JP2018033356A - 植物栽培装置および反射シート - Google Patents

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Abstract

【課題】人工光を効率良く植物に照射しつつ、栽培ラック内に熱および空気が滞留することを抑制できる植物栽培装置を提供すること。【解決手段】栽培槽を載置可能な第一部材12と、第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材13と、第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、第二部材よりも第一部材側に配置された照明部材14と、第一部材および第二部材の位置を固定する複数の柱部材15とを有する構造体を有する栽培ラックと、栽培ラックの側面に配置され、可視光反射性を有し、複数の貫通部21を有する反射シート20と、を備える植物栽培装置。【選択図】図4

Description

本開示は、植物栽培装置および反射シートに関する。
野菜等の植物の栽培方法として、例えば、LED等の人工光を利用した人工光型栽培が知られている。人工光型栽培に用いられる植物栽培装置として、例えば特許文献1には、複数の支柱、および支柱を利用して設けられかつ植物が植えられた栽培槽を載せる載置部を有する栽培ラックと、載置部の上方に間隔をおいて栽培ラックに配置された照明装置とを備え、照明装置が、載置部に対する照明装置の高さ位置を変更しうるように栽培ラックに取り付けられ、照明装置が、額縁状の枠と、枠に着脱自在に取り付けられた複数の直管状LED灯具とを備えている植物栽培装置であって、照明装置の枠における互いに対向する1対の枠部材が、特定の灯具受け部を有する植物栽培装置が開示されている。この技術は、照明装置の枠へのLED灯具の着脱作業が比較的簡単になるとともに、部品点数を少なくすることが可能な植物栽培装置を提供することを課題としている。
また、特許文献2には、植物が植えられた栽培槽を載せる載置棚を有する栽培ラックと、載置棚の上方に間隔をおいて配置されたLED照明装置とを備えた植物栽培装置において、栽培ラックに、載置棚に対するLED照明装置の高さ位置を変更しうるようにLED照明装置を支持する支持部が設けられている植物栽培装置が開示されている。この技術は、植物に照射する光強度を調節することが可能な植物栽培装置を提供することを課題としている。
特開2015−8126号公報 特開2013−17397号公報
例えば、栽培ラックの側面に反射シートを配置することで、LED等の人工光を効率良く植物に照射することができる。しかしながら、栽培ラックの側面に反射シートを配置すると、栽培ラック内に熱および空気が滞留しやすくなる。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、人工光を効率良く植物に照射しつつ、栽培ラック内に熱および空気が滞留することを抑制できる植物栽培装置を提供することを主目的とする。
本開示においては、栽培槽を載置可能な第一部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、上記第二部材よりも上記第一部材側に配置された照明部材と、上記第一部材および上記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有する構造体を有する栽培ラックと、上記栽培ラックの側面に配置され、可視光反射性を有し、複数の貫通部を有する反射シートと、を備える植物栽培装置を提供する。
また、本開示においては、栽培槽を載置可能な第一部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、上記第二部材よりも上記第一部材側に配置された照明部材と、上記第一部材および上記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有するユニット構造を有する栽培ラックの側面に配置される反射シートであって、可視光反射性を有し、複数の貫通部を有する、反射シートを提供する。
本開示の植物栽培装置は、人工光を効率良く植物に照射しつつ、栽培ラック内に熱および空気が滞留することを抑制できるという効果を奏する。
本開示における栽培ラックの一例を示す概略正面図である。 図1の概略側面図である。 本開示の植物栽培装置の一例を示す概略斜視図である。 図3の一部を拡大した拡大図である。 本開示における反射シートを例示する概略平面図である。 本開示における反射シートを例示する概略平面図である。 本開示における反射シートを例示する概略平面図である。 本開示における貫通部を例示する概略平面図である。
以下、本開示の植物栽培装置および反射シートについて、詳細に説明する。
A.植物栽培装置
本開示の植物栽培装置について、図1〜図4を用いて説明する。図1は栽培ラックの一例を示す概略正面図であり、図2は図1の概略側面図である。また、図3は植物栽培装置の一例を示す概略斜視図であり、図4は図3の一部を拡大した拡大図である。
図1および図2に示すように、栽培ラック10は、栽培槽11を載置可能な第一部材12と、第一部材12に対して空間を設けて配置された第二部材13と、第一部材12に対して空間を設けて配置され、かつ、第二部材13よりも第一部材側12に配置された照明部材14と、第一部材12および第二部材13の位置を固定する複数の柱部材15とを有する構造体16を有する。図1および図2における栽培ラック10は、構造体16が4段積層された構造を有する。なお、特に図示しないが、栽培ラック10には、栽培槽11に培養液を供給する培養液供給装置が設けられていてもよい。また、図3および図4に示すように、植物栽培装置100は、栽培ラック10と、栽培ラック10の側面に配置され、可視光反射性を有し、複数の貫通部21を有する反射シート20とを備える。
