JP2018030100A - 排気ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用触媒コンバータ - Google Patents

排気ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用触媒コンバータ Download PDF

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【課題】優れた耐熱性を有するのみならず、高温曝露後にも優れた触媒性能を有する、排気ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用触媒コンバータ等を提供する。【解決手段】排気ガス浄化用触媒100は、ジルコニア系酸化物を含有する母材粒子11と、この母材粒子11の表面11aに共担持されたLaFeO3微粒子21及び酸化鉄微粒子31と、を少なくとも含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、母材粒子上にLaFeO及び酸化鉄が共担持された排気ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用触媒コンバータに関する。
自動車等の内燃機関から排出される炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx)の浄化において、プラチナ、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等の白金族元素(PGM:Platinum Group Metal)を触媒活性成分として用いた三元触媒(TWC:Three-Way Catalyst)が広く用いられている。しかしながら、PGMは比較的に高価であり、また中長期的な安定供給の確保に懸念がある。そのため、PGMを必須としない新たな触媒材料の開発が検討されている。
例えば、特許文献1(特開2005−125317号公報)には、特定の細孔径及び細孔容積を有するセリア−ジルコニア固溶体を含む担体と、該担体に混合又は担持された活性種としての酸化鉄と、よりなることを特徴とする酸素貯蔵放出材が開示されている。
また、特許文献2(特開平10−216509号公報)には、Y固溶セリア−ジルコニアCe0.6 Zr0.30 0.10 1.95のセリウム系複合酸化物と、このセリウム系複合酸化物に担持されたFeとを有する、酸素吸蔵性セリウム系複合酸化物が開示されている。
一方、特許文献3(特開2010−069451号公報)には、ペロブスカイト型構造を有する酸化物焼成体からなる球状粒子であって、該粒子の平均粒子径が10〜50μmの範囲、比表面積が10m/g〜40m/gの範囲にあることを特徴とするペロブスカイト型酸化触媒が開示されている。
さらに、ペロブスカイト型複合酸化物に、アルカリ土類金属酸化物やアルカリ金属を併用した排ガス浄化触媒が検討されている。
例えば、特許文献4(特開2010−194487号公報)には、欠陥ペロブスカイト型複合酸化物(BaY2−xSc又はBaY2−xIn)とアルカリ土類金属酸化物(BaO)とを含み、粉末X線回折において、実質的に上記欠陥ペロブスカイト型複合酸化物の回折パターンのみが検出される、NOx浄化触媒が開示されている。
特開2005−125317号公報 特開平10−216509号公報 特開2010−069451号公報 特開2010−194487号公報
近年、内燃機関の排気ガス浄化においては、世界的な排気ガス規制の強化にともない、触媒の浄化性能のさらなる向上が求められている。また、エンジン始動直後の所謂コールドスタート時の浄化性能を向上させるため、或いは寒冷地での使用時の浄化性能を向上させるため、排気ガス温度が高いエキゾーストマニホールド直下に触媒コンバータを配置する、直下型の触媒コンバータ等の採用が進展している。これにともない、排気ガス浄化触媒には、耐熱性のさらなる向上も求められてきている。
さらに、排気ガス規制や燃費向上に対応するための空燃比(A/F)制御の高度化にともない、リーン環境(酸化性雰囲気)、ストイキ環境(理論空燃比)、及びリッチ環境(還元性雰囲気)の処理雰囲気の切り替えが精密に行われるようになってきている。ここで、特許文献1の触媒系では、リッチ環境において、酸化鉄(Fe)から鉄(Fe)が還元生成され、これが高活性な活性種として機能している。しかしながら実際は、特許文献1の触媒系は、高温環境に曝されると担体上の粒子同士がシンタリングして粒成長して、触媒活性サイト(担体上の活性種の粒子)の数が著しく減少してしまい、高温曝露後に触媒性能が大きく劣化するという問題があった。すなわち、特許文献1の酸素貯蔵放出材は、合成直後の性能(初期性能)と高温曝露後の性能(ランニング性能)との乖離が大きく、また高温曝露後の触媒活性サイトの数が少ないという点で、改善の余地が大きく、高温環境下で使用する排気ガス浄化触媒として実用性に乏しかった。これらの問題は、特許文献2の触媒系においても、同様に当てはまる。
一方、ペロブスカイト型酸化触媒は、表面積が小さく、所望の活性が得られにくいという問題がある。これを解決するために、特許文献3の触媒系では、CaMnO触媒を数十μmオーダーに造粒し、所定の比表面積を確保することで、プロピレンの酸化触媒性能を高めている。しかしながら、特許文献3の触媒系は、依然として触媒活性サイトが十分ではなく、また、これを高温環境に曝される排気ガス浄化触媒として用いた場合、高温曝露後においてもその比表面積を維持することが難しく、高温環境下で使用する排気ガス浄化触媒として実用性に乏しかった。
