JP2018031811A - 2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置 - Google Patents

2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで有用な中赤外の赤外線が高出力に得られる2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置を提供する。【解決手段】波長1.0642μmでレーザー発振するNd:YAGレーザーとされた励起光源12が発生する励起光pをHg1-xCdxGa2S4結晶の非線形光学素子18に入力鏡16を介して入射する。非線形光学素子18でシグナル光sと8〜9.4μmの波長のアイドラー光iが出力される。非線形光学素子18を透過した励起光pを出力鏡20が反射して非線形光学素子18に戻すことでダブルパスとなり、再度シグナル光sとアイドラー光iが出力される。【選択図】図1

Description

本発明は、2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振によりコヒーレントな赤外線を発振する2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置に関し、特に8〜9.4μmの波長範囲の2本の赤外線(アイドラー)を同時に発振するのに好適なものである。
従来、非線形光学論系に基づいたものとして、非線形光学素子の結晶にコヒーレントな励起光を入力することにより、相互に異なる2つの波長のコヒーレント光を出力光として出力せしめる光パラメトリック発振器が知られている。一般に、この光パラメトリック発振器は、励起光源の他、非線形光学素子とその両側に配置された一対の反射鏡とにより概略構成されている。なお、これら出力光である2つのコヒーレント光は、シグナル光とアイドラー光と呼ばれていて、上記励起光とシグナル光とアイドラー光との間には、次の数1、数2に示す式の関係が成り立っている。
(数1)
1/λs+1/λi=1/λp
(数2)
ns/λs+ni/λi=np/λp
但し、λpは励起光の波長、λsはシグナル光の波長、λiはアイドラー光の波長、また、非線形光学素子に関し、npは励起光の屈折率、nsはシグナル光の屈折率、niはアイドラー光の屈折率である。
かかる光パラメトリック発振器を有した構成のレーザー発振装置においては、例えば励起光源として1.0642μmの波長でレーザー発振するNd:YAG(Nd3+:Y3Al515)レーザーを用い、非線形光学素子としてAgGaS2(AGS)結晶を用いて構成されたものが知られている。
近年、車載用レーザー・レーダーの光源として活用したり、或いは大気中のCH4、SO2、CO等の有毒ガスの検出用としたりできるので、大気の窓(Atmospheric window)に相当する8〜10μmの波長範囲でブロードバンド(半値幅が500nm程度まで)かつコヒーレントな赤外線の活用が考えられている。これに伴い、簡単な構造で小形化が可能な装置であると共にこの波長範囲の赤外線を高出力で発生するものが、必要とされていた。
特開平11−95271公報 特開2003−280055公報 特開2008−40293公報
しかし、例えば一般的なNd:YAGレーザーで励起し、波長8〜10μmの赤外線をアイドラー光として発生せしめる従来のレーザー発振装置には、単一パス(シングルパス)光パラメトリック発振器や二重パス(ダブルパス)光パラメトリック発振器を用いたものが考えられるが、仮に高出力が可能な非線形光学素子が得られたとしても、以下に述べる問題を有していた。
即ち、単一パス光パラメトリック発振器においては、励起光が非線形光学素子を一度励起するだけであるため、アイドラー光とされる8〜10μmの赤外線への変換効率が低い欠点を有していた。
また、二重パス光パラメトリック発振器においては、一方の反射鏡である入力鏡を励起光の波長(1.0642μm)において90〜99%の高い透過率を有すると共にシグナル光(1.2〜1.22μm)での反射率を高くしただけでは、8〜10μmの波長のアイドラー光での高出力を得ることができない。つまり、アイドラー光での高出力を得るためには、100MW/cm2を超える高出力に耐えうるようなダメージ閾値の高い入力鏡を採用する必要があった。
しかし、従来から用いられていた反射鏡であってアイドラー光及びシグナル光でほぼ100%の反射率を有するものとしては、金や銀等の金属製のものが存在するものの、使用により劣化する欠点があり、実質的に採用することができなかった。このため、上記のようにダメージ閾値の高い反射鏡を製造することも極めて困難であり、製造コストが増大する欠点も挙げられていた。