本開示によれば、栽培ラックの側面に配置された反射シートが貫通部を有することから、人工光を効率良く植物に照射しつつ、栽培ラック内に熱および空気が滞留することを抑制できる植物栽培装置とすることができる。上述したように、例えば栽培ラックの側面に反射シートを配置することで、LED等の人工光を効率良く植物に照射することができる。特に、乱反射性が良好な反射シートを用いることで、人工光を効率良く植物に照射することができる。これにより、照明装置の光源の数を低減でき、その結果、設備費用の削減およびランニングコストの削減を図ることができる。
一方、栽培ラックの側面に反射シートを配置すると、栽培ラック内に熱および空気が滞留しやすくなる。例えば、照明装置の光源は、光を発する際に熱も同時に発生する。栽培ラックの側面に反射シートを配置すると、栽培ラック内に熱が滞留し、栽培ラック内の温度が上昇しやすくなる。また、栽培する植物によっては、栽培ラック内に空気の流れが存在することが好ましい場合があるが、栽培ラックの側面に反射シートを配置すると、栽培ラック内に空気が滞留し、換気性が低下しやすくなる。
これに対して、本開示によれば、栽培ラックの側面に配置された反射シートが貫通部を有することから、人工光を効率良く植物に照射しつつ、栽培ラック内に熱および空気が滞留することを抑制できる植物栽培装置とすることができる。特に、熱および空気が滞留を抑制できる最低限の貫通部を設けることで、反射効率を高く維持することができる。
本開示の植物栽培装置について、構成ごとに説明する。
1.反射シート
本開示における反射シートは、栽培ラックの側面に配置される。「栽培ラックの側面」とは、第一部材、第二部材および柱部材により特定される面をいう。例えば、栽培ラックの形状が、立方体である場合には、六面の中で、頂面および底面を除く四面が、栽培ラックの側面に該当する。反射シートは、栽培ラックの側面の少なくとも一面に配置され、二面に配置されていてもよく、三面に配置されていてもよく、四面に配置されていてもよい。中でも、栽培ラックの側面のうち、対向する二面に反射シートが配置されることが好ましい。空気の流れがスムーズになるからである。特に、図3および図4に例示されるように、第一部材12および第二部材13の長手方向に平行な側面に反射シートが配置されることが好ましい。一方、栽培ラックの側面の四面全てに配置することで、反射効率をより高めることも可能である。反射シートの形状は特に限定されないが、例えば、正方形、長方形が挙げられる。特に、反射シートは長方形の長尺シートであることが好ましい。
反射シートは、可視光反射性を有するシートである。反射シートの可視光反射率(波長380nm以上780nm以下における平均反射率)は、例えば、70%以上であり、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また、反射シートは、複数の貫通部を有する。貫通部の形状としては、例えば、円状、楕円状、四角状、不定形状等を挙げることができる。貫通部のサイズは、例えば、0.5mm以上20mm以下であることが好ましい。貫通部のサイズとは、貫通部における最も長い長さをいい、例えば貫通部が円状である場合は直径に該当する。
また、複数の貫通部が形成された領域を第一領域と称する。第一領域の開口率は、例えば、0.5%以上であり、1%以上であってもよく、2%以上であってもよい。一方、第一領域の開口率は、例えば、10%以下であり、6%以下であってもよく、4%以下であってもよい。また、第一領域における貫通部の割合は、例えば、100個/m以上1000個/m以下である。
また、複数の貫通部は、パターン状に形成されていてもよい。貫通部のパターン形状は特に限定されないが、例えば、線状、帯状が挙げられる。反射シートは、複数の貫通部を有する第一領域と、貫通部を有しない第二領域とを有することが好ましい。
ここで、図5(a)に示す反射シート20は、短手方向において、一方の端部側に第一領域Xを有し、他方の端部側に第二領域Yを有する。また、第一領域Xおよび第二領域Yは、それぞれ、反射シート20の長手方向に沿って帯状に形成されている。図5(a)に示すように、反射シート20の短手方向における第一領域Xの長さをLとし、反射シート20の短手方向の長さをLとする。L/Lの値は、例えば0.3以上であり、0.5以上であってもよく、0.6以上であってもよい。L/Lの値が小さすぎると、換気の効果が低くなる場合がある。Lは、例えば、10cm以上100cm以下である。Lは、例えば、20cm以上200cm以下である。
また、図5(b)に示すように、栽培ラックの側面に配置された反射シート20は、鉛直方向に沿って、第一部材12側に第一領域Xを有し、第二部材13側に第二領域Yを有することが好ましい。この場合、第二部材13側に第二領域Yを配置することで、反射効率を高く維持でき、植物等の影響により反射効率が低くなりやすい第一部材12側に第一領域Xを配置することで、熱および空気が滞留を効果的に抑制できる。なお、図示しないが、図5(b)とは逆に、栽培ラックの側面に配置された反射シートは、鉛直方向に沿って、第一部材側に第二領域を有し、第二部材側に第一領域を有していてもよい。
また、図6(a)に示す反射シート20は、長手方向において、複数の第一領域Xおよび第二領域Yを交互に有する。また、第一領域Xおよび第二領域Yは、それぞれ、反射シート20の短手方向に沿って帯状に形成されている。図6(a)に示すように、反射シート20の長手方向における第一領域Xおよび第二領域Yの幅を、それぞれWおよびWとする。WおよびWの値については、適宜設定できる。
また、図6(b)に示すように、栽培ラックの側面に配置された反射シート20は、水平方向に沿って、複数の第一領域Xおよび第二領域Yを交互に有することが好ましい。この場合、栽培される植物の間隔に合わせて、植物の近傍に第二領域Yを配置することで、反射効率を高く維持でき、隣り合う植物の間に第一領域Xを配置することで、熱および空気が滞留を効果的に抑制できる。
貫通部の他のパターン形状としては、例えば図7(a)に示すように、複数の貫通部21がチェック状に形成されているパターンが挙げられる。また、例えば図7(a)に示すように、複数の貫通部21は、反射シート20に均一に形成されていてもよい。さらに、例えば図7(c)に示すように、複数の貫通部21は、切れ込み状に形成されていてもよい。
