JP2018035776A - ベーンポンプ - Google Patents

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Yoshinari Nakamura
善也 中村
博仁 渡辺
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【課題】ベーンポンプの吸込特性を向上させる。【解決手段】ベーンポンプ100は、ロータ20と、複数のベーン30と、カムリング40と、第1及び第2サイドプレート70,80と、ポンプ室41と、ポンプ室41に作動流体を導く吸込ポート74,81と、吸込ポート74,81とは異なる位置でポンプ室41に開口する連通ポート45と、を備え、連通ポート45の始端45aは、吸込ポート74,81の始端74a,82aよりも回転方向後方に形成され、連通ポート45の終端45bは、吸込ポート74,81の始端74a,82aよりも回転方向前方に形成される。【選択図】図4

Description

本発明は、ベーンポンプに関する。
特許文献1には、回転駆動されるロータと、ロータに形成される複数のスリットに摺動自在に挿入される複数のベーンと、ロータ及びベーンを収容するカムリングと、を備えるベーンポンプが開示される。ベーンはロータの回転に伴ってスリットから突出する方向に付勢され、ベーンの先端部がカムリングの内周面(内周カム面)に摺接する。カムリングの内部には、ロータの外周面、内周カム面、及び隣り合うベーンによって複数のポンプ室が形成される。
特許文献1に開示されるベーンポンプでは、ロータの回転に伴って、内周カム面に摺接するベーンが往復動する。ポンプ室は、ベーンの往復動に伴って拡張と収縮とを繰り返す。作動流体は、ポンプ室が拡張する吸込領域において吸込ポートを通じてポンプ室に吸い込まれる。ポンプ室内の作動流体は、ポンプ室が収縮する吐出領域において吐出ポートから吐出される。
特開2014−74368号公報
ベーンは、吐出領域から吸込領域へ移動するときにロータのスリット内に最も押し込まれ、このときにポンプ室の容積が最小となる。ポンプ室の最小容量分の作動流体は、ポンプ室が吐出領域を通過する間に吐出ポートから吐出されず、ポンプ室に残る。
また、ポンプ室内の作動流体の圧力は、ポンプ室の収縮に伴って高まり、ポンプ室が吐出領域から吸込領域へ移動する際に最も高くなる。ポンプ室が吸込領域内で移動するのに伴って、ポンプ室が拡張し、ポンプ室に残った作動流体の圧力が徐々に低下する。ポンプ室内の圧力が低下した状態でポンプ室が吸込ポートに達すると、作動流体が吸込ポートからポンプ室に吸い込まれ始める。
しかしながら、吐出ポートから吐出されずにポンプ室に残った作動流体の圧力は、ポンプ室が吸込領域内で移動しても、作動流体の慣性及び圧縮性により、低下しないことがある。ポンプ室が吸込ポートに達するまでに圧力が低下しない場合、ポンプ室に残った作動流体が吸込ポートから吐出されるおそれがある。
吸込ポートにおいて吐出方向の流れが形成されると、作動流体の慣性のために、吸込方向の流れが形成されるまでに時間がかかる。そのため、吸込ポートからポンプ室に吸込まれる作動流体の量が低下し、ベーンポンプの吸込特性が低下する。
本発明は、ベーンポンプの吸込特性を向上させることを目的とする。
第1の発明は、ロータと、複数のベーンと、カムリングと、第1及び第2サイド部材と、ポンプ室と、ポンプ室に作動流体を導く吸込ポートと、吸込ポートとは異なる位置でポンプ室に開口する連通ポートと、を備え、連通ポートの始端は、吸込ポートの始端よりもロータの回転方向後方に形成され、連通ポートの終端は、吸込ポートの始端よりもロータの回転方向前方に形成されることを特徴とする。
第1の発明では、連通ポートの始端が吸込ポートの始端よりもロータの回転方向後方に形成されるので、ポンプ室は、吸込ポートに達する前に連通ポートに達する。そのため、吐出ポートから吐出されずにポンプ室に残った作動流体は、連通ポートのみから吐出され、吸込ポートからは吐出されない。また、連通ポートの終端が吸込ポートの始端よりもロータの回転方向前方に形成されるので、ポンプ室が吸込ポートに達した際には連通ポートと吸込ポートとがポンプ室に連通する。ポンプ室から連通ポートに向かう流れが形成されているので、吸込ポートからポンプ室に向かう流れが形成されやすい。したがって、吸込ポートからポンプ室に吸い込まれる作動流体の量が増加する。
第2の発明は、吸込ポートが、第1サイド部材とカムリングとによって形成される第1サイドポートと、第2サイド部材とカムリングとによって形成される第2サイドポートと、を備え、連通ポートは、カムリングの外周面と内周カム面との間を貫通する孔によって形成されることを特徴とする。
第2の発明では、吸込ポートが第1サイドポート及び第2サイドポートを備え連通ポートがカムリングに設けられる孔によって形成される。そのため、作動流体の流れは、第1サイドポート及び第2サイドポートからポンプ室の中央部に向かい連通ポートから吐出されるように形成される。したがって、ポンプ室の中央部に作動流体を行き渡らせることができ、ベーンポンプの吸込特性を向上させることができる。
第3の発明は、カムリングの外周に設けられ、第1サイドポート、第2サイドポート及び連通ポートに連通する流体室を更に備え、連通ポートが、ポンプ室から流体室に向かうほど第1サイドポートに近づくようにカムリングの径方向に対して傾斜した第1センターポートと、ポンプ室から流体室に向かうほど第2サイドポートに近づくようにカムリングの径方向に対して傾斜した第2センターポートと、を備えることを特徴とする。
第3の発明では、第1センターポートが第1サイドポートに近づくように傾斜しているので、第1センターポートから吐出された作動流体は、流体室内で第1サイドポートに向かって流れ、さらに第1サイドポートからポンプ室に吸い込まれる。また、第2センターポートが第2サイドポートに近づくように傾斜しているので、第2センターポートから吐出された作動流体は、流体室内で第2サイドポートに向かって流れ、さらに第2サイドポートからポンプ室に吸い込まれる。このように、作動流体の循環流が形成されやすいので、ポンプ室に吸い込まれる作動流体の量を増加させることができ、ベーンポンプの吸込特性を向上させることができる。
第4の発明は、吸込ポートの始端と連通ポートの終端とが、ロータの回転軸を中心とした所定の角度、離れており、所定の角度は、ポンプ室が吸込ポートの始端に到達してからポンプ室の圧力が低下するまでにロータが回転する角度であることを特徴とする。
第4の発明では、吸込ポートの始端と連通ポートの終端とがロータの回転軸を中心とした前述の所定の角度、離れている。そのため、ポンプ室が連通ポートを通過したときにはポンプ室内の圧力は十分に低下する。したがって、吸込ポートに吐出方向の流れが形成されるのをより確実に防ぐことができ、ベーンポンプの吸込特性をより確実に向上させることができる。
