JP2018033879A - 医療用チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の生体器官同士を接続した境界部分の流体を排出することができ、また流体の排出が不要となった部分を抜去して治療を促進する。
【解決手段】医療用チューブ10は、膵臓100に挿入可能であり外管側ルーメン21を内部に有する長尺な外側チューブ20と、内管側ルーメン31を内部に有し、外側チューブ20に対して相対移動可能に外管側ルーメン21に配置される内側チューブ30とを備える。内側チューブ30は、外管側ルーメン21の軸方向の途中位置に設けられた弁孔27aを介して、外管側ルーメン21から外側チューブ20の外部に露出され、膵臓100と空腸200の間に挿入される。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、生体の体内に留置されて、体内の流体を体外に排出するための医療用チューブに関する。
外科手術後に、体内の流体(生体組織が生成する又は治療に用いられる液体や気体等)を体外に排出するために、特許文献1に開示されているような医療用ドレーンチューブ(医療用チューブ)が使用される。
一例として、膵頭十二指腸切除術では、膵頭が切除された膵臓(膵体、膵尾)と空腸を吻合した吻合部に医療用ドレーンチューブを用いている。この医療用ドレーンチューブは、胴体部が空腸内を通るように留置され、且つ空腸に吻合される膵臓(主膵管)に先端部が挿入及び留置される。これにより、膵臓内で生成される膵液が、主膵管から医療用ドレーンチューブを通って体外に排出される。
特許第4715504号公報
ところで、外科手術により複数の生体器官を吻合(接続)した場合、生体器官同士の境界部分にも、該生体器官が生成する流体が漏出する可能性がある。例えば、膵頭十二指腸切除術により膵臓と空腸を吻合した吻合部には、膵臓側から膵液が漏出する。この膵液は、吻合部から腹腔内にさらに漏れると、液中の酵素が活性化してしまうことがあり、この場合は、術後の患者に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複数の生体器官同士を接続した境界部分の流体を排出することができ、また流体の排出が不要となった部分を抜去して治療を促進することが可能な医療用チューブを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る医療用チューブは、先端部が第1生体器官に挿入可能であり、外管側ルーメンを内部に有する長尺な外管と、内管側ルーメンを内部に有し、前記外管に対して相対移動可能に前記外管側ルーメンに配置される内管と、を備え、前記外管は、軸方向の途中位置に挿通部を有し、前記内管は、前記挿通部を抜去可能に挿通して前記外管側ルーメンから前記外管の外部に露出されると共に、露出された部分が前記第1生体器官と、前記第1生体器官に接続された第2生体器官との間に挿入可能である。
上記によれば、医療用チューブは、内管が外管の挿通部を介して外管側ルーメンから外管の外部に露出していることにより、第1生体器官に外管を挿入する一方で、内管の露出された部分を第1生体器官と第2生体器官の間に簡単に挿入することができる。そのため、外管は、第1生体器官の流体を排出することができ、内管は、第1生体器官と第2生体器官の境界部分に漏出された流体を体外に排出することができる。また、境界部分の流体の排出が不要となった場合には、挿通部に挿通している内管を後退させて挿通部から抜去させることで、境界部分の癒着(治療)を促進することが可能となる。
この場合、前記挿通部は、前記内管が該挿通部から抜去することで閉塞し、前記外管側ルーメンと前記外管の外部との連通を遮断する構成であるとよい。
このように、挿通部は、内管が抜けることで閉塞して外管側ルーメンと外管の外部との連通を遮断することで、外管側ルーメンを流動する流体を外管の外部に漏らすことを抑制して、流体を体外に良好に排出させることができる。
