JP2018030318A - 繊維強化樹脂成形体の製造方法、及び、一方向繊維強化部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 より少ない工程で製造し得る繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供すること。【解決手段】 繊維強化樹脂成形体10の製造方法は、UDテープ製造工程と押出成形工程とを含む。UDテープ製造工程でUDテープ100が製造される。押出成形工程では、UDテープ製造工程で製造されたUDテープ100が第二押出装置7からの溶融した熱可塑性樹脂Sと共に第二押出ダイス8に導入される。第二押出ダイス8内で、熱可塑性樹脂Sの断面形状が所定の断面形状に成形されるとともに、UDテープ100と熱可塑性樹脂Sが合流し、UDテープ100と合流した熱可塑性樹脂Sの樹脂圧によってUDテープ100が所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂Sの所定領域に接合される。所定領域に接合されたUDテープ100とともに所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂Sが第二押出ダイス8から排出されることにより、繊維強化樹脂成形体10が押出成形される。【選択図】 図4
Description
本発明は、繊維強化樹脂成形体の製造方法、及び、一方向繊維強化部材の製造方法に関する。
一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に樹脂が含浸されてなる一方向繊維強化部材は、例えばUDテープのような補強部材として用いられる。このような一方向繊維強化部材は、例えば各種の樹脂成形体に取り付けられる。樹脂成形体に一方向繊維強化部材が取り付けられることによって、樹脂成形体が補強される。一方向繊維強化部材が取り付けられることによって補強された樹脂成形体を、本明細書では、繊維強化樹脂成形体と呼ぶ。
特許文献1は、厚膜状の一方向繊維強化部材で補強された樹脂成形体(繊維強化樹脂成形体)の製造方法を開示する。特許文献1によれば、薄膜状の一方向繊維強化部材(薄膜A)を複数枚積層し、さらに積層体を200℃で3分間予熱して軟化させる。そして、軟化した積層体に樹脂成形材料を重ねてスタンピング成形することにより、厚膜状の一方向繊維強化部材で補強された樹脂成形体(繊維強化樹脂成形体)が製造される(実施例7)。
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法によれば、一方向繊維強化部材の積層体を成形する成形型(プリフォーム成形型)と、積層体と樹脂成形材料とを重ねてスタンピングするための成形型(スタンピング成形型)が異なるため、一方向繊維強化部材の積層体をプリフォーム成形型からスタンピング成形型に移し替える間に、一方向繊維強化部材が冷却固化してしまう。そのため、スタンピング成形前に、予めプリフォーム成形型で成形された積層体を一旦加熱(予熱)して軟化させる必要がある。つまり、特許文献1に記載の繊維強化樹脂成形体は、一方向繊維強化部材の積層工程と、積層体の加熱工程と、加熱された積層体と樹脂成形材料とを重ね合わせてスタンピングするスタンピング工程を経て製造される。このため、繊維強化樹脂成形体を得るために必要な工程数が多い。また、積層体を樹脂成形材料と重ね合わせてスタンピングする際に、外部から空気を巻き込むことにより両者の接合界面にボイドが生じる可能性が高い。そのため、一方向繊維強化部材と樹脂成形体との良好な接合界面を得ることができず、その結果、製造された繊維強化樹脂成形体の強度が低下する虞がある。
特許文献1に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法によれば、一方向繊維強化部材の積層体を成形する成形型(プリフォーム成形型)と、積層体と樹脂成形材料とを重ねてスタンピングするための成形型(スタンピング成形型)が異なるため、一方向繊維強化部材の積層体をプリフォーム成形型からスタンピング成形型に移し替える間に、一方向繊維強化部材が冷却固化してしまう。そのため、スタンピング成形前に、予めプリフォーム成形型で成形された積層体を一旦加熱(予熱)して軟化させる必要がある。つまり、特許文献1に記載の繊維強化樹脂成形体は、一方向繊維強化部材の積層工程と、積層体の加熱工程と、加熱された積層体と樹脂成形材料とを重ね合わせてスタンピングするスタンピング工程を経て製造される。このため、繊維強化樹脂成形体を得るために必要な工程数が多い。また、積層体を樹脂成形材料と重ね合わせてスタンピングする際に、外部から空気を巻き込むことにより両者の接合界面にボイドが生じる可能性が高い。そのため、一方向繊維強化部材と樹脂成形体との良好な接合界面を得ることができず、その結果、製造された繊維強化樹脂成形体の強度が低下する虞がある。
本発明は、より少ない工程で製造することができる繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供すること、及び、そのように製造された繊維強化樹脂成形体に用いられる一方向繊維強化部材の製造方法を提供することを、目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に樹脂が含浸されてなる一方向繊維強化部材(100)を製造する第一工程と、第一工程にて製造された一方向繊維強化部材を溶融した熱可塑性樹脂(S)と共に押出ダイス(8)に導入し、押出ダイス内で、熱可塑性樹脂の断面形状を所定の断面形状に成形するとともに、一方向繊維強化部材と熱可塑性樹脂とを合流させ、一方向繊維強化部材と合流した熱可塑性樹脂の樹脂圧によって一方向繊維強化部材を所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂の所定領域に接合し、所定領域に接合された一方向繊維強化部材とともに所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂を押出ダイスから排出することにより、繊維強化樹脂成形体(10)を押出成形する第二工程と、を含む、繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供する。
本発明は、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に樹脂が含浸されてなる一方向繊維強化部材(100)を製造する第一工程と、第一工程にて製造された一方向繊維強化部材を溶融した熱可塑性樹脂(S)と共に押出ダイス(8)に導入し、押出ダイス内で、熱可塑性樹脂の断面形状を所定の断面形状に成形するとともに、一方向繊維強化部材と熱可塑性樹脂とを合流させ、一方向繊維強化部材と合流した熱可塑性樹脂の樹脂圧によって一方向繊維強化部材を所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂の所定領域に接合し、所定領域に接合された一方向繊維強化部材とともに所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂を押出ダイスから排出することにより、繊維強化樹脂成形体(10)を押出成形する第二工程と、を含む、繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供する。