また、複数の貫通部は、格子配列していてもよい。なお、複数の貫通部が格子配列しているとは、複数の貫通部が格子の格子点に存在していることを意味する。格子点の距離は、例えば、1mm以上10cm以下であることが好ましい。格子配列の種類として、例えば、立方配列、長方配列、斜方配列等の四方配列が挙げられる。図8(a)は四方配列の一例を示しており、四方配列は反射シートの引張強度を向上させたいときに適している。また、格子配列の種類として、三方配列も挙げられる。図8(b)は三方配列の一例を示しており、三方配列は、反射シートの開口率を向上させたいときに適している。
反射シートは、栽培ラックの側面において、第一部材および第二部材の両端部を覆うように配置されていることが好ましい。反射効率を高く維持することができるからである。反射シートの固定方法は特に限定されない。反射シートは、マグネットにより固定されていてもよく、テープにより固定されていてもよく、ボルトおよびナット等の公知の締結治具により固定されていてもよい。
反射シートとしては、例えば、金属板、樹脂フィルムを金属板に張り合わせたシート、樹脂シート、不織布等を挙げることができる。中でも、反射シートは、樹脂シートを少なくとも備えるシートであることが好ましく、多孔質樹脂シートを少なくとも備えるシートであることがより好ましい。樹脂シートは、乱反射性が良好だからである。また、反射シートは、多孔質樹脂シートのみから構成されていてもよく、多孔質樹脂シートに加えて、他のシートをさらに有していてもよい。他のシートとしては、例えば、補強シートを挙げることができる。また、多孔質樹脂シートおよび補強シートは、接着層を介して積層されていてもよく、接着層を介さずに直接積層されていてもよい。また、酸化チタンを添加した他の多層フィルム等も反射シートとして使用できる。
(1)多孔質樹脂シート
多孔質樹脂シートは、内部に空隙を有するシートであり、樹脂を含有する。多孔質樹脂シートは、必要に応じて、充填材等の添加材を含有していてもよい。多孔質樹脂シートは、多孔質構造より光反射性を示す。
(i)樹脂
多孔質樹脂シートは、樹脂を含有する。樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよいが、前者が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、飽和エステル系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面が優れるからである。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンの単独重合体、2種類以上のオレフィンの共重合体、1種類以上のオレフィンと、オレフィンと重合可能な1種類以上の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。上記オレフィン(モノマー単位)としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等が挙げられる。また、共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよい。また、共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリプロピレン系樹脂等が好ましい。ポリプロピレン系樹脂の一例としては、プロピレン単独重合体が挙げられる。プロピレン単独重合体は、アイソタクティックまたはシンジオタクティックな立体規則性を有することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂の他の例としては、プロピレンと、他のαオレフィンとの共重合体が挙げられる。他のαオレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1の少なくとも一種等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンをモノマー単位の主成分とすることが好ましい。
一方、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂は、直鎖状ポリエチレンであってもよい。ポリエチレン系樹脂は、エチレンをモノマー単位の主成分とすることが好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂として、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を用いてもよい。
また、上述したように、熱可塑性樹脂として、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂等を用いることができる。アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、例えば、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。フッ化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。アミド系樹脂としては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン等が挙げられる。エステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプリブチレンテレフタレート等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、熱可塑性エラストマー等を用いてもよい。
