JP2018033356A - 植物栽培装置および反射シート - Google Patents
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Abstract
Description
本開示の植物栽培装置について、図1〜図4を用いて説明する。図1は栽培ラックの一例を示す概略正面図であり、図2は図1の概略側面図である。また、図3は植物栽培装置の一例を示す概略斜視図であり、図4は図3の一部を拡大した拡大図である。
本開示の植物栽培装置について、構成ごとに説明する。
本開示における反射シートは、栽培ラックの側面に配置される。「栽培ラックの側面」とは、第一部材、第二部材および柱部材により特定される面をいう。例えば、栽培ラックの形状が、立方体である場合には、六面の中で、頂面および底面を除く四面が、栽培ラックの側面に該当する。反射シートは、栽培ラックの側面の少なくとも一面に配置され、二面に配置されていてもよく、三面に配置されていてもよく、四面に配置されていてもよい。中でも、栽培ラックの側面のうち、対向する二面に反射シートが配置されることが好ましい。空気の流れがスムーズになるからである。特に、図3および図4に例示されるように、第一部材12および第二部材13の長手方向に平行な側面に反射シートが配置されることが好ましい。一方、栽培ラックの側面の四面全てに配置することで、反射効率をより高めることも可能である。反射シートの形状は特に限定されないが、例えば、正方形、長方形が挙げられる。特に、反射シートは長方形の長尺シートであることが好ましい。
多孔質樹脂シートは、内部に空隙を有するシートであり、樹脂を含有する。多孔質樹脂シートは、必要に応じて、充填材等の添加材を含有していてもよい。多孔質樹脂シートは、多孔質構造より光反射性を示す。
多孔質樹脂シートは、樹脂を含有する。樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよいが、前者が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、飽和エステル系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面が優れるからである。
多孔質樹脂シートは、充填材を含有していてもよい。充填材を添加し、例えば延伸により多孔質樹脂シートを作製することで、多孔質樹脂シートの内部に空隙が生じる。充填材としては、例えば、無機系充填材および有機系充填材が挙げられる。
多孔質樹脂シートは、必要に応じて、界面活性材、滑材、帯電防止材等の各種添加材を含有していてもよい。界面活性材の添加により、例えば結露を防ぐことができる。界面活性材としては、例えば、非イオン性界面活性材、陰イオン性界面活性材、両イオン性界面活性材等が挙げられる。非イオン性界面活性材としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロックポリマー等が挙げられる。陰イオン性界面活性材としては、例えば、スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の塩が挙げられる。なお、上記塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
多孔質樹脂シートは、透湿性、通気性および遮水性の少なくとも一つを有することが好ましい。一方、多孔質基材シートが貫通部を有する場合、貫通部において通水性を有し、貫通部以外の部分において、透湿性、通気性および遮水性を有することが好ましい。また、多孔質樹脂シートは、通常、内部に空隙を有する。多孔質樹脂シートの空隙率は、特に限定されないが、例えば35%以上60%以下であり、40%以上58%以下であることが好ましい。空隙率が低すぎると、光反射性が低くなる可能性がある。空隙率が高すぎると、シート強度が弱くなる可能性がある。
空隙率(%)={(ρo−ρ)/ρo}×100 …(式1)
式1において、ρは多孔質樹脂シートの密度であり、JIS P 8118に準拠する。ρoは多孔質樹脂シートの真密度である。真密度は、多孔質樹脂シートを構成する主要な材料成分の種類とそれらの構成比率を分析して、材料成分の種類の一般的な値を用いることで決定することができる。例えば、ポリプロピレンの密度は0.9g/cm3、炭酸カルシウムの密度は2.7g/cm3である。なお、多孔質樹脂シートが延伸処理されたものであるときは、延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の材料の密度にほぼ等しい。そのため、真密度は、延伸前の材料から求めてもよく、定容積膨張法による乾式密度測定方法で求めることができ、測定装置としては、例えば、(株)島津製作所製の乾式自動密度計アキュピック1330が挙げられる。
補強シートは、上記多孔質樹脂シートの一方の面側に配置され、上記多孔質樹脂シートを補強するシートである。