本発明によれば、第一工程にて一方向繊維強化部材が製造され、第一工程に引き続いて行われる第二工程にて、一方向繊維強化部材と溶融した熱可塑性樹脂とが共に押出ダイスに導入される。そして、この押出ダイスを用いて繊維強化樹脂成形体が押出成形により製造される。第二工程にて押出ダイスを用いて繊維強化樹脂成形体が押出成形されるため、第一工程にて製造された一方向繊維強化部材をそのまま第二工程に用いられる押出ダイスに導入することができる。つまり、一方向繊維強化部材の製造とそれを用いた繊維強化樹脂成形体の製造を、連続的に実行することができる。このため、第二工程の実施前に一方向繊維強化部材を軟化させるためにこれを加熱(予熱)する工程を要しない。従って、従来に比べて少ない工程で、繊維強化樹脂成形体を製造することができる。さらに、押出ダイス内で一方向繊維強化部材が熱可塑性樹脂に接合されるため、両者の接合時に外部から気泡が巻き込まれにくい。また、仮に気泡が巻き込まれた場合であっても、一方向繊維強化部材と熱可塑性樹脂との接合時に一方向繊維強化部材に作用する熱可塑性樹脂の樹脂圧によって、巻き込まれた気泡を排除することができる。そのため、一方向繊維強化部材と熱可塑性樹脂との接合界面でのボイドの発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明において、第一工程は、繊維束に熱可塑性樹脂を塗布する塗布工程と、塗布工程にて熱可塑性樹脂が塗布された繊維束と、追加樹脂(R)としての溶融した熱可塑性樹脂とを共に押出ダイス(6)に導入し、押出ダイス内で熱可塑性樹脂が塗布された繊維束に追加樹脂を所定の樹脂圧で押し付けることにより、繊維束内に熱可塑性樹脂を含浸させる押出含浸工程と、を含むとよい。これによれば、熱可塑性樹脂が塗布された繊維束に追加樹脂を押出ダイス内で押し付けて熱可塑性樹脂を繊維束に含浸させることにより、厚膜状の一方向繊維強化樹材が製造される。こうして製造された厚膜状の一方向繊維強化を用いて繊維強化樹脂成形体を製造することにより、補強効果の高い繊維強化樹脂成形体を得ることができる。
押出含浸工程は、第二工程と同時に実施されてもよい。つまり、押出含浸工程に用いられる押出ダイスと、第二工程に用いられる押出ダイスが共通の押出ダイスであってもよい。これによれば、厚膜状の一方向繊維強化部材により補強された繊維強化樹脂成形体を、一つの押出ダイスを用いて簡単に製造することができる。
この場合、押出含浸工程で用いられる熱可塑性樹脂と、第二工程で用いられる熱可塑性樹脂が同じであってもよい。押出含浸工程に用いられる押出ダイスと第二工程に用いられる押出ダイスが共通であって、且つ、押出含浸工程で用いられる熱可塑性樹脂(追加樹脂)と第二工程で用いられる熱可塑性樹脂が同じである場合、第二工程は、第一工程の押出含浸工程を含むように構成される。つまり、この場合、第二工程では、第一工程の塗布工程にて熱可塑性樹脂が塗布された繊維束(F4)を溶融した熱可塑性樹脂と共に押出ダイス(9)に導入し、押出ダイス内で、熱可塑性樹脂の断面形状を所定の断面形状に成形するとともに、繊維束と熱可塑性樹脂とを合流させ、繊維束と合流した熱可塑性樹脂の樹脂圧によって繊維束内に熱可塑性樹脂を含浸することにより一方向繊維強化部材(100)を成形し、成形した一方向繊維強化部材を所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂の所定領域に接合し、所定領域に接合された一方向繊維強化部材とともに所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂を押出ダイスから排出することにより、繊維強化樹脂成形体を押出成形する。
また、本発明は、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に熱可塑性樹脂を塗布する塗布工程と、塗布工程にて熱可塑性樹脂が塗布された繊維束(F4)と、追加樹脂(R)としての溶融した熱可塑性樹脂とを共に押出ダイス(6)に導入し、押出ダイス内で熱可塑性樹脂が塗布された繊維束に追加樹脂を所定の樹脂圧で押し付けることにより、繊維束内に熱可塑性樹脂を含浸させる押出含浸工程と、を含む、一方向繊維強化部材(100)の製造方法を提供する。
本発明によれば、予め樹脂が塗布されている繊維束に追加樹脂を押出ダイス内で押し付けることにより、厚膜状の一方向繊維強化部材を製造することができる。また、本発明により製造された厚膜状の一方向繊維強化部材を補強材として熱可塑性樹脂の成形体に押出成形で接合することにより、より補強効果の高い繊維強化樹脂成形体を製造することができる。
この場合、塗布工程は、熱可塑性樹脂粒子が水に分散されてなる水分散性エマルジョンを、繊維束(F2)に塗布するエマルジョン塗布工程と、水分散性エマルジョンが塗布された繊維束を乾燥させる乾燥工程と、を含むとよい。これによれば、エマルジョン塗布工程にて水に分散された熱可塑性樹脂粒子が繊維束に塗布されることにより、繊維束を構成する複数の繊維の隙間に熱可塑性樹脂粒子が入り込む。そして、その後の押出含浸工程にて繊維束に作用する樹脂圧により、追加樹脂が繊維束に含浸するとともにエマルジョン塗布工程にて塗布された熱可塑性樹脂粒子が繊維束の奥深くまで入り込む。このため、繊維束の厚み方向に均一に熱可塑性樹脂を含浸させることができる。また、厚みの大きい繊維束を用いた場合でも、厚み方向に均一に熱可塑性樹脂を含浸させることができる。つまり、厚みの大きい一方向繊維強化部材を容易に製造することができる。
本発明に係る第二工程で用いられる熱可塑性樹脂は、樹脂成形に用いられる熱可塑性樹脂であれば、その種類を問わない。第二工程で用いられる熱可塑性樹脂として、PP(ポリプロピレン)樹脂、PA6(ポリアミド6)樹脂、PA6,6(ポリアミド6,6)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、等を例示することができる。
また、本発明に係る第二工程で用いられる熱可塑性樹脂は、発泡樹脂、或いは多色成形用樹脂であってもよい。さらに、本発明に係る第二工程で用いられる熱可塑性樹脂は、強化繊維を含有していてもよい。熱可塑性樹脂に含有される強化繊維は、一般的に強化繊維として用いられるものであれば、その種類は問わない。強化繊維として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、植物由来のCNF(セルロースナノファイバー)等を例示することができる。
また、本発明に係る一方向繊維強化部材は、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成された繊維束と、その繊維束に樹脂が含浸されてなる形態であれば、どのようなものでもよい。この場合において、「一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束」との表現は、少なくとも一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束を有していればよいという意味で用いられており、一方向以外の方向に引き揃えられた繊維束を含むことを否定しない。一方向繊維強化部材として、UD(Uni Directional)テープ、或いはクロス(織物)等を例示することができる。
