[概要]
図1は、本発明の建築物設計図書提供システム(以下、単に「システム」ともいう。)1の全体構成の一例を示す概略図である。システム1は、依頼者の要望に基づき、建築物の設計に係る設計図書(以下、「設計図書」という)10を依頼者に提供するものである。本発明では、依頼者から建築物の建築条件を取得し、かかる建築条件に基づく設計図面を依頼者に提供するとともに、依頼者が設計図書10の適否を判断することができるように、設計図書10に対する第三者からの意見を募集するための意見交換の場を提供することができる。
ここで、建築物とは、一般住宅のほか、各種居住施設、飲食店、オフィスビル、工場、公共施設などを含む。依頼者とは、建築物の工事の依頼主のことであり、注文住宅の建築であれば、いわゆる施主を指す。第三者とは、依頼主の意見(質問、検討事項、相談等)を受けて、建築物の設計(例えば、住宅の間取りを含み、家具、インテリア、照明の配置なども含んでよい)に関する意見、コメント、改善点などを提供する者であり、例えば、建築物の工事に関わったことのある又は建築物の工事を予定している施主、建築物に興味のある者、インテリアコーディネーター、住宅建築コーディネーターなどをいう。依頼者及び第三者は、システム1に個人情報を登録した会員であることが好ましい。
設計図書10は、建築基準法に定義される建築物の建築工事の実施のために必要な図面及び仕様書を含むが、これに限定されず、より簡易的な基本設計図11、実施設計図12及び費用見積書13などを含む。設計図書10は、建築物の建築条件の少なくとも一部に基づいて、一人又は複数の設計士が作成してもよいし、システム1が過去に作成された建築事例から建築条件の少なくとも一部の条件に基づいて相関の高い設計図書を検索して取得してもよい。過去事例の設計図書については、必要に応じて、建築士等が建築条件の少なくとも一部の条件に合わせてしたものを用いてもよい。設計士とは、建築物の設計をするものであり、建築士であることが好ましいが、これに限定されない。ただし、設計士としてシステム1に登録する際に、設計する技能を有することを確認することが好ましい。なお、建築士とは、法令に基づき、建築物の設計及び工事の監理を行うことができる一級建築士、二級建築士、木造建築士などをいう。
基本設計図11とは、建築物の概要、部屋又は区画の大きさ及び用途、生活動線などを大まかに把握するための図面であり、一般住宅の場合であれば、例えば、間取り図に該当する。基本設計図11は、それ単独では費用見積もりを算出できないものであり、依頼者に対して最初に提供されることが好ましい。図2には、基本設計図11の一例として、住宅の間取り図を例示している。
実施設計図12とは、建築物の工事と費用見積もりを算出するために必要な図面であり、一般住宅の場合であれば、例えば、建物の詳細を表現した意匠図、建物の骨組みを示す構造図、給排水、ガス、電気、空調、各種設備などの配置を示す設備図などを含む。図3(A)及び図3(B)には、実施設計図12の一例として、一般住宅を建築するための意匠図に含まれる立面図及び矩計図を例示している。実施設計図12は、基本設計図11の作成を担当した設計士によって作成されることが好ましいが、これに限定されず、例えば、システム1が提供するサービスを依頼者と設計士との間で仲介する仲介者によって作成されてもよいし、基本設計図11の作成を担当した設計士とは異なる設計士によって作成されてもよい。なお、図2及び図3に示した図面は、基本設計図11及び実施設計図12の単なる一例であり、作成すべき基本設計図11及び実施設計図12は、建築物の工事の内容、建築場所、法令による各種規制などに応じて異なる。
費用見積書13は、実施設計図に基づいて算出された建築物の工事に必要な費用を示した文書であり、材料の原価、設備の購入費用、各種工事に係る標準的な工数とその費用などを詳細に記載したものであることが好ましい。費用見積書13は、実施設計図とともに、基本設計図11の作成を担当した設計士によって作成されることが好ましいが、これに限定されず、例えば、システム1が提供するサービスを依頼者と設計士との間で仲介する仲介者によって作成されてよいし、基本設計図11の作成を担当した設計士とは異なる設計士によって作成されてもよい。また、システム1(サーバ等)が、ソフトウェアを用いて、入力された実施設計図から計算して費用見積書13を作成してもよい。
また、かかるシステム1は、依頼者からの依頼に対して最初は費用見積もりを算出できない書類(例えば、基本設計図11のみ)を依頼者に提供し、依頼者によって所望の基本設計図11が選択された後、基本設計図11よりも詳細な情報を含む実施設計図12及び/又は実施設計図12に基づいて算出された建築物の工事のための費用見積書13を依頼者に提供してもよい。これは、実施設計図12の作成には時間と労力が必要であり、依頼者に対して最初に提供する複数の設計案を提案する段階で実施設計図12まで準備すると、時間と労力がかかること及び選択されなかった設計案が無駄になることから、最初の段階では、基本設計図11のみを提案し、選択された提案に対して実施設計図12等を作成することが好ましい。かかるシステム1は、基本設計図11を提供するサービスと実施設計図12(及び費用見積書13)を提供するサービスとで異なる料金体系を適用してもよいし、基本設計図11、実施設計図12又は費用見積書13に対する作業内容毎に異なる料金を設定してもよい。例えば、基本設計図11を提供するサービスは無料で提供し、実施設計図12(及び費用見積書13)を提供するサービスは有料とし、選択された基本設計図11を設計した設計士には報酬が支払われるように構成してもよい。なお、最初に提出する設計図書10の種類は、基本設計図11に限定されない。例えば、過去事例やその修正版を提案する場合、すでに実施設計図12が作成されており、実施設計図12や費用見積書13も含めて最初に提案してもよいし、時間と労力をかけて最初から実施設計図12や費用見積書13を提案してもよい。
システム1は、提供された設計図書10について意見交換の場(意見交換画面)を提供する。まず、依頼者に対し、提供された設計図書10について第三者と意見を交換するための意見を入力する意見入力画面(図18参照)を提供する。依頼者に提供された意見入力画面には、設計図書の少なくとも一部及び依頼者の意見を入力することができる。また、サーバは設計図書の少なくとも一部及び依頼者の意見を取得し、意見交換画面においてシステム内又はシステム外を含むネットワーク上で公開され、第三者の意見を書き込むことが可能とされる。さらに第三者の意見に対し、依頼者が意見を書き込める構成にしてもよい。また、意見を書き込んだ第三者に対し、依頼者がポイント又は評価を入力できるようにして、かかるポイントや評価を公開し、第三者の意見内容の信頼性を確認できるようにしてもよい。なお、第三者の意見が書き込み可能であれば、当事者である依頼者や設計士の意見も書き込める構成であってもよい。