第5の発明は、前述の所定の角度をθとしたときに、所定の角度は、次式により求められる範囲内であることを特徴とする。
0<θ[deg]≦7α+10
ただし、α:前記ポンプ室の最大容積に対する前記ポンプ室の最小容積の割合
第5の発明では、所定の角度θが0(零)よりも大きいため、ポンプ室が吸込ポートに達したときには連通ポートと吸込ポートとがポンプ室に連通する。ポンプ室から連通ポートに向かう流れが形成されているので、吸込ポートからポンプ室に向かう流れが容易に形成される。したがって、ポンプ室が連通ポートを通過した後に吸込ポートに吐出方向の流れが形成されるのを防ぐことができる。また、所定の角度θが、7α+10により求められる角度以下であるため、連通ポートの終端は、吸込ポートの始端よりも、想定される圧力低下の遅れを超えては回転方向前方に形成されない。ポンプ室内の作動流体が慣性により連通ポートから吐出され続けるのを防止することができ、ポンプ室により多くの作動流体を貯留させることができる。したがって、ベーンポンプの吸込特性をより確実に向上させることができる。
本発明によれば、ベーンポンプの吸込特性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係るベーンポンプの断面図である。 ロータ、ベーン及びカムリングの正面図であり、ロータ、ベーン及びカムリングを組み立てた状態を示す。 第1サイドプレートの正面図である。 第2サイドプレートの正面図である。 カムリング、第1サイドプレート及び第2サイドプレートの側面図であり、第1サイドプレート及び第2サイドプレートをカムリングに組み付けた状態を示す。 カムリングの背面図である。 ロータ、ベーン及びカムリングの正面図であり、カムリングに第1サイドプレートを組み付けた状態を示す。 図5のVIII−VIII線に沿う断面図である。 ポンプ室の最小容積の割合と圧力低下の遅れとの関係を示すグラフである。 第1実施形態の変形例に係るカムリング、第1サイドプレート及び第2サイドプレートの側面図である。 図10のXI−XI線に沿う断面図である。 本発明の第2実施形態に係るカムリング、第1サイドプレート及び第2サイドプレートの側面図である。 図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るベーンポンプ100,200について説明する。ベーンポンプ100,200は、車両に搭載される油圧機器1(例えば、パワーステアリング装置や変速機等)の油圧供給源として用いられる。ここでは、作動流体として作動油が用いられるベーンポンプ100,200について説明するが、作動水等の他の流体を作動流体として用いてもよい。
<第1実施形態>
まず、図1から図7を参照して、本発明の第1実施形態に係るベーンポンプ100について説明する。ベーンポンプ100は、駆動シャフト10と、駆動シャフト10に連結されるロータ20と、ロータ20に設けられる複数のベーン30と、ロータ20及びベーン30を収容するカムリング40と、を備える。
駆動シャフト10は、ポンプボディ50及びポンプカバー60に回転自在に支持される。駆動シャフト10にエンジンまたは電動モータ(図示省略)の動力が伝わると、駆動シャフト10の回転駆動に伴ってロータ20が回転する。
以下において、ロータ20の回転軸に沿う方向を「軸方向」と称し、ロータ20の回転軸を中心とする放射方向を「径方向」と称し、ベーンポンプ100の通常作動時にロータ20が回転する方向を「回転方向」と称する。
ベーンポンプ100は、ロータ20及びカムリング40を軸方向に挟んで配置される第1サイド部材及び第2サイド部材としての第1サイドプレート70及び第2サイドプレート80を更に備える。第1サイドプレート70及び第2サイドプレート80は、それぞれ、ロータ20及びカムリング40に当接する側面70a及び側面80aを有する。ロータ20、カムリング40、隣り合うベーン30、第1サイドプレート70及び第2サイドプレート80によって、ポンプ室41が画定される。
図2は、ロータ20、ベーン30及びカムリング40を組み立てポンプカバー60の側から見た正面図である。図2に示すように、ロータ20には、外周面に開口部21を有するスリット22が所定間隔をおいて放射状に複数形成される。スリット22の開口部21は、ロータ20の外周から径方向外側に隆起した隆起部23に形成される。つまり、ロータ20の外周にはスリット22の数だけ隆起部23が形成される。
ベーン30は、各スリット22に摺動自在に挿入される。ベーン30の先端部31はカムリング40の内周面40aに対向する。ベーン30の基端部32はスリット22内に位置し、スリット22とベーン30とによって背圧室24が形成される。
ロータ20が回転すると、ベーン30に遠心力が生じる。この遠心力によって、ベーン30はスリット22から突出する方向に押圧される。ベーン30は、押圧された状態では、スリット22から突出し、ベーン30の先端部31がカムリング40の内周面40aに接する。
カムリング40の内周面40aは、略長円形状に形成される。以下において、内周面40aを、「内周カム面40a」とも称する。
内周カム面40aが略長円形状に形成されるので、ロータ20の回転に伴ってベーン30はロータ20に対して径方向に往復動する。ベーン30の往復動に伴って、ポンプ室41は拡張と収縮とを繰り返す。
ベーンポンプ100では、ロータ20が1回転する間に、ベーン30は2往復しポンプ室41は拡張と収縮とを2回繰り返す。つまり、ベーンポンプ100は、ポンプ室41が拡張する2つの拡張領域42a,42cと、ポンプ室41が収縮する2つの収縮領域42b,42dと、を回転方向に交互に有する。
再び図1を参照する。ポンプボディ50には、ロータ20、カムリング40及び第1サイドプレート70を収容する収容窪み部51が形成される。第1サイドプレート70が収容窪み部51の底面51aに配置される。
収容窪み部51の底面51aには環状溝52が形成される。環状溝52と第1サイドプレート70とにより、ポンプ室41から吐出された作動油が流入する高圧室53が形成される。高圧室53は油圧機器1に接続され、ポンプ室41から吐出された作動油は高圧室53を通じて油圧機器1に供給される。
図3は、第1サイドプレート70をカムリング40の側から見た正面図である。図1及び図3に示すように、第1サイドプレート70は、孔71を有する環状に形成される。孔71には駆動シャフト10が挿通する。
第1サイドプレート70には、ポンプ室41から吐出される作動油を高圧室53に導く2つの吐出ポート72が設けられる。吐出ポート72は、各収縮領域42b,42dに位置する。
ポンプ室41(図2参照)が収縮領域42b,42dを通過する間、ポンプ室41は収縮する。ポンプ室41の収縮に伴ってポンプ室41内の圧力が上昇し、ポンプ室41内の作動油が吐出ポート72から吐出される。つまり、ポンプ室41内の作動油は、ポンプ室41が収縮領域42b,42dを通過する間に吐出ポート72から吐出される。このように、収縮領域42b,42dでは作動油が吐出されるので、収縮領域42b,42dは「吐出領域」とも呼ばれる。