これに対して、パラメトリック発振器を用いたものとして、上記特許文献1〜3があげられる。例えば、特許文献1には、シグナル光とアイドラー光の波長が等しい縮退点付近における励起光からシグナル光とアイドラー光に変換されるエネルギーの比率を1/4波長板により向上させる構造のものが開示されている。また、特許文献2には、光パラメトリック発振器を用いてコヒーレントな安定した出力を発生せしめるものが開示されている。同じく、特許文献3には、波長変換素子本体に入射する被変換光の入射角を変え、波長変換素子本体に入射した光を波長変換素子本体の側面で反射させて、波長変換素子本体内をジグザグに進行させるものが開示されている。
しかしながら、これら特許文献1〜3においても、低コストで8〜10μmの波長とされる有用な中赤外の赤外線を高出力に得られるものは存在していなかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、低コストで有用な中赤外の赤外線が高出力に得られる2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決した請求項1記載の発明は、レーザー光を発生する励起光源と、
レーザー光が入射されて、レーザー光より波長が長く且つ相互に異なる2種類の波長のコヒーレントな赤外線を出力する非線形光学素子と、
励起光源と非線形光学素子との間に配置され、レーザー光を透過すると共に少なくともより波長が長いコヒーレントな赤外線を反射する入力鏡と、
非線形光学素子を挟んで入力鏡と逆側に配置され、該レーザー光を反射すると共に少なくともより波長が長いコヒーレントな赤外線を透過する出力鏡と、
を含む2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置である。
請求項1に係る2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置によれば、励起光源より発生されたレーザー光である励起光が入力鏡を透過して非線形光学素子に入射され、この非線形光学素子がレーザー光より波長が長く且つ相互に異なる2種類の波長のコヒーレントな赤外線であるシグナル光とアイドラー光を光パラメトリック発振して出力する。
また、励起光源と非線形光学素子との間にこの入力鏡が配置されているが、非線形光学素子を挟んで入力鏡と逆側には出力鏡が配置されている。コヒーレントな赤外線の内の少なくともより波長が長い赤外線であるアイドラー光はこの出力鏡を透過するものの、レーザー光はこの出力鏡で非線形光学素子に向かって反射する。
このため、非線形光学素子では出力鏡で反射されて戻ってきたレーザー光によって、レーザー光より波長が長く且つ相互に異なる2種類の波長のコヒーレントな赤外線を同様に出力する。つまり、本請求項では、シグナル光とアイドラー光が二重に非線形光学素子から発生する二重パス光パラメトリック発振となって、少なくとも高出力なアイドラー光を得ることが可能となる。
そして、出力鏡で反射されたレーザー光によって非線形光学素子にて出力されたこれら2種類の波長のコヒーレントな赤外線に関しても、少なくともより波長が長いコヒーレントな赤外線であるアイドラー光を入力鏡が反射するので、このアイドラー光が非線形光学素子を通過して、前述のアイドラー光と同様に出力鏡を透過する。
以上より、本請求項の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置によれば、励起光源、入力鏡、出力鏡等を有するだけの簡素な構造により、非線形光学素子にて二重パス光パラメトリック発振となるのに伴って単一パス光パラメトッリ発振器の約2倍の出力となることで、有用な中赤外の赤外線を高出力且つ低コストで得られるようになる。
請求項2の発明は、励起光源をNd:YAGレーザーとすると共に、非線形光学素子をHg1-xCdxGa24結晶とする請求項1記載の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置である。
従って、本請求項によれば、励起光源をNd:YAGレーザーとしたことで、1.0642μmの波長のレーザー光を出力でき、また、非線形光学素子をHg1-xCdxGa24結晶としたことで、1.2〜1.22μmの波長のシグナル光と8〜9.4μmの波長のアイドラー光をパラメトリック発振することができる。これに伴って高出力のシグナル光と高出力で有用な8〜9.4μmの中赤外の赤外線であるアイドラー光を低コストに得ることができる。