また、本発明に係る第二工程にて押出ダイス内で成形される熱可塑性樹脂の所定の断面形状は、円形断面でも良いし、異形断面(非円形断面)でも良い。異形断面として、平板状断面、L字状断面、中空断面(パイプ状断面、ロ字状断面、田字状断面、日字状断面)等を例示することができる。
また、本発明に係る第二工程にて、一方向繊維強化部材は、所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂の所定領域に接合されていればよい。上記所定領域は、熱可塑性樹脂の表面領域でもよいし内部領域でもよい。なお、熱可塑性樹脂の表面に、ガラス繊維に樹脂が含浸された一方向繊維強化部材を接合して繊維強化樹脂成形体を製造することにより、製造された繊維強化樹脂成形体と金属部材との締結時における電蝕を防止することができる。
また、本発明に係る塗布工程にて繊維束に塗布される熱可塑性樹脂と、本発明に係る押出含浸工程にて用いられる追加樹脂は、相溶性が同じ程度の樹脂であるとよい。
また、本発明に用いられる繊維束を構成する繊維の本数は特に限定されないが、好ましくは、3000本から60000本である。繊維の材質も特に限定されない。繊維の材質として、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等を例示することができる。
(第一実施形態)
<UDテープの製造方法>
まず、本発明の第一実施形態として、一方向繊維強化部材としてのUDテープの製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係るUDテープの製造工程を製造ラインとともに示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係るUDテープの製造方法は、開繊工程と、エマルジョン塗布工程と、乾燥工程と、押出含浸工程と含み、これらの工程がこの順で実行される。エマルジョン塗布工程及び乾燥工程が、本発明の塗布工程に相当する。
<UDテープの製造方法>
まず、本発明の第一実施形態として、一方向繊維強化部材としてのUDテープの製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係るUDテープの製造工程を製造ラインとともに示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係るUDテープの製造方法は、開繊工程と、エマルジョン塗布工程と、乾燥工程と、押出含浸工程と含み、これらの工程がこの順で実行される。エマルジョン塗布工程及び乾燥工程が、本発明の塗布工程に相当する。
開繊工程では、アンコイラ1から引き出された繊維束F1が開繊される。繊維束F1は、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される。繊維束F1を構成する繊維は、一般的に強化繊維として用いられる繊維であれば、その種類を問わない。例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等により、繊維束F1を構成することができる。また、繊維束F1を構成する複数の繊維は、集束剤を介して結合されていて、繊維間の隙間が集束剤により塞がれている。開繊工程は、集束剤により塞がれた繊維間の隙間を僅かに開くために実施される。開繊工程は、例えば、繊維束F1を80℃〜120℃に加熱された熱ロールに通して加熱した後に、表面に梨地処理が施された対の梨地ロール間に加熱された繊維束F1を通すことにより実施することができる。梨地ロール間に繊維束F1が通される際に繊維束F1が梨地ロールから受ける摩擦力により、繊維束F1が開繊される。
エマルジョン塗布工程では、開繊工程にて開繊された繊維束F2に、水分散性エマルジョンが塗布される。エマルジョン塗布工程に用いられる水分散性エマルジョンは、水と、水に分散された熱可塑性樹脂粒子とを含む。水に分散された熱可塑性樹脂粒子として、PP(ポリプロピレン)樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等を例示することができるが、この限りではない。エマルジョン塗布工程の実施により、開繊された繊維束に熱可塑性樹脂粒子を含む水分散性エマルジョンが塗布される。このとき、水分散性エマルジョン中の熱可塑性樹脂粒子が、開繊された繊維束F2を構成する複数の繊維間の隙間内に入り込む。
図1において、エマルジョン塗布工程は、表面に水分散性エマルジョン2が塗布された対のコータロール3,3に繊維束F2を通すことによって、すなわちタッチロール方式によりなされるが、水分散性エマルジョン2の塗布方法については図1の例に限定されない。例えば、水分散性エマルジョンを繊維束F2に向かって噴霧することにより、すなわちスプレー方式により、繊維束F2に水分散性エマルジョンを塗布することができる。また、水分散性エマルジョンの充填槽に繊維束F2を浸漬することにより、繊維束F2に水分散性エマルジョンを塗布することができる。
乾燥工程では、エマルジョン塗布工程にて水分散性エマルジョン2が塗布された繊維束F3を乾燥させる。この場合、熱により水分散性エマルジョン2中の水分を蒸発させることによって、繊維束F3を乾燥させるのがよい。加熱方法は特に限定されないが、例えば、図1に示すように、所定の温度に加熱された対の熱ロール4,4間に、水分散性エマルジョンが塗布された繊維束F3を通すことによって、繊維束F3を乾燥させることができる。加熱温度は、水が蒸発するような温度であればよく、特に、80℃〜130℃であるとよい。
乾燥工程を経た場合、繊維束F3から水分が除去されるので、繊維束中に熱可塑性樹脂が含浸する。従って、乾燥工程を経た繊維束F4も、一方向繊維強化部材と言える。なお、エマルジョン塗布工程で塗布される熱可塑性樹脂(粒子)の塗布量は少量であり、塗布・乾燥後は多くの気孔(ボイド)を内部に有した状態になっている。
押出含浸工程では、乾燥工程を経た繊維束F4に追加樹脂Rが含浸される。追加樹脂Rは、エマルジョン塗布工程にて繊維束F2に塗布された水分散性エマルジョンを構成する熱可塑性樹脂粒子と同じ樹脂であるのがよい。
本実施形態では、押出含浸工程に、第一押出装置5及び第一押出ダイス6が用いられる。第一押出装置5は、押出シリンダと、押出シリンダの内部に配された押出スクリューとを備える。押出シリンダ内には、追加樹脂Rのペレットが例えばホッパ等を介して供給される。また、押出シリンダの外側周面にヒータが敷設されており、このヒータが作動することで、押出シリンダ内に供給された追加樹脂Rのペレットが加熱される。この加熱により、押出シリンダ内の追加樹脂Rが溶融する。また、押出シリンダ内で押出スクリューが回転することにより、押出シリンダ内の溶融した追加樹脂Rが混錬されるとともに、押出シリンダの前方側に溶融した追加樹脂Rが移動する。そして、押出シリンダの先端に取り付けられているノズルから溶融した追加樹脂Rが排出される。