ベーン30は、収縮領域42dから拡張領域42aへ移動するとき、及び収縮領域42bから拡張領域42cへ移動するときにスリット22内に最も押し込まれ、このときにポンプ室41の容積が最小となる。ポンプ室41の最小容量分の作動油は、ポンプ室41が収縮領域42d,42bを通過する間にポンプ室41から吐出されず、ポンプ室41に残る。このように、ポンプ室41の最小容積はポンプとして機能せず、「デッドボリューム」とも呼ばれる。
第1サイドプレート70には、高圧室53から背圧室24(図1及び図2参照)へ作動油を導く2つの背圧通路73が形成される。背圧通路73は、孔71を中心とする円弧形状を有し、拡張領域42a,42cに位置する。そのため、拡張領域42a,42cを通過する背圧室24には高圧室53から作動油が導かれる。拡張領域42a,42cを通過するベーン30は、背圧室24内の圧力によりスリット22(図3参照)から突出する方向に押圧される。
このように、ベーンポンプ100では、ベーン30は、ロータ20の回転によって生じる遠心力だけでなく、背圧室24内の圧力によっても、スリット22から突出する方向に押圧される。
再び図1を参照する。ポンプボディ50の収容窪み部51はカムリング40と比較して大きい。カムリング40とポンプボディ50との間には、第2サイドプレート80の外周から第1サイドプレート70の外周まで延在する流体室54が形成される。
収容窪み部51の開口部はポンプカバー60により封止される。ポンプカバー60は、ボルト(図示省略)によってポンプボディ50に締結される。ポンプカバー60とカムリング40との間に第2サイドプレート80が配置される。
図4は、第2サイドプレート80をポンプカバー60の側から見た正面図である。図1及び図4に示すように、第2サイドプレート80は、孔81を有する環状に形成される。孔81には駆動シャフト10が挿通する。
図1に示すように、ポンプカバー60には低圧室61が形成される。低圧室61はタンク2に接続される。ベーンポンプ100の作動時には、タンク2内の作動油が低圧室61に供給される。低圧室61は流体室54と連通しており、タンク2内の作動油は低圧室61を通じて流体室54に供給される。
カムリング40及び第2サイドプレート80には、低圧室61内の作動油をポンプ室41に導く吸込ポートとしての第2サイドポート82が設けられる。また、カムリング40及び第1サイドプレート70には、流体室54内の作動油をポンプ室41に導く吸込ポートとしての第1サイドポート74が設けられる。第1サイドポート74及び第2サイドポート82は、各拡張領域42a,42cに位置する。
ポンプ室41が拡張領域42a,42c(図2参照)を通過する間、ポンプ室41は拡張する。ポンプ室41の拡張に伴ってポンプ室41内の圧力が低下し、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に作動油が吸い込まれる。つまり、作動油は、ポンプ室41が拡張領域42a,42cを通過する間に第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に吸い込まれる。このように、拡張領域42a,42cでは作動油がポンプ室41に吸い込まれるので、拡張領域42a,42cは「吸込領域」とも呼ばれる。
図5は、第1サイドプレート70及び第2サイドプレート80をカムリング40に組み付け径方向外側から見た側面図である。図3及び図5に示すように、第1サイドプレート70の側面70aには、2つの窪み部75が形成される。窪み部75は、第1サイドプレート70の外周面70bに開口する。
図6は、カムリング40を第1サイドプレート70の側から見た背面図である。図4及び図6に示すように、第1サイドプレート70に接するカムリング40の端面40bには2つの切り欠き43が設けられる。切り欠き43は拡張領域42a,42cに位置し、カムリング40の外周面40dから内周カム面40aまで形成される。
第1サイドプレート70をカムリング40に組み付けた状態では、第1サイドプレート70の窪み部75がカムリング40の切り欠き43に臨む。流体室54(図1参照)内の作動油は、窪み部75と切り欠き43とによって形成されるポートを通じてポンプ室41に導かれる。つまり、ベーンポンプ100では、第1サイドプレート70の窪み部75とカムリング40の切り欠き43とによって第1サイドポート74が形成される。
図4及び図5に示すように、第2サイドプレート80の外周面80bには、2つの窪み部83が設けられる。窪み部83は、第2サイドプレート80の側面80aから、側面80aとは反対側の第2サイドプレート80の側面80cまで形成される。
図2及び図4に示すように、第2サイドプレート80に接するカムリング40の端面40cには2つの切り欠き44が設けられる。切り欠き44は拡張領域42a,42cに位置し、カムリング40の外周面40dから内周カム面40aまで形成される。
第2サイドプレート80をカムリング40に組み付けた状態では、第2サイドプレート80の窪み部83がカムリング40の切り欠き44に臨む。低圧室61(図1参照)内の作動油は、窪み部83と切り欠き44とによって形成されるポートを通じてポンプ室41に導かれる。このように、ベーンポンプ100では、第2サイドプレート80の窪み部83とカムリング40の切り欠き44とによって第2サイドポート82が形成される。
また、カムリング40には、第1サイドポート74及び第2サイドポート82とは異なる位置でポンプ室41に開口する連通ポートとしてのセンターポート45が設けられる。センターポート45は、カムリング40の外周面40dと内周カム面40aとの間を貫通する孔46によって形成される。孔46は流体室54(図1参照)に開口し、センターポート45はポンプ室41と流体室54とを連通する。
図7は、ロータ20、ベーン30及びカムリング40の正面図であり、カムリング40に第1サイドプレート70を組み付けた状態を示す。図5及び図7に示すように、センターポート45の始端45aは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向後方に形成される。センターポート45の終端45bは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向前方に形成される。
センターポート45の「始端」とは、センターポート45の端部のうち、回転方向後方に位置する端部45aを意味する。また、センターポート45の「終端」とは、センターポート45の端部のうち、回転方向前方に位置する端部45bを意味する。つまり、ベーンポンプ100の作動時には、拡張領域42a,42c内に移動したポンプ室41が始端45aに達することにより当該ポンプ室41とセンターポート45が連通する。ポンプ室41がセンターポート45の終端45bを通過することにより、当該ポンプ室41とセンターポート45との連通が遮断される。
