JP2018031799A - 感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Tetsufumi Fujii
徹文 藤井
尚弘 木村
Hisahiro Kimura
尚弘 木村
梶原 卓哉
Takuya Kajiwara
卓哉 梶原
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Abstract

【課題】形成される硬化膜のテント信頼性が特に優れる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:バインダーポリマーと、(B)成分:光重合性化合物と、(C)成分:光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物であり、(D)成分:ポリエチレンオキサイド〔−(CO)−〕、ポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−〕及びポリテトラメチレンオキサイド〔−(CO)−〕(k、l及びmは1以上、k+l+mは20以上)のうち少なくとも2つ以上を構造単位として有する化合物を、感光性樹脂組成物固形分総量に対して、2〜20質量%含有する、感光性樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本開示は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
従来、プリント配線板の製造分野において、エッチング処理又はめっき処理等に用いられるレジスト材料として感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂組成物を用いて得られる感光性樹脂層と支持体と保護層とを有する感光性エレメントが広く用いられている。
プリント配線板は、上記感光性エレメントを回路形成用基板上にラミネートし、前記感光性樹脂層をパターン状に露光した後、未露光部を現像液で除去してレジストパターンを形成し、エッチング処理又はめっき処理を施して基板上に回路を形成した後、露光部である硬化部分を基板上からはく離して除去する方法によって製造されている。
上記現像液としては、環境性及び安全性の見地から、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液等のアルカリ現像液が主流となっている。感光性樹脂層の未露光部分は、これら現像液による現像及び水洗のスプレー圧により、基板から除去される。したがって、感光性樹脂組成物には、露光後、現像及び水洗のスプレー圧によって破損しない、優れたテント信頼性(テンティング性)を有する硬化膜(レジストパターン)を形成可能であることが求められる。また、硬化膜が現像及び水洗のスプレー圧によって基板からはく離しないよう、密着性を高める必要がある。
テント信頼性を向上させるためには、感光性樹脂組成物を用いて形成する硬化膜の強度及び柔軟性を高めることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−117224号公報 特開2006−234995号公報 特開2007−122028号公報 国際公開第2008/078483号 特開2009−69465号公報 国際公開第2010/103918号
しかし、特許文献1に記載の感光性樹脂組成物を用いた場合であっても、テント信頼性が充分に優れるといえない場合があった。
また、テント信頼性を向上させるために、硬化膜の強度を高めるとはく離時間が長くなり生産性が低下する問題がある。また、硬化膜の柔軟性を高めると、硬化膜の耐アルカリ性が低下し、解像性が低下する問題がある。
特に、LDI(Laser Direct Imaging)方式やDLP(Digital Light Processing)と呼ばれる、CAD(Computer−aided design)で作製したパターンのデジタルデータをレーザー光により感光性樹脂組成物層に直接描画する直接描画露光法に用いられる、レジスト材料には、単位時間あたりの処理能力(スループット)の観点から、低露光量及び低硬化度での耐アルカリ性が要求される。そのため、剛直な骨格の化合物を含有させることが多い。しかし、単位時間あたりの処理能力(スループット)を向上させるために、直接描画露光法に用いられるレジスト材料に含有される剛直な骨格の化合物は、テンティング性を低下させる傾向があるため、直接描画露光法で高スループット、高解像度及び高テンティング性のすべてを充分に満足するレジスト材料はこれまで開発されなかった。例えば、特許文献2〜6に記載の感光性樹脂組成物を用いた場合でも、改善の余地があった。
そこで本開示は、形成される硬化膜のテント信頼性が、特に優れる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、一実施形態としては、低露光量でもレジストパターンを形成することが可能であり、はく離時間、解像性及び密着性に優れ、形成される硬化膜のテント信頼性が特に優れる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、上記感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)成分:バインダーポリマーと、
(B)成分:光重合性化合物と、
(C)成分:光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物であり、
(D)成分:ポリエチレンオキサイド〔−(CO)−〕、ポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−〕及びポリテトラメチレンオキサイド〔−(CO)−〕(k、l及びmは1以上、k+l+mは20以上)のうち少なくとも2つ以上を構造単位として有する化合物を、感光性樹脂組成物固形分総量に対して、2〜20質量%含有する、感光性樹脂組成物。
<2> 前記(A)成分が、スチレン、スチレン誘導体、ベンジル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート誘導体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位(A1)を有する、前記<1>に記載の感光性樹脂組成物。
<3> 前記(A)成分の総量における前記構造単位(A1)の含有率が10〜60質量%である、前記<2>に記載の感光性樹脂組成物。
<4> 前記(D)成分が、ポリエチレンオキサイド〔−(CO)−:kは1以上〕及びポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−:lは1以上、k+lは20以上〕を構造単位として有する化合物である、前記<1>〜<3>のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
<5> 前記(D)成分が、k+l+mが30以上である構造単位を有する化合物である、前記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
<6> 前記(A)成分が、炭素数が1〜20のアルキル基である(メタ)アクリル酸アルキルに由来する構造単位(A2)を更に有する、前記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
<7> 支持体と、
前記支持体上に設けられた、前記<1>〜<6>のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層と、
を有する感光性エレメント。
<8> 前記<1>〜<6>のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて、感光性樹脂層を基板上に形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記感光性樹脂層の少なくとも一部の領域に活性光線を照射して、露光部を硬化させる露光工程と、
前記感光性樹脂層の前記露光部以外の未露光部分を前記基板上から除去する現像工程と、
を有するレジストパターンの形成方法。
<9> 前記<8>に記載の方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする工程を含む、プリント配線板の製造方法。
本開示によれば、形成される硬化膜のテント信頼性が特に優れる感光性樹脂組成物を提供することが可能となる。また、一実施形態としては、低露光量でもレジストパターンを形成することが可能であり、はく離時間、解像性及び密着性に優れ、形成される硬化膜のテント信頼性が特に優れる感光性樹脂組成物を提供できる。また、上記感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することが可能となる。