第一押出装置5の押出シリンダから排出された溶融した追加樹脂Rは、第一押出ダイス6に導入される。また、乾燥工程を経た繊維束F4も、第一押出ダイス6に導入される。そして、第一押出ダイス6内で、溶融した追加樹脂Rが繊維束F4に所定の樹脂圧で押し付けられる。これにより、繊維束に既に塗布されている熱可塑性樹脂及び追加樹脂Rが繊維束内に含浸する。そして、十分な量の熱可塑性樹脂が含浸された繊維束であるUDテープ100(一方向繊維強化部材)が、第一押出ダイス6から排出される。つまり、UDテープ100が押出成形される。以上の工程を経て、UDテープ100が製造される。
本実施形態に係るUDテープ100の製造方法によれば、エマルジョン塗布工程にて繊維束に熱可塑性樹脂粒子を含む水分散性エマルジョン2が塗布され、押出含浸工程にて繊維束にさらに熱可塑性樹脂が含浸される。
エマルジョン塗布工程にて繊維束に塗布された水分散性エマルジョン中の熱可塑性樹脂粒子は微小であるので、繊維束を構成する複数の繊維間の隙間に容易に入り込む。
また、エマルジョン塗布工程、乾燥工程の後に、押出含浸工程が実行される。この押出含浸工程にて、追加樹脂Rが繊維束F4に所定の樹脂圧で押し付けられる。これにより、繊維束F4内への熱可塑性樹脂の含浸が進む。具体的には、押出含浸工程が実行された場合、エマルジョン塗布工程によって既に繊維束に塗布(含浸)されている熱可塑性樹脂が樹脂圧により繊維束の奥深くまで含浸する。一方、繊維束の表面には、追加樹脂が含浸する。
このように、本実施形態では、繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させる工程が少なくとも2段階に分けられており、1回目の工程(エマルジョン塗布工程)では、微小の熱可塑性粒子が繊維束に塗布され、2回目の工程(押出含浸工程)では、追加の熱可塑性樹脂が自身の圧力(樹脂圧)により繊維束に押し付けられる。従って、2回目の工程の実行時に、1回目の工程で塗布された熱可塑性樹脂を樹脂圧により繊維束の奥深くまで浸透させることができるとともに、追加樹脂を自身の樹脂圧で繊維束の表面に含浸させることができる。このため、繊維束の厚みが厚い場合であっても、厚み方向に均一に樹脂が含浸されたUDテープを製造することができる。
また、本実施形態において、エマルジョン塗布工程にて繊維束に塗布された熱可塑性樹脂粒子は微小であるので、開繊された複数の繊維間の隙間が非常に小さい場合においても、その隙間に熱可塑性樹脂粒子が十分に入り込む。このため、繊維含有率が高い(すなわち開繊後の繊維間の隙間が小さい)繊維束に十分に熱可塑性樹脂を含浸させることができる。つまり、繊維含有率が高く、且つ、厚いUDテープを製造することができる。
また、上記したように、エマルジョン塗布工程・乾燥工程後の繊維束F4は多数のボイドを有する。この点に関し、本実施形態によれば、乾燥工程後の押出含浸工程にて、所定の樹脂圧でもって追加樹脂Rが繊維束に押し付けられる。斯かる樹脂圧によりボイドが押し潰されることにより、ボイドの量を低減することができる。これにより、UDテープの空隙率を減少させることができる。よって、製造されるUDテープの強度を向上させることができる。
(実施例1)
幅15〜20mmの長尺状の炭素繊維束(炭素繊維:SGL製 SIGRAFIL C030 T050 EPY)を80℃〜120℃に加熱された熱ロールに通して炭素繊維束内の集束剤を溶融させた。次いで、表面が凹凸状に梨地処理された梨地ロールに炭素繊維束を通過させた。梨地ロールを炭素繊維束が通過する際に炭素繊維束が梨地ロールから受ける摩擦力によって、炭素繊維束の幅が28mm〜35mmにまで広げられた。このようにして、炭素繊維束を開繊させた(開繊工程)。
幅15〜20mmの長尺状の炭素繊維束(炭素繊維:SGL製 SIGRAFIL C030 T050 EPY)を80℃〜120℃に加熱された熱ロールに通して炭素繊維束内の集束剤を溶融させた。次いで、表面が凹凸状に梨地処理された梨地ロールに炭素繊維束を通過させた。梨地ロールを炭素繊維束が通過する際に炭素繊維束が梨地ロールから受ける摩擦力によって、炭素繊維束の幅が28mm〜35mmにまで広げられた。このようにして、炭素繊維束を開繊させた(開繊工程)。
その後、熱可塑性樹脂粒子(ポリオレフィン系樹脂粒子或いはポリアミド系樹脂粒子)が水に分散されてなる水分散性エマルジョンが表面に塗布された対のコータロールに開繊後の炭素繊維束を通過させた。このとき0.2MPaの圧力で炭素繊維束が絞られるとともに、炭素繊維束に水分散性エマルジョンが塗布された(エマルジョン塗布工程)。
次いで、エマルジョン塗布工程後の炭素繊維束を80℃〜130℃に加熱された熱ロールに通すことにより、炭素繊維束を乾燥させた。その後、炭素繊維束に塗布されている水分散性エマルジョンに含まれる熱可塑性樹脂粒子の融点以上の温度に加熱された熱ロールに炭素繊維束を通した。このとき0.5Mpaの圧力を炭素繊維束に加えることにより、炭素繊維束内に熱可塑性樹脂を含浸させた(乾燥工程)。
その後、押出ダイス内に乾燥工程後の炭素繊維束を導入した。このとき、水分散性エマルジョン中の熱可塑性樹脂と同一の熱可塑性樹脂を、追加樹脂として、押出装置から押出ダイス内に所定の樹脂圧でもって炭素繊維束とともに導入した。これにより、押出ダイス内で所定の樹脂圧で追加樹脂が炭素繊維束に押し付けられて、炭素繊維束に追加樹脂が含浸されるとともに、追加樹脂が含浸された炭素繊維束が押出成形された(押出含浸工程)。以上の工程を経て、実施例1に係るUDテープを製造した。
(比較例1)
押出含浸工程を省略したことを除き、実施例1と同様な方法により、比較例1に係るUDテープを製造した。つまり、実施例1に示す開繊工程、エマルジョン塗布工程、乾燥工程を経て、比較例1に係るUDテープを製造した。
押出含浸工程を省略したことを除き、実施例1と同様な方法により、比較例1に係るUDテープを製造した。つまり、実施例1に示す開繊工程、エマルジョン塗布工程、乾燥工程を経て、比較例1に係るUDテープを製造した。
(比較例2)
エマルジョン塗布工程及び乾燥工程を省略したことを除き、実施例1と同様な方法により、比較例2に係るUDテープを製造した。つまり、実施例1に示す開繊工程、押出含浸工程を経て、比較例2に係るUDテープを製造した。
エマルジョン塗布工程及び乾燥工程を省略したことを除き、実施例1と同様な方法により、比較例2に係るUDテープを製造した。つまり、実施例1に示す開繊工程、押出含浸工程を経て、比較例2に係るUDテープを製造した。
実施例1、比較例1、及び比較例2にて製造した一方向繊維強化部材の繊維含有率(wt%)、厚さ(mm)、空隙率(%)を、それぞれ求めた。
ここで、繊維含有率とは、製造したUDテープの単位質量当たりに占める炭素繊維の質量比である。この場合において、UDテープの製造に使用した炭素繊維の単位長さ当たりの質量は3.3g/mであるので、繊維含有率の算出においては、製造したUDテープを20cm(0.2m)の長さに切断し、切断したUDテープの重量Wを計測し、次式
3.3×0.2/W×100
を用いて繊維含有率を算出した。
3.3×0.2/W×100
を用いて繊維含有率を算出した。
また、厚さとは、製造したUDテープの厚さのうち、十分に樹脂が含浸していることが確認できる部分における厚さである。また、空隙率の測定に当たり、製造したUDテープをエポキシ樹脂で固定した後に、観察面(UDテープの断面)を研磨し、研磨した観察面を顕微鏡で観察した。また、観察面を画像解析で2値化し、2値化後の画像に基づいて、空隙率を算出した。各例に係るUDテープの繊維含有率、厚さ、空隙率の測定結果を表1に示す。