同様に、第1サイドポート74の「始端」とは、第1サイドポート74の端部のうち、回転方向後方に位置する端部74aを意味する。第1サイドポート74の「終端」とは、第1サイドポート74の端部のうち、回転方向前方に位置する端部74bを意味する。第2サイドポート82の「始端」とは、第2サイドポート82の端部のうち、回転方向後方に位置する端部82aを意味する。第2サイドポート82の「終端」とは、第2サイドポート82の端部のうち、回転方向前方に位置する端部82bを意味する。
ところで、ポンプ室41は、収縮領域42dから拡張領域42aに移動するとき、及び収縮領域42bから拡張領域42cに移動するときに最も収縮する。このとき、ポンプ室41内の圧力が最も高くなる。
吐出ポート72から吐出されずにポンプ室41に残った作動油の圧力は、ポンプ室41が拡張領域42a,42c内に移動しても、作動油の慣性及び圧縮性により、低下しないことがある。この状態でポンプ室41がポートに達すると、当該ポートから作動油が吐出されるおそれがある。
ベーンポンプ100では、センターポート45の始端45aが第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向後方に形成されるので、ポンプ室41は、第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達する前にセンターポート45に達する。そのため、ポンプ室41内の作動油の圧力が高い状態でポンプ室41がセンターポート45に達しても、ポンプ室41内の作動油はセンターポート45のみから吐出され、第1サイドポート74及び第2サイドポート82では吐出方向の流れが形成されない。
センターポート45からポンプ室41内の作動油が吐出されるとともにロータ20の回転に伴ってポンプ室41が拡張領域42a,42c内で移動しポンプ室41が拡張すると、ポンプ室41内の圧力が低下する。ロータ20が更に回転してポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達した際には、ポンプ室41内の圧力は十分に低下している。
センターポート45では吐出方向の流れが形成されているので、作動油の慣性のために、吸込方向の流れがセンターポート45で形成されるまでに時間がかかることがある。第1サイドポート74及び第2サイドポート82では吐出方向の流れが形成されていないので、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達した際には第1サイドポート74及び第2サイドポート82においてすぐに吸込方向の流れが形成される。したがって、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に吸込まれる作動油の量が低下するのを防ぐことができ、ベーンポンプ100の吸込特性を向上させることができる。
また、センターポート45の終端45bは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向前方に形成される。そのため、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達した際にはセンターポート45と第1サイドポート74及び第2サイドポート82とがポンプ室41に連通する。
図8は、図5のVIII−VIII線に沿う断面図である。ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達したときにはポンプ室41からセンターポート45に向かう流れが既に形成されている。そのため、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に向かう流れが形成されやすい。したがって、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に吸い込まれる作動油の量が増加し、ベーンポンプ100の吸込特性をさらに向上させることができる。
図9は、ポンプ室41の最大容積に対するポンプ室41の最小容積の割合αと、ポンプ室41における圧力低下の遅れと、の関係を示すグラフである。
最大容積は、ベーン30がスリット22から最も押し出されたときのポンプ室41の容積である。ポンプ室41が拡張領域42aから収縮領域42bへ移動するとき、及び拡張領域42cから収縮領域42dに移動するときに、ベーン30がスリット22から最も押し出され、このときにポンプ室41の容積が最大となる。いわゆる有効容積は、ポンプ室41の最大容積から最小容積を引くことによって得られる値である。有効容積が、ポンプとして機能するポンプ室41の容積に相当する。
圧力低下の遅れは、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aに到達してから圧力が低下するまでにロータ20が回転する角度θ[deg]として表される。空気の圧縮性の影響により、作動油中に含まれる空気量が多いほど、圧力低下は遅れ、角度が大きくなることが分かっている。
図9において、プロットは、シミュレーションにより得られた結果の一例を示す。直線は、複数のシミュレーション結果に基づいた近似線を示し、近似式は、次の式(1)により表される。シミュレーションでは、作動油の空気含有率のパラメータとして、実機において一般的に用いられる作動油の空気含有率を用いた。
θ1[deg]=7α+10 ・・・(1)
図9に示すように、ポンプ室41内の圧力は、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aに達してからロータ20が式(1)により求められる角度θ1だけさらに回転すれば、十分に低下することがシミュレーションによりわかった。また、ロータ20が角度θ1からさらに回転しても、ポンプ室41内の圧力はほとんど変化しないことがシミュレーションによりわかった。
ベーンポンプ100では、図5及び図7に示すように、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aとセンターポート45の終端45bとは、ロータ20の回転軸を中心とした所定の角度θ、離れている。所定の角度θは、次の式(2)の範囲内に設定される。
0<θ[deg]≦7α+10 ・・・(2)
所定の角度θが0(零)よりも大きいため、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達したときには第1サイドポート74及び第2サイドポート82とセンターポート45とがポンプ室41に連通する。ポンプ室41からセンターポート45に向かう流れが形成されているので、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に向かう流れが容易に形成される。したがって、ポンプ室41がセンターポート45を通過した後に第1サイドポート74及び第2サイドポート82に吐出方向の流れが形成されるのを防ぐことができ、ベーンポンプ100の吸込特性をより確実に向上させることができる。