また、前記外管は、前記挿通部を有する弾性体からなる弁体を備え、前記弁体は、前記内管が前記挿通部から抜けることにより弾性復元して前記挿通部を閉塞することが好ましい。
このように、医療用チューブは、外管が弁体を備えることで、内管の相対移動時の摺動が円滑化される。また、弾性体からなる弁体は、内管の離脱に伴い挿通部を簡単に閉塞して、外管側ルーメンと外管の外部との間を遮断することができる。
また、前記外管は、前記外管側ルーメンに連通する外管側先端開口を備え、前記内管は、前記内管側ルーメンに連通する内管側先端開口を備え、前記外管及び前記内管は、大気圧下に、前記外管側先端開口及び前記内管側先端開口から流体が流入される一方で、前記内管は、該内管側ルーメンの基端側から陰圧が作用されることに基づき、大気圧下よりも前記内管側先端開口からの前記流体の流入が促進されるとよい。
これにより、医療用チューブは、必要に応じて、第1生体器官と第2生体器官の境界部分に漏出された流体を積極的に回収することができる。
さらに、前記内管は、前記内管の径方向外側に放射状に延出する複数の分枝チューブを備え、前記分枝チューブは、前記内管側ルーメンに連通する分枝ルーメンを内部に有し、前記外管は、前記複数の分枝チューブがそれぞれ挿通される前記挿通部を該外管の軸方向の同位置に複数備えることが好ましい。
このように、内管が複数の分枝チューブを備え、外管が分枝チューブをそれぞれ挿通する複数の挿通孔を備えることで、境界部分において、複数の分枝チューブを相互に分散した位置に配置することができる。従って、境界部分の流体をより良好に回収することが可能となる。
本発明によれば、医療用チューブは、複数の生体器官同士を接続した境界部分の流体を排出することができ、また流体の排出が不要となった部分を抜去して治療を促進することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る医療用チューブの全体構成を示す側面図である。 図2Aは、膵頭十二指腸切除術の流れを示す第1説明図であり、図2Bは、膵頭十二指腸切除術の臓器の再建状態を示す第2説明図である。 図3Aは、図1の医療用チューブの先端側の構造を拡大して示す側面断面図であり、図3Bは、外側チューブから内側チューブを離脱させた状態の外側チューブの先端側を拡大して示す側面断面図である。 外側チューブ及び内側チューブを備えた医療用チューブを膵臓と空腸の吻合部に適用した状態での膵液の排液を示す側面断面図である。 外側チューブから内側チューブを抜去した外側チューブによる膵液の排液を示す側面断面図である。 図6Aは、変形例に係る医療用チューブの外側チューブの要部を概略的に示す斜視図であり、図6Bは、図6Aの外側チューブに内側チューブを配置した状態を概略的に示す側面断面図であり、図6Cは、VIC−VIC線断面図である。
以下、本発明に係る医療用チューブについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る医療用チューブ10は、図1に示すように中空管に形成され、流体(液体又は気体)を流動可能な医療機器として構成されている。特に、この医療用チューブ10は、先端部側が生体の体内で2つの生体器官の接続部分に留置されて、生体器官が生成(滲出、分泌等)する流体を、体外に露出している基端部側に流動・排出するドレナージに使用される。よって、以下では、医療用チューブ10をドレーンチューブ10ともいう。
例えば、ドレーンチューブ10は、図2A及び図2Bに示すように、膵頭十二指腸切除術(幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を含む)における臓器の再建手術に適用される。膵頭十二指腸切除術は、膵頭部癌、慢性膵炎、胆管癌、十二指腸癌、十二指腸乳頭部癌等の病状に対して、膵臓100の膵頭側、胃300の一部、胆嚢400、胆管500、十二指腸600を切離する外科手術であり、その再建手術として端側膵空腸吻合を行う。ドレーンチューブ10は、この端側膵空腸吻合の際に、第1生体器官である膵臓100の内部に先端部側が留置され、第2生体器官である空腸200の内部を通って胴体部が体外に露出されることで、手術後に膵臓100から生じる膵液(流体)を体外に排出する。
