JP2018035859A - ブレーキ装置 - Google Patents

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【課題】簡単な構成でありながら制動開始初期の制動性能に優れるブレーキ装置を提供する。【解決手段】車両のホイールと共に回転するディスクロータ50をブレーキパッド61,62で挟み込むことで、ホイールへの制動力を発生するブレーキ装置1であり、ディスクロータ50の一面(内側面500)側に配置されて、内側面500に向かってブレーキパッド61を押圧する複数のピストンを備える。特に、ブレーキパッドへの押圧力の作用時が異なるように設けられた調整ピストン(内側ピストン31,外側ピストン32)を含む。ブレーキ液が少ない傾向にある制動開始初期であっても、相対的に進出し易い調整ピストン(内側ピストン31)をディスクロータ50側に進出でき、この調整ピストンに応じた制動力を発生できる。【選択図】図1

Description

本発明は、車両を制動するブレーキ装置に関する。
自動車などに搭載されるブレーキ装置として、ディスクブレーキ装置が利用されている(例えば、特許文献1)。ディスクブレーキ装置は、自動車のホイールと共に回転するディスクロータを対向配置されるブレーキパッド対で挟み込み、このときの摩擦によってホイールへの制動力を発生する。
代表的には、ディスクブレーキ装置は、ディスクロータと、制動時にディスクロータを押圧するブレーキパッドと、ブレーキパッドをディスクロータに押圧するピストンを内蔵するキャリパとを備える。キャリパには、ピストンを往復移動可能に収納すると共にブレーキ液が供給されるシリンダボディが設けられている。ピストンとシリンダ間にはシール材が介在されて、液密に封止される。自動車の運転者によるブレーキペダルの踏込量に応じてブレーキ液がシリンダボディに供給される。このブレーキ液に押圧されて、ピストンは、シール材を弾性変形させつつディスクロータ側に進出し、ブレーキパッドを押圧する。
特許文献1は、制動開始初期にディスクロータとブレーキパッド間の隙間が小さくなるように伸張する電気駆動式アジャスト装置を、ピストンとブレーキパッド間に介在させたディスクブレーキ装置を開示する。
特開平07−190111号公報
簡単な構成でありながら、制動開始初期の制動性能に優れるブレーキ装置が望まれる。
ディスクブレーキ装置では、シリンダ径が大きいほど、即ちシリンダ径に対応したピストンの受圧面の径が大きいほど制動力を増大できるため、大きな制動力の確保に有利である。しかし、大径のピストンをディスクロータ側に移動させるためには、多くのブレーキ液を供給する必要がある。その結果、制動力を発生するまでの時間が長くなること、いわゆるブレーキの効き始めが遅くなることが懸念される。
特許文献1のディスクブレーキ装置は、電気駆動式アジャスト装置の伸張によって上述の隙間が小さくなった状態でシリンダボディにブレーキ液が供給されるため、制動開始初期のブレーキペダルのロスストロークを小さくし、応答性を向上できるとする。しかし、この装置では、ピストンにアクチュエータを組み込む必要があり、複雑な構成である。また、このアクチュエータの制御装置も必要である。
そこで、本発明の目的の一つは、簡単な構成でありながら制動開始初期の制動性能に優れるブレーキ装置を提供することにある。
本発明の一態様に係るブレーキ装置は、
車両のホイールと共に回転するディスクロータをブレーキパッドで挟み込むことで、前記ホイールへの制動力を発生するブレーキ装置であって、
前記ディスクロータの一面側に配置されて、この一面に向かって前記ブレーキパッドを押圧する複数のピストンを備え、
前記複数のピストンは、前記ブレーキパッドへの押圧力の作用時が異なるように設けられた少なくとも二つの調整ピストンを含む。
上記のブレーキ装置は、ブレーキパッドへの押圧力の作用時が異なる複数の調整ピストンを備えるため、踏込量が小さく、ブレーキ液が少なくなり易い制動開始初期であっても、相対的に進出し易い調整ピストンをディスクロータ側に進出できる。この進出した調整ピストンに応じた押圧力をブレーキパッドに作用させて、制動力を発生できる。従って、上記のブレーキ装置は、複数の調整ピストンを備えるという簡単な構成でありながら、制動開始初期の制動性能に優れる。
実施形態1のブレーキ装置において、ピストン近傍を拡大して示す部分断面図であり、一つの調整ピストン(内側ピストン)による押圧状態を示す。 実施形態1のブレーキ装置において、ピストン近傍を拡大して示す部分断面図であり、複数の調整ピストン(内側ピストン及び外側ピストン)による押圧状態を示す。