特許文献4の触媒系では、アルカリ土類金属酸化物やアルカリ金属を併用することで、触媒活性、特に低温活性を向上させているものの、これらは耐熱性が不十分であり、高温環境下で使用する排気ガス浄化触媒として実用性に乏しかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、優れた耐熱性を有するのみならず、高温曝露後にも優れた触媒性能を有する、排気ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用触媒コンバータ等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、所定の母材粒子上にLaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子がそれぞれ高分散に付着した新規構造を採用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
(1)ジルコニア系酸化物を含有する母材粒子と、前記母材粒子の表面に共担持された、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子と、を少なくとも含有することを特徴とする、排気ガス浄化用触媒。
(2) La及びFeの含有割合が、モル比で、下記式(1):
0.6< Fe/La ≦1.6 ・・・(1)
を満たす上記(1)に記載の排気ガス浄化用触媒。
(3)前記LaFeO微粒子が、1〜50nmの平均結晶子径を有する上記(1)又は(2)に記載の排気ガス浄化用触媒。
(4)前記ジルコニア系酸化物が、希土類元素固溶ジルコニアである上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒。
(5)前記母材粒子が、3〜30μmの平均粒子径D50を有する上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒。
(6)触媒担体と、前記触媒担体の少なくとも一部に保持された、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒と、を少なくとも備えることを特徴とする、排気ガス浄化用触媒コンバータ。
(7)ジルコニア系酸化物を含有する母材粒子の表面に、LaイオンとFeイオンとを少なくとも含有する水溶液を付与する工程、及び処理後の前記母材粒子を500〜1490℃で熱処理して、前記母材粒子の表面にLaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子を共担持させる工程と、を少なくとも有することを特徴とする、排気ガス浄化用触媒の製造方法。
(8) 前記水溶液中のLa及びFeの含有割合が、モル比で、下記式(1):
0.6< Fe/La ≦1.6 ・・・(1)
を満たす、上記(7)に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
(9)前記LaFeO微粒子が、1〜50nmの平均結晶子径を有する上記(7)又は(8)に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
(10)前記ジルコニア系酸化物が、希土類元素固溶ジルコニアである上記(7)〜(9)のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
(11)前記母材粒子が、3〜30μmの平均粒子径D50を有する上記(7)〜(10)のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
本発明によれば、優れた耐熱性を有し、高温曝露後にも優れた触媒性能を有する、排気ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用触媒コンバータ等を実現することができる。本発明の排気ガス浄化用触媒は、母材粒子上に数多くの微小な活性点(LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子)が担持された複合構造の触媒粒子であり、その組成及び構造に基づいて、排ガス中のNOx、CO、HC等を削減する三元触媒(TWC:Tree Way Catalyst)として、特に好適に用いることができる。また、本発明の排気ガス浄化用触媒は、白金族元素(PGM)や貴金属元素(PM)を必須成分として用いていないので、経済性にも優れる。しかも、耐熱性に劣る従来のゼオライト等を用いた触媒とは異なり、本発明の排気ガス浄化用触媒は、エンジン直下型触媒コンバータやタンデム配置の直下型触媒コンバータ等に搭載することができ、これにより、キャニングコストの削減などを図ることができる。
一実施形態の排気ガス浄化用触媒100の概略構成を示す模式図である。 試験例におけるNO浄化率の測定条件を示すグラフ及びモデルガス組成である。 試験例のNO浄化率の測定結果を示すグラフである。 実施例1の排気ガス浄化用触媒のX線回折パターンである。 実施例3の排気ガス浄化用触媒のEPMA元素分析結果、及び比較例1の排気ガス浄化用触媒のEPMA元素分析結果である。 実施例5及び比較例2の排気ガス浄化用触媒のEPMA元素分析結果である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。但し、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、例えば「1〜100」との数値範囲の表記は、その上限値「1」及び下限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