多孔質樹脂シートは、1種類の樹脂を含有していてもよく、2種類以上の樹脂を含有していてもよい。2種類以上の樹脂を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましく、ポリプロピレン系樹脂を主成分とすることがより好ましい。また、多孔質樹脂シートにおける樹脂の含有量は、例えば、45質量%以上であり、55質量%以上であってもよい。一方、多孔質樹脂シートにおける樹脂の含有量は、例えば、99質量%以下であり、98質量%以下であってもよい。
(ii)充填材
多孔質樹脂シートは、充填材を含有していてもよい。充填材を添加し、例えば延伸により多孔質樹脂シートを作製することで、多孔質樹脂シートの内部に空隙が生じる。充填材としては、例えば、無機系充填材および有機系充填材が挙げられる。
無機系充填材としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、酸化珪素、珪藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等が挙げられる。また、無機系充填材は脂肪酸で表面処理されていてもよい。中でも、無機系充填材は、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイまたはタルクであることが好ましい。安価で成形性がよいからである。
無機系充填材の平均粒子径は、例えば、0.01μm以上15μm以下であり、0.01μm以上8μm以下であってもよい。なお、平均粒子径とは、体積基準で測定した粒径分布の統計的平均値として定義され、例えば、株式会社堀場製作所製LA−920によって測定された値をいう。
有機系充填材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。また、有機系充填材として、環状オレフィンの単独重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体であり、融点が120℃以上300℃以下であるかガラス転移温度が120℃以上280℃以下である材料を用いることもできる。
多孔質樹脂シートにおける充填材の含有量は、例えば、1質量%以上65質量%以下であり、2質量%以上55質量%以下であることが好ましい。
(iii)他の添加材
多孔質樹脂シートは、必要に応じて、界面活性材、滑材、帯電防止材等の各種添加材を含有していてもよい。界面活性材の添加により、例えば結露を防ぐことができる。界面活性材としては、例えば、非イオン性界面活性材、陰イオン性界面活性材、両イオン性界面活性材等が挙げられる。非イオン性界面活性材としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロックポリマー等が挙げられる。陰イオン性界面活性材としては、例えば、スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の塩が挙げられる。なお、上記塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
また、滑材としては、例えば、流動パラフィン、合成パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の脂肪族炭化水素、直鎖アルコールのステアリン酸エステル、高級脂肪酸アマイド等が挙げられる。また、帯電防止材としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、過塩素酸テトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。なお、添加材の含有量は、特に限定されず、添加材の種類に応じて適宜選択する。
(iv)多孔質樹脂シート
多孔質樹脂シートは、透湿性、通気性および遮水性の少なくとも一つを有することが好ましい。一方、多孔質基材シートが貫通部を有する場合、貫通部において通水性を有し、貫通部以外の部分において、透湿性、通気性および遮水性を有することが好ましい。また、多孔質樹脂シートは、通常、内部に空隙を有する。多孔質樹脂シートの空隙率は、特に限定されないが、例えば35%以上60%以下であり、40%以上58%以下であることが好ましい。空隙率が低すぎると、光反射性が低くなる可能性がある。空隙率が高すぎると、シート強度が弱くなる可能性がある。
空隙率とは、多孔質樹脂シートに占める空隙の割合をいい、下記式1により算出できる。
空隙率(%)={(ρo−ρ)/ρo}×100 …(式1)
式1において、ρは多孔質樹脂シートの密度であり、JIS P 8118に準拠する。ρoは多孔質樹脂シートの真密度である。真密度は、多孔質樹脂シートを構成する主要な材料成分の種類とそれらの構成比率を分析して、材料成分の種類の一般的な値を用いることで決定することができる。例えば、ポリプロピレンの密度は0.9g/cm、炭酸カルシウムの密度は2.7g/cmである。なお、多孔質樹脂シートが延伸処理されたものであるときは、延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の材料の密度にほぼ等しい。そのため、真密度は、延伸前の材料から求めてもよく、定容積膨張法による乾式密度測定方法で求めることができ、測定装置としては、例えば、(株)島津製作所製の乾式自動密度計アキュピック1330が挙げられる。
空隙の平均径は、例えば、1μm以上50μm以下であり、2μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上30μm以下であることがより好ましい。なお、空隙の最大径(L)とそれに直角な方向の最大の径(M)を測定して平均したもの[(L+M)/2]を空隙の径とする。少なくともn個(nは1以上の整数であり、100以上の整数であることが好ましい)の空隙の径を測定し、その平均値を、空隙の平均径とする。試料の断面観察には、例えば、(株)日立製作所製の走査型電子顕微鏡S−2400を用いることができる。