さらに、かかるシステム1は、実施設計図12及び費用見積書13を複数の建築業者に提示し、建築物の工事の請負の適否を問い合わせてもよい。建築業者とは、対象の建築物の工事を請負うことができるハウスメーカー、地域の工務店などを含む。
本発明によれば、依頼者は、簡単な手続きにより、建築条件を満たす少なくとも一つの設計図書10を取得することができ、複数の設計図書10から所望の設計図書10を選択することができる。また、依頼者は、第三者の意見を参考にして、基本設計図11の修正を求めることができるので、建築に関する知識経験が少ない場合でも、要望に沿った基本設計図11を取得することができる。さらに、本発明によれば、提供される設計図面の種別に応じて、異なる料金を設定することもできるので、依頼者は、必要の都度、必要の範囲で所望の設計図書を取得することができる。
また、本発明では、実施設計図12及び費用見積書13は、建築物の工事を担当する建築業者とは利害関係のない設計士によって作成されるので、依頼者は、建築業者の意図が介在しない適正な費用見積書13を取得することができ、建築業者の選定に際して、有利に交渉を進めることができる。また、依頼者は、実施設計図12及び費用見積書13を取得しているので、予算の範囲内で建築物の工事を請負う建築業者を自己の意思で選択することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
[建築物設計図書提供システムの構成]
図1に示すように、システム1は、少なくとも建築物設計図書を提供するためのサーバ2を備え、必要に応じてサーバ2を管理するための管理端末5、設計図書の作成のサービスを受ける依頼者が操作する依頼者端末6、設計図書の作成のサービスを提供する設計士が操作する設計士端末7、設計図書に対して意見を述べる第三者(閲覧者)が操作する第三者端末8及び建築物の工事を請け負う予定の建築業者が操作する建築業者端末9を含んでもよく、各端末は、ネットワーク100などを介して、サーバ2に接続される。
サーバ2は、例えば、各種のサーバ、パーソナルコンピュータ、メインフレーム等の計算機又はこれらの組み合わせによって構成することができる。サーバ2は、図示しないプロセッサ及びメモリなどによって構成される制御部3、図示しないハードディスク装置などによって構成される記憶部4、ネットワーク100に接続するためのネットワークインターフェイス(図示省略)を必要に応じて備える。
制御部3は、プロセッサなどによって記憶部4に格納された各種プログラムを読み出して実行し、ハードウェアとプログラムとを協働させ、記憶部4に格納される各種情報を管理する機能、各端末との通信を制御する機能、システム利用者を認証する機能などを実現する。制御部3は、無料の料金体系が適用されるサービスを提供する第1のサービス提供部31と、有料の料金体系が適用されるサービスを提供する第2のサービス提供部32とを有してもよい。制御部3(第1のサービス提供部31及び第2サービス提供部32)が実行する具体的な処理については、後述する図13、図17、図20乃至図22の各種処理において説明する。
記憶部4は、依頼者情報を管理するための依頼者情報管理テーブル41(図4参照)、設計士情報を管理するための設計士情報管理テーブル42(図5参照)、建築業者情報を管理するための建築業者情報管理テーブル43(図6参照)、依頼者が設定する建築物の建築条件を管理するための建築条件管理テーブル44(図7参照)、各種の設計図書10の種別を特定するための図書種別管理テーブル45(図8参照)、各種の設計図書10に対する作業内容を特定するための作業内容管理テーブル46(図9参照)、各種の設計図書10に対する作業内容別の料金を特定するための料金体系管理テーブル47(図10参照)、依頼者に提供される各種の設計図書10を管理するための図書情報管理テーブル48(図11参照)、過去に作成された建築物の設計図面をまとめた過去事例管理テーブル49(図12参照)などを含む。
管理端末5は、システム1の管理者が操作する端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ等を採用することができ、管理GUIプログラムなどを有する。これにより、管理端末5は、サーバ2の管理者に対し、サーバの構成、各種プログラム、各種情報を設定及び変更するためのインタフェースを提供する。管理者は、システム1の運営者であり、システム1が提供するサービスを依頼者と設計士との間で仲介する仲介者でもある。なお、仲介者(運営者)が設計士を兼ねている場合、仲介者(運営者)が操作する管理端末5は、設計士端末7として機能することもあり、仲介者(運営者)が意見交換画面で回答する場合、管理端末5は第三者端末8として機能することもあり、仲介者(運営者)が建築業者を兼ねている場合、管理端末5は、建築業者端末9として機能することもある。
依頼者端末6は、依頼者が操作する端末であり、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、多機能携帯電話(スマートフォン、i−phone(登録商標))などを採用することができる。依頼者端末6は、制御部、記憶部及びネットワークインターフェイスなどを備え、少なくとも、ネットワーク100に接続する機能、サーバ2から提供される設計図書10(基本設計図11、実施設計図12、費用見積書13など)を画面に表示する機能及び各種情報を入力する機能などを有する。なお、サーバ2から依頼者端末6に設計図書10が提供される場合、依頼者端末6は、設計図書10を画面において表示可能であれば必ずしも設計図書10を自己の記憶部に格納しなくてもよいし、設計図書10を画面において表示する代わりに、適当な出力手段(プリンタなど)に出力してもよい。また、依頼者端末6は、設計図書10の提供に係る通知を受けるように構成してもよい。
設計士端末7は、設計士が操作する端末であり、依頼者端末6と同様に、パーソナルコンピュータなどを採用することができる。第三者端末8及び建築業者端末9も、依頼者端末6と同様に、パーソナルコンピュータなどを採用することができる。
ネットワーク100は、特に限定されるものではなく、例えば、公衆電話網、ISDN(Integrated Service Digital Networkの略。デジタル総合サービス網とも呼ばれる。)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、CATV(Community Antenna TeleVision)網、光ファイバー網、無線LAN(Local Area Network)、CS(Communication Satellite)放送、移動電話網等を利用することができる。