膵液は、タンパク質、脂肪、糖類を分解する酵素(アミラーゼ等)を含んでおり、腹腔内に漏れた場合は、活性化した酵素により重篤な合併症(膵液瘻:例えば、腹腔内出血や敗血症、腹膜炎、腹腔内膿瘍等)を引き起こす可能性がある。ドレーンチューブ10は、再建した膵臓100から生じる膵液を体外に排出して、腹腔内に膵液が漏れることを抑制する。特に、本実施形態に係るドレーンチューブ10は、膵臓100と、空腸200との吻合部In(接続部分)の境界部分Bに漏出する膵液を体外に排出する機能を有している。以下、このドレーンチューブ10の構成について詳述していく。
図1に示すように、ドレーンチューブ10は、体内に挿入される挿入予定領域12、及び体外に露出される露出予定領域14を軸方向上に連続して備える。ドレーンチューブ10の全長(軸方向の長さ)は、特に限定されるものではないが、例えば、500mm〜1000mmの範囲であるとよい。
具体的には、ドレーンチューブ10は、長尺な中空状の外側チューブ(外管)20の内部に、同じく長尺な内側チューブ(内管)30を挿通した構造、所謂、デュアルルーメンタイプ(2重管構造)のチューブに構成されている。また、内側チューブ30は、先端の分岐位置32(挿入予定領域12の先端部付近:図3A参照)において複数の分枝チューブ40に分岐して、この複数の分枝チューブ40が外側チューブ20の側面から突出する構成となっている。なお、内側チューブ30は、分枝チューブ40を備えずに1本のまま延在して、外側チューブ20の側面から突出した構成でもよい。
図1、図3A及び図3Bに示すように、外側チューブ20は、流体を流動可能な外管側ルーメン21を軸心部に有し、その先端には、外管側ルーメン21に連通する外管側先端開口21aが設けられている。この外側チューブ20は、体内で適度に変形して留置される柔軟性と、外管側ルーメン21を潰さない程度の剛性とを有するように構成される。
また、外側チューブ20は、上記の挿入予定領域12及び露出予定領域14にわたって、一定の外径と内径で延在している。外側チューブ20の外径は、膵臓100の主膵管102に挿入及び留置可能となるように、例えば、1.3mm〜5mmの範囲であるとよい。また、外管側ルーメン21の直径(外側チューブ20の内径)は、例えば、1.0mm〜4.5mmの範囲であるとよい。なお、外側チューブ20の外径及び内径は、外側チューブ20の軸方向に沿って変化していてもよい。
外側チューブ20(露出予定領域14)の基端部には、案内針22が設けられている。案内針22は、例えば、アルミニウム等の金属材料で構成される。案内針22は、膵空腸吻合予定部の空腸200に開けられた小孔に突き通して、外側チューブ20を空腸200内に誘導する。それから、外側チューブ20の引き出し予定位置の空腸内腔から外側へ案内針22を突き通し、外側チューブ20を空腸200外へ引き出す。さらに、腹壁のチューブ引き出し位置の小切開した穴に案内針22を突き通して、外側チューブ20を体外へ引き出す。体外へ引き出した外側チューブ20を適切な位置で切断し、案内針22は切り離される。切離した外側チューブ20の基端側は、排液バッグ50(図4参照)に接続される。
さらに、外側チューブ20の露出予定領域14には、内側チューブ30の基端側を外管側ルーメン21から露出させる基端側露出機構28が設けられている。例えば、基端側露出機構28は、内側チューブ30を相対移動可能に挿通すると共に、挿通状態で外管側ルーメン21と外部とを液密又は気密に遮断する弾性体からなる弁機構によって構成される。そして、この基端側露出機構28は、内側チューブ30が外側チューブ20から抜けた状態で、外管側ルーメン21を閉塞して、外管側ルーメン21からの流体の漏れを防いで流体を円滑に流動させる。