多孔質樹脂シートの厚みは、特に限定されないが、例えば30μm以上90μm以下であり、40μm以上80μm以下であることが好ましい。また、多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。多孔質樹脂シートが複層構造である場合、各層に含まれる樹脂成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。複層構造の多孔質樹脂シートの一例としては、内層と、上記内層の両面に配置された2つの外層とを有し、2つの外層に含まれる樹脂成分が同一であり、外層に含まれる樹脂成分と内層に含まれる樹脂成分が異なる多孔質樹脂シートが挙げられる。
多孔質樹脂シートは、可視光反射率が高いことが好ましい。多孔質樹脂シートの可視光反射率(波長380nm以上780nm以下における平均反射率)は、例えば、70%以上であり、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
多孔質樹脂シートの平滑性は高いことが好ましい。具体的に、多孔質樹脂シート表面の算術平均高さSaは、例えば、1μm以下であり、0.7μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。また、多孔質樹脂シートの防汚性は高いことが好ましい。具体的に、多孔質樹脂シート表面の汚染等級(JIS−L−1919)は、3以上であることが好ましく、3.5以上であることがより好ましい。
多孔質樹脂シートは、透湿性、通気性および遮水性の少なくとも一つを有することが好ましい。なお、透湿性とは、気体としての水すなわち水蒸気を通過させる性質をいい、通気性とは、二酸化炭素をはじめとする気体を通過させる性質をいい、遮水性とは、液体としての水を通過させない性質をいう。多孔質樹脂シートの透湿度は、例えば、600g/m・day以上であり、700g/m・day以上であることが好ましく、800g/m・day以上であることがより好ましい。多孔質樹脂シートの耐水圧は、例えば、10kPa以上であり、20kPa以上であることが好ましい。また、多孔質樹脂シートの不透明度は、例えば、70%以上100%以下であることが好ましい。なお、多孔質樹脂シートの不透明度は、JIS Z 8722に準拠するものとする。また、多孔質樹脂シートの密度は、例えば、0.50g/cm以上0.90g/cm以下であり、0.50g/cm以上0.70g/cm以下であることが好ましい。
多孔質樹脂シートの製造方法は、所望の多孔質樹脂シートが得られる方法であれば特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。また、多孔質樹脂シートは、延伸処理されたものであることが好ましい。
(2)補強シート
補強シートは、上記多孔質樹脂シートの一方の面側に配置され、上記多孔質樹脂シートを補強するシートである。
補強シートは、樹脂を含有することが好ましい。上記樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよいが、前者が好ましい。なお、樹脂については、上記「(i)樹脂」に記載した内容と同様である。特に、補強シートに含まれる樹脂は、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面が優れるからである。また、ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン系樹脂であってもよく、ポリプロピレン系樹脂であってもよい。
また、補強シートおよび多孔質樹脂シートの両方が、樹脂としてポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂シートであることが好ましい。例えば、後述する接着層を設けた場合、ポリオレフィン系樹脂は接着材に対する接着性が共通するため、強固に接着した反射シートが得られるからである。また、熱や水分などによる膨張や収縮の程度が近いため、反りが発生し難く接着が剥がれ難いからである。その結果、耐久性が高い反射シートとなる。また、ポリオレフィン系樹脂を用いるため、耐水性が高い反射シートとなる。
また、補強シートがポリエチレン系樹脂を主成分として含有し、多孔質樹脂シートがポリプロピレン系樹脂を主成分として含有することが好ましい。反射シートの加工性が向上するからである。具体的には、ポリプロピレン系樹脂は比較的硬い樹脂であるため、加工が難しい。これに対して、ポリエチレン系樹脂は比較的柔らかい樹脂であるため、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂を組み合わせることで、反射シートの加工性が向上する。
補強シートは、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。補強シートの厚みは、特に限定されないが、例えば10μm以上150μm以下であり、20μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、補強シートが複層構造である場合、補強シートを構成する各層の厚みが、上述した範囲内であることが好ましい。また、補強シートは、反射シートの最表面に配置されていてもよく、内部に配置されていてもよい。
補強シートは、多孔質樹脂シートよりも高い透湿性を有していてもよい。補強シートの透湿度は、例えば、多孔質樹脂シートの透湿度の8倍以上であることが好ましい。補強シートの透湿度は、例えば、5000g/m・day以上であり、6000g/m・day以上であることが好ましい。
(3)接着層
反射シートは、多孔質樹脂シートおよび補強シートが、接着層を介して積層されていてもよく、接着層を介さずに直接積層されていてもよい。接着層は、接着材から構成される。接着材は、特に限定されないが、ドライラミネート接着材であることが好ましい。
接着材の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリエーテル系接着材、ポリエステル系接着材、ポリウレタン系接着材、ビニル系接着材、(メタ)アクリル系接着材、ポリアミド系接着材、エポキシ系接着材、ゴム系接着材等が挙げられる。接着材は、一液硬化型であってもよく、二液硬化型であってもよい。