本実施形態の感光性エレメントの一実施形態を示す端面図である。 本実施形態のプリント配線板の製造方法を例示する工程図である。 テント信頼性の評価に用いる穴破れ数測定用基板の上面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。このことは、数値及び範囲についても同様であり、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。尚、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の少なくとも一方を意味する。(メタ)アクリレート等の他の類似表現についても同様である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。更に組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、本明細書において、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分:バインダーポリマーと、(B)成分:光重合性化合物と、(C)成分:光重合開始剤と、を含有し、さらに、(D)成分:ポリエチレンオキサイド〔−(CO)−〕、ポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−〕及びポリテトラメチレンオキサイド〔−(CO)−〕(k、l及びmは1以上、k+l+mは20以上)のうち少なくとも2つ以上を構造単位として有する化合物を、感光性樹脂組成物固形分総量に対して、2〜20質量%含有する。尚、k、l及びmは構造単位の構造単位数を示す。従って、単一の分子においては整数値を示し、複数種の分子の集合体としては平均値である有理数を示す。以下、構造単位の構造単位数については同様である。また、本明細書において、これらの成分は、単に(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分等と称することがある。
前記感光性樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分を更に含んでもよい。
以下では、各成分について詳細に説明する。
〔(A)成分:バインダーポリマー〕
感光性樹脂組成物は、(A)成分としてバインダーポリマーの少なくとも1種を含有する。前記バインダーポリマーは、スチレン、スチレン誘導体、ベンジル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート誘導体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位(A1)(以下、単に、「構造単位(A1)」と称する場合がある)を有し、バインダーポリマー不揮発分総量における構造単位(A1)の含有率は、10〜60質量%であることが好ましい。バインダーポリマー不揮発分総量における構造単位(A1)を特定量含むことにより、バインダーポリマーの柔軟性を維持しながら、硬化物としたときの密着性により優れる。
・構造単位(A1)
バインダーポリマーの少なくとも1種は、スチレン、スチレン誘導体、ベンジル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート誘導体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位(A1)を有することが好ましい。
バインダーポリマーにおける構造単位(A1)の含有率は、密着性及びはく離特性を共により良好にする見地から、バインダーポリマーの不揮発分総量中、10〜60質量%であることが好ましく、13〜40質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。この含有率が10質量%以上であると、密着性が向上する傾向があり、60質量%以下であると、はく離片が大きくなることを抑制し、はく離時間が長くなることを抑制でき、テンティング性が向上する傾向がある。
スチレン誘導体の具体例としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体を挙げることができる。
ベンジル(メタ)アクリレート誘導体の具体例としては、4−メチルベンジル(メタ)アクリレート、4−エチルベンジル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルベンジル(メタ)アクリレート、4−メトキシベンジル(メタ)アクリレート、4−エトキシベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、4−クロロベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
・構造単位(A2)
前記(A)バインダーポリマーの少なくとも1種は、(A2)(メタ)アクリル酸アルキルに由来する構造単位(以下、単に「構造単位(A2)」と称する場合がある)を有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルにおけるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。(メタ)アクリル酸アルキルとしては、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
CH=C(R)−COOR (I)
一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜20のアルキル基を示す。
一般式(I)中のRで示される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。Rで示される炭素数1〜20のアルキル基は、置換基を有していてもよい。前記置換基としては、水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等を挙げることができる。Rで示される炭素数1〜20のアルキル基が置換基を有する場合、置換基の数及び置換位置は特に制限されない。
前記(メタ)アクリル酸アルキルにおけるアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、テンティング性をより向上させる観点から、炭素数5〜20であることがより好ましく、炭素数が8〜14であることが更に好ましい。
一般式(I)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
バインダーポリマーが構造単位(A2)を含む場合、バインダーポリマー総質量中における構造単位(A2)の含有率は、密着性、解像性及び現像性を向上させる観点から、1〜70質量%であることが好ましく、30〜65質量%であることがより好ましく、45〜60質量%であることが更に好ましい。この含有率を1質量%以上とすることで硬化膜のテンティング性がより向上し、80質量%以下とすることで解像性及び密着性が更に向上する。
・構造単位(A3)
バインダーポリマーの少なくとも1種は、アルカリ現像性を向上させる見地から、カルボキシ基を有することが好ましい。カルボキシ基を含むバインダーポリマーは、例えば、カルボキシ基を有する重合性単量体と、その他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシ基を有する重合性単量体(以下、単に「構造単位(A3)」と称する場合がある)としては、(メタ)アクリル酸;α−ブロモアクリル酸、α−クロルアクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸誘導体;マレイン酸;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸誘導体;フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
バインダーポリマーが構造単位(A3)を含む場合、アルカリ現像性と現像液耐性をバランスよく向上させる見地から、バインダーポリマーの総質量中、構造単位(A3)の含有率は12〜50質量%であることが好ましく、アルカリ現像性により優れる点から、15〜35質量%であることが好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
・その他の構造単位
バインダーポリマーは、上記(A1)〜(A3)以外のその他の構造単位を含んでいてもよい。その他の構造単位は、次のような重合性単量体に由来する構造単位であってもよい。例えば、上記重合性単量体としては、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類;マレイン酸無水物等の有機酸誘導体が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
バインダーポリマー総質量中におけるその他の構造単位の含有率は、密着性、解像性及び現像性を向上させる観点から、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
つまり、バインダーポリマー総質量中における、構造単位(A1)、(A2)及び(A3)の総量の含有率は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
バインダーポリマーは、それぞれの構造単位に対応する単量体を重合させることにより得られる。重合方法としては、ラジカル重合を挙げることができる。
このようにして得られる共重合体において各構造単位は、いわゆるランダム共重合体のように共重合体中にランダムに含まれていてもよく、或いはブロック共重合体のように一部の特定の構造単位が局在して存在する共重合体であってもよい。そして、それぞれの構造単位は、単一種であっても複数種であってもよい。