図4は、依頼者情報管理テーブル41の一例を示す図である。図4に示す依頼者情報管理テーブル41は、依頼者ID411、氏名412、連絡先413を含む。依頼者ID411は、依頼者を一意に特定する識別情報であり、例えば、依頼者が任意に付与する適当な番号(他人との重複不可)を格納してもよいし、システム1が提供するサービスの利用開始に際して設定される認証番号(会員ID)を格納してもよい。氏名412は、依頼者の氏名又は名称を示す情報である。連絡先413には、依頼者の電話番号、メールアドレス、住所などが格納される。また、依頼者情報管理テーブル41は、必要に応じて、建築物の設計に際して考慮すべき情報(例えば、依頼者の家族構成、それぞれの年齢、将来設計など)を含んでもよい。
図5は、設計士情報管理テーブル42の一例を示す図である。設計士情報管理テーブル42は、システム1が設計士情報の一部をWeb上で公開する際に利用することもできる。図5に示す設計士情報管理テーブル42は、設計士ID421、氏名422、連絡先423、対応可能地域424、過去事例425、PR426、アイコン427、資格428を含む。設計士ID421は、設計士を一意に特定する識別情報であり、例えば、設計士が任意に付与する適当な番号(他人との重複不可)を格納してもよいし、設計士がシステム1に加入する際に設定される認証番号(会員ID)を格納してもよいし、行政によって付与される登録番号を格納してもよい。氏名422は、設計士の氏名を示す情報であり、所属する建築設計事務所等の名称を含んでもよい。連絡先423には、設計士の電話番号、メールアドレス、住所などが格納される。対応可能地域424は、当該設計士が建築物の工事の監理を行うことができる地域の範囲を示す情報である。過去事例425は、当該設計士が過去に設計した建築物に関する情報であり、建築物の主要な特徴を格納してもよいし、実際に作成した設計図書(電子データ)を格納してもよいし、例えば、図12の過去事例管理テーブル49において管理される図書に対応付けられた図書管理IDなどを格納してもよい。PR426は、Web上で表示される設計士の広告宣伝であり、例えば、自己の得意な建築物、経歴、設計思想などを含む。アイコン427は、Web上で表示される設計士に関連付けられたキャラクターなどである。資格428は、設計士が保有する資格(一級、二級、木造、なし)が格納される。
図6は、建築業者情報管理テーブル43の一例を示す図である。建築業者情報管理テーブル43は、システム1が建築業者情報の一部をWeb上で公開する際に利用することもできる。図6に示す建築業者情報43は、建築業者ID431、名称432、連絡先433、対応可能地域434、過去事例435及びPR436を含む。建築業者ID431は、建築業者を一意に特定する識別情報であり、例えば、建築業者が任意に付与する適当な番号(他人との重複不可)を格納してもよいし、建築業者がシステム1に加入する際に設定される認証番号(会員ID)を格納してもよいし、行政によって付与される許可番号等を格納してもよい。名称432は、建築業者の名称を示す情報である。連絡先433には、建築業者の電話番号、メールアドレス、住所などが格納される。対応可能地域434は、当該建築業者が建築物の工事を実施することができる地域の範囲を示す情報である。過去事例435は、当該建築業者が過去に建築した建築物に関する情報であり、建築物の主要な特徴を格納してもよいし、実際に建築された建築物の写真、イラストなどを格納してもよい。PR436は、Web上で表示される建築業者の広告宣伝であり、例えば、得意な施工方法、標準的な工期、経営理念などを含む。
図7は、建築条件管理テーブル44の一例を示す図である。建築条件管理テーブル44は、建築物の購入を求める依頼者が、建築物の設計にあたって設計士に示す要求事項であり、システム1が提供するサービスの利用申し込みの際に入力画面(例えば、後述する図14、図15及び図16参照)を介して依頼者によって入力される情報である。図7に示す建築条件管理テーブル44は、建築物ID441、依頼者ID442、基礎的要件443、希望間取り444、設備445、屋根446、外壁447、その他448を含む。建築物ID441は、依頼対象を一意に特定する識別情報であり、依頼者からの依頼(建築条件又はその中の基礎的要件)ごとに発行される。依頼者ID442は、依頼者を一意に特定する識別情報であり、図4に示す依頼者情報41の依頼者ID411に対応する。基礎的要件443は、建築物の設計に際して要求される要件であり、例えば、敷地面積、形状及び各種法令に基づく制限(建築面積(建ペイ率)、延べ床面積(容積率)、用途、防火・準防火地域の当否、高度制限、斜線制限、日影規制、外壁後退、建築協定など)、道路の幅員、接道長さ、車両及び重機の進入の可否などが含まれる。希望間取り444は、部屋の数、大きさ、配置及び用途などを特定するための情報であり、家具の配置などを含んでもよい。設備445は、トイレ、バス、キッチンなどの各種設備、使用エネルギー(電気、ガス、太陽光発電)などを特定するための情報である。屋根446は、屋根の形状、材質などを特定するための情報である。外壁447は、外壁の材質、施工方法などを特定するための情報である。その他448には、依頼者のその他の要望、コメントなどが格納される。
なお、基礎的要件443は、敷地調査、役所調査などを経なければ詳細は不明である場合もあるので、依頼者は、システム1が提供するサービスの利用申し込みに際して、建築予定地の簡易な敷地図及び案内図をあらかじめ提供し、サーバ2は、これら敷地図及び案内図を建築物の基礎的要件443として使用し、必要に応じて敷地調査、役所調査などを経て得られた詳細事項を追加してもよい。
また、建築物の希望間取り444乃至外壁447の項目については、延べ床面積、採用可能な施工方法等の制限により、一般的にすべての要望を同時に満たすことは難しい。このため、本発明では、建築条件の項目の少なくとも一部に重要度を設定できることが好ましく、これにより、依頼者は、自己が重視する項目を優先的に満たした基本設計図を取得することができる。重要度は、例えば、図15及び図16に示す建築条件入力画面62のように、項目毎に「高」「中」「低」のプルダウンメニューを付与して、依頼者に選択させるように構成することができる。なお、建築条件管理テーブル44の項目441〜448は、説明のための単なる例示であり、システム運営者(仲介者)は、必要に応じて適宜項目を変更、追加又は削除することができる。
図8は、図書種別管理テーブル45の一例を示す図である。図書種別管理テーブル45は、設計図書の種別毎に付与される識別情報(図書種別ID451)と、設計図書の種別(例えば、基本設計図、実施設計図、費用見積書など)を示す情報(図書種別452)とを対応付けた情報である。なお、図書種別452の内容は、説明のための単なる例示であり、システム運営者(仲介者)は、必要に応じて適宜種別を変更、追加又は削除することができる。