カムリング40、第1サイドプレート70及び第2サイドプレート80の加工精度を考慮して、所定の角度θを0(零)よりも公差分、大きく設定することが好ましい。これによって、歩留まりの低下を防ぐことができ、ベーンポンプ100の製造コストの増加を防止することができる。
また、所定の角度θは、前述の式(1)により求められる角度θ1以下である。前述のように、ロータ20が角度θ1からさらに回転しても、ポンプ室41内の圧力はほとんど低下しない。つまり、所定の角度θを角度θ1よりも大きくする必要がない。所定の角度θが角度θ1以下であるため、センターポート45の終端45aは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも、想定される圧力低下の遅れを超えては回転方向前方に形成されない。したがって、ポンプ室41内の作動油が慣性によりセンターポート45から吐出され続けるのを防止することができる。ポンプ室41が拡張領域42a,42cを通過する間にポンプ室41により多くの作動油を貯留させることができ、ベーンポンプ100の吸込特性を向上させることができる。
一般的に用いられる作動油の空気含有率の1〜15倍の値を空気含有率のパラメータとして用いてシミュレーションを行った場合であっても、ベーンポンプ100が製品の仕様範囲内の性能を発揮することが導き出された。つまり、作動油が多量の空気を含む場合においても、所定の角度θを式(2)の範囲内に設定することによって、第2サイドポート82に吐出方向の流れが形成されるのを防ぐことができ、ベーンポンプ100の吸込特性を向上させることができる。
次に、ベーンポンプ100の動作を、図1から図4を参照して説明する。
駆動シャフト10にエンジン又は電動モータ(図示省略)の動力が伝わると、駆動シャフト10の回転駆動に伴ってロータ20が回転する。ロータ20の回転に伴ってベーン30はロータ20に対して往復動し、ポンプ室41が膨張と収縮とを繰り返す。
拡張領域42a,42cを通過するポンプ室41には、タンク2内の作動油が、低圧室61及び第2サイドポート82を通じて、又は低圧室61、流体室54及び第1サイドポート74を通じて導かれる。収縮領域42b,42dを通過するポンプ室41内の作動油は、吐出ポート72から吐出される。
収縮領域42b,42dから拡張領域42a,42cに移動するポンプ室41には、デッドボリューム分の作動油が高い圧力を保った状態で残っている。この状態でロータ20が回転すると、ポンプ室41はセンターポート45に達し、センターポート45からポンプ室41に残った作動油が吐出される。ポンプ室41は第1サイドポート74及び第2サイドポート82には達していないので、第1サイドポート74及び第2サイドポート82には吐出方向の流れが形成されない。
ロータ20が更に回転してポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達したときには、ポンプ室41内の圧力は低下している。第1サイドポート74及び第2サイドポート82では吐出方向の流れが形成されていないので、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達した際には第1サイドポート74及び第2サイドポート82において吸込方向の流れが形成されやすい。
また、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達したときにはポンプ室41とセンターポート45とが連通しかつポンプ室41からセンターポート45に向かう流れが既に形成されている。そのため、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に向かう流れがすぐに形成される。したがって、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に吸い込まれる作動油の量が増加し、ベーンポンプ100の吸込特性をさらに向上させることができる。
以上のベーンポンプ100では、第2サイドポート82の始端82aと第1サイドポート74の始端74aとが回転方向における同じ位置に形成されているが、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aの一方が他方よりも回転方向前方に形成されていてもよい。
また、ベーンポンプ100では、第1サイドポート74が、第1サイドプレート70の窪み部75とカムリング40の切り欠き43とによって形成されているが、第1サイドポート74はこの形態に限られない。例えば、カムリング40に切り欠き43が形成されておらず、第1サイドポート74が、第1サイドプレート70の窪み部75と、カムリング40の平面状の端面40bと、によって形成されていてもよい。第1サイドプレート70に窪み部75が形成されておらず、第1サイドポート74が第1サイドプレート70の平面状の側面70aと、カムリング40の切り欠き43とによって形成されていてもよい。さらに、第1サイドポート74は、第1サイドプレート70を貫通する孔により形成されていてもよい。
同様に、ベーンポンプ100では、第2サイドポート82が、第2サイドプレート80の窪み部83とカムリング40の切り欠き44とによって形成されているが、第2サイドポート82はこの形態に限られない。例えば、カムリング40に切り欠き44が形成されておらず、第2サイドポート82が、第2サイドプレート80の窪み部83と、カムリング40の平面状の端面40cと、によって形成されていてもよい。第2サイドプレート80に切り欠き44が形成されておらず、第2サイドポート82が第2サイドプレート80の平面状の側面80aと、カムリング40の切り欠き44とによって形成されていてもよい。さらに、第2サイドポート82は、第2サイドプレート80を貫通する孔により形成されていてもよい。
図10は、第1実施形態の変形例に係るカムリング140、第1サイドプレート170及び第2サイドプレート80の側面図である。図11は、図10のXI−XI線に沿う断面図である。
変形例では、図10に示すように、第1サイドポート174は、第1サイドプレート170の側面170aに設けられる窪み部175と、カムリング140の端面140bに設けられる切り欠き143と、によって形成される。カムリング140には、孔46(図4及び図8参照)は形成されていない。
第1サイドポート174の始端174aは、第2サイドポート82の始端82aよりも回転方向後方に形成される。第1サイドポート174の終端174bは、第2サイドポート82の始端82aよりも回転方向前方に形成される。