更に、構造単位(A1)又は(A2)又は(A3)を含むバインダーポリマーに加えて、他のバインダーポリマーを併用してもよい。他のバインダーポリマーとしては、アルカリ水溶液に可溶で皮膜形成可能なものであれば特に制限はない。例えば、アクリル系樹脂(但し、構造単位(A1)、(A2)、(A3)を含まないもの)、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、及びフェノール系樹脂が挙げられる。中でも、アルカリ現像性を向上させる観点から、アクリル系樹脂が好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
他のバインダーポリマーを用いる場合でも、バインダーポリマーの総量中、バインダーポリマー不揮発分総量における構造単位(A1)の含有率が、10〜60質量%であることが好ましく、13〜40質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。他のバインダーポリマーを用いる場合、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。他のバインダーポリマーは実質的に含有しないことが更に好ましく、他のバインダーポリマーは含有しないことが特に好ましい。尚、本明細書において、「実質的に含有しない」とは、1質量%未満であることを示し、0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、含有しない(検出できない)ことが更に好ましいことを意味する。
バインダーポリマーの重量平均分子量は、耐現像液性及びアルカリ現像性をバランスよく向上させる見地から、20,000〜300,000であることが好ましく、30,000〜200,000であることがより好ましく、40,000〜100,000であることが更に好ましい。
尚、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値であり、測定条件は実施例と同一である。
バインダーポリマーの酸価は、120〜200mgKOH/gであることが好ましく、150〜170mgKOH/gであることがより好ましい。
(A)成分であるバインダーポリマーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種類以上を組み合わせて用いる場合のバインダーポリマーとしては、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマー等が挙げられる。尚、バインダーポリマーの分散度とは、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除して得られる。
(A)成分であるバインダーポリマーの含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜80質量部とすることが好ましく、40〜75質量部とすることがより好ましく、50〜70質量部とすることが更に好ましい。(A)成分の含有量がこの範囲であると、感光性樹脂組成物の塗膜性及び光硬化物の強度がより良好となる。
〔(B)成分:光重合性化合物〕
前記感光性樹脂組成物は、(B)成分として光重合性化合物の少なくとも1種を含む。(B)成分である光重合性化合物は、特に制限されず、通常用いられる光重合性化合物から適宜選択して用いることができる。光重合性化合物として、光重合可能な不飽和二重結合を有する化合物を挙げることができる。
具体的に、光重合性化合物としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル環及び3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物等の多官能(メタ)アクリレート;2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエチレンオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエチレンオキシポリプロピレンオキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β´−(メタ)アクリロイルオキシエチレン−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β´−(メタ)アクリロイルオキシエチレン−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β´−(メタ)アクリロイルオキシエチレン−o−フタレート等のフタル酸誘導体;(メタ)アクリル酸アルキル;などが挙げられる。
これらの中でも、密着性及び解像性を向上させる観点から、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物及びポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種及びポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を併用することがより好ましく、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエチレンオキシ)フェニル)プロパンの少なくとも1種及びポリエチレングリコールポリ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を併用することが更に好ましい。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエチレンオキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエチレンオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエチレンオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエチレンオキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
中でも商業的に入手可能なものとしては、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエチレンオキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業株式会社製、製品名「BPE−500」、又は、日立化成株式会社製、製品名「FA−321M」)、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエチレンオキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業株式会社製、製品名「BPE−1300」)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、テント信頼性を向上させる観点から、イソシアヌル環及び3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。
(B)成分である光重合性化合物を複数組み合わせて使用する場合、(B)成分の不揮発分総量中、光重合可能な不飽和二重結合を1分子中に2つ以上有する化合物が、75質量%以上であることが好ましい。(B)成分の不揮発分総量中、光重合可能な不飽和二重結合を1分子中に2つ以上有する化合物が、75質量%以上であることで、テンティング性、解像性及び密着性が向上する傾向がある。
前記感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部中に20〜70質量部とすることが好ましい。テント信頼性及び解像性をより向上させる点で、その含有量は、20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましい。フィルム性を付与する点及び硬化後のレジスト形状により優れる点で、その含有量は、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、55質量部以下が更に好ましく、50質量部以下が特に好ましい。
〔(C)成分:光重合開始剤〕
前記感光性樹脂組成物は、(C)成分として光重合開始剤の少なくとも1種を含む。光重合開始剤としては特に制限なく、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択して用いることができる。中でも(C)成分は一分子中にアクリジニル基を1つ又は2つ有するアクリジン化合物を含むことが好ましい。すなわち、(C)成分は、アクリジニル基を2つ有するアクリジン化合物(以下、「(C1)化合物」ともいう)及びアクリジニル基を1つ有するアクリジン化合物(以下、「(C2)化合物」ともいう)からなる群より選ばれる化合物のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。
(C1)化合物としては、例えば、下記一般式(II)で表されるアクリジン化合物が挙げられる。
Figure 2018031799
式(II)中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のオキサジアルキレン基又は炭素数2〜20のチオジアルキレン基を示す。感光性樹脂組成物の奏する効果をより確実に得る観点から、Rは炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数4〜14のアルキレン基であることがより好ましい。