以下、図面を参照して、本発明のブレーキ装置を具体的に説明する。図面において、同一符号は、同一名称物を示す。図1,図2では、シール材を簡略化して示す。
[実施形態1]
(全体構成)
実施形態1のブレーキ装置1は、自動車などの車両に搭載されて、車両のホイール(図示せず)と共に回転するディスクロータ50をブレーキパッド61,62で挟み込むことで、ホイールへの制動力を発生する。この例のブレーキ装置1は、浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置であり、ホイールと一体に回転するディスクロータ50と、制動時にディスクロータ50を押圧するブレーキパッド61,62と、ブレーキパッド61,62をディスクロータ50側に押圧するキャリパ2とを含む。キャリパ2は、ブレーキパッド61,62を挟んで対向配置される二つの加圧部分を備える。一方の加圧部分はピストン3を含み、他方の加圧部分はキャリパ2自体に設けられた爪状の加圧部25である。詳しくは、キャリパ2は、対向配置される一対のブレーキパッド61,62のうち、一方のブレーキパッド61(以下、インナパッドと呼ぶことがある)を制動時にディスクロータ50の一面(図1,図2では右面、以下、内側面500と呼ぶ)に押圧するピストン3と、ピストン3を往復移動可能に収納すると共にブレーキ液が供給される空間が設けられたシリンダボディ20と、ピストン3の外周面324とシリンダボディ20の内部空間を形成する内周面202間に介在されるシール材(後述の外側シール材42)とを備える。
浮動キャリパ型のブレーキ装置1は、以下のようにして制動力を発生する。
自動車の運転者がブレーキペダルを踏み込むと、ブレーキ液がキャリパ2に設けられた供給路22を経てシリンダボディ20の内部空間に供給される。踏込量に応じてブレーキ液が増加し、ピストン3に加わる圧力(液圧)が高まると、ピストン3は、シール材の弾性変形を伴ってディスクロータ50側に進出し、インナパッド61を押圧する。インナパッド61の押圧力の反力によって、キャリパ2は、横方向(シリンダボディ20の孔の中心軸に沿った方向、図1,図2では左右方向)にスライドする。このスライドによって、加圧部25は、他方のブレーキパッド62(以下、アウタパッドと呼ぶことがある)をディスクロータ50側の他面(図1,図2では左面)に押圧する。その結果、両ブレーキパッド61,62でディスクロータ50を挟み込み、このときの摩擦によって制動力を発生する。実施形態1のブレーキ装置1の基本構成及び制動動作は、従来の浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置を参照できる。
従来の浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置では、ディスクロータの一面側にピストン及びシリンダボディの組を一組備える。これに対し、実施形態1のブレーキ装置1は、ディスクロータ50の内側面500側に配置されて、内側面500に向かってブレーキパッド61を押圧する複数のピストンを備える。これら複数のピストンは、ブレーキパッド61への押圧力の作用時が異なるように設けられた少なくとも二つの調整ピストンを含む。この例の調整ピストンは、図1に示すように内外に重ねた二重の入れ子式とする。これら複数のピストンを一つのシリンダボディ20に収納する。また、この例の調整ピストンは、各ピストンにおけるブレーキ液に対する受圧面積や、ピストン外周に配置されるシール材の仕様(構成材料、大きさなど)を調整することで、ブレーキパッド61への押圧力の作用時を異ならせる。以下、調整ピストンをより詳細に説明する。
(調整ピストン)
この例の調整ピストンは、一つのシリンダボディ20内に収納されて、同心状に設けられた内側ピストン31と、外側ピストン32とを含む。外側ピストン32は、シリンダボディ20の内周面202との間に外側シール材42を介在した状態でシリンダボディ20の内周面202に摺動するように設けられた筒状体である。内側ピストン31は、外側ピストン32の内周面322との間に内側シール材41を介在した状態で外側ピストン32の内周面322を摺動するように設けられた有底筒状体である。ここでは、内側ピストン31は有底の円筒体、外側ピストン32は円筒体とする。
