、それら複数の判定の判定結果から後述のS131及びS132の処理により、対象物が所定の位置にあることについての判定を行うための判定である。
処理部10cは、S123の処理により、当該出力電圧が閾値Vt2以上であることを判定した場合は、S124の処理を行う。
一方、処理部10cは、S123の処理により、当該出力電圧が閾値Vt2以上であることを判定しなかった場合は、S125の処理を行う。
処理部10cは、S124の処理を行う場合は、同処理として、積算値Fd1の値を一つ増やす。
そして、処理部10cは、S125の処理として、積算値Ct1が閾値Ct1th以上であるかを判定する。ここで、閾値Ct1thは、S122乃至S124の処理を行う回数として予め設定された閾値である。
処理部10cは、S125の処理により「yes」を判定した場合は、S126の処理を行う。
一方、処理部10cは、S125の処理により「no」を判定した場合は、前述のS122の処理を再度行う。
処理部10cは、S126の処理を行う場合は、同処理として、センサ部21cに動作を停止させる。これにより、センサ部21cは、赤外線の放射と入射された赤外線の検出を停止する。センサ部21cが図3に表すセンサ部20caである場合は、赤外線の当該放射はLED201aにより、赤外線の当該検出はPSD202aにより、それぞれ停止される。センサ部21cは、さらに、赤外線の検出結果を表す情報の処理部10cへの送付を停止する。
次に、処理部10cは、S131の処理として、積算値Fd0が閾値Fd0th以上であるかを判定する。ここで、閾値Fd0thは、S131の処理時における積算値Fd0が閾値Fd0th以上である場合に対象物が所定の位置にあることを判定することを想定して予め定めた、積算値Fd0の閾値である。
処理部10cは、S131の処理により積算値Fd0が閾値Fd0th以上であることを判定しなかった場合は、S132の処理を行う。
一方、処理部10cは、S131の処理により積算値Fd0が閾値Fd0th以上であることを判定した場合は、S133の処理を行う。
処理部10cは、S132の処理を行う場合は、同処理として、積算値Fd1が閾値Fd1th以上であるかを判定する。ここで、閾値Fd1thは、S132の処理時における積算値Fd1が閾値Fd1th以上である場合に対象物が所定の位置にある内容を判定することを予め定めた、積算値Fd1の閾値である。
処理部10cは、S131の処理により積算値Fd1が閾値Fd1th以上であることを判定しなかった場合は、S134の処理を行う。
一方、処理部10cは、S131の処理により積算値Fd1が閾値Fd1th以上であることを判定した場合は、S133の処理を行う。
処理部10cは、S133の処理を行う場合は、同処理として、フラグ値を1に設定する。処理部10cは、フラグ値が既に設定されている場合には、当該フラグ値を1に置き換える。
当該フラグ値は、対象物が所定の位置にあることを処理部10cが判定したか否かを数値で表したものである。フラグ値が1の場合は、対象物が所定の位置にあることを処理部10cが判定したことを表す。一方、フラグ値が0の場合は、対象物が所定の位置にあることを処理部10cが判定しなかったことを表す。
一方、処理部10cは、S134の処理を行う場合は、同処理として、フラグ値を0に設定する。処理部10cは、フラグ値が既に設定されている場合には、当該フラグ値を0に置き換える。
そして、処理部10cは、S135の処理として、設定されているフラグ値をS101の処理により読み込んだ判定装置101cの識別情報と組み合わせた組合せ情報にする。そして、処理部10cは、同処理としてさらに、当該組合せ情報を図5に表す通信部40cに送る。
図示はしないが、当該組合せ情報を受け取った通信部40cは、例えば、図7及び図8に表す受信機104aに対して、当該組合せ情報を無線により送る。
そして、処理部10cは、S136の処理として、図9に表す処理を終了するかの判定を行う。処理部10cは、当該判定を、例えば外部からの終了信号の入力の有無を判定することにより行う。
処理部10cは、S136の処理により「yes」を判定した場合は、図9に表す処理を終了する。
処理部10cは、S136の処理により「no」を判定した場合は、S137の処理を行う。
処理部10cは、S137の処理を行う場合は、同処理として、時間Tの間次に行う処理を行わずに待つ。時間Tは次にS102の処理を再度行うまでの間隔として予め定められた時間である。時間Tは対象物が所定の位置にあるか否かを判定する間隔を調整する時間である。対象物が所定の位置にあるか否かを頻繁に確認する必要がない場合には、時間Tの値を大きくすることにより、当該確認の頻度を減らすことができる。当該確認の頻度を減らすことにより、センサ部20c、21cの動作時間を減らすことができる。センサ部20c、21cの動作時間を減らした場合には、判定装置101cの消費電力を少なくすることができる。