一方、外側チューブ20の挿入予定領域12は、留置時に、膵臓100に挿入配置される第1部位24と、吻合部Inの境界部分Bに配置される第2部位25と、空腸200(空腸200から体外に抜けるまでの範囲を含む)に配置される第3部位26とに分け得る。第1〜第3部位24、25、26は外側チューブ20の先端から基端に向かって順に連続している。また、外側チューブ20の第2部位25の外周面には、複数の分枝チューブ40を内側から外側に送出するための弁体27が設けられている。
図3A及び図3Bに示すように、弁体27は、外管側ルーメン21と外側チューブ20の外部との間で分枝チューブ40を貫通挿入可能な弁孔27a(挿通部)を有する。分枝チューブ40は、ドレーンチューブ10の製品提供状態(初期状態)で、この弁孔27aを介して外側チューブ20から外側に露出されている。この弁体27は、分枝チューブ40の形成数及び設置位置に対応して、外側チューブ20の軸方向の同位置で、周方向に沿って複数且つ等間隔に設けられている。
各弁体27は、弾性材料により構成され、初期状態で、弁孔27aを構成する口縁が各分枝チューブ40の外周面に液密に接触する一方で、各分枝チューブ40を相対移動自在に配置している。そして、弁体27は、分枝チューブ40が基端方向に移動して弁孔27aから抜けると、弁体27自体の弾性復元力によって弁孔27aを閉塞し、外管側ルーメン21と外側チューブ20の外部との連通を遮断する。換言すれば、弁体27は、分枝チューブ40が弁孔27aから抜けた状態で、外管側ルーメン21を流動する流体を、弁孔27aから流出させない逆止弁となっている。
弁体27を構成する弾性材料は、特に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料(特に、加硫処理したもの)や、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマー、及びこれらスチレン系エラストマーにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン、流動パラフィン、プロセスオイル等のオイルやタルク、キャスト、マイカ等の粉体無機物を混合したもの、さらにポリ塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、又はこれらの混合物等があげられる。
なお、弁体27は、外側チューブ20の軸方向に沿って長い形状(楕円形状等)に形成されていることが好ましい。これにより外側チューブ20の先端方向に向かって斜めに延出する分枝チューブ40を容易に挿通配置することができる。
また、外側チューブ20には、ドレーンチューブ10を主膵管102や境界部分Bに固定する図示しない固定機構(例えば、バルーン等)が設けられていてもよい。さらに、外側チューブ20の先端は、外側チューブ20の軸心に対し傾斜した刃面に形成されていてもよい。これにより、膵臓100に対する外側チューブ20の挿入が容易となる。またさらに、第1部位24の外周面には、外管側ルーメン21に膵液を流入させる図示しない側孔が設けられてもよい。
なお、外側チューブ20は、第1〜第3部位24、25、26で硬さが異なる構成とすることもできる。例えば、第3部位26に比べて第1及び第2部位24、25を硬くすることで、膵臓100や空腸200の圧迫によって、ドレーンチューブ10の抜去時に、第1及び第2部位24、25が破断することを防止できる。
外側チューブ20を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、樹脂材料が好適であり、この樹脂材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、オレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物等があげられる。
一方、内側チューブ30は、外側チューブ20の外管側ルーメン21に挿入可能な太さ(外径)に形成され、外側チューブ20に対して相対移動自在に収容される。内側チューブ30は、流体を流動可能な内管側ルーメン31を軸心部に有し、外側チューブ20と同様に、体内で適度に変形して留置される柔軟性と、外管側ルーメン21を潰さない程度の剛性とを有するように構成される。また、内側チューブ30も、挿入予定領域12及び露出予定領域14にわたって、一定の外径と内径で延在している。