内側ピストン31は、有底筒状体における底側の端面310を、ブレーキ液からの圧力を受ける受圧面とし、開口側の環状の端面を、インナパッド61を押圧する押圧面とする。外側ピストン32は、筒状体における一方の環状の端面320をブレーキ液に対する受圧面とし、他方の環状の端面を、インナパッド61への押圧面とする。ここで、ピストン3における受圧面が大きいほど、ブレーキ液によるピストン3への押圧力を増大でき、ピストン3をディスクロータ50側に進出し易い。この例では、内側ピストン31の外径が外側ピストン32の内径より若干小さいものの、内側ピストン31の受圧面積が、外側ピストン32の受圧面積よりも大きくなるように、端面310,320の大きさを調整している。受圧面積が相対的に大きいことで、内側ピストン31は、外側ピストン32に比較して、ディスクロータ50側に移動し易く、ブレーキ液によるピストン3への押圧力が小さい低圧時でも進出し易い。各ピストン31,32の受圧面積は、インナパッド61への押圧力の作用時を異ならせることができる範囲で適宜選択できる。
この例では、内側ピストン31及び外側ピストン32における軸方向に沿った長さが実質的に等しくなるように、ピストン31,32の長さを調整している。また、非制動時にピストン3が初期位置に配置された状態では、両ピストン31,32の端面310,320とが面一となるように両ピストン31,32を組み付けている。こうすることで、制動時、ブレーキ液によるピストン3への押圧力が大きい高圧時に、両ピストン31,32の端面310,320を面一にできる(図2参照)。そのため、高圧時、両ピストン31,32によって一つの大きな受圧面を有するピストン3を形成して、インナパッド61を押圧できる。
(シール材)
内側ピストン31の外周面314と外側ピストン32の内周面322間に内側シール材41が介在される。外側ピストン32の外周面324とシリンダボディ20の内周面202間に外側シール材42が介在される。この例では、内側シール材41は、外側ピストン32の内周面322におけるインナパッド61側の開口部近くに設けられたシール溝に収納される。外側シール材42は、シリンダボディ20の内周面202における開口部近くに設けられたシール溝に収納される。各シール材41,42は、代表的にはゴムなどの弾性材料から構成される環状体を利用できる。
内側シール材41,外側シール材42は、各ピストン31,32の外周面314,324とシール溝を形成する溝内面間である程度押し潰されることで、ブレーキ液がキャリパ2外に漏出することを防止して、ブレーキ液による所定の圧力をピストン3に作用させる。また、各シール材41,42は、制動時、弾性変形することで、各ピストン31,32がディスクロータ50側に移動することを許容する。
内側シール材41を外側シール材42に比較して、以下の(1)から(3)の少なくとも一つの条件を満たすものとすると、内側ピストン31を外側ピストン32に比較して、ディスクロータ50側に移動し易くすることができる。
(1)相対的に弾性変形し易い材料で構成されたシール材とする。
(2)内側ピストン31を締め付ける力が相対的に小さくなるような大きさのシール材とする。例えば、内側シール材41の内径が内側ピストン31の外径よりも小さいものの、比較的大きめであるなどとする。
(3)シール溝からの突出量が相対的に大きく、弾性変形可能な領域が大きくなるようにシール溝に配置されるものとする。
この例では、内側シール材41の構成材料を、外側シール材42よりも弾性変形し易いものとし、外側シール材42の構成材料は、剛性が相対的に高いものとする。各シール材の仕様(構成材料、内径、外径、厚さなど)は、インナパッド61への押圧力の作用時を異ならせることができる範囲で適宜選択できる。
(動作説明)
次に、ブレーキ装置1による制動動作を説明する。
自動車の運転者がブレーキペダルを踏み込んだ直後では、ブレーキ液がシリンダボディ20に供給されるものの、ブレーキ液量が少なく、ブレーキ液によってピストン3に加えられる圧力が小さい。しかし、この例の内側ピストン31は、その受圧面積が相対的に大きく、かつ内側シール材41は相対的に弾性変形し易い。そのため、ピストン3への印加圧力が低い低圧時には、図1に示すように内側ピストン31がディスクロータ50側に進出して、インナパッド61を押圧する。すると、インナパッド61は、ディスクロータ50の内側面500を押圧し、最終的に上述のようにアウタパッド62もディスクロータ50の他面を押圧する。その結果、制動開始初期には、内側ピストン31の押圧力に応じた制動力が発生する。