図1は、本発明の一実施形態の排気ガス浄化用触媒100の概略構成を示す模式図である。この排気ガス浄化用触媒100は、ジルコニア系酸化物を含有する母材粒子11と、この母材粒子11の表面11aに共担持されたLaFeO微粒子21及び酸化鉄微粒子31と、を少なくとも含有することを特徴とする。以下、各成分について詳述する。
母材粒子11に含有されるジルコニア系酸化物としては、ジルコニア、ジルコニアに他元素がドープされたジルコニア複合酸化物が挙げられる。ジルコニウムは、耐熱性に優れているため、高温環境下で使用する排気ガス浄化触媒の母材として適している。また、ジルコニウムは、600℃以上の高温での酸素交換速度が速く、排気ガスの処理雰囲気の切り替えの応答性に優れている。そのため、ジルコニア系酸化物を母材粒子11に用いることで、触媒反応に必要な酸素の吸放出が行われ、触媒反応が促進されて、高いNOx浄化性能が得られる。さらに、本触媒系においては、ジルコニア系酸化物を用いることで、アルミナに比して、共担持させるLa及びFeの固溶が抑制されるというメリットもある。なお、ジルコニア系酸化物は、鉱石中に通常1〜2質量%程度含まれているハフニウム(Hf)を不可避不純物として含有していても構わない。また、ハフニウムを除く不可避不純物の総量は、0.3質量%以下であることが好ましい。例えば、セリウムやジルコニウムの一部が、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素等で置換されていてもよい。また、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)及び銅(Cu)等の遷移金属元素を含有していてもよい。
なかでも、ジルコニア系酸化物は、これらに希土類元素がさらに固溶したもの、すなわち希土類元素固溶ジルコニアが好ましい。希土類元素が固溶したジルコニア系酸化物を用いることで、格子酸素欠損(δ)の調整が容易となり、排ガス浄化性能が高められる傾向にある。また、共担持されるLaFeO微粒子21及び酸化鉄微粒子31の分散性が高められ、さらには高熱曝露時のシンタリングによる粒成長も抑制される傾向にある。希土類元素としては、イットリウム、セリウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムが挙げられる。これらの中でも、結晶構造の安定性や耐熱性等の観点から、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、La(ランタン)、プラセオジム(Pr)及びネオジム(Nd)が好ましい。なお、これらの希土類金属Rは、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの希土類元素は、ジルコニア系酸化物の総量に対する、上記列挙した希土類元素の酸化物換算の総量(例えばY、Nd等の総和)で、5〜45質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。
ジルコニア系酸化物の好ましい例としては、ペロブスカイト型酸化物/複合酸化物であって、Y−Zr−Ox、Nd−Zr−Ox、La−Zr−Ox、Pr−Zr−Ox、Y−Nd−Zr−Ox、Y−La−Zr−Ox、Y−Pr−Zr−Ox、Nd−La−Zr−Ox、Nd−Pr−Zr−Ox、La−Pr−Zr−Ox、Y−Nd−La−Zr−Ox、Y−Nd−Pr−Zr−Ox、Y−La−Pr−Zr−Ox、Nd−La−Pr−Zr−Ox、Y−Zr−Ce−Ox、Nd−Zr−Ce−Ox、La−Zr−Ce−Ox、Pr−Zr−Ce−Ox、Y−Nd−Zr−Ce−Ox、Y−La−Zr−Ce−Ox、Y−Pr−Zr−Ce−Ox、Nd−La−Zr−Ce−Ox、Nd−Pr−Zr−Ce−Ox、La−Pr−Zr−Ce−Ox、Y−Nd−La−Zr−Ce−Ox、Y−Nd−Pr−Zr−Ce−Ox、Y−La−Pr−Zr−Ce−Ox、Nd−La−Pr−Zr−Ce−Ox等の希土類元素固溶ジルコニアが挙げられるが、これらに特に限定されない。ジルコニア系酸化物は、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、これらの例示においては、それぞれの複合酸化物に含まれる構成元素の組み合わせに着目して表示したものであり、各構成元素の化学量論比を表示するものではない。すなわち、各構成元素の化学量論比は、任意に調整可能である。
ここで、大きな比表面積を保持させてLaFeO及び酸化鉄の担持量を増大させるとともに、耐熱性を高めて自身の触媒活性サイトの数を増大させる等の観点から、母材粒子11は3〜30μmの平均粒子径D50を有することが好ましく、より好ましくは3〜15μmであり、さらに好ましくは4〜10μmである。なお、本明細書において、平均粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所社製、レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−7100等)で測定されるメディアン径を意味する。