変形例においても、デッドボリューム分の作動油が高い圧力を保った状態でポンプ室41が拡張領域42a,42cを移動しても、ポンプ室41はまず第1サイドポート174に達し、第1サイドポート174からポンプ室41に残った作動油が吐出される。ポンプ室41は第2サイドポート82には達していないので、第2サイドポート82には吐出方向の流れが形成されない。
ロータ20が更に回転してポンプ室41が第2サイドポート82に達したときには、ポンプ室41内の圧力は低下している。第2サイドポート82では吐出方向の流れが形成されていないので、ポンプ室41が第2サイドポート82に達した際には第2サイドポート82において吸込方向の流れが形成されやすい。
また、ポンプ室41が第2サイドポート82に達したときにはポンプ室41と第1サイドポート174とが連通しかつポンプ室41から第1サイドポート174に向かう流れが既に形成されている。そのため、第2サイドポート82からポンプ室41に向かう流れがすぐに形成される。したがって、第2サイドポート82からポンプ室41に吸い込まれる作動油の量が増加し、ベーンポンプ100の吸込特性を向上させることができる。
つまり、変形例では第2サイドポート82のみが吸込ポートに相当し、第1サイドポート174が連通ポートに相当する。
図5及び図8を再び参照する。ベーンポンプ100では、第1サイドポート74及び第2サイドポート82から作動油がポンプ室41に吸い込まれセンターポート45からポンプ室41内の作動油が吐出される。そのため、作動油の流れは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41の中央部に向かいセンターポート45から吐出されるように形成される。したがって、ポンプ室41の中央部に作動油を行き渡らせることができ、ベーンポンプ100の吸込特性をさらに向上させることができる。
本明細書において、「中央」は、カムリング240の端面240b,240cから等距離の位置を意味する厳密な中央に限られず、厳密な中央から、ある程度(例えば、端面240bと端面240cとの間の寸法の30%程度)、端面240b,240cのどちらかに偏った位置を含む。
<第2実施形態>
次に、図12及び図13を参照して、本発明の第2実施形態に係るベーンポンプ200について説明する。第1実施形態における構成と同じ構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図12は、ベーンポンプ200のカムリング240、第1サイドプレート70及び第2サイドプレート80の側面図である。図13は、図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
カムリング240には、第1サイドポート74及び第2サイドポート82とは異なる位置でポンプ室41に開口する連通ポートとしての第1センターポート245及び第2センターポート247が設けられる。第1センターポート245及び第2センターポート247は、それぞれ、カムリング240の外周面240dと内周カム面240aとの間を貫通する孔246及び孔248によって形成される。孔246及び孔248は流体室54(図1参照)に開口し、第1センターポート245及び第2センターポート247はポンプ室41と流体室54とを連通する。
第1センターポート245及び第2センターポート247の始端245a,247aは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向後方に形成される。第1センターポート245及び第2センターポート247の終端245b,247bは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向前方に形成される。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1サイドポート74及び第2サイドポート82において吸込方向の流れが形成されやすい。また、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に向かう流れがすぐに形成される。
第1センターポート245は、ポンプ室41から流体室54に向かうほど第1サイドポート74に近づくように径方向に対して傾斜している。そのため、第1センターポート245から吐出された作動油は、流体室54内で第1サイドポート74に向かって流れ、さらに第1サイドポート74からポンプ室41に吸い込まれる。
第2センターポート247は、ポンプ室41から流体室54に向かうほど第2サイドポート82に近づくように径方向に対して傾斜している。そのため、第2センターポート247から吐出された作動油は、流体室54内で第2サイドポート82に向かって流れ、さらに第2サイドポート82からポンプ室41に吸い込まれる。
このように、本実施形態では循環流が形成されやすいので、ポンプ室41に吸い込まれる作動油の量をより増加させることができ、ベーンポンプ200の吸込特性を向上させることができる。
第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aと第1センターポート245及び第2センターポート247の始端245a,247aとは、ロータ20の回転軸を中心とした所定の角度θ、離れている。所定の角度θは、前述の式(2)の範囲内に設定される。ベーンポンプ100と同様に、第1サイドポート74及び第2サイドポート82に吐出方向の流れが形成されるのを防ぐことができ、ポンプ室41内の作動油が慣性により第1センターポート245及び第2センターポート247から吐出され続けるのを防止することができる。ポンプ室41が拡張領域42a,42cを通過する間にポンプ室41により多くの作動油を貯留させることができ、ベーンポンプ200の吸込特性を向上させることができる。
ベーンポンプ200の動作については、ベーンポンプ100の動作と略同じであるため、ここではその説明を省略する。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