内側チューブ30は、露出予定領域14の基端側において、外管側ルーメン21から外側チューブ20の外部に露出される。この内側チューブ30の基端部には、外側チューブ20と同様に、案内針33が取り付けられている。案内針33は、案内針22と共に体内の生体器官を挿通した後に体外に引き出され、内側チューブ30の基端側が適切な位置で切断されることで切り離される。切離した内側チューブ30の基端側は、吸引装置51にセットされた排液バッグ52に接続される(図4参照)。
分枝チューブ40は、内側チューブ30の先端の分岐位置32(軸方向の同位置)から4本延出している。各分枝チューブ40は、内側チューブ30に対して等間隔に設けられ、且つ内側チューブ30の外方に向かって放射状に延出している。これにより、分枝チューブ40は、その基端側が内側チューブ30に連結される固定端となっている一方で、その先端側が基端側に対し変位自在な自由端となっている。
各分枝チューブ40は、外管側ルーメン21内を通って、弁体27の弁孔27aに挿入されて、外側チューブ20の外周面から露出している。さらに、各分枝チューブ40は、外側チューブ20の径方向外側に向かって延出して、その先端を相互に離れた位置に配している。複数の分枝チューブ40は、その軸方向の長さが外側チューブ20の周方向に沿って交互に変わる(異なる)ように構成されてもよい。
各分枝チューブ40の軸心部には、内管側ルーメン31に連通する分枝ルーメン41が設けられると共に、各分枝チューブ40の先端には、分枝ルーメン41が連通する分枝側先端開口41a(内管側先端開口)が設けられる。分枝ルーメン41の直径(分枝チューブ40の内径)は、例えば、1.0mm〜3.3mmの範囲であるとよい。
また、各分枝チューブ40は、内側チューブ30よりもある程度細い管体に形成されている。例えば、分枝チューブ40の外径は、内側チューブ30の外径や分枝チューブ40の形成本数にもよるが、内側チューブ30の外径の1/2以下であるとよい。
各分枝チューブ40の外側チューブ20から露出した部分は、外側チューブ20の径方向外側に向かうだけでなく、外側チューブ20の第1部位24側(先端側)に延出するように予め形状付けられている。さらに、各分枝チューブ40は、外側及び内側チューブ20、30よりも充分に柔軟に構成されている。
内側チューブ30(分枝チューブ40を含む)を構成する材料は、特に限定されず、例えば外側チューブ20であげた樹脂材料を適用するとよい。この際、内側チューブ30と分枝チューブ40が同じ材料から構成されれば、ドレーンチューブ10の製造時に一体成形が可能になって、その剛性が高まる。勿論、ドレーンチューブ10は、内側チューブ30と分枝チューブ40を別々に製造し、製造後に相互を連結する構成でもよい。
本実施形態に係るドレーンチューブ10は、基本的には以上のように構成され、以下その作用効果について説明する。
上述したように、ドレーンチューブ10は、膵頭十二指腸切除術に使用される。膵頭十二指腸切除術では、図2Aに示すように、例えば、膵臓100の一部(膵頭側)、十二指腸600、胆嚢400、胆管500、空腸200の一部を切除する(図2A中の点線参照)。また図2A中では、胃300の幽門輪を温存する手技を例示しているが、膵頭十二指腸切除術では、必要に応じて胃300の一部(幽門側)も切除する。
そして、図2Bに示すように、膵頭十二指腸切除術の再建手術(端側膵空腸吻合)では、胃300の出口側(幽門側)の端部を空腸200の途中位置に吻合する。また、肝臓に繋がる胆管500の反対側の切離端部を空腸200の途中位置に吻合する。さらに、切除した空腸200の端部寄りに膵臓100(膵体、膵尾)を吻合する。なお、吻合の順序は術式の選択に応じて異なってよい。