表1からわかるように、実施例1に係るUDテープの繊維含有率は比較例2に係るUDテープの繊維含有率よりも高い。また、実施例1に係るUDテープの厚さは、比較例1及び2に係るUDテープの厚さよりも厚い。さらに、実施例1に係るUDテープの空隙率は、比較例1及び2に係るUDテープの空隙率よりも小さい。
以上のことから、実施例1によれば、繊維含有率が70wt%以上、厚さが0.7mm以上、空隙率が2%以下のUDテープを製造できることがわかる。
(第二実施形態)
<繊維強化樹脂成形体の製造方法>
次に、本発明の第二実施形態として、繊維強化樹脂成形体の製造方法について説明する。図2は、本実施形態に係る製造方法により製造される繊維強化樹脂成形体10の斜視図である。図2に示すように、繊維強化樹脂成形体10は長尺状に形成されており、長手方向に垂直な断面形状が、長手方向に沿ってほぼ一定であるように構成される。なお、繊維強化樹脂成形体10の断面形状は、長手方向に沿って完全に一定である必要はなく、例えば、長手方向に沿って断面形状が徐々に変化(徐変)するように構成されていてもよい。
<繊維強化樹脂成形体の製造方法>
次に、本発明の第二実施形態として、繊維強化樹脂成形体の製造方法について説明する。図2は、本実施形態に係る製造方法により製造される繊維強化樹脂成形体10の斜視図である。図2に示すように、繊維強化樹脂成形体10は長尺状に形成されており、長手方向に垂直な断面形状が、長手方向に沿ってほぼ一定であるように構成される。なお、繊維強化樹脂成形体10の断面形状は、長手方向に沿って完全に一定である必要はなく、例えば、長手方向に沿って断面形状が徐々に変化(徐変)するように構成されていてもよい。
図3は、繊維強化樹脂成形体10の長手方向に垂直な断面形状を示す図である。図3に示すように、繊維強化樹脂成形体10は、図3の上下方向に離間して対面配置した上側壁部11及び下側壁部12と、図3の左右方向に離間して対面配置した左側壁部13及び右側壁部14と、上側壁部11と下側壁部12との間に設けられた中間壁部15とを有する。
上側壁部11の図3において左方端が左側壁部13の上方端に接続され、上側壁部11の図3において右方端が右側壁部14の上方端に接続される。また、下側壁部12の図3において左方端が左側壁部13の下方端に接続され、下側壁部12の図3において右方端が右側壁部14の下方端に接続される。従って、上側壁部11、下側壁部12、左側壁部13及び右側壁部14によって、四角形状の断面が形成される。
中間壁部15は、その一方面が上側壁部11に対面し、その他方面が下側壁部12に対面するように、4つの側壁部11,12,13,14に囲まれた空間内に配設される。また、中間壁部15の図3における左方端が、左側壁部13の上下方向における中間位置に接続され、中間壁部15の図3における右方端が、右側壁部14の上下方向における中間位置に接続される。上側壁部11、下側壁部12、左側壁部13、右側壁部14、及び中間壁部15により、繊維強化樹脂成形体10の断面形状が図3に示すような形状にされる。以下において、図3に示すような断面形状を、「日字形状」と呼ぶ場合もある。
繊維強化樹脂成形体10は、熱可塑性樹脂により成形される部分(樹脂成形部)と、補強体としてのUDテープ100とを備える。UDテープ100により樹脂成形部が補強される。繊維強化樹脂成形体10の上側壁部11、下側壁部12、及び中間壁部15は、熱可塑性樹脂のみにより構成される。一方、左側壁部13及び右側壁部14は、熱可塑性樹脂により構成される部分と、UDテープ100により構成される部分とを有する。
UDテープ100は、図3に示すように、左側壁部13及び右側壁部14の内部に長手方向に沿って配設され、これらの壁部の内部でこれらの壁部に接合される。このようにUDテープ100は樹脂成形部に埋設されているので、繊維強化樹脂成形体10の断面形状(日字形状)は、熱可塑性樹脂により構成される部分(樹脂成形部)の断面形状と言える。そして、そのような断面形状を有する樹脂成形部の内部にUDテープ100が樹脂成形部と接合された状態で配設される。なお、ここでいう「接合」とは、ボルト等によって機械的に結合されている態様を表すのではなく、樹脂成形部を構成する熱可塑性樹脂とUDテープに含まれる熱可塑性樹脂が溶着する態様を表す。
図4は、繊維強化樹脂成形体10の製造工程を製造ラインとともに示す概略図である。図4に示すように、繊維強化樹脂成形体10は、UDテープ製造工程と、押出成形工程を経て製造される。UDテープ製造工程が本発明の第一工程に相当し、押出成形工程が本発明の第二工程に相当する。
UDテープ製造工程では、UDテープ100が製造される。このUDテープ製造工程は、上記第一実施形態に係るUDテープの製造方法で説明した各工程、具体的には、開繊工程、エマルジョン塗布工程、乾燥工程、及び押出含浸工程を含む。これらの各工程についての説明は省略する。
押出成形工程では、繊維強化樹脂成形体10が押出成形により製造される。この押出成形工程では、図4に示すように、第二押出装置7と、第二押出ダイス8が用いられる。第二押出装置7は、押出シリンダ及び押出シリンダの内部に配設された押出スクリューを備える。押出シリンダ内には、樹脂成形部を構成する熱可塑性樹脂のペレットが例えばホッパ等を介して供給される。また、押出シリンダの外側周面にヒータが敷設されており、このヒータが作動することで、押出シリンダ内に供給された熱可塑性樹脂のペレットが加熱される。この加熱により、押出シリンダ内の熱可塑性樹脂が溶融する。また、押出シリンダ内で押出スクリューが回転することにより、押出シリンダ内の溶融した熱可塑性樹脂が混錬されるとともに、押出シリンダの前方側に溶融した熱可塑性樹脂が移動する。そして、押出シリンダの先端に取り付けられているノズルから溶融した熱可塑性樹脂が排出される。
第二押出装置7から排出された熱可塑性樹脂は、第二押出ダイス8に導入される。また、第二押出ダイス8には、第二押出装置7から排出された熱可塑性樹脂Sとともに、UDテープ製造工程にて製造されたUDテープ100も導入される。本実施形態においては、2つの別個の製造ラインでそれぞれ製造された2本のUDテープ100が、第二押出ダイス8に導入される。
図5は、第二押出ダイス8付近の構成を示す斜視図である。図4及び図5に示すように、第二押出装置7の先端部が第二押出ダイス8に連結される。第二押出装置7の先端部から排出される加熱溶融された熱可塑性樹脂は、第二押出ダイス8の材料供給面8a側から第二押出ダイス8に導入される。また、第二押出装置7を挟むように、UDテープ製造工程(UDテープ製造ライン)にて製造された2本のUDテープ100が配置している。これらのUDテープ100も第二押出ダイス8の材料供給面8a側からそれぞれ第二押出ダイス8に導入される。そして、第二押出ダイス8の材料供給面8aとは反対側の製品排出面8b側から、繊維強化樹脂成形体10が排出される。