本実施形態では、ベーンポンプ100,200は、回転駆動されるロータ20と、ロータ20の径方向に往復動自在にロータ20に設けられる複数のベーン30と、ロータ20の回転に伴って複数のベーン30の先端部31が摺接する内周カム面40a,240aを有するカムリング40,140,240と、ロータ20及びカムリング40,140,240を挟んで配置される第1サイドプレート70,170及び第2サイドプレート80,180と、ロータ20、カムリング40,140,240、及び隣り合うベーン30によって画定されるポンプ室41と、カムリング40,140,240、第1サイドプレート70,170及び第2サイドプレート80,180の少なくとも1つに形成され、ポンプ室41に作動油を導く第1サイドポート74及び第2サイドポート82と、カムリング40,140,240、第1サイドプレート70,170及び第2サイドプレート80,180の少なくとも1つに形成され、第1サイドポート74及び第2サイドポート82とは異なる位置でポンプ室41に開口するセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247と、を備え、センターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247の始端45a,174a,245a,247aは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向後方に形成され、センターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247の終端45b,174b,245b,247bは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向前方に形成される。
この構成では、センターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247の始端45a,174a,245a,247aが第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向後方に形成されるので、ポンプ室41は、第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達する前にセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247に達する。そのため、吐出ポート72から吐出されずにポンプ室41に残った作動油は、センターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247のみから吐出され、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からは吐出されない。また、センターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247の終端45b,174b,245b,247bが第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも回転方向前方に形成されるので、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達した際にはセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247と第1サイドポート74及び第2サイドポート82とがポンプ室41に連通する。ポンプ室41からセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247に向かう流れが形成されているので、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に向かう流れが形成されやすい。したがって、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に吸い込まれる作動油の量が増加する。ベーンポンプ100,200の吸込特性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ベーンポンプ100,200は、第1サイドポート74及び第2サイドポート82は、第1サイドプレート70とカムリング40,240とによって形成される第1サイドポート74と、第2サイドプレート80とカムリング40,240とによって形成される第2サイドポート82と、を備え、センターポート45、第1センターポート245及び第2センターポート247は、カムリング40,240の外周面40d,240dと内周カム面40a,240aとの間を貫通する孔46,246,248によって形成される。
この構成では、第1サイドポート74及び第2サイドポート82が第1サイドポート74及び第2サイドポート82を備えセンターポート45、第1センターポート245及び第2センターポート247がカムリング40,240に設けられる孔46,246,248によって形成される。そのため、作動油の流れは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41の中央部に向かいセンターポート45、第1センターポート245及び第2センターポート247から吐出されるように形成される。したがって、ポンプ室41の中央部に作動油を行き渡らせることができ、ベーンポンプ100,200の吸込特性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ベーンポンプ200は、カムリング240の外周に設けられ、第1サイドポート74、第2サイドポート82、第1センターポート245及び第2センターポート247に連通する流体室54を更に備え、第1センターポート245は、ポンプ室41から流体室54に向かうほど第1サイドポート74に近づくようにカムリング240の径方向に対して傾斜し、第2センターポート247は、ポンプ室41から流体室54に向かうほど第2サイドポート82に近づくようにカムリング240の径方向に対して傾斜する。
この構成では、第1センターポート245が第1サイドポート74に近づくように傾斜しているので、第1センターポート245から吐出された作動油は、流体室54内で第1サイドポート74に向かって流れ、さらに第1サイドポート74からポンプ室41に吸い込まれる。また、第2センターポート247が第2サイドポート82に近づくように傾斜しているので、第2センターポート247から吐出された作動油は、流体室54内で第2サイドポート82に向かって流れ、さらに第2サイドポート82からポンプ室41に吸い込まれる。このように、作動油の循環流が形成されやすいので、ポンプ室41に吸い込まれる作動油の量を増加させることができ、ベーンポンプ200の吸込特性を向上させることができる。
また、本実施形態では、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aとセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247の終端45b,174b,245b,247bとは、ロータ20の回転軸を中心とした所定の角度、離れており、所定の角度は、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aに到達してからポンプ室41の圧力が低下するまでにロータ20が回転する角度である。