反射シートは、多孔質樹脂シートおよび補強シートが、接着層を介して積層されていてもよく、接着層を介さずに直接積層されていてもよい。接着層は、接着材から構成される。接着材は、特に限定されないが、ドライラミネート接着材であることが好ましい。
反射シートは、光反射層を有していてもよく、有していなくてもよい。光反射層を設ける場合、可視光反射率をより高くできる。光反射層は、例えば、白色粉末および樹脂成分を含有する。白色粉末としては、例えば、アナターゼ型またはルチル型の酸化チタン、これらの表面をAl、Si等の金属酸化物で処理した酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。樹脂成分としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクタムポリウレタン等が挙げられる。光反射層の配置場所は、特に限定されず、反射シートの最表面であってもよく、内部であってもよい。また、光反射層は、多孔質基板シートを基準として、補強シートとは反対側に設けられていることが好ましい。光反射層の厚みは、例えば、0.5μm以上4μm以下である。
本開示における栽培ラックは、栽培槽を載置可能な第一部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、上記第二部材よりも上記第一部材側に配置された照明部材と、上記第一部材および上記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有する構造体を有する。なお、「栽培槽を載置可能」とは、第一部材に対して、直接または他の部材を介して載置可能なことをいう。また、第一部材は、必ずしも単独で栽培槽を載置可能である必要はない。例えば、栽培槽は柱部材等に連結可能であり、上記連結により栽培槽の重さを分散させることで、第一部材が栽培槽を載置可能な状態となってもよい。
第一部材、第二部材および複数の柱部材により、栽培ラックの骨格が形成される。第一部材、第二部材および複数の柱部材の材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム等の金属が挙げられる。第一部材および第二部材は、例えば、板状であってもよく、メッシュ状であってもよい。また、第一部材および第二部材の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形等が挙げられる。柱部材の断面形状は、例えば、円形、正方形、長方形等が挙げられる。柱部材の数は、第一部材および第二部材を安定的に固定できる程度であることが好ましく、例えば3以上であり、4以上であってもよく、8以上であってもよい。第一部材および第二部材と、柱部材とは、公知の連結具を用いて連結されていることが好ましい。
照明部材は、第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、第二部材よりも第一部材側に配置される。照明部材は、第二部材の表面上に直接配置されていてもよく、他の部材を介して、第二部材に対して空間を設けて配置されていてもよい。また、照明部材は第二部材の機能を兼ね備えていてもよい。その場合、照明部材は、第一部材に対して空間を設けて配置される。
栽培ラックは、第一部材、第二部材、照明部材および複数の柱部材を有する構造体を有する。栽培ラックは、上記構造体を一つ有していてもよく、複数有していてもよい。例えば、図1および図2における栽培ラック10は、構造体16が4段積層された構造を有する。栽培ラックが複数の構造体を有する場合、第二部材は、第一部材の機能を兼ね備えていてもよい。例えば図2において、上から二番目の構造体16の第二部材13は、一方の面側において照明部材14が配置され、他方の面側において、栽培槽11を載置している。すなわち、第二部材13は、第一部材12の機能を兼ね備えている。
本開示の植物栽培装置は、上述した栽培ラックおよび反射シートを少なくとも備える。植物栽培装置は、栽培槽に培養液を供給する培養液供給装置を有していてもよい。培養液供給装置としては、例えば、培養液を貯留する貯留部と、貯留部の培養液を循環させる配管部およびポンプ部と、各々の栽培槽に接続され配管部の培養液を栽培槽に供給する供給部とを有する装置を挙げることができる。また、植物栽培装置は、必要に応じて、栽培ラック内のCO2濃度を高めるCO2供給装置、送風機、空気清浄機、除湿器、加湿器、ヒーター、クーラーの少なくとも一つをさらに有していてもよい。
本開示の反射シートは、栽培槽を載置可能な第一部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、上記第二部材よりも上記第一部材側に配置された照明部材と、上記第一部材および上記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有するユニット構造を有する栽培ラックの側面に配置される反射シートであって、可視光反射性を有し、複数の貫通部を有する反射シートである。
(多孔質樹脂シートの作製)