そして、処理部10cは、S102の処理を行う。
図10は、図7及び図8に表す受信機104aが行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
受信機104aは、まず、S201の処理として、組合せ情報を受信したかについての判定を行う。当該組合せ情報は、図9に表すS135の処理により、処理部10cが通信部40cに送り、その後に、通信部40cが受信機104aに対して無線により送った組合せ情報である。当該組合せ情報には、当該組合せ情報を送った判定装置の識別情報と、所定の位置における対象物の有無を表す前述のフラグ値が含まれている。
受信機104aはS201の処理により組合せ情報を受信したことを判定した場合は、S202の処理を行う。
一方、受信機104aはS201の処理により組合せ情報を受信したことを判定しなかった場合は、S201の処理を再度行う。すなわち、受信機104aは組合せ情報が受信されるのを待つ。
受信機104aは、S202の処理を行う場合は、同処理として、S201の処理により受信した組合せ情報に含まれるフラグ値が1かについての判定を行う。
受信機104aは、S202の処理により「yes」を判定した場合は、S203の処理を行う。
一方、受信機104aは、S202の処理により「no」を判定した場合は、S204の処理を行う。
受信機104aは、S203の処理を行う場合は、同処理として、受信した組合せ情報に含まれる識別情報の管理装置が設置された台車に対象物がある旨を出力する。
一方、受信機104aは、S204の処理を行う場合は、同処理として、受信した組合せ情報に含まれる識別情報の管理装置が設置された台車に対象物がない旨を出力する。
そして、受信機104aは、S205の処理として、図10に表す処理を終了するかを判定する。受信機104aは、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。
受信機104aは、S205の処理により「yes」を判定した場合は、図10に表す処理を終了する。
一方、受信機104aは、S205の処理により「no」を判定した場合は、S201の処理を再度行う。
図5に表す判定装置101cは、赤外線検出方向が異なするセンサ部20cとセンサ部21cとを備える。そして、判定装置101cは、センサ部20cとセンサ部21cとのいずれかからの出力が、所定の位置に対象物があるという判定結果を表すものである場合に、当該対象物が所定の位置にあることを判定する。
太陽光に含まれる赤外線のセンサ部からの出力への影響は、センサ部による赤外線検出方向とセンサ部に入射する太陽光の入射方向とのなす角度に依存する。センサ部20cとセンサ部21cのそれぞれの赤外線検出方向と、太陽光の入射方向とのなす角度は、異なった値となる。従い、センサ部20cとセンサ部21cのいずれかは太陽光の影響をあまり受けない確率が大きい。
そのため、判定装置101cは、センサ部20c、21cからの出力の少なくともいずれかが、対象物があるという判定結果を表すものである場合に、当該対象物が所定の位置にあることを判定することにより、太陽光の入射の影響を低減することができる。
[効果]
本実施形態の判定装置は、赤外線検出方向が異なる複数のセンサ部を備える。そして、複数のセンサ部からの出力の少なくともいずれかが、所定の位置に対象物があるという判定結果を表すものである場合に、当該対象物が所定の位置にあることを判定する。
太陽光に含まれる赤外線のセンサ部からの出力への影響は、センサ部の赤外線検出方向とセンサ部に入射する太陽光の入射方向とのなす角度に依存する。赤外線検出方向が異なる複数のセンサ部のそれぞれの検出方向と、太陽光の入射方向とのなす角度は、異なった値となる。従い、赤外線検出方向の異なるセンサ部のいずれかは太陽光の影響をあまり受けない確率が大きい。
そのため、複数のセンサ部からの出力の少なくともいずれかが、対象物があるという判定結果を表すものである場合に、当該対象物が所定の位置にあることを判定することにより、太陽光の入射の影響を低減することができる。
第一実施形態の判定装置は、時刻や対象物の位置情報によらずに、赤外線の検出結果から、前記物の所定の位置における有無の判定への太陽光の影響を低減し得る。
<第二実施形態>
第二実施形態は、複数のセンサ部のそれぞれからの出力に基づく対象物の所定の位置における有無の判定を並行して行う判定装置に関する実施形態である。
[構成と動作]
第二実施形態の判定装置の構成例及び動作例は、図5を参照して説明した判定装置101cの構成及び動作と同じである。
[処理フロー]
図11は、第二実施形態の判定装置101cが備える処理部10c(図5参照)が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