上記一般式(II)で表される化合物としては、例えば、1,2−ジ(9−アクリジニル)エタン、1,3−ジ(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ジ(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ジ(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ジ(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ジ(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ジ(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ジ(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ジ(9−アクリジニル)デカン、1,11−ジ(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ジ(9−アクリジニル)ドデカン、1,14−ジ(9−アクリジニル)テトラデカン、1,16−ジ(9−アクリジニル)ヘキサデカン、1,18−ジ(9−アクリジニル)オクタデカン、1,20−ジ(9−アクリジニル)エイコサン等のジ(9−アクリジニル)アルカン;1,3−ジ(9−アクリジニル)−2−オキサプロパン;1,5−ジ(9−アクリジニル)−3−オキサペンタン;1,3−ジ(9−アクリジニル)−2−チアプロパン;、1,5−ジ(9−アクリジニル)−3−チアペンタン;が挙げられる。これらは1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
光感度及び解像性をより良好にする見地から、(C1)化合物として、式(II)中のRがヘプチレン基であるアクリジン化合物(例えば、株式会社ADEKA製、製品名「N−1717」)を含むことが好ましい。
感光性樹脂組成物が、光重合開始剤として(C1)化合物を含む場合、(C1)化合物の含有量は、感度、解像性及び密着性を向上させる見地から、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが更に好ましく、1〜3質量部であることが特に好ましい。この含有量が0.1質量部以上であるとより良好な感度、解像性又は密着性が得られる傾向がある。10質量部以下であるとより良好なレジスト形状を得られる傾向がある。
(C2)化合物としては、例えば、下記一般式(III)で表されるアクリジン化合物が挙げられる。
Figure 2018031799
式(III)中、Rはハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキルアミノ基を示す。mは0〜5の整数を示す。
上記一般式(III)で表されるアクリジン化合物としては、例えば、9−フェニルアクリジン、9−(p−メチルフェニル)アクリジン、9−(m−メチルフェニル)アクリジン、9−(p−クロロフェニル)アクリジン、9−(m−クロロフェニル)アクリジン、9−アミノアクリジン、9−ジメチルアミノアクリジン、9−ジエチルアミノアクリジン及び9−ペンチルアミノアクリジンが挙げられる。これらは1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
前記感光性樹脂組成物が、光重合開始剤として(C2)化合物を含む場合、(C2)化合物の含有量は、感度、解像性及び密着性を向上させる見地から、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが更に好ましく、1〜3質量部であることが特に好ましい。この含有量が0.1質量部以上であるとより良好な感度、解像性又は密着性が得られる傾向がある。10質量部以下であるとより良好なレジスト形状を得られる傾向がある。
前記感光性樹脂組成物は、(C)成分として前記(C1)化合物及び(C2)化合物以外の光重合開始剤を含んでいてもよい。
(C1)化合物及び(C2)化合物以外の光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペントキシアントラセン等の置換アントラセン化合物;クマリン化合物;オキサゾール化合物;ピラゾリン化合物;トリアリールアミン化合物;などが挙げられる。
これらは、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸との組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせて光重合開始剤としてもよい。
尚、前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体は、二量体を構成する2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基が、同一であり対称な化合物であってもよいし、互いに相違して非対称な化合物であってもよい。
感光性樹脂組成物が、(C)成分として(C1)化合物及び(C2)化合物以外の光重合開始剤を含む場合、その含有量は、感度及び内部の光硬化性を向上させる観点から、(A)成分及び(B)成分の不揮発分総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜7質量部であることがより好ましく、0.2〜5質量部であることが特に好ましい。
(C)成分の含有量は、感度、密着性及び内部の光硬化性を向上させる観点から、(A)成分及び(B)成分の不揮発分総量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。
前記感光性樹脂組成物は、感度、密着性及び内部の光硬化性を向上させる観点から、(C)成分として(C1)化合物及び(C2)化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、その含有量が(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
また前記感光性樹脂組成物は、感度、密着性及び内部の光硬化性を向上させる観点から、(C)成分として(C1)化合物及び(C2)化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、その含有量が(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレンイソアルキルエーテルモノ(メタ)アクリレートの含有量100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。
〔(D)成分:ポリエチレンオキサイド〔−(CO)−〕、ポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−〕及びポリテトラメチレンオキサイド〔−(CO)−〕(k、l及びmは1以上、k+l+mは20以上)のうち少なくとも2つ以上を構造単位として有する化合物〕
前記感光性樹脂組成物は(D)成分としてポリエチレンオキサイド〔−(CO)−〕、ポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−〕及びポリテトラメチレンオキサイド〔−(CO)−〕(k、l及びmは1以上、k+l+mは20以上)のうち少なくとも2つ以上を構造単位として有する化合物の少なくとも1種を含む。(D)成分は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の含有量は感光性樹脂組成物固形分総量に対して、2質量%以上含有することで、レジストパターンのはく離性、テンティング性が向上するため好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましい。また同様に含有量を20質量%以下とすることで、解像性、テンティング性が向上するため好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
(D)成分はポリエチレンオキサイド〔−(CO)−:kは1以上〕及びポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−:lは1以上〕を構造単位として有する化合物であることが好ましい。ポリエチレンオキサイドを含有することで、現像性がより優れるとともに、テンティング性が向上し、ポリプロピレンオキサイドを同時に含有することで、(D)成分の粘度がより低下し、その他の成分と混合しやすくなる。
(D)成分は、k+l+mが30以上である構造単位を有する化合物であることが好ましい。k+l+mが30以上であることで、レジストパターンの強度がより高くなるため、テンティング性が向上する。
〔その他の成分〕
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、マラカイトグリーン、ビクトリアピュアブルー、ブリリアントグリーン、メチルバイオレット等の染料;ロイコクリスタルバイオレット、ジフェニルアミン、ベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、o−クロロアニリン等の光発色剤;熱発色防止剤;p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤;顔料;充填剤;消泡剤;難燃剤;密着性付与剤;レベリング剤;はく離促進剤;酸化防止剤;重合禁止剤;香料;イメージング剤;熱架橋剤などのその他の添加剤を更に含んでいてもよい。