図9は、作業内容管理テーブル46の一例を示す図である。作業内容管理テーブル46は、作業内容毎に付与される識別情報(作業内容ID461)と、作業内容(例えば、設計図書の初版作成、1回目修正、2回目修正、・・・など)を示す情報(作業内容462)とを対応付けた情報である。なお、作業内容462は、説明のための単なる例示であり、システム運営者(仲介者)は、必要に応じて適宜内容を変更、追加又は削除することができる。
図10は、料金体系管理テーブル47の一例を示す図である。料金体系管理テーブル47は、対象とする設計図書に対する作業内容に適用する料金を特定する情報であり、図書種別ID471、作業内容ID472及び適用料金473を含む。図書種別ID471は、図8に示す図書種別管理テーブル45の図書種別ID451に対応し、作業内容ID472は、図9に示す作業内容情報管理テーブル46の作業内容ID461に対応する。なお、適用料金473に示す各料金は、説明のための単なる例示であり、仲介者は必要に応じて適宜設定することができる。
図11は、図書情報管理テーブル48の一例を示す図である。図書情報管理テーブル48は、設計図書毎に付与される識別情報(図書管理ID480)と設計図書の名称(図書名称486)とを対応付けた情報であり、設計図書に対する作業指示を受けた日を示す受付日487、提出の期日488を含んでもよい。また、データ489には、実際に作成された設計図書の電子情報(又はそのハイパーリンク)を格納してもよい。図書管理ID480は、適宜設定することができるが、例えば、図11に示しように、建築物ID481、依頼者ID482、設計士ID483、図書種別ID484、作業内容ID485の組合せによって特定できることが好ましい。ここで、建築物ID481は、図7に示す建築条件管理テーブル44の建築物ID441に対応し、依頼者ID482は、図4に示す依頼者情報41の依頼者ID411に対応し、設計士ID483は、図5に示す設計士情報42の設計士ID421に対応し、図書種別ID484は、図8に示す図書種別管理テーブル45の図書種別ID451に対応し、作業内容ID485は、図9に示す作業内容管理テーブル46の作業内容ID461に対応する。
図12は、過去事例管理テーブル49の一例を示す図である。過去事例管理テーブル49は、過去に作成された設計図書と、その設計図書に反映されている建築条件とを対応付けた情報であり、図書管理ID491、図書名称492、作成日493、建築条件494を含み、実際に作成された設計図書(又はそのハイパーリンク)を格納するためのデータ495を含んでもよい。これにより、サーバ2は、過去の建築事例から、依頼者が指定した建築条件を満たす設計図面又は建築条件と相関のある設計図面を検索することができる。また、図書管理ID491は、図11に示した図書情報管理テーブル48と図12に示した過去事例管理テーブル49とを相互に参照可能なように、図11の図書管理ID480と対応付けてもよい。
なお、図4乃至図12に示した各種管理テーブルは、単なる一例であり、例示された構成及び内容に限定されない。各種管理テーブルにおいて適宜の項目を追加又は削除してもよいし、各種管理テーブルの間で一部の項目を入れ替えてもよい。また、複数の管理テーブルをまとめて一つの管理テーブルとしてもよく、例えば、図4に示した依頼者情報管理テーブル41及び図7に示した建築条件管理テーブル44に含まれる情報をまとめて一つの管理テーブルを構成してもよいし、図5に示した設計士情報管理テーブル42と図12に示した過去事例管理テーブル49に含まれる情報をまとめて一つの管理テーブルを構成してもよいし、図11に示した図書情報管理テーブル48と図12に示した過去事例管理テーブル49に含まれる情報をまとめて一つの管理テーブルを構成してもよい。
[基本設計図を提供する処理]
図13は、基本設計図を提供する処理の一例を示すフローチャートである。図14は、依頼者端末6に表示される依頼者情報等を入力するための入力画面61の一例であり、図15及び図16は、依頼者端末6に表示される建築条件等を入力するための建築条件入力画面62の一例である。以下、図13乃至図16に基づいて、基本設計図を提供する処理の一例について、図1乃至図12も併せて参照しながら説明する。以下の説明では、サーバ2の制御部3等が各種処理を実行する場合、簡単のため、単にサーバ2が処理を実行すると記載する。また、以下の説明は、基本設計図の提供であるが、基本設計図以外の設計図書を提供する場合にも適用できる。なお、図13には示さないが、システム1を利用しようとする設計士は、設計士端末7などを介して、自己の設計士情報をサーバ2に提供し、登録することが好ましい。例えば、仲介者が設計士情報を参照し、一定の要件を満たすと判断した場合、サーバ2は、提供された設計士情報を図5に示す設計士情報管理テーブル42に新たに登録し、設計士端末7に認証情報(例えば会員ID)を提供してもよい。
まず、基本設計図を提供する処理では、サーバ2は、依頼者情報を入力するための入力画面61及び建築条件を入力するための建築条件入力画面62を依頼者端末6に提供する(S1001)。図14に示す入力画面61は、「お名前」「ふりがな」「郵便番号」「住所1」、「住所2」、「連絡先」(電話番号)、「E−mail」という依頼者情報を入力する欄がある点において依頼者情報入力画面であるが、「敷地図」及び「案内図」という建築条件の一部を入力する欄がり、建築条件を入力可能という点では建築条件入力画面でもある。なお、依頼者情報入力画面と、建築条件入力画面とを別々に提供してもよい。
依頼者が、図14に例示した入力画面61を介して、依頼者情報に係る所要の項目(「お名前」「ふりがな」「郵便番号」「住所1」、「住所2」、「連絡先」(電話番号)、「E−mail」など)を入力すると、依頼者端末6は、かかる項目の内容を依頼者情報として取得し(S1002)、取得した依頼者情報をサーバ2に送信する(S1003)。サーバ2は、依頼者端末6から送信された依頼者情報を図4に示す依頼者情報管理テーブル41に新たに登録する(S1004)。ここで、サーバ2は、依頼者端末6にシステム1を利用するための認証情報(例えば会員ID)を提供し、以降、依頼者端末6は、認証情報に基づき、システム1を利用できるように構成してもよい。
さらに、依頼者は、図14に例示する入力画面61において、建築物の「敷地図」及び「案内図」の情報を入力する。敷地図は、建築物が建てられる敷地の大きさ、形状、方位などを含む情報である。案内図は、建築場所、隣接する道路の状況、幹線道路から経路などを含む情報である。敷地図及び案内図は、図7に示す建築条件管理テーブル44の基礎的要件443に対応する情報であり、各種法令に基づく制限を特定するために用いられる。システム1の利用について、現実的な建築物の設計に関するものに限定するため、具体的な敷地図及び案内図の入力を必須とし、敷地図及び案内図を入力しないと図15及び図16の入力画面62を表示しないように構成してもよい。次いで、依頼者が、図15及び図16に例示した建築条件入力画面62を介して、建築条件に係る所要の項目(「勝手口」「キッチン」「和室」「階段」・・・など)を入力すると、依頼者端末6は、かかる項目の内容を建築条件として取得し(S1005)、取得した建築条件をサーバ2に送信する(S1006)。サーバ2は、依頼者端末6から送信された建築条件を図7に示す建築条件管理テーブル44に新たに登録する(S1007)。
