JP2018035279A - 仮接着用組成物、硬化膜および半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、厚さ200μm以下のデバイスウェハは非常に薄く、これを用いた半導体素子製造用部材も非常に薄いため、このような部材に対して更なる処理を施したり、あるいは、このような部材を単に移動したりする場合等において、部材を安定的に、かつ、損傷を与えることなく支持することは困難である。
また、特許文献2には、JIS K−7210に準拠した10kg荷重における200℃でのメルトフローレートが4〜150g/10分である樹脂を含む、デバイスウェハと支持基板とを接着するための保護層形成用組成物であって、上記保護層形成用組成物のJIS K−7127に準拠したヤング率が0.02GPa以下である、保護層形成用組成物に関する発明が記載されている。
<1>エラストマーと、溶剤とを含み、上記溶剤は、トルエンと、トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤とを含み、上記溶剤中におけるトルエンの含有量が0.1〜300質量ppmである、仮接着用組成物。
<2>上記溶剤中におけるトルエンの含有量が0.1〜100質量ppmである、<1>に記載の仮接着用組成物。
<3>上記溶剤中におけるトルエンの含有量が0.1〜10質量ppmである、<1>に記載の仮接着用組成物。
<4>上記トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤は、ベンゼン環と、炭素数1〜10のアルキル基を1〜3つ有する溶剤である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物。
<5>上記トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤は、下記式(X)で表される溶剤である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物;
式(X)
<6>上記仮接着用組成物中に、上記溶剤を68〜97質量%含有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物。
<7>上記溶剤中の、トルエンと、上記トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤の合計含有量は、40〜100質量%である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物。
<8>上記アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤が、キシレンを含み、かつ、上記キシレンの含有量は、トルエンの含有量の1〜3倍である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物。
<9>さらに界面活性剤を含有し、上記界面活性剤を、上記仮接着用組成物の全固形分に対し、0.0001〜3質量%含有する、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物。
<10>上記エラストマーは、ポリスチレン系エラストマーを含む、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物。
<11>上記ポリスチレン系エラストマーは、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、およびポリスチレン−ポリ(エチレン/エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種である、<10>に記載の仮接着用組成物。
<12>上記ポリスチレン系エラストマーにおけるスチレン由来の繰り返し単位の含有量が55質量%以下である、<10>または<11>に記載の仮接着用組成物。
<13><1>〜<12>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物を硬化してなる硬化膜であって、有機系残渣が1cm2あたり0.03個以下であり、金属系残渣が1cm2あたり0.03個以下である、硬化膜;但し、有機系残渣とは少なくとも炭素原子と酸素原子とが検出され、金属成分が検出されない硬化膜の表面の欠陥をいい、金属系残渣とは、少なくとも炭素原子と酸素原子と、少なくとも1種の金属成分とが検出される硬化膜の表面の欠陥をいう。
<14><1>〜<12>のいずれか1つに記載の仮接着用組成物を用いる半導体素子の製造方法。
<15>上記仮接着用組成物を用いて硬化膜を形成し、上記硬化膜を、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤を用いて洗浄することを含む、<14>に記載の半導体素子の製造方法。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中における「活性光線」または「放射線」は、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定に従ったポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、内径(ID)6.0mm×15.0cm)を用い、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリドン)溶液を用いることによって求めることができる。
なお、以下に説明する実施の形態において、既に参照した図面において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略化する。
本発明の仮接着用組成物は、エラストマーと、溶剤とを含み、上記溶剤は、トルエンと、トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤とを含み、上記溶剤中におけるトルエンの含有量が0.1〜300質量ppmであることを特徴とする。
このように、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤を用いる場合、微量のトルエンを配合することにより、得られる硬化膜の有機系残渣や金属系残渣の両方を効果的に洗浄除去することが可能になる。より具体的には、トルエンの量を溶剤中、0.1質量ppm以上とすることにより、硬化膜中の有機系残渣が洗浄液に溶解しやすくなり、硬化膜中の有機系残渣を低減することができる。一方、トルエンの量を溶剤中、300質量ppm以下とすることにより、硬化膜中に、金属系残渣を発生しにくくすることができる。
ここで、有機系残渣とは、エラストマー中の超高分子量体や経時劣化した凝集体などであり、金属系残渣とは、金属塩を核にした成分などであると推測される。詳しくは、後述する実施例に従って測定される残渣をいう。
さらに、本発明では、キシレンを所定の割合で配合することにより、膜中に残存するキシレンの量を増やすことができ、長期間保存した後の塗布欠陥をより効果的に抑制できる。その結果、塗布後の硬化膜の表面での欠陥の発生をより効果的に抑制できる。