請求項3の発明は、入力鏡をFused silica製とすると共に、出力鏡をZnSe製とする請求項1または請求項2記載の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置である。
従って、本請求項によれば、入力鏡や出力鏡が金や銀等の金属製のものと異なって製造コストが増大することが無いだけでなく、使用による劣化もし難くなる結果、ダメージ閾値が高くなる。
請求項4の発明は、非線形光学素子を加熱するヒータと、
非線形光学素子の温度を計測する温度計と、
温度計の計測値に基づきヒータの加熱量を制御して非線形光学素子を所定の温度範囲に維持する制御手段と、
を含む請求項1から請求項3の何れかに記載の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置である。
従って、本請求項によれば、非線形光学素子を予め定められた所定の温度範囲に維持できるので、非線形光学素子を温度チューニング可能となり、狙いの波長のシグナル光とアイドラー光をこの非線形光学素子にてパラメトリック発振することが可能となる。
請求項5の発明は、励起光源と入力鏡との間に、非線形光学素子から戻ってきたレーザー光を排除して励起光源に入力しないようにするアイソレーターが配置される請求項1から請求項4の何れかに記載の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置である。
従って、本請求項によれば、二重パス光パラメトリック発振により励起光源側に戻るレーザー光をアイソレーターが排除することで、励起光源にレーザー光が入力しないようになる結果として、装置の耐久性も高くなる。
本発明によれば、低コストで有用な中赤外の赤外線が高出力に得られる2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置が提供されるという優れた効果を奏する。
本発明の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置の実施形態を示す概略図である。 本発明に適用されるHg1-xCdxGa24結晶の温度チューニングに基づくシグナル光とアイドラー光の出力特性を示すグラフを表す図である。
本発明に係る2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置の一実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置10は、波長1.0642μmでレーザー発振して励起光pを発生する励起光源12を有している。尚、本実施形態では、励起光源12として平均出力2.4W(1パルス当たり出力80mJ、パルス幅5ns)のNd:YAGレーザーが採用されている。この基本光源である励起光源12の図1における右隣とされる励起光pの光路である光軸L上の位置には、励起光源12が発生するレーザー光である励起光pが少なくとも図1の左側から右側へは通過し得るビームスプリッタであるアイソレーター14が配置されている。
そして、このアイソレーター14の光軸L上における図1の右隣には、石英ガラスや融解石英等であるFused silica製の入力鏡16が位置しており、この入力鏡16の右側端面には誘電体多層膜16Aがコートされている。この誘電体多層膜16Aの1.0642μmの波長における透過率Tは約98%とされ、また、1.20〜1.22μmの波長範囲だけでなく、1.20〜1.35μmの波長範囲においても反射率Rは約98%とされていて、この入力鏡16としても同様の透過率と反射率を有することになる。
尚、この入力鏡16は中赤外の赤外線である8〜9.4μmの波長においても高反射率とすることが考えられる。したがって、この入力鏡16は、1.0642μmの波長の励起光pを透過し、予め定められた1.2〜1.22μmの波長および8〜9.4μmの波長の赤外線を反射できることになる。
この入力鏡16に対し光軸L上において右側に隣り合った位置には、Hg1-xCdxGa24結晶(但し、x=0.60〜0.65とする)により形成された例えば長さ8mmの非線形光学素子18が配置されている。本実施形態に適用されるこのHg1-xCdxGa24結晶はBridgman-Stockbarger法により育成されたものであり、可視光及び赤外線の透過範囲としては0.47〜13μmとされている。また、このHg1-xCdxGa24結晶のカット角としては、θ=90°、φ=45°(但し、θ、φは極座標であり、それぞれz(=c)軸およびx(=a)軸からの角度)とされている。尚、上記xを0.60〜0.65の範囲としたのは、0.60未満ではアイドラー光iの波長λiが所定の値より短くなって実質的に使用することが出来ず、また、0.65を越えると位相整合しないためである。