本実施形態に係るドレーンチューブ10は、膵臓100と空腸200の吻合に伴い、膵臓100、膵臓100と空腸200の境界部分B、及び空腸200に跨って留置される。具体的には、ドレーンチューブ10が空腸200内を通るように、腸壁202に2つの口部(第1口部204、第2口部206)を形成する。第1口部204は、擬似的なファータ乳頭としての機能を有し、空腸200内を通った外側チューブ20の第2部位25よりも先端側を空腸200から露出させる。第2口部206は、空腸200内を通った外側チューブ20の第3部位26を空腸200から露出させる。第2口部206から露出されたドレーンチューブ10の露出予定領域14は、体内から体外に取り出される。
図4に示すように、術者は、吻合前の膵臓100の切離面104に、外側チューブ20(第1部位24)を穿刺及び挿入していく。この外側チューブ20は、切離面104から主膵管102に沿って進入し、外管側先端開口21aを主膵管102内に配置する。第1部位24が膵臓100内に概ね挿入されて第2部位25が切離面104に近づくと、分枝チューブ40の外周面が切離面104に接触し、その先端(分枝側先端開口41a)を周方向にそれぞれ分散配置する。
この状態で、術者は、膵臓100の切離面104を、空腸200の第1口部204周辺の腸壁202に面接触するように対向配置する(以下、切離面104と対向する腸壁202外周面を対向面208という)。そして例えば、腸壁202により、膵臓100の切離面104及び切離面104に連なる側周囲を覆って減り込んだ状態を作り、膵臓100の側方を突出している部分の腸壁202と、膵臓100の側周囲とを縫合糸60で縫合する。さらに、膵臓100と空腸200の接触及び分枝チューブ40の位置決めを維持するため、分枝チューブ40、膵臓100及び腸壁202の間を縫合糸60で吻合してもよい。縫合糸60は、生体分解性の材料が適用されて、留置中に体内で溶解する構成であれば、抜去の手間を省くことができる。
以上の吻合により、ドレーンチューブ10は、分枝チューブ40を膵臓100と空腸200の吻合部Inの境界部分Bに配置した状態で、患者の体内に留置される。境界部分Bは、基本的には、膵臓100の切離面104と空腸200の対向面208とが接触しているが、相互間に多少の間隙BSも生じる。また挿入予定領域12の留置に伴い、外側チューブ20の基端側は体外において排液バッグ50に接続され、内側チューブ30の基端側は体外において吸引装置51に接続された排液バッグ52に接続される。
ドレーンチューブ10の留置状態では、膵臓100の生体組織により生成された膵液pjの多くが分枝膵管103から主膵管102に流動する。そして、主膵管102内を流動した膵液pjは、外管側先端開口21aから外管側ルーメン21に流入して、外管側ルーメン21を通って体外に排出される。
また膵臓100は、切離面104付近の生体組織が膵液pjを生成すると、その膵液pjを主膵管102に流動させるよりも切離面104から滲出させてしまう。すなわち、膵液pjの一部が膵臓100と腸壁202の境界部分Bの間隙BSに漏出する。これに対し、ドレーンチューブ10は、境界部分Bに漏出した膵液pjを分枝チューブ40により回収することができる。
ここで、内側チューブ30の内管側ルーメン31には、吸引装置51にセットされた排液バッグ52により陰圧が付与される。この陰圧は、内管側ルーメン31及び分枝ルーメン41を介して分枝側先端開口41aに伝達されることで、間隙BSに漏出した膵液pjを分枝チューブ40により積極的に吸引することができる。この膵液pjは、分枝側先端開口41aから分枝ルーメン41及び内管側ルーメン31を流動して排液バッグ52に排出される。
手術後、境界部分Bは、膵臓100と空腸200の癒着が進むと共に、境界部分Bへの膵液pjの漏出が充分に低くなる。そのため、ある程度の期間を経過すると、術者は、内側チューブ30及び分枝チューブ40を体外に抜去する。この際、術者は、外側チューブ20の基端側から露出している内側チューブ30を基端方向に単純に後退操作する。この後退操作力が内側チューブ30、分枝チューブ40に伝わり、分枝チューブ40は、自身が配置されていた位置を後退する。これにより、境界部分Bの癒着の損傷が抑制されて、境界部分Bに分枝チューブ40が無くなる。