本発明の仮接着用組成物は、エラストマーを含む。エラストマーを使用することで、基板(キャリア基板やデバイスウェハ等の被加工基板)の微細な凹凸にも追従し、適度なアンカー効果により、接着性に優れた膜を形成できる。エラストマーは、1種または2種以上を併用することができる。なお、本明細書において、エラストマーとは、弾性変形を示す高分子化合物を表す。すなわち外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有する高分子化合物と定義する。
本発明におけるエラストマーは、元の大きさを100%としたときに、室温(20℃)において小さな外力で200%まで変形させることができ、かつ外力を除いたときに、短時間で130%以下に戻る性質を有することが好ましい。
ポリスチレン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロック共重合体(SEP)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(SEPS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられ、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体およびポリスチレン−ポリ(エチレン/エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記エラストマーBは、比較的硬い材料であるため、エラストマーBを含むことで、剥離性に優れた膜を形成できる。
また、ポリスチレン系エラストマーは水添物であると、熱に対する安定性が向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。さらに、溶剤への溶解性およびレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
ポリスチレン系エラストマーの不飽和二重結合量としては、剥離性の観点から、ポリスチレン系エラストマー1gあたり、15mmol未満であることが好ましく、5mmol未満であることがより好ましく、0.5mmol未満であることがさらに好ましい。なお、ここでいう不飽和二重結合量は、スチレン由来のベンゼン環内の不飽和二重結合の量を含まない。不飽和二重結合量は、NMR(核磁気共鳴)測定により算出することができる。
ポリエステル系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジカルボン酸またはその誘導体と、ジオール化合物またはその誘導体とを重縮合して得られるものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸およびこれらの芳香環の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオール、下記構造式で表される2価のフェノールなどが挙げられる。
また、ポリエステル系エラストマーとして、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることもできる。マルチブロック共重合体としては、ハードセグメントとソフトセグメントとの種類、比率、および分子量の違いによりさまざまなグレードのものが挙げられる。具体例としては、ハイトレル(東レ・デュポン(株)製)、ペルプレン(東洋紡(株)製)、プリマロイ(三菱化学(株)製)、ヌーベラン(帝人(株)製)、エスペル1612、1620(以上、日立化成工業(株)製)などが挙げられる。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレンなどの炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。また、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性ニトリルゴムが挙げられる。具体的には、エチレン・α−オレフィンの共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィンの共重合体ゴム、ブテン・α−オレフィンの共重合体ゴムなどが挙げられる。
市販品として、ミラストマー(三井化学(株)製)、サーモラン(三菱化学(株)製)EXACT(エクソンモービル製)、ENGAGE(ダウ・ケミカル日本(株)製)、エスポレックス(住友化学(株)製)、Sarlink(東洋紡(株)製)、ニューコン(日本ポリプロ(株)製)、EXCELINK(JSR(株)製)などが挙げられる。
ポリウレタン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、低分子のグリコールおよびジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオールおよびジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位を含むエラストマーなどが挙げられる。
高分子(長鎖)ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン・1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン・ネオペンチレンアジペート)などが挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000が好ましい。
低分子のグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができる。短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500が好ましい。
ポリウレタン系エラストマーの市販品としては、PANDEX T−2185、T−2983N(以上、DIC(株)製)、ミラクトラン(日本ミラクトラン(株)製)、エラストラン(BASFジャパン(株)製)、レザミン(大日精化工業(株)製)、ペレセン(ダウ・ケミカル日本(株)製)、アイアンラバー(NOK(株)製)、モビロン(日清紡ケミカル(株)製)などが挙げられる。
ポリアミド系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリアミド6、11、12などのポリアミドをハードセグメントに用い、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルおよびポリエステルのうちの少なくとも一方をソフトセグメントに用いたエラストマーなどが挙げられる。このエラストマーは、ポリエーテルブロックアミド型、ポリエーテルエステルブロックアミド型の2種に大別される。