さらに、本実施形態においては、入力鏡16を透過した波長1.0642μmの励起光pがこの非線形光学素子18に入射された場合、この励起光pより波長が長く且つ相互に異なる2種類の波長のコヒーレントな赤外線とされるシグナル光sとアイドラー光iが出力される。ここで、本実施形態におけるシグナル光sは1.2〜1.22μmの波長とされ、アイドラー光iは8〜9.4μmの波長とされている。
この非線形光学素子18の両端面は光学研磨されているだけでなく、1.0642μm及び1.20〜1.30μmの波長において透過率Tを約98%と高くされた反射防止膜18Aがコートされている。但し、この反射防止膜18Aは1.35μmの波長まで透過率Tを約98%とすることが可能である。
他方、このHg1-xCdxGa24結晶は下記の点群に属する半導体であって、HgGa24結晶とCdGa24結晶の混合結晶(mixed crystal)である。
Figure 2018031811
そして、このHg1-xCdxGa24結晶の非線形光学定数は、従来から使われているAgGa24結晶の約2倍であり、HgGa24結晶およびCdGa24結晶とほぼ同じ(d36≒27〜28pm/V)であるが、1.0642μmの波長におけるダメージ閾値がHgGa24結晶とCdGa24結晶の中間に位置し、AgGaS2結晶の約3倍である。
なお、励起光源12であるNd:YAGレーザーからの励起光pによるこのHg1-xCdxGa24結晶の現在までに得られている変換効率は、アイドラー光iの波長が長いために約3%に限られている。但し、8〜9.4μmの波長における反射防止膜のコートが可能となれば、平均入力4W、30Hzでピーク出力200kW(平均出力240mW)の高出力が得られることになる。
この一方、この非線形光学素子18に対し光軸L上において右側に隣り合った位置には、ZnSe製の出力鏡20が配置されている。本実施形態では、励起光pをダブルパスとするため、この出力鏡20の入射側端面に1.0642μmの波長において反射率Rが約98%と高くされるだけでなく、1.2〜1.22μm波長範囲だけでなく、1.20〜1.35μmの波長範囲においても80〜90%程度の反射率Rを有する誘電体多層膜20Aがコートされている。また、この出力鏡20の出射側端面には、8〜12μmの波長における透過率Tが90〜98%程度の反射防止膜20Bがコートされている。
以上より、シグナル光sの一部とアイドラー光iの大部分は、図1に示すように出力鏡20を透過して出力される。また、レーザー光である励起光pの大部分は、出力鏡20の誘電体多層膜20Aにより反射して非線形光学素子18に戻ることで、この非線形光学素子18を往復 (Double pass) することになる。さらに、非線形光学素子18を逆方向に透過して位相整合しなかった励起光pは入力鏡16を透過し、アイソレーター14において図1の上方に反射して分離される。
そして、この非線形光学素子18を再度透過する際にシグナル光sとアイドラー光iが再度出力されるが、これら2種類の波長のコヒーレントな赤外線に関しても入力鏡16が反射して、非線形光学素子18に戻って通過し最終的に出力鏡20を透過する。
他方、この非線形光学素子18には、非線形光学素子18の温度を計測する温度計24が取り付けられており、また、非線形光学素子18の上下の位置には、非線形光学素子18を加熱するための一対のヒータ22が配置されている。これら一対のヒータ22および温度計24は、温度計24の計測値に基づきヒータ22の加熱量を制御する制御手段であるコントローラ26にそれぞれ接続されている。
このため、一対のヒータ22のオンオフをコントローラ26が制御することで、非線形光学素子18を予め定められた所定の温度範囲に維持して温度チューニングすることが出来る。例えばHg1-xCdxGa24結晶を20℃〜40℃の範囲で温度チューニングすることで、90°位相整合(z(=c)軸に直角θ=90°)を行って、波長可変で8〜9.4μmの中赤外の赤外線を2本同時に発生可能となる。
次に、本実施形態の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置10の作用を説明する。