母在粒子11は、各種グレードの市販品を用いることができる。また、上述した各種組成のジルコニア系酸化物からなる母在粒子11は、当業界で公知の方法で製造することもできる。ジルコニア系酸化物の製造方法は、特に限定されないが、共沈法やアルコキシド法が好ましい。
共沈法としては、例えば、ジルコニウム塩、及び必要に応じて配合する希土類金属元素を所定の化学量論比で混合した水溶液に、アルカリ物質を添加して加水分解させ或いは前駆体を共沈させ、その加水分解生成物或いは共沈物を焼成する製法が好ましい。ここで用いる各種塩の種類は、特に限定されない。一般的には、塩酸塩、オキシ塩酸塩、硝酸塩、オキシ硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等が好ましい。また、アルカリ性物質の種類も、特に限定されない。一般的には、アンモニア水溶液が好ましい。アルコキシド法としては、例えば、ジルコニウムアルコキシド、及び必要に応じて配合する希土類金属元素を所定の化学量論比で混合した混合物を加水分解し、その後に焼成する製法が好ましい。ここで用いるアルコキシドの種類は、特に限定されない。一般的には、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシドや、これらのエチレンオキサイド付加物等が好ましい。また、希土類金属元素は、金属アルコキシドとして配合しても、上述した各種塩として配合してもよい。
焼成条件は、常法にしたがえばよく、特に限定されない。焼成雰囲気は、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、中性雰囲気のいずれの雰囲気でもよい。焼成温度及び処理時間は、所望するジルコニア系酸化物の組成及びその化学量論比によって変動するが、生産性等の観点からは、一般的には、150℃〜1300℃で1〜12時間が好ましく、より好ましくは350℃〜800℃で2〜4時間である。なお、高温焼成に先立って、真空乾燥機等を用いて減圧乾燥を行い、約50℃〜200℃で約1〜48時間程度の乾燥処理を行うことが好ましい。
この排気ガス浄化用触媒100においては、上述した母材粒子11の表面11aに、LaFeO微粒子21及び酸化鉄微粒子31が共担持されているという複合構造を有する点に、1つの特徴を有する。すなわち、排気ガス浄化用触媒100は、LaFeO微粒子21及び酸化鉄微粒子31が母材粒子11の表面11aにそれぞれ高分散に付着した複合構造を有する。このような複合構造を採用することにより、この排気ガス浄化用触媒100においては、高温曝露後の触媒性能の劣化が大幅に抑制されている。その理由は定かではないが、母材粒子11の表面11aに存在するLaFeO微粒子21が、母材粒子11の表面11aにおいて酸化鉄微粒子31同士の接触機会を減じさせ、これにより、高温曝露による酸化鉄微粒子31のシンタリング及び粒成長が阻害されているためと推察される。
また、LaFeOは、ペロブスカイト型酸化物であって、自身の格子酸素欠損に基づいてNOx等の排ガスを浄化する触媒活性を呈する。このLaFeOによる触媒作用は、格子酸素欠損の量に応じて増減するものの、リーン環境〜ストイキ環境〜リッチ環境の全域にわたって触媒活性を呈する。一方、酸化鉄は、外部環境に応じて種々の酸化状態(例えば、Fe、Fe、FeO)を採る。とりわけ、還元状態では高活性な活性種であるFe(単体)の状態で存在し、それ故にストイキ環境〜リッチ環境において特に強い触媒活性を呈することとなる。そのため、LaFeOを酸化鉄と併用することで、リーン環境〜ストイキ環境〜リッチ環境の全域にわたって排ガス浄化の触媒作用が補強され、白金族元素(PGM)を必須成分として用いていない場合であっても、優れた排ガス浄化性能が示される。
そして、触媒活性をより高めるとともに酸化鉄微粒子31のシンタリング及び粒成長を阻害する観点から、LaFeO微粒子21は、1〜50nmの平均結晶子径を有することが好ましく、より好ましくは3〜40nmである。また、同様の理由から、酸化鉄微粒子31は、1〜50nmの平均結晶子径を有することが好ましく、より好ましくは3〜40nmである。このような微細なLaFeO微粒子21及び酸化鉄微粒子31を母材粒子11の表面11aに存在させることで、表面積を高く維持し触媒活性サイトを多く維持することができる。
なお、結晶子とは、一般に単結晶とみなせる最大の集まりのことをいい、その結晶子の大きさのことを結晶子径という。また、本明細書において、平均結晶子径は、X線回折装置を用いて回折パターンを測定し、その測定結果に基づいて下記式(2)で表されるScherrerの式より算出した値を意味する。
結晶子径 D(Å)=K・λ/(β・cosθ) ・・・(2)
式(2)中、KはScherrer定数であり、ここではK=0.9とする。また、λは使用したX線管球の波長、βは半値幅、θは回折角(rad)である。
ここで、LaFeO微粒子21及び酸化鉄微粒子31の存在割合(含有割合)は、触媒活性をより高めるとともに酸化鉄微粒子31のシンタリング及び粒成長を阻害して高温曝露後の触媒性能の劣化を抑制する観点から、La及びFeのモル比換算で、0.6< Fe/La ≦1.6の範囲内にあることが好ましい。
酸化鉄微粒子31の含有量は、特に限定されないが、触媒性能及び低温活性を向上させる等の観点から、排気ガス浄化用触媒100の総量に対して、Fe換算で0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