市販品として、UBEポリアミドエラストマー、UBESTA XPA(宇部興産(株)製)、ダイアミド(ダイセルエボニック(株)製)、PEBAX(ARKEMA社製)、グリロンELX(エムスケミージャパン(株)製)、ノパミッド(三菱化学(株)製)、グリラックス(東洋紡製)、ポリエーテルエステルアミドPA−200、PA−201、TPAE−12、TPAE−32、ポリエステルアミドTPAE−617、TPAE−617C(以上、(株)T&K TOKA製)などが挙げられる。
ポリアクリル系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステルをモノマー材料の主成分としたものや、アクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどを共重合した共重合体が挙げられる。さらに、アクリル酸エステルと、アクリロニトリルやエチレンなどの架橋点モノマーとを共重合してなるものなどが挙げられる。具体的には、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体などが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニルメタ(アクリレート)、ベンジルメタ(アクリレート)、および2−メチルブチル(メタ)アクリレートが例示される。
また、ポリアクリル系エラストマーは本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、(メタ)アクリレートモノマーと他のモノマーとを共重合してもよい。(メタ)アクリレートモノマーと他のモノマーとを共重合する場合、他のモノマーの量は、全モノマーの10モル%以下が好ましい。
また、上記の他、三菱レイヨン(株)製、アクリペット MF 001、スリーエム ジャパン(株)製、LC−5320 F1035などが例示される。
式(3)
オルガノポリシロキサンを側鎖に有するアクリル系エラストマーの具体例としては、信越化学工業(株)製、シリコーングラフトアクリル系エラストマー、商品名:X−24−798A、X−22−8004(R4:C2H4OH、官能基当量:3250(g/mol))、X−22−8009(R4:Si(OCH3)3含有アルキル基、官能基当量:6200(g/mol))、X−22−8053(R4:H、官能基当量:900(g/mol))、X−22−8084、X−22−8084EM、X−22−8195(R4:H、官能基当量:2700(g/mol))、東亞合成(株)製サイマックシリーズ(US−270、US−350、US−352、US−380、US−413、US−450等)、レゼタGS−1000シリーズ(GS−1015、GS−1302等)等が挙げられる。
本発明において、エラストマーとして用いられるシロキサン重合体としては、下記式(1)で示される繰り返し単位を有するシロキサン重合体が好ましい。
熱可塑性シロキサン重合体は、R21R22R23SiO1/2単位(R21、R22、R23はそれぞれ、非置換または置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基または水酸基である。)およびSiO4/2単位を含有し、上記R21R22R23SiO1/2単位/SiO4/2単位のモル比が0.6〜1.7であるオルガノポリシロキサンと、下記式(4)で表わされるオルガノポリシロキサンとが、部分的に脱水縮合したものであって、上記脱水縮合させるオルガノポリシロキサンと上記オルガノポリシロキサンとの比率が、99:1〜50:50であり、重量平均分子量が200,000〜1,500,000であることが好ましい。
式(4)
市販品としては、SILRESシリーズ、例えば、SILRESシリーズ 604(旭化成ワッカーシリコーン社製)が例示される。
本発明において、エラストマーとして用いられるポリカーボネート樹脂は、式(11)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
これらの芳香族基は、置換基を有していてもよいが、有していない方が好ましい。
芳香族基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれであってもよい。また、アルキル基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の炭素数は、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。
本発明におけるエラストマーは、25℃における、JIS(日本工業規格) K 7161:1994に準拠した、引張弾性率Eが1MPa以上4000MPa以下であることが好ましく、1MPa以上100MPa以下であることがより好ましく、1MPa以上60MPa以下であることがさらに好ましく、1MPa以上35MPa以下であることが一層好ましく、1MPa以上20MPa以下であることがより一層好ましく、1MPa以上15MPa以下であることがさらに一層好ましく、3MPa以上10MPa以下であることが特に一層好ましい。このような範囲にすることにより、反りをより効果的に抑制することが可能になる。
本発明の仮接着用組成物は、溶剤を含み、上記溶剤は、トルエンと、トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤とを含み、上記溶剤中におけるトルエンの含有量が0.1〜300質量ppmである。
本発明において、溶剤中におけるトルエンの含有量は、0.1〜300質量ppmであり、0.1〜100質量ppmが好ましく、0.1〜50質量ppmがより好ましく、0.1〜10質量ppmがさらに好ましい。トルエンの含有量を0.1質量ppm以上とすることで、仮接着用組成物を硬化した硬化膜中において、エラストマー等の有機物を核とする凝集体を効果的に洗浄除去できる。また、トルエンの含有量を300質量ppm以下とすることで、仮接着用組成物中において、金属成分等を核とする凝集体の生成を効果的に抑制できる。
本発明の仮接着剤用組成物が含む溶剤中のトルエンの含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析法等の公知の手段によって測定することができる。
本発明の組成物は、トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤を含む。ここで、芳香族炭化水素系溶剤とは、炭素原子および水素原子のみからなり、芳香環を有する溶剤を意味する。
また、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤とは、炭素原子からなる直鎖または分岐のアルキル基により置換された芳香族炭化水素を意味する。
本発明で用いられる、トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤は、高純度に精製された電子工業グレードの有機溶媒等が好適に用いられる。溶剤の精製方法としては、例えば、理論段数が8〜40段の連続蒸留を数回繰り返し行い精留する方法や、薄膜蒸留装置、回転バンド蒸留装置などを用いて精密蒸留する方法が挙げられる。