S101、S134乃至S137の処理の説明は、図9に表す同じ処理番号の処理の説明と同じである。ただし、図9の説明と以下の説明とが矛盾する場合は、以下の説明を優先する。
S101の処理の次に、S102aの処理として、処理部10cは、積算値Ctに0を代入する。ここで、積算値Ctは、以下に説明するS112a乃至S114aの処理を行う回数の積算値である。
そして、処理部10cは、S103aの処理として、積算値Fdに0を代入する。ここで、積算値Fdは、後述のS113aの処理により「yes」を判定した積算回数を表す値である。
次に、処理部10cは、S111aの処理として、センサ部20c及び21cの各々に動作を開始させる。これにより、センサ部20c及び21cの各々は、赤外線の放射と入射された赤外線の検出を開始する。センサ部20c及び21cの各々が図3に表すセンサ部20caである場合は、赤外線の当該放射はLED201aにより、赤外線の当該検出はPSD202aにより、行われる。センサ部20c及び21cの各々は、赤外線の検出結果を表す情報の処理部10cへの送付を開始する。
そして、処理部10cは、S112aの処理として、積算値Ctの値を一つ増やす。
そして、処理部10cは、S113aの処理として、第一出力が閾値Vth1以上か第二出力が閾値Vth2以上かのいずれかであるかについての判定を行う。ここで、第一出力は、センサ部20cからの出力である。そして、閾値Vth1は第一出力について予め定められた閾値である。また、第二出力は、センサ部21cからの出力である。そして、閾値Vth2は、第二出力について予め定められた閾値である。
処理部10cは、S113aの処理を行う場合、第一出力が閾値Vth1以上かの判定である第一判定と、第二出力が閾値Vth2以上かの判定である第二判定とを、並行して行う。そして、第一判定及び第二判定のうちの一方の判定結果が「yes」の場合に、S113aの判定結果を「yes」とする。
処理部10cは、例えば図5には図示しないOR回路を備えることにより、上述の処理を行うことができる。
処理部10cは、S113aの処理による判定結果が「yes」の場合は、S114aの処理を行う。
一方、処理部10cは、S113aの処理による判定結果が「no」の場合は、S115aの処理を行う。
処理部10cは、S114aの処理を行う場合は、同処理として、積算値Fdの値を一つ増やす。
そして、処理部10cは、S115aの処理として、積算値Ctが閾値Ctth以上であるかを判定する。ここで、閾値Ctthは、S112a乃至S114aの処理を行う回数として予め設定された閾値である。
処理部10cは、S115aの処理により「yes」を判定した場合は、S116aの処理を行う。
一方、処理部10cは、S115aの処理により「no」を判定した場合は、前述のS112aの処理を再度行う。
処理部10cは、S116aの処理を行う場合は、同処理として、センサ部20c及び21cの各々に動作を停止させる。これにより、センサ部20c及び21cの各々は、赤外線の放射と入射された赤外線の検出を停止する。センサ部20c及び21cの各々が図3に表すセンサ部20caである場合は、赤外線の当該放射はLED201aにより、赤外線の当該検出はPSD202aにより、それぞれ停止される。センサ部20c及び21cの各々は、さらに、赤外線の検出結果を表す情報の処理部10cへの送付を停止する。
次に、処理部10cは、S131aの処理として、積算値Fdが閾値Fdth以上であるかを判定する。ここで、閾値Fdthは、S131aの処理時における積算値Fdが閾値Fdth以上である場合に対象物が所定の位置にある内容を判定することを予め定めた、積算値Fdの閾値である。
処理部10cは、S131aの処理により積算値Fdが閾値Fdth以上であることを判定しなかった場合は、S134の処理を行う。
一方、処理部10cは、S131aの処理により積算値Fdが閾値Fdth以上であることを判定した場合は、S133の処理を行う。
第二実施形態の判定装置101cは、以上説明したように、センサ部20c及び21cそれぞれからの出力に基づく対象物の所定の位置における有無の判定を並行して行う。そのため、第二実施形態の判定装置101cは、それらの判定結果に基づく、対象物の所定の位置における有無の判定結果を、短時間で導出することができる。
[効果]
第二実施形態の判定装置は、第一実施形態の判定装置と同様の構成を備えることから、まず、第一実施形態の判定装置と同様の効果を奏する。
それに加えて、第二実施形態の判定装置は、複数のセンサ部のそれぞれからの出力に基づく対象物の所定の位置における有無の判定を並行して行う。そのため、第二実施形態の判定装置は、それらの判定結果に基づく、対象物の所定の位置における有無の判定結果を、短時間で導出することができる。
<第三実施形態>
第三実施形態は、一つのセンサ部が赤外線検出方向を複数の検出方向に変えて、各々の検出方向において同一の対象物の有無の判定を行う、判定装置に関する実施形態である。