多孔質樹脂シートの内層を構成する樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックPP:MA−8」、融点164℃)を65.5質量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD:HJ580」、融点134℃、密度0.960g/cm3)を6.5質量%、および、平均粒子径が1.5μmの炭酸カルシウム粉末を28質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して、一軸延伸シートを得た。
補強シートとして、L−LDPEフィルム(直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、厚み30μm、TUX TC−S、三井化学東セロ社製)を用意し、ドライラミネート法にて、補強シートおよび多孔質樹脂シートを接合した。具体的には、ポリエーテル系接着材としてタケラックA−969V(ポリオール成分)およびタケネートA−5(イソシアネート成分)を使用した。ポリエーテル系接着材を、乾燥温度70℃、2g/m2の条件で塗布し、接合した。このようにして、反射シートを得た。
人工光型植物工場において、高さ30cm、幅1m、奥行き1.2mの水耕栽培用の栽培ラックでリーフレタス50株を40日間栽培した。栽培ラックの対向する側面二面に30cm×1mの反射シートを棚横でガムテープを用いて固定した。これにより、栽培ラックの側面を隙間無く反射シートで覆った。反射シートには、栽培ラックの側面下側15cmに直径10mmの円形の貫通部が35個形成され、栽培ラックの側面上側15cmには貫通部が形成されていないかった。貫通部の配列は、図5(a)に示す配列とした。定植から40日間経過して収穫期となったレタスを収穫し収量を量ったところ、3.3kgであった。
反射シートを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、リーフレタスの水耕栽培を行った。定植から40日間経過して収穫期となったレタスを収穫し収量を量ったところ、3kgであった。実施例1および比較例1を比べると、実施例1では、比較例1に対して約10%収量が増大した。
11…栽培槽
12…第一部材
13…第二部材
14…照明部材
15…柱部材
16…構造体
20…反射シート
21…貫通部
100…植物栽培装置
Claims (8)
- 栽培槽を載置可能な第一部材と、前記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、前記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、前記第二部材よりも前記第一部材側に配置された照明部材と、前記第一部材および前記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有する構造体を有する栽培ラックと、
前記栽培ラックの側面に配置され、可視光反射性を有し、複数の貫通部を有する反射シートと、
を備える、植物栽培装置。 - 前記反射シートは、前記複数の貫通部を有する第一領域と、前記貫通部を有しない第二領域とを有する、請求項1に記載の植物栽培装置。
- 前記反射シートは、鉛直方向に沿って、前記第一部材側に前記第一領域を有し、前記第二部材側に前記第二領域を有する、請求項2に記載の植物栽培装置。
- 前記反射シートは、水平方向に沿って、複数の前記第一領域および前記第二領域を交互に有する、請求項2に記載の植物栽培装置。
- 前記反射シートは可視光反射率が90%以上である、請求項1から請求項4のいずれかの請求項に記載の植物栽培装置。
- 前記反射シートは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質樹脂シートを備える、請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載の植物栽培装置。
- 前記多孔質樹脂シートにおける前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、
前記多孔質樹脂シートの空隙率が35%以上60%以下であり、前記多孔質樹脂シートの厚みが30μm以上90μm以下である、請求項6に記載の植物栽培装置。 - 栽培槽を載置可能な第一部材と、前記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、前記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、前記第二部材よりも前記第一部材側に配置された照明部材と、前記第一部材および前記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有するユニット構造を有する栽培ラックの側面に配置される反射シートであって、可視光反射性を有し、複数の貫通部を有する、反射シート。
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