本発明で用いる、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤を構成するアルキル基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、直鎖または分岐のアルキル基が好ましい。アルキル基を構成する炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。
本発明で用いる、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤は、ベンゼン環と、炭素数1〜10のアルキル基を1〜3つ有する溶剤であることが好ましく、下記式(X)で表される溶剤であることがより好ましい。
式(X)
Rは、直鎖または分岐の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基がより好ましい。また、Rを構成する炭素数の合計が2〜5の整数であることが好ましく、3または4がより好ましい。
本発明では、トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤を1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲であることが好ましい。
実質的に含まないとは、本発明の仮接着用組成物に含まれる溶剤のうち、上記特定の溶剤の割合が、5質量%以下のことをいい、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
本発明の仮接着用組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、フッ素原子を含む化合物およびシリコン原子を含む化合物が例示され、シリコン原子を含む化合物が好ましく、シリコーン化合物またはシランカップリング剤がさらに好ましい。
シリコーン化合物としては、Si−O結合を含む化合物であり、シリコーンオイル、シシリコーン樹脂、シリコーンゴム、環状シロキサンなどの低分子量シリコーンが例示され、シリコーンオイルが好ましい。
シリコーン化合物は、また、ポリエーテル変性シリコーンであることが好ましい。
シリコーン化合物の屈折率は、1.350〜1.480が好ましく、1.390〜1.440がより好ましく、1.400〜1.430がさらに好ましい。
シリコーン化合物を280℃、N2気流下で30分加熱した際の重量減少率は、0〜70%が好ましく、5〜50%がより好ましく、10〜30%がさらに好ましい。
式(A) {(MO+EO)/AO}×100
上記式(A)中、MOは、ポリエーテル変性シリコーン中のポリエーテル構造に含まれるメチレンオキシドのモル%であり、EOは、ポリエーテル変性シリコーン中のポリエーテル構造に含まれるエチレンオキシドのモル%であり、AOは、ポリエーテル変性シリコーン中のポリエーテル構造に含まれるアルキレンオキシドのモル%をいう。
上記式(A)で表される比率は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、98%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが一層好ましく、100%がより一層好ましい。
式(101)
式(102)
式(103)
式(104)
上記式(101)中、R12およびR14は、それぞれ独立に、2価の連結基であり、カルボニル基、酸素原子、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜16のシクロアルキレン基、炭素数2〜8のアルケニレン基、炭素数2〜5のアルキニレン基、および炭素数6〜10のアリーレン基が好ましく、酸素原子がより好ましい。
式(101)中、R13およびR15は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
上記式(102)中、R22は、2価の連結基であり、式(101)におけるR12と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記式(102)中、R23は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、式(101)におけるR13およびR15と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記式(103)中、R32およびR34は、それぞれ独立に、2価の連結基であり、式(101)におけるR12と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記式(103)中、R33およびR35は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、式(101)におけるR13およびR15と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記式(104)中、R47は、2価の連結基であり、式(101)におけるR12と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記式(104)中、R48は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、式(101)におけるR13およびR15と同義であり、好ましい範囲も同様である。
ポリオキシアルキレン基の含有率は、「{(1分子中のポリオキシアルキレン基の式量)/1分子の分子量}×100」で定義される。
さらに、特開昭62−36663号、特開昭61−226746号、特開昭61−226745号、特開昭62−170950号、特開昭63−34540号、特開平7−230165号、特開平8−62834号、特開平9−54432号、特開平9−5988号、特開2001−330953号各公報に記載の界面活性剤も挙げられる。
市販品としては、また、商品名「BYK−300」、「BYK−306」、「BYK−310」、「BYK−315」、「BYK−313」、「BYK−320」、「BYK−322」、「BYK−323」、「BYK−325」、「BYK−330」、「BYK−333」、「BYK−337」、「BYK−341」、「BYK−344」、「BYK−370」、「BYK−375」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3570」、「BYK−3550」、「BYK−SILCLEAN3700」、「BYK−SILCLEAN3720」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、商品名「AC FS 180」、「AC FS 360」、「AC S 20」(以上、Algin