前記感光性樹脂組成物がその他の添加剤を含む場合、その含有量は目的等に応じて適宜選択できる。例えば(A)成分及び(B)成分の不揮発分総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、感光性樹脂組成物は、有機溶剤の少なくとも1種を更に含んでいてもよい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;トルエン等の芳香族炭化水素溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤;などが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
前記感光性樹脂組成物に含まれる有機溶剤の含有量は目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、不揮発分が30〜60質量%程度となる溶液(以下、有機溶剤を含む感光性樹脂組成物を「塗布液」ともいう)として用いることができる。
前記感光性樹脂組成物は、後述する感光性エレメントの感光性樹脂層の形成に使用できる。すなわち、本開示の別の実施形態は、前記感光性樹脂組成物の感光性エレメントへの使用である。また、前記感光性樹脂組成物は、後述するレジストパターンの形成「方法及びプリント配線板の製造方法に使用できる。
<感光性エレメント>
本実施形態の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に設けられた前記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層とを有する。前記感光性エレメントは、必要に応じて保護層等のその他の層を有していてもよい。
図1に、本実施形態の感光性エレメントの一実施形態を示す。図1に示す感光性エレメント10では、支持体2、前記感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層4、保護層6がこの順に積層されている。感光性エレメント10は、例えば、以下のようにして得ることができる。支持体2上に、有機溶剤を含む前記感光性樹脂組成物である塗布液を塗布して塗布層を形成し、これを乾燥することで感光性樹脂層4を形成する。次いで、感光性樹脂層4の支持体2とは反対側の表面を保護層6で被覆することにより、支持体2と、該支持体2上に形成された感光性樹脂層4と、該感光性樹脂層4上に積層された保護層6とを備える、本実施形態の感光性エレメント10が得られる。感光性エレメント10は、保護層6は必ずしも備えなくてもよい。
支持体2としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。
支持体2(重合体フィルム)の厚みは、1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、1〜30μmであることが更に好ましい。支持体2の厚みが1μm以上であることで、支持体2を感光性樹脂層4からはく離する際に支持体2が破れることを抑制できる。また100μm以下であることで解像度の低下が抑制される。
保護層6としては、感光性樹脂層4に対する接着力が、支持体2の感光性樹脂層4に対する接着力よりも小さいものが好ましい。また低フィッシュアイのフィルムが好ましい。ここで、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものを意味する。すなわち、「低フィッシュアイ」とは、フィルム中の上記異物等が少ないことを意味する。
具体的に、保護層6としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとしては、王子製紙株式会社製の商品名:アルファンMA−410、E−200C(「アルファン」は、登録商標。)、信越フィルム株式会社製等のポリプロピレンフィルム、帝人株式会社製の商品名:PS−25等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。尚、保護層6は支持体2と同一のものでもよい。
保護層6の厚みは1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、1〜30μmであることが更に好ましい。保護層6の厚みが1μm以上であると、保護層6を剥がしながら、感光性樹脂層4及び支持体2を基板上にラミネートする際、保護層6が破れることを抑制できる。100μm以下であると、取扱い性が向上し、さらに、より経済的恩恵を得やすい。
本実施形態の感光性エレメントは、具体的には例えば、以下のようにして製造することができる。少なくとも、(A)成分:バインダーポリマー、(B)成分:光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を前記有機溶剤に溶解した塗布液を準備する工程と、前記塗布液を支持体2上に塗布して塗布層を形成する工程と、前記塗布層を乾燥して感光性樹脂層を形成する工程と、を含む製造方法で製造することができる。
前記塗布液の支持体2上への塗布は、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法により行うことができる。
前記塗布層の乾燥は、塗布層から有機溶剤の少なくとも一部を除去することができれば特に制限はない。例えば、70〜150℃にて、5〜30分間程度行うことが好ましい。乾燥後、感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を抑制する観点から、2質量%以下とすることが好ましい。
感光性エレメント10における感光性樹脂層4の厚みは、用途により適宜選択することができ、乾燥後の厚みで1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、10〜50μmであることが更に好ましい。この厚みが1μm以上であることで、工業的な塗工がより容易になり、200μm以下の場合には、感度及びレジスト底部の光硬化性がより充分に得られる傾向がある。
感光性エレメント10は、更にクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層などを有していてもよい。これらの中間層としては、特開2006−098982号公報等に記載の中間層を本実施形態においても適用することができる。
得られた感光性エレメント10の形態は特に制限されない。例えば、シート状であってもよく、又は巻芯にロール状に巻き取った形状であってもよい。ロール状に巻き取る場合、支持体2が外側になるように巻き取ることが好ましい。巻芯の材質としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。このようにして得られたロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。梱包方法としては、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
感光性エレメント10は、例えば、後述するレジストパターンの形成方法に好適に用いることができる。
<レジストパターンの形成方法>
前記感光性樹脂組成物を用いて、基板上にレジストパターンを形成することができる。本実施形態のレジストパターンの形成方法は、(i)前記感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を基板上に形成する感光性樹脂層形成工程と、(ii)前記感光性樹脂層の少なくとも一部の領域に、活性光線を照射して、前記領域を硬化させる露光工程と、(iii)感光性樹脂層の前記領域以外の未露光部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物で構成されるレジストパターンを形成する現像工程と、を有する。前記レジストパターンの形成方法は必要に応じて更にその他の工程を有していてもよい。
(i)感光性樹脂層形成工程
まず、感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を基板上に形成する。基板としては、絶縁層と該絶縁層上に形成された導体層とを備えた基板(回路形成用基板)を用いることができる。
感光性樹脂層の基板上への形成方法としては、例えば、前記感光性エレメント10が保護層6を有している場合には、保護層6を除去した後、感光性エレメント10の感光性樹脂層4を加熱しながら上記基板に圧着(ラミネート)する。これにより、基板と感光性樹脂層4と支持体2とをこの順に備える積層体が得られる。
このラミネート作業は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行うことが好ましい。圧着の際の感光性樹脂層及び/又は基板の加熱は、70〜130℃の温度で行うことが好ましい。また圧着は、0.1〜1.0MPa(1〜10kgf/cm)の圧力で行うことが好ましい。これらの条件は必要に応じて適宜選択される。尚、感光性樹脂層を70〜130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、回路形成用基板の予熱処理を行うことで密着性及び追従性を更に向上させることができる。