ブレーキペダルの踏込量が大きくなり、ブレーキ液量が多くなって、ピストン3への印加圧力も大きくなると、図2に示すように外側ピストン32も、ディスクロータ50側に進出して、内側ピストン31と共にインナパッド61を押圧する。このようにピストン3への印加圧力が高い高圧時には、両ピストン31,32の合計押圧力に応じた制動力が発生し、十分に大きな制動力を確保できる。ブレーキ装置1は、ブレーキ液の供給状態に応じてピストン数を調整して、制動力の大きさを変化できるといえる。
ブレーキペダルの踏み込みが解除されると、シリンダボディ20からブレーキ液が排出されてピストン3への加圧圧力が小さくなる。その結果、内側シール材41,外側シール材42が自身の弾性によって初期状態に戻る。この弾性による復元力がピストン3の引き戻し力となって、ピストン3を初期位置に戻す。
(効果)
実施形態1のブレーキ装置1は、ブレーキパッド61,62への押圧力の作用時が異なる複数の調整ピストン(内側ピストン31及び外側ピストン32)を備えることで、ブレーキ液が少ない傾向にある制動開始初期であっても、相対的に進出し易い調整ピストン(内側ピストン31)をディスクロータ50側に進出できる。そして、上述のようにこの調整ピストンに応じた制動力を発生できる。従って、実施形態1のブレーキ装置1は、複数の調整ピストンを備えるという簡単な構成でありながら、制動開始初期の応答性に優れる。
特に、この例のブレーキ装置1では、以下の効果を奏する。
(1)複数の調整ピストンを同心状に備えるため、従来の浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置と同様なサイズのシリンダボディ20を備えるキャリパ2を用いた場合に、高圧時の制動力を同等としながら、低圧時の制動性に優れる。
(2)各調整ピストンの受圧面積とシール材の仕様との双方を異ならせることで、内側ピストン31が相対的により動き易く、制動開始初期の応答性により優れる。なお、ピストンの受圧面積とシール材の仕様とのいずれか一方のみを異ならせる構成とすることもできる。
(3)各調整ピストンの受圧面積やシール材の仕様を調整することで、各調整ピストンの動き易さを異ならせ易いため、上述のアクチュエータを組み込む構成に比較して、所望の制動フィーリングに対応させ易い。
(4)ブレーキ装置1を衝突軽減自動ブレーキ、横滑り抑制装置などといった、自動車の走行安全性を高める機能を有するブレーキ装置とする場合に、ブレーキ液の供給ポンプの性能を変更したり、大型のモータを利用したりすることなく、制動開始初期の応答性に優れる。
[実施形態2]
実施形態2のブレーキ装置は、ブレーキパッドへの押圧力の作用時が異なるように設けられた複数の調整ピストンを含む固定キャリパ型(対向ピストン)のディスクブレーキ装置(図示せず)である。固定キャリパ型のディスクブレーキ装置は、ディスクロータを挟んで対向配置されるブレーキパッドをそれぞれ押圧するピストンを備える、つまり、ディスクロータを挟んで対向配置されるピストン対を備える。このディスクブレーキ装置は、ブレーキ液が供給されると、対をなす各ピストンは、ディスクロータ側に同時に進出して、ブレーキパッドの各面を押圧し、これらブレーキパッドでディスクロータの両面を挟むことで制動力を発生する。
実施形態2のブレーキ装置は、ディスクロータの周方向に沿って並列される複数のピストン対を備える。各ピストン対のうち、一方のピストン群はディスクロータの一面側に配置され、他方のピストン群はディスクロータの他面側に配置され、各面に向かってブレーキパッドを押圧する。この例のブレーキ装置は、上述の複数のピストン対として、ブレーキパッドへの押圧力の作用時が異なるように設けられた複数の調整ピストン対を備える。具体例(α)、(β)を以下に説明する。以下、ディスクロータの周方向に沿って並列される三つのピストン対A,B,Cを備える場合を例に説明する。二つのピストン対、又は四つ以上のピストン対を備えることもできる。二つのピストン対を備える場合とは、以下の説明においてピストン対A,Cを備える場合に相当し、四つ以上のピストン対を備える場合には、以下の説明においてピストン対Bを複数備える場合に相当する。
(α)ピストン対A,B,Cに備えるピストンの受圧面積、及びピストン外周に設けられるシール材の仕様の少なくとも一方が異なる。
例えば、ピストン対Aは、三つのピストン対のうち、受圧面積が最も大きく、かつシール材が最も弾性変形し易い材料から構成されるものとする。ピストン対Cは、三つのピストン対のうち、受圧面積が最も小さく、かつシール材が最も弾性変形し難い材料から構成されるものとする。ピストン対Bは、ピストン対A,Cの中間の大きさ(ピストンの受圧面積)、材質(シール材)とする。