図12は、第三実施形態の判定装置の例である判定装置101eの構成を表す概念図である。
判定装置101eは、処理部10cと、記録部11cと、検出部121cと、通信部40cと、アンテナ41cとを備える。検出部121cは、センサ部20cと、方向変更部50eとを備える。
上記各構成のうち、検出部121cが備える方向変更部50e以外の部分の説明は、図1に表す各構成の説明と同じである。ただし、当該説明において、判定装置101aは判定装置101eと読み替える。また、図1の説明と以下の説明とが矛盾する場合は、以下の説明を優先する。
方向変更部50eは、処理部10cからの指示により、センサ部20cが赤外線を観測する検出方向を変更する。方向変更部50eは、検出方向の変更を、例えば、センサ部20cの向きを変えることにより行う。
図13は、図12に表す方向変更部50eの例である方向変更部50eaが、センサ部20cの方向を変える様子を表すイメージ図である。図13中の矢印99h及び矢印99iは、センサ部20cによる赤外線の検出方向を表す。
方向変更部50eaは、センサ部20cの向きを変えることにより、センサ部20cによる赤外線の検出方向を、図13(a)に表す矢印99hの表す方向と、図13(b)に表す矢印99iの表す方向との間で切り替える。矢印99hの表す方向と矢印99iの表す方向とのなす角度は角度97cである。図4に表す測定結果からは、角度97cは20度以上であることが好ましく、マージンを考慮して30度以上であることがより好ましい。
センサ部20cの向きの変更を行う構造は、例えば、モータの回転軸にセンサ部20cを固定し、モータを順方向および逆方向に回転させることにより、実現することができる。
図14は、方向変更部50eaの例である方向変更部50ebの構成を表す概念図である。図14にはセンサ部20cを併せて表してある。
方向変更部50ebは、駆動部503cと、ステッピングモータ502cと、軸501cとを備える。図14(a)は、方向変更部50ebをセンサ部20cの上方から観測した場合を想定した上面図である。図14(b)は、図14(a)に表す矢印99eの向きを見た場合を想定した図である。また、図14(c)は、図14(a)に表す矢印99dの向きを見た場合を想定した図である。
駆動部503cはステッピングモータ502cを駆動し、ステッピングモータ502cに接続された軸501cを矢印99cの表す方向に回転させる。そして、駆動部503cは軸501cの回転方向の位置を、回転位置98a、98bの2位置に切り替える。センサ部20cは軸501cに固定されており、軸の回転に伴い、赤外線の放射方向及び検出方向を変える。
方向変更部50ebは上記動作によりセンサ部20cによる赤外線の放射方向及び検出方向を変更する。
図示は省略するが、第二実施形態の判定装置において、放出する赤外線の方向は一定であり、方向変更部は、赤外線を検出する部分(PSD等)における赤外線の検出方向のみを変更する場合も想定され得る。
[処理フロー]
図15は、図12に表す判定装置101eの処理部10cが行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
図15に表す各処理のうち、S105b及びS115bの処理以外の処理の説明は、図9に同じ処理番号で表す各処理の説明と同じである。ただし、図9の説明と以下の説明とが矛盾する場合は、以下の説明を優先する。
以下、S105b及びS115bの処理について説明する。
S103の処理の後に、処理部10cは、S105bの処理として、センサ部20cの回転位置を、予め定められた第一回転位置(例えば図13(a)に表す回転位置98aに相当する回転位置)に設定する。処理部10cは、センサ部20cの回転位置の設定を、方向変更部50eに対して指示信号を送ることにより、方向変更部50eに行わせる。そして、処理部10cはS111の処理を行う。
また、S115の「yes」の場合に、処理部10cは、S115bの処理として、センサ部20cの回転位置を、予め定められた第二回転位置(例えば図13(b)に表す回転位置98bに相当する回転位置)に設定する。処理部10cは、センサ部20cの回転位置の設定を、方向変更部50eに対して指示信号を送ることにより、方向変更部50eに行わせる。そして、処理部10cはS122の処理を行う。
このように、判定装置101eは、方向変更部50eが、センサ部20cの赤外線検出方向を切り替えて、それぞれの検出方向についての赤外線の観測を行う。それらの検出方向のうちのいずれかについての赤外線の観測については太陽光の影響が低減されている可能性が大きい。
従い、判定装置101eは、一つのセンサ部で、第一実施形態の判定装置と同等の効果を得ることができる。そのため、判定装置101eは、製造コストを低減できる可能性がある。
[効果]