ポリエーテル系接着材としては、例えば、ポリエーテルポリウレタンが挙げられる。ポリエーテルポリウレタンは、ポリエーテルポリオールと、ポリイソシアネートとが反応することで得られる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のオキシラン化合物を、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコールを重合開始材として重合した化合物が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2、6−トリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート等が挙げられる。
ポリエステル系接着材としては、例えば、ポリエステルポリウレタンが挙げられる。ポリエステルポリウレタンは、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとが反応することで得られる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸および多価アルコールが反応して得られるポリエステルポリオール、ラクトン環の開環重合で得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、セバシン酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸;フマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪族多価カルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族多価カルボン酸等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族、脂環族等の多価アルコール、および、芳香族多価アルコール等が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、キシリレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。なお、ポリイソシアネートについては、上述した通りである。
また、接着材として、ポリエーテルポリエステルポリウレタンを用いてもよい。なお、ポリエーテルポリエステルポリウレタンは、ポリエーテル系接着材でもあり、ポリエステル系接着材でもある。ポリエーテルポリエステルポリウレタンは、ポリエーテルエステルポリオールと、ポリイソシアネートとが反応することで得られる。ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、上記ポリエーテルポリオールに上記の多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールが挙げられる。
接着層の厚みは、特に限定されないが、透湿性確保の観点から、より薄いことが好ましい。接着層の厚みは、例えば10μm以下である。
(4)反射シート
反射シートは、光反射層を有していてもよく、有していなくてもよい。光反射層を設ける場合、可視光反射率をより高くできる。光反射層は、例えば、白色粉末および樹脂成分を含有する。白色粉末としては、例えば、アナターゼ型またはルチル型の酸化チタン、これらの表面をAl、Si等の金属酸化物で処理した酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。樹脂成分としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクタムポリウレタン等が挙げられる。光反射層の配置場所は、特に限定されず、反射シートの最表面であってもよく、内部であってもよい。また、光反射層は、多孔質基板シートを基準として、補強シートとは反対側に設けられていることが好ましい。光反射層の厚みは、例えば、0.5μm以上4μm以下である。
反射シートの厚みは、特に限定されないが、例えば50μm以上200μm以下であり、80μm以上150μm以下であることが好ましい。反射シートの透湿度は、例えば、10g/m・day以上であってもよく、20g/m・day以上であってもよい。
2.栽培ラック
本開示における栽培ラックは、栽培槽を載置可能な第一部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、上記第二部材よりも上記第一部材側に配置された照明部材と、上記第一部材および上記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有する構造体を有する。なお、「栽培槽を載置可能」とは、第一部材に対して、直接または他の部材を介して載置可能なことをいう。また、第一部材は、必ずしも単独で栽培槽を載置可能である必要はない。例えば、栽培槽は柱部材等に連結可能であり、上記連結により栽培槽の重さを分散させることで、第一部材が栽培槽を載置可能な状態となってもよい。
(1)第一部材、第二部材および柱部材
第一部材、第二部材および複数の柱部材により、栽培ラックの骨格が形成される。第一部材、第二部材および複数の柱部材の材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム等の金属が挙げられる。第一部材および第二部材は、例えば、板状であってもよく、メッシュ状であってもよい。また、第一部材および第二部材の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形等が挙げられる。柱部材の断面形状は、例えば、円形、正方形、長方形等が挙げられる。柱部材の数は、第一部材および第二部材を安定的に固定できる程度であることが好ましく、例えば3以上であり、4以上であってもよく、8以上であってもよい。第一部材および第二部材と、柱部材とは、公知の連結具を用いて連結されていることが好ましい。