また、分枝チューブ40は、内側チューブ30の後退により弁体27から外管側ルーメン21内に移動していく。分枝チューブ40の先端が弁孔27aを抜けて、外管側ルーメン21に完全に入り込むと、弁体27は弾性復元して弁孔27aを閉塞する。そして、内側チューブ30及び分枝チューブ40は、そのまま後退操作が継続されて、外側チューブ20の基端部から抜去される。
図5に示すように、体内に残された外側チューブ20は、膵臓100の主膵管102の膵液pjを排液バッグ50に排出する。この際、弁体27は、弁孔27aの閉塞状態を継続して、外管側ルーメン21からの膵液pjの漏れを抑制する。従って、膵液pjは、外管側ルーメン21内を円滑に流動して排液バッグ50に排出される。そして、膵臓100と空腸200の癒着がさらに進むと、術者は、外側チューブ20を後退操作することで、体外に抜去する。
以上のように、本実施形態に係るドレーンチューブ10は、内側チューブ30が外側チューブ20の弁孔27aを介して外管側ルーメン21から外側チューブ20の外部に露出している。このため、外側チューブ20の先端側(第1部位24)を膵臓100に挿入する一方で、膵臓100と空腸200の境界部分Bに内側チューブ30の分枝チューブ40を簡単に挿入することができる。これにより外側チューブ20が膵臓100の膵液pjを排出することができる一方で、内側チューブ30は、境界部分Bに漏出された膵液pjを体外に排出することができる。また、境界部分Bの排出が不要となった場合には、弁孔27aに挿通している内側チューブ30を後退させて抜けさせることで、境界部分Bの癒着を促進することが可能となる。さらに、弁孔27aは内側チューブ30が抜けると閉塞するので、外管側ルーメン21を流動する膵液pjが外側チューブ20の外部に漏れることを抑制することができる。
この場合、医療用チューブ10は、外側チューブ20が弁体27を備えることで、内側チューブ30の相対移動時の摺動が円滑化される。また、弁体27は、内側チューブ30の離脱に伴い簡単に閉塞して、外管側ルーメン21と外側チューブ20の外部との間を遮断することができる。そして、ドレーンチューブ10は、境界部分Bに漏出された膵液pjを、陰圧が付与された内管側ルーメン31によって積極的に回収することができる。さらに、内側チューブ30が複数の分枝チューブ40を備え、外側チューブ20が分枝チューブ40をそれぞれ挿通する複数の弁体27(弁孔27a)を備えることで、境界部分Bにおいて複数の分枝チューブ40を相互に分散した位置に配置することができる。従って、境界部分Bの流体をより良好に回収することが可能となる。
なお、本発明に係るドレーンチューブ10(医療用チューブ10)は、上記に限定されず、種々の変形例や応用例をとり得る。例えば、ドレーンチューブ10は、弁孔27aを含む弁体27を大きく形成することにより、1つの弁体27に複数の分枝チューブ40を挿入していてもよい。
また例えば、図6A〜図6Cに示す変形例に係る外側チューブ20Aは、挿通部として、弁体27に代えて外側チューブ20Aの壁部にスリット29aを設けた構成となっている。スリット29aは、外側チューブ20Aの先端方向に向かって半円を描いていることで、その基端部分が外側チューブ20Aの外周面に連結される一方で、その先端部分が自由端となる舌片29を形成している。舌片29は、外側チューブ20Aと相対的に弾性変形して、分枝チューブ40(又は内側チューブ30)を抜去可能に送出させ、分枝チューブ40がスリット29aから抜去するとスリット29aを自己閉塞状態とする。
また、スリット29aは、外側チューブ20Aの軸線に沿った側面断面視で、その外端側が内端側に対して先端位置に形成されている。このため、スリット29aを構成する外側チューブ20Aの壁部は、径方向外側に向かって先端方向に傾斜する傾斜面29bを形成している。この傾斜面29bは、外管側ルーメン21から分枝チューブ40を斜め先端側に向かうように送出させる。これにより、内側チューブ30を後退操作した際には、分枝チューブ40が傾斜面29bに沿うことで、外側チューブ20Aの軸心に向かって移動するようになり、内側チューブ30を容易に引き込むことができる。