第三実施形態の判定装置は、一つのセンサ部の検出方向を切り替えて、それぞれの検出方向についての赤外線の観測を行う。それらの検出方向のうちのいずれかについての赤外線の観測については太陽光の影響が低減されている可能性が大きい。従い、第三実施形態の判定装置は、一つのセンサ部で、第一実施形態の判定装置と同等の効果を得ることができる。そのため、第三実施形態の判定装置は、製造コストを低減できる可能性がある。
<第四実施形態>
第四実施形態は、センサ部のLD及びPSDを独立に駆動し、さらに判定装置の向きの変化を検出し赤外線観測のタイミングに反映させる判定装置に関する実施形態である。
[構成と動作]
図16は、第四実施形態の判定装置の例である判定装置101fの構成を表す概念図である。
判定装置101fは、図5に表す判定装置101cが備える構成に加えて、方向変化観測部60cを備える。
判定装置101fが備える方向変化観測部60c以外の各構成の説明は、下記を除いて、図5に表す判定装置101cが備える同じ符号で表す各構成の説明と同じである。ただし、図5の説明と下記説明とが矛盾する場合は下記説明を優先する。
センサ部20c、21cの各々は、図3に表すセンサ部20caの構成を備える。
方向変化観測部60cは、判定装置101fの方向の変化を検出し、検出結果を処理部10cに対し出力する。方向変化観測部60cは、典型的には、ジャイロセンサである。
処理部10cは、センサ部20c、21cの各々について、図3に表すLED201aとPSD202aのそれぞれの駆動を行う。処理部10cは、LED201aを駆動しない場合においても、PSD202aからの出力を検出することができる。
処理部10cは、また、方向変化観測部60cからの出力により、判定装置101fの向きの変化を検出する。処理部10cは、検出した向きの変化から判定装置101fの向きを導出しても構わない。
[処理フロー]
図17乃至図19は、図16に表す判定装置101fの処理部10cが行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
図17乃至図19に表す各処理のうち同じ処理番号が付された処理が図9にある処理についての説明は、図9における同じ処理番号が付された処理の説明と同じである。ただし、図9の説明と下記説明とが矛盾する場合は、下記説明を優先する。以下、図17乃至図19に表す各処理のうち同じ処理番号が付された処理が図9にない処理について説明する。
S103の処理の次に、S111−2の処理として、処理部10cは、センサ部20cにおける図3に表すPSD202aを動作させる。これにより、PSD202aは赤外線の検出を開始する。この段階では、処理部10cは、センサ部20cにおける図3に表すLED201aは動作させない。
そして、処理部10cは、S111−3の処理として、センサ部20cにおけるPSD202aの出力が閾値Vth1以下かについて判定する。閾値Vth1は、当該判定のために予め定められたPSD202aの出力に関する閾値である。
処理部10cは、S111−3の処理による判定結果が「yes」の場合は、S111−4の処理を行う。
一方、処理部10cは、S111−3の処理による判定結果が「no」の場合は、S111−6の処理を行う。
処理部10cは、S111−4の処理を行う場合は、値Chk0に0を代入する。ここで、値Chk0は、S111−3の処理により、処理部10cが、センサ部20cにおけるPSD202aの出力が閾値Vth1以下であることを判定したか否かを表す値である。値Chk0が0の場合は、処理部10cがセンサ部20cにおけるPSD202aの出力が閾値Vth1以下であると判定したことを表す。また、値Chk0が1の場合は、処理部10cがセンサ部20cにおけるPSD202aの出力が閾値Vth1以下であることを判定しなかったことを表す。
また、処理部10cは、S111−6の処理を行う場合は、値Chk0に1を代入する。
そして、処理部10cは、S111−7の処理として、センサ部20cにおけるPSD202aの動作を停止させる。
処理部10cは、S111−4の処理の次に、S111−5の処理として、センサ部20cにおけるLED201aを動作させる。
そして、処理部10cは、S112乃至S115の処理を行う。
S112乃至S115の処理の説明は図9を参照して説明した通りである。
処理部10cは、S115の処理による判定結果が「yes」の場合は、S116−2の処理として、センサ部20cにおけるLED201a及びPSD202aの動作を停止させる。
そして、処理部10cは、図18に表すS121−2の処理として、センサ部21cにおける図3に表すPSD202bを動作させる。これにより、センサ部21cにおけるPSD202bは、赤外線の検出を開始する。
そして、処理部10cは、センサ部21cにおける図3に表すPSD202bからの出力が閾値Vth2以下かについて判定する。閾値Vth2は、当該判定のために予め定められた、センサ部21cにおけるPSD202aの出力に関する閾値である。