(ii)露光工程
露光工程では、上記のようにして基板上に形成された感光性樹脂層4の少なくとも一部の領域に活性光線を照射することで、活性光線が照射された露光部が光硬化して、潜像が形成される。活性光線の照射としては例えば、ネガ又はポジマスクパターンを通して画像状に活性光線を照射する方法が挙げられる。この際、感光性樹脂層4上に存在する支持体2が活性光線に対して透明である場合には、支持体2を通して活性光線を照射することができ、支持体2が活性光線に対して遮光性を示す場合には、支持体2を除去した後に感光性樹脂層4に活性光線を照射する。
活性光線の光源としては特に制限されず、従来公知の光源、例えばカーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザー等のガスレーザー、YAGレーザー等の固体レーザー、半導体レーザー及び窒化ガリウム系青紫色レーザー等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。またレーザー直接描画露光法を用いてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、直接描画露光方法に好適に使用することができる。
即ち、本実施形態の一つは、前記感光性樹脂組成物の直接描画露光法への応用である。
(iii)現像工程
現像工程においては、上記感光性樹脂層4の未硬化部分が回路形成用基板上から現像により除去されることで、上記感光性樹脂層4が光硬化した硬化物であるレジストパターンが基板上に形成される。感光性樹脂層4上に支持体2が存在している場合には、支持体2を除去してから、未露光部分の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像とがあり、ウェット現像が広く用いられている。
ウェット現像による場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッピング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられ、解像性向上の観点からは、高圧スプレー方式が最も適している。これら2種以上の方法を組み合わせて現像を行ってもよい。
現像液の構成は前記感光性樹脂組成物の構成に応じて適宜選択される。例えば、アルカリ性水溶液、有機溶剤現像液が挙げられる。
アルカリ性水溶液は、現像液として用いられる場合、安全且つ安定であり、操作性が良好である。アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ;リチウム、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩;ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム)、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、モルホリンなどが用いられる。
現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。アルカリ性水溶液の30℃におけるpHは9〜11の範囲とすることが好ましい。また、アルカリ性水溶液の温度は、感光性樹脂層のアルカリ現像性に合わせて調節される。
尚、アルカリ性水溶液のpHは、pHメーター(例えば、電気化学計器株式会社製、型番:PHL−40)で測定することができる。pHの測定値としては、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、ホウ酸塩pH緩衝液 pH:9.18(25℃))を用いて、3点校正した後、電極をアルカリ性水溶液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を採用する。
現像に用いるアルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための1種以上の有機溶剤等を少量混入していてもよい。用いる有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有率は、アルカリ性水溶液を基準として、2〜90質量%とすることが好ましい。
有機溶剤現像液に用いられる有機溶剤としては、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤には、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加して有機溶剤現像液とすることが好ましい。
前記現像工程においては、未露光部分を除去した後、必要に応じて60〜250℃の加熱又は0.2〜10J/cmの露光量での露光を行うことにより、レジストパターンを更に硬化する工程を更に含んでもよい。
<プリント配線板の製造方法>
本実施形態のプリント配線板の製造方法は、前記レジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング処理又はめっき処理して、導体パターンを形成する工程を含む。プリント配線板の製造方法は、必要に応じてレジスト除去工程等のその他の工程を含んでいてもよい。基板のエッチング処理又はめっき処理は、形成されたレジストパターンをマスクとして、基板の導体層等に対して行われる。
エッチング処理では、基板上に形成されたレジストパターンをマスクとして、レジストによって被覆されていない回路形成用基板の導体層をエッチング除去し、導体パターンを形成する。エッチング処理の方法は、除去すべき導体層に応じて適宜選択される。エッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液等が挙げられ、これらの中では、エッチファクタがより良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。
一方、めっき処理では、基板上に形成されたレジストパターンをマスクとして、レジストによって被覆されていない回路形成用基板の導体層上に、銅、はんだ等をめっきする。めっき処理の後、硬化レジストを除去し、更にこのレジストによって被覆されていた導体層をエッチングして、導体パターンを形成する。めっき処理の方法は、電解めっき処理であっても、無電解めっき処理であってもよい。めっき処理としては、例えば、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケル等のニッケルめっき、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキが挙げられる。
上記エッチング処理及びめっき処理の後、基板上のレジストパターンは除去される。レジストパターンの除去は、例えば、前記現像工程に用いたアルカリ性水溶液より更に強アルカリ性の水溶液を用いて行うことができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液が用いられる。なかでも、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることが好ましく、1〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることがより好ましい。
めっき処理を施してからレジストパターンを除去した場合、更にエッチング処理によってレジストで被覆されていた導体層をエッチングし、導体パターンを形成することで所望のプリント配線板を製造することができる。エッチング処理の方法は、除去すべき導体層に応じて適宜選択される。例えば、上述のエッチング液を適用することができる。
本実施形態のプリント配線板の製造方法は、単層プリント配線板のみならず多層プリント配線板の製造にも適用可能であり、また小径スルーホールを有するプリント配線板等の製造にも適用可能である。
図2は、従来の多層プリント配線基板の製造方法を示す図である。図2(f)に示す多層プリント配線基板100Aは表面及び内部に配線パターンを有する。多層プリント配線基板100Aは、銅張積層体、層間絶縁材及び金属箔等を積層し、そしてエッチング法、セミアディティブ法等によって配線パターンを適宜形成することによって得られる。
まず、表面に配線パターン102を有する銅張積層体101の両面に層間絶縁層103を形成する(図2(a)参照)。層間絶縁層103は、熱硬化性組成物をスクリーン印刷機又はロールコータを用いて印刷してもよいし、熱硬化性組成物からなるフィルムを予め準備し、ラミネーターを用いて、このフィルムをプリント配線基板の表面に貼り付けることもできる。次いで、外部と電気的に接続することが必要な箇所を、YAGレーザー又は炭酸ガスレーザーを用いて開口104を形成し、開口104周辺のスミア(残渣)をデスミア処理により除去する(図2(b)参照)。次いで、無電解めっき法によりシード層105を形成する(図2(c)参照)。上記シード層105上に感光性樹脂組成物をラミネートし、所定の箇所を露光、現像処理してレジストパターン106を形成する(図2(d)参照)。次いで、電解めっき法により配線パターン107を形成し、はく離液によりレジストパターン106を除去した後、上記シード層105をエッチングにより除去する(図2(e)参照)。以上を繰り返し行い、最表面にソルダーレジスト108を形成することで多層プリント配線基板100Aを作製することができる(図2(f)参照)。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、プリント配線板の製造に好適に使用することができる。即ち、本実施形態の一つは、前記感光性樹脂組成物のプリント配線板の製造への応用である。