なお、図6A〜図6C中では、1つのスリット29aにより1本の分枝チューブ40を露出させる構成を図示しているが、外側チューブ20Aは、複数の分枝チューブ40を露出させるため、複数のスリット29aが設けられてもよい。また、スリット29aの形状は、上記形状に限定されるものではない。例えば、スリット29aは、外側チューブ20の軸方向に沿った線分に形成されたものでもよい。
さらに、ドレーンチューブ10は、外側チューブ20を挿入予定領域12の範囲内までの長さに形成して、主膵管102から流入した膵液pjを空腸200内に排出する構成としてもよい。
また例えば、内側チューブ30が分枝チューブ40を備えず1本のまま延在して外側チューブ20の側面から突出した構成では、内側チューブ30を渦巻状に予め形状付けしておき、内管側ルーメン31に連通する側孔を内側チューブ30の側面に複数備えるとよい。これにより、渦巻状の内側チューブ30が境界部分Bの膵液pjを良好に吸引することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10…医療用チューブ(ドレーンチューブ)
20…外側チューブ 21…外管側ルーメン
27…弁体 27a…弁孔
30…内側チューブ 31…内管側ルーメン
40…分枝チューブ 41…分枝ルーメン
100…膵臓 104…切離面
200…空腸 202…腸壁
208…対向面 B…境界部分
In…吻合部 pj…膵液

Claims (5)

  1. 先端部が第1生体器官に挿入可能であり、外管側ルーメンを内部に有する長尺な外管と、
    内管側ルーメンを内部に有し、前記外管に対して相対移動可能に前記外管側ルーメンに配置される内管と、を備え、
    前記外管は、軸方向の途中位置に挿通部を有し、
    前記内管は、前記挿通部を抜去可能に挿通して前記外管側ルーメンから前記外管の外部に露出されると共に、露出された部分が前記第1生体器官と、前記第1生体器官に接続された第2生体器官との間に挿入可能である
    ことを特徴とする医療用チューブ。
  2. 請求項1記載の医療用チューブにおいて、
    前記挿通部は、前記内管が該挿通部から抜去することで閉塞し、前記外管側ルーメンと前記外管の外部との連通を遮断する
    ことを特徴とする医療用チューブ。
  3. 請求項2記載の医療用チューブにおいて、
    前記外管は、前記挿通部を有する弾性体からなる弁体を備え、
    前記弁体は、前記内管が前記挿通部から抜けることにより弾性復元して前記挿通部を閉塞する
    ことを特徴とする医療用チューブ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用チューブにおいて、
    前記外管は、前記外管側ルーメンに連通する外管側先端開口を備え、
    前記内管は、前記内管側ルーメンに連通する内管側先端開口を備え、
    前記外管及び前記内管は、大気圧下に、前記外管側先端開口及び前記内管側先端開口から流体が流入される一方で、
    前記内管は、該内管側ルーメンの基端側から陰圧が作用されることに基づき、大気圧下よりも前記内管側先端開口からの前記流体の流入が促進される
    ことを特徴とする医療用チューブ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用チューブにおいて、
    前記内管は、前記内管の径方向外側に放射状に延出する複数の分枝チューブを備え、
    前記分枝チューブは、前記内管側ルーメンに連通する分枝ルーメンを内部に有し、
    前記外管は、前記複数の分枝チューブがそれぞれ挿通される前記挿通部を該外管の軸方向の同位置に複数備える
    ことを特徴とする医療用チューブ。
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