Chemie製)、商品名「ポリフローKL−400X」、「ポリフローKL−400HF」、「ポリフローKL−401」、「ポリフローKL−402」、「ポリフローKL−403」、「ポリフローKL−404」、「ポリフローKL−700」(以上、共栄社化学(株)製)、商品名「KP−301」、「KP−306」、「KP−109」、「KP−310」、「KP−310B」、「KP−323」、「KP−326」、「KP−341」、「KP−104」、「KP−110」、「KP−112」、「KP−360A」、「KP−361」、「KP−354」、「KP−357」、「KP−358」、「KP−359」、「KP−362」、「KP−365」、「KP−366」、「KP−368」、「KP−330」、「KP−650」、「KP−651」、「KP−390」、「KP−391」、「KP−392」(以上、信越化学工業(株)製)、商品名「LP−7001」、「LP−7002」、「8032 ADDITIVE」、「FZ−2110」、「FZ−2105」、「67 ADDITIVE」、「8618 ADDITIVE」、「3 ADDITIVE」、「56 ADDITIVE」(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、「TEGO WET 270」(エボニック・デグサ・ジャパン(株)製)、「NBX−15」(ネオス(株)製)なども使用することができる。
界面活性剤は、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の仮接着用組成物は、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などが使用できる。
フェノール系酸化防止剤としては例えば、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、Irganox1010、Irganox1330、Irganox3114、Irganox1035(以上、BASFジャパン(株)製)、Sumilizer MDP−S、Sumilizer GA−80(以上、住友化学(株)製)などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては例えば、3,3’−チオジプロピオネートジステアリル、Sumilizer TPM、Sumilizer TPS、Sumilizer TP−D(以上、住友化学(株)製)などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスフィト、ジフェニルイソデシルホスフィト、2−エチルヘキシルジフェニルホスフィト、トリフェニルホスフィト、Irgafos168、Irgafos38(以上、BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。
キノン系酸化防止剤としては例えば、p−ベンゾキノン、2−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンなどが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては例えば、ジメチルアニリンやフェノチアジンなどが挙げられる。
酸化防止剤は、Irganox1010、Irganox1330、3,3’−チオジプロピオネートジステアリル、Sumilizer TP−Dが好ましく、Irganox1010、Irganox1330がより好ましく、Irganox1010が特に好ましい。
また、上記酸化防止剤のうち、フェノール系酸化防止剤と、硫黄系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤とを併用することが好ましく、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが最も好ましい。特に、エラストマーとして、ポリスチレン系エラストマーを使用した場合において、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが好ましい。このような組み合わせにすることにより、酸化反応による仮接着用組成物の劣化を、効率よく抑制できる効果が期待できる。フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用する場合、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤との質量比は、フェノール系酸化防止剤:硫黄系酸化防止剤=95:5〜5:95が好ましく、25:75〜75:25がより好ましい。
酸化防止剤の組み合わせとしては、Irganox1010とSumilizer TP−D、Irganox1330とSumilizer TP−D、および、Sumilizer GA−80とSumilizer TP−Dが好ましく、Irganox1010とSumilizer TP−D、Irganox1330とSumilizer TP−Dがより好ましく、Irganox1010とSumilizer TP−Dが特に好ましい。
本発明の仮接着用組成物は、必要に応じて可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、芳香族多価カルボン酸エステル、ポリエステルなどが使用できる。
脂肪酸エステルとしては例えば、ブチルステアレート、ユニスターM−9676、ユニスターM−2222SL、ユニスターH−476、ユニスターH−476D、パナセート800B、パナセート875、パナセート810(以上、日油(株)製)、DBA、DIBA、DBS、DOA、DINA、DIDA、DOS、BXA、DOZ、DESU(以上、大八化学製)などが挙げられる。
芳香族多価カルボン酸エステルとしては、TOTM(大八化学工業(株)製)、モノサイザーW−705(大八化学工業(株)製)、UL−80、UL−100((株)ADEKA製)などが挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリサイザーTD−1720、ポリサイザーS−2002、ポリサイザーS−2010(以上、DIC(株)製)、BAA−15(大八化学工業(株)製)などが挙げられる。
上記可塑剤の中では、DIDP、DIDA、TOTM、ユニスターM−2222SL、ポリサイザーTD−1720が好ましく、DIDA、TOTMがより好ましく、TOTMが特に好ましい。
可塑剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明の仮接着用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、硬化剤、硬化触媒、充填剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は仮接着用組成物の全固形分の3質量%以下が好ましい。