この構成では、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aとセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247の終端45b,174b,245b,247bとがロータ20の回転軸を中心とした前述の所定の角度、離れている。そのため、ポンプ室41がセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247を通過したときにはポンプ室41内の圧力は十分に低下する。したがって、第1サイドポート74及び第2サイドポート82に吐出方向の流れが形成されるのをより確実に防ぐことができ、ベーンポンプ100,200の吸込特性をより確実に向上させることができる。
また、本実施形態では、所定の角度をθとしたときに、所定の角度は、次式により求められる範囲内である。
0<θ[deg]≦7α+10
ただし、α:ポンプ室41の最大容積に対するポンプ室41の最小容積の割合
この構成では、所定の角度θが0(零)よりも大きいため、ポンプ室41が第1サイドポート74及び第2サイドポート82に達したときには、第1サイドポート74及び第2サイドポート82がポンプ室41に連通するとともに、センターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247がポンプ室41に連通する。ポンプ室41からセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247に向かう流れが形成されているので、第1サイドポート74及び第2サイドポート82からポンプ室41に向かう流れが容易に形成される。したがって、ポンプ室41がセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247を通過した後に第1サイドポート74及び第2サイドポート82に吐出方向の流れが形成されるのを防ぐことができ、ベーンポンプ100の吸込特性をより確実に向上させることができる。また、所定の角度θが、7α+10により求められる角度以下であるため、センターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247の終端45b,174b,245b,247bは、第1サイドポート74及び第2サイドポート82の始端74a,82aよりも、想定される圧力低下の遅れを超えては回転方向前方に形成されない。ポンプ室41内の作動油が慣性によりセンターポート45、第1サイドポート174、第1センターポート245及び第2センターポート247から吐出され続けるのを防止することができ、ポンプ室41により多くの作動油を貯留させることができる。したがって、ベーンポンプ100,200の吸込特性をより確実に向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
20・・・ロータ、30・・・ベーン、31・・・先端部、40・・・カムリング、40a・・・内周カム面、40d・・・外周面、41・・・ポンプ室、45・・・センターポート(連通ポート)、45a・・・始端、45b・・・終端、46・・・孔、54・・・流体室、70・・・第1サイドプレート(第1サイド部材)、74・・・第1サイドポート(吸込ポート)、74a・・・始端、80・・・第2サイドプレート(第2サイド部材)、81・・・第2サイドポート(吸込ポート)、82a・・・始端、100・・・ベーンポンプ、170・・・第1サイドプレート(第1サイド部材)、174・・・第1サイドポート(連通ポート)、174a・・・始端、174b・・・終端、200・・・ベーンポンプ、240・・・カムリング、240a・・・内周カム面、240d・・・外周面、245・・・第1センターポート(連通ポート)、246・・・孔、247・・・第2センターポート(連通ポート)、248・・・孔

Claims (5)

  1. ベーンポンプであって、
    回転駆動されるロータと、
    前記ロータの径方向に往復動自在に前記ロータに設けられる複数のベーンと、
    前記ロータの回転に伴って前記複数のベーンの先端部が摺接する内周カム面を有するカムリングと、
    前記ロータ及び前記カムリングを挟んで配置される第1及び第2サイド部材と、
    前記ロータ、前記カムリング、及び隣り合う前記ベーンによって画定されるポンプ室と、
    前記カムリング、前記第1サイド部材及び前記第2サイド部材の少なくとも1つに形成され、前記ポンプ室に作動流体を導く吸込ポートと、
    前記カムリング、前記第1サイド部材及び前記第2サイド部材の少なくとも1つに形成され、前記吸込ポートとは異なる位置で前記ポンプ室に開口する連通ポートと、を備え、
    前記連通ポートの始端は、前記吸込ポートの始端よりも回転方向後方に形成され、
    前記連通ポートの終端は、前記吸込ポートの始端よりも回転方向前方に形成されることを特徴とする
    ベーンポンプ。
  2. 請求項1に記載のベーンポンプであって、
    前記吸込ポートは、前記第1サイド部材と前記カムリングとによって形成される第1サイドポートと、前記第2サイド部材と前記カムリングとによって形成される第2サイドポートと、を備え、
    前記連通ポートは、前記カムリングの外周面と前記内周カム面との間を貫通する孔によって形成されることを特徴とする
    ベーンポンプ。
  3. 請求項2に記載のベーンポンプであって、
    前記カムリングの外周に設けられ、前記第1サイドポート、前記第2サイドポート及び前記連通ポートに連通する流体室を更に備え、
    前記連通ポートは、前記ポンプ室から前記流体室に向かうほど前記第1サイドポートに近づくように前記カムリングの径方向に対して傾斜した第1センターポートと、前記ポンプ室から前記流体室に向かうほど前記第2サイドポートに近づくように前記カムリングの径方向に対して傾斜した第2センターポートと、を備えることを特徴とする
    ベーンポンプ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のベーンポンプであって、
    前記吸込ポートの始端と前記連通ポートの終端とは、前記ロータの回転軸を中心とした所定の角度、離れており、前記所定の角度は、前記ポンプ室が前記吸込ポートの始端に到達してから前記ポンプ室の圧力が低下するまでに前記ロータが回転する角度であることを特徴とする
    ベーンポンプ。
  5. 請求項4に記載のベーンポンプであって、
    前記所定の角度をθとしたときに、前記所定の角度は、次式により求められる範囲内であることを特徴とする
    ベーンポンプ。
    0<θ[deg]≦7α+10
    ただし、α:前記ポンプ室の最大容積に対する前記ポンプ室の最小容積の割合
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