本実施形態に係る2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置10によれば、Nd:YAGレーザーとされる励起光源12より発生されたレーザー光である励起光pが光軸Lに沿いつつアイソレーター14及び入力鏡16を透過してHg1-xCdxGa24結晶とされる非線形光学素子18に入射される。この非線形光学素子18が励起光pより波長が長く且つ相互に異なる4つの波長のコヒーレントな赤外線である2本のシグナル光sと2本のアイドラー光iを光パラメトリック発振して出力する。
また、励起光源12と非線形光学素子18との間にこの入力鏡16が配置されているが、非線形光学素子18を挟んで入力鏡16と逆側には出力鏡20が配置されている。そして、シグナル光sの一部及びアイドラー光iの大部分はこの出力鏡20を透過するものの、励起光pはこの出力鏡20により光軸Lに沿うように非線形光学素子18に向かって反射する。
このため、出力鏡20で反射されて戻ってきた励起光pによって、非線形光学素子18がシグナル光s及びアイドラー光iを同様に出力する。これら2種類の波長のコヒーレントな赤外線に関しても入力鏡16が反射するため、これらの赤外線が非線形光学素子18を通過し、前述のシグナル光s及びアイドラー光iと同様に出力鏡20を透過して出力される。
つまり、本実施形態では、2本のシグナル光sと2本のアイドラー光iが二重に非線形光学素子18から発生する二重パス光パラメトリック発振となって、少なくともアイドラー光iでの高出力を得ることが可能となる。これに伴って戻ってきた励起光pは非線形光学素子18を通過するが、この通過した励起光pを励起光源12と入力鏡16との間に配置されたアイソレーター14が図1の上方に排除するので、励起光源12に励起光pは入力しないようになる。
以上より、本実施形態の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置10によれば、非線形光学素子18にて二重パス光パラメトリック発振となるのに伴って単一パス光パラメトッリ発振器の約2倍の出力となる。さらに、本実施形態では、励起光源12、入力鏡16、出力鏡20等を有するだけの簡素で小形化可能な構造によるだけでなく、前述のようにこの励起光源12をNd:YAGレーザーとしたことで1.0642μmの波長の励起光pを出力でき、また、非線形光学素子18をHg1-xCdxGa24結晶としたことで1.2〜1.22μmの波長の2本のシグナル光sと8〜9.4μmの波長の2本のアイドラー光iを光パラメトリック発振できるようになる。このため、本実施形態では、車載用レーザー・レーダーの光源として活用したり、大気中のCH4、SO2、CO等の有毒ガスの検出用としたりできる有用な中赤外の赤外線を高出力且つ低コストで得られることになる。
さらにこれに伴って、本実施形態の入力鏡16をFused silica製とすると共に、出力鏡20をZnSe製としたことで、入力鏡16や出力鏡20が金や銀等の金属製のものと異なって製造コストが増大することが無いだけでなく、使用による劣化もし難くなる結果、ダメージ閾値も高くなる。
また、本実施形態では、非線形光学素子18に温度計24を設置すると共に非線形光学素子18の周囲に非線形光学素子18を加熱するヒータ22を配置し、この温度計24の計測値に基づきヒータ22の加熱量をコントローラ26により制御している。このことで、非線形光学素子18を予め定められた所定の温度範囲に維持できるため、非線形光学素子18を温度チューニングが可能となる。この結果として、狙いの波長のシグナル光sとアイドラー光iをこの非線形光学素子18にて光パラメトリック発振できることになる。
次に、本実施形態で用いられたHg1-xCdxGa24結晶の温度特性の実験結果について、図2のグラフにより具体的に説明する。
Nd:YAGレーザーにより1.0642μmの波長のレーザー光である励起光pを1cm3の大きさのHg1-xCdxGa24結晶に入射した場合において、結晶の温度を20℃から37℃の範囲で温度チューニングすることにより、8.24〜9.40μmの範囲で90°位相することが事前の調査により判明した。尚この実験に用いた結晶は、Hg1-xCdxGa24結晶におけるxを0.65とするので、Hg0.35Cd0.65Ga24結晶となる。
具体的には、図2に示すグラフに基づけば、結晶の温度を20℃から上昇するに従い、各測定点M1〜M5に示すようにシグナル光sの波長λsが1.2000μmから高まり、37℃程度まで結晶の温度を高めると、シグナル光sの波長λsが1.2087μmとなるばかりか、測定点M11〜M15に示すようにシグナル光sの波長λsが1.2220μmから1.2106μmとなった。この際、この結晶からシグナル光sと同時にアイドラー光iも発生する。下記表1に示す各測定点M1〜M5及びM11〜M15に合わせて、対応する波長λiの値のアイドラー光iが観測された。尚、グラフにおいて「シグナル波長」は波長λsを表し、「アイドラー波長」は波長λiを表す。