処理部10cは、S121−3の処理による判定結果が「yes」の場合は、S121−4の処理を行う。
一方、処理部10cは、S121−3の処理による判定結果が「no」の場合は、S121−6の処理を行う。
処理部10cは、S121−4の処理を行う場合は、値Chk1に0を代入する。ここで、値Chk1は、S121−3の処理によりセンサ部21cにおけるPSD202aの出力が閾値Vth1以下であることを判定したか否かを表す値である。値Chk1が0の場合は、処理部10cが、センサ部21cにおけるPSD202aの出力が閾値Vth2以下であると判定したことを表す。また、値Chk1が1の場合は、処理部10cが、センサ部21cにおけるPSD202aの出力が閾値Vth2以下であることを判定しなかったことを表す。
また、処理部10cは、S121−6の処理を行う場合は、値Chk1に1を代入する。
そして、処理部10cは、S121−7の処理として、センサ部21cにおけるPSD202aの動作を停止させる。
処理部10cは、S121−4の処理の次に、S121−5の処理として、センサ部21cにおけるLED201aを動作させる。
そして、処理部10cは、S122乃至S125の処理を行う。
S122乃至S125の処理の説明は図9を参照して説明した通りである。
処理部10cは、S125の処理による判定結果が「yes」の場合は、S126−2の処理として、センサ部21cにおけるLED201a及びPSD202aの動作を停止させる。
そして、処理部10cは、S131の処理を行う。
図19に表すS141の処理を行う場合は、処理部10cは、値Chk0及び値Chk1のいずれかが0であるかを判定する。
処理部10cは、S141の処理による判定結果が「yes」の場合は、S131の処理を行う。
一方、処理部10cは、S141の処理による判定結果が「no」の場合は、S142の処理を行う。
S131乃至S137の処理については、図9を参照して説明した通りである。
処理部10cは、S142の処理を行う場合は、同処理として、方向変化観測部60cからの出力が閾値VJth以上変化したかについて判定する。ここで、閾値VJthはS142の処理のために予め定められた方向変化観測部60cからの出力についての閾値である。
処理部10cは、S142による判定結果が「yes」の場合はS143の処理を行う。
一方、処理部10cは、S142による判定結果が「no」の場合は、S142の処理を再度行う。
処理部10cは、S143の処理を行う場合は、同処理として、図17乃至図19に表す処理を終了するかを判定する。処理部10cは当該判定を例えば外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。
処理部10cは、S143の処理による判定結果が「yes」の場合は、図17乃至図19に表す処理を終了する。
一方、処理部10cは、S143の処理による判定結果が「no」の場合は、図17に表すS102の処理を行う。
以上説明したように、判定装置101fは、センサ部20cのLEDが赤外線を放射する前にPSDによる赤外線の検出を行う。この際に、PSDから処理部10cへの出力が所定の閾値より大きい場合には、LEDを動作させることなく次処理を行う。LEDを動作させていないにも拘らずPSDから処理部10cへの出力が所定の閾値より大きいことは、PSDへの太陽光の入射の影響が大きい可能性があることを意味するためである。判定装置101fは、PSDへの太陽光の入射の影響が大きい可能性がある場合にLEDを動作させる処理を省略することにより、判定装置101fの消費電力を低減することができる。
また、判定装置101fは、センサ部20c、21cの双方において、PSDからの出力が閾値より大きいと判定を行った場合には、方向変化観測部60cからの出力が閾値以上変化するのを待つ(図19のS142の「no」の場合)。当該判定は、LEDを動作させていないにも拘らずPSDから処理部10cへの出力が閾値より大きいことの判定である。そして、判定装置101fは、方向変化観測部60cからの出力が閾値以上変化した場合に、再度、対象物の有無についての判定処理を開始する(図19のS142の「yes」、S143の「no」、S102の処理)。
センサ部20c、21cの双方において、LEDを動作させていないにも拘らずPSDから処理部10cへの出力が閾値より大きいと一度判定した場合に、判定処理を繰り返すのは、判定装置の消費電力の無駄である。当該判定処理は、太陽光の影響についての何らかの状況変化の有無に拘らずLEDを動作させていないにも拘らずPSDから処理部10cへの出力が閾値より大きいか否かの判定を行う判定処理である。
判定装置101fは、センサ部20c、21cの双方において、LEDを動作させていないにも拘らずPSDから処理部10cへの出力が閾値より大きいと一度判定した場合には、方向変化観測部60cからの出力の変化が閾値以上になるのを待つ。方向変化観測部60cからの出力の変化が閾値以上になったということは、判定装置101fがある程度向きを変えたということを意味する。