依頼者端末6から建築条件が送信された場合、サーバ2は、基本設計図の作成要求を受けたと判断し、図書情報を登録し、基本設計図を取得する。以下、図書情報を先に登録する処理を説明するが、先に基本設計図を取得してから図書情報を登録してもよい。例えば、S1008の図書情報を登録する前に、過去事例を検索したり(S1009)、基本設計図の作成要求を設計士端末7に送信し(S1013)、サーバ2が少なくとも一つの基本設計図を取得した段階(S1011又は1012)で図書情報管理テーブル48に新たに図書情報を登録してもよい。
サーバ2は、作成すべき基本設計図を管理するための図書情報を図11に示す図書情報管理テーブル48に新たに登録する(S1008)。具体的には、サーバ2は、建築条件管理テーブル44を参照し、建築物及び依頼者を特定するための建築物ID(例えば「001」)及び依頼者ID(例えば「101」)を図書情報管理テーブル48の建築物ID481及び依頼者ID482に格納し、図書種別管理テーブル45を参照し、対象の図書種別(例えば「基本設計図」)に対応する図書種別ID(例えば「A」)を図書情報管理テーブル48の図書種別ID484に格納し、さらに、作業内容管理テーブル46を参照し、対象の作業内容(例えば「初版作成」)に対応する作業内容ID(例えば「00」)を図書情報管理テーブル48の作業内容ID485に格納することができる。その他、サーバ2は、図書情報管理テーブル48の図書名称486に適当な内容を入力するとともに、受付日487及び期日488に日付の情報を入力してもよい。また、サーバ2は、図5に示す設計士情報管理テーブル42を参照し、基本設計図の作成を担当する予定の設計士の設計士ID(例えば、「201」「202」「203」)を図書情報管理テーブル48の設計士ID483に順次格納してもよいし、基本設計図が登録された後、設計した設計士の設計者ID(例えば「201」)を図書情報管理テーブル48の設計士ID483に格納してもよい。さらに、基本設計図が登録された後、図書情報管理テーブル48のデータ489には作成された実際の基本設計図が格納され、登録日490には基本設計図が登録された日付(又は基本設計図が作成された日付)が格納される。サーバ2は、図書情報管理テーブル48において、複数の基本設計図の取得が予定される場合、例えば、基本設計図の作成を担当する予定の設計士が複数存在する場合は、その数に応じて複数の行数分を設定することができる。
また、本発明のシステム1では、依頼者による要求の都度、設計士が新たに基本設計図を作成するだけでなく、過去に作成された建築事例を検索し、適応する建築事例を抽出し、建築事例の一部を依頼者端末に提供してもよいし、関連する建築事例を基本設計図のドラフトとして設計士に提供してもよい。この場合、当該過去の建築事例を設計した設計士がすでにシステム1に登録されていない場合は、図書管理ID480の設計士ID483の欄は空白としてもよいし、過去に登録されていた際の設計士IDを入力してもよい。
過去に作成された建築事例を採用する場合、サーバ2は、過去事例管理テーブル49の建築条件494を検索し(S1009)、依頼者が要求する建築条件(図7の建築条件管理テーブル44参照)を満たす建築事例又はかかる建築条件との相関が高い建築事例が存在するか否か判定する(S1010)。かかる判定において、サーバ2は、依頼者の建築条件のうち重要度の高い項目を優先して過去の建築事例との当否を判定することが好ましい。これにより、サーバ2は、依頼者の建築条件に沿った過去の建築事例を短時間で抽出することができる。また、建築条件の基礎的要件として建築物の敷地図が含まれている場合、サーバ2は、当該敷地図から読み取れる敷地面積及び敷地形状に基づいて、画像検索によって類似の建築物の基本設計図を抽出してもよい。
過去の建築事例の判定処理(S1010)において、建築条件を満たす建築事例又は建築条件との相関が高い建築事例が存在すると判定された場合(S1010のYes)、サーバ2は、抽出された過去の建築事例における基本設計図を取得し、必要に応じて、管理端末5などに基本設計図の修正を要求してもよい(S1011)。サーバ2は、図11に示す図書情報管理テーブル48の対象行において、データ489に修正された基本設計図を登録するとともに、登録日490に登録の日付を格納し、図書情報管理テーブル48を更新する(S1012)。図書管理ID480において空欄となっていた設計士ID483に当該過去の基本設計図を作成した設計士の識別情報を格納してもよい。
一方、過去の建築事例の判定処理(S1010)において、建築条件を満たす建築事例又は建築条件との相関が高い建築事例が存在しないと判定された場合(S1010のNo)、サーバ2は、図5に示す設計士管理テーブル42を参照して、基本設計図の作成要求を少なくとも一つ以上の設計士端末7に提供する(S1013)。ただし、S1010でYesの場合でも、別途、設計士端末7に基本設計図の作成要求を提供してもよい。
基本設計図の作成要求は単に基本設計図の作成依頼があることを通知するだけでもよいし、建築条件等を含んだ情報を通知してもよい。サーバ2は、登録されている全ての設計士端末7に基本設計図の作成要求を提供してもよいし、一部の抽出した設計士にのみ提供してもよい。設計士の抽出は、サーバが対象とする建築条件と設計士情報との対応を参照して選定してもよいし、仲介者が作業内容、所要時間、作業割り当てなどを考慮して適当に選定してもよいし、依頼者がWeb上に公開される設計士のプロフィールなどを参考して選定してもよい。例えば、サーバ2は、設計士情報管理テーブル42を参照して、過去事例425又はPR427から対象とする建築条件を得意とする設計士を抽出したり、資格428から対象とする建築条件を設計可能な資格の設計士を抽出することができる。
少なくとも一つ以上の設計士端末7などを介して担当の設計士が基本設計図を作成し(S1014)、少なくとも一つ以上の設計士端末7から基本設計図がサーバ2に送信されると(S1015)、サーバ2は、図11に示す図書情報管理テーブル48の対象行におけるデータ489に、送信された基本設計図を登録するとともに、登録日490に登録の日付を格納し、図書情報管理テーブル48を更新する(S1012)。その後、サーバ2は、登録済みの基本設計図に係る情報を図12に示す過去事例管理テーブル49に格納してもよい。次いで、サーバ2は、基本設計図を依頼者端末6に送信するか、又は、依頼者端末6において基本設計図を表示可能に提供する(S1016)。