Figure 2018031811
また、今回の実験結果からアイドラー光iの波長λiが9.40μmでは波長幅(バンド幅)が約130nm、8.85μmでは約500nmにも達することが観測された。このため、バンド幅の広いアイドラー光iを用いることで大気中の有毒ガスの検出に極めて優れた効果を有することも確認された。
尚、本実施形態の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置10の最大の特徴は、一般的で廉価なNd:YAGレーザーで励起した場合、従来の化学結晶では不可能であった8〜9.4μmという長い波長での90°位相整合が初めて可能になったことである。また、出力が1/2になる角度幅である位相整合許容角がΔext・L≒29deg・cm(extは外部角、Lは結晶長)と極めて大きく、しかも8.85μmの波長λiでの温度許容幅がΔT・L≒23℃・cmに達している。このため、本実施形態によれば、いわゆるフールプルーフ(Fool-Proof)形の光源が完成したといえる。
さらに、上記実施の形態では、アイドラー光iだけでなくシグナル光sも出力鏡20を透過して2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置10から出力する形としたが、実際に使用するアイドラー光iのみを装置外に導出するようにしても良い。また、上記実施の形態では、入力鏡16をFused silica製とすると共に出力鏡20をZnSe製としたが、ダメージ閾値が高いものであれば、他の公知な材質をこれら入力鏡16や出力鏡20に用いても良い。
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明は、高出力の赤外線が必要なさまざまな技術分野に適用でき、車載用レーザー・レーダーの光源としたり、大気中の有毒ガスの検出用としたりするだけでなく産業用等の他の技術分野にも適用可能なものである。
10 2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置
12 励起光源
14 アイソレーター
16 入力鏡
18 非線形光学素子
20 出力鏡
22 ヒータ
24 温度計
26 コントローラ
p 励起光
s シグナル光
i アイドラー光

Claims (5)

  1. レーザー光を発生する励起光源と、
    レーザー光が入射されて、レーザー光より波長が長く且つ相互に異なる2種類の波長のコヒーレントな赤外線を出力する非線形光学素子と、
    励起光源と非線形光学素子との間に配置され、レーザー光を透過すると共に少なくともより波長が長いコヒーレントな赤外線を反射する入力鏡と、
    非線形光学素子を挟んで入力鏡と逆側に配置され、該レーザー光を反射すると共に少なくともより波長が長いコヒーレントな赤外線を透過する出力鏡と、
    を含む2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置。
  2. 励起光源をNd:YAGレーザーとすると共に、非線形光学素子をHg1-xCdxGa24結晶とする請求項1記載の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置。
  3. 入力鏡をFused silica製とすると共に、出力鏡をZnSe製とした請求項1または請求項2記載の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置。
  4. 非線形光学素子を加熱するヒータと、
    非線形光学素子の温度を計測する温度計と、
    温度計の計測値に基づきヒータの加熱量を制御して非線形光学素子を所定の温度範囲に維持する制御手段と、
    を含む請求項1から請求項3の何れかに記載の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置。
  5. 励起光源と入力鏡との間に、非線形光学素子から戻ってきたレーザー光を排除して励起光源に入力しないようにするアイソレーターが配置される請求項1から請求項4の何れかに記載の2波長同時発振型赤外光パラメトリック発振装置。
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