判定装置101fがある程度向きを変えることは、例えば、判定装置101fを設置した台車(図7の台車103a、101b参照)が向きを変えることにより起こり得る。そして、判定装置101fがある程度向きを変えれば、センサ部20c、21cの少なくとも一方においては、太陽光の影響が少ない可能性が高い。そのため、上記判定処理を繰り返す可能性が低い。従い、判定装置101fは、上記判定処理を繰り返すことによる電力消費を抑えることができる。
[効果]
第四実施形態の判定装置は、センサ部のLEDが赤外線を放射する前にPSDによる赤外線の検出を行う。そして、PSDの出力が所定の閾値より大きい場合には、LEDを動作させることなく次処理を行う。LEDを動作させていないにも拘らずPSDの出力が大きいことは、PSDへの太陽光の入射の影響が大きい可能性があることを意味する。
第四実施形態の判定装置は、PSDへの太陽光の入射の影響が大きい可能性がある場合にLEDを動作させる処理を省略することにより、判定装置の消費電力を低減することができる。
また、第四実施形態の判定装置は、いずれのセンサ部においても、LEDを動作させていないにも拘らずPSDから処理部10cへの出力が閾値より大きいと判定した場合には、方向変化観測部からの出力が閾値以上変化するのを待つ。そして、第四実施形態の判定装置は、方向変化観測部からの出力が閾値以上変化した場合に、再度、対象物の有無についての判定処理を開始する。
複数のセンサ部において、LEDを動作させていないにも拘らずPSDの出力が大きい場合に、判定処理を繰り返すのは、判定装置の消費電力の無駄である。当該判定処理は、太陽光の影響についての何らかの状況変化の有無に拘らずLEDを動作させていないにも拘らずPSDから処理部への出力が閾値より大きいか否かの判定を行う判定処理である。
第四実施形態の判定装置は、いずれのセンサ部において、LEDを動作させていないにも拘らずPSDの出力が閾値より大きいと一度判定した場合には、方向変化観測部からの出力の変化が閾値以上になるのを待つ。方向変化観測部からの出力の変化が閾値以上になったということは、判定装置がある程度向きを変えたということを意味する。そして、判定装置がある程度向きを変えれば、センサ部の赤外線検出方向が変わるので、複数のセンサ部の少なくともいずれかにおいては、太陽光の影響が少ない可能性が高い。そのため、上記判定処理を繰り返す可能性が低い。従い、第四実施形態の判定装置は、上記判定処理を繰り返すことによる電力消費を抑えることができる。
以上、第一乃至第四実施形態の判定装置が放出し検出する光が赤外線である場合を例に説明した。しかしながら、当該光は赤外線に限定されず可視光等であっても構わない。ただし、当該光が赤外線である場合には、可視光等に比べて、対象物に対し光を放出し反射光を受光する間における大気の揺らぎ等による外乱の影響が少ない。そのため、当該場合は、対象物の有無の判定をより正確に行うことができる。それに加えて、当該光が赤外線である場合には、当該光は人に見えない。そのため、対象物の有無の判定のための光の放出や対象物による当該光の反射が、人に認識されることなくごく自然に行われる。
図20は、本発明の判定装置の最小限の構成である判定装置101xの構成を表す概念図である。
判定装置101xは、検出部121xと、処理部10xと、出力部40xとを備える。
検出部121xは、判定装置101xが放出を行った光の物による反射光を受光し、前記光についての複数の検出方向について、前記物との距離により変わる前記光の受光位置に応じた出力を行う。
処理部10xは、前記複数の検出方向のうちの少なくとも二の検出方向の各々についての前記出力の結果から、前記物の所定の位置における有無の判定を行う。
出力部40xは、前記判定の結果を表す情報を出力する。
上述のように、判定装置101xは、前記光についての複数の検出方向について、前記物との距離により変わる前記光の受光位置に応じた出力を行う。太陽光は平行光であるため、前記複数の検出方向の中には太陽光の影響がより小さい検出方向が存在し得る。判定装置101xは、太陽光の影響がより小さい検出方向についての前記光の前記物による反射光により、前記物の所定の位置における有無の判定を行うことが可能である。そのため、判定装置101xは、前記物の所定の位置における有無の判定への太陽光の影響を低減し得る。
そして、判定装置101xは、検出した光の強度情報のみから、前記物の所定の位置における有無の判定への太陽光の影響を低減し得る。
そのため、判定装置101xは、上記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
また、上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記A1)