また、LaFeO微粒子21の含有量は、特に限定されないが、リーン環境〜ストイキ環境〜リッチ環境の全域にわたる触媒性能を向上させる等の観点から、排気ガス浄化用触媒100の総量に対して、0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
なお、排気ガス浄化用触媒100は、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)等の貴金属元素(PM)や白金族元素(PGM)を必須成分として用いなくとも、優れた耐熱性を有し、高温曝露後にも優れた触媒性能を有する。したがって、経済性及び安定供給等の観点から、排気ガス浄化用触媒100は、貴金属元素(PM)及び白金族元素(PGM)を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、実質的に含有しないとは、貴金属元素(PM)及び白金族元素(PGM)の総量が、排気ガス浄化用触媒100の全量に対して、0〜1.0質量%の範囲内にあることを意味し、より好ましくは0〜0.5質量%、さらに好ましくは0〜0.3質量%である。ここで排気ガス浄化用触媒100が貴金属元素(PM)や白金族元素(PGM)を含有する場合は、これらは母材粒子11、LaFeO微粒子21及び/又は酸化鉄微粒子31の表面に担持されていればよい。
排気ガス浄化用触媒100の形状は、特に限定されない。母材粒子11上にLaFeO微粒子21及び酸化鉄微粒子31が共担持された触媒粒子の集合体である触媒粉末のまま用いることができる。また、例えば、触媒粉末を任意の形状に成形して、粒状やペレット状の成形触媒とすることができる。また、この排気ガス浄化用触媒100を触媒担体に担持させることもできる。ここで用いる触媒担体としては、当業界で公知のものを適宜選択することができる。代表的には、コージェライト製等のセラミックモノリス担体、ステンレス製等のメタルハニカム担体、ステンレス製等のワイヤメッシュ担体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらは、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上述した排気ガス浄化用触媒100は、例えば内燃機関の排気ガス浄化用触媒、とりわけ自動車の排ガス浄化用触媒として有用である。
排気ガス浄化用触媒100の製造方法は、上述したとおり母材粒子11上にLaFeO微粒子21及び酸化鉄微粒子31が共担持された構成のものが得られる限り、特に限定されない。排気ガス浄化用触媒100を再現性よく簡易且つ低コストで製造する観点からは、蒸発乾固法(含浸法)等が好ましい。
蒸発乾固法としては、上述した母材粒子11に、ランタンイオン及び鉄イオンを少なくとも含有する水溶液を含浸させ、その後に焼成する製法が好ましい。この含浸処理により、ランタンイオン及び鉄イオンが、母材粒子11の表面11aにそれぞれ高分散状態で吸着(付着)される。ここで、ランタンイオン及び鉄イオンは、ランタン及び鉄の各種塩として水溶液に配合することができる。ここで用いる各種塩の種類は、特に限定されない。一般的には、塩酸塩、オキシ塩酸塩、硝酸塩、オキシ硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等が好ましい。
焼成条件は、常法にしたがえばよく、特に限定されない。焼成雰囲気は、酸化性雰囲気、大気雰囲気が好ましい。焼成温度及び処理時間は、所望するジルコニア系酸化物の組成及びその化学量論比によって変動するが、LaFeOの生成及び生産性等の観点からは、一般的には、500〜1490℃で0.1〜12時間が好ましく、より好ましくは550℃〜800℃で0.5〜6時間である。なお、高温焼成に先立って、真空乾燥機等を用いて減圧乾燥を行い、約50℃〜200℃で約1〜48時間程度の乾燥処理を行ってもよい。この焼成処理により、ナノオーダーサイズに高分散したLaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が、母材粒子11の表面11a上で生成(合成)される。
前記水溶液中のLa及びFeの含有割合は、得られる排気ガス浄化用触媒100においてLaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が所望の含有割合となるように調整すればよい。高温曝露による触媒性能の劣化を抑制する観点から、前記水溶液中のLa及びFeの含有割合は、モル比で、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.6< Fe/La ≦1.6 ・・・(1)
なお、前記水溶液は、イットリウム、セリウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウム等の希土類元素、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属元素、コバルト、ニッケル、チタン、銅等の遷移金属元素を含有していてもよい。なお、これらは、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ここで、上記のようにして得られる排気ガス浄化用触媒100に、必要に応じて、貴金属元素や白金族元素をさらに担持させてもよい。貴金属元素や白金族元素の担持方法は、公知の手法を適用でき、特に限定されない。例えば、貴金属元素や白金族元素を含む塩の溶液を調製し、排気ガス浄化用触媒100にこの含塩溶液を含浸させ、その後に焼成することにより、貴金属元素や白金族元素の担持を行うことができる。含塩溶液としては、特に限定されないが、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸塩溶液、塩化物水溶液等が好ましい。また、焼成処理も、特に限定されないが、350℃〜1000℃で約1〜12時間が好ましい。なお、高温焼成に先立って、真空乾燥機等を用いて減圧乾燥を行い、約50℃〜200℃で約1〜48時間程度の乾燥処理を行うことが好ましい。