第一部材に載置される栽培槽の形状は、特に限定されないが、ポット状、バッグ状、ベッド状等が挙げられる。また、栽培槽を用いて水耕栽培(湛液型水耕栽培、NFT型水耕栽培)を行ってもよく、土耕栽培を行ってもよい。また、第一部材の上にロックウールマットを敷き、その上にロックウールポットを置いてロックウール栽培を行ってもよい。また、ロックウールの代わりに使用後の廃棄がしやすいココピートを培地に利用したココバッグ栽培でもよい。
(2)照明部材
照明部材は、第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、第二部材よりも第一部材側に配置される。照明部材は、第二部材の表面上に直接配置されていてもよく、他の部材を介して、第二部材に対して空間を設けて配置されていてもよい。また、照明部材は第二部材の機能を兼ね備えていてもよい。その場合、照明部材は、第一部材に対して空間を設けて配置される。
照明部材は、少なくとも光源を有する。光源としては、例えば、LEDおよび蛍光灯等が挙げられ、中でもLEDが好ましい。消費電力が少ないからである。光源の色は、特に限定されず、栽培する植物に合わせて適宜選択する。また、光源は、基板に直接または他の層を介して配置されていることが好ましい。基板には、冷媒管が接続されていてもよい。光源から発生する熱を除去できるからである。基板の材料としては、アルミニウム、銅等が挙げられる。冷媒としては、例えば、アンモニア、水等が挙げられる。
また、光源および基板の間には、反射板が配置されていてもよい。光源から照射された光が栽培槽の培地表面で反射して光源に戻ってきた場合であっても、反射板を設けることで、反射光を再び植物に照射することができるからである。
また、植物の成長に応じて、光源の数を変えてもよい。植物は、成長段階によって必要とする光量が異なるからである。すなわち、葉が生い茂り、収穫時期に近い植物は、光量を多く、芽が出たてで、まだ葉が小さい植物は、光量を少なくすることが好ましい。このように適切な光量にすることで、結果的に光源の数を減らすことができ、設備費用の削減およびランニングコストの削減を図ることができる。
(3)栽培ラック
栽培ラックは、第一部材、第二部材、照明部材および複数の柱部材を有する構造体を有する。栽培ラックは、上記構造体を一つ有していてもよく、複数有していてもよい。例えば、図1および図2における栽培ラック10は、構造体16が4段積層された構造を有する。栽培ラックが複数の構造体を有する場合、第二部材は、第一部材の機能を兼ね備えていてもよい。例えば図2において、上から二番目の構造体16の第二部材13は、一方の面側において照明部材14が配置され、他方の面側において、栽培槽11を載置している。すなわち、第二部材13は、第一部材12の機能を兼ね備えている。
栽培ラックは、固定型であってもよく、移動可能型であってもよい。また、栽培ラックは吊り下げ式であってもよい。
3.植物栽培装置
本開示の植物栽培装置は、上述した栽培ラックおよび反射シートを少なくとも備える。植物栽培装置は、栽培槽に培養液を供給する培養液供給装置を有していてもよい。培養液供給装置としては、例えば、培養液を貯留する貯留部と、貯留部の培養液を循環させる配管部およびポンプ部と、各々の栽培槽に接続され配管部の培養液を栽培槽に供給する供給部とを有する装置を挙げることができる。また、植物栽培装置は、必要に応じて、栽培ラック内のCO濃度を高めるCO供給装置、送風機、空気清浄機、除湿器、加湿器、ヒーター、クーラーの少なくとも一つをさらに有していてもよい。
植物栽培装置の用途は、特に限定されないが、太陽光を利用しない人工光型栽培に用いることが好ましい。また、植物栽培装置を育苗装置として用いてもよい。植物栽培装置により栽培する植物は、長日植物(長日に反応して花芽形成を調節する植物)であってもよく、短日植物(短日に反応して花芽形成を調節する植物)であってもよく、中性植物(光周期に反応しない植物)であってもよい。具体的には、葉菜類、果菜類、花き類等が挙げられる。葉菜類としては、例えば、レタス、チンゲンサイ、ルッコラ、コリアンダー、バジル、セロリ、ケール、エゴマ、アイスプラント、サフラン等が挙げられる。果菜類としては、例えば、トマト、オクラ、南瓜、キュウリ等が挙げられる。
B.反射シート
本開示の反射シートは、栽培槽を載置可能な第一部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、上記第二部材よりも上記第一部材側に配置された照明部材と、上記第一部材および上記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有するユニット構造を有する栽培ラックの側面に配置される反射シートであって、可視光反射性を有し、複数の貫通部を有する反射シートである。
本開示によれば、貫通部を有することから、人工光を効率良く植物に照射しつつ、栽培ラック内に熱および空気が滞留することを抑制可能な反射シートとすることができる。反射シートの詳細については、上記「A.植物栽培装置」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
[製造例1]
(多孔質樹脂シートの作製)
多孔質樹脂シートの内層を構成する樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックPP:MA−8」、融点164℃)を65.5質量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD:HJ580」、融点134℃、密度0.960g/cm)を6.5質量%、および、平均粒子径が1.5μmの炭酸カルシウム粉末を28質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して、一軸延伸シートを得た。