依頼者端末6に基本設計図が提供された後、依頼者の要望により、サーバ2は、依頼者端末6と第三者端末8との間で、提供された基本設計図についての適否を検討するための意見交換の場を提供する処理を実行してもよい(S1100)。意見交換の場を提供する処理については、後述する図17を用いて説明する。
次いで、基本設計図について依頼者からの修正要求がある場合、依頼者端末6は、依頼者によって入力された修正要求を取得し(S1020)、かかる修正要求をサーバ2に送信する(S1021)。
サーバ2は、依頼者端末6からの修正要求を受けると、修正予定の基本設計図を管理するための図書情報を図11に示す図書情報管理テーブル48に登録する(S1022)。具体的には、サーバ2は、対象とする基本設計図の図書管理IDの一部を変更(例えば、末尾の作業内容IDの初版作成を示す「00」を、1回目修正を示す「01」に変更)し、かかる図書管理IDを図書情報管理テーブル48に格納し、その他の管理事項(図書名称、受付日、期日など)を設定してもよい。
次いで、サーバ2は、例えば、対象の基本設計図を特定する図書管理IDに含まれる設計士IDに基づいて、基本設計図の修正要求を担当の設計士の設計士端末7に送信する(S1023)。設計士端末7などを介して担当の設計士が基本設計図を修正し(S1024)、設計士端末7から修正された基本設計図がサーバ2に送信されると(S1025)、サーバ2は、図11に示す図書情報管理テーブル48における対象行のデータ489に、送信された基本設計図を登録するとともに、登録日490に登録の日付を格納し、図書情報管理テーブル48を更新する(S1026)。
最後に、サーバ2は、修正された基本設計図を依頼者端末6に送信するか、又は、修正された基本設計図を依頼者端末6において表示可能に提供する(S1027)。基本設計図について依頼者からの2回目以降の修正要望がある場合、S1020からS1027の処理を繰り返す。
なお、図13に示した基本設計図を提供する処理は、単なる一例であって、種々変更が可能である。例えば、依頼者情報と建築条件とが一連の操作で入力される場合、S1002とS1005の処理をまとめて実行した後、S1003とS1006の処理をまとめて実行してもよい。また、図13では、S1013の基本設計図の作成要求は設計士端末7に送信されているが、仲介者自身も設計士である場合、基本設計図の作成要求を設計士端末7として機能する管理端末5に送信してもよい。また、図13では、S1023の基本設計図の修正要求は、当該基本設計図の作成を担当した設計士の設計士端末7に送信されているが、当該基本設計図の作成を担当した設計士以外の設計士端末7に送信されてもよいし、管理端末5に送信されてもよい。また、説明のため、S1014及びS1024の基本設計図の作成及び修正の作業は、設計士端末7において実施されているが、これに限定されない。担当の設計士は、図示された設計士端末7とは別の適宜の計算機システムを利用して基本設計図の作成及び修正の作業を実施してもよい。
加えて、本発明では、サーバ2の制御部3が実行する各種処理のうち、無料サービスに係る処理については第1のサービス提供部31が、有料サービスに係る処理については第2のサービス提供部32が実行するように構成してもよい。図13に示す処理を例にすれば、例えば、S1001からS1016までの処理は第1のサービス提供部31が、S1020以降の処理は第2のサービス提供部32が実行するように構成してもよい。また、S1100の意見交換の場を提供する処理については、第1のサービス提供部31が実行してもよいし、第2のサービス提供部32が実行してもよい。サーバ2は、図10に示す料金体系管理テーブル47に基づいて、提供される設計図書毎に適用される料金をあらかじめ依頼者端末6に提示することが好ましい。これにより、依頼者は、予算に応じて、所望の設計図書を取得することができる。
[意見交換の場を提供する処理]
図17は、意見交換の場を提供する処理の一例を示すフローチャートである。サーバ2は、依頼者端末6から意見交換の場の開催を要求(例えば、Web上に表示される所定の操作ボタンのクリックなど)を受けると(S1101)、依頼者情報と依頼者が取得した基本設計図についての意見を入力できる意見入力画面を依頼者端末6に提供する(S1102)。
図18は、設計図書についての意見入力画面63の一例を示す図である。図18に示す例では、依頼者の氏名である「おなまえ」、連絡先の「Eメールアドレス」、意見の「タイトル」、意見の内容を示す「コメント」、参照となるウェブサイトやホームページの「参照URL」を入力する欄があり、依頼者が選択した少なくとも一つの設計図書を送信するための「添付File」を送信するための「ファイル選択」という操作ボタンが設けられている。なお、図18に示した入力画面63は、単なる例示であり、これに限定されない。例えば、依頼者がシステム1を利用する際に入力した認証情報に基づいて、所要の依頼者情報を自動的に入力してもよいし、対象の設計図書を特定するための図書管理IDを入力してもよい。また、複数の設計図書を比較検討するために、複数の設計図書を送信可能に構成してもよい。
次いで、図17のS1103では、依頼者が入力画面63に入力した所要の質問事項等を入力すると、依頼者端末6は、かかる質問事項等を取得し(S1103)、意見交換の場に公開する設計図書とともに、かかる質問事項等をサーバ2に提供する(S1104)。サーバ2は、意見交換の場を作成し、取得した質問事項等及び特定された基本設計図を意見交換画面に公開する(S1105)。
図19は、意見交換の場に公開される内容(意見交換画面)の一例を示す図であり、S1105の処理の後は、依頼者からの質問内容と基本設計図が公開される(図19の上段部分参照)。また、図17のS1106では、サーバ2は、第三者に対して依頼者からの質問内容についての意見を入力するための入力画面を提供する。所定の入力画面は、図18に示す入力画面63と同様の構成としてもよいし、図19に示す依頼者の意見内容の下に回答を入力可能な欄を設けてもよいし、図19の意見交換画面にコメントボタンを設け、コメントボタンから別途コメントを入力する画面を表示してもよい。第三者の意見には、無責任な発言やいたずらを防止するため、第三者を特定できる名称(ハンドルネーム等を含む)を併せて表示することが好ましい。なお、第三者は、対象とする基本設計図の作成を担当した設計士を含んでもよいし、それ以外の設計士を含んでもよいし、仲介者を含んでもよい。