かくして得られる排気ガス浄化用触媒100は、触媒粒子の集合体である触媒粉末のまま用いることができるが、触媒粉末を任意の形状に成形して粒状やペレット状の成形触媒としたり、触媒担体に保持させることでモノリス担体とすることができる。なお、成形触媒の作製時には、各種公知の分散装置、混練装置、成形装置を用いることができる。また、触媒担体に排気ガス浄化用触媒100を保持させる際には、各種公知のコーティング法、ウォッシュコート法、ゾーンコート法を適用することができる。
以下に試験例、実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらによりなんら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。
(試験例1)
母材粒子として、ジルコニア系酸化物(Y−ZrOと記載,Y:35質量%、ZrO:65質量%:D50=6.4μm:BET比表面積:72m/g)を用いた。なお、本明細書において、BET比表面積は、比表面積/細孔分布測定装置(商品名:BELSORP-mini II、マイクロトラック・ベル株式会社製)及び解析用ソフトウェア(商品名:BEL_Master、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用い、BET一点法により求めた値を意味する。硝酸鉄9水和物(Fe換算で40質量%含有)1.25質量部を、水3.25質量部に溶解して、Fe含有水溶液を調製した。上記ジルコニア系酸化物に鉄含有水溶液を含浸させ、600℃で30min焼成することにより、試験例1の排気ガス浄化用触媒として、酸化鉄を担持したY−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
<パウダー粒子のNO浄化率のラボ測定>
得られた試験例1のパウダー触媒を用いて、フューエルカット(F/C)制御からの復帰時の、ストイキ空燃比におけるNO浄化率の測定を行った。このNO浄化率の測定は、ガス分析計(商品名:BEL Mass、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用い、測定温度700℃、触媒量50mgの条件で測定した。また、F/C制御及びモデルガス組成は、図2に示すとおりである。
なお、NO浄化率は、下記式(3)に基づいて算出した。
NO浄化率(%)=100−(NO−MASSピーク強度(測定時)/NO−MASSピーク強度(Blank))×100 ・・・(3)
(試験例2)
母材粒子として、ジルコニア系酸化物(Nd−ZrOと記載,Nd:15質量%、ZrO:85質量%、D50=5.7μm、BET比表面積:63m/gを用いること以外は、試験例1と同様に行い、試験例2の排気ガス浄化用触媒として、酸化鉄を担持したNd−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
(比較試験例1)
母材粒子として、アルミナ(Al、D50=28μm、BET比表面積:141m/g)を用いること以外は、試験例1と同様に行い、比較試験例1の排気ガス浄化用触媒として、酸化鉄を担持したAlパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
評価結果を、図3に示す。図3から明らかなように、試験例1〜2は、比較試験例1に比して、NO浄化率が有意に優れていることが確認された。これらの結果から、活性種を担持させる母材粒子として、アルミナよりもジルコニア系酸化物が優れていることが示された。
(実施例1)
母材粒子として、Nd固溶ジルコニア系酸化物(Nd−ZrOと記載,Nd:15質量%、ZrO:85質量%、D50=5.7μm、BET比表面積:63m/g)を用いた。硝酸鉄9水和物(Fe換算で40質量%含有)1.25質量部と硝酸ランタン6水和物(La換算で75質量%含有)2.0質量部を、水3.25質量部に溶解して、Fe及びLa含有水溶液を調製した。上記ジルコニア系酸化物にFe及びLa含有水溶液を含浸させ、600℃で30min焼成することにより、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が共担持されたNd−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
その後、得られたパウダー触媒を耐久炉内で高温曝露処理を行い、実施例1の排気ガス浄化用触媒を得た。なお、高温曝露処理としては、外部雰囲気をA/F=12.5、窒素雰囲気、及び酸素雰囲気に順次切り替えを繰り返しながら、980℃で6時間の熱処理を行った。
(実施例2)