図6は、図5に示す第二押出ダイス8を、図5の破線で示す平面Pで切断した断面を示す図である。図6に示すように、第二押出ダイス8は、第一金属プレート81、第二金属プレート82、第三金属プレート83を備え、これらの金属プレートをこの順に重ね合わせてボルト等により締結することにより、構成される。従って、第一金属プレート81の一表面及び第三金属プレート83の一表面が、第二押出ダイス8の対向する2つの表面を構成する。上記対向する2つの表面のうち、第一金属プレート81の一表面が第二押出ダイス8の材料供給面8aを構成し、第三金属プレート83の一表面が第二押出ダイス8の製品排出面8bを構成する。
各金属プレート内には、複数の流路が形成される。具体的には、第一金属プレート81内に、樹脂導入流路81a、第一分岐樹脂流路81b、第二分岐樹脂流路81c、第三分岐樹脂流路81d、第四分岐樹脂流路81e、第一UDテープ導入流路81f、第二UDテープ導入流路81gが形成される。第二金属プレート82内に、第一接続流路82a、第二接続流路82b、第一合流流路82c、第二合流流路82dが形成される。第三金属プレート83内に、第三合流流路83a及び第四合流流路83bが形成される。
第一金属プレート81の材料供給面8aに、第一金属プレート81内に形成された樹脂導入流路81a、第一UDテープ導入流路81f、及び第二UDテープ導入流路81g、のそれぞれの一方の端部が開口する。第一UDテープ導入流路81fの開口位置と第二UDテープ導入流路81gの開口位置は、樹脂導入流路81aの開口位置を挟んで対称的に位置する。
樹脂導入流路81aには、第二押出装置7から排出された熱可塑性樹脂が導入される。また、第一UDテープ導入流路81f及び第二UDテープ導入流路81gには、それぞれ、UDテープ100が導入される。
また、第一金属プレート81内で、樹脂導入流路81aの他方の端部に、第一分岐樹脂流路81b、第二分岐樹脂流路81c、第三分岐樹脂流路81d及び第四分岐樹脂流路81eのそれぞれの一方の端部が接続される。各分岐樹脂流路(81b、81c、81d、81e)の他方の端部は、第一金属プレート81の材料供給面8aとは反対側の面であって第二金属プレート82に対面する側の面に開口する。
なお、図6において、第一分岐樹脂流路81bと第一UDテープ導入流路81fが交差し、第四分岐樹脂流路81eと第二UDテープ導入流路81gが交差している。それぞれの交差位置において交差する流路が合流しないように、樹脂流路(第一分岐樹脂流路81b、第四分岐樹脂流路81e)がUDテープ導入流路(第一UDテープ導入流路81f、第二UDテープ導入流路81g)に対して迂回している。
第二金属プレート82内に形成された第一接続流路82a、第二接続流路82b、第一合流流路82c、第二合流流路82dのそれぞれの一方の端部は、第二金属プレート82の表面であって第一金属プレート81に対面する側の面に開口し、それぞれの他方の端部は、第二金属プレート82の表面であって第三金属プレート83に対面する側の面に開口する。
第一金属プレート81内に形成された第一分岐樹脂流路81bの他方の端部開口は、第二金属プレート82内に形成された第一接続流路82aの一方の端部開口に対面する。このため、第一分岐樹脂流路81bは第一接続流路82aに連通する。第一金属プレート81内に形成された第二分岐樹脂流路81cの他方の端部開口及び第一UDテープ導入流路81fの他方の端部開口は、第二金属プレート82内に形成された第一合流流路82cの一方の端部開口にそれぞれ対面する。このため、第二分岐樹脂流路81c及び第一UDテープ導入流路81fは、共に、第一合流流路82cに連通する。第一金属プレート81内に形成された第三分岐樹脂流路81dの他方の端部開口及び第二UDテープ導入流路81gの他方の端部開口は、第二金属プレート82内に形成された第二合流流路82dの一方の端部開口にそれぞれ対面する。このため、第三分岐樹脂流路81d及び第二UDテープ導入流路81gは、共に、第二合流流路82dに連通する。第一金属プレート81内に形成された第四分岐樹脂流路81eの他方の端部開口は、第二金属プレート82内に形成された第二接続流路82bの一方の端部開口に対面する。このため、第四分岐樹脂流路81eは、第二接続流路82bに連通する。
第三金属プレート83内に形成された第三合流流路83aの一方の端部及び第四合流流路83bの一方の端部は、共に、第三金属プレート83の表面であって第二金属プレート82に対面する側の面に開口する。また、第三合流流路83aの他方の端部及び第四合流流路83bの他方の端部は、共に、第三金属プレート83の製品排出面8bに開口する。
第二金属プレート82内に形成された第一接続流路82aの他方の端部開口及び第一合流流路82cの他方の端部開口は、共に、第三金属プレート83内に形成された第三合流流路83aの一方の端部開口に対面する。このため、第一接続流路82a及び第一合流流路82cは、第三合流流路83aに連通する。また、第二金属プレート82内に形成された第二接続流路82bの他方の端部開口及び第二合流流路82dの他方の端部開口は、共に、第三金属プレート83内に形成された第四合流流路83bの一方の端部開口に対面する。このため、第二接続流路82b及び第二合流流路82dは、第四合流流路83bに連通する。
また、第二金属プレート82及び第三金属プレート83には、エアー流通路84が形成されている。エアー流通路84の一方の端部は、第二金属プレート82の外表面に開口し、他方の端部は、第三金属プレート83の製品排出面8bのうち第三合流流路83aの開口位置と第四合流流路83bの開口位置との間の位置に開口する。
なお、図6において、エアー流通路84は、第二接続流路82b及び第二合流流路82dに交差している。それぞれの交差位置において交差する流路が合流しないように、樹脂流路(第二接続流路82b、第二合流流路82d)がエアー流通路84に対して迂回している。
図7は、図6に示す第二押出ダイス8内に熱可塑性樹脂及びUDテープ100が流れている状態を示す断面図であり、図8は図7のVIII−VIII断面図である。以下、これらの図(図6、図7、図8)を参照しつつ、本実施形態に係る押出成形工程における第二押出ダイス8内での熱可塑性樹脂及びUDテープの流れについて、説明する。
第二押出装置7から排出された溶融した熱可塑性樹脂Sは、第二押出ダイス8の材料供給面8aに開口した樹脂導入流路81aに導入される。樹脂導入流路81aに導入された熱可塑性樹脂Sは、樹脂導入流路81aから、第一分岐樹脂流路81b、第二分岐樹脂流路81c、第三分岐樹脂流路81d、及び第四分岐樹脂流路81eに、それぞれ流れる。
また、UDテープ製造工程にて製造された2本のUDテープ100は、第二押出ダイス8の材料供給面8aに開口した第一UDテープ導入流路81f及び第二UDテープ導入流路81gにそれぞれ導入される。
第一分岐樹脂流路81bを流れる熱可塑性樹脂Sは、第一分岐樹脂流路81bから第一接続流路82aに流れる。第二分岐樹脂流路81cを流れる熱可塑性樹脂Sは、第二分岐樹脂流路81cから第一合流流路82cに流れる。第三分岐樹脂流路81dを流れる熱可塑性樹脂Sは、第三分岐樹脂流路81dから第二合流流路82dに流れる。第四分岐樹脂流路81eを流れる熱可塑性樹脂Sは、第四分岐樹脂流路81eから第二接続流路82bに流れる。