以下、本開示の目的及び利点を実施例により具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[(A)成分:バインダーポリマー]
[(P−1)の合成方法]
(溶液a−1の調製)
表1に示す重合性単量体(共重合単量体、モノマー)の混合液に、ラジカル反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル2.0gを溶解して、「溶液a−1」を調製した。
Figure 2018031799
(ラジカル重合反応)
還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、有機溶剤であるメチルセロソルブ240g及びトルエン160gの混合液(質量比3:2)400gを投入した。フラスコ内に窒素ガスを吹き込みながら、上記混合液を攪拌しつつ加熱して80℃まで昇温させた。
フラスコ内の上記混合液に、「溶液a−1」を4時間かけて滴下速度を一定にして滴下した後、フラスコ内の溶液を80℃にて2時間攪拌した。次いで、フラスコ内の溶液に、「溶液a−1」100gにアゾビスイソブチロニトリル1gを更に溶解した溶液を10分間かけて滴下速度を一定にして滴下した後、フラスコ内の溶液を80℃にて3時間攪拌した。更に、フラスコ内の溶液を30分間かけて90℃まで昇温させ、90℃にて2時間保温した後、冷却することにより、バインダーポリマー(P−1)の溶液を得た。
バインダーポリマー(P−1)の溶液にアセトンを加えて、不揮発成分(不揮発分)が50質量%になるように調製した。バインダーポリマー(P−1)の重量平均分子量は55,000であった。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件は、以下に示すとおりである。
−GPC条件−
ポンプ:日立 L−6000型(株式会社日立製作所製、商品名)
カラム:以下の計3本
Gelpack GL−R420
Gelpack GL−R430
Gelpack GL−R440
(以上、日立化成株式会社製、商品名(「Gelpack」は、登録商標。))
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:25℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製、商品名)
[(P−2)の合成方法]
(溶液a−2の調製)
表2に示す重合性単量体(共重合単量体、モノマー)の混合液に、ラジカル反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル1.0gを溶解して、「溶液a−2」を調製した。
Figure 2018031799
その後、バインダーポリマー(P−1)と同様にラジカル重合反応を行い、バインダーポリマー(P−2)の溶液を得た。バインダーポリマー(P−2)の重量平均分子量は100,000であった。
[(P−3)の合成方法]
(溶液a−3の調製)
表3に示す重合性単量体(共重合単量体、モノマー)の混合液に、ラジカル反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル1.0gを溶解して、「溶液a−3」を調製した。
Figure 2018031799
その後、バインダーポリマー(P−1)と同様にラジカル重合反応を行い、バインダーポリマー(P−2)の溶液を得た。バインダーポリマー(P−3)の重量平均分子量は30,000であった。
[感光性樹脂組成物の調製]
下記表4に示す配合量の、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分と、アセトン8g、トルエン8g及びメタノール8gとを混合することにより、実施例1〜7及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物の溶液をそれぞれ調製した。尚、表4に示すバインダーポリマーの配合量は、不揮発成分の質量(不揮発分量)である。
Figure 2018031799
表4に示す材料の詳細は以下の通りである。
・P−1:上記で調製したバインダーポリマー:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン(25/50/25(質量比))の共重合体、重量平均分子量55,000、酸価163mgKOH/g、不揮発分50質量%。(A)成分に該当。
・P−2:上記で調製したバインダーポリマー:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸2−エチルヘキシル(25/50/25(質量比))の共重合体、重量平均分子量100,000、酸価163mgKOH/g、不揮発分50質量%。(A)成分に該当。
・P−3:メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸メチル/スチレン(30/25/5/40(質量比))の共重合体、重量平均分子量30,000、酸価196mgKOH/g、不揮発分50質量%。(A)成分に該当。
・FA−321M:ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(日立化成株式会社製、製品名)、二重結合当量402、k=10、l=0、m=0、(B)成分に該当。
・UA−HCY−19:ポリエチレングリコールモノメタクリレートとヘキサメチレンイソシアネート三量体のウレタン反応物(新中村化学工業株式会社製、製品名)。二重結合当量841、k=45、l=0、m=0、(B1)成分に該当。
・CP−1421:ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロック共重合体(ダウケミカル社製、製品名ボラノールCP1421)。k:l=2:3、k+lが20以上、m=0、(D)成分に該当。
・CP−4053:ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロック共重合体とスクロースのエーテル化物(ダウケミカル社製、製品名ボラノールCP4053)。k:l=2:3、k+lが20以上、m=0、(D)成分に該当。
・P−2000:ポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、製品名)。k=0、l=35、m=0、(D)成分に非該当。
・FA−023M:ポリエチレンポリプロピレングリコールジメタクリレート(日立化成株式会社製、製品名)。k=6、l=12、m=0、(B)成分に該当し、(D)成分には非該当。
・PTMG−2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学株式会社製、製品名)。k=0、l=0、m=28、(D)成分に非該当。
・FA−2200M:ポリエチレングリコールジメタクリレート(日立化成株式会社製、製品名)。k=45、l=0、m=0、(B)成分に該当し、(D)成分には非該当。
・N−1717:1,7−ジ(9−アクリジニル)ヘプタン(株式会社ADEKA製、製品名)。(C)成分に該当。
・LCV:ロイコクリスタルバイオレット(山田化学工業株式会社製、製品名)
・MKG:マラカイトグリーン(大阪有機化学工業株式会社製、製品名)
〔感光性エレメントの作製〕
実施例1〜7及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物を、それぞれ厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名「G2−16」)(支持体)上に厚みが均一になるように塗布し、100℃の熱風対流式乾燥器で10分間乾燥して、乾燥後の膜厚が38μmである感光性樹脂層を形成した。この感光性樹脂層上にポリエチレンフィルム保護層(タマポリ株式会社製、商品名「NF−13」)(保護層)をロール加圧にて積層することにより、支持体と、感光性樹脂層と、保護層とがこの順に積層された実施例1〜7及び比較例1〜4にかかる感光性エレメントをそれぞれ得た。
〔評価用積層基板の作製〕
続いて、ガラスエポキシ材と、その両面に形成された銅箔(厚さ35μm)とからなる厚さ1.6mmの銅張積層板(日立化成株式会社製、商品名「MCL−E−67」(「MCL」は、登録商標。))の銅表面を、#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓株式会社製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥させた。この銅張積層板(以下、「基板」という。)を加熱して80℃に昇温させた後、実施例1〜7及び比較例1〜4にかかる感光性エレメントを基板の両側の銅表面にラミネート(積層)して、評価用積層基板をそれぞれ作製した。ラミネートは、110℃のヒートロールを用いて、保護層を除去しながら、各感光性エレメントの感光性樹脂層が基板の各銅表面に密着するようにして、1.5m/分の速度で行った。また、ラミネート時のヒートロール圧力を0.4MPaとした。
〔感度の評価〕