仮接着用組成物から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルタを用いたろ過を挙げることができる。フィルタ孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下がさらに好ましい。フィルタの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルタが好ましい。フィルタは、溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルタろ過工程では、複数種類のフィルタを直列または並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルタを使用する場合は、孔径および/または材質が異なるフィルタを組み合わせて使用してもよい。また、濾過は、複数回行ってもよい。複数回ろ過する場合は、循環ろ過工程であってもよい。
また、仮接着用組成物に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、仮接着用組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、仮接着用組成物を構成する原料に対してフィルタろ過を行う、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。仮接着用組成物を構成する原料に対して行うフィルタろ過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルタろ過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルタろ過と吸着材による不純物の除去とを併用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
本発明は、本発明の仮接着用組成物を硬化してなる硬化膜を開示する。本発明の硬化膜は、仮接着用組成物を硬化してなる硬化膜であって、有機系残渣が1cm2あたり0.03個以下であり、金属系残渣が1cm2あたり0.03個以下である。但し、有機系残渣とは少なくとも炭素原子と酸素原子とが検出され、金属成分が検出されない硬化膜の表面の欠陥をいい、金属系残渣とは、少なくとも炭素原子と酸素原子と少なくとも1種の金属成分が検出される硬化膜の表面の欠陥をいう。ここで、有機系残渣は、通常、炭素原子と酸素原子の合計が50質量%を超えるものをいう。また、金属系残渣において検出される金属成分は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケルおよびアルミニウムの少なくとも1種が例示される。このように残渣の少ない硬化膜は、本発明の仮接着用組成物を用いて製造することにより得られる。有機系残渣および金属系残渣の測定は、後述する実施例に記載の方法に従う。
本発明ではまた、本発明の仮接着用組成物を用いる半導体素子の製造方法について開示する。
以下、半導体素子の製造方法の一実施形態について、図1をあわせて参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1(A)〜(E)は、それぞれ、キャリア基板とデバイスウェハとの仮接着を説明する概略断面図(図1(A)、(B))、キャリア基板に仮接着されたデバイスウェハが薄型化された状態(図1(C))、キャリア基板とデバイスウェハを剥離した状態(図1(D))、デバイスウェハから仮接着層を除去した後の状態(図1(E))を示す概略断面図である。
仮接着層11は、本発明の仮接着用組成物を用いて形成されるものであり、実質的に溶剤を含まない態様であることが好ましい。
さらに、本発明では、仮接着用組成物を硬化してなる硬化膜(仮接着層)を、洗浄液を用いて洗浄する工程を設けてもよい。特に、本発明で用いる洗浄液は、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤を含む洗浄液が好ましく、トルエンと、トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤とを含み、洗浄液中におけるトルエンの含有量が0.1〜300質量ppmである洗浄液がより好ましく、トルエンと、キシレンと、トルエンおよびキシレン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤とを含み、洗浄液中におけるトルエンの含有量が0.1〜300質量ppmであり、キシレンの含有量は、トルエンの含有量の1〜3倍である洗浄液がさらに好ましい。アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤の好ましい範囲は、仮接着用組成物に用いるアルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤の好ましい範囲と同じである。さらに、本発明で用いる洗浄液に含まれる溶剤成分は、仮接着用組成物に含まれる溶剤と、80質量%以上が共通することが好ましく、90質量%以上が共通することがより好ましく、完全に同一であることが特に好ましい。
デバイスウェハ60は、シリコン基板61の表面61aに複数のデバイスチップ62が設けられてなる。
シリコン基板61の厚さは、例えば、200〜1200μmが好ましい。デバイスチップ62は例えば金属構造体であることが好ましく、高さは10〜100μmが好ましい。
仮接着層を形成させる過程で、キャリア基板およびデバイスウェハの裏面を、上述の洗浄液や後述する剥離液を用いて洗浄する工程を設けてもよい。
具体的には、キャリア基板やデバイスウェハの端面または裏面に付着した仮接着層の残渣を、洗浄液や剥離液を用いて除去することで、装置の汚染を防ぐことができ、薄型化デバイスウェハのTTV(Total Thickness Variation)を低下させることができる。
仮接着層11は、デバイスチップ62を完全に覆っていることが好ましい。また、デバイスチップの高さがXμm、仮接着層の厚みがYμmの場合、「X+100≧Y>X」の関係を満たすことが好ましい。
仮接着層11がデバイスチップ62を完全に被覆していることは、薄型化デバイスウェハのTTVをより低下したい場合(すなわち、薄型化デバイスウェハの平坦性をより向上させたい場合)に有効である。
すなわち、デバイスウェハを薄型化する際において、複数のデバイスチップ62を仮接着層11によって保護することにより、キャリア基板12との接触面において、凹凸形状をほとんど無くすことが可能である。よって、このように支持した状態で薄型化しても、複数のデバイスチップ62に由来する形状が、薄型化デバイスウェハの裏面61b1に転写されるおそれは低減され、その結果、最終的に得られる薄型化デバイスウェハのTTVをより低下することができる。