また、第一UDテープ導入流路81fに導入されたUDテープ100は、第一UDテープ導入流路81fから第一合流流路82cに流れる。第一合流流路82cには、上述したように第二分岐樹脂流路81cからの溶融した熱可塑性樹脂Sも流れる。従って、第一合流流路82cにて、図7に示すように、第一分岐樹脂流路81bからの溶融した熱可塑性樹脂Sと第一UDテープ導入流路81fからのUDテープ100が合流する。このとき、第一合流流路82c内にて、UDテープ100は溶融した熱可塑性樹脂Sの表面に沿って流れる。
また、第二UDテープ導入流路81gに導入されたUDテープ100は、第二UDテープ導入流路81gから第二合流流路82dに流れる。第二合流流路82dには、上述したように第三分岐樹脂流路81dからの溶融した熱可塑性樹脂Sも流れる。従って、第二合流流路82dにて、図7に示すように、第三分岐樹脂流路81dからの溶融した熱可塑性樹脂Sと第二UDテープ導入流路81gからのUDテープ100が合流する。このとき、第二合流流路82d内にて、UDテープ100は溶融した熱可塑性樹脂Sの表面に沿って流れる。
第一接続流路82aを流れる熱可塑性樹脂Sは、第一接続流路82aから第三合流流路83aに流れる。また、第一合流流路82cを流れる熱可塑性樹脂S及びUDテープ100は、第一合流流路82cから第三合流流路83aに流れる。従って、第三合流流路83aにて、図7に示すように、第一接続流路82aからの熱可塑性樹脂Sと、第一合流流路82cからの熱可塑性樹脂S及びUDテープ100が合流する。このとき、第三合流流路83a内にて、第一接続流路82aからの熱可塑性樹脂Sが、第一合流流路82cからのUDテープ100の表面を覆う。このため、第三合流流路83a内のUDテープ100は、熱可塑性樹脂Sの内部に配置する。また、第三合流流路83a内にて、UDテープ100は、合流した熱可塑性樹脂Sの樹脂圧を受ける。この樹脂圧によって、UDテープ100が熱可塑性樹脂Sに接合される。
また、第二接続流路82bを流れる熱可塑性樹脂Sは、第二接続流路82bから第四合流流路83bに流れる。また、第二合流流路82dを流れる熱可塑性樹脂S及びUDテープ100は、第二合流流路82dから第四合流流路83bに流れる。従って、第四合流流路83bにて、図7に示すように、第二接続流路82bからの熱可塑性樹脂Sと、第二合流流路82dからの熱可塑性樹脂S及びUDテープ100が合流する。このとき、第四合流流路83b内にて、第二接続流路82bからの熱可塑性樹脂が、第二合流流路82dからのUDテープ100の表面を覆う。このため、第四合流流路83b内のUDテープ100は、熱可塑性樹脂Sの内部に配置する。また、第四合流流路83b内にて、UDテープ100は、合流した熱可塑性樹脂Sの樹脂圧を受ける。この樹脂圧によって、UDテープ100が熱可塑性樹脂Sに接合される。
第三合流流路83aを流れる熱可塑性樹脂S及び熱可塑性樹脂Sに接合されたUDテープ100は、第三合流流路83aの他方の端部開口を通って第二押出ダイス8から排出される。第三合流流路83aの他方の端部開口を通って第二押出ダイス8から排出された熱可塑性樹脂S及びUDテープ100により、繊維強化樹脂成形体10の左側壁部13が形成される。また、第四合流流路83bを流れる熱可塑性樹脂S及び熱可塑性樹脂Sに接合されたUDテープ100は、第四合流流路83bの他方の端部開口を通って第二押出ダイス8から排出される。第四合流流路83bの他方の端部開口を通って第二押出ダイス8から排出された熱可塑性樹脂S及びUDテープ100により、繊維強化樹脂成形体10の右側壁部14が構成される。なお、繊維強化樹脂成形体10の上側壁部11、下側壁部12、及び中間壁部15は、樹脂導入流路81aから分岐している図6、図7において図示しない分岐流路を経由して第二押出ダイス8から排出された熱可塑性樹脂により、それぞれ構成される。このようにして、第二押出ダイス8内を通過する熱可塑性樹脂Sが分岐及び合流することで、熱可塑性樹脂Sが所定の断面形状(日字形状)に成形される。また、第二押出ダイス8内で、UDテープ100が熱可塑性樹脂Sと合流するとともに、合流した熱可塑性樹脂の樹脂圧により、所定断面形状に成形された熱可塑性樹脂Sの所定領域に接合される。そして、所定領域に接合されたUDテープ100とともに、所定断面形状の熱可塑性樹脂Sが第二押出ダイス8から排出される。
このように、本実施形態に係る繊維強化樹脂成形体10の製造方法は、UDテープ製造工程(第一工程)と、押出成形工程(第二工程)とを含む。UDテープ製造工程では、UDテープ100が製造される。押出成形工程では、UDテープ製造工程にて製造されたUDテープ100が第二押出装置7から排出された溶融した熱可塑性樹脂Sと共に第二押出ダイス8に導入される。そして、第二押出ダイス8内で、熱可塑性樹脂Sの断面形状が所定の断面形状(日字形状)に成形されるとともに、UDテープ100と熱可塑性樹脂Sが合流し、UDテープ100と合流した熱可塑性樹脂Sの樹脂圧によってUDテープ100が所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂Sの所定領域(本実施形態では左側壁部13の内部及び右側壁部14の内部)に接合される。そして、所定領域に接合されたUDテープ100とともに所定の断面形状(日字形状)に成形された熱可塑性樹脂Sが第二押出ダイス8から排出されることにより、繊維強化樹脂成形体10が押出成形される。
本実施形態によれば、UDテープ製造工程にてUDテープ100が製造され、UDテープ製造工程に引き続いて行われる押出成形工程にて、UDテープ100が溶融した熱可塑性樹脂Sと共に第二押出ダイス8に導入される。そして、この第二押出ダイス8を用いて繊維強化樹脂成形体10が押出成形により製造される。つまり、本実施形態においては、繊維強化樹脂成形体10を押出成形するため、その前に製造されたUDテープ100をそのまま押出成形に用いる押出ダイス(第二押出ダイス8)に熱可塑性樹脂Sとともに導入させることができる。これにより、UDテープ100の製造とそれを用いた繊維強化樹脂成形体10の製造とを連続的に行うことができる。このため、押出成形工程前に、UDテープ100を軟化させるためにこれを予熱する工程を要しない。よって、従来のようにUDテープ100を加熱(予熱)するための専用の工程を設ける必要がなく、それ故に、従来に比べて少ない工程で、繊維強化樹脂成形体10を製造することができる。
また、UDテープ100は、第二押出ダイス8内で熱可塑性樹脂Sに接合されるため、両者の接合時に外部から気泡が巻き込まれにくい。また、仮に気泡が巻き込まれた場合であっても、UDテープ100と熱可塑性樹脂Sとの接合時にUDテープ100に作用する熱可塑性樹脂Sの樹脂圧によって、巻き込まれた気泡を排除することができる。そのため、UDテープ100と熱可塑性樹脂Sとの接合界面でのボイドの発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態におけるUDテープ製造工程は、繊維束に熱可塑性樹脂を塗布する塗布工程(エマルジョン塗布工程及び乾燥工程)と、塗布工程にて熱可塑性樹脂が塗布された繊維束と、追加樹脂Rとしての溶融した熱可塑性樹脂とを共に第一押出ダイス6に導入し、第一押出ダイス6内で熱可塑性樹脂が塗布された繊維束に追加樹脂Rを所定の樹脂圧で押し付けることにより、繊維束内に熱可塑性樹脂を含浸させる押出含浸工程と、を含む。これによれば、厚膜状のUDテープ100を製造することができる。こうして製造された厚膜状のUDテープ100を用いて繊維強化樹脂成形体10を製造することにより、補強効果の高い繊維強化樹脂成形体を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記第二実施形態では、UDテープ製造工程と押出成形工程とがそれぞれ独立して連続的に実施されているが、UDテープ製造工程の一部を押出成形工程に組み込むようにしてもよい。例えば、UDテープ製造工程中の押出含浸工程を、押出成形工程に組み込んでもよい。つまり、押出含浸工程が、押出成形工程と同時に実施されてもよい。この場合、押出含浸工程に用いられる第一押出ダイス6と、押出成形工程に用いられる第二押出ダイス8が共通の1個の押出ダイスであるとよい。これによれば、厚膜状のUDテープにより補強された繊維強化樹脂成形体を、一つの押出ダイスを用いて簡単に製造することができる。さらにこの場合、押出含浸工程で用いられる熱可塑性樹脂(追加樹脂R)と、押出成形工程で用いられる熱可塑性樹脂Sが同じであるとよい。