この形態は、ブレーキ液が供給されると、まず、相対的に最も動き易いピストン対Aがディスクロータ側に向かって進出して、ブレーキパッドを押圧する。ピストン対B,Cはディスクロータ側に向かって進出しておらず、ピストン対Aの押圧力に応じた制動力が発生する。その後、ブレーキ液によるピストンへの印加圧力が高まると、ピストン対B、ピストン対Cの順でディスクロータ側に移動して、ブレーキパッドを押圧する。つまり、低圧時には、一つのピストン対Aの押圧力、中間の圧力時には、二つのピストン対A,Bの合計押圧力、高圧時には三つのピストン対A,B,Cの合計押圧力に応じた制動力を発生できる。この形態は、ピストンの大きさやシール材の仕様を変更することで、各ピストン対の動き易さを調整できる。
(β)ピストン対A,B,Cに供給されるブレーキ液の供給時期が異なる。
この形態では、ピストンやシール材を同一サイズ、同一材質のものとし、例えば、各ピストン対への供給路に弁を設けたり、供給路の大きさを変えたりするなどして、ピストン対A,B,Cの順に、ブレーキ液によるピストンへの圧力が作用するようにする。
例えば、供給路に弁を設ける場合、ブレーキペダルが踏まれると、まず、ピストン対Aにのみブレーキ液が供給され、ピストン対Aがディスクロータ側に向かって進出して、ブレーキパッドを押圧する。即ち、ピストン対Aは、少量のブレーキ液でも、ブレーキパッドを押圧できる。その後、踏込量が増大して、ブレーキ液の供給量が多くなると、弁が順次開いて、ピストン対B、ピストン対Cの順にブレーキ液が供給されて、ピストン対B、ピストン対Cの順にディスクロータ側に移動して、ブレーキパッドを押圧する。この形態は、ブレーキ液が少量のとき(低圧時)には、一つのピストン対Aの押圧力、中間量のときには、二つのピストン対A,Bの合計押圧力、多量のとき(高圧時)には三つのピストン対A,B,Cの合計押圧力に応じた制動力を発生できる。この形態は、ピストン対及びシール材が多くても、同じ仕様(サイズ、材質)のものが利用できる。
実施形態2のブレーキ装置は、実施形態1と同様に、ブレーキ液が少ない傾向にある制動開始初期であっても、相対的に進出し易い調整ピストン(上述の例示ではピストン対A)をディスクロータ側に進出でき、この調整ピストンに応じた制動力を発生できる。従って、実施形態2のブレーキ装置は、複数の調整ピストンを備えるという簡単な構成でありながら、制動開始初期の応答性に優れる。
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(1)実施形態1で説明した調整ピストンを三重以上の多層構造とする。この場合、最内側のピストンを有底筒状とし、最外側のピストン、及び両ピストン間に介在される中間位置のピストンを筒状とする。最内側のピストンの端面が小さくなり易いことから、最内側のピストンと中間のピストン間に介在させるシール材には、弾性変形性により優れるものを利用することが挙げられる。
(2)実施形態1で説明した内側シール材41のシール溝を内側ピストン31の外周に設け、外側シール材42のシール溝を外側ピストン32の外周に設ける。
(3)実施形態1で説明した調整ピストンの初期位置において、内側ピストン31の端面が外側ピストン32の端面よりも突出した状態とする。この場合、ブレーキ液の供給前において、内側ピストン31の押圧面とインナパッド61間の隙間をより小さくできるため、制動開始初期に制動力をより早く発生できる。
1 ブレーキ装置
2 キャリパ
20 シリンダボディ
22 供給路
25 加圧部
202 内周面
3 ピストン
31 内側ピストン(調整ピストン)
310 端面
314 外周面
32 外側ピストン(調整ピストン)
320 端面
322 内周面
324 外周面
41 内側シール材
42 外側シール材
50 ディスクロータ
500 内側面(一面)
61 インナパッド(ブレーキパッド)
62 アウタパッド(ブレーキパッド)

Claims (1)

  1. 車両のホイールと共に回転するディスクロータをブレーキパッドで挟み込むことで、前記ホイールへの制動力を発生するブレーキ装置であって、
    前記ディスクロータの一面側に配置されて、この一面に向かって前記ブレーキパッドを押圧する複数のピストンを備え、
    前記複数のピストンは、前記ブレーキパッドへの押圧力の作用時が異なるように設けられた少なくとも二つの調整ピストンを含むブレーキ装置。
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