次いで、第三者が所定の入力画面に従って所要の回答事項等を入力すると、第三者端末8は、回答事項等を取得し(S1107)、かかる回答事項等をサーバ2に送信する(S1108)。サーバ2は、回答事項等を取得すると、意見交換画面を更新し(S1109)、回答事項等を意見交換の場に公開する(図19の中段参照)。サーバ2は、以降、複数の第三者端末8から複数の回答事項等を取得すると、その都度、同一の質問事項に関連した投稿の集まりに、回答事項を順次追加していくことができる(図19の下段参照)。
なお、図17に示した意見交換の場を提供する処理は、単なる一例であって、種々変更が可能である。例えば、依頼者は、入力画面において対象とする基本設計図を添付するのではなく、基本設計図の図書管理IDを入力し、サーバ2は、かかる図書管理IDに基づいて意見交換の場に公開する基本設計図を特定することもできる。また、基本設計図(住宅の間取り図)において、家具、照明、空調機器などの配置を記載することもでき、この場合、依頼者は、家具、照明、空調機器などの配置について第三者にコメントを求めてよい。また、依頼者からの質問に回答した第三者には、適当な報酬(各種ポイント、電子マネー、各種サービスの優待情報など)を付与してもよい。さらに、サーバは、回答した第三者を評価する画面を依頼者端末に提供し、依頼者が入力した第三者に対する評価を当該第三者に関連付けて公開するように構成すると、第三者の信頼性を確認できるので好ましい。また、かかる評価に応じて報酬を変化させてもよい。これらにより、第三者にとって意見交換の場に参加する動機が生じ、質の高い意見交換を実現することができる。
[実施設計図を提供する処理]
図20は、実施設計図を提供する処理の一例を示すフローチャートである。まず、実施設計図を提供する処理では、サーバ2は、先に提供された複数の基本設計図のうち特定の基本設計図を依頼者に選択させるための適宜の入力画面を依頼者端末6に提供する(S1201)。
依頼者が、かかる入力画面を介して、特定の基本設計図を選択すると、依頼者端末6は、選択された基本設計図に付与された図書管理IDを取得し(S1202)、取得した図書管理IDをサーバ2に送信する(S1203)。依頼者端末6から基本設計書の図書管理IDが送信された場合、サーバ2は、実施設計図の作成要求を受けたと判断し、作成すべき実施設計図を管理するための図書情報を図11に示す図書情報管理テーブル48に新たに登録する(S1205)。
具体的には、サーバ2は、図書種別管理テーブル45から対象の図書種別(「実施設計図」)に対応する図書種別ID(「B」)と、作業内容管理テーブル46から対象の作業内容(「初版作成」)に対応する作業内容ID(「00」)を取得し、取得した図書管理IDにおける図書種別IDと作業内容IDの項目を変更し、実施設計図の初版を示すものとして変更された図書管理IDを図書情報管理テーブル48に追加してもよい。サーバ2は、図書情報管理テーブル48にその他の管理事項(図書名称、受付日、期日など)を設定してもよい。
さらに、サーバ2は、取得した図書管理IDに含まれる設計士IDを参照して、元の基本設計図を作成した担当の設計士の設計士端末7を特定し、実施設計図の作成要求を設計士端末7に送信する(S1206)。その後、設計士端末7などを介して担当の設計士が実施設計図を作成し(S1207)、設計士端末7から実施設計図がサーバ2に送信されると(S1208)、サーバ2は、図11に示す図書情報管理テーブル48の対象行におけるデータ489に、送信された実施設計図を登録するとともに、登録日490に登録の日付を格納し、図書情報管理テーブル48を更新する(S1209)。その後、サーバ2は、登録済みの実施設計図に係る情報を図12に示す過去事例管理テーブル49に格納してもよい。次いで、サーバ2は、実施設計図を依頼者端末6に送信するか、又は、依頼者端末6において実施設計図を表示可能に提供する(S1210)。
実施設計図について依頼者からの修正要求がある場合、依頼者端末6は、依頼者によって入力された修正要求を取得し(S1211)、かかる修正要求をサーバ2に送信する(S1212)。サーバ2は、依頼者端末6に実施設計図が提供された後、必要に応じて、依頼者端末6と第三者端末8との間で、提供された実施設計図についての適否を検討するための意見交換の場を提供する処理を実行してもよい(図17参照)。
サーバ2は、依頼者端末6からの修正要求を受けると、修正予定の実施設計図を管理するための図書情報を図11に示す図書情報管理テーブル48に登録する(S1213)。具体的には、サーバ2は、対象とする実施設計図の図書管理IDの一部を変更(例えば、末尾作業内容IDの初版作成を示す「00」を、1回目修正を示す「01」に変更)し、かかる図書管理IDを図書情報管理テーブル48に格納し、その他の管理事項(図書名称、受付日、期日など)を設定してもよい。
そして、サーバ2は、例えば、対象の実施設計図を特定する図書管理IDに含まれる設計士IDに基づいて、実施設計図の修正要求を担当の設計士の設計士端末7に送信する(S1214)。設計士端末7などを介して担当の設計士が実施設計図を修正し(S1215)、設計士端末7から修正された実施設計図がサーバ2に送信されると(S1216)、サーバ2は、図11に示す図書情報管理テーブル48における対象行のデータ489に、送信された実施設計図を登録するとともに、登録日490に登録の日付を格納し、図書情報管理テーブル48を更新する(S1217)。
最後に、サーバ2は、修正された実施設計図を依頼者端末6に送信するか、又は、修正された実施設計図を依頼者端末6において表示可能に提供する(S1218)。実施設計図について依頼者からの2回目以降の修正要求がある場合、S1211からS1218の処理を繰り返す。
なお、図20に示した基本設計図を提供する処理は、単なる一例であって、種々変更が可能である。例えば、図20では、特定の基本設計図を選択するために依頼者端末6は図書管理IDを取得しているが、依頼者端末6が図書管理IDを取得しなくても、サーバ2が対象となる基本設計図を特定できればよい。図20では、S1206の実施設計図の作成要求は、元の基本設計図の作成を担当した設計士の設計士端末7に送信されているが、元の基本設計図の作成を担当した設計士以外の設計士端末7に送信されてもよいし、管理端末5に送信されてもよい。また、図20では、S1214の実施設計図の修正要求は、当該実施設計図の作成を担当した設計士の設計士端末7に送信されているが、管理端末5に送信されてもよい。
また、無料サービスに係る処理を実行する第1のサービス提供部31と有料サービスに係る処理を実行する第2のサービス提供部32とを構成した場合、図20に示す処理は、第2のサービス提供部32が実行するように構成することが好ましい。ただし、これに限定されず、図20に示す処理の一部、例えば、実施設図の修正に係る処理(S1211以降)は、第1のサービス提供部31が実行するように構成してもよい。
[費用見積書を提供する処理]