図9は、第一押出ダイス6と第二押出ダイス8とが同一の押出ダイス9により構成され、且つ、追加樹脂Rと押出成形工程で用いられる熱可塑性樹脂Sが同じである場合における、製造ラインを示す図である。図9に示す例によれば、2つの別個の製造ラインにて、開繊工程、塗布工程(エマルジョン塗布工程及び乾燥工程)を経て、熱可塑性樹脂が塗布された繊維束F4がそれぞれ製造される。
また、押出成形工程では、塗布工程にて熱可塑性樹脂が塗布された2本の繊維束F4が、第二実施形態で示した第二押出装置7に相当する押出装置7Aからの溶融した熱可塑性樹脂と共に押出ダイス9に導入される。押出ダイス9内では、導入された熱可塑性樹脂の断面形状が所定の断面形状に成形されるとともに、繊維束F4と熱可塑性樹脂とが合流する。押出ダイス9内で繊維束F4と合流した熱可塑性樹脂の樹脂圧によって、繊維束F4内に熱可塑性樹脂が含浸されてUDテープ100が成形されるとともに、成形されたUDテープ100が所定の断面形状に成形された熱可塑性樹脂の所定領域に接合される。そして、押出ダイス9から、所定領域にUDテープ100が接合された所定断面形状の熱可塑性樹脂が排出されることにより、繊維強化樹脂成形体10が押出成形される。このようにして、1つの押出ダイスを用いてより簡単に、繊維強化樹脂成形体10を製造することができる。
また、上記第二実施形態では、2本のUDテープ100を熱可塑性樹脂Sとともに第二押出ダイス8に導入する例を示したが、第二押出ダイス8に導入されるUDテープの本数は限定されない。図10は、4本のUDテープ100が熱可塑性樹脂Sとともに第二押出ダイス8に導入される例を示す図である。この例によれば、第二押出ダイス8から、断面形状がロ字状の繊維強化樹脂成形体10Aが製造される。そして、繊維強化樹脂成形体10Aの断面を構成する4つの側壁部(上側壁部11A,下側壁部12A,左側壁部13A,右側壁部14A)の内部に、長手方向に沿ってそれぞれUDテープ100が配設されているとともに、それぞれのUDテープ100が各側壁部内で熱可塑性樹脂に接合される。
また、上記第二実施形態では、繊維強化樹脂成形体10の断面形状が日字形状である例について説明したが、繊維強化樹脂成形体10の断面形状は、上記実施形態のような断面形状に限定されない。例えば、平板状、L字状、等の断面形状であってもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
2…水分散性エマルジョン、3…コータロール、4…熱ロール、5…第一押出装置、6…第一押出ダイス、7…第二押出装置、7A…押出装置、8…第二押出ダイス、8a…材料供給面、8b…製品排出面、81…第一金属プレート、81a…樹脂導入流路、81b…第一分岐樹脂流路、81c…第二分岐樹脂流路、81d…第三分岐樹脂流路、81e…第四分岐樹脂流路、81f…第一UDテープ導入流路、81g…第二UDテープ導入流路、82…第二金属プレート、82a…第一接続流路、82b…第二接続流路、82c…第一合流流路、82d…第二合流流路、83…第三金属プレート、83a…第三合流流路、83b…第四合流流路、9…押出ダイス、10,10A…繊維強化樹脂成形体、11,11A…上側壁部、12,12A…下側壁部、13,13A…左側壁部、14,14A…右側壁部、15…中間壁部、100…UDテープ、R…追加樹脂、S…熱可塑性樹脂
Claims (5)
- 一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に樹脂が含浸されてなる一方向繊維強化部材を製造する第一工程と、
前記第一工程にて製造された前記一方向繊維強化部材を溶融した熱可塑性樹脂と共に押出ダイスに導入し、前記押出ダイス内で、前記熱可塑性樹脂の断面形状を所定の断面形状に成形するとともに、前記一方向繊維強化部材と前記熱可塑性樹脂とを合流させ、前記一方向繊維強化部材と合流した前記熱可塑性樹脂の樹脂圧によって前記一方向繊維強化部材を前記所定の断面形状に成形された前記熱可塑性樹脂の所定領域に接合し、前記所定領域に接合された前記一方向繊維強化部材とともに前記所定の断面形状に成形された前記熱可塑性樹脂を前記押出ダイスから排出することにより、前記繊維強化樹脂成形体を押出成形する第二工程と、
を含む、
繊維強化樹脂成形体の製造方法。 - 請求項1に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法において、
前記第一工程は、
前記繊維束に熱可塑性樹脂を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程にて熱可塑性樹脂が塗布された前記繊維束と、追加樹脂としての溶融した熱可塑性樹脂とを共に押出ダイスに導入し、前記押出ダイス内で前記熱可塑性樹脂が塗布された前記繊維束に前記追加樹脂を所定の樹脂圧で押し付けることにより、前記繊維束内に熱可塑性樹脂を含浸させる押出含浸工程と、
を含む、
繊維強化樹脂成形体の製造方法。 - 請求項2に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法において、
前記押出含浸工程が、前記第二工程と同時に実施される、
繊維強化樹脂成形体の製造方法。 - 一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に熱可塑性樹脂を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程にて熱可塑性樹脂が塗布された前記繊維束と、追加樹脂としての溶融した熱可塑性樹脂とを共に押出ダイスに導入し、前記押出ダイス内で前記熱可塑性樹脂が塗布された前記繊維束に前記追加樹脂を所定の樹脂圧で押し付けることにより、前記繊維束内に熱可塑性樹脂を含浸させる押出含浸工程と、
を含む、
一方向繊維強化部材の製造方法。 - 請求項4に記載の一方向繊維強化部材の製造方法において、
前記塗布工程は、熱可塑性樹脂粒子が水に分散されてなる水分散性エマルジョンを、前記繊維束に塗布するエマルジョン塗布工程と、
前記水分散性エマルジョンが塗布された前記繊維束を乾燥させる乾燥工程と、
を含む、
一方向繊維強化部材の製造方法。
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