仮接着層の膜面の面積は、キャリア基板の基板面の面積よりも小さいことが好ましい。また、キャリア基板の基板面の直径をCμm、デバイスウェハの基板面の直径をDμm、仮接着層の膜面の直径をTμmとしたとき、(C−200)≧T≧Dを満たすことがより好ましい。さらに、キャリア基板の基板面の直径をCμm、デバイスウェハの基板面の直径をDμm、仮接着層のキャリア基板と接している側の膜面の直径をTCμm、仮接着層のデバイスウェハと接している側の膜面の直径をTDμmとしたとき、(C−200)≧TC>TD≧Dを満たすことが好ましい。このような構成とすることにより、高温および真空下での処理が仮接着層に直接施されることによる仮接着層の変形、変質をより抑制することができる。尚、仮接着層の膜面の面積とは、キャリア基板に対し垂直な方向から見たときの面積をいい、膜面の凹凸は考えないものとする。デバイスウェハの基板面についても同様である。すなわち、ここでいう、デバイスウェハの基板面とは、例えば、図1の61a面に対応する面であり、デバイスチップが設けられている側の面であろう。仮接着層の膜面等の直径についても、同様に考える。また、仮接着層の膜面の直径Tとは、仮接着層のキャリア基板と接している側の膜面の直径をTCμm、仮接着層のデバイスウェハと接している側の膜面の直径をTDμmとしたとき、T=(TC+TD)/2とする。キャリア基板の基板面の直径およびデバイスウェハの基板面の直径は、仮接着層と接している側の表面の直径をいう。
また、機械的または化学的な処理として、薄膜化処理の後に、薄型化デバイスウェハ60aの裏面61b1からシリコン基板を貫通する貫通孔(図示せず)を形成し、この貫通孔内にシリコン貫通電極(図示せず)を形成する処理を行ってもよい。
また、キャリア基板12とデバイスウェハ60とを仮接着した後、剥離するまでの間に加熱処理を行ってもよい。加熱処理の一例として、機械的または化学的な処理を行う際に、加熱を行うことが挙げられる。
加熱処理における最高到達温度は80〜400℃が好ましく、130℃〜400℃がより好ましく、180℃〜350℃がさらに好ましい。加熱処理における最高到達温度は仮接着層の分解温度よりも低い温度とすることが好ましい。加熱処理は、最高到達温度での30秒〜30分間の加熱であることが好ましく、最高到達温度での1分〜10分の加熱であることがより好ましい。
A<B ・・・・式(A1)
また、剥離の際の端部を引き上げる際の力は、0.33N/mm以下であることが好ましく、0.2N/mm以下とすることもできる。下限値としては、好ましくは0.07N/mm以上である。この際の力は、フォースゲージを用いて測定することができる。
溶剤の使用量削減の観点からは、仮接着層をフィルム状の状態のまま剥離除去(ピールオフ)することが好ましい。仮接着層をフィルム状の状態のまま剥離除去する方法とは、剥離液を用いる等の化学的処理を行うことなく、仮接着層をフィルム状のまま物理的な力を加えて剥離除去(ピールオフ)する方法をいう。仮接着層をフィルム状の状態のままで剥離除去する場合、手での剥離または機械剥離が好ましい。仮接着層をフィルム状の状態のまま剥離除去するためには、デバイスウェハ表面61aと仮接着層11の密着強度Bが以下の式(B1)を満たすことが好ましい。
B≦4N/cm ・・・・式(B1)
さらに剥離性の観点から、2種以上の溶剤および水、2種以上のアルカリ、酸および界面活性剤を混合する形態も好ましい。
界面活性剤の含有量を上記した範囲内とすることにより、仮接着層11と薄型化デバイスウェハ60aとの剥離性をより向上できる傾向となる。
例えば、キャリア基板としてシリコン基板を使用した場合、従来既知のシリコンウェハの洗浄方法を使用することができ、例えば化学的に除去する場合に使用できる溶剤としては、強酸、強塩基、強酸化剤、またはそれらの混合物が上げられ、具体的には、硫酸、塩酸、フッ酸、硝酸、有機酸などの酸類、テトラメチルアンモニウム、アンモニア、有機塩基などの塩基類、過酸化水素などの酸化剤、またはアンモニアと過酸化水素の混合物、塩酸と過酸化水素水の混合物、硫酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合物などが挙げられる。
図2(A)〜(E)は、それぞれ、キャリア基板とデバイスウェハとの仮接着を説明する概略断面図(図2(A)、(B))、キャリア基板に仮接着されたデバイスウェハが薄型化された状態(図2(C))、キャリア基板とデバイスウェハを剥離した状態(図2(D))、デバイスウェハから仮接着層を除去した後の状態(図2(E))を示す概略断面図である。
この実施形態では、図2(A)に示すように、デバイスウェハの表面61a上に仮接着層を形成する点が上記第一の実施形態と相違する。
デバイスウェハ60の表面61a上に、仮接着層11aを設ける場合は、デバイスウェハ60の表面61aの表面に仮接着用組成物を適用(好ましくは塗布)し、次いで、乾燥(ベーク)することにより形成することができる。乾燥は、例えば、60〜150℃で、10秒〜2分行うことができる。
次いで、図2(B)に示す通り、キャリア基板12とデバイスウェハ60とを圧着させ、キャリア基板12とデバイスウェハ60とを仮接着させる。次いで、図2(C)に示すように、シリコン基板61の裏面61bに対して、機械的または化学的な処理を施して、シリコン基板61の厚さを薄くし、薄型化デバイスウェハ60aを得る。次いで、図2(D)に示すように、キャリア基板12を、薄型化デバイスウェハ60aから剥離させる。そして、図2(E)に示すように、薄型化デバイスウェハ60aから仮接着層11aを除去する。このような工程を経て半導体素子を製造できる。
また、上述した実施形態においては、デバイスウェハとして、シリコン基板を挙げたが、これに限定されるものではなく、半導体素子の製造方法において、機械的または化学的な処理に供され得るいずれの被処理部材であってもよい。
また、上述した実施形態においては、デバイスウェハ(シリコン基板)に対する機械的または化学的な処理として、デバイスウェハの薄膜化処理、および、シリコン貫通電極の形成処理を挙げたが、これらに限定されるものではなく、半導体素子の製造方法において必要ないずれの処理も挙げられる。
その他、上述した実施形態において例示した、デバイスウェハにおけるデバイスチップの形状、寸法、数、配置箇所等は任意であり、限定されない。
下記の表1に記載の成分を混合して均一な溶液とした後、5μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレン製フィルタを用いてろ過して、組成物1〜18を調製した。溶剤S−1〜S−4に関しては、蒸留精製したものを用いた。
(エラストマー)
P−1:セプトン4033((株)クラレ製、ポリスチレン系エラストマー、スチレン由来の繰り返し単位の含有量=30質量%)
P−2:セプトン2104((株)クラレ製、ポリスチレン系エラストマー、スチレン由来の繰り返し単位の含有量=65質量%)
P−3:セプトン8004((株)クラレ製、ポリスチレン系エラストマー、スチレン由来の繰り返し単位の含有量=31質量%)
P−4:クレイトンG1652(クレイトンポリマージャパン(株)製、ポリスチレン系エラストマー、スチレン由来の繰り返し単位の含有量=30質量%)
P−5:タフテックP2000(旭化成ケミカルズ(株)製、ポリスチレン系エラストマー、スチレン由来の繰り返し単位の含有量=67質量%)
P−6:PCZ−300(三菱ガス化学(株)製、ポリカーボネート樹脂(エラストマー))
P−7:SILRES604(旭化成ワッカー(株)製、シロキサン重合体(エラストマー))
(添加剤)
A−1:Irganox 1010(BASFジャパン(株)製)
A−2:Sumilizer TP−D (住友化学(株)製)
A−3:TSF4446(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