硝酸鉄9水和物及び硝酸ランタン6水和物の配合量を、1.25質量部及び1.35質量部に変更すること以外は、実施例1と同様に行い、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が共担持されたNd−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
その後、実施例1と同様に行い、実施例2の排気ガス浄化用触媒を得た。
(実施例3)
硝酸鉄9水和物及び硝酸ランタン6水和物の配合量を、1.25質量部及び0.9質量部に変更すること以外は、実施例1と同様に行い、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が共担持されたNd−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
その後、実施例1と同様に行い、実施例3の排気ガス浄化用触媒を得た。
(実施例4)
硝酸鉄9水和物及び硝酸ランタン6水和物の配合量を、1.25質量部及び0.34質量部に変更すること以外は、実施例1と同様に行い、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が共担持されたNd−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
その後、実施例1と同様に行い、実施例4の排気ガス浄化用触媒を得た。
(比較例1)
硝酸ランタン6水和物の配合を省略すること以外は、実施例1と同様に行い、酸化鉄微粒子が担持されたNd−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
その後、実施例1と同様に行い、比較例1の排気ガス浄化用触媒を得た。
(実施例5)
母材粒子として、Y固溶ジルコニア系酸化物(Y−ZrOと記載,Y:35質量%、ZrO:65質量%:D50=6.4μm:BET比表面積:72m/g)を用いた。硝酸鉄9水和物(Fe換算で40質量%含有)1.25質量部と硝酸ランタン6水和物(La換算で75質量%含有)0.9質量部を、水3.25質量部に溶解して、Fe及びLa含有水溶液を調製した。上記ジルコニア系酸化物にFe及びLa含有水溶液を含浸させ、600℃で30min焼成することにより、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が共担持されたY−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
その後、得られたパウダー触媒を耐久炉内で高温曝露処理を行い、実施例5の排気ガス浄化用触媒を得た。なお、高温曝露処理としては、外部雰囲気をA/F=12.5、窒素雰囲気、酸素雰囲気に順次切り替えながら、980℃で6時間の熱処理を行った。
(比較例2)
硝酸ランタン6水和物の配合を省略すること以外は、実施例5と同様に行い、実施例2の排気ガス浄化用触媒として、酸化鉄微粒子が担持されたY−ZrOパウダー触媒10質量部(Fe換算担持量:0.5質量部)を得た。
その後、実施例5と同様に行い、比較例2の排気ガス浄化用触媒を得た。
<粉末X線回折測定>
X線回折装置(商品名:X’Pert PRO MPD,ヤマト科学株式会社製)を用いて、得られたLaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子を担持したY−ZrOパウダー触媒について下記条件で粉末X線回折測定を行ったところ、実施例1〜5ではLaFeO結晶の固有ピークが確認された。図4に、実施例1のX線回折パターンを示す。
ターゲット:Cu
K−Alpha1[A]:1.5406
X線出力設定:40 mA,45kV
<平均結晶子径の測定>
また、上記式(2)の基づき平均結晶子径を算出したところ、実施例3の排気ガス浄化用触媒のLaFeOの平均結晶子径は19.4nmであり、実施例5の排気ガス浄化用触媒では38.1nmであった。なお、シェラー法による計算は、32°付近の強いピーク(002)に基づいて、市販のソフトウェア(スペクトリス社製、PANalytical X'Pert High Score Plus 3.0)を用いて行った。
<EPMA元素分析>
電子プローブマイクロアナライザ(商品名:JXA−8100,日本電子株式会社製)を用いて、下記条件で実施例及び比較例のパウダー触媒及び排気ガス浄化用触媒の元素分析を行った。
<条件>
電子銃 熱電子(LaB6)
前処理 樹脂包埋(Specifix)−湿式研磨
導電処理 カーボン蒸着
加速電圧 15kV
照射電流 4.5×10−8
ステップ幅 0.8μm
ステップ数 250×250
計測時間 38msec
プローブ径 Focused
測定元素[結晶]:Zr(Lα), Fe(Kα), Ce(Lα), Nd(Lβ), Pr(Lβ), La(Lα), Y(Lα)
図5に、実施例3のパウダー触媒及び排気ガス浄化用触媒のEPMA元素分析結果、及び比較例1の排気ガス浄化用触媒のEPMA元素分析結果を示す。また、図6に、実施例5及び比較例2の排気ガス浄化用触媒のEPMA元素分析結果を示す。