一方、多孔質樹脂シートの外層を構成する樹脂組成物として、上記と同様の材料にて、プロピレン単独重合体を51.5質量%、高密度ポリエチレンを3.5質量%、平均粒子径が1.5μmの炭酸カルシウム粉末を42質量%、平均粒子径が0.8μmの酸化チタン粉末を3質量%よりなる樹脂組成物を、別の押出機を用いて溶融混練し、上記の一軸延伸シートの表面の両側にダイより押し出し、外層、内層、外層の層構成を有する積層シートを得た。
次いで、この積層シートを横方向に7倍延伸し耳部をスリットすることにより、厚みが70μmであり、外層(15μm)、内層(40μm)、外層(15μm)の層構成を有し、微細な空隙を含有する多孔質樹脂シートを得た。得られた多孔質樹脂シートの空隙率は55%であり、不透明度は93%であった。
(反射シートの作製)
補強シートとして、L−LDPEフィルム(直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、厚み30μm、TUX TC−S、三井化学東セロ社製)を用意し、ドライラミネート法にて、補強シートおよび多孔質樹脂シートを接合した。具体的には、ポリエーテル系接着材としてタケラックA−969V(ポリオール成分)およびタケネートA−5(イソシアネート成分)を使用した。ポリエーテル系接着材を、乾燥温度70℃、2g/mの条件で塗布し、接合した。このようにして、反射シートを得た。
得られた反射シートに対して、可視光反射率測定、平滑性評価および防汚性評価を行った。可視光反射率測定では、紫外・可視・近赤外分光光度計(島津製作所UV−3600)および積分球付属装置(ISR−3100)を用いて、入射角8°で可視領域380nm以上780nm以下での反射率(全反射率)を測定し、その平均反射率を求めた。なお、標準板として、米国ラブスフェア社製スペクトラロン(テフロン(登録商標)製)を用いた。また、測定面は、反射シートの多孔質樹脂シート側の面とした。その結果、可視光反射率は97%であった。また、平滑性評価では、多孔質樹脂シート側の表面の算出平均高さSaを求めた。その結果、Saは0.3μmであった。また、防汚性評価では、JIS−L−1919に基づいて、汚染等級を評価した。その結果、汚染等級は3.5であった。
[実施例1]
人工光型植物工場において、高さ30cm、幅1m、奥行き1.2mの水耕栽培用の栽培ラックでリーフレタス50株を40日間栽培した。栽培ラックの対向する側面二面に30cm×1mの反射シートを棚横でガムテープを用いて固定した。これにより、栽培ラックの側面を隙間無く反射シートで覆った。反射シートには、栽培ラックの側面下側15cmに直径10mmの円形の貫通部が35個形成され、栽培ラックの側面上側15cmには貫通部が形成されていないかった。貫通部の配列は、図5(a)に示す配列とした。定植から40日間経過して収穫期となったレタスを収穫し収量を量ったところ、3.3kgであった。
[比較例1]
反射シートを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、リーフレタスの水耕栽培を行った。定植から40日間経過して収穫期となったレタスを収穫し収量を量ったところ、3kgであった。実施例1および比較例1を比べると、実施例1では、比較例1に対して約10%収量が増大した。
10…栽培ラック
11…栽培槽
12…第一部材
13…第二部材
14…照明部材
15…柱部材
16…構造体
20…反射シート
21…貫通部
100…植物栽培装置

Claims (8)

  1. 栽培槽を載置可能な第一部材と、前記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、前記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、前記第二部材よりも前記第一部材側に配置された照明部材と、前記第一部材および前記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有する構造体を有する栽培ラックと、
    前記栽培ラックの側面に配置され、可視光反射性を有し、複数の貫通部を有する反射シートと、
    を備える、植物栽培装置。
  2. 前記反射シートは、前記複数の貫通部を有する第一領域と、前記貫通部を有しない第二領域とを有する、請求項1に記載の植物栽培装置。
  3. 前記反射シートは、鉛直方向に沿って、前記第一部材側に前記第一領域を有し、前記第二部材側に前記第二領域を有する、請求項2に記載の植物栽培装置。
  4. 前記反射シートは、水平方向に沿って、複数の前記第一領域および前記第二領域を交互に有する、請求項2に記載の植物栽培装置。
  5. 前記反射シートは可視光反射率が90%以上である、請求項1から請求項4のいずれかの請求項に記載の植物栽培装置。
  6. 前記反射シートは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質樹脂シートを備える、請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載の植物栽培装置。
  7. 前記多孔質樹脂シートにおける前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、
    前記多孔質樹脂シートの空隙率が35%以上60%以下であり、前記多孔質樹脂シートの厚みが30μm以上90μm以下である、請求項6に記載の植物栽培装置。
  8. 栽培槽を載置可能な第一部材と、前記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、前記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、前記第二部材よりも前記第一部材側に配置された照明部材と、前記第一部材および前記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有するユニット構造を有する栽培ラックの側面に配置される反射シートであって、可視光反射性を有し、複数の貫通部を有する、反射シート。
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