図21は、費用見積書を提供する処理の一例を示すフローチャートである。まず、費用見積書を提供する処理では、サーバ2は、算出の基礎となる実施設計図を依頼者に選択させるための適宜の入力画面を依頼者端末6に提供する(S1301)。
依頼者が、かかる入力画面を介して、特定の実施設計図を選択すると、依頼者端末6は、選択された実施設計図に付与された図書管理IDを取得し(S1302)、取得した図書管理IDをサーバ2に送信する(S1303)。依頼者端末6から実施設計書の図書管理IDが送信された場合、サーバ2は、費用見積書の作成要求を受けたと判断し、作成すべき費用見積書を管理するための図書情報を図11に示す図書情報管理テーブル48に新たに登録する(S1305)。
具体的には、サーバ2は、図書種別管理テーブル45から対象の図書種別(「費用見積書」)に対応する図書種別ID(「C」)と、作業内容管理テーブル46から対象の作業内容(「初版作成」)に対応する作業内容ID(「00」)を取得し、取得した図書管理IDにおける図書種別IDと作業内容IDの項目を変更し、費用見積書の初版を示すものとして変更された図書管理IDを図書情報管理テーブル48に追加してもよい。サーバ2は、図書情報管理テーブル48にその他の管理事項(図書名称、受付日、期日など)を設定してもよい。
そして、サーバ2は、取得した図書管理IDに含まれる設計士IDを参照して、元の実施設計図を作成した担当の設計士の設計士端末7を特定し、費用見積書の作成要求を設計士端末7に送信する(S1306)。
設計士端末7などを介して担当の設計士が費用見積書を作成し(S1307)、設計士端末7から費用見積書がサーバ2に送信されると(S1308)、サーバ2は、図11に示す図書情報管理テーブル48の対象行におけるデータ489に、送信された費用見積書を登録するとともに、登録日490に登録の日付を格納し、図書情報管理テーブル48を更新する(S1309)。次いで、サーバ2は、費用見積書を依頼者端末6に送信するか、又は、依頼者端末6において実施設計図を表示可能に提供する(S1310)。
費用見積書について依頼者からの問い合わせ事項等がある場合、依頼者端末6は、依頼者によって入力された問い合わせ事項等を取得し、かかる問い合わせ事項等をサーバ2に送信してもよい。サーバ2は、依頼者端末6に費用見積書が提供された後、必要に応じて、依頼者端末6と第三者端末8との間で、提供された費用見積書についての適否を検討するための意見交換の場を提供する処理を実行してもよい(図17参照)。
また、サーバ2は、費用見積書について修正が生じる場合、例えば、図20に示すS1211からS1218に示す処理と同様に、費用見積書の修正処理を実行することができる。
なお、図21に示した費用見積書を提供する処理は、単なる一例であって、種々変更が可能である。例えば、図21では、特定の実施設計図を選択するために依頼者端末6は図書管理IDを取得しているが、依頼者端末6が図書管理IDを取得しなくても、サーバ2が見積対象となる実施設計図を特定できればよい。また、図21では、S1306の費用見積書の作成要求は、対象の実施設計図の作成を担当した設計士の設計士端末7に送信されているが、対象の実施設計図の作成を担当した設計士以外の設計士端末7に送信されてもよいし、管理端末5に送信されてもよい。また、図21では、費用見積書の作成は、設計士端末7において実施されているが、適当な外部システムが提供するサービスを利用して、設計士又は仲介者が費用見積書を作成してもよい。また、図20に示した実施設計図を提供する処理と図21に示した費用見積書を提供する処理とをまとめて実行するように構成してもよい。
また、無料サービスに係る処理を実行する第1のサービス提供部31と有料サービスに係る処理を実行する第2のサービス提供部32とを構成した場合、図21に示す処理は、第2のサービス提供部32が実行するように構成することが好ましい。ただし、例えば、費用見積書の修正が生じた場合、費用見積書の修正に係る処理は、第1のサービス提供部31が実行するように構成してもよい。
[建築業者を紹介する処理]
図22は、建築業者を紹介する処理の一例を示すフローチャートである。まず、建築業者を紹介する処理では、サーバ2は、建築業者の紹介を要求する旨を入力するための適宜の入力画面を依頼者端末6に提供する(S1401)。
依頼者が、かかる入力画面を介して、建築業者の紹介を要求する旨を入力し、依頼者が特定の実施設計図及び費用見積書を選択すると、依頼者端末6は、選択された実施設計図及び費用見積書に付与された図書管理IDを取得し(S1402)、取得した図書管理IDをサーバ2に送信する(S1403)。依頼者端末6から実施設計書及び費用見積書の図書管理IDが送信された場合、サーバ2は、建築業者の紹介の要求を受けたと判断し、図6に示す建築業者情報管理テーブル43を検索する(S1405)。この場合、サーバ2は、建築業者情報管理テーブル43の対応可能地域などを参照して、依頼者の建築予定地の条件に対応した建築業者IDを抽出することが好ましい。また、仲介者又は依頼者が過去事例及びPRなどを参照して適宜の建築業者を選択してもよい。
次いで、サーバ2は、特定された少なくとも一つ以上の建築業者IDを参照して、対象の実施設計図及び費用見積書を少なくとも一つ以上の建築業者端末9に送信する(S1406)。
建築業者が送信された実施設計図及び費用見積書を検討して、建築物の工事の請負の可否を決定すると、建築業者端末9は、請負の可否を取得し(S1407)、回答としてサーバ2に送信する(S1408)。
次いで、サーバ2は、回答に基づいて、建築物の工事を請負う意思のある建築業者を取得すると(S1409)、建築業者情報とともに建築業者の候補を依頼者端末6に通知する(S1410)。建築業者の候補が複数存在する場合は、依頼者が建築物の工事を依頼する一つの建築業者を特定した後、依頼者端末6は、最終決定された建築業者をサーバ2に通知し、サーバ2は、建築物の工事を受注した旨を対象の建築業者端末9に通知してもよい。これにより、依頼者と建築業者との間で建築物の工事についての契約が進められる。
なお、図22に示した建築業者を紹介する処理は、単なる一例であって、種々変更が可能である。図22では、特定の実施設計図等を選択するために依頼者端末6は図書管理IDを取得しているが、依頼者端末6が図書管理IDを取得しなくても、サーバ2が対象となる実施設計図等を特定できればよい。また、例えば、サーバ2は、建築業者の紹介の要求を受けた場合、実施設計書及び費用見積書を条件として、建築業者に対して入札形式や逆オークション形式で入力画面を提供し、複数の建築業者から最も条件の良い建築業者を選択して依頼者に紹介してもよい。また、無料サービスに係る処理を実行する第1のサービス提供部31と有料サービスに係る処理を実行する第2のサービス提供部32とを構成した場合、図22に示す処理は、第1のサービス提供部31が実行するように構成してもよいし、第2のサービス提供部32が実行するように構成してもよい。