A−4:TSF4445(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
(溶剤)
S−1:1,3,5−トリメチルベンゼン
S−2:tert−ブチルベンゼン
S−3:1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン
S−4:デカヒドロナフタレン
上記表1に従って、各成分を配合し、さらに、溶剤中におけるトルエンの含有量およびキシレンの含有量が、それぞれ下記表2または表3に示す量となるように、トルエンおよびキシレンを配合して、仮接着用組成物を調製した。調整した溶液は、ポリ手トラフルオロエチレン(PTFE)メンブレン、ポアサイズ5μmフィルタでろ過を実施した。
[冷蔵6ヶ月後の金属系残渣および有機系残渣の評価]
上記で得られた組成物を、冷蔵庫暗所で、5℃で6ヶ月保管した。保管後の組成物を、直径が300mmベアシリコンの表面に、コーティング装置(イーヴィグループジャパン(株)製、EVG 101)を用いて塗布し、110℃で3分間加熱し、さらに、180℃で3分間加熱することで、溶剤を乾燥させ、ベアシリコンの表面に仮接着層を形成した。仮接着層を手で剥離した後、表面を精製したメシチレン溶剤で洗浄した。
洗浄後の仮接着層を、欠陥検査装置COMPLUS 3T(AMAT社製)にて、5000nm以上の長さを有する欠陥を残渣として、その個数を確認した。
残渣のうち、金属系に特徴的な核のある欠陥残渣の形状を、SEM VISION G4(AMAT製)で観察し、さらにエネルギー分散型X線分析(EDX)により金属成分の有無を解析した。残渣のうち、金属成分が検出されたものを金属系残渣とし、それ以外を有機系残渣とした。
ここで有機系残渣とは、少なくとも炭素原子と酸素原子とが検出され、金属成分が検出されない硬化膜の表面の欠陥をいい、金属系残渣とは、少なくとも炭素原子と酸素原子と、少なくとも1種の金属成分とが検出される硬化膜の表面の欠陥である。
欠陥数は同様にして作製したウェハ4枚の平均値とした。
結果を表2または表3に示した。
上記で得られた組成物を、冷蔵庫暗所で、5℃で6ヶ月保管した。保管後の組成物を、直径300mmのベアシリコンの表面に、仮接着用組成物をコーティング装置(イーヴィグループジャパン(株)製、EVG 101)を用いて塗布し、成膜した。ホットプレート(イーヴィグループジャパン(株)製、EVG 105)を用いて、得られた仮接着層について、欠陥検査装置COMPLUS 3T(AMAT社製)にて、500nm以上の長さを有する欠陥を残渣として、その個数を確認した。
欠陥数は同様にして作製したウェハ4枚の平均値とした。
12:キャリア基板
60:デバイスウェハ
60a:薄型化デバイスウェハ
61:シリコン基板
61a:表面
61b、61b1:裏面
62:デバイスチップ
100:接着性キャリア基板
Claims (15)
- エラストマーと、溶剤とを含み、
前記溶剤は、トルエンと、トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤とを含み、
前記溶剤中におけるトルエンの含有量が0.1〜300質量ppmである、仮接着用組成物。 - 前記溶剤中におけるトルエンの含有量が0.1〜100質量ppmである、請求項1に記載の仮接着用組成物。
- 前記溶剤中におけるトルエンの含有量が0.1〜10質量ppmである、請求項1に記載の仮接着用組成物。
- 前記トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤は、ベンゼン環と、炭素数1〜10のアルキル基を1〜3つ有する溶剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の仮接着用組成物。
- 前記トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤は、下記式(X)で表される溶剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の仮接着用組成物;
式(X)
- 前記仮接着用組成物中に、前記溶剤を68〜97質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の仮接着用組成物。
- 前記溶剤中の、トルエンと、前記トルエン以外の、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤の合計含有量は、40〜100質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の仮接着用組成物。
- 前記アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤が、キシレンを含み、かつ、前記キシレンの含有量は、トルエンの含有量の1〜3倍である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の仮接着用組成物。
- さらに界面活性剤を含有し、前記界面活性剤を、前記仮接着用組成物の全固形分に対し、0.0001〜3質量%含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の仮接着用組成物。
- 前記エラストマーは、ポリスチレン系エラストマーを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の仮接着用組成物。
- 前記ポリスチレン系エラストマーは、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、およびポリスチレン−ポリ(エチレン/エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の仮接着用組成物。
- 前記ポリスチレン系エラストマーにおけるスチレン由来の繰り返し単位の含有量が55質量%以下である、請求項10または11に記載の仮接着用組成物。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の仮接着用組成物を硬化してなる硬化膜であって、有機系残渣が1cm2あたり0.03個以下であり、金属系残渣が1cm2あたり0.03個以下である、硬化膜;有機系残渣とは少なくとも炭素原子と酸素原子とが検出され、金属成分が検出されない硬化膜の表面の欠陥をいい、金属系残渣とは、少なくとも炭素原子と酸素原子と、少なくとも1種の金属成分とが検出される硬化膜の表面の欠陥をいう。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の仮接着用組成物を用いる半導体素子の製造方法。
- 前記仮接着用組成物を用いて硬化膜を形成し、前記硬化膜を、アルキル基を有する芳香族炭化水素系溶剤を用いて洗浄することを含む、請求項14に記載の半導体素子の製造方法。
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