得られた評価用積層基板を、23℃まで放冷した。次いで、評価用積層基板の表面の支持体に、ステップタブレットを有するフォトツールを密着させた。ステップタブレットとしては、濃度領域が0.00〜2.00、濃度ステップが0.05、タブレットの大きさが20mm×187mm、各ステップの大きさが3mm×12mmである41段ステップタブレットを用いた。このようなステップタブレットを有するフォトツール及び支持体を介して、感光性樹脂層に対して露光した。露光は、半導体励起固体レーザーを光源とする露光機(日本オルボテック株式会社製、商品名「Paragon−9000m」)を用いて、17mJ/cmの露光量で行った。
露光後、評価用積層基板から支持体をはく離し、感光性樹脂層を露出させた。露出した感光性樹脂層に対し、30℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を50秒間スプレー(現像処理)することにより、未露光部分を除去した。このようにして、評価用積層基板の銅表面に、感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜を形成した。得られた硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、実施例1〜7及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物及びそれらから得られた感光性エレメントの感度(光感度)を評価した。このステップタブレットの段数が高いほど、感度が高いことを意味する。結果を表5に示す。
〔密着性及び解像度の評価〕
前記評価用積層基板上に密着性評価用として、ライン幅/スペース幅がn/3n(単位:μm、n=5〜30μmで2.5μm間隔)の評価用パターンと、解像度評価用として、ライン幅/スペース幅が3n/n(単位:μm、n=5〜30μmで2.5μm間隔)の評価用パターンとを有するフォトツールデータをそれぞれ使用した。露光は、半導体励起固体レーザーを光源とする露光機(日本オルボテック株式会社製、商品名「Paragon−9000m」)を用いて、17mJ/cmの露光量で行った。次いで、上記光感度の評価と同様の条件で現像処理を行って、未露光部を除去した。密着性は現像処理によって硬化膜が残存しているライン幅の最も小さい値(単位:μm)により評価した。また解像性は現像処理によって光硬化されていない部分をきれいに除去することができたライン幅間のスペース幅の最も小さい値(単位:μm)により評価した。密着性及び解像度の評価は共に数値が小さいほど良好な値である。結果を表5に示す。
〔テント信頼性〕
テント信頼性は、図3に示すような穴破れ数測定用基板40を以下のようにして作製し、これを用いて評価した。銅張積層板(日立化成株式会社製、商品名「MCL−E−67」)に、直径4〜6mmの穴径で、それぞれ3つの独立した丸穴41及び3つの丸穴が連結し、かつ丸穴の間隔が徐々に短くなる3連穴42を型抜き機によりそれぞれ作製した。丸穴41及び3連穴42を作製した際に生じたバリを#600相当のブラシをもつ研磨機(三啓株式会社製)を使用して取り除き、これを穴破れ数測定用基板40とした。
得られた穴破れ数測定用基板を80℃に加温し、上記で得られた感光性エレメントから保護層を剥がして、感光性樹脂層がその銅表面に対向するように、実施例1〜7及び比較例1〜4にかかる感光性エレメントを120℃、0.4MPaの条件で、それぞれラミネートして、テント信頼性評価用積層基板をそれぞれ作製した。
ラミネート後、テント信頼性評価用積層基板を、23℃まで放冷した。次いで、支持体支持体面に対して、半導体励起固体レーザーを光源とする露光機(日本オルボテック株式会社製、商品名「Paragon−9000m」)を用いて、17mJ/cmの露光量で露光した。
露光後、室温で15分間放置し、続いてテント信頼性評価用積層基板から支持体を剥がし、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を50秒間スプレーすることにより現像した。現像後、3連穴の穴破れ数を測定し、全3連穴数に対する穴破れ数として異形テント破れ率を算出し、テント信頼性(%)を評価した。この数値が高いほど、テント信頼性が高いことを意味する。結果を表5に示す。
〔はく離性評価〕
前記評価用積層基板上に、はく離性評価用として45mm×65mmの長方形の硬化膜を形成するフォトツールデータを使用して露光した。露光は、半導体励起固体レーザーを光源とする露光機(日本オルボテック株式会社製、商品名「Paragon−9000m」)を用いて、17mJ/cmの露光量で行った。次いで上記光感度の評価と同様の条件で現像処理し、未露光部を除去した。
その後、容量400mlのビーカーに50℃、3.0%NaOH水溶液(はく離液)300mlを準備した。はく離液を長さ30mmの攪拌子を用いて200min−1で攪拌しながら、現像後の基板をはく離液に浸漬し、硬化膜が基板から離れるまでの時間を計測した。尚、硬化膜が基板から離れるまでの時間が短いほど、はく離時間が短く、はく離性が良好であると言える。結果を表5に示す。
〔混和性評価〕
各実施例、比較例の感光性樹脂組成物の材料を溶液調製容器に入れた際に、直径2mm以上の固形物の有無を確認した。固形物がある場合、混合が困難となり、製造に支障が出ることが予想される。固形物がない場合を「○」、固形物がある場合を「×」と表記した。結果を表5に示す。
Figure 2018031799
表5から、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いた実施例1〜7にかかる感光性エレメントを用いた場合は、いずれにおいても比較例1〜4にかかる感光性エレメントを用いた場合と比較し、充分に優れる混和性(スループット)、及び、特に優れるテント信頼性を示した。また、実施例1〜7は、良好な密着性、解像性及び優れたテント信頼性を示した。比較例にかかる感光性エレメントに関しては、光感度は実施例にかかる感光性エレメントと同等であったが、はく離時間及び/又はテント信頼性及び/又は混和性が劣っていた。
2 支持体
4 感光性樹脂層
6 保護層
10 感光性エレメント
40 穴破れ数測定用基板
41 丸穴
42 3連穴
100A 多層プリント配線基板
101 銅張積層体
102 配線パターン
103 層間絶縁層
104 開口
105 シード層
106 レジストパターン
107 配線パターン
108 ソルダーレジスト

Claims (9)

  1. (A)成分:バインダーポリマーと、
    (B)成分:光重合性化合物と、
    (C)成分:光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物であり、
    (D)成分:ポリエチレンオキサイド〔−(CO)−〕、ポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−〕及びポリテトラメチレンオキサイド〔−(CO)−〕(k、l及びmは1以上、k+l+mは20以上)のうち少なくとも2つ以上を構造単位として有する化合物を、感光性樹脂組成物固形分総量に対して、2〜20質量%含有する、感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分が、スチレン、スチレン誘導体、ベンジル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート誘導体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位(A1)を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分の総量における前記構造単位(A1)の含有率が10〜60質量%である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(D)成分が、ポリエチレンオキサイド〔−(CO)−:kは1以上〕及びポリプロピレンオキサイド〔−(CO)−:lは1以上、k+lは20以上〕を構造単位として有する化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(D)成分が、k+l+mが30以上である構造単位を有する化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(A)成分が、炭素数が1〜20のアルキル基である(メタ)アクリル酸アルキルに由来する構造単位(A2)を更に有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 支持体と、
    前記支持体上に設けられた、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層と、
    を有する感光性エレメント。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて、感光性樹脂層を基板上に形成する感光性樹脂層形成工程と、
    前記感光性樹脂層の少なくとも一部の領域に活性光線を照射して、露光部を硬化させる露光工程と、
    前記感光性樹脂層の前記露光部以外の未露光部分を前記基板上から除去する現像工程と、
    を有するレジストパターンの形成方法。
  9. 請求項8に記載の方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする工程を含む、プリント配線板の製造方法。
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