放出を行った光の物による反射光を受光し、前記光についての複数の検出方向について、前記物との距離により変わる前記光の受光位置に応じた出力を行う検出部と、
前記複数の検出方向のうちの少なくとも二の検出方向の各々についての前記出力の結果から、前記物の所定の位置における有無の判定を行う処理部と、
前記判定の結果を表す情報を出力する出力部と、
を備える、判定装置。
(付記A1.1)
前記複数が二である付記A1に記載された判定装置。
(付記A1.2)
前記二の検出方向の各々についての前記出力の結果からの前記物の所定の位置における有無の判定を並行して行う付記A1又は記A1.1に記載された判定装置。
(付記A2)
前記検出部が、前記物との距離により変わる前記光の受光位置に応じた出力を行う副検出部(センサ部)を複数備える、付記A1乃至付記A1.2のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A3)
前記検出部が、前記物との距離により変わる前記光の受光位置に応じた出力を行う副検出部(センサ部)の方向を変える方向変更部を備える、付記A1乃至付記A2のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A4)
前記複数の検出方向のうちの少なくとも二の検出方向が互いになす角度が20度以上である付記A1乃至付記A3のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A5)
前記角度が30度以上である付記A4に記載された判定装置。
(付記A6)
前記検出部が行う前記光の放出を行わない状態での光の観測結果から、前記処理部が前記判定を保留する場合がある付記A1乃至付記A5のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A7)
方向の変化を観測し得る方向変化観測部をさらに備え、
前記処理部は、前記方向変化観測部から送られる前記方向の変化を表す情報により、前記判定を行うか否かを決める、付記A1乃至付記A6のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A8)
前記方向変化部がジャイロセンサである付記A7に記載された判定装置。
(付記A9)
前記物が所定の対象物である付記A1乃至付記A8のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A10)
前記物が付記A1乃至付記A9のうちのいずれか一に記載されたコンテナである判定装置。
(付記A11)
車両への前記物の設置の有無を判定し得る付記A1乃至付記A10のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A12)
前記車両が台車である付記A11に記載された判定装置。
(付記A13)
前記出力部が受信機に対し通信により前記情報の送信を行う付記A1乃至付記A12のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A14)
前記送信が無線による送信である付記A13に記載された判定装置。
(付記A15)
前記受信機が前記情報の少なくとも一部を出力する付記A13又は付記A14に記載された判定装置。
(付記A16)
前記受信機が前記情報の少なくとも一部を表示する付記A13乃至付記A15のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記A17)
前記受信機が前記台車を移動させるものに設置されている付記A13乃至付記A16のうちのいずれか一(付記11の引用部分に限る)に記載された判定装置。
(付記A18)
前記光が赤外線である付記A1乃至付記A17のうちのいずれか一に記載された判定装置。
(付記B1)
付記A13乃至付記A16のうちのいずれか一に記載された判定装置と前記受信機とを備える判定システム。
(付記C1)
放出を行った光の物による反射光を受光し、前記光についての複数の検出方向について、前記物との距離により変わる前記光の受光位置に応じた出力を行い、
前記複数の検出方向のうちの少なくとも二の検出方向の各々についての前記出力の結果から、前記物の所定の位置における有無の判定を行い、
前記判定の結果を表す情報を出力する、
判定方法。
(付記D1)
放出を行った光の物による反射光を受光し、前記光についての複数の検出方向について、前記物との距離により変わる前記光の受光位置に応じた出力を行い、
前記複数の検出方向のうちの少なくとも二の検出方向の各々についての前記出力の結果から、前記物の所定の位置における有無の判定を行い、
前記判定の結果を表す情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させる判定プログラム。