これら粉末X線回折測定及びEPMA元素分析の結果から、実施例1〜5の排気ガス浄化用触媒では、母材粒子上にLaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が担持(付着)されていることが確認された。また、実施例1〜5の排気ガス浄化用触媒は、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が、高分散な状態で一様に均一分布していることがわかる。一方、比較例1及び2の排気ガス浄化用触媒では、高温曝露により酸化鉄微粒子がシンタリングして粒成長していることがわかる。これらのことから、母材粒子上にLaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子が共担持された構造を有する本発明の排気ガス浄化用触媒では、高温曝露時の酸化鉄微粒子のシンタリング及び粒成長が抑制されていることが裏付けられた。
<排気ガス浄化用触媒のランニング性能のラボ評価>
実施例1〜4及び比較例1において、高温曝露による性能劣化(NO浄化率)を評価した。ここでは、実施例1〜4及び比較例1において、高温曝露前後のNO浄化率をそれぞれ測定し、高温曝露処理前のNO浄化率(パウダー触媒)を基準として、高温曝露処理後のNO浄化率の劣化率を算出した。なお、ここでのNO浄化率の測定は、上述したパウダー粒子のNO浄化率の測定と同条件で実施した。評価結果を表1に示す。なお、表1では、高温曝露前の比較例1のパウダー触媒のNO浄化率を基準として、規格化した数値でそれぞれ表した。
表1から明らかなように、酸化鉄微粒子のみ担持した比較例1の排気ガス浄化用触媒は、触媒作製直後はNO浄化性能に優れるものの、高温曝露によって酸化鉄微粒子がシンタリングして粒成長するために劣化度が大きく、その結果、高温曝露後のNO浄化性能に劣るものであることがわかる。これに対して、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子を共担持した実施例1〜4の排気ガス浄化用触媒は、高温曝露による劣化度が小さく、高温曝露後においても比較的に大きなNO浄化性能を維持していることがわかる。とりわけ、Fe:Laが4:6〜6:4の範囲内において、高温曝露による劣化度が特に小さいことが判明した。
本発明は、排ガス中のNOx、CO、HC等を削減する三元触媒(TWC: Three Way Catalyst)として広く且つ有効に利用することができ、特に耐熱性が要求されるエンジン直下型触媒コンバータやタンデム配置の直下型触媒コンバータ等のTWCとして殊に有効に利用することができる。
11 ・・・母材粒子
11a・・・表面
21 ・・・LaFeO微粒子
31 ・・・酸化鉄微粒子
100 ・・・排気ガス浄化用触媒

Claims (11)

  1. ジルコニア系酸化物を含有する母材粒子と、
    前記母材粒子の表面に共担持された、LaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子と、
    を少なくとも含有することを特徴とする、排気ガス浄化用触媒。
  2. La及びFeの含有割合が、モル比で、下記式(1):
    0.6< Fe/La ≦1.6 ・・・(1)
    を満たす
    請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒。
  3. 前記LaFeO微粒子が、1〜50nmの平均結晶子径を有する
    請求項1又は2に記載の排気ガス浄化用触媒。
  4. 前記ジルコニア系酸化物が、希土類元素固溶ジルコニアである
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒。
  5. 前記母材粒子が、3〜30μmの平均粒子径D50を有する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒。
  6. 触媒担体と、
    前記触媒担体の少なくとも一部に保持された、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒と、
    を少なくとも備えることを特徴とする、排気ガス浄化用触媒コンバータ。
  7. ジルコニア系酸化物を含有する母材粒子の表面に、LaイオンとFeイオンとを少なくとも含有する水溶液を付与する工程、及び
    処理後の前記母材粒子を500〜1490℃で熱処理して、前記母材粒子の表面にLaFeO微粒子及び酸化鉄微粒子を共担持させる工程と、
    を少なくとも有することを特徴とする、排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  8. 前記水溶液中のLa及びFeの含有割合が、モル比で、下記式(1):
    0.6< Fe/La ≦1.6 ・・・(1)
    を満たす
    請求項7に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  9. 前記LaFeO微粒子が、1〜50nmの平均結晶子径を有する
    請求項7又は8に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  10. 前記ジルコニア系酸化物が、希土類元素固溶ジルコニアである
    請求項7〜9のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  11. 前記母材粒子が、3〜30μmの平均粒子径D50を有する
    請求項7〜